説明

メタノールから出発するトリオキサンのホモ重合又は共重合による、ポリオキシメチレンホモポリマー又はコポリマーの製造方法

メタノールを、第一の生産プラント(A)中で第一の反応器中で水性ホルムアルデヒド含有流(2)を得ながら酸化し、水性ホルムアルデヒド含有流(2)を第二の生産プラント(B)に供給し、高純度のトリオキサン(6)を取り出し、そして低沸点物(5)の蒸留による分離を実施し、そして高純度のトリオキサン(6)を第三の生産プラント(C)に供給するメタノール(1)から出発する、トリオキサンのホモ重合又は共重合によるポリオキシメチレンホモポリマー又はコポリマー(7)の製造方法において、第三の生産プラント中でポリオキシメチレンホモポリマー又はコポリマー(7)にホモ重合又は共重合させ、それによって低沸点物分離塔(K2)からの低沸点物流(5)を、第一の生産プラント中の第一の塔の供給流中に再循環させることを特徴とすることが提案される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、メタノールから出発するトリオキサンのホモ重合又は共重合による、ポリオキシメチレンホモポリマー又はコポリマーの製造方法に関する。
【0002】
トリオキサンは、主に、酸触媒の存在で均一又は不均一触媒反応でホルムアルデヒド水溶液からホルムアルデヒドの三量化によって得られる。問題は、この場合、ホルムアルデヒドが、パラホルムアルデヒドの形成で、固体沈澱の傾向があることであり、その際、水溶液中でホルムアルデヒド含有率が高くなるにつれて、固体が沈澱し始める温度が、場合に、低くなる。近似的に、少なくとも30〜70質量%の範囲のホルムアルデヒド濃度のために、ホルムアルデヒド水溶液は、固体沈澱を避けるために、質量%でのホルムアルデヒドの濃度よりも約10℃より高い温度に、加熱されなければならないことが必要である。従って、液体のホルムアルデヒドを維持するために、50%ホルムアルデヒド水溶液は、60〜70℃に加熱されなければならず、又は60%ホルムアルデヒドは、70〜80℃に加熱されなければならない。また、ホルムアルデヒドは、主にメタノールの酸化によって得られる。
【0003】
ホルムアルデヒドの三量化によって得られたトリオキサンは、場合により他のモノマーと一緒に、主にポリオキシメチレンホモポリマー又はコポリマーの製造のためのモノマーとして使用される。
【0004】
重合化できるトリオキサンは、特定の規格要求を満足しなければならず、以後、高純度のトリオキサンと表す。これは、トリオキサン97.5質量%、又はトリオキサン99質量%、又はトリオキサン99.5質量%の最小含有率を有する流れが問題である。トリオキサン99.9質量%の最小含有率を有する流れは、最高純度のトリオキサンと表す。
ホルムアルデヒドの三量化の反応混合物の濃縮による高純度のトリオキサンの獲得は、トリオキサン、ホルムアルデヒド、及び水が三成分共沸混合物を形成することによって、方法技術的に困難であり、1barの圧力の場合に、前記三成分共沸混合物は、トリオキサン69.5質量%、ホルムアルデヒド5.4質量%、及び水25.1質量%の組成を示し、かつその組成物は極めて圧力依存である。
【0005】
従って、高純度のトリオキサンは、特に、例えば、優先日前の、公開されていないDE−A 07 101 198号又はEP 07 1 18 103.6号に記載されているように、圧力スウィング−精留によって得られる。この場合、高められた圧力及び対応する温度が必要であり、その際に、有用生成物であるトリオキサンは、低沸点物、すなわちトリオキサンの沸点よりも低い沸点を有する物質を生成しながら分解される。低沸点物は、特に、ギ酸メチル、メチラール、ジメトキシジメチルエーテル、及びメタノールである。
【0006】
有用生成物であるトリオキサンの分解によって収率の損失を生じ、その結果この方法の経済性を損なう。
【0007】
従って、本発明の課題は、前記の収率の損失を最小にする、メタノールから出発する高純度のトリオキサン(前記高純度のトリオキサンは引き続きポリマープラント中でポリオキシメチレンホモポリマー又はコポリマーに重合される)の技術的に簡単な製造方法を提供することであった。
