説明

メダル貸出システム及びメダル貸出方法

【課題】メダル貸し機を介してパチスロ機にメダル貸し出しを行う場合に、パチスロ機がゲーム中状態であることを理由に遊技客のメダル貸出操作を無効化する事態を効率良く防止し、もって遊技客に対して円滑にメダルを貸し出すことを課題とする。
【解決手段】パチスロ機10とメダル貸し機30との間にPRDY信号線Cを設け、このPRDY信号線Cを介してパチスロ機10がゲーム中状態であるか否かを示すPRDY信号をメダル貸し機30に通知し、メダル貸し機30では、メダル貸出操作が行われた場合であってもこのPRDY信号がゲーム中状態を示すONであればOFFになるまでタイミング調整を行って貸出指示信号をパチスロ機10に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチスロ機と通信可能に併設されたメダル貸し機が貨幣若しくは有価価値が価値付けられた記録媒体を受け付けてメダル貸出処理を行い、このメダル貸出処理に応答してパチスロ機からメダルを貸し出すメダル貸出システム及びメダル貸出方法に関し、特に、メダル貸し機を介してパチスロ機にメダル貸し出しを行う場合に、パチスロ機がゲーム中状態であることを理由に遊技客のメダル貸出操作を無効化する事態を効率良く防止し、もって遊技客に対して円滑にメダルを貸し出すことができるメダル貸出システム及びメダル貸出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、いわゆるパチスロ機と呼ばれるパチスロ機には、特許文献1に記載されるように、パチスロ遊技に必要なメダルを貸し出すメダル貸し機が併設されており、遊技者は、このメダル貸し機に紙幣を投入してメダルを借り受けるとともに、借り受けたメダルをパチスロ機に投入してパチスロ遊技を行っていた。
【0003】
このように、パチスロ遊技を行う場合には、貨幣をメダル貸し機に投入して該メダル貸し機からメダルを借り受けるのが一般的であったが、最近の規制緩和に伴って、遊技者が借り受けるメダルをパチスロ機本体から投出するCRパチスロ機の登場が予想されている。
【0004】
かかるCRパチスロ機では、遊技者があらかじめ購入したプリペイドカード若しくは現金をメダル貸し機に投入した後にCRパチスロ機等に配設された貸出ボタンを遊技者が押下すると、CRパチスロ機本体からメダルが投出されることになる。
【0005】
【特許文献1】特開2003−135672号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、現在のCRパチンコ機に配設されているCRユニットを単純にパチスロ機に組み込もうとしたとしても、パチスロ機の制御特性上、パチスロ機のゲーム中はメダル貸出処理が禁止されることになる。このため、遊技客が貸出ボタンを押下操作したとしても、パチスロ機側がゲーム中である場合にはこのメダル貸出操作が無視される。
【0007】
具体的には、パチスロ機では、遊技客がメダル投入口にメダルを投入してスタートボタンを操作すると絵柄が貼付されたドラムが回動し、その後遊技客がストップボタンを押下操作すると回動するドラムが停止するとともに、役が当選した場合にはこの役に相当する枚数の賞メダルがメダルホッパから払い出される。ところが、上記スタートボタンの操作から賞メダルの払出までの間は、ゲーム中とみなされてメダル貸しを行わないことになる。
【0008】
このことから、メダル貸し機を介してパチスロ機にメダル貸し出しを行う場合に、パチスロ機がゲーム中状態であることを理由に遊技客のメダル貸出操作を無効化する事態をいかに防止するかが重要な課題となっている。
【0009】
この発明は、上記課題(問題点)に鑑みてなされたものであり、メダル貸し機を介してパチスロ機にメダル貸し出しを行う場合に、パチスロ機がゲーム中状態であることを理由に遊技客のメダル貸出操作を無効化する事態を効率良く防止し、もって遊技客に対して円滑にメダルを貸し出すことができるメダル貸出システム及びメダル貸出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するため、本発明は、パチスロ機と通信可能に併設されたメダル貸し機が貨幣若しくは有価価値が価値付けられた記録媒体を受け付けてメダル貸出処理を行い、このメダル貸出処理に応答して前記パチスロ機からメダルを貸し出すメダル貸出システムであって、前記パチスロ機は、当該パチスロ機がゲーム中状態であるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果を前記メダル貸し機に通知する通知手段とを備え、前記メダル