メタルハライドランプおよび赤外暗視システム
【課題】 寿命中の近赤外線の出力の維持率を改善して、赤外視認装置の光源として十分な近赤外放射を長期に行えるメタルハライドランプおよび赤外暗視システムを提供する。
【解決手段】
本発明のメタルハライドランプは、内部に放電空間14が形成された放電部11を有する内管1と、放電空間14に封入され、近赤外域に好適な発光波長を有する金属のハロゲン化物を含む放電媒体と、放電部11を囲繞するように内管1に接続された、少なくとも一のアルカリ金属が添加されている外管5とを具備することを特徴とする。外管5に添加されたアルカリ金属としては、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)から選択された少なくとも一であるのが好適であり、総添加量は500ppm以上、20000ppm以下が望ましい。
【解決手段】
本発明のメタルハライドランプは、内部に放電空間14が形成された放電部11を有する内管1と、放電空間14に封入され、近赤外域に好適な発光波長を有する金属のハロゲン化物を含む放電媒体と、放電部11を囲繞するように内管1に接続された、少なくとも一のアルカリ金属が添加されている外管5とを具備することを特徴とする。外管5に添加されたアルカリ金属としては、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)から選択された少なくとも一であるのが好適であり、総添加量は500ppm以上、20000ppm以下が望ましい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近赤外域の放射を利用するメタルハライドランプおよび赤外暗視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の安全手段として用いた赤外暗視システムの開発、実用化が進んでいる。当該赤外暗視システムの一例として、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)等の近赤外域に発光波長のある放電媒体を封入したメタルハライドランプを用いる方式がある。このようなメタルハライドランプの公知例としては、特開2004−134100号公報(以下、特許文献1)、特開2003−257367号公報(以下、特許文献2)、特開2005−142041号公報(以下、特許文献3)がある。なお、特許文献1および2は近赤外光専用のメタルハライドランプ、特許文献3は一のメタルハライドランプで可視光と近赤外光の両方を得ることができる可視光・近赤外光兼用のメタルハライドランプである。
【0003】
【特許文献1】特開2004−134100号公報
【特許文献2】特開2003−257367号公報
【特許文献3】特開2005−142041号公報
【特許文献4】特開2005−183276号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような赤外暗視システムに用いられるメタルハライドランプでは、近赤外光を得る目的で封入されたカリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)が点灯中に放電空間の外に抜け出すことにより、寿命中に近赤外光の放射が減少し、効率が低下してしまうという課題がある。この課題については、特開2005−183276号公報(以下、特許文献4)で知られており、特に可視光・近赤外光兼用のメタルハライドランプにおいて深刻である。当該課題に対し、特許文献4では、電極にカリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)を添加することで、寿命中にそれらを徐々に放電空間に補充し、近赤外放射の減少を抑制しようとしている。
【0005】
しかしながら、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)を電極に添加する方法では、電極への添加量を多くすると機械的強度が弱くなり、電極が脆くなるという新たな課題が発生することがわかった。すなわち、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)の添加量によっては電極の消耗等が発生し、他の特性に大きな影響を与えかねない。また、当該方法は、電極価格が大幅に高くなってしまうという問題も招く。さらに、メタルハライドランプでは、タングステン電極に酸化物等、例えば酸化トリウムをちらつき対策としてドープして使用することが多々あるが、このような場合には、添加物の組成比が複雑になり、所望の特性を得るためのコントロールが難しい。
【0006】
本発明は、上記のような課題に鑑みたもので、その目的は寿命中の近赤外線の出力の維持率を改善して、赤外視認装置の光源として十分な近赤外放射を長期に行えるメタルハライドランプおよび赤外暗視システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のメタルハライドランプは、内部に放電空間が形成された放電部を有する内管と、前記放電空間に封入され、近赤外域に好適な発光波長を有する金属のハロゲン化物を含む放電媒体と、前記放電部を囲繞するように前記内管に接続された、少なくとも一のアルカリ金属が添加されている外管とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、寿命中の近赤外線の出力の維持率を改善して、赤外視認装置の光源として十分な近赤外放射を長期に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(第1の実施の形態)
以下に、本発明の実施の形態のメタルハライドランプについて図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態のメタルハライドランプについて説明するための全体図である。
【0010】
メタルハライドランプの主要部を構成する発光管LBは2重管構造となっており、発光管LB内部には内管1が配置されている。内管1はランプ軸方向に細長い形状であって、その略中央部には略楕円形の放電部11が形成されている。放電部11の両端部には、板状の封止部12a、12bが形成されており、さらにその両端には、筒状の非封止部13a、13bが形成されている。なお、内管1は耐熱性と透光性に優れた材料であれば使用でき、例えば石英ガラスを使用可能である。
【0011】
放電部11の内部には、軸方向において、中央部が略円柱状、その両端部がテーパ状の放電空間14が形成されている。この放電空間14の容積は、ショートアーク型の放電ランプでは100μl以下、自動車の前照灯用として用途を指定する場合には、放電空間の容積は10μl〜40μlであるのが望ましい。
【0012】
放電空間14には、金属ハロゲン化物2および希ガスとからなる放電媒体が封入されている。
【0013】
金属ハロゲン化物2として、近赤外域に好適な発光波長を有するカリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)から選択された少なくとも一のハロゲン化物が封入される。「近赤外域に好適な発光波長を有する金属のハロゲン化物」とは、750〜1200nmの範囲に強い発光を有する金属のハロゲン化物のことを意味する。図2は、赤外暗視システムの近赤外光の受光手段であるCCDカメラの一般的な感度を示した図であるが、700nm以降よりも長波長域では感度が落ち、1200nm以降の波長は受光できなくなることがわかる。一方、750nm以下の波長域は可視光が多く含まれている。そのため、赤外暗視システムにおいては750〜1200nmに強い発光を有するカリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)のハロゲン化物が必須である。
【0014】
一方、メタルハライドランプを可視光・近赤外光兼用光源として構成する場合、可視域に好適な発光波長がある金属のハロゲン化物も封入する必要がある。「可視域に好適な発光波長を有する金属のハロゲン化物」とは、380〜780nmの範囲に強い発光を有する金属のハロゲン化物のことを意味する。具体的には、ナトリウム(Na)、スカンジウム(Sc)、ツリウム(Tm)、セリウム(Ce)、ディスプロシウム(Dy)などが挙げられる。