【0008】
その解決策は、
− メタノールを第一の生産プラントにおける第一の反応器中で、水性ホルムアルデヒド含有流を得ながら酸化して、
− その水性ホルムアルデヒド含有流を第二の生産プラントに供給し、
− 第二の生産プラント中で、ホルムアルデヒドを、酸触媒の存在で、第二の反応器中で、トリオキサンに三量化させ、そしてそれからトリオキサン/ホルムアルデヒド/水−混合物を取り出し、
− そのトリオキサン/ホルムアルデヒド/水−混合物を、第一の塔中で、塔頂流として粗トリオキサンを得ながら蒸留により分離し、
− 凝縮器中で塔頂部で塔頂流を、凝縮物を得ながら凝縮し、その凝縮物の部分流を再度第一の塔に供給し、そして残りの部分流を、1つ以上の他の方法工程中で、さらに高純度のトリオキサンにする後処理工程に供給し、その際、前記の他の方法工程の1つは、低沸点物分離塔中で、ギ酸メチル、メチラール、ジメトキシジメチルエーテル、及びメタノールを含む群から選択される低沸点物の蒸留による分離を含み、
− 前記高純度のトリオキサンを、ポリオキシメチレンホモポリマー又はコポリマーにホモ重合又は共重合させる第三の生産プラントに供給する、メタノールから出発する、トリオキサンのホモ重合又は共重合によるポリオキシメチレンホモポリマー又はコポリマーの製造方法において、低沸点物分離塔からの低沸点物流を、第一の生産プラント中の第一の反応器の供給流に再循環させることを特徴とする。
【0009】
第一の生産プラントにおける第一の反応器中でのメタノールの酸化によるホルムアルデヒドの製造は、それ自体公知である。この場合、ホルムアルデヒドが、酸触媒の存在で第二の反応器においてトリオキサンに三量化される、第二の生産プラントに供給される水性ホルムアルデヒドを含有する流れが生じる。
【0010】
この場合に、トリオキサン/ホルムアルデヒド/水−混合物は、第一の塔において、高純度のトリオキサンを得ながら塔頂部流として蒸留により分離される。
【0011】
第一の塔に供給されるトリオキサン/ホルムアルデヒド/水−混合物は、一般に、ホルムアルデヒド40〜80質量%、水20〜59質量%、及びトリオキサン1.0〜30質量%を含有する。
【0012】
粗トリオキサンと言われる第一の塔の塔頂部流は、一般に、60質量%より多く、有利には63質量%より多く、特に有利には65質量%より多くのトリオキサンを含有する。例えば、第一の塔の粗トリオキサンの塔頂部流は、以下の組成を有する:ホルムアルデヒド3〜20質量%、水10〜30質量%、及びトリオキサン60〜75質量%。
【0013】
第一の蒸留塔の塔頂部流を、凝縮物を得ながら塔頂部で凝縮し、その凝縮物の部分流を、第一の塔に還流として再び供給し、そして残りの部分流を、他の処理で、高純度のトリオキサンを得るために1つ以上の他の方法工程に導入する。
【0014】
この場合、高純度のトリオキサンとは、トリオキサン97.5質量%、又はトリオキサン99質量%、又はトリオキサン99.5質量%の最小含有率を有する流れであると解釈される。粗トリオキサンの高純度トリオキサンへの後処理のためのこの他の方法工程の1つは、低沸点物の蒸留による分離である。
【0015】
前記トリオキサン合成及び引き続く蒸留分離の際に形成されてよい通常の低沸点物は、ギ酸メチル、メチラール、ジメトキシジメチルエーテル、メタノール、ギ酸、並びにさらにヘミアセタール及び完全アセタールである。
【0016】
前記低沸点物を、有利には、一般に圧力0.1〜5bar、有利には圧力1.0〜2.5barで実施する、低沸点物の分離塔の頂部を通って分離する。一般に、低沸点物の分離塔に供給される流れは、さらに15質量%までの低沸点物を含有することができる。
【0017】
一般的に、この低沸点物の分離塔は、少なくとも2つの理論段、有利には15〜50の理論段を有する。一般に、前記塔の回収部は、該塔の理論段の25〜90%、有利には50〜75%を含む。
【0018】
低沸点物の分離塔の底部排出物中に、一般に、トリオキサンと比べて低沸点成分が、5質量%未満、有利には2.5質量%未満、特に有利には1.5質量%未満が残る。
【0019】
高純度のトリオキサンは、ポリオキシメチレンホモポリマー又はコポリマーにホモ重合又は共重合させる、第三の生産プラントに供給される。
