説明

メダル清掃装置

【課題】 清掃能力を低下させることなく、使用する洗浄水を少量にして運転中の洗浄水の交換作業を省略させる。
【解決手段】 メダル搬送路の途中位置にメダルmを上下から押圧しながら送り出す一対の吸水性の清掃ローラ11を設け、清掃ローラ11の下部と接して洗浄水Wを毛細管現象により清掃ローラ11へ給水して湿らせる毛束15を設け、洗浄水Wを貯水した貯水タンク16を毛束15の下部が浸漬できる位置に設け、清掃ローラ11を駆動させる駆動手段を設け、湿らせた清掃ローラ11でメダルmを拭うようにして油脂等の汚れを清掃できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシン等の遊技に使用されるメダルの清掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、メダル洗浄研磨装置が特許文献1で開示されている。この技術は、図6に示すように、上下のブラシ盤22間にメダルmを洗浄水Wとともに送り込みながら回転させ、回転と遠心力によりメダルmを洗浄研磨しながら円周方向へ移行させ、メダルmに付着している洗浄水Wを吸水ローラ23で吸水して排出させるようにした構造を特徴としている。図中、21はメダル投入口、24は吸水ローラ23が吸水した洗浄水Wを絞り出す絞りローラ、25は貯水タンク、26は洗浄水Wを送り出すポンプである。
【0003】
ところで、前記技術では洗浄水Wの循環機器を必要として装置が大型複雑化し、運転中は汚染された洗浄水Wを交換する作業が必要であった。また、洗浄水Wを用いない乾式の装置では、除去した汚れがメダルmに付着し易く、清掃能力に劣る問題があった。
【特許文献1】特開2005−328892号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題点を解消し、清掃能力を低下させることなく、使用する洗浄水を少量にして運転中の洗浄水の交換作業を省略できる小型簡易構造のメダル清掃装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) メダル搬送路の途中位置にメダルの上下面を押圧しながら搬送方向へ送り出す一対の吸水性の清掃ローラを設け、下側の清掃ローラの下部と接して洗浄水を毛細管現象により清掃ローラへ給水して湿らせる給水部材を設け、洗浄水を貯水した貯水タンクを給水部材の下部が浸漬できる位置に設け、清掃ローラを駆動させる駆動手段を設け、少量の洗浄水で湿らせた清掃ローラでメダルを拭うようにして汚れを清掃できるようにしたことを特徴とする、メダル清掃装置
2) 給水部材が、多数本の線材を束ねて構成した毛束である、前記1)記載のメダル清掃装置
3) 清掃ローラと給水部材との間に吸水性の中間ローラをそれぞれが接する位置に介在し、給水部材からの洗浄水を中間ローラでさらに微量にして清掃ローラへ給水できるようにした、前記1)又は2)記載のメダル清掃装置
4) メダル搬送路の途中位置にメダルの上下面を押圧しながら搬送方向へ送り出す一対の吸水性の清掃ローラを設け、下側の清掃ローラの下部と接して洗浄水を段階的に少量にして清掃ローラへ給水して湿らせる複数の給水ローラを設け、洗浄水を貯水した貯水タンクを少なくとも最下段の給水ローラが浸漬できる位置に設け、清掃ローラと給水ローラを駆動させる駆動手段を設け、少量の洗浄水で湿らせた清掃ローラでメダルを拭うようにして汚れを清掃できるようにしたことを特徴とする、メダル清掃装置
5) 貯水タンクを複数の給水ローラが浸漬できる深さに形成し、最下段の給水ローラを貯水タンクの底面付近に配置した、前記4)記載のメダル清掃装置
6) 給水ローラが、硬質の材料で構成され、ローラ面に微細な溝を多数形成したものである、前記4)又は5)記載のメダル清掃装置
7) メダル搬送路の清掃ローラより上流位置にメダルを一対のブラシ盤で研磨するメダル研磨部を設けた、前記1)〜6)いずれか記載のメダル清掃装置
