説明

メタルハライドランプおよびそれを用いた照明装置

【課題】色温度が2800[K]〜3700[K]であって、高演色で、かつ高いランプ効率を得る。
【解決手段】色温度が2800[K]〜3700[K]であって、次のような発光物質が封入されている。すなわち、少なくとも希土類金属、NaおよびCaを含み、前記希土類金属はDy、TmおよびHoのうちの少なくとも一種と、CeおよびPrのうちの少なくとも一方とからなる。前記希土類金属のうち、Dy、TmおよびHoのうちの少なくとも一種からなるグループAの組成比率MAが2[mol%]〜10[mol%]、前記希土類金属のうち、CeおよびPrのうちの少なくとも一方からなるグループBの組成比率MBが0.5[mol%]〜4[mol%]、Naの組成比率MNaが35[mol%]〜45[mol%]、Caの組成比率MCaが40[mol%]〜60[mol%]である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタルハライドランプおよびそれを用いた照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時、外囲器を構成する材料が透光性セラミックからなる発光管を用いたメタルハライドランプ(以下、「セラミックメタルハライドランプ」という)は、高効率で、かつ高演色なランプであり、例えば店舗等の商業施設で屋内照明用として広く使用されている。
【0003】
この種のセラミックメタルハライドランプでは、特に高い演色性を得るために、発光物質としてジスプロシウム(Dy)、ツリウム(Tm)、ホルミウム(Ho)の希土類金属、タリウム(Tl)およびナトリウム(Na)等を組み合わせたものが用いられている。
【0004】
一例として、従来の定格電力150[W]の温白色タイプ(色温度3500[K])のセラミックメタルハライドランプ(以下、「従来のセラミックメタルハライドランプ」という)では、発光物質としてジスプロシウムが6[mol%]、ツリウムが6[mol%]、ホルミウムが6[mol%]、タリウムが9[mol%]、ナトリウムが73[mol%]封入されているものがある。この従来のセラミックメタルハライドランプは、透明形で発光光束が13500[lm]、ランプ効率が90[lm/W]、平均演色評価数Raが87、特殊演色評価数Rが10、黒体放射軌跡からの変位を表すDUVが−7というランプ特性が得られている。ただし、ここで言う「発光光束」、「ランプ効率」、「平均演色評価数Ra」、「特殊演色評価数R」および「DUV」は、いずれも100時間点灯経過時の値を示す。
【0005】
なお、前記従来のセラミックメタルハライドランプでは、図3に示すとおり、略円筒状の円筒部15とこの円筒部15の両端部に焼きばめによって一体化された肉厚な略円板状の閉塞部16とを有する本管部17と、一端部が閉塞部16の中央部に設けられた貫通孔16aに挿入され、かつ焼きばめによって一体化された略円筒状の細管部19とから構成された外囲器20を有する発光管18が用いられている。
【0006】
このように従来のセラミックメタルハライドランプにおいて、特殊演色評価数Rが特に低いという問題があった。
【0007】
そこで、従来、前記発光物質にカルシウム(Ca)を付加することにより、赤色領域の発光を増大させ、平均演色評価数Raや特殊演色評価数Rを改善することが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0008】
ところで、この種のセラミックメタルハライドランプにおいて、一層の高い効率を得るために、発光物質としてセリウム(Ce)やプラセオジム(Pr)を用いることが提案されている(例えば特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−281216号公報
【特許文献2】特開2003−86130号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この種のセラミックメタルハライドランプが店舗等の商業施設で屋内照明用として使用される中で、店舗等における被照射体の物体色の彩度を高め、これをより好ましく見せるという演色効果が強く求められている。また同時に、今日の省エネルギー化の要請により、一層の高効率化も求められている。
【0010】
そこで、本発明者らは、まず色温度が2800[K]〜3700[K](電球色タイプから温白色タイプまで)のセラミックメタルハライドランプにおいて、従来のセラミックメタルハライドランプよりも高演色(例えば平均演色評価数Raが90以上、特殊演色評価数Rが40以上、DUVが0〜−10)で、かつより高効率(例えばランプ効率が94[lm/W])なランプの実現を試みた。
【0011】
まず、従来のセラミックメタルハライドランプにおいて、発光物質にカルシウムを付加し、高い演色性が得られる組成比率を調べたところ、40[mol%]以上とすることが好ましいことがわかった。
【0012】
しかしながら、従来のセラミックメタルハライドランプにおいて、発光物質にカルシウムを前記組成比率で付加したことにより、ランプ効率が88[lm/W]に低下してしまうことがわかった。
【0013】