貸し機は、所定のメダル貸出操作がなされたことを示す信号を受け付け、かつ、前記通知手段によりゲーム中状態でない旨の判定結果を受け付けた場合に、前記メダル貸出処理を行うことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、前記判定手段は、絵柄が貼付されたドラムを回動開始させるスタートレバーの操作を受け付けてから、前記ドラムを停止制御して入賞時にはその賞メダルを払い出すまでの間を前記ゲーム中状態であると判定することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記発明において、前記パチスロ機と前記メダル貸し機との間に、前記判定手段による判定結果通知用信号線を配設し、前記通知手段は、前記判定手段によりゲーム中状態であると判定されている間は当該判定結果通知用信号線に前記ゲーム中状態を意味する第1の信号を送出し、前記判定手段によりゲーム中状態でないと判定されている間は当該判定結果通知用信号線に前記ゲーム中状態ではないことを意味する第2の信号を送出することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記発明において、前記パチスロ機は、当該パチスロ機が異常状態であるか否かを検出する異常状態検出手段をさらに備え、前記通知手段は、前記判定手段によりゲーム中状態でないと判定され、かつ、前記異常状態検出手段により異常状態が検出されていない場合に前記判定結果通知用信号線に前記第2の信号を送出し、それ以外の場合に前記第1の信号を送出することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記発明において、前記メダル貸し機は、所定のメダル貸出操作がなされたことを示す信号を受け付けた際に、前記判定結果通知用信号線から受け付ける信号が前記第1の信号である場合には、該判定結果通知用信号線から受け付ける信号が前記第1の信号から前記第2の信号に変化した後に、前記パチスロ機に対して貸出指示を行うことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記発明において、前記メダル貸し機は、前記判定結果通知用信号線から受け付ける信号が所定の期間前記第1の信号から前記第2の信号に変化しない場合には、エラー処理を行うことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記発明において、パチスロ機と通信可能に併設されたメダル貸し機が貨幣若しくは有価価値が価値付けられた記録媒体を受け付けてメダル貸出処理を行い、このメダル貸出処理に応答して前記パチスロ機からメダルを貸し出すメダル貸出方法であって、前記パチスロ機が、当該パチスロ機がゲーム中状態であるか否かを判定する判定工程と、前記判定工程による判定結果を前記メダル貸し機に通知する通知工程と、前記メダル貸し機が、所定のメダル貸出操作がなされたことを示す信号を受け付け、かつ、前記通知手段によりゲーム中状態でない旨の判定結果を受け付けた場合に、前記メダル貸出処理を行う貸出処理工程とを含んだことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、パチスロ機は、当該パチスロ機がゲーム中状態であるか否かを判定してその判定結果をメダル貸し機に通知し、メダル貸し機が、所定のメダル貸出操作がなされたことを示す信号を受け付け、かつ、ゲーム中状態でない旨の判定結果を受け付けた場合に、メダル貸出処理を行うよう構成したので、パチスロ機が実質的にメダルの貸出処理を行えないゲーム中状態であるか否かをメダル貸し機側が認知し、メダル貸し機がパチスロ機に対して無駄な貸出指示を繰り返す事態を効率良く防止することができる。
【0018】
また、本発明によれば、絵柄が貼付されたドラムを回動開始させるスタートレバーの操作を受け付けてから、このドラムを停止制御して入賞時にはその賞メダルを払い出すまでの間をゲーム中状態であると判定するよう構成したので、現行のパチスロ機に適正に対応することができる。
【0019】
また、本発明によれば、パチスロ機とメダル貸し機との間に判定結果通知用信号線を配設し、ゲーム中状態であると判定されている間は当該判定結果通知用信号線にゲーム中状態を意味する第1の信号を送出し、ゲーム中状態でないと判定されている間は当該判定結果通知用信号線にゲーム中状態ではないことを意味する第2の信号を送出するよう構成したので、メダル貸し機が専用信号線をチェックするだけでパチスロ機がゲーム中状態であるか否かを効率良く把握することができる。
【0020】
