説明

メタロセン触媒型線状低密度ポリエチレンポリマーのための加工助剤

メタロセン触媒型線状低密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとの樹脂ブレンドの押出加工性は、30〜60のムーニー粘度(ML(1+10)、121℃における)を有するフルオロエラストマーおよび界面剤を含む加工助剤パッケージを導入することにより改善される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタロセン触媒型線状低密度ポリエチレン樹脂および低密度ポリエチレン樹脂の樹脂ブレンドの押出のためのフルオロエラストマー加工助剤に関する。
【背景技術】
【0002】
チューブ、パイプ、電線被覆またはフィルムなどの成形された構造体への高分子量ポリエチレンの溶融押出は、ポリマーが中で所望の形態に成形され、その後、後でダイの一般形状を有する製品に中で冷却され固化されるダイに、回転スクリューが押出機バレルを通して種々のポリマー溶融物を押し込む周知された手順によって実行される。
【0003】
低生産コストを達成するために、ポリマーを迅速な速度で押し出すことが望ましい。より高い押出速度は、押出機スクリューの回転の速度を高めることにより容易に得ることが可能である。しかし、この技術はポリマー基材の粘弾性の特性によって課された限界を被る。従って、非常に高い押出速度で、許容できない量のポリマーの熱分解が起きうる。更に、粗表面を有する押出物がしばしば得られ、それは押出物の表面上の好ましくない模様の形成につながりうる。
【0004】
ブラッツ(Blatz)による(特許文献1)において、フルオロエラストマーなどの、加工温度で流体状態を取るフッ化炭化水素ポリマー0.01〜2.0重量%の使用が高密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンならびに他のポリオレフィンなどの非フッ素化ポリマーの押出においてダイ圧を下げることが開示されている。更に、この添加剤の使用がメルトフラクチャなしで押出速度の大幅な増加を可能にする。
【0005】
より最近、改善されたフルオロポリマー加工助剤組成物が、例えば、米国特許公報(特許文献2)、米国特許公報(特許文献3)、米国特許公報(特許文献4)、米国特許公報(特許文献5)、米国特許公報(特許文献6)、米国特許公報(特許文献7)、米国特許公報(特許文献8)および米国特許公報(特許文献9)において開示されている。
【0006】
メタロセン触媒を用いるプロセスで製造された線上低密度ポリエチレン(LLDPE)樹脂(以後mLL樹脂と呼ぶ)は、ブローフィルム製造のために特に劣ったレオロジー、すなわち、低い溶融物強度(低い伸び粘度)およびずり減粘する比較的僅かな傾向を有する。低い溶融物強度は、一般に柔らかくて不安定なブローフィルムバブルをもたらし、よって厚みの変動につながる。ずり減粘の欠如は、高い押出パワー要件、ならびに高いバレル圧力およびダイ圧をもたらす。これらの問題を軽減するために、フィルム加工業者は、低密度ポリエチレン(LDPE)とmLL樹脂をブレンドすることが有用であると見ることが多い。LDPE樹脂が優れた溶融物強度とずり減粘特性を示すからである。LDPE樹脂は高圧ラジカル重合プロセスを経由して製造される。LDPEの物理的特性がmLL樹脂の物理的特性より遥かに劣るけれども、50%未満のLDPEを含有するブレンドは、非常に改善された加工性を有しつつ、LDPEの物理的特性よりmLL樹脂の物理的特性に近い物理的特性を有する。
【0007】
更に、mLL樹脂は、メルトフラクチャの開始に関してしばしば低い臨界剪断速度を有し、従ってメルトフラクチャを容易に示す。驚くべきことに、mLL−LDPEブレンドは、殆どのフルオロポリマー加工助剤による排除に抵抗するメルトフラクチャの形態を示しうる。例えば、mLL−LDPEブレンドが500 1/sの剪断速度で押し出される時、得られたフィルムは完全に溶融破壊される。フルオロポリマー加工助剤を導入すると、典型的にはフィルム表面平滑度をかなり改善するが、楕円の形状を取る欠陥は加工助剤が効果を生じた領域において残る場合がある。結果として、フルオロポリマー加工助剤が「ハード」フラクチャを取り除く働きを一旦行うと、フィルムは、許容できない欠陥でなお覆われうる。穏やかな場合、楕円は非常に軽度で少なく、フィルムは許容できる場合がある。他の場合、楕円は、互いに合流して連続フラクチャパターンを形成するほどに多数である。興味深いことには、mLL−LDPEブレンド中のフルオロポリマー加工助剤レベルの増加は楕円欠陥をより悪くするのみであり、そこで、フィルム加工業者は、ハードフラクチャが再発する場合がある低い加工助剤レベルと楕円を悪化させる高い加工助剤レベルとの両極値の間で運転するウィンドーを見つけることがしばしばできない。