本発明は、このような事情に基づいてなされたものであり、色温度が2800[K]〜3700[K]であって、高演色で、かつ高いランプ効率を得ることができるメタルハライドランプおよびそれを用いた照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のメタルハライドランプは、内部に電極体が配置され、かつ発光物質が封入されているセラミック製の発光管を備えた色温度が2800[K]〜3700[K]のメタルハライドランプであって、前記発光物質は、少なくとも希土類金属、ナトリウム(Na)およびカルシウム(Ca)を含み、前記希土類金属はジスプロシウム(Dy)、ツリウム(Tm)およびホルミウム(Ho)のうちの少なくとも一種と、セリウム(Ce)およびプラセオジム(Pr)のうちの少なくとも一方とからなり、前記希土類金属のうち、ジスプロシウム、ツリウムおよびホルミウムのうちの少なくとも一種からなるグループAの組成比率をM[mol%]、前記希土類金属のうち、セリウムおよびプラセオジムのうちの少なくとも一方からなるグループBの組成比率をM[mol%]、前記ナトリウムの組成比率をMNa[mol%]、前記カルシウムの組成比率をMCa[mol%]としたとき、Mが2[mol%]〜10[mol%]、Mが0.5[mol%]〜4[mol%]、MNaが35[mol%]〜45[mol%]、MCaが40[mol%]〜60[mol%]であるという構成を有している。
【0015】
また、本発明の照明装置は、前記メタルハライドランプと、このメタルハライドランプを点灯させるための点灯回路と、前記メタルハライドランプが組み込まれている照明器具とを備えているという構成を有している。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、色温度が2800[K]〜3700[K]であって、高演色で、かつ高いランプ効率を得ることができるメタルハライドランプを提供することができるものである。
【0017】
また、本発明は、色温度が2800[K]〜3700[K]であって、高演色で、かつ高効率な照明装置を提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の最良な実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0019】
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態である定格電力150[W]のメタルハライドランプ1は、色温度が2800[K]〜3700[K]であって、一端部が略半球状に閉塞され、かつ他端部にステム2が封着されている例えば硬質ガラス製の略円筒状(両端部を除く)の外管3と、この外管3の内部に収納されている発光管4と、外管3と発光管4との間に位置し、万一発光管4が破損してもその破片によって外管3が破損するのを防止するための例えば石英ガラス製のスリーブ5と、外管3の他端部側に取り付けられた例えばE形の口金6とを備えている。
【0020】
ステム2には、2本の電力供給線7が封着されている。これらの電力供給線7の一端部は、外管3の内部に導入され、後述する発光管4の外部リード部8にそれぞれ電気的に接続されている。一方、電力供給線7の他端部は外管3の外部に導出されており、そのうちの一方が口金6のアイレット部6aに、残る他方が口金6のシェル部6bにそれぞれ電気的に接続されている。
【0021】
なお、電力供給線7は、複数の金属線を一体化した一本の金属線からなる。口金6は、E形に限らず、ピン状のG形やPG形等、公知の種々のものを用いることができる。
【0022】
外管3の内部には、例えば常温(25[℃])で40[kPa]〜80[kPa]となるように窒素ガスが封入されている。もっとも、外管3の内部は、必要に応じて真空状態であってもよい。
【0023】
なお、外管3は、その外形形状として略円筒状に限らず、中央部が最も膨出し、それぞれの端部に近付くに従って径が徐々に小さくなっていく形状等、公知の種々の形状のものを用いることができる。
【0024】
発光管4は、図2に示すように、放電空間9を形成する本管部10とこの本管部10の両端部にそれぞれ連なって形成された細管部11とから構成された例えば多結晶アルミナ等の透光性セラミックからなる外囲器12を有している。この外囲器12を構成している本管部10および細管部11は、各部材10,11を同時に成形する一体成形によって形成されたものであって、それぞれ別個に成形され、後に焼きばめによって一体化されたものではない。外囲器12の全体の長さLは、例えば48[mm]である。本管部10は、最大内径rが例えば11[mm]、肉厚tが例えば0.6[mm]の略円筒状の円筒部13と、その両端部に一体成形によって連なって形成された略半球状の半球部14とからなる。細管部11は、略円筒状であって、内径rが例えば1.0[mm]、肉厚tが例えば1.1[mm]である。
【0025】