【0020】
本発明によって、低沸点物の分離塔からの塔頂流として排出される低沸点物流を、最初の生産プラントにおいて、最初の反応器の供給流に、再循環させる。
【0021】
前記低沸点物流は、次の主な成分を含む:50質量%までのメタノール、40質量%までのギ酸メチル、30質量%までのメチラール、及び10質量%未満のトリオキサン。
【0022】
有利には、生産プラントA及びBに、すなわちホルムアルデヒド生産プラント及びトリオキサン生産プラントに、さらに、高純度のトリオキサンからポリオキシメチレンホモポリマー又はコポリマーへの重合のためのプラントの生産プラントCと、前記トリオキサン生産プラントは連結される。
【0023】
ポリオキシメチレンホモポリマー又コポリマー(POM)は、特に一般的に、ポリマー主鎖中で繰返単位−CH2O−を少なくとも50mol%有する。ポリオキシメチレンコポリマーは、有利には、繰返単位−CH2O−の他に、50mol%まで、有利には0.01〜20mol%、特に0.1〜10mol%、特に有利には0.5〜6mol%の次の繰返単位を有するものが有利である。
【0024】
【化1】

[式中、R1〜R4は、互いに独立して、水素原子、C1〜C4−アルキル基又はハロゲン置換された1〜4個のC原子を有するアルキル基を表し、及びR5は−CH2−、−CH2O−、C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−ハロアルキルで置換されたメチレン基、又は対応するオキシメチレン基を表し、nは0〜3の範囲内の値を有する]。好ましくは、これらの基は、環状エーテルの開環によってコポリマー中に導入されうる。有利には、環状エーテルは、式
【化2】

[式中、R〜Rおよびnは、上記の意味を有する]の環状エーテルである。例えば、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、1,3−ブチレンオキシド、1,3−ジオキサン、1,3−ジオキソラン及び1,3−ジオキセパン(=ブタンジオールホルマール、BUFO)が環状エーテルとして挙げられ、並びに直鎖オリゴホルマール又はポリホルマール、例えばポリジオキソラン又はポリジオキセパンがコモノマーとして挙げられる。
【0025】
同様に適しているのは、例えば、トリオキサン、前記の環状エーテルの1つを第三のモノマー、好ましくは式
【化3】

及び/又は
【化4】

[式中、Zは、化学結合、−O−、−ORO−(R=C1〜C8−アルキレン又はC3〜C8−シクロアルキレン)である]で示される二官能性化合物と反応させることにより製造されるオキシメチレンターポリマーである。
【0026】
この種の有利なモノマーは、いくつの例を挙げれば、エチレンジグリシド、ジグリシジルエーテル及びグリセリンとホルムアルデヒド、ジオキサン又はトリオキサンとの2:1のモル比のジエーテル、並びにグリシジル化合物2モルと2〜8個のC原子を有する脂肪族ジオール1モルとからなるジエーテル、例えばエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、シクロブタン−1,3−ジオール、1,2−プロパンジオール及びシクロヘキサン−1,4−ジオールのジグリシジルエーテルである。
【0027】
鎖末端に大部分のC−C結合または−O−CH結合を有する、末端基が安定化されたポリオキシメチレンポリマーが特に有利である。
【0028】
好ましいポリオキシメチレンコポリマーは、少なくとも150℃の融点、及び5000〜300000、有利には7000〜250000g/molの範囲内の分子量(重量平均)Mwを有する。不均一性(Mw/Mn)2〜15、好ましくは2.5〜12、特に好ましくは3〜9を有するPOMコポリマーが特に好ましい。この測定は、一般にゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)−SEC(サイズ排除クロマトグラフィー)によって行われ、Mn−値(数平均分子量)は一般にGPC−SECによって測定される。
【0029】