【0008】
従って、得られたフィルムに楕円形状欠陥を導入せずにmLL−LDPEブレンドのメルトフラクチャを減少させる加工助剤組成物が必要とされている。
【0009】
【特許文献1】米国特許第3,125,547号明細書
【特許文献2】米国特許第4,855,360号明細書
【特許文献3】米国特許第4,904,735号明細書
【特許文献4】米国特許第5,106,911号明細書
【特許文献5】米国特許第5,587,429号明細書
【特許文献6】米国特許第5,707,569号明細書
【特許文献7】米国特許第6,242,548B1号明細書
【特許文献8】米国特許第6,277,919B1号明細書
【特許文献9】米国特許第6,642,310B2号明細書
【特許文献10】米国特許第5,026,798号明細書
【特許文献11】米国特許第5,350,723号明細書
【特許文献12】米国特許第4,035,565号明細書
【特許文献13】米国特許第4,243,770号明細書
【特許文献14】米国特許第3,264,272号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
中程度のムーニー粘度のフルオロエラストマーおよび低レベルの界面剤(以後に定義する)を含む加工助剤が楕円形状欠陥を導入せずにmLL−LDPEフィルムのメルトフラクチャを減少させるか、または無くすことが驚くべきことに発見された。
【0011】
従って、本発明の一態様は、
A)樹脂ブレンドの全重量を基準にして1〜99重量%のメタロセン触媒型線状低密度ポリエチレン樹脂および樹脂ブレンドの全重量を基準にして99〜1重量%の低密度ポリエチレン樹脂を含む樹脂ブレンド、
B)押出し成形可能な組成物の全重量を基準にして25〜2000ppmの、121℃におけるムーニー粘度ML(1+10)が30〜60であるフルオロエラストマーおよび
C)フルオロエラストマーに対する界面剤の重量比が0.1〜0.9となる量の界面剤、
を含む押出し成形可能な組成物であって、0〜20ppmのイオノマーを含有する押出し成形可能な組成物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、押出しされた製品に楕円形状欠陥を導入せずにメタロセン触媒型線状低密度ポリエチレン(mLL)樹脂と低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂とのブレンドの押出加工性を改善する手段に関する。本明細書において用いられる「押出加工性」という用語は状態調節時間(すなわち、押し出された物品が高いメルトフラクチャ度を示す押出機スタートアップと、押出物がメルトフラクチャのない平滑表面を有する時間との間の経過時間)に関連する。明らかに、廃棄物を最少化し、コストを下げるために、非常に短い状態調節時間が望ましい。
【0013】
「メタロセン触媒型線状低密度ポリエチレン樹脂」とは、金属中心に結合された1つまたは複数のシクロペンタジエニル基を含む触媒を用いて重合させたエチレンとαオレフィンのコポリマーを意味する。シクロペンタジエニル基は置換されていてもよく、ここで、水素基の1つまたは複数は、ハロゲン、アミド、ホスオフィド、アルコキシまたはアルキルボリド(alkylborido)基あるいはルイス酸または塩基性官能基を含む他のいずれかの基によって置換される。シクロペンタジエニル基は、アリール基またはアルキル基によっても置換されていてもよいが、縮合されて、インデニル、テトラヒドロインデニルまたはフルオレニルなどの飽和または不飽和の多環式ペンタジエニル基を形成してもよい。触媒はシクロペンタジエニル型でない他の配位子も含んでよい。金属中心は元素の周期律表(CRC・プレス(CRC Press)によって刊行され、著作権を取得されている、1989年)の第IV族またはランタニド系列の金属中心である。こうした触媒は、金属中心が重合のための唯一の活性サイトを含むので「単一サイト」触媒としても知られている。結果として、これらの触媒は、鎖の分子量に無関係に、比較的狭い分子量分布(3未満、好ましくは2.4未満)およびポリマー鎖に沿って均一なαオレフィン分布を有するエチレンとαオレフィンのコポリマーをもたらす。更に、mLLポリマーは、典型的には炭素原子1000個当たり1個未満の長鎖分岐を有して線状または実質的に線状である。