ここで、外囲器の構造として、上記したように本管部10と細管部11とが一体成形されたものについて説明したが、これに限らず従来のセラミックメタルハライドランプにおける発光管の外囲器と同じ構造のもの、すなわち図3に示すように略円筒状の円筒部15とこの円筒部15の両端部に焼きばめによって一体化された肉厚な略円板状の閉塞部16とを有する本管部17と、一端部が閉塞部16の中央部に設けられた貫通孔16aに挿入され、かつ焼きばめによって一体化された略円筒状の細管部19とから構成されたもの等、公知の種々の構造のものを用いることができる。しかし、このように図3に代表されるような発光管18の外囲器20では、円筒部15、閉塞部16および細管部19の3つのパーツからなり、円筒部15と閉塞部16、閉塞部16と細管部19とをそれぞれ焼きばめによって一体化しているので、各部材15,16,19の接合部における気密性を十分に保つとともに、焼きばめ時に破損しないように機械的強度を十分に確保するべく、特に閉塞部16の肉厚(例えば2.6[mm])を厚くしている。このように外囲器20の肉厚を厚くすると、その肉厚部分において光透過率が低下したり、熱伝導損失が増大したりしてランプ効率が低下するおそれがある。そこで、外囲器に図2に示すような本管部10と細管部11とが一体成形されたものを用いることにより、図3に示すような外囲器20に比して肉厚な閉塞部16が不要になり、光透過率を上げることができるとともに、熱伝導損失を低減させることができるので、ランプ効率を向上させることができる。
【0026】
なお、外囲器12,20を構成する材料としては、上記した多結晶アルミナ以外にイットリウム−アルミニウム−ガーネット(YAG)、窒化アルミニウム、酸化イットリウム、またはジルコニア等の透光性セラミックを用いることができる。
【0027】
また、発光管4の内部には、図2に示すように電極体21が配置されている。具体的に、本管部10の内部には、先端部同士が互いに対向し、かつ長手方向の中心軸X(図2参照)が略同一軸上に位置するように電極部22が配置されている。電極部22間の距離Lは例えば10[mm]である。各細管部11の内部には、上述したとおり先端部に形成されている電極部22が本管部10内に位置するように、かつその反対側の端部(後述する内部リード部23の一部と外部リード部8)が細管部11の外部に導出するように電極体21がそれぞれ挿入されている。挿入された電極体21は、細管部11の端部のうち、本管部10とは反対側の端部のみにおいて内部リード部23全体を覆うように細管部11と電極体21とで形成される隙間に流し込まれたガラスフリットからなるシール材24によって封着されている。シール材24は、細管部11と電極体21とで形成される隙間だけではなく、細管部11の外部においても内部リード部23を覆うように存在している。
【0028】
電極体21は、先端部に形成された電極部22と、一端部がこの電極部22に接続された例えば酸化アルミニウム(Al)とモリブデン(Mo)との混合物を焼結した導電性サーメットからなる直径が例えば0.9[mm]、長さが例えば6[mm]の内部リード部23と、一端部がこの内部リード部23に接続された例えばニオビウムからなる外部リード部8とを有している。外部リード部8の他端部は、電力供給線7に電気的にそれぞれ接続されている。
【0029】
なお、内部リード部23として、酸化アルミニウム(Al)とモリブデン(Mo)との混合物を焼結した導電性サーメット以外に、酸化アルミニウム(Al)とタングステン(W)との混合物を焼結した導電性サーメットや、これらの導電性サーメットに代えて単なる金属のモリブデン棒等、公知の種々の耐ハロゲン性材料を用いることができる。
【0030】
電極部22は、直径が例えば0.5[mm]、長さが例えば16.5[mm]のタングステン製の電極棒25とこの電極棒25の先端部に設けられた外径が例えば0.9[mm]のタングステン製の電極コイル26とを有している。電極棒25には、細管部11と電極棒25との間に形成される隙間を可能な限り埋め、その隙間に発光物質が沈み込んで発光に寄与しなくなるのを防止するために、例えばモリブデン製のコイル27が取り付けられている。
【0031】
なお、電極体の構造として、電極部22、内部リード部23および外部リード部8からなるものを示したが、これに限らず例えば内部リード部と外部リード部とが単一部材からなり、一端部が電極棒25に接続され、かつ他端部が細管部11の外部に導出してそのまま電力供給線7に接続されているもの等、公知の種々の電極体を用いることができる。そして、種々の電極体を用いることができる結果、電極体の細管部11内での封着方法として上記したシール材24による封着方法以外に、公知のメタライズ封着を用いることができる。
【0032】
さらに、発光管4の内部には、発光物質、緩衝ガスとして水銀、および始動補助ガスとしての希ガス、例えばアルゴンガス等がそれぞれ所定量封入されている。
【0033】
発光物質としては、少なくとも希土類金属、ナトリウム(Na)およびカルシウム(Ca)を含んでいる。前記希土類金属はジスプロシウム(Dy)、ツリウム(Tm)およびホルミウム(Ho)のうちの少なくとも一種と、セリウム(Ce)およびプラセオジム(Pr)のうちの少なくとも一方とからなる。前記希土類金属のうち、ジスプロシウム、ツリウムおよびホルミウムのうちの少なくとも一種からなるグループAの組成比率をM[mol%]、前記希土類金属のうち、セリウムおよびプラセオジムのうちの少なくとも一方からなるグループBの組成比率をM[mol%]、ナトリウムの組成比率をMNa[mol%]、カルシウムの組成比率をMCa[mol%]としたとき、Mが2[mol%]〜10[mol%]、Mが0.5[mol%]〜4[mol%]、MNaが35[mol%]〜45[mol%]、MCaが40[mol%]〜60[mol%]にそれぞれ規定されている。