【0015】
ここで、上記のように750〜780nmは近赤外光および可視光として利用可能な範囲として重複しているが、この範囲は目的により近赤外光としても可視光としても利用しても良いことを意味する。例えば、近赤外専用光源では、750nmまでの発光波長の光を近赤外発光として利用する方が効率、その他の面においても好適である。
【0016】
また、ランプ電圧を上昇させる媒体も封入することが望ましい。ランプ電圧を上昇させる媒体としては、水銀(Hg)を用いることができるが、水銀フリーの構成とする場合には、マグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、アンチモン(Sb)、ベリリウム(Be)、レニウム(Re)、ガリウム(Ga)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、スズ(Sn)、インジウム(In)などの金属のハロゲン化物を一または複数種用いることができる。
【0017】
なお、金属ハロゲン化物2に結合されるハロゲンとしては、ヨウ素(I)が最も好適である。ただし、臭素(Br)、塩素(Cl)または複数のハロゲンを組み合わせて使用してもよい。
【0018】
希ガスとしては、キセノンが好適である。キセノンは、始動直後の発光効率が高く、主に始動用ガスとして作用するほか、820〜1000nmに近赤外域の発光波長を有するため、近赤外光の放射の増加も図ることができるためである。ちなみに、キセノンの圧力は常温(25℃)において5atm以上、さらに好適には10〜15atmであるのが望ましい。
【0019】
ここで、可視光・近赤外光兼用光源の場合、上記のような放電媒体で構成されたメタルハライドランプは、定常点灯時の380〜780nmと750〜1200nmとのランプの放射パワー比が0.5〜4.0:1であることが望ましい。
【0020】
封止部12a、12bの内部には、マウント3a、3bが封止されている。
マウント3a、3bは、金属箔3a1、3b1、電極3a2、3b2、リード線3a3、3b3からなる。
【0021】
金属箔3a1、3b1は、例えば、モリブデンからなる薄い金属板である。
【0022】
電極3a2、3b2は、タングステンを主体とする材料、例えばタングステンに酸化トリウムをドープした材料からなる。その先端は放電空間14内で所定の電極間距離を保った状態で、対向配置されている。ここで、上記「所定の電極間距離」は、ショートアーク形ランプでは見た目の長さで5mm以下、自動車の前照灯に使用する場合はさらに4.2mm程度であるのが望ましい。
【0023】
一方、基端側は金属箔3a1、3b1の放電部11側の端部に溶接によって接続されている。すなわち、金属箔3a1、3b1との接合部分から放電空間14までの電極部分は、封止部12a、12bの石英ガラスに封着されている。
【0024】
リード線3a3、3b3は、例えば、モリブデンからなり、放電部11に対して反対側の金属箔3a1、3b1の端部に、溶接等により接続されている。そして、リード線3a3、3b3の他端側は、管軸に沿って封止部12a、12bの外部に延出している。なお、外部に延出した前端側のリード線3b3には、ニッケルからなるL字状のサポートワイヤ3cの一端が接続され、その他端は、後述するソケット6の方向に延出している。そして、管軸と平行するサポートワイヤ3cの部分には、セラミックからなる絶縁スリーブ4が被覆されている。
【0025】
上記で構成された内管1の外側には、管軸に沿って筒状の外管5が内管1と略同心状に設けられている。内管1と外管5の接続は、内管1両端の筒状の非封止部13a、13b付近に外管5を溶着することにより行なわれており、内部空間は気密状態である。その空間には、例えば、窒素やネオン、アルゴン、キセノン等の希ガスを一種または混合して封入したりすることができる。
【0026】
ここで、外管5には、石英ガラスに紫外線の遮断作用を有する金属酸化物が添加されている。紫外線の遮断作用を有する金属酸化物としては、酸化チタン(TiO2)、酸化セリウム(CeO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ユーロピウム(Eu2O3)などが挙げられる。これらの総添加量としては数千ppmが望ましい。また、外管5には、上記金属酸化物に加え、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)から選択された少なくとも一のアルカリ金属が添加されている。
【0027】
なお、上記アルカリ金属は、元素の状態で添加された場合のみならず、酸化物として添加された場合も含むものとする。すなわち、酸化カリウム(K2O)、酸化ルビジウム(Rb2O)、酸化セシウム(Cs2O)等も含まれる。ちなみに、外管5に添加された各種アルカリ金属は、例えばプラズマ分光分析法を用いることで測定することが可能である。
【0028】
発光管LBの非封止部13a側には、ソケット6が接続される。それらの接続は、非封止部13a付近の外管5外周面に装着された金属バンド71を、ソケット6の内管1保持側の開口端に形成された4本の金属製の舌片72(図1では、2本を図示)により挟持することによって行なわれている。そして、接続をさらに強化するために、金属バンド71および舌片72の接触点を溶接している。なお、ソケット6の底部には底部端子8aが形成されており、リード線3a3と接続されている。また、ソケット6の側部には底部端子8bが形成されており、サポートワイヤ3cと接続されている。
【0029】
これらで構成されたメタルハライドランプは、管軸が略水平の状態で配置され、図3に示すように底部端子8a、側部端子8bに点灯回路9が接続されている。
【0030】
点灯回路9について説明する。点灯回路9は、直流電源91、DC−DC変換回路92、ランプ電圧検出回路93、ランプ電流検出回路94、制御回路95、DC−AC変換回路96、駆動回路97、イグナイタ98により構成されている。
【0031】
直流電源91は、ランプMHLを点灯するために必要な電力を供給する電源であって、車載用の場合、通常バッテリーが用いられる。
【0032】
DC−DC変換回路92は、入力値に対し、出力値を増減する回路である。つまり、直流電源91の直流電圧が目的値よりも低い場合は昇圧チョッパを用いて昇圧し、直流電源91の直流電圧が高い場合は降圧チョッパを用いて降圧するような回路が組まれている。
【0033】
ランプ電圧検出回路93は、DC−AC変換回路96を介してランプMHLと並列に接続されており、ランプ電圧を検出する。また、ランプ電流検出回路94は、DC−AC変換回路96を介してランプMHLと直列に接続されており、ランプ電流を検出する。
【0034】
制御回路95は、DC−DC変換回路92を制御する回路である。本実施の形態では、点灯直後には定格ランプ電流の3倍以上のランプ電流をランプMHLに流し、その後、徐々にランプ電流を低減し、定格値になるように制御する。また、制御手段95は、ランプ電圧検出回路93、ランプ電流検出回路94から検出値をフィードバックし、DC−DC変換回路92を定電力制御する。
【0035】
DC−AC変換回路96は、直流入力を交流出力に変換する回路である。通常、4つのスイッチング素子、例えばMOSFETによりブリッジ回路が構成されてなる。これらのスイッチング素子を駆動回路97により制御して、低周波の交流波形を出力する。
【0036】
イグナイタ98は、DC−AC変換回路96とランプMHLの間に介在しており、始動時に20kV程度のパルスをランプMHLに印加できるよう構成されている。
【0037】
この点灯回路9により、ランプMHLは安定時は35W、始動時は安定時電力に対して2倍以上である75Wで点灯される。
【0038】
以下に、本発明の一実施例を示す。
【0039】
(実施例1)
放電容器1:石英ガラス製、放電空間14の容積=25μl、内径A=2.6mm、外径B=6.0mm、長手方向の球体長C=7.8mm、
金属ハロゲン化物2:ScI3=0.13mg、NaI=0.26mg、ZnI2=0.2mg、CsI=0.04mg、
希ガス:キセノン=10atm、
金属箔3a1、3b1:モリブデン製、
