説明

メタルハライドランプ及び車両のヘッドランプ

本発明は、車両のヘッドランプ用のメタルハライドランプに係る。該ランプは、キセノン及びイオン性フィリングを有する放電空間を取り囲むセラミックの壁を有する放電管と、放電管を囲む円筒形の外側バルブとを有する。本発明によれば、放電管からみて外方に向いている外側バルブの表面の一部分は、負レンズとして形成される。望ましくは、該部分は、
【数14】


の範囲における弧角度を有する外側バルブの弧を有する。望ましくは、負レンズを形成する該部分は、平らな表面として形成される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のヘッドランプ用のメタルハライドランプに係る。該メタルハライドランプは、長手方向軸に沿って、円筒形である、Xe(キセノン)及びイオン性フィリングを有する放電空間を取り囲むセラミックの壁を有する放電管(discharge vessel)と、長手方向軸に沿った放電管を囲む円筒形の外側バルブと、を有する。
【0002】
本発明は、リフレクタ及びメタルハライドランプを有する車両のヘッドランプに更に係る。
【背景技術】
【0003】
冒頭で言及された種類のランプは、国際公開第00/67294A号パンフレット(特許文献1)(PHN17.434)より既知である。Hg(水銀)、Xe、及びNaCe(ナトリウムセリウム)ヨウ化物のフィリングを有する既知のメタルハライドランプは、小型な寸法(2mmより小さい内径)、比較的高い発光効果(75lm/W)、及び、優れた色特性(50乃至65の一般的な演色率CRIと、3000乃至4000Kの色温度CCTの間)を有し、ランプを自動車用ヘッドランプにおける使用に対する非常に適切なものとする。
【0004】
本明細書及び結論におけるセラミックの壁とは、多結晶のAl又はYAGの濃密に焼結されたサファイア等の金属酸化物でできた壁と、AIN等の金属硝酸塩でできた壁のいずれも示すよう理解される。
【0005】
既知のランプの不利点は、メタルハライドランプの耐用年数が所望の水準を下回ることである。
【特許文献1】国際公開第00/67294A号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述された不利点を排除する手段を与えることを目的とする。本発明によれば、冒頭で言及された種類のメタルハライドランプは、かかる目的に対して、放電管から見て外方に向かった外側バルブの表面の一部分が負レンズとして形成されることを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
車両のヘッドランプにおけるランプの適用に対して、自動車の通過ビームのパターンに対する必要要件が定められる。かかる(法律上の)必要要件は、車両から一定の距離で測定された車両のヘッドランプによって発された光ビームの照射された範囲とグレア範囲との間に、比較的はっきりとした所謂境界を作ることを特に規定する。(実際、必要要件は、前述の境界のすぐ上方及び下方の点/領域を規定する。)車両のヘッドランプに適用されるメタルハライドランプに対しては、かかる必要要件は、壁の厚さ及び/又は放電管の内径が十分小さい場合に適合され得る。しかしながら、かかる寸法の必要要件は、放電管における比較的高い壁面温度を生じさせる。かかる比較的高い壁面温度は、メタルハライドランプの寿命に悪影響を及ぼす。放電管の直径及び/又は壁の厚さを増加させることによって、壁面温度は下げられるが、これは、自動車の通過ビームのパターンに対する必要要件に適合することが光学的により難しくなるという不利点を有する。加えて、放電管のより厚い壁は、放電管の端部において、より高い発光をもたらす。放電管のより大きな(内)径は、車両から一定の距離で測定された車両のヘッドランプによって放射された光ビームによって投影された通り、放電管のより大きな像につながる。一般的には、より厚い壁は、壁の材料によるより多くの拡散、及び、管端部のより高い輝度と管の中心でのより低い輝度につながる。ビームのパターンにおける管の像の位置が、最大限の光束のうち20%が境界線上に正確に位置付けられるようにされる場合、より高い輝度を有する管端部は、グレア範囲における境界線のすぐ上方に位置付けられ、より大きなグレアをもたらす。放電管のより大きな(内)径は、また、放電管の断面に沿ってよりゆるやかな発光変化度につながる。かかる結果は、十分に高い照射を実現することと同様に、自動車の通過するパターンビームに対する必要要件に従った所望されるはっきりとした境界を実現することもより難しくする。
【0008】
発明者は、放電管からみて外方に向く外側バルブの一部分を負レンズとして形成することによって、放電管は実質的により小さくなると考える。これは、放電ランプと外側バルブとの組合せによって発される光が、より小さな寸法にされた放電管によって生じると見られることを意味する。これは、放電管及び外側バルブの(実際の)寸法は、壁面温度を下げるよう増加され得ることを示す。これにより、メタルハライドランプの向上された寿命が生じる。実際には、負レンズを有する外側バルブによって囲まれた放電管の寸法は、負レンズを有さない外側バルブによって囲まれた放電管の寸法と比較して略同一に留まり得る。実際、本発明に従ってより大きく、しかし負レンズを有する外側バルブによって囲まれた本来の放電管の実効寸法(virtual dimension)より小さく形成されることによって、本発明に従って負レンズを有する外側バルブによって囲まれた放電管は、照射及びビーム境界の明確さを向上させるよう使用され得る。本発明に従った放電管の寸法を増加させることによって、照射の特性は、メタルハライドランプの耐用年数が延ばされるのと同時に向上される。
【0009】
本発明に従ったメタルハライドランプは、放電管がランプを自動車用ヘッドランプにおける使用に対して非常に適切にする非常に小型の実効寸法を有する、という有利点を有する。電極間隔と比較して小さな内径、及び放電アークの長さにより、放電アークは放電管の壁によって囲まれ、放電アークは自動車ヘッドランプに対する光源としての使用に適切となるよう十分に真っ直ぐな形状を有するようにされる。内径である
【0010】
【数2】