前記ポリマーの分子量は、場合によりトリオキサン重合の際に通常の調節剤によって、及び反応温度及び反応滞留時間によって目的の値に調節することができる。調節剤として、一価アルコールのアセタール又はホルマール、アルコール自体及び連鎖移動剤として機能する少量の水(この存在は一般に完全に回避されない)が挙げられる。前記調節剤は、10〜10000ppm、有利に20〜5000ppmの量で使用される。
【0030】
開始剤として(同様に触媒とも言われる)、トリオキサン重合の場合に通常のカチオン性開始剤が使用される。プロトン酸、例えばフッ素化又は塩素化されたアルキル−及びアリールスルホン酸、例えば過塩素酸、トリフロロメタンスルホン酸又はルイス酸、例えば四塩化スズ、五フッ化ヒ素、五フッ化リン及び三フッ化ホウ素並びにこれらの錯化合物及び塩状の化合物、例えば三フッ化ホウ素−エーテレート及びトリフェニルメチレンヘキサフルオロホスフェートが好適である。前記開始剤(触媒)は、約0.01〜1000ppm、有利には0.01〜500ppm及び特に0.01〜200ppmの量で使用される。一般に、前記開始剤を希釈された形で、有利には0.005〜5質量%の濃度で添加することが好適である。このための溶剤として、不活性化合物、例えば脂肪族、環式脂肪族炭化水素、例えばシクロヘキサン、ハロゲン化された脂肪族炭化水素、グリコールエーテル等を使用することができる。特に有利には、溶剤としてトリグリム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、及び1,4−ジオキサンである。
【0031】
前記開始剤に対して、さらに、助触媒を併用することもできる。これは、全ての種類のアルコール、例えば2〜20個のC原子を有する脂肪族アルコール、例えばt−アミルアルコール、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール;2〜30個のC原子を有する芳香族アルコール、例えばヒドロキノン;2〜20個のC原子を有するハロゲン化されたアルコール、例えばヘキサフルオロイソプロパノールであり;特に有利には全ての種類のグリコール、特にジエチレングリコール及びトリエチレングリコール;及び脂肪族ジヒドロキシ化合物、特に2〜6個の炭素原子を有するジオール、例えば1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール及びネオペンチルグリコールである。
【0032】
モノマー、開始剤、助触媒及び場合により調節剤は、任意のやり方で、予備混合するか又は互いに別々に重合反応器に添加することもできる。
【0033】
さらに、安定化のための成分は、EP−A 129369号又はEP−A 128739号に記載されているように、立体障害フェノールを含むことができる。
【0034】
有利には、前記重合に直接引き続き、前記重合混合物を、有利には相変化を行わずに失活させる。開始剤の残り(触媒の残り)の失活は、一般に重合溶融物に失活剤(停止剤)を添加することにより行う。適当な失活剤は、例えばアンモニア並びに第一級、第二級又は第三級の脂肪族及び芳香族アミン、例えばトリアルキルアミン、例えばトリエチルアミン又はトリアセトンジアミンである。さらに、塩基性に反応する塩、例えばソーダ及びボラックス、さらにアルカリ金属及びアルカリ土類金属の炭酸塩及び水酸化物、さらにアルコレート、例えばナトリウムメタノレートが適している。これらの失活剤は、通常ではポリマーに有利には0.01質量ppmw(parts per million by weight)〜2質量%の量で添加される。さらに、アルキル基中で2〜30個の炭素原子を有するアルカリ金属−又はアルカリ土類金属アルキルが失活剤として有利である。特に有利な金属として、Li、Mg及びNaが挙げられ、その際、n−ブチルリチウムが特に有利である。
【0035】
トリオキサンからのPOMは、一般に塊状での重合により得られ、そのために高い混合作用を有する全ての反応器を使用することができる。前記反応の実施は、この場合、均一系、例えば溶融液中で、又は不均一系で、例えば固体又は固体顆粒への重合として行うことができる。例えば、皿型反応器、鋤刃混合器、管型反応器、リスト型反応器、ニーダー(例えばバスニーダー)、例えば一軸又は二軸スクリューを備えた押出機、及び撹拌反応器が適しており、その際、前記反応器はスタティックミキサー又はダイナミックミキサーを有してよい。