任意に、触媒系は、シクロペンタジエニル官能基を含まない第2の成分を導入してもよく、その成分は、主触媒のための共触媒または活性剤として機能する。こうした触媒系は、米国特許公報(特許文献10)および米国特許公報(特許文献11)に記載されている。mLL樹脂の例には、イグザクト(Exact)」(商標)および「エクシード(Exceed)」(商標)という商品名でエクソンモービル・ケミカル(ExxonMobil Chemical Co.)によって、ならびに「アフィニティ(Affinity)」(商標)および「エリート(Elite)」(商標)という商品名でダウ・ケミカル(Dow Chemical Co.)によって販売されている製品が挙げられる。
【0014】
「低密度ポリエチレン樹脂」という用語は、高圧管式反応器または高圧オートクレーブ反応器内でメタロセン触媒型プロセスでなくラジカル技術によって重合されているポリエチレンホモポリマーを意味する。こうした樹脂は、高度に分岐されており、0.94g/cc未満の密度を有し、3を上回る分子量分布(MWD)を有する。LDPE樹脂の例には、「エクソンモービル(ExxonMobil)」LDシリーズおよびダウ・ケミカル(Dow Chemical)から入手できるLDPE樹脂シリーズが挙げられる。
【0015】
本発明の組成物中で用いられる樹脂ブレンドは、樹脂ブレンドの全重量を基準にして1〜99重量%(好ましくは50〜90重量%)のメタロセン触媒型線状低密度ポリエチレン樹脂および樹脂ブレンドの全重量を基準にして99〜1重量%(好ましくは50〜10重量%)の低密度ポリエチレン樹脂を含む。
【0016】
本発明の押出し成形可能な組成物中で有用なフルオロエラストマーは、室温およびそれ以上で通常は流体状態を取るフルオロポリマー、すなわち、室温より低いTgの値を有するとともに室温で殆どまたは全く結晶度を示さないフルオロポリマーである。少なくとも1:1.5のフッ素対水素比を有するフルオロエラストマーを用いることが好ましいが、それは必須ではない。適するフルオロエラストマーを生じさせるために共重合してもよいフッ素化モノマーには、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンおよびパーフルオロアルキルパーフルオロビニルエーテルが挙げられるが、それらに限定されない。用いてもよいフルオロエラストマーの特定の例には、フッ化ビニリデンと、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、1−ヒドロペンタフルオロプロピレンおよび2−ヒドロペンタフルオロプロピレンから選択されたコモノマーとのコポリマー、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレンおよび、ヘキサフルオロプロピレン、1−ヒドロペンタフルオロプロピレンまたは2−ヒドロペンタフルオロプロピレンから選択されたコモノマーのコポリマー、ならびにテトラフルオロエチレン、プロピレンおよび任意にフッ化ビニリデンのコポリマーが挙げられるが、それらに限定されない。それらのすべては技術上知られている。場合によって、これらのコポリマーは、アポセカー(Apotheker)およびクルシック(Krusic)による米国特許公報(特許文献12)で教示されたような臭素含有コモノマーまたは米国特許公報(特許文献13)で教示されたような末端臭素基も含んでよい。後者の特許は、フルオロエラストマーへのヨード基含有フルオロオレフィンコモノマーの導入も開示している。フッ素化モノマーが特定のモル比でこれらのコポリマー中に存在する時、ポリマーのガラス転移温度は0℃に近いかまたは0℃未満であり、組成物は容易に入手可能な商用物品である有用なエラストマーである。好ましくは、本発明の組成物中で用いられるフルオロエラストマーは、i)フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン、ii)フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン/テトラフルオロエチレン、iii)テトラフルオロエチレン/プロピレンまたはiv)テトラフルオロエチレン/プロピレン/フッ化ビニリデンの共重合単位を含む。
【0017】
本発明の押出し成形可能な組成物中で用いられるフルオロエラストマーは、30〜60のムーニー粘度(ML(1+10)、121℃における)を有し、組成物の全重量を基準にして25〜2000ppmのレベルで存在する。2種以上のフルオロエラストマーを本発明の組成物中で用いてもよく、ここで、全フルオロエラストマーのレベルは25〜2000ppmである。