は、直接隣接した高輝度の小さな点と組み合わせて(自動車)車両における使用に必要である明確なビームの描写を実現するためには適切である、ことが判明する。かかる非常に小さな内径は、ランプが、複合形状のヘッドランプ、又は所謂自由形式であるコレクタにおける光源としての使用に特に適切であるようにする。かかるリフレクタは、境界が光源の遮蔽なく作られ得る、という利点を有する。かかるヘッドランプの有利点は、個別の通過ビームのキャップが、十分に明確なビームの描写を実現するよう生成されるべき光ビームの生成の過程で必要とされないことである。選択されたdは、大変すぐれており、最低2000時間の切替えを実現し得る。本発明に従ったメタルハライドランプは、内径dが選択され、
【0011】
【数3】

という関係が満たされるようにされる際に、欧州の通過ビームを有するヘッドランプにおける使用に対して特に適切である。通過ビームのキャップは、一般的にここで使用され、電極のチップの間で放射された光の部分を遮断し、ランタンによって形成されたビームが対向交通のまぶしさを避けるようにされる。
【0012】
光源の輝度分布とも称される光学寸法は、壁の厚さの適切な選択によって更に望ましい影響を及ぼされる。セラミックの放電管の壁の厚さである
【0013】
【数4】

を有して、メタルハライドランプは、複合形状のランタンに適用され得る。それ自体のセラミックの壁材料は、一般的に、強い光拡散の性質を有するが、ここでの光源は、有利に実現され白熱灯のコイルがついた既存のヘッドランプの通常の寸法と比較して光学寸法を有する。
【0014】
望ましくは、ランプの放電管は、120W/cmと同等又はそれより小さい壁の負荷を有する。壁の負荷は、ここではランプの電力と電極のチップの間に位置づけられた放電管の壁の部分の外側表面との指数(quotient)として定義付けられる。
【0015】
放電管の寸法の実質的な減少は、光学的観点からすると、特に重要には所謂境界領域での必要要件を満たすよう光ビームによって投影される放電管の像に対するものである。本発明に従ったメタルハライドランプの望ましい一実施例によれば、長手方向軸に関する部分は、
【0016】
【数5】