【0036】
例えば押出機中での、塊状での重合の場合に、溶融したポリマーによって、いわゆる溶融物密閉が生じ、それによって揮発性成分は押出機中に残る。前記モノマーは、押出機中に存在するポリマー溶融物中へ、開始剤(触媒)と共に又は別々に、反応混合物の有利な温度62〜114℃で供給される。有利には、前記モノマー(トリオキサン)は溶融した状態でも、例えば60〜120℃で供給される。前記プロセスの発熱性に基づいて、通常は、単に前記方法の開始時に、ポリマーを押出機中で溶融させなければならず、引き続き放出した熱量は、生成したPOMポリマーを溶融させるかもしくは融液状に保つために十分である。
【0037】
溶融重合は、一般に1.5〜500bar及び130〜300℃で行われ、かつ重合混合物の反応器中での滞留時間は通常では0.1〜20、有利には0.4〜5分である。有利には、前記重合は30%を上回る転化率まで、例えば60〜90%まで行われる。
【0038】
この場合、前記したように多量の、例えば40%までの反応されない残留モノマー、特にトリオキサンとホルムアルデヒドを含有する粗POMが得られる。この場合、モノマーとしてトリオキサンだけを使用した場合でも、ホルムアルデヒドは粗POM中にも存在することができる。それというのもトリオキサンの分解生成物としてホルムアルデヒドが生じることができるためである。さらに、ホルムアルデヒドの他のオリゴマー、例えば四量体のテトロキサンも存在することができる。
【0039】
粗POMは、1つ以上の工程で、公知の脱気装置中で、例えば脱気ポット(フラッシュポット)、1つ以上のスクリューを有する脱気装置、薄膜蒸発装置、噴霧乾燥又は他の通常の脱気装置中で脱気される。特に有利には、脱気ポット(フラッシュポット)である。
【0040】
有利には、第一のフラッシュ中で6bar(絶対)未満にガス状流及び液状流を得ながら脱気させ、前記ガス状流及び液状流を、蒸気流を得ながら2bar(絶対)未満で実施される第二のフラッシュに供給し、前記蒸気流を、モノマープラント中に再循環させる方法で粗POMの脱気を実施する。
【0041】
例えば、二工程の脱気の場合に、第一の工程における圧力は、有利には2〜18、特に2〜15、及び特に有利には2〜10barであり、かつ第二の工程における圧力は、有利には1.05〜4、特に1.05〜3.05、及び特に有利には1.05〜3barである。
【0042】
脱気の際に遊離する残留モノマーを、1つ以上の蒸気流として場合により取り出し、そして凝縮器に供給する。前記凝縮器は、有利には、得られた凝縮流が、凝縮されていない蒸気流と比較してより高いトリオキサン割合を示すように実施される。
【0043】
この場合、重合反応器に再循環される凝縮物、及びガス状の、ホルムアルデヒド含有流が得られる。部分脱気されたポリオキシメチレンホモポリマー又はコポリマーを、続いて、押出機又はニーダーに供給し、そしてその中で、通常の添加物及び加工助剤(添加剤)を、その物質の通常の量で添加する。このような添加剤は、例えば滑剤又は離型剤、着色剤、例えば顔料又は染料、難燃剤、酸化防止剤、光の作用に対する安定剤、ホルムアルデヒド捕捉剤、ポリアミド、成核剤、繊維状及び粉末状の充填剤又は強化剤、又は帯電防止剤、並びに他の添加剤、又はこれらの混合物である。
【0044】
押出機又はニーダーから、有用生成物POMが、溶融物として得られる。
【0045】
押出機又はニーダーのドームで、さらにホルムアルデヒド含有副流が、押出機又はニーダー廃ガスとして、取り出される。
【0046】
全ての生産プラントC中で生じたホルムアルデヒド含有副流は、直接、すなわち生産プラントC中で、化学変化なしに、及び助剤の添加なしに、特に水の添加なしに得られる方法で、その都度、トリオキサン生産プラントB中で好適な場所に戻される。
【0047】
さらに、材料的な組成物と同様にそれらのエネルギー含有率が、POMの製造のための全体の方法において使用される。
【0048】