にある。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、給水部材又は給水ローラで洗浄水を必要最低量にして清掃ローラへ給水し、湿らせた一対の清掃ローラでメダルを上下から押圧して摩擦と少量の洗浄水で油脂等の汚れを拭うように清掃して送り出す。したがって、従来のように洗浄水の循環機器を必要とせず装置を小型簡易化でき、汚染された洗浄水の交換作業を省略できる。また、除去された汚れは洗浄水を含んだ清掃ローラに吸着されてメダルに付着し難く、乾式の装置と比較して清掃能力が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の給水部材としては、ナイロン等の合成樹脂の線材を多数本束ねた毛束や吸水性に優れた布材等、吸水した洗浄水が毛細管現象で容易に移行できる材料が用いられる。給水部材の長さは清掃ローラの大きさや清掃ローラまでの距離、送り出す洗浄水の量に応じて選定される。給水方向は清掃ローラの下方又は上方あるいは横方向からでもよく、装置の構造に応じて選定される。清掃ローラや中間ローラ、給水ローラとしては、連続気泡を備えた発泡合成樹脂や吸水性の布材を巻き付けたものが用いられ、油脂等の拭き取り性に優れたものが望ましい。特に給水ローラとして硬質のプラスチック等で構成し、ローラ面に微細な溝を多数形成したものを用いると、汚れにくく耐久性に優れるとともに、溝の幅及び深さを変更することでローラ面が平坦なものと比較して給水量を容易に調整できるので好ましい。洗浄水としては水又は水に洗浄液を適量混合したものが用いられる。以下、本発明の各実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
【実施例1】
【0008】
図1〜3に示す実施例1は、清掃ローラへの給水手段して毛束を用い、清掃ローラの上流位置にメダル研磨部を一体的に設けたメダル清掃装置の例である。図1は実施例1のメダル清掃装置の縦断面図、図2は実施例1のメダル清掃装置の分解斜視図、図3は実施例1の清掃ローラと毛束の斜視図である。
【0009】
図中、1はメダル清掃装置、2はメダル投入口、3は上側ブラシ盤、3aはブラシ毛、4は下側ブラシ盤、4aはブラシ毛、4bは軟質シート、5は筒体、5aはメダル排出路、6はメダル搬送路、7はメダル排出口、8は回転軸、8aは従動ローラ、9はモータ、9aは駆動ローラ、10は駆動ベルト、11は清掃ローラ、11aはギヤ、12は中間ローラ、12aはギヤ、12bは小ギヤ、13は駆動チェーン、14はモータ、14aは駆動ギヤ、15は毛束(給水部材)、15aは取付具、16は貯水タンク、mはメダル、Wは洗浄水である。
【0010】
実施例1のメダル清掃装置1は、図1に示すように上部にすり鉢状のメダル投入口2を備え、メダル投入口2の下端に上側ブラシ盤3を固定し、上側ブラシ盤3の直下に下側ブラシ盤4を回転自在に配置し、上側ブラシ盤3と下側ブラシ盤4の周囲及び底部を覆う筒体5を設け、筒体5の底面を穿孔して回転軸8を配置して下側ブラシ盤4と接続し、回転軸8の従動ローラ8aとモータ9の駆動ローラ9aとの間に駆動ベルト10を掛架している。軟質シート4bはメダルmの滑りを防止するものである。
【0011】
筒体5の側部にはメダル排出路5aを形成し、メダル搬送路6の途中位置に上下一対の清掃ローラ11を搬送方向に沿って2組設け、下側の清掃ローラ11の下方に中間ローラ12を清掃ローラ11の下部と接するように設け、底部に毛束15を取付具15aで植毛した貯水タンク16を毛束15の上部が中間ローラ12の下部と接するように設け、貯水タンク16に洗浄水Wを貯水して毛束15の下部を浸漬している。
【0012】
清掃ローラ11と中間ローラ12の軸端にはギヤ11a,12aと小ギヤ12bを取り付けるとともにギヤ11a,12a同士を歯合し、小ギヤ12bとモータ14の駆動ギヤ14aとの間に駆動チェーン13を掛架している。清掃ローラ11と中間ローラ12は連続気泡を備えたスポンジで構成し、毛束15はナイロンの線材で構成している。洗浄水Wは水を使用している。