【0018】
本発明の組成物は界面剤も含む。界面剤のレベルは、フルオロエラストマーに対する界面剤の重量比が0.1〜0.9(好ましくは0.2〜0.8)であるようなレベルである。2種以上の界面剤を本発明の組成物中で用いてもよく、ここで、フルオロエラストマーに対する全界面剤の重量比は0.1〜0.9である。
【0019】
「界面剤」とは、1)押出温度で液体状態(または溶融状態)を取る、2)mLL樹脂およびLDPE樹脂ならびにフルオロエラストマーより低い溶融粘度を有し、3)押出し成形可能な組成物中のフルオロエラストマー粒子の表面を自由に濡らすことにより特徴付けられる、フルオロエラストマー、mLL樹脂およびLDPE樹脂とは異なる化合物を意味する。こうした界面剤の例には、i)シリコーン−ポリエーテルコポリマー、ii)ポリ(ブチレンアジペート)、ポリ(乳酸)およびポリカプロラクトンポリエステルなどの脂肪族ポリエステル(好ましくは、ポリエステルは、ジカルボン酸とポリ(オキシアルキレン)ポリマーとのブロックコポリマーではない)、iii)フタル酸ジイシブチルエステルなどの芳香族ポリエステル、iv)ポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)などのポリエーテルポリオール(好ましくはポリアルキレンオキシドではない)、v)オクチルジメチルアミンオキシドなどのアミンオキシド、vi)ヒドロキシ−ブタン二酸などのカルボン酸、vii)ソルビタンモノラウレートおよびトリグリセリドなどの脂肪酸エステルおよびvii)ポリ(オキシアルキレン)ポリマーが挙げられるが、それらに限定されない。本明細書で用いられる「ポリ(オキシアルキレン)ポリマー」という用語は、米国特許公報(特許文献2)で定義されているこれらのポリマーおよびそれらの誘導体を意味する。こうしたポリマーには、ポリエチレングリコールおよびそれらの誘導体が挙げられる。
【0020】
好ましい脂肪族ポリエステル界面剤は、1000〜32000、好ましくは2000〜10000、最も好ましくは2000〜4000の範囲内の数平均分子量を有するポリカプロラクトンである。好ましくは、ポリカプロラクトンポリマーは、1,4−ブタンジオールによって開始されるイプシロンカプロラクトンの開環反応から誘導される。
【0021】
界面剤は比較的低い分子量の原料であり、それは、フルオロエラストマー加工助剤およびmLL−LDPE樹脂ブレンドの特定の系のために、フルオロエラストマー相とmLL−LDPE樹脂ブレンド相との間の界面で第3の相として選択的に存在する。
【0022】
本発明の組成物はイオノマーを実質的に含まない。「実質的に含まない」とは、本発明の押出し成形可能な組成物の全重量を基準にして20ppm未満、好ましくは10ppm未満、最も好ましくは0ppmのイオノマーを意味する。より高いイオノマーレベルは、ブローフィルムの表面粗さを引き起こす。「イオノマー」とは、C〜Cαオレフィンとエチレン系不飽和カルボン酸またはジカルボン酸のコポリマーである樹脂のカルボン酸基を少なくとも部分的に中和することにより製造されたイオノマーポリマーを意味する。イオノマーの特定の例には、カルボン酸側基が、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、鉛、錫、亜鉛またはアルミニウムなどの少なくとも1個のカチオンで少なくとも部分的に塩に転化されたエチレン/アクリル酸コポリマーおよびエチレン/メタクリル酸コポリマーが挙げられるが、それらに限定されない。イオノマーは技術上周知されている。例えば米国特許公報(特許文献14)参照。
【0023】
本発明の押出し成形可能な組成物を製造するために適するプロセスは、フルオロポリマー、界面剤、mLLおよびLDPEがブローフィルムダイの上流でいかなる順序でも組み合わされるプロセスである。好ましくは、フルオロポリマーおよび界面剤はコンパウンドされて、ポリオレフィン樹脂キャリア、1〜10重量%のフルオロエラストマーおよび対応する量の界面剤を含有する加工助剤コンセントレートを生成して、フルオロエラストマーに対する界面剤重量比0.1〜0.9を維持する。キャリアとして用いられるポリオレフィン樹脂は、エチレン単位および任意にC〜C10αオレフィンの共重合単位を含むいかなるポリマーであってもよい。好ましくは、キャリア樹脂は、mLL樹脂およびLDPE樹脂の融点以下の融点を有し、mLL樹脂およびLDPE樹脂のメルトインデックスより大きいメルトインデックス(190℃、2160g)も有する。