【0034】
ここで、各発光物質の組成比率を上記のように規定した理由について説明する。
【0035】
まず、色温度として2800[K]〜3700[K]が得られることを前提として、従来のセラミックメタルハライドランプの演色性(平均演色評価数Raが87、特殊演色評価数Rが10、DUVが−7)およびランプ効率(90[lm/W])に比して、より高い演色性(平均演色評価数Ra、特殊演色評価数RおよびDUV)と、より高いランプ効率とがともに得られるように各発光物質の組成比率を種々組み合わせて検討した結果、次のような知見を得た。
【0036】
すなわち、色温度は、主としてグループAからなる希土類金属の組成比率Mおよびナトリウムの組成比率MNaにそれぞれ依存し、組成比率Mに対する組成比率MNaの割合が増加するに従って低くなることがわかった。その結果、3700[K]以下という低色温度を得るためには、グループAからなる希土類金属の組成比率Mを10[mol%]以下に抑え、ナトリウムの組成比率を35[mol%]以上にすべきであることがわかった。一方、色温度が2800[K]を下回らないようにするためには、グループAからなる希土類金属の組成比率Mを2[mol%]以上にし、かつナトリウムの組成比率を45[mol%]以下にすべきであることがわかった。
【0037】
次に、平均演色評価数Ra、特殊演色評価数RおよびDUVは、主としてグループAからなる希土類金属の組成比率Mおよびカルシウムの組成比率MCaにそれぞれ依存し、組成比率Mおよび組成比率MCaがともに増加するに従って上昇することがわかった。特に、特殊演色評価数Rは、カルシウムの組成比率MCaに大きく依存していた。その結果、2800[K]〜3700[K]という低色温度を得つつ、より高い演色性を得るためには、カルシウムの組成比率MCaを40[mol%]以上にし、かつグループAからなる希土類金属の組成比率Mも2[mol%]以上にすべきであることがわかった。また、特にDUVは、カルシウムの組成比率MCaおよびグループBからなる希土類金属の組成比率Mにそれぞれ大きく依存していることがわかった。組成比率MCaが60[mol%]を超えると、ピンク色の発光が目立ち過ぎるようになり、DUVが大きくマイナス領域へシフトすることがわかった。また、組成比率Mが4[mol%]を超えても、DUVがマイナス領域からプラス領域へとシフトしてしまうことがわかった。したがって、DUVの値を適度にマイナス領域に維持させるためには、カルシウムの組成比率MCaを60[mol%]以下にし、かつグループBからなる希土類金属の組成比率Mを4[mol%]以下にすべきであることがわかった。
【0038】
次に、ランプ効率を向上させるためには、発光物質としてセリウムおよびプラセオジムのうちの少なくとも一方を封入することが効果的であるとわかっている。そこで、各発光物質(グループBからなる希土類金属を除く)を上記した組成比率とした場合において、より高いランプ効率を得るためには、グループBからなる希土類金属の組成比率Mを0.5[mol%]以上にすべきであることがわかった。
【0039】
以上の結果に基づき、色温度が2800[K]〜3700[K]であって、従来のセラミックメタルハライドランプの演色性およびランプ効率に比して、より高い演色性と、より高いランプ効率とがともに得られるように、希土類金属のうち、ジスプロシウム、ツリウムおよびホルミウムのうちの少なくとも一種からなるグループAの組成比率Mを2[mol%]〜10[mol%]に、希土類金属のうち、セリウムおよびプラセオジムのうちの少なくとも一方からなるグループBの組成比率Mを0.5[mol%]〜4[mol%]に、ナトリウムの組成比率MNaを35[mol%]〜45[mol%]に、カルシウムの組成比率MCaを40[mol%]〜60[mol%]にそれぞれ規定した。
【0040】
なお、これらの発光物質は、通常、その封入過程において金属単体で封入されるのではなく、金属ハロゲン化物の形態で封入される。例えばジスプロシウムはヨウ化ジスプロシウム(DyI)、ツリウムはヨウ化ツリウム(TmI)、ホルミウムはヨウ化ホルミウム(HoI)、タリウムはヨウ化タリウム(TlI)、セリウムはヨウ化セリウム(CeI)、プラセオジムはヨウ化プラセオジム(PrI)、ナトリウムはヨウ化ナトリウム(NaI)、カルシウムはヨウ化カルシウム(CaI)の形態でそれぞれ封入される。もっとも、これらは全てがヨウ化物の形態である必要はなく、任意の発光物質の一部または全部が臭化物の形態であってもよい。しかし、この種のメタルハライドランプ1は高負荷(例えば管壁負荷(20)[W/cm]〜(40)[W/cm])で点灯されるため、その臭化物と電極部22を構成しているタングステンとが過剰に反応するおそれがある。そこで、各発光物質を封入するに当たり、金属ハロゲン化物は主として、例えば95[重量%]以上を金属ヨウ化物の形態で封入することが好ましい。