電極3a2、3b2:トリエーテッドタングステン製、酸化トリウムの含有量=1.0重量%、直径R=0.35mm、電極間距離D=4.2mm、
リード線3a3、3b3:モリブデン製、直径=0.6mm、
外管5:TiO2+CeO2+Al2O3(=数千ppm)とK2O(=1000ppm)を添加した石英ガラス
実施例1のランプは可視光・近赤外光兼用光源である。このランプを図3の点灯回路を用いて点灯したところ、全光束は3000lm、ランプ電圧は43Vであった。また、定常点灯時の可視域(380〜780nm)と近赤外域(750〜1100nm)との放射パワー比は2.84:1であった。
【0040】
図4は、実施例1に関し、外管に添加するアルカリ金属の種類、添加量を変えて3000時間点灯させたときの光束維持率と近赤外放射パワー維持率を示す図である。点灯条件は、日本電球工業会規格のJEL215−1998に規定されている点滅サイクルであり、近赤外放射パワー維持率は、3000時間後の750〜1200nmの放射パワー/初期の750〜1200nmの放射パワーにより計算している。なお、光束維持率と近赤外放射パワー維持率は各2本について試験し、その平均値をとったものである。
【0041】
結果より、通常の外管5であるランプAと外管5にアルカリ金属を添加したランプB〜Yとを比較すると、光束維持率についてはほとんど差はないが、近赤外放射パワー維持率についてはランプB〜Yの方が高いことがわかる。例えば、ランプAの光束維持率は71%、近赤外放射パワー維持率は62%であったのに対し、ランプFの光束維持率は68%、近赤外放射パワー維持率は98%であり、近赤外放射パワー維持率について30%も差が生じる結果となっている。
【0042】
このような結果になった理由を実施例1であるランプFと従来のランプAとを比較しながら説明する。
【0043】
図5は、点灯初期の実施例1(ランプF)の分光分布を示す図である。図からわかるように、可視域ではスカンジウムとナトリウム、近赤外域ではナトリウム、セシウム(Cs)、キセノンの発光を確認できる。近赤外域に発光があるナトリウム、セシウム(Cs)、キセノンについては、それぞれナトリウムは820nm付近、セシウム(Cs)は855nm付近と900nm付近、キセノンは915nm付近に発光波長のピークがある。ちなみに、点灯初期は、放電空間に封入された金属ハロゲン化物や希ガスのみが影響するため、初期に関してはランプAでも図5とほぼ同じ分光分布になる。
【0044】
これらのランプについて3000時間の点灯試験を行い、その期間中の光束維持率と近赤外放射パワー維持率を比較すると、図6のような結果になる。光束維持率については、ランプAもFもほぼ同じように低下しているが、近赤外放射パワー維持率については大きく相違する。すなわち、ランプAでは点灯時間につれて常に下降傾向であるが、ランプFでは約400時間まで下降し、その後は上昇または維持している傾向がある。これは、点灯中に近赤外発光するナトリウム、セシウム(Cs)が放電空間から抜け、いったん近赤外放射パワーが低下するが、途中から外管5に添加したカリウム(K)が放電空間に侵入し、近赤外域の発光に寄与したためと考えられる(当該現象については、当社の先願である特願2006−51510号公報にも記載)。現に3000時間点灯後の実施例1(ランプF)の分光分布を示した図7と点灯初期の分光分布である図5とを比較すると、初期の820nm付近のナトリウム発光、855nm付近と900nm付近のセシウム(Cs)発光は放射パワーが減少し、3000時間では新たに765nm付近にピークを持つカリウム(K)の発光波長が現れている。
【0045】
ここで、外管5に添加するカリウム(K)等の量は、添加量が多いほど高い近赤外放射パワー維持率向上の効果が得られているが、図8から明らかなように、外管5への添加量が500ppm以上であれば、非常に高い効果を得ることができる。しかし、添加量が20000ppm以上になると内管1の材質の物理的性質に対し、外管5の材質の性質が大きく異なることになってしまうため、両者の封着が困難になる等の弊害が生じる。したがって、外管5へのアルカリ金属の添加量は、500ppm以上、20000ppm以下であるのが望ましい。なお、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)を複数組み合わせて添加する場合では、総添加量が500ppm以上、20000ppm以下であれば単体を添加する場合と同様の効果を得ることができる。
【0046】
(実施例2)
実施例2では、近赤外域に好適な発光波長を有する金属のハロゲン化物として、CsIの代わりに、RbIを0.04mg封入し、さらに外管5にはK2Oの代わりにCs2Oを添加している。それ以外の構成は実施例1と同じである。
【0047】
このランプを図3の点灯回路を用いて、始動時75W、定常時35Wの電力により点灯したところ、全光束は3100lm、ランプ電圧は42Vであった。また、定常点灯時の可視域(380〜780nm)と近赤外域(750〜1100nm)との放射パワー比は3.24:1であった。
【0048】
図9は、実施例2に関し、外管に添加するアルカリ金属の種類、添加量を変えて3000時間点灯させたときの光束維持率と近赤外放射パワー維持率を示す図である。点灯条件等は、図4の試験のときと同じである。
【0049】
結果、通常の外管5であるランプAと外管5にアルカリ金属を添加したランプB〜Yとでは、光束維持率についてはほとんど差はないが、近赤外放射パワー維持率についてはランプB〜Yの方が高いことがわかる。すなわち、ほぼ図4と同じ結果が得られている。図10は点灯初期、図11は3000時間点灯後の実施例2(ランプV)の分光分布を示す図であるが、初期に対し、3000時間経過後は、ナトリウムおよびルビジウム(Rb)の発光は弱くなり、代わりにセシウム(Cs)の発光が現れていることから、実施例1と同じメカニズムが発生していることがわかる。また、図12からわかるように、実施例2においても、外管5へのアルカリ金属の添加量は、500ppm以上、20000ppm以下であることが望ましい。
【0050】
以上、この実施例2の結果から放電空間14に封入する近赤外域に好適な発光波長を有する金属のハロゲン化物や外管5に添加するアルカリ金属の種類を変更しても、本発明の効果が得られることを確認できた。
【0051】
(実施例3)
実施例3では、電圧を上昇させる媒体としてZnI2の代わりにHgを0.3mg封入している。それ以外の構成は実施例1と同じである。
【0052】
このランプを図3の点灯回路を用いて、始動時75W、定常時35Wの電力により点灯したところ、全光束は3200lm、ランプ電圧は85Vであった。また、定常点灯時の可視域(380〜780nm)と近赤外域(750〜1100nm)との放射パワー比は3.30:1であった。また、図4と同じ試験を行ったところ、同様の結果が得られた。
【0053】
以上、この実施例3から水銀入り、水銀フリーのランプ構成にかかわらず、本発明の効果が得られることを確認できた。
【0054】
(実施例4)
実施例4では、金属ハロゲン化物2としてCsIを0.2mg、RbIを0.2mg封入し、電極3a2、3b2は、先端(放電空間14内に位置)径が0.55mm、軸(封止部12a、12b内に位置)径が0.35mmのものを使用している。それ以外の構成は実施例1と同じである。
【0055】
このランプを図3の点灯回路を用いて、始動時75W、定常時35Wの電力により点灯したところ、全光束は240lm、ランプ電圧は23Vであった。また、このランプの可視域(380〜780nm)の放射パワーは2.4W、近赤外域(750〜1100nm)の放射パワーは7.9Wであった。ちなみに、図13は点灯初期の実施例4の分光分布を示す図であるが、この図からもわかるように、実施例4はほぼ近赤外域のみに発光がある近赤外光専用光源である。
【0056】
図14は、実施例3に関し、外管に添加するアルカリ金属の種類、添加量を変えて3000時間点灯させたときの光束維持率と近赤外放射パワー維持率を示す図である。点灯条件等は、図4の試験のときと同じである。
【0057】