また、本発明によれば、パチスロ機は、当該パチスロ機が異常状態であるか否かを検出し、ゲーム中状態でないと判定され、かつ、異常状態が検出されていない場合に判定結果通知用信号線に第2の信号を送出し、それ以外の場合に第1の信号を送出するよう構成したので、例えパチスロ機がゲーム中状態でなかったとしても、メダルホッパのエンプティやメダル詰まり等の異常が発生した場合には、メダルの貸出処理を行わないようにし、もって不適切なメダル貸しを抑制し、円滑かつ効率的な実運用に供することができる。
【0021】
また、本発明によれば、メダル貸し機は、所定のメダル貸出操作がなされたことを示す信号を受け付けた際に、判定結果通知用信号線から受け付ける信号が第1の信号である場合には、該判定結果通知用信号線から受け付ける信号が第1の信号から第2の信号に変化した後に、パチスロ機に対して貸出指示を行うよう構成したので、パチスロ機がゲーム中であることを理由に遊技客のメダル貸出操作を無効化する事態を効率良く防止し、もって遊技客に対して円滑にメダルを貸し出すことができる。
【0022】
また、本発明によれば、メダル貸し機は、判定結果通知用信号線から受け付ける信号が所定の期間前記第1の信号から第2の信号に変化しない場合には、エラー処理を行うよう構成したので、エラーが発生しているにも係わらず遊技客がメダルの貸し出しを長期間待つ状況を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るメダル貸出システム及びメダル貸出方法の好適な実施例を詳細に説明する。
【0024】
(メダル貸出システムの概略構成)
図1は、本実施例に係るメダル貸出システムの概略構成を示すブロック図である。ここで、本実施例で用いるプリペイドカードには、メダルを借り受ける際の基準となる「度数」と呼ばれる有価価値が付与される。
【0025】
図1に示すように、この実施例に係るメダル貸出システムでは、それぞれ「島」と呼ばれるグループごとに複数のパチスロ機10が配設され、ターミナルコントローラ70には、島コントローラ60と、カード発行機20と、カード更新機40と、カード精算機50とが接続されている。また、島コントローラ60にはパチスロ機10とメダル貸し機30が接続されている。
【0026】
パチスロ機10は、メダルをメダル投入口に投入して、3つのドラムを回転させるとともに、ストップボタンを順次押すことにより絵柄を揃えることで遊技をおこなう遊技機である。そして、図1に示すパチスロ機10は、貨幣の使用とともに、主にプリペイドカードを使って遊技するCRパチスロ機であり、プリペイドカードをメダル貸し機30に挿入して、メダルを借り受ける構成となっている。なお、このパチスロ機10及びメダル貸し機30の詳細な説明については後述する。
【0027】
カード発行機20は、プリペイドカードを発行する発行機であり、具体的には、遊技客が貨幣を投入して所望の金額のボタンを押すと、該当する金額分の度数が価値付けられたプリペイドカードが発行される。なお、プリペイドカード自体には度数は記憶されておらず、カード識別情報(カード番号)のみが磁気記録されている。このプリペイドカードの度数は、カード識別情報に対応付けてターミナルコントローラ70で管理されている。
【0028】
メダル貸し機30は、遊技客から挿入されたプリペイドカードの残度数の範囲内でメダルの貸出処理を行う処理機であり、具体的には、プリペイドカードのカード識別情報に対応付けられた度数を上限としたメダルの貸出処理を主機能とするものである。このメダル貸し機30は、遊技店に設置された1台或いは2台のパチスロ機10に対してのメダル貸し機として用意され、通常は、パチスロ機10の相互間に挟まれる形で設置される。
【0029】
カード更新機40は、有効期限を経過したプリペイドカードを新たなプリペイドカードとして発行する処理を行う装置であり、カード精算機50は、プリペイドカードに対応付けられた度数を現金として払い戻す処理を行う装置である。ターミナルコントローラ70は、各遊技店に少なくとも1台設置され、プリペイドカードのカードIDと残度数とを対応付けて管理する管理装置である。
【0030】
(パチスロ機及びメダル貸し機の外観構成)