ガス状の、一工程又は多工程のポリマー溶融物の重合反応器からの放圧から生じ、かつ縮合後にガス状態のままであるホルムアルデヒド含有副流は、本発明によって生産プラントCに再循環される。
【0049】
有利には、生産プラントCからのガス状のホルムアルデヒド含有流は、生産プラントBの第一の塔中で再循環される。
【0050】
この場合、凝縮器における操作条件は、有利には、生産プラントBで再循環される、生産プラントCからのガス状のホルムアルデヒド含有流中のトリオキサンの割合が、80質量%未満、有利には60質量%未満、特に有利には40質量%未満であるように調整される。
【0051】
前記流れは、通常、有利には少なくとも25質量%、さらに有利には少なくとも50質量%のホルムアルデヒド含有率を有する。
【0052】
押出機又はニーダーのドームで、1つ以上の他のホルムアルデヒド含有副流を生じ、押出機又はニーダーの廃ガスは、本発明によって、同様に、直接、すなわち化学的又は物理的変化なしに、生産プラントB中で再循環される。
【0053】
押出機又はニーダーのドームで、この場合一般に低圧が所持、これはしばしば第一工程において、800mbar未満の範囲内で、及び第二工程においてより低い圧力下で、しばしば500mbar未満の範囲内である。
【0054】
水が豊富な液体流を、特に、トリオキサンの製造のための反応器の前方に置かれた、約10〜60質量%、特に約15〜45質量%の出発濃度のホルムアルデヒド供給流の蒸発装置からの塔頂流を、水を分離するための第四の塔の圧力まで圧縮するために、前記押出機又はニーダーの廃ガスを、本発明によって、既に生産プラントB中に存在している液体リングポンプ中に導入する。
特に、液体リングポンプ中で吸収される押出機の廃ガスは、2〜7bar(絶対)の圧力に、有利には約5bar(絶対)に圧縮される。
【0055】
以下で本発明は、図及び実施例をもとに、より詳細に説明される。
【0056】
本発明による方法によって、ホルムアルデヒドの製造のための出発物質として、低沸点物流からのメタノール、メチラール、ギ酸メチル、及び他のメタノール誘導体の少なくとも90%までを第一の生産プラント中で使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】ホルムアルデヒドプラント、トリオキサンプラント、及びポリオキシメチレンホモポリマー又はコポリマープラントの、本発明による、連結された操作の流れ図を示す図。
【図2】トリオキサン生産プラントのための有利な実施態様を示す図。
【0058】
図1における流れ図は、図式的な、第一の生産プラントA(ホルムアルデヒド生産プラント)、第二の生産プラントB(トリオキサン生産プラント)、及び第三の生産プラントC(ポリオキシメチレンホモポリマー又はコポリマー生産プラント)を示す。
【0059】
第一の生産プラントAに、メタノール流1を供給し、そしてそこから、水性ホルムアルデヒド含有流2を取り出して、前記水性ホルムアルデヒド含有流を第二の生産プラントBに供給する。そこから、低沸点物流5を取り出して、前記低沸点物流を第一の生産プラントAに再循環する。
【0060】
第二の生産プラントBにおいて、高純度のトリオキサン流6を得て、前記高純度のトリオキサン流をポリオキシメチレンホモポリマー又はコポリマーを製造のために第三の生産プラントCに供給する。第三の生産プラントCから、ポリオキシメチレンホモポリマー又コポリマー7を取り出す。
【0061】
第三の生産プラントCから第二の生産プラントBへの、詳しく番号が付けられていない返送流は、それらの2つの生産プラントの材料的な連結を明確に示す。
【0062】
図2は、第二の生産プラントBのための有利な実施態様を示す。
【0063】
水性ホルムアルデヒド含有流2を、酸触媒と共に、第二の反応器Rに供給し、そしてその中でトリオキサンに三量化する。前記反応器Rから、トリオキサン/ホルムアルデヒド/水−混合物3を取り出し、そして第一の塔K1中で、塔頂流4として粗トリオキサンを得ながら蒸留により分離する。塔頂流4を、縮合器Wによって塔頂部で縮合する。その濃縮物を、部分的に還流として再び塔K1に供給し、そして残りを、図中で示されている有利な実施態様において、低沸点物分離塔K2に供給する。低沸点物分離塔K2から、低沸点物を含有する流れ5を取り出し、前記流れを本発明によって図2において示されていない第一の生産プラントA中に、再循環する。