コンセントレートをコンパウンドするために適するミキサーには、一軸スクリュー押出機または二軸スクリュー押出機、バンバリータイプなどの内部ミキサーまたはゴム用二本ロール機が挙げられる。その後、コンセントレートはmLL樹脂およびLDPE樹脂のペレットブレンド中で最終加工助剤濃度に下げられ、フィルム押出機のホッパーに導入される。あるいは、mLLおよびLDPEは、上に記載された装置のいずれかの中で溶融混合し、ペレット化するとともに、フィルム押出機に入る前に加工助剤コンセントレートとドライブレンドすることが可能である。フィルム押出機に組成物を導入する最終的に好ましい方法は、mLL樹脂中に加工助剤組成物をコンパウンドし(加工助剤組成物の直接添加によって、または加工助剤コンセントレートの中間工程を通して)、その後、フィルム押出機のホッパーに混合物を導入する前にmLL加工助剤混合物をLDPEとペレットブレンドすることを含む。
【0024】
本発明の押出し成形可能な組成物は、充填剤(例えば、カーボンブラック、二酸化ケイ素、タルクおよび二酸化チタン)、着色剤、酸化防止剤および粘着防止剤に限定されないが、それらなどの他の原料を任意に含有してもよい。これらの補助原料は、最終溶融物成形プロセスを含みそれに至るまで前述したコンパウンド工程のどこでも添加してよい。
【0025】
本発明の押出し成形可能な組成物はブローフィルムならびにワイヤー外被およびケーブル外被の製造において特に有用である。
【実施例】
【0026】
これらの実施例で用いられた材料は次の通りである:
mLL−LDPE樹脂ブレンドは、「エクソンモービル(ExxonMobil)」1018C mLLと「ダウ(Dow)」640i LDPEの70/30(重量)ブレンドであった。各樹脂のメルトインデックス(190℃、2160g)はそれぞれ1および2であった。
【0027】
これらの実施例で用いられたポリマー加工助剤マスターバッチは次の通りであった。
PPA−1:a)75の121℃におけるML(1+10)を有する52重量%のフッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン(60/40重量比)コポリマーフルオロエラストマー、b)42重量%のポリエチレングリコールおよびc)残りのミネラル分配剤を含むブレンド。
PPA−2:a)75の121℃におけるML(1+10)を有する32重量%のフッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン(60/40重量比)コポリマーフルオロエラストマー、b)65重量%のポリカプロラクトンおよびc)残りのミネラル分配剤を含むブレンド。
PPA−3:a)40の121℃におけるML(1+10)を有する66重量%のフッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン(60/40重量比)コポリマーフルオロエラストマー、b)27重量%のポリカプロラクトンおよびc)残りのミネラル分配剤を含むブレンド。
【0028】
(実施例1)
mLL−LDPE樹脂ブレンド中のそれぞれのポリマー加工助剤マスターバッチを押出機に落とすことにより、比較される押出し成形可能な組成物(サンプルA〜B)および本発明の押出し成形可能な組成物(サンプル1)を調製した。押出し成形可能な組成物中の全加工助剤濃度(フルオロエラストマー+界面剤)は500ppmであった。
【0029】
0.030インチ(0.12mm)の空隙を有する4インチ(1.58cm)ブローフィルムダイを備えたL/D24:1の2.5インチ(0.98cm)押出機を用いて、これらの組成物から厚さ25マイクロメートルのブローフィルムを製造した。(フィード区画で始まる)バレルゾーン温度は、160℃、180℃、194℃および190℃であり、アダプター温度およびダイ温度は200℃であった。実験ごとの溶融温度は、212〜214℃であり、各実験の開始時のダイ圧は、27.7〜28.3MPaの範囲内であった。スクリューは、40回転/分(rpm)で運転するバレルフライトによる従来の設計であった。各実験の開始時の押出機の産出量は45.5kg/時間であり、約500秒−1のダイ空隙における見掛け剪断速度をもたらした。
【0030】
各試験の実験の前に、50%シリカ(珪藻土)を含むマスターバッチで押出機およびダイをパージして、前の試験からのフルオロエラストマーを除去した。mLL−LDPEにより押出機からシリカマスターバッチをパージした後、各試験が100%メルトフラクチャで始まることを確実にするために100%mLL−LDPEを用いて10分にわたりブローフィルムを製造した。