の範囲内で弧角度αを有する外側バルブの弧を有する。望ましくは、αは、
【0017】
【数6】

の範囲内である。
【0018】
本発明に従ったメタルハライドランプの望ましい一実施例は、負レンズを形成する部分が平らな表面を有することを特徴とする。かかる部分は、メタルハライドランプの円筒形の外側バルブの一部分を減らすことによって容易に実現され得る。円筒形の外側バルブと比較して平らな部分は、負レンズとして機能する。放電管の実効寸法は、観察者が外側バルブの平らな表面を介して放電管をみる場合、観察者によって容易に観察され得る。観察者は、実質的により小さな放電管を観察する。
【0019】
本発明に従ったメタルハライドランプの他の望ましい一実施例は、負レンズを形成する部分が外側バルブの残りの部分の曲率より小さく湾曲された曲面を有する、ことを特徴とする。外側バルブの残りの部分の曲率と比較して該部分のより少なく湾曲した曲率は、負レンズとして機能する。他の一実施例では、負レンズを形成する部分は、外側バルブにおいて内側方向に湾曲される。かかる場合、外側バルブは、凹面部分を有し、強い負レンズが得られる。
【0020】
放電管の寸法の実質的な減少は、光学的観点からすると、特に重要には所謂境界領域に対して使用されるべき光ビームによって投影される放電管の像に対するものである。本発明に従ったメタルハライドランプの他の望ましい一実施例では、放電管からみて外方に向いた外側バルブの表面の第1及び第2の部分は、負レンズとして形成される。望ましくは、第1及び第2の部分は、外側バルブの対向する側にある。
【0021】
光学的観点からすると、第1及び第2の部分は、通常、互いに平行するよう選択される。しかしながら、部分は、互いに対して小さな角度である場合に有利となり得る。それ故に、本発明に従ったメタルハライドランプの望ましい一実施例は、第1の部分と外側バルブの残りの部分との間の遷移が第1の平面を定義付けること、第2の部分と外側バルブの残りの部分との間の遷移が第2の平面を定義付けること、及び、第1の平面及び第2の平面は、10°と同じかそれより小さい互いに対する角度をなすこと、を特徴とする。
【0022】
該部分は、ビームのパターンにおける上昇されたグレアのレベルを生じさせ得る所望されない反射を生じ得るため、負レンズを形成する部分のうち少なくとも一方に反射防止の性質を与えるよう有利である。かかる反射防止の性質は、反射防止被覆を有する部分を被覆することによる当業者に既知の手法で実現され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明は、多数の実施例及び図面を参照してより詳細に説明される。
【0024】
図面は、単なる図解であり、実寸大に描かれてはいない。寸法の中には、明確にするために特に強く強調されるものもある。同様の構成部品は、図中、可能な限り同一の参照符号を与えられる。
【0025】
図1は、円筒形の放電管3と長手方向軸10に沿った円筒形の外側バルブ1を備えられたメタルハライドランプを図示する。放電管3は、Xe及びNaI及びCeIを有するイオン性フィリングを有する放電空間42を囲むセラミックの壁43を有する。Xeは、高いフィリング圧を有する放電管のイオン性フィリングに加えられる。Xeは、ランプの点火の直後の早いルーメン出力を確かにする。加えて、希ガスのフィリング圧の選択は、放電管の熱平衡、故にランプの耐用年数に影響を及ぼす。少なくとも5バールの圧力が40,000回の切換え動作であるランプの寿命を実現するよう要求されることが判明した。望ましくはフィリング圧は、7バール乃至20バールの範囲、より特には10バール乃至20バールにある。これは、比較的非常に何度にもわたる切換え動作からなる切換え寿命を実現する可能性を提供する。
【0026】
2つの電極4及び5は、放電管3に配置され、該管は
【0027】
【数7】