結果からわかるように、通常の外管5であるランプAと外管5にアルカリ金属を添加したランプB〜Yとでは、光束維持率についてはほとんど差はないが、近赤外放射パワー維持率についてはランプB〜Yの方が高いことがわかる。つまり、図4と傾向は同じである。なお、この実施例では、図4、9と比較して、3000時間点灯後の光束維持率が高い結果となっているが、これは反応性の少ないScI3を封入していないことが関係する。また、近赤外放射パワー維持率が小さい結果となっているが、これは近赤外光専用光源であるため可視域の発光が少ないことが関係する。すなわち、外管5から放電空間14に侵入してきたアルカリ金属は可視域の発光エネルギーの一部を奪い、近赤外域の発光を増加させる作用があるが、実施例4ではもともとの可視域の発光エネルギーがわずかなので、近赤外域の発光があまり増加しなかったと考えられる。また、図15からわかるように、実施例3においても、外管5へのアルカリ金属の添加量は、500ppm以上、20000ppm以下であることが望ましい。
【0058】
以上、この実施例4から近赤外光専用光源であっても、本発明の効果が得られることを確認できた。
【0059】
したがって、本実施の形態では、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)のアルカリ金属が添加されている外管5を放電部11を囲繞するように内管1に接続することにより、それらのアルカリ金属が点灯中、徐々に外管5から放電空間14に移動するため、十分な近赤外放射パワーを長期にわたり維持することができる。その際、外管5に添加するアルカリ金属の総添加量は500ppm以上、20000ppm以下であれば、高い効果を得ることができる。また、可視光・近赤外光兼用光源、近赤外光専用光源に限らず、本発明の効果を得ることができる。
【0060】
(第2の実施の形態)
図16は、本発明の第2の実施の形態の赤外暗視システムについて説明するための図である。
【0061】
赤外暗視システムは、ランプMHL、反射鏡101、レンズ102、出光側可視光カットフィルター103、受光側可視光カットフィルター104、CCDカメラ105で構成されている。なお、図16に示す赤外暗視システムは、可視光・近赤外光専用光源を用いた例である。
【0062】
赤外暗視システムの出光側は、第1の実施の形態に記載したような近赤外光を発するランプMHLを搭載した灯具により構成されている。灯具は、反射鏡101を備えており、その焦点付近にランプMHLが取り付けられている。反射鏡101の出光側には配光制御のためのレンズ102が取り付けられている。また、レンズ102の一部には、例えば、780nm以下の波長域の光をカットする特性を有する出光側可視光カットフィルター103が配置されている。すなわち、この灯具では、出光側可視光カットフィルター103のない箇所からは可視光VLが得られ、フィルターが配置された箇所からは近赤外光IRL1が得られる。この可視光VLは、対向車等に眩しくない配光でロービームとして利用される。
【0063】
灯具から出光した近赤外光IRL1は、照射対象IOに照射される。そして、照射対象IOに照射された近赤外光IRL1は、反射して近赤外光IRL2となり、受光手段であるCCDカメラ105に入光する。その際、近赤外光IRL2以外の光、例えば対向車のランプによる可視光等を受光し、誤った検出をしないよう、CCDカメラ105の受光レンズ付近にも出光側可視光カットフィルター103とほぼ同じ特性の受光側可視光カットフィルター104が取り付けられている。
【0064】
したがって、本実施の形態では、第1の実施の形態のようなランプMHLからの光を例えば、780nm以下の波長域の可視光はカットする可視光カットフィルター103、104により、近赤外光IRL1を取り出し、照射対象OBに反射した近赤外光IRL2を受光するCCDカメラ105により構成されているため、十分な近赤外放射を長期に行える赤外暗視システムを提供することができる。
【0065】
なお、本発明の実施の形態は上記に限られるわけではなく、例えば次のように変更してもよい。
【0066】
カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)を添加した電極3a2、3b2を本発明と併用しても良い。これにより、近赤外放射パワー維持率をさらに改善することができる。また、電極3a2、3b2にコイルを巻装する場合、そのコイルにカリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)を添加してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の第1の実施の形態のメタルハライドランプについて説明するための全体図。
【図2】赤外暗視システムの近赤外光の受光手段であるCCDカメラの一般的な感度について説明するための図。
【図3】点灯回路について説明するための図。
【図4】実施例1に関し、外管に添加するアルカリ金属の種類、添加量を変えて3000時間点灯させたときの光束維持率と近赤外放射パワー維持率について説明するための図。
【図5】点灯初期の実施例1(ランプF)の分光分布について説明するための図。
【図6】ランプAとランプFの3000時間までの光束維持率と近赤外放射パワー維持率について説明するための図。
【図7】3000時間点灯後の実施例1(ランプF)の分光分布ついて説明するための図。
【図8】図4のアルカリ金属の添加量と近赤外放射パワー維持率について説明するための図。
【図9】実施例2に関し、外管に添加するアルカリ金属の種類、添加量を変えて3000時間点灯させたときの光束維持率と近赤外放射パワー維持率について説明するための図。
【図10】点灯初期の実施例2(ランプV)の分光分布について説明するための図。
【図11】3000時間点灯後の実施例2(ランプV)の分光分布ついて説明するための図。
【図12】図9のアルカリ金属の添加量と近赤外放射パワー維持率について説明するための図。
【図13】点灯初期の実施例4の分光分布について説明するための図。
【図14】実施例3に関し、外管に添加するアルカリ金属の種類、添加量を変えて3000時間点灯させたときの光束維持率と近赤外放射パワー維持率について説明するための図。
【図15】図13のアルカリ金属の添加量と近赤外放射パワー維持率について説明するための図。
【図16】本発明の第2の実施の形態の赤外暗視システムについて説明するための図。
【符号の説明】
【0068】
1 内管
11 放電部
12a、12b 封止部
13a、13b 非封止部
14 放電空間
2 金属ハロゲン化物
2a、2b マウント
3a1、3b1 金属箔
3a2、3b2 電極
3a3、3b3 リード線
3c サポートワイヤ
4 絶縁チューブ
5 外管
6 ソケット
71 金属バンド
72 舌片
8a 底部端子
8b 側部端子
9 点灯回路
MHL ランプ
103、104 可視光カットフィルター
105 CCDカメラ
VL 可視光
IRL 近赤外光
【技術分野】
【0001】
本発明は、近赤外域の放射を利用するメタルハライドランプおよび赤外暗視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の安全手段として用いた赤外暗視システムの開発、実用化が進んでいる。当該赤外暗視システムの一例として、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)等の近赤外域に発光波長のある放電媒体を封入したメタルハライドランプを用いる方式がある。このようなメタルハライドランプの公知例としては、特開2004−134100号公報(以下、特許文献1)、特開2003−257367号公報(以下、特許文献2)、特開2005−142041号公報(以下、特許文献3)がある。なお、特許文献1および2は近赤外光専用のメタルハライドランプ、特許文献3は一のメタルハライドランプで可視光と近赤外光の両方を得ることができる可視光・近赤外光兼用のメタルハライドランプである。
【0003】
【特許文献1】特開2004−134100号公報
【特許文献2】特開2003−257367号公報
【特許文献3】特開2005−142041号公報