【0013】
実施例1では、モータ9,14を作動させて下側ブラシ盤4と清掃ローラ11と中間ローラ12を回転させる。毛束15は毛細管現象で貯水タンク16の洗浄水Wを吸水して中間ローラ12へ給水し、中間ローラ12は吸水した洗浄水Wを少量にして清掃ローラ11へ給水して清掃ローラ11を適度に湿らせる。なお、清掃ローラ11が湿るまである程度時間を要するから、清掃開始までしばらく空運転する。
【0014】
汚れたメダルmをメダル投入口2へ投入すると、下側ブラシ盤4の回転によりメダルmがブラシ毛3a,4aで研磨されながら円周方向へ移行し、メダル排出路5aから清掃ローラ11方向へ排出される。研磨された汚れは下側ブラシ盤4や筒体5の底部に溜まる。このブラシ毛3a,4aによる研磨は大きなゴミ・汚れは除去されるが、メダルmの表面に付着している油脂や微細なゴミは除去が不十分な状態にある。しかし、その後本発明の要部である清掃ローラ11が搬送された研磨済みのメダルmを上下から押圧して摩擦と少量の洗浄水Wで研磨後の表面に残っている油脂や微細なゴミを拭うように確実に清掃し、メダル排出口7から排出される。
【0015】
排出されたメダルmの表面に洗浄水Wはほとんど残っておらず、その後は特に乾燥させることなく直に遊技機へ搬送できる。わずかに湿っている場合でも搬送中に早期に乾燥するから支障はない。除去された汚れは洗浄水Wを含んだ清掃ローラ11に吸着され、メダルmに付着することはない。洗浄水Wの消費量はおよそ100cc/時間(メダルmへの付着量は1枚当たり0.1cc以下)で、洗浄水Wの貯水量は清掃ローラ11・中間ローラ12・毛束15の吸水量と運転時間(例えば10時間)を考慮してもおよそ5〜8L程度で十分であり、洗浄水Wを補充することなくおよそ12万枚のメダルmを連続的に清掃できる。
【実施例2】
【0016】
図4,5に示す実施例2は、清掃ローラへの給水手段して複数の給水ローラを用い、清掃ローラの上流位置にメダル研磨部を一体的に設けたメダル清掃装置の例である。図4は実施例2のメダル清掃装置の縦断面図、図5は実施例2の清掃ローラと給水ローラの斜視図である。図中、17は給水ローラ、17aはギヤ、17bは小ギヤ、17cは溝である。
【0017】
実施例2は、下側の清掃ローラ11の下方に2段の給水ローラ17を上段の給水ローラ17が下側の清掃ローラ11の下部と接するように設け、洗浄水Wを貯水した貯水タンク16を下段の給水ローラ17の全体が浸漬する位置に設けている。給水ローラ17は硬質のプラスチックで構成し、ローラ面に幅及び深さが0.5〜1mmの微細な溝17cを2mm間隔で多数形成している。溝17cの方向は、上段の給水ローラ17は並行に形成し、下段の給水ローラ17は交叉するように形成している。上段の給水ローラ17の軸端にはギヤ17aと小ギヤ17bを取り付けるとともにギヤ11a,17a同士を歯合し、小ギヤ17bとモータ14の駆動ギヤ14aとの間に駆動チェーン13を掛架している。下段の給水ローラ17は貯水タンク16の側部に軸支している。
【0018】
実施例2では、モータ9,14を作動させて下側ブラシ盤4と清掃ローラ11と給水ローラ17を回転させると、下段の給水ローラ17の表面の洗浄水Wが毛細管現象で上段の給水ローラ17の溝17cに吸水されて行き渡り、その洗浄水Wが清掃ローラ11へ少量給水されて清掃ローラ11を適度に湿らせる。
【0019】
そして、実施例1と同様に清掃ローラ11は搬送された研磨済みのメダルmを上下から押圧して摩擦と少量の洗浄水Wで研磨後の表面を拭うように清掃する。貯水タンク16の洗浄水Wは少しずつ減少するが、少なくとも下段の給水ローラ17の一部が浸漬していれば毛細管現象で溝17cに吸水されるから補充することなく清掃を継続できる。その他、符号、構成、作用効果は実施例1と同じである。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明のメダル清掃装置は、スロットマシン等の遊技に使用されるメダルの清掃に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例1のメダル清掃装置の縦断面図である。