【0041】
また、発光物質としては、色温度が2800[K]〜3700[K]であって、従来のセラミックメタルハライドランプの演色性およびランプ効率に比して、より高い演色性と、より高いランプ効率とがともに得られることを条件として、必要に応じて上記した金属に加えて例えばネオジム(Nd)、テルビウム(Tb)、ルテチウム(Lu)、リチウム(Li)、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)等を封入してもよい。このネオジムを付加することにより、ランプ効率をより一層向上させることができる。また、これらテルビウムやルテチウムを付加することにより、平均演色評価数Raをより一層高めることができる。さらに、これらリチウム、バリウム、ストロンチウムを付加することにより、特殊演色評価数Rをより一層高めることができる。
【0042】
以上のとおり本発明の第1の実施の形態にかかるメタルハライドランプ1の構成によれば、発光物質として少なくとも希土類金属、ナトリウム(Na)およびカルシウム(Ca)を含み、前記希土類金属がジスプロシウム(Dy)、ツリウム(Tm)およびホルミウム(Ho)のうちの少なくとも一種と、セリウム(Ce)およびプラセオジム(Pr)のうちの少なくとも一方とからなり、前記希土類金属のうち、ジスプロシウム、ツリウムおよびホルミウムのうちの少なくとも一種からなるグループAの組成比率をM[mol%]、前記希土類金属のうち、セリウムおよびプラセオジムのうちの少なくとも一方からなるグループBの組成比率をM[mol%]、ナトリウムの組成比率をMNa[mol%]、カルシウムの組成比率をMCa[mol%]としたとき、Mを2[mol%]〜10[mol%]、Mを0.5[mol%]〜4[mol%]、MNaを35[mol%]〜45[mol%]、MCaを40[mol%]〜60[mol%]としているので、色温度が2800[K]〜3700[K]であって、従来のセラミックメタルハライドランプよりも高演色で、かつ高いランプ効率を得ることができる。
【0043】
特に、発光管4の外囲器12を構成している本管部10と細管部11とが一体成形からなるので、複数のパーツを焼きばめ等によって一体化されている外囲器を有するものに比して、光透過率を上げることができるとともに、熱伝導損失を低減することができるので、ランプ効率をより一層向上させることができる。
【0044】
次に、上記した本発明の第1の実施の形態にかかる定格電力150[W]のメタルハライドランプ1(以下、単に「本発明品A」という)の作用効果を確認するための実験を行った。
【0045】
まず、本発明品Aにおいて各発光物質の組成比率を表1に示すとおりのものを1本作製した(以下、「実施例a」という)。すなわち、ジスプロシウムが3[mol%]、ツリウムが2[mol%]、ホルミウムが2[mol%]、タリウムが2[mol%]、セリウムが2[mol%]、ナトリウムが35[mol%]、カルシウムが54[mol%]である。ただし、各発光物質は全てがヨウ化物の形態で封入されており、金属ヨウ化物としての合計封入量が5[mg](4.2[mg/cm])である。そして、作製したランプを口金6が上向きになるように垂直に立てた姿勢にして定格電力(150[W])で裸点灯させ、100時間点灯経過時における色温度[K]、平均演色評価数Ra、特殊演色評価数R、DUV、光束(発光光束)[lm]、ランプ効率[lm/W]をそれぞれ調べたところ、同じく表1に示すとおりの結果が得られた。
【0046】
【表1】

【0047】
なお、実施例aでは、外囲器が図2に示すような本管部10と細管部11とが一体成形からなる外囲器12(表1中、「一体成形型」という)である。
【0048】
また、図3に示すような定格電力150[W]の従来のセラミックメタルハライドランプの発光管18の外囲器20(表1中、「組立型」という)を用いている点を除いては実施例aと同じ構成を有している定格電力150[W]のメタルハライドランプ(実施例b)を1本作製した。そして、作製したランプを口金6が上向きになるように垂直に立てた姿勢にして定格電力(150[W])で裸点灯させ、100時間点灯経過時における色温度[K]、平均演色評価数Ra、特殊演色評価数R、DUV、光束(発光光束)[lm]、ランプ効率[lm/W]をそれぞれ調べたところ、同じく表1に示すとおりの結果が得られた。
【0049】
また参考のため、定格電力150[W]の従来のセラミックメタルハライドランプ(従来例a)1本を口金が上向きになるように垂直に立てた姿勢にして定格電力(150[W])で裸点灯させ、100時間点灯経過時における色温度[K]、平均演色評価数Ra、特殊演色評価数R、DUV、光束(発光光束)[lm]、ランプ効率[lm/W]をそれぞれ調べた結果を同じく表1に示す。発光物質は、ジスプロシウムが6[mol%]、ツリウムが6[mol%]、ホルミウムが6[mol%]、タリウムが9[mol%]、ナトリウムが73[mol%]である。ただし、各発光物質は全てがヨウ化物の形態で封入されており、金属ヨウ化物としての合計封入量が5[mg](4.2[mg/cm])である。
【0050】
なお、実施例a、実施例bおよび従来例aのいずれも外管3は透明形である。