【特許文献4】特開2005−183276号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような赤外暗視システムに用いられるメタルハライドランプでは、近赤外光を得る目的で封入されたカリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)が点灯中に放電空間の外に抜け出すことにより、寿命中に近赤外光の放射が減少し、効率が低下してしまうという課題がある。この課題については、特開2005−183276号公報(以下、特許文献4)で知られており、特に可視光・近赤外光兼用のメタルハライドランプにおいて深刻である。当該課題に対し、特許文献4では、電極にカリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)を添加することで、寿命中にそれらを徐々に放電空間に補充し、近赤外放射の減少を抑制しようとしている。
【0005】
しかしながら、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)を電極に添加する方法では、電極への添加量を多くすると機械的強度が弱くなり、電極が脆くなるという新たな課題が発生することがわかった。すなわち、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)の添加量によっては電極の消耗等が発生し、他の特性に大きな影響を与えかねない。また、当該方法は、電極価格が大幅に高くなってしまうという問題も招く。さらに、メタルハライドランプでは、タングステン電極に酸化物等、例えば酸化トリウムをちらつき対策としてドープして使用することが多々あるが、このような場合には、添加物の組成比が複雑になり、所望の特性を得るためのコントロールが難しい。
【0006】
本発明は、上記のような課題に鑑みたもので、その目的は寿命中の近赤外線の出力の維持率を改善して、赤外視認装置の光源として十分な近赤外放射を長期に行えるメタルハライドランプおよび赤外暗視システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のメタルハライドランプは、内部に放電空間が形成された放電部を有する内管と、前記放電空間に封入され、近赤外域に好適な発光波長を有する金属のハロゲン化物を含む放電媒体と、前記放電部を囲繞するように前記内管に接続された、少なくとも一のアルカリ金属が添加されている外管とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、寿命中の近赤外線の出力の維持率を改善して、赤外視認装置の光源として十分な近赤外放射を長期に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(第1の実施の形態)
以下に、本発明の実施の形態のメタルハライドランプについて図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態のメタルハライドランプについて説明するための全体図である。
【0010】
メタルハライドランプの主要部を構成する発光管LBは2重管構造となっており、発光管LB内部には内管1が配置されている。内管1はランプ軸方向に細長い形状であって、その略中央部には略楕円形の放電部11が形成されている。放電部11の両端部には、板状の封止部12a、12bが形成されており、さらにその両端には、筒状の非封止部13a、13bが形成されている。なお、内管1は耐熱性と透光性に優れた材料であれば使用でき、例えば石英ガラスを使用可能である。
【0011】
放電部11の内部には、軸方向において、中央部が略円柱状、その両端部がテーパ状の放電空間14が形成されている。この放電空間14の容積は、ショートアーク型の放電ランプでは100μl以下、自動車の前照灯用として用途を指定する場合には、放電空間の容積は10μl〜40μlであるのが望ましい。
【0012】
放電空間14には、金属ハロゲン化物2および希ガスとからなる放電媒体が封入されている。
【0013】
金属ハロゲン化物2として、近赤外域に好適な発光波長を有するカリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)から選択された少なくとも一のハロゲン化物が封入される。「近赤外域に好適な発光波長を有する金属のハロゲン化物」とは、750〜1200nmの範囲に強い発光を有する金属のハロゲン化物のことを意味する。図2は、赤外暗視システムの近赤外光の受光手段であるCCDカメラの一般的な感度を示した図であるが、700nm以降よりも長波長域では感度が落ち、1200nm以降の波長は受光できなくなることがわかる。一方、750nm以下の波長域は可視光が多く含まれている。そのため、赤外暗視システムにおいては750〜1200nmに強い発光を有するカリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)のハロゲン化物が必須である。
【0014】
一方、メタルハライドランプを可視光・近赤外光兼用光源として構成する場合、可視域に好適な発光波長がある金属のハロゲン化物も封入する必要がある。「可視域に好適な発光波長を有する金属のハロゲン化物」とは、380〜780nmの範囲に強い発光を有する金属のハロゲン化物のことを意味する。具体的には、ナトリウム(Na)、スカンジウム(Sc)、ツリウム(Tm)、セリウム(Ce)、ディスプロシウム(Dy)などが挙げられる。
【0015】
ここで、上記のように750〜780nmは近赤外光および可視光として利用可能な範囲として重複しているが、この範囲は目的により近赤外光としても可視光としても利用しても良いことを意味する。例えば、近赤外専用光源では、750nmまでの発光波長の光を近赤外発光として利用する方が効率、その他の面においても好適である。
【0016】
また、ランプ電圧を上昇させる媒体も封入することが望ましい。ランプ電圧を上昇させる媒体としては、水銀(Hg)を用いることができるが、水銀フリーの構成とする場合には、マグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、アンチモン(Sb)、ベリリウム(Be)、レニウム(Re)、ガリウム(Ga)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、スズ(Sn)、インジウム(In)などの金属のハロゲン化物を一または複数種用いることができる。
【0017】
なお、金属ハロゲン化物2に結合されるハロゲンとしては、ヨウ素(I)が最も好適である。ただし、臭素(Br)、塩素(Cl)または複数のハロゲンを組み合わせて使用してもよい。
【0018】
希ガスとしては、キセノンが好適である。キセノンは、始動直後の発光効率が高く、主に始動用ガスとして作用するほか、820〜1000nmに近赤外域の発光波長を有するため、近赤外光の放射の増加も図ることができるためである。ちなみに、キセノンの圧力は常温(25℃)において5atm以上、さらに好適には10〜15atmであるのが望ましい。
【0019】
ここで、可視光・近赤外光兼用光源の場合、上記のような放電媒体で構成されたメタルハライドランプは、定常点灯時の380〜780nmと750〜1200nmとのランプの放射パワー比が0.5〜4.0:1であることが望ましい。
【0020】
封止部12a、12bの内部には、マウント3a、3bが封止されている。
マウント3a、3bは、金属箔3a1、3b1、電極3a2、3b2、リード線3a3、3b3からなる。
【0021】
金属箔3a1、3b1は、例えば、モリブデンからなる薄い金属板である。
【0022】
電極3a2、3b2は、タングステンを主体とする材料、例えばタングステンに酸化トリウムをドープした材料からなる。その先端は放電空間14内で所定の電極間距離を保った状態で、対向配置されている。ここで、上記「所定の電極間距離」は、ショートアーク形ランプでは見た目の長さで5mm以下、自動車の前照灯に使用する場合はさらに4.2mm程度であるのが望ましい。
【0023】
一方、基端側は金属箔3a1、3b1の放電部11側の端部に溶接によって接続されている。すなわち、金属箔3a1、3b1との接合部分から放電空間14までの電極部分は、封止部12a、12bの石英ガラスに封着されている。
【0024】