【0064】
前記低沸点物分離塔K2からの塔底流を、他の、詳しく書かれていない蒸留による分離工程中で、高純度のトリオキサンである流れ6に精製する。高純度のトリオキサンである流れ6を、図2において示されていない第三の生産プラントCの供給流として、ポリオキシメチレンホモポリマー又はコポリマーの製造のために供給する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
− メタノールを第一の生産プラント(A)における第一の反応器中で、水性ホルムアルデヒド含有流(2)を得ながら酸化して、
− その水性ホルムアルデヒド含有流(2)を第二の生産プラント(B)に供給し、
− 第二の生産プラント(B)中で、ホルムアルデヒドを、酸触媒の存在で、第二の反応器(R)中で、トリオキサンに三量化させ、そしてそれからトリオキサン/ホルムアルデヒド/水−混合物(3)を取り出し、
− そのトリオキサン/ホルムアルデヒド/水−混合物(3)を、第一の塔(K1)中で、塔頂流(4)として粗トリオキサンを得ながら蒸留により分離し、
− 凝縮器(W)中で塔頂部で塔頂流(4)を、凝縮物を得ながら凝縮し、その凝縮物の部分流(4a)を再度第一の塔(K1)に供給し、そして残りの部分流(4b)を、1つ以上の他の方法工程中で、さらに高純度のトリオキサン(6)にする後処理工程に供給し、その際、前記の他の方法工程の1つは、低沸点物分離塔(K2)中で、ギ酸メチル、メチラール、ジメトキシジメチルエーテル、及びメタノールを含む群から選択される低沸点物(5)の蒸留による分離を含み、
− 前記高純度のトリオキサン(6)を、ポリオキシメチレンホモポリマー又はコポリマー(7)にホモ重合又は共重合させる第三の生産プラント(C)に供給する、メタノール(1)から出発する、トリオキサンのホモ重合又は共重合によるポリオキシメチレンホモポリマー又はコポリマー(7)の製造方法において、低沸点物分離塔(K2)からの低沸点物流(5)を、第一の生産プラント(A)中の第一の反応器の供給流に再循環させることを特徴とする、
ポリオキシメチレンホモポリマー又はコポリマー(7)の製造方法。
【請求項2】
前記低沸点物流が、次の主な成分:50質量%までのメタノール、40質量%までのギ酸メチル、30質量%までのメチラール、及び10質量%未満のトリオキサンを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法であって、第三の生産プラント(C)中で残留モノマーを含む粗ポリオキシメチレンホモポリマー又はコポリマーを製造し、該ホモポリマー又はコポリマーを
− 1つ以上の工程で脱気して1つ以上の蒸気流及び部分的に脱気させたポリオキシメチレンホモポリマー又はコポリマーを得て、前記蒸気流を場合により凝縮器に供給して、重合反応器中へ再循環される凝縮物及びガス状のホルムアルデヒド含有流を得て、
− 前記ホモポリマー又はコポリマーを、押出機又はニーダーに供給し、そしてそこに通常の添加物及び加工助剤を混合して、
− ポリマー溶融物を得て、そして
− 押出機又はニーダーから、ホルムアルデヒドを含有する押出機又はニーダーの廃ガスを取り出し、そして生産プラント(B)からの全てのホルムルデヒド含有副流を、直接、助剤の添加なしに、生産プラント(C)中で再循環する
ことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−506720(P2011−506720A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538590(P2010−538590)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際出願番号】PCT/EP2008/067286
【国際公開番号】WO2009/077415
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】