【0051】
表1に示すとおり実施例aは、色温度が3530[K]であって、平均演色評価数Raが95、特殊演色評価数Rが45、DUVが−5.4、発光光束が14400[lm]、ランプ効率が96[lm/W]であった。実施例bは色温度が3600[K]であって、平均演色評価数Raが92、特殊演色評価数Rが30、DUVが−4、発光光束が14100[lm]、ランプ効率が94[lm/W]であった。一方、従来例aは、色温度が3500[K]であって、平均演色評価数Raが87、特殊演色評価数Rが10、DUVが−7、発光光束が13500[lm]、ランプ効率が90[lm/W]であった。
【0052】
このように実施例aおよび実施例bでは、色温度が2800[K]〜3700[K]であって、従来のセラミックメタルハライドランプを上回る高い演色性、および高いランプ効率を得ることができると確認された。
【0053】
なお、上記実験では、グループBからなる希土類金属としてセリウムのみを用いているが、セリウムの代わりにプラセオジムを、またはセリウムに加えてプラセオジムをそれぞれ前記組成比率の範囲内で用いた場合であっても上記と同様の結果が得られることが確認された。
【0054】
なお、上記第1の実施の形態では定格電力150[W]のメタルハライドランプを例示して説明したが、定格電力が例えば20[W]〜300[W]のメタルハライドランプにも適用することができるものである。
【0055】
次に、本発明の第2の実施の形態である定格電力150[W]のメタルハライドランプは、図1および図2に示すように発光管4の外囲器12が一体成形によって形成されており、かつ発光管4内における発光物質が金属ハロゲン化物の形態で封入されているとともに、前記金属ハロゲン化物が主として(例えば95[重量%]以上)金属ヨウ化物であって、その合計封入量が10.5[mg/cm]以上、好ましくは10.5[mg/cm]〜20[mg/cm]の範囲内、さらに好ましくは12.5[mg/cm]〜20[mg/cm]の範囲内に規定されている点を除いて本発明の第1の実施の形態である定格電力150[W]のメタルハライドランプ1と同じ構成を有している。したがって、本発明の第2の実施の形態にかかるメタルハライドランプの構成に関して、上記異なる点以外については上述したとおりであるので、その詳細を省略する。
【0056】
ここでは、前記金属ハロゲン化物が主として(例えば95[重量%]以上)金属ヨウ化物であって、その合計封入量が10.5[mg/cm]以上に規定した理由について説明する。
【0057】
まず、金属ハロゲン化物としては、全てがヨウ化物の形態である必要はなく、その一部が臭化物の形態であってもよいが、上述したとおりこの種のメタルハライドランプが高負荷で点灯されることを考慮して、主として、例えば95[重量%]以上を金属ヨウ化物の形態で封入することが好ましい。
【0058】
次に、表1に示す実施例aにおいて、発光物質の組成比率を変えずに、封入される金属ハロゲン化物(ただし、ここでは全てを金属ヨウ化物とした)の合計封入量のみを表2に示すとおり10.5[mg/cm]〜20.5[mg/cm]の範囲内で種々変化させたランプを1本ずつ作製した。そして、作製した各ランプを口金6が上向きになるように垂直に立てた姿勢にして定格電力(150[W])で裸点灯させ、100時間点灯経過時における特殊演色評価数Rおよびランプ効率[lm/W]についてそれぞれ調べたところ、表2に示すとおりの結果が得られた。
【0059】
【表2】

【0060】
なお、実施例cにおける合計封入量は10.5[mg/cm]、実施例dにおける合計封入量は11.0[mg/cm]、実施例eにおける合計封入量は12.5[mg/cm]、実施例fにおける合計封入量は18.0[mg/cm]、実施例gにおける合計封入量は20.0[mg/cm]、実施例hにおける合計封入量は20.5[mg/cm]である。
【0061】
また、実施例aを含めて、実施例c、実施例d、実施例e、実施例f、実施例gおよび実施例hに基づき金属ヨウ化物の合計封入量と特殊演色評価数Rとの関係を図4に示す。
【0062】
表2および図4から明らかなように合計封入量が10.5[mg/cm]以上になると、特殊演色評価数Rの顕著な上昇が見られ、具体的に実施例c、実施例d、実施例e、実施例f、実施例gおよび実施例hの場合、特殊演色評価数Rが65以上得られ、従来のセラミックメタルハライドランプの特殊演色評価数R(10)に比して著しく上昇し、より一層高い演色性が得られることがわかった。したがって、従来のセラミックメタルハライドランプの演色性に比してより一層高い演色性を得るために、金属ヨウ化物の合計封入量を10.5[mg/cm]以上に規定すべきことがわかった。
【0063】
一方、合計封入量が20.0[mg/cm]を越える場合、例えば実施例hの場合、特殊演色評価数Rが従来のセラミックメタルハライドランプの特殊演色評価数Rをはるかに上回るものの、ランプ効率(95[lm/W])が実施例aのランプ効率(96[lm/W])に比して低下することがわかった。したがって、従来のセラミックメタルハライドランプの演色性およびランプ効率に比してより一層高い演色性が得られ、かつより一層高いランプ効率を得るための実用的な範囲を考慮して、金属ヨウ化物の合計封入量を10.5[mg/cm]〜20.0[mg/cm]の範囲内に規定することが好ましいことがわかった。さらには、12.5[mg/cm]〜20.0[mg/cm]の範囲内に規定することが好ましいことがわかった。