リード線3a3、3b3は、例えば、モリブデンからなり、放電部11に対して反対側の金属箔3a1、3b1の端部に、溶接等により接続されている。そして、リード線3a3、3b3の他端側は、管軸に沿って封止部12a、12bの外部に延出している。なお、外部に延出した前端側のリード線3b3には、ニッケルからなるL字状のサポートワイヤ3cの一端が接続され、その他端は、後述するソケット6の方向に延出している。そして、管軸と平行するサポートワイヤ3cの部分には、セラミックからなる絶縁スリーブ4が被覆されている。
【0025】
上記で構成された内管1の外側には、管軸に沿って筒状の外管5が内管1と略同心状に設けられている。内管1と外管5の接続は、内管1両端の筒状の非封止部13a、13b付近に外管5を溶着することにより行なわれており、内部空間は気密状態である。その空間には、例えば、窒素やネオン、アルゴン、キセノン等の希ガスを一種または混合して封入したりすることができる。
【0026】
ここで、外管5には、石英ガラスに紫外線の遮断作用を有する金属酸化物が添加されている。紫外線の遮断作用を有する金属酸化物としては、酸化チタン(TiO2)、酸化セリウム(CeO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ユーロピウム(Eu2O3)などが挙げられる。これらの総添加量としては数千ppmが望ましい。また、外管5には、上記金属酸化物に加え、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)から選択された少なくとも一のアルカリ金属が添加されている。
【0027】
なお、上記アルカリ金属は、元素の状態で添加された場合のみならず、酸化物として添加された場合も含むものとする。すなわち、酸化カリウム(K2O)、酸化ルビジウム(Rb2O)、酸化セシウム(Cs2O)等も含まれる。ちなみに、外管5に添加された各種アルカリ金属は、例えばプラズマ分光分析法を用いることで測定することが可能である。
【0028】
発光管LBの非封止部13a側には、ソケット6が接続される。それらの接続は、非封止部13a付近の外管5外周面に装着された金属バンド71を、ソケット6の内管1保持側の開口端に形成された4本の金属製の舌片72(図1では、2本を図示)により挟持することによって行なわれている。そして、接続をさらに強化するために、金属バンド71および舌片72の接触点を溶接している。なお、ソケット6の底部には底部端子8aが形成されており、リード線3a3と接続されている。また、ソケット6の側部には底部端子8bが形成されており、サポートワイヤ3cと接続されている。
【0029】
これらで構成されたメタルハライドランプは、管軸が略水平の状態で配置され、図3に示すように底部端子8a、側部端子8bに点灯回路9が接続されている。
【0030】
点灯回路9について説明する。点灯回路9は、直流電源91、DC−DC変換回路92、ランプ電圧検出回路93、ランプ電流検出回路94、制御回路95、DC−AC変換回路96、駆動回路97、イグナイタ98により構成されている。
【0031】
直流電源91は、ランプMHLを点灯するために必要な電力を供給する電源であって、車載用の場合、通常バッテリーが用いられる。
【0032】
DC−DC変換回路92は、入力値に対し、出力値を増減する回路である。つまり、直流電源91の直流電圧が目的値よりも低い場合は昇圧チョッパを用いて昇圧し、直流電源91の直流電圧が高い場合は降圧チョッパを用いて降圧するような回路が組まれている。
【0033】
ランプ電圧検出回路93は、DC−AC変換回路96を介してランプMHLと並列に接続されており、ランプ電圧を検出する。また、ランプ電流検出回路94は、DC−AC変換回路96を介してランプMHLと直列に接続されており、ランプ電流を検出する。
【0034】
制御回路95は、DC−DC変換回路92を制御する回路である。本実施の形態では、点灯直後には定格ランプ電流の3倍以上のランプ電流をランプMHLに流し、その後、徐々にランプ電流を低減し、定格値になるように制御する。また、制御手段95は、ランプ電圧検出回路93、ランプ電流検出回路94から検出値をフィードバックし、DC−DC変換回路92を定電力制御する。
【0035】
DC−AC変換回路96は、直流入力を交流出力に変換する回路である。通常、4つのスイッチング素子、例えばMOSFETによりブリッジ回路が構成されてなる。これらのスイッチング素子を駆動回路97により制御して、低周波の交流波形を出力する。
【0036】
イグナイタ98は、DC−AC変換回路96とランプMHLの間に介在しており、始動時に20kV程度のパルスをランプMHLに印加できるよう構成されている。
【0037】
この点灯回路9により、ランプMHLは安定時は35W、始動時は安定時電力に対して2倍以上である75Wで点灯される。
【0038】
以下に、本発明の一実施例を示す。
【0039】
(実施例1)
放電容器1:石英ガラス製、放電空間14の容積=25μl、内径A=2.6mm、外径B=6.0mm、長手方向の球体長C=7.8mm、
金属ハロゲン化物2:ScI3=0.13mg、NaI=0.26mg、ZnI2=0.2mg、CsI=0.04mg、
希ガス:キセノン=10atm、
金属箔3a1、3b1:モリブデン製、
電極3a2、3b2:トリエーテッドタングステン製、酸化トリウムの含有量=1.0重量%、直径R=0.35mm、電極間距離D=4.2mm、
リード線3a3、3b3:モリブデン製、直径=0.6mm、
外管5:TiO2+CeO2+Al2O3(=数千ppm)とK2O(=1000ppm)を添加した石英ガラス
実施例1のランプは可視光・近赤外光兼用光源である。このランプを図3の点灯回路を用いて点灯したところ、全光束は3000lm、ランプ電圧は43Vであった。また、定常点灯時の可視域(380〜780nm)と近赤外域(750〜1100nm)との放射パワー比は2.84:1であった。
【0040】
図4は、実施例1に関し、外管に添加するアルカリ金属の種類、添加量を変えて3000時間点灯させたときの光束維持率と近赤外放射パワー維持率を示す図である。点灯条件は、日本電球工業会規格のJEL215−1998に規定されている点滅サイクルであり、近赤外放射パワー維持率は、3000時間後の750〜1200nmの放射パワー/初期の750〜1200nmの放射パワーにより計算している。なお、光束維持率と近赤外放射パワー維持率は各2本について試験し、その平均値をとったものである。
【0041】
結果より、通常の外管5であるランプAと外管5にアルカリ金属を添加したランプB〜Yとを比較すると、光束維持率についてはほとんど差はないが、近赤外放射パワー維持率についてはランプB〜Yの方が高いことがわかる。例えば、ランプAの光束維持率は71%、近赤外放射パワー維持率は62%であったのに対し、ランプFの光束維持率は68%、近赤外放射パワー維持率は98%であり、近赤外放射パワー維持率について30%も差が生じる結果となっている。
【0042】
このような結果になった理由を実施例1であるランプFと従来のランプAとを比較しながら説明する。
【0043】
図5は、点灯初期の実施例1(ランプF)の分光分布を示す図である。図からわかるように、可視域ではスカンジウムとナトリウム、近赤外域ではナトリウム、セシウム(Cs)、キセノンの発光を確認できる。近赤外域に発光があるナトリウム、セシウム(Cs)、キセノンについては、それぞれナトリウムは820nm付近、セシウム(Cs)は855nm付近と900nm付近、キセノンは915nm付近に発光波長のピークがある。ちなみに、点灯初期は、放電空間に封入された金属ハロゲン化物や希ガスのみが影響するため、初期に関してはランプAでも図5とほぼ同じ分光分布になる。
【0044】
これらのランプについて3000時間の点灯試験を行い、その期間中の光束維持率と近赤外放射パワー維持率を比較すると、図6のような結果になる。光束維持率については、ランプAもFもほぼ同じように低下しているが、近赤外放射パワー維持率については大きく相違する。すなわち、ランプAでは点灯時間につれて常に下降傾向であるが、ランプFでは約400時間まで下降し、その後は上昇または維持している傾向がある。これは、点灯中に近赤外発光するナトリウム、セシウム(Cs)が放電空間から抜け、いったん近赤外放射パワーが低下するが、途中から外管5に添加したカリウム(K)が放電空間に侵入し、近赤外域の発光に寄与したためと考えられる(当該現象については、当社の先願である特願2006−51510号公報にも記載)。現に3000時間点灯後の実施例1(ランプF)の分光分布を示した図7と点灯初期の分光分布である図5とを比較すると、初期の820nm付近のナトリウム発光、855nm付近と900nm付近のセシウム(Cs)発光は放射パワーが減少し、3000時間では新たに765nm付近にピークを持つカリウム(K)の発光波長が現れている。