である内径を有する。放電管は、夫々のセラミックの突出する(押出し)プラグ34,35によっていずれの端部も閉じられる。該管は、夫々の電流をコンダクタ40,50を介して放電管内に配置された電極4,5へともたらす狭い空間を有し、また、放電空間からみて外方を向いている端部で融解セラミックの結合部(図示せず)を用いて気密に関連するコンダクタに接続される。放電管は、円筒形の外側バルブ1(図2A,3A及び3B参照)によって囲まれる。メタルハライドランプは、ランプキャップ・ソケットをさらに備えられる。放電は、ランプの動作状態において、電極4と5との間で延びる。電極4は、電流コンダクタ8を介してランプキャップ2の一部を形成する第1の電気接点に接続される。電極5は、電流コンダクタ9及び19を介して、ランプキャップ・ソケット2の一部を形成する第2の電気接点に接続される。電流コンダクタ19は、セラミックの管190によって囲まれる。
【0028】
図2Aは、図1中の既知のメタルハライドランプの放電管13と外側バルブ11の断面を図示する。断面は、図1中の長手方向軸10に対して垂直な平面で図示される。既知のメタルハライドランプでは、放電管13及び外側バルブ11は、環状に形成される。図2Aはまた、2つの所謂「極度の(extreme)」光線を図示する。該光線は、長手方向軸10に対して垂直である25mmの焦点を有する放物面リフレクタ(図示せず)上で放電管の中心(中心は、図1中の長手方向軸10上の点と一致する)から50mmの距離での想像点へと方向付けられる。所謂「極度の」光線の間の角度は、放電管の実効寸法に対する指標である(比較的大きな角度は、放電管の比較的大きな実効寸法に対応する)。
【0029】
図2Bは、想像点で観察された図2Aの既知のメタルハライドランプのレイトレーシングを用いて算出された像を図示する。想像点は、放電管の中心から50mmの距離にある。図2B中の像は、zy平面で示され、z軸は長手方向軸(ランプ軸)である。図2B中のy軸に沿った像の寸法は、図2A中の「極度の」光線の距離に対応する放電管13の実効外径の指標である。既知のメタルハライドランプに関し、放電管13の実効直径は、放電管13の実際の直径と事実上同一、即ち約2mmである。既知のメタルハライドランプにおける放電管13の寸法は、放電管13における比較的高い壁面温度を生じさせる。かかる比較的高い壁面温度は、メタルハライドランプの寿命に有害な影響を有する。
【0030】
図3Aは、図1中のメタルハライドランプの本発明に一実施例に従った放電管23及び外側バルブ21の断面を詳細に図示する。断面は、図1中の長手方向軸10に対して垂直な平面で図示される。図3Aの例では、外側バルブ21の内径は、約3mmであり、外側バルブ21の外径は、約7mmである。本発明のかかる実施例に従ったメタルハライドランプでは、外側バルブ21の部分25,26は、平らな表面として形成される。かかる部分25,26は、円筒形の外側バルブ21の一部分を低減することによって容易に作られ得る。外側バルブの平らな部分は、外側バルブ21の全長にわたって伸びる必要はない。即ち、原理上、放電空間42の寸法よりいくらか大きい(例えば4乃至5mm大きい)部分のみを切除するのには十分である。即ち、放電管23における2つの電極の間のおおよその距離である。図3A中の例では、外側バルブ21は、外側バルブの対向する側に夫々参照符号25,26を有する2つの平らな部分を備えられる。他の実施例では、外側バルブは、1つのみの平らな部分を備えられる。平らな部分25,26は、負レンズとして機能する。長手方向軸10に対する平らな部分25,26(図1参照)は、
【0031】
【数8】

の範囲内で弧角度αを有する外側バルブの弧を有する。かかる範囲は、自動車の通過ビームのパターンに対する必要要件(ECE R98による必要要件)から得られる所謂境界領域に近接して像が投影される方法で設定される。
【0032】
図3A中、第1の部分25と外側バルブ21の残りの部分との間の遷移は、線25Aによる図3A中の断面で示された第1の平面(図3A中の例では、平面は平らな部分25の表面と一致する)を定義付ける。加えて、第2の部分26と外側バルブ21の残りの部分との間の遷移は、線26Aによる図3A中の断面で示された第2の平面(図3A中の例では、平らな部分26の表面と一致する)を定義付ける。望ましくは、第1の平面と第2の平面は、互いに対して平行に作られる(即ち線25A及び26Aは、互いに対して平行である)。他の実施例では、第1及び第2の平面は、互いに対して角度をなし、該角度は望ましくは10°より小さい(即ち、線25A及び26Aは、互いに対して10°より小さい角度にある)。
【0033】
図3Aはまた、2つの所謂「極度の」光線を図示する。該光線は、長手方向軸に対して垂直である25mmの焦点を有する放物面リフレクタ(図示せず)上で放電管の中心(中心は、図1中の長手方向軸10上の点と一致する)から50mmの距離での想像点へと方向付けられた1つの矢印で示される。所謂「極度の」光線の間の角度は、放電管23の実効寸法に対する指標である。
【0034】
図3Bは、想像点で観察された図3Aのメタルハライドランプのレイトレーシングを用いて算出された像を図示する。想像点は、放電管の中心から50mmの距離にある。図3B中の像は、zy面で表示される。図3B中のy軸に沿った像の寸法は、図3A中の「極度の」光線の距離に対応する放電管23の実効外径の指標である。本発明の実施例に従ったメタルハライドランプに対し、放電管23の実効径は、放電管23の実際の直径より非常に小さい。即ち、2mmの約70%であり、即ち、約1.4mmである。本発明の実施例に従ったメタルハライドランプにおける放電管23の寸法は、放電管23における壁面温度を下げるようにする。かかる比較的低い壁面温度は、メタルハライドランプの寿命に非常によい影響を有する。
【0035】
図3B中の上方及び下方部分では、複数の比較的弱い反射像が、参照符号26を有する図3A中の部分を起源として可視である。かかる反射は、ビームのパターンに上昇されたグレア・レベルを生じさせ得る。これらの比較的弱い反射像が形成され得る手法は、2つの矢印で示された放射線によって図3Aに概略的に示される。かかる所望されない放射線の反射の効果は、部分26の平らな表面上に反射防止被覆を適用する(図示せず)ことによって大きく低減され得る。
【0036】
図4Aは、図1中のメタルハライドランプに関する本発明の他の実施例に従った放電管33及び外側バルブ31の断面を詳細に図示する。断面は、図1中の長手方向軸10に対して垂直な平面で図示される。図4A中の例では、外側バルブ31の内径は約3mmであり、外側バルブ31の外径は約7mmである。本発明の本実施例に従ったメタルハライドランプでは、外側バルブ31の部分35,36は、平らな表面として形成される。図4Aの例では、外側バルブ31は、外側バルブの対向する側で、夫々参照符号35及び36を有する2つの湾曲された部分を備えられる。湾曲された部分35,36は、外側バルブ31の残りの部分の曲率より小さく湾曲される(即ち、湾曲された部分の半径は、外側バルブの残りの部分の半径より大きい)。他の実施例では、外側バルブは、ただ1つの湾曲された部分を備えられる。湾曲された部分35,36は、負レンズとして機能する。長手方向軸10(図1参照)に対する湾曲された部分35,36は、
【0037】
【数9】