【0064】
なお、実施例eにおいて、100時間点灯経過時の色温度は3480[K]、平均演色評価数Raは94.5、DUVは−7、発光光束は14700[lm]であった。
【0065】
また、上記実験では、各発光物質全てを金属ヨウ化物の形態で封入したが、金属ヨウ化物の合計封入量が95[重量%]以上(100[重量%]を含まず)となる条件の範囲内で、各発光物質のうち、任意の発光物質の一部または全部を臭化物の形態で封入した場合であっても、上記と同様の結果が得られることがわかった。また、上記実験では、グループBからなる希土類金属としてセリウムのみを用いているが、セリウムの代わりにプラセオジムを、またはセリウムに加えてプラセオジムをそれぞれ前記組成比率の範囲内で用いた場合であっても上記と同様の結果が得られることがわかった。さらに、発光物質としては、上記した金属に加えて例えばネオジム(Nd)、テルビウム(Tb)、ルテチウム(Lu)、リチウム(Li)、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)等を封入してもよい。
【0066】
ここで、各実施例c、実施例d、実施例e、実施例f、実施例gおよび実施例hにおいて、口金6が上向きになるように垂直に立てた姿勢にして点灯させたときの発光管4の内面を観測したところ、図5に示すように、本管部10のうち、下側に位置する半球部14の内面に液状化した金属ハロゲン化物と考えられる物質28が薄膜状に付着していることがわかった。このような現象は、実施例aのように金属ハロゲン化物の合計封入量が少ないときには観測されず、また図3に示すような複数のパーツを焼きばめ等によって一体化された外囲器20を有する発光管18に、合計封入量として10.5[mg/cm]以上封入したときにも観測されなかった。このことから上記したように金属ハロゲン化物の合計封入量を10.5[mg/cm]以上に規定することにより、特殊演色評価数Rが従来のセラミックメタルハライドランプの特殊演色評価数Rに比して著しく上昇し、より一層高い演色性が得られる理由については次のように考えられる。
【0067】
発光管4の外囲器12が一体成形によって形成されている場合、上述したとおり発光管4の熱伝導損失が低減するために、特に細管部11の温度が図3に示す外囲器20における細管部19の温度に比して高くなるので、金属ハロゲン化物の細管部11への沈み込みが少なくなり、その結果、本管部10のうち、下側に位置する半球部14の内面に液状化した金属ハロゲン化物(物質28)が付着したと考えられる。この半球部14の内面の温度は細管部11の内面の温度よりも高いので、半球部14の内面に液状化した金属ハロゲン化物が付着していることから発光物質の蒸気圧はかなり上昇していると考えられる。しかも、これに加えて封入合計量を増大させているので、発光物質の蒸気圧は著しく上昇していると考えられる。このように発光物質の蒸気圧が著しく上昇した結果、分光分布が長波長側にシフトし、特殊演色評価数Rが著しく上昇したと考えられる。
【0068】
一方、上記したとおり分光分布が長波長側にシフトすることにより、ランプ効率は比視感度曲線からずれて低下する傾向にある。しかし、表2に示すとおり各実施例c、実施例d、実施例e、実施例f、実施例gおよび実施例hが高いランプ効率を得ているのは、金属ハロゲン化物の合計封入量を増加したことにより、発光物質の蒸気圧が上昇し、特に発光効率の高いセリウム(プラセオジム)の蒸気分圧が増加し、ランプ効率が上昇したと考えられる。
【0069】
以上のとおり本発明の第2の実施の形態であるメタルハライドランプの構成によれば、発光管4の外囲器12が一体成形によって形成されており、かつ発光物質は金属ハロゲン化物の形態で封入されており、前記金属ハロゲン化物が主として金属ヨウ化物であって、その合計封入量が10.5[mg/cm]以上に規定されているので、色温度が2800[K]〜3700[K]であって、従来のセラミックメタルハライドランプのランプ効率と演色性に比して、十分に高いランプ効率を維持しつつ、より一層高い演色性を得ることができる。
【0070】
なお、上記第2の実施の形態では定格電力150[W]のメタルハライドランプを例示して説明したが、定格電力が例えば20[W]〜300[W]のメタルハライドランプにも適用することができるものである。
【0071】
また、外囲器の形状が外囲器12の形状とは異なる場合であっても、その外囲器が一体成形によって形成されており、かつ発光物質は金属ハロゲン化物の形態で封入されており、前記金属ハロゲン化物が主として金属ヨウ化物であって、その合計封入量が10.5[mg/cm]以上に規定されていれば、上記と同様の作用効果を得ることができる。
【0072】