【0045】
ここで、外管5に添加するカリウム(K)等の量は、添加量が多いほど高い近赤外放射パワー維持率向上の効果が得られているが、図8から明らかなように、外管5への添加量が500ppm以上であれば、非常に高い効果を得ることができる。しかし、添加量が20000ppm以上になると内管1の材質の物理的性質に対し、外管5の材質の性質が大きく異なることになってしまうため、両者の封着が困難になる等の弊害が生じる。したがって、外管5へのアルカリ金属の添加量は、500ppm以上、20000ppm以下であるのが望ましい。なお、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)を複数組み合わせて添加する場合では、総添加量が500ppm以上、20000ppm以下であれば単体を添加する場合と同様の効果を得ることができる。
【0046】
(実施例2)
実施例2では、近赤外域に好適な発光波長を有する金属のハロゲン化物として、CsIの代わりに、RbIを0.04mg封入し、さらに外管5にはK2Oの代わりにCs2Oを添加している。それ以外の構成は実施例1と同じである。
【0047】
このランプを図3の点灯回路を用いて、始動時75W、定常時35Wの電力により点灯したところ、全光束は3100lm、ランプ電圧は42Vであった。また、定常点灯時の可視域(380〜780nm)と近赤外域(750〜1100nm)との放射パワー比は3.24:1であった。
【0048】
図9は、実施例2に関し、外管に添加するアルカリ金属の種類、添加量を変えて3000時間点灯させたときの光束維持率と近赤外放射パワー維持率を示す図である。点灯条件等は、図4の試験のときと同じである。
【0049】
結果、通常の外管5であるランプAと外管5にアルカリ金属を添加したランプB〜Yとでは、光束維持率についてはほとんど差はないが、近赤外放射パワー維持率についてはランプB〜Yの方が高いことがわかる。すなわち、ほぼ図4と同じ結果が得られている。図10は点灯初期、図11は3000時間点灯後の実施例2(ランプV)の分光分布を示す図であるが、初期に対し、3000時間経過後は、ナトリウムおよびルビジウム(Rb)の発光は弱くなり、代わりにセシウム(Cs)の発光が現れていることから、実施例1と同じメカニズムが発生していることがわかる。また、図12からわかるように、実施例2においても、外管5へのアルカリ金属の添加量は、500ppm以上、20000ppm以下であることが望ましい。
【0050】
以上、この実施例2の結果から放電空間14に封入する近赤外域に好適な発光波長を有する金属のハロゲン化物や外管5に添加するアルカリ金属の種類を変更しても、本発明の効果が得られることを確認できた。
【0051】
(実施例3)
実施例3では、電圧を上昇させる媒体としてZnI2の代わりにHgを0.3mg封入している。それ以外の構成は実施例1と同じである。
【0052】
このランプを図3の点灯回路を用いて、始動時75W、定常時35Wの電力により点灯したところ、全光束は3200lm、ランプ電圧は85Vであった。また、定常点灯時の可視域(380〜780nm)と近赤外域(750〜1100nm)との放射パワー比は3.30:1であった。また、図4と同じ試験を行ったところ、同様の結果が得られた。
【0053】
以上、この実施例3から水銀入り、水銀フリーのランプ構成にかかわらず、本発明の効果が得られることを確認できた。
【0054】
(実施例4)
実施例4では、金属ハロゲン化物2としてCsIを0.2mg、RbIを0.2mg封入し、電極3a2、3b2は、先端(放電空間14内に位置)径が0.55mm、軸(封止部12a、12b内に位置)径が0.35mmのものを使用している。それ以外の構成は実施例1と同じである。
【0055】
このランプを図3の点灯回路を用いて、始動時75W、定常時35Wの電力により点灯したところ、全光束は240lm、ランプ電圧は23Vであった。また、このランプの可視域(380〜780nm)の放射パワーは2.4W、近赤外域(750〜1100nm)の放射パワーは7.9Wであった。ちなみに、図13は点灯初期の実施例4の分光分布を示す図であるが、この図からもわかるように、実施例4はほぼ近赤外域のみに発光がある近赤外光専用光源である。
【0056】
図14は、実施例3に関し、外管に添加するアルカリ金属の種類、添加量を変えて3000時間点灯させたときの光束維持率と近赤外放射パワー維持率を示す図である。点灯条件等は、図4の試験のときと同じである。
【0057】
結果からわかるように、通常の外管5であるランプAと外管5にアルカリ金属を添加したランプB〜Yとでは、光束維持率についてはほとんど差はないが、近赤外放射パワー維持率についてはランプB〜Yの方が高いことがわかる。つまり、図4と傾向は同じである。なお、この実施例では、図4、9と比較して、3000時間点灯後の光束維持率が高い結果となっているが、これは反応性の少ないScI3を封入していないことが関係する。また、近赤外放射パワー維持率が小さい結果となっているが、これは近赤外光専用光源であるため可視域の発光が少ないことが関係する。すなわち、外管5から放電空間14に侵入してきたアルカリ金属は可視域の発光エネルギーの一部を奪い、近赤外域の発光を増加させる作用があるが、実施例4ではもともとの可視域の発光エネルギーがわずかなので、近赤外域の発光があまり増加しなかったと考えられる。また、図15からわかるように、実施例3においても、外管5へのアルカリ金属の添加量は、500ppm以上、20000ppm以下であることが望ましい。
【0058】
以上、この実施例4から近赤外光専用光源であっても、本発明の効果が得られることを確認できた。
【0059】
したがって、本実施の形態では、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)のアルカリ金属が添加されている外管5を放電部11を囲繞するように内管1に接続することにより、それらのアルカリ金属が点灯中、徐々に外管5から放電空間14に移動するため、十分な近赤外放射パワーを長期にわたり維持することができる。その際、外管5に添加するアルカリ金属の総添加量は500ppm以上、20000ppm以下であれば、高い効果を得ることができる。また、可視光・近赤外光兼用光源、近赤外光専用光源に限らず、本発明の効果を得ることができる。
【0060】
(第2の実施の形態)
図16は、本発明の第2の実施の形態の赤外暗視システムについて説明するための図である。
【0061】
赤外暗視システムは、ランプMHL、反射鏡101、レンズ102、出光側可視光カットフィルター103、受光側可視光カットフィルター104、CCDカメラ105で構成されている。なお、図16に示す赤外暗視システムは、可視光・近赤外光専用光源を用いた例である。
【0062】
赤外暗視システムの出光側は、第1の実施の形態に記載したような近赤外光を発するランプMHLを搭載した灯具により構成されている。灯具は、反射鏡101を備えており、その焦点付近にランプMHLが取り付けられている。反射鏡101の出光側には配光制御のためのレンズ102が取り付けられている。また、レンズ102の一部には、例えば、780nm以下の波長域の光をカットする特性を有する出光側可視光カットフィルター103が配置されている。すなわち、この灯具では、出光側可視光カットフィルター103のない箇所からは可視光VLが得られ、フィルターが配置された箇所からは近赤外光IRL1が得られる。この可視光VLは、対向車等に眩しくない配光でロービームとして利用される。
【0063】
灯具から出光した近赤外光IRL1は、照射対象IOに照射される。そして、照射対象IOに照射された近赤外光IRL1は、反射して近赤外光IRL2となり、受光手段であるCCDカメラ105に入光する。その際、近赤外光IRL2以外の光、例えば対向車のランプによる可視光等を受光し、誤った検出をしないよう、CCDカメラ105の受光レンズ付近にも出光側可視光カットフィルター103とほぼ同じ特性の受光側可視光カットフィルター104が取り付けられている。