【0031】
試験されている押出し成形可能な組成物を押出機の供給口に落とした時、1秒目盛り付きディジタルタイマーをスタートさせた。各押出し成形可能な組成物のメルトフラクチャ除去性能をダイから出る溶融物およびブローフィルムの粗度の連続目視観察によって監視した。この方式でメルトフラクチャが見えなかった時、ディジタルタイマーを止め、フィルムサンプルを検査のために採取して、メルトフラクチャが完全に無くなったことを確実にし、楕円形状欠陥が存在したか否かを決定した。メルトフラクチャが完全に除去された場合、状態調節時間をディジタルタイマー上に登録する時間として記録した。
【0032】
これらの試験の結果を表1に示している。
【0033】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)樹脂ブレンドの全重量を基準にして1〜99重量%のメタロセン触媒型線状低密度ポリエチレン樹脂および樹脂ブレンドの全重量を基準にして99〜1重量%の低密度ポリエチレン樹脂を含む樹脂ブレンド、
B)押出し成形可能な組成物の全重量を基準にして25〜2000ppmの、121℃におけるムーニー粘度ML(1+10)が30〜60であるフルオロエラストマーおよび
C)フルオロエラストマーに対する界面剤の重量比が0.1〜0.9となる量の界面剤、
を含む押出し成形可能な組成物であって、該組成物が0〜20ppmのイオノマーを含有することを特徴とする押出し成形可能な組成物。
【請求項2】
前記樹脂ブレンドが、前記樹脂ブレンドの全重量を基準にして、50〜90重量%のメタロセン触媒型線状低密度ポリエチレン樹脂および前記樹脂ブレンドの全重量を基準にして、50〜10重量%の低密度ポリエチレン樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の押出し成形可能な組成物。
【請求項3】
前記フルオロエラストマーが、i)フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン、
ii)フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン/テトラフルオロエチレン、iii)テトラフルオロエチレン/プロピレンおよびiv)テトラフルオロエチレン/プロピレン/フッ化ビニリデンからなる群から選択された共重合単位を含むことを特徴とする請求項1に記載の押出し成形可能な組成物。
【請求項4】
前記フルオロエラストマーがフッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレンの共重合単位を含むことを特徴とする請求項3に記載の押出し成形可能な組成物。
【請求項5】
前記界面剤がi)シリコーン−ポリエーテルコポリマー、ii)脂肪族ポリエステル、iii)芳香族ポリエステル、iv)ポリエーテルポリオール、v)アミンオキシド、vi)カルボン酸、vii)脂肪酸エステルおよびvii)ポリ(オキシアルキレン)ポリマーからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の押出し成形可能な組成物。
【請求項6】
前記界面剤が脂肪族ポリエステルであることを特徴とする請求項5に記載の押出し成形可能な組成物。
【請求項7】
前記脂肪族ポリエステルが1000〜32000の数平均分子量を有するポリカプロラクトンであることを特徴とする請求項6に記載の押出し成形可能な組成物。
【請求項8】
前記界面剤がポリ(オキシアルキレン)ポリマーであることを特徴とする請求項5に記載の押出し成形可能な組成物。
【請求項9】
前記ポリ(オキシアルキレン)ポリマーがポリエチレングリコールであることを特徴とする請求項8に記載の押出し成形可能な組成物。

【公表番号】特表2007−510003(P2007−510003A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524002(P2006−524002)
【出願日】平成16年8月18日(2004.8.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/026795
【国際公開番号】WO2005/019334
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(597035953)デュポン パフォーマンス エラストマーズ エルエルシー (44)
【Fターム(参考)】