の範囲での弧角度αを有する外側バルブの弧を有する。かかる範囲は、自動車の通過ビームのパターンに対する必要要件(ECE R98による必要要件)から得られる所謂境界領域に近接して像が投影される方法で設定される。
【0038】
図4A中、外側バルブの第1の部分35と残りの部分との間の遷移は、線35Aによって図4A中の断面に示された実効平面を定義する。加えて、外側バルブの第2の部分36と残りの部分との間の遷移は、線36Aによって図4A中の断面に示された第2の実効平面を定義する。望ましくは、第1及び第2の平面は、互いに対して平行につくられる(即ち、線35A及び36Aは、互いに対して10°より小さい角度にある)。
【0039】
図4Aはまた、2つの所謂「極度の」光線を図示する。該光線は、長手方向軸に対して垂直である25mmの焦点を有する放物面リフレクタ(図示せず)上で放電管の中心(中心は、図1中の長手方向軸10上の点と一致する)から50mmの距離での想像点へと方向付けられる。前述の所謂「極度の」光線の間の角度は、放電管23の実効寸法に対する指標である。
【0040】
図4Bは、想像点で観察された図4Aのメタルハライドランプのレイトレーシングを用いて算出された像を図示する。想像点は、放電管の中心から50mmの距離にある。図4Bの像は、zy面に表示される。図4B中のy軸に沿った像の寸法は、図4A中の「極度の」光線の距離に対応する放電管33の実効外径の指標である。本発明の実施例に従ったメタルハライドランプに対し、放電管23の実効径は、放電管23の実際の直径より非常に小さい。即ち、選択した局率に依存して2mmの約80%であり、即ち、約1.7mmである。本発明の他の実施例に従ったメタルハライドランプにおける放電管33の寸法は、放電管33における壁面温度を下げるようにする。かかる比較的低い壁面温度は、メタルハライドランプの寿命に非常によい影響を有する。
【0041】
図4B中の上方及び下方部分では、図3B中に表示された反射像と比較して、複数の非常に弱い反射像がある。図2A中の外側バルブ21の設計と比較して異なる図3A中の外側バルブ31の設計により、反射の効果は大きく提言される。一方、図4B中で投影された像は、図3Bで投影された像より幾分大きい。
【0042】
メタルハライドランプは、望ましくは、動作状態において、
【0043】
【数10】

である発光効果を有する。ランプによって放射された光は、250時間のランプの寿命において、65及び3500KのCRI及びCCTに対する値を夫々有する。上述の量の値は、2000時間の動作のあとは、
【0044】
【数11】