【0064】
したがって、本実施の形態では、第1の実施の形態のようなランプMHLからの光を例えば、780nm以下の波長域の可視光はカットする可視光カットフィルター103、104により、近赤外光IRL1を取り出し、照射対象OBに反射した近赤外光IRL2を受光するCCDカメラ105により構成されているため、十分な近赤外放射を長期に行える赤外暗視システムを提供することができる。
【0065】
なお、本発明の実施の形態は上記に限られるわけではなく、例えば次のように変更してもよい。
【0066】
カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)を添加した電極3a2、3b2を本発明と併用しても良い。これにより、近赤外放射パワー維持率をさらに改善することができる。また、電極3a2、3b2にコイルを巻装する場合、そのコイルにカリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)を添加してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の第1の実施の形態のメタルハライドランプについて説明するための全体図。
【図2】赤外暗視システムの近赤外光の受光手段であるCCDカメラの一般的な感度について説明するための図。
【図3】点灯回路について説明するための図。
【図4】実施例1に関し、外管に添加するアルカリ金属の種類、添加量を変えて3000時間点灯させたときの光束維持率と近赤外放射パワー維持率について説明するための図。
【図5】点灯初期の実施例1(ランプF)の分光分布について説明するための図。
【図6】ランプAとランプFの3000時間までの光束維持率と近赤外放射パワー維持率について説明するための図。
【図7】3000時間点灯後の実施例1(ランプF)の分光分布ついて説明するための図。
【図8】図4のアルカリ金属の添加量と近赤外放射パワー維持率について説明するための図。
【図9】実施例2に関し、外管に添加するアルカリ金属の種類、添加量を変えて3000時間点灯させたときの光束維持率と近赤外放射パワー維持率について説明するための図。
【図10】点灯初期の実施例2(ランプV)の分光分布について説明するための図。
【図11】3000時間点灯後の実施例2(ランプV)の分光分布ついて説明するための図。
【図12】図9のアルカリ金属の添加量と近赤外放射パワー維持率について説明するための図。
【図13】点灯初期の実施例4の分光分布について説明するための図。
【図14】実施例3に関し、外管に添加するアルカリ金属の種類、添加量を変えて3000時間点灯させたときの光束維持率と近赤外放射パワー維持率について説明するための図。
【図15】図13のアルカリ金属の添加量と近赤外放射パワー維持率について説明するための図。
【図16】本発明の第2の実施の形態の赤外暗視システムについて説明するための図。
【符号の説明】
【0068】
1 内管
11 放電部
12a、12b 封止部
13a、13b 非封止部
14 放電空間
2 金属ハロゲン化物
2a、2b マウント
3a1、3b1 金属箔
3a2、3b2 電極
3a3、3b3 リード線
3c サポートワイヤ
4 絶縁チューブ
5 外管
6 ソケット
71 金属バンド
72 舌片
8a 底部端子
8b 側部端子
9 点灯回路
MHL ランプ
103、104 可視光カットフィルター
105 CCDカメラ
VL 可視光
IRL 近赤外光
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に放電空間が形成された放電部を有する内管と、
前記放電空間に封入され、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)から選択された少なくとも一のハロゲン化物を含む放電媒体と、
前記放電部を囲繞するように前記内管に接続された、少なくとも一のアルカリ金属が添加されている外管とを具備することを特徴とするメタルハライドランプ。
【請求項2】
前記外管に添加されたアルカリ金属は、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)から選択された少なくとも一であることを特徴とする請求項1に記載のメタルハライドランプ。
【請求項3】
前記外管に添加されたアルカリ金属の総添加量は500ppm以上、20000ppm以下であることを特徴とする請求項2に記載のメタルハライドランプ。
【請求項4】
前記放電媒体として、可視域に好適な発光波長を有する金属のハロゲン化物とマグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、アンチモン(Sb)、ベリリウム(Be)、レニウム(Re)、ガリウム(Ga)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、スズ(Sn)、インジウム(In)から選択された少なくとも一の金属のハロゲン化物をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載のメタルハライドランプ。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載のメタルハライドランプと、
前記メタルハライドランプからの光のうち、所定波長域の可視光をカットするフィルターと、
前記近赤外光を受光する受光手段とを具備することを特徴とする赤外暗視システム。
【請求項1】
内部に放電空間が形成された放電部を有する内管と、
前記放電空間に封入され、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)から選択された少なくとも一のハロゲン化物を含む放電媒体と、
前記放電部を囲繞するように前記内管に接続された、少なくとも一のアルカリ金属が添加されている外管とを具備することを特徴とするメタルハライドランプ。
【請求項2】
前記外管に添加されたアルカリ金属は、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)から選択された少なくとも一であることを特徴とする請求項1に記載のメタルハライドランプ。
【請求項3】
前記外管に添加されたアルカリ金属の総添加量は500ppm以上、20000ppm以下であることを特徴とする請求項2に記載のメタルハライドランプ。
【請求項4】
前記放電媒体として、可視域に好適な発光波長を有する金属のハロゲン化物とマグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、アンチモン(Sb)、ベリリウム(Be)、レニウム(Re)、ガリウム(Ga)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、スズ(Sn)、インジウム(In)から選択された少なくとも一の金属のハロゲン化物をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載のメタルハライドランプ。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載のメタルハライドランプと、
前記メタルハライドランプからの光のうち、所定波長域の可視光をカットするフィルターと、
前記近赤外光を受光する受光手段とを具備することを特徴とする赤外暗視システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−117560(P2008−117560A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−297573(P2006−297573)
【出願日】平成18年11月1日(2006.11.1)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月1日(2006.11.1)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】
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