次に、本発明の第3の実施の形態である照明装置は、図6に示すように、例えば天井に組み込まれたダウンライトとして使用される照明装置であって、天井29に組み込まれた傘状の反射灯具30とこの反射灯具30の底部に取り付けられた板状のベース部31と反射灯具30内の底部に設けられたソケット部32とを有する照明器具33と、この照明器具33内のソケット部32に取り付けられた本発明の第1の実施の形態である定格電力150[W]のメタルハライドランプ1と、ベース部31の反射灯具30から離間した位置に取り付けられた点灯回路34とを備えている。
【0073】
点灯回路34は、公知の電子安定器または公知の銅鉄形安定器である。
【0074】
以上のとおり本発明の第3の実施の形態にかかる照明装置の構成によれば、上記した本発明の第1の実施の形態であるメタルハライドランプ1を用いているために、色温度が2800[K]〜3700[K]であって、極めて高演色で、かつ高効率な照明装置を実現することができる。
【0075】
なお、上記第3の実施の形態では、その照明装置の用途としてダウンライトとして天井用照明を一例に挙げたが、その他の屋内照明や店舗照明等にも用いることができ、その用途は限定されるものでない。また、その用途に応じて公知の種々の照明器具や安定器を用いることができる。
【0076】
また、上記第3の実施の形態では、本発明の第1の実施の形態である定格電力150[W]のメタルハライドランプ1を用いた場合について説明したが、本発明の第2の実施の形態である定格電力150[W]のメタルハライドランプを用いた場合であっても上記と同様の作用効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、色温度が2800[K]〜3700[K]であって、高演色で、かつ高いランプ効率を得ることが必要なメタルハライドランプにも適用することができるものである。
【0078】
また、本発明は、色温度が2800[K]〜3700[K]であって、高演色で、かつ高効率が必要な照明装置にも適用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の第1および第2の実施の形態であるメタルハライドランプの一部切欠正面図
【図2】同じくメタルハライドランプに用いられている発光管の正面断面図
【図3】本発明の第1の実施の形態であるメタルハライドランプに用いることができる発光管、および従来のセラミックメタルハライドランプに用いられている発光管の正面断面図
【図4】発光物質の合計封入量と特殊演色評価数Rとの関係を示す図
【図5】本発明の第2の実施の形態であるメタルハライドランプに用いられている発光管の要部拡大断面図
【図6】本発明の第3の実施の形態である照明装置を模式的に示した図
【符号の説明】
【0080】
1 メタルハライドランプ
2 ステム
3 外管
4,18 発光管
5 スリーブ
6 口金
6a アイレット部
6b シェル部
7 電力供給線
8 外部リード部
9 放電空間
10,17 本管部
11,19 細管部
12,20 外囲器
13,15 円筒部
14 半球部
16 閉塞部
16a 貫通孔
21 電極体
22 電極部
23 内部リード部
24 シール材
25 電極棒
26 電極コイル
27 コイル
28 物質
29 天井
30 反射灯具
31 ベース部
32 ソケット部
33 照明器具
34 点灯回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に電極体が配置され、かつ発光物質が封入されているセラミック製の発光管を備えた色温度が2800[K]〜3700[K]のメタルハライドランプであって、
前記発光物質は、少なくとも希土類金属、ナトリウム(Na)およびカルシウム(Ca)を含み、前記希土類金属はジスプロシウム(Dy)、ツリウム(Tm)およびホルミウム(Ho)のうちの少なくとも一種と、セリウム(Ce)およびプラセオジム(Pr)のうちの少なくとも一方とからなり、
前記希土類金属のうち、ジスプロシウム、ツリウムおよびホルミウムのうちの少なくとも一種からなるグループAの組成比率をMA[mol%]、前記希土類金属のうち、セリウムおよびプラセオジムのうちの少なくとも一方からなるグループBの組成比率をMB[mol%]、前記ナトリウムの組成比率をMNa[mol%]、前記カルシウムの組成比率をMCa[mol%]としたとき、MAが2[mol%]〜10[mol%]、MBが0.5[mol%]〜4[mol%]、MNaが35[mol%]〜45[mol%]、MCaが40[mol%]〜60[mol%]であることを特徴とするメタルハライドランプ。
【請求項2】
前記発光管の外囲器は一体成形によって形成されており、
前記発光物質は金属ハロゲン化物の形態で封入されており、
前記金属ハロゲン化物は主として金属ヨウ化物であって、その合計封入量が10.5[mg/cm3]以上であることを特徴とする請求項1記載のメタルハライドランプ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載されたメタルハライドランプと、このメタルハライドランプを点灯させるための点灯回路と、前記メタルハライドランプが組み込まれている照明器具とを備えていることを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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