【0045】
【数12】

及び
【0046】
【数13】

を有する。
【0047】
本発明に従ったランプの他の実施例では、外側バルブは、セラミックの突出プラグの範囲で熱反射被覆を備えられる。かかる被覆は、放電管上の外部被覆の変わりに、放電管上の被覆との組み合わせで使用され得る。望ましくは、反射被覆は、外側バルブの壁の内側表面上に与えられる。それは、かかる方法が、被覆が外側に与えられる場合より、ビームにおいて光束における損失が少ないことにつながるためである。
【0048】
図5は、複合形状での放物面リフレクタ50における本発明に従ったメタルハライドランプ51の組み合わせを有する車両のヘッドランプの図(artists impression)を与える。メタルハライドランプは、円筒形の放電管と、z軸、即ち図1中の長手方向軸に沿った円筒形の外側バルブとを有する。メタルハライドランプ51に起源し、リフレクタ50によって反射された複数の光線は、図5中に概略的に示される。
【0049】
望ましくは、負レンズを形成する部分は、リフレクタの部分の方向に向けられ、自動車の通過ビームのパターンに対する必要要件(ECE R98の必要要件)に従って、照射範囲とグレア範囲との間の境界を作る。
【0050】
本発明の範囲は、実施例に制限されない。本発明は、各新しい特性及び各特性の組合せで具体化される。参照符号は、請求項の範囲を制限しない。「有する」という語は、請求項中に上げられたもの以外の構成要素または段階の存在を除外しない。単数形の構成要素は、かかる構成要素の複数の存在を除外しない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】メタルハライドランプを図式的に示す図である。
【図2A】図1中の既知のメタルハライドランプの放電管及び外側バルブの断面を示す図である。
【図2B】レイトレーシングを用いて算出された図2Aの既知のメタルハライドランプの像を示す図である。
【図3A】図1のメタルハライドランプの一実施例の放電管及び外側バルブの断面を詳細に示す図である。
【図3B】レイトレーシングを用いて算出された図3Aのメタルハライドランプの像を示す図である。
【図4A】図1のメタルハライドランプの他の実施例の放電管及び外側バルブの断面を詳細に示す図である。
【図4B】レイトレーシングを用いて算出された図4Aのメタルハライドランプの像を示す図である。
【図5】複合形状のリフレクタにおいてメタルハライドランプの組合せを有する車両のヘッドランプのアーティスト・インプレッションを与える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のヘッドランプ用のメタルハライドランプであって、
長手方向軸に沿って、円筒形である、キセノン及びイオン性フィリングを有する放電空間を取り囲むセラミックの壁を有する放電管と、
前記長手方向軸に沿った前記放電管を囲む円筒形の外側バルブと、
を有し、
前記放電管からみて外方に向いている前記外側バルブの表面の一部分が、負レンズとして形成される、ことを特徴とする、
メタルハライドランプ。
【請求項2】
前記長手方向軸に関する前記部分は、
【数1】

の範囲における弧角度を有する前記外側バルブの弧を有する、ことを特徴とする、
請求項1記載のメタルハライドランプ。
【請求項3】
前記負レンズを形成する前記部分は、平らな表面を有する、
請求項1又は2記載のメタルハライドランプ。
【請求項4】
前記負レンズを形成する前記部分は、前記外側バルブの残りの部分の曲率より小さく湾曲された曲面を有する、ことを特徴とする、
請求項1又は2記載のメタルハライドランプ。
【請求項5】
前記放電管からみて外方を向いている前記外側バルブの前記表面の第1及び第2の部分は、負レンズとして形成される、ことを特徴とする、
請求項1又は2記載のメタルハライドランプ。
【請求項6】
前記第1及び第2の部分は、前記外側バルブの対向する側にある、ことを特徴とする、
請求項5記載のメタルハライドランプ。
【請求項7】
前記外側バルブの前記第1の部分と前記残りの部分との間の遷移が、第1の平面を定義付けることと、
前記外側バルブの前記第2の部分と前記残りの部分との間の遷移が、第2の平面を定義付けることと、
前記第1の平面及び前記第2の平面が、互いに対して10°と同一又はより小さい角度を作ることと、
を特徴とする、
請求項5記載のメタルハライドランプ。
【請求項8】
前記負レンズを形成する前記部分のうち少なくとも1つが、反射防止の性質を有する、ことを特徴とする、
請求項5記載のメタルハライドランプ。
【請求項9】
リフレクタ及び請求項1又は2記載のメタルハライドランプを有する、車両のヘッドランプ。
【請求項10】
前記負レンズを形成する前記部分は、前記リフレクタの部分の方向に方向付けられ、自動車の通過ビームのパターンに対する必要要件に従って照射された範囲とグレアの範囲との間に境界を作る、ことを特徴とする、
請求項9記載の車両のヘッドランプ。

【図1】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−528095(P2007−528095A)
【公表日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507555(P2006−507555)
【出願日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【国際出願番号】PCT/IB2004/050606
【国際公開番号】WO2004/100212
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】