【図2】実施例1のメダル清掃装置の分解斜視図である。
【図3】実施例1の清掃ローラと毛束の斜視図である。
【図4】実施例2のメダル清掃装置の縦断面図である。
【図5】実施例2の清掃ローラと給水ローラの斜視図である。
【図6】従来のメダル洗浄研磨装置の縦断面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 メダル清掃装置
2 メダル投入口
3 上側ブラシ盤
3a ブラシ毛
4 下側ブラシ盤
4a ブラシ毛
4b 軟質シート
5 筒体
5a メダル排出路
6 メダル搬送路
7 メダル排出口
8 回転軸
8a 従動ローラ
9 モータ
9a 駆動ローラ
10 駆動ベルト
11 清掃ローラ
11a ギヤ
12 中間ローラ
12a ギヤ
12b 小ギヤ
13 駆動チェーン
14 モータ
14a 駆動ギヤ
15 毛束
15a 取付具
16 貯水タンク
17 給水ローラ
17a ギヤ
17b 小ギヤ
17c 溝
21 メダル投入口
22 ブラシ盤
23 吸水ローラ
24 絞りローラ
25 貯水タンク
26 ポンプ
m メダル
W 洗浄水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メダル搬送路の途中位置にメダルの上下面を押圧しながら搬送方向へ送り出す一対の吸水性の清掃ローラを設け、下側の清掃ローラの下部と接して洗浄水を毛細管現象により清掃ローラへ給水して湿らせる給水部材を設け、洗浄水を貯水した貯水タンクを給水部材の下部が浸漬できる位置に設け、清掃ローラを駆動させる駆動手段を設け、少量の洗浄水で湿らせた清掃ローラでメダルを拭うようにして汚れを清掃できるようにしたことを特徴とする、メダル清掃装置。
【請求項2】
給水部材が、多数本の線材を束ねて構成した毛束である、請求項1記載のメダル清掃装置。
【請求項3】
清掃ローラと給水部材との間に吸水性の中間ローラをそれぞれが接する位置に介在し、給水部材からの洗浄水を中間ローラでさらに微量にして清掃ローラへ給水できるようにした、請求項1又は2記載のメダル清掃装置。
【請求項4】
メダル搬送路の途中位置にメダルの上下面を押圧しながら搬送方向へ送り出す一対の吸水性の清掃ローラを設け、下側の清掃ローラの下部と接して洗浄水を段階的に少量にして清掃ローラへ給水して湿らせる複数の給水ローラを設け、洗浄水を貯水した貯水タンクを少なくとも最下段の給水ローラが浸漬できる位置に設け、清掃ローラと給水ローラを駆動させる駆動手段を設け、少量の洗浄水で湿らせた清掃ローラでメダルを拭うようにして汚れを清掃できるようにしたことを特徴とする、メダル清掃装置。
【請求項5】
貯水タンクを複数の給水ローラが浸漬できる深さに形成し、最下段の給水ローラを貯水タンクの底面付近に配置した、請求項4記載のメダル清掃装置。
【請求項6】
給水ローラが、硬質の材料で構成され、ローラ面に微細な溝を多数形成したものである、請求項4又は5記載のメダル清掃装置。
【請求項7】
メダル搬送路の清掃ローラより上流位置にメダルを一対のブラシ盤で研磨するメダル研磨部を設けた、請求項1〜6いずれか記載のメダル清掃装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−296181(P2007−296181A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−127474(P2006−127474)
【出願日】平成18年5月1日(2006.5.1)
【出願人】(000108247)株式会社ジェッター (42)
【Fターム(参考)】