次に、図1に示したパチスロ機10及びメダル貸し機30の外観構成について説明する。図2は、図1に示したパチスロ機10及びメダル貸し機30の外観を示した正面図である。パチスロ機10は、貨幣若しくはプリペイドカードを使って借り受けたメダルを用いて遊技を行ういわゆるCRパチスロ機であり、図1に示すように、プリペイドカード関連の操作部である貸出ボタン101及び返却ボタン102と、カード残高を表示するカード残高表示部103と、メダル投入口104と、スタートレバー105と、3つのドラム106〜108と、各ドラムの回転をストップさせるストップボタン109〜111と、クレジット残数を表示するクレジット表示部112と、3枚掛け〜1枚掛け用のクレジット投入ボタン113〜115と、3つのドラム106〜108の絵柄が揃っ際に獲得したメダル数が表示される払い出し表示部116と、パチスロ機10内部から払い出される賞メダル及び貸しメダルを受け入れる受け皿117とを有する。
【0031】
このパチスロ機10では、メダル投入口104に1〜3枚のメダルを投入してスタートレバー105を操作すると、3つのドラム106〜108がそれぞれ回動し、各ドラムのストップボタン109〜111を押下すると、それぞれのドラム106〜108が停止する。また、クレジット表示部112にメダル枚数が残っている場合には、クレジット投入ボタン113を押下し、スタートレバー105を操作すると、メダル投入口104に3枚のメダルを投入してスタートレバー105を操作した場合と同様に、3つのドラム106〜108がそれぞれ回動する。なお、3枚のメダルを投入してゲームをおこなう3枚掛けの場合には横3列および斜め2列の合計5列が対象となり、通常は、この有効ラインが5列となる3枚掛けでパチスロ遊技が行なわれる。
【0032】
そして、3つのドラム106〜108の対象領域に一定の絵柄が揃うと、払い出し表示部116に絵柄の種類に応じた獲得メダル枚数が表示されるとともに、この表示された枚数のメダルが払い出される。具体的には、このメダルは直ちに受け皿117に払い出されるわけではなく、クレジットとして内部保留され、クレジット表示部112の表示内容がメダル枚数分だけ加算される。
【0033】
メダル貸し機30は、縦長の直方体型の筐体として構成したもので、その前面パネルには、カードランプ301、現金ランプ302、紙幣投入口303、返却レバー304、種別ランプ305、金額表示部306、金額設定ボタン307及びカード挿入口308が設けられている。
【0034】
カードランプ301及び現金ランプ302は、プリペイドカード及び現金の受け付け可能状態を遊技者に報知するためのものである。紙幣投入口303は、紙幣を受け入れてこれを後述する紙幣処理部(ビルバリユニット)33に取り込むための開口である。なお、この紙幣処理部33は、取り込まれた紙幣の金種を識別し、この識別結果を制御部39に与えるとともに、取り込んだ紙幣を島端回収ボックスに搬出させるべく紙幣搬送路へ導出する。
【0035】
返却レバー304は、投入した貨幣を返却するためのものである。種別ランプ305は、貸し出す遊技媒体の種類、つまりパチンコ玉又はメダルのいずれを貸し出すかを点灯表示するためのものである。ここではパチスロ機10の台間に配設されているのでメダルの点灯表示がなされる。
【0036】
金額設定ボタン307は、パチスロ機10の貸出ボタンを1回操作する毎に貸し出されるメダルの枚数(貸し出し単位)を利用者が設定するためのものであり、その結果が金額表示部306に表示される。カード挿入口308は、プリペイドカードを受け入れてこれを後述するカード処理部34に取り込むための開口である。このカード処理部34は、取り込んだカードを読み取り、その読み取り結果を制御部39に与える処理をおこなう。
【0037】
(パチスロ機とメダル貸し機の間の信号線)
次に、図2に示したパチスロ機10とメダル貸し機30の間に配設される信号線について説明する。図3は、図2に示したパチスロ機10とメダル貸し機30の間に配設される信号線を説明するための説明図である。
【0038】
同図に示すように、パチスロ機10とメダル貸し機30の間には、パチスロ機10からメダル貸し機30に対してメダルの貸出要求信号を送信するための貸出要求信号線Aと、メダル貸し機30からパチスロ機10に対してメダルの貸出指示信号を送信するための貸出指示信号線Bとが設けられている。これらの信号線は従来から設けられているものであり、具体的には、パチスロ機10に設けられた貸出ボタン101が押下操作されると、貸出要求信号線Aを介して貸出要求信号がメダル貸し機30に通知され、メダル貸し機30がターミナルコントローラ70にプリペイドカードの残度数を問い合わせて残度数が存在することを確認したならば貸出指示信号線Bを介して貸出指示信号がパチスロ機10に通知される。
【0039】
本実施例では、これらの信号線とは別に、パチスロ機10とメダル貸し機30の間にPRDY信号線Cを設けている。このPRDY信号線Cは、パチスロ機10がゲーム中状態であるか否かを示すPRDY信号をメダル貸し機30に対して通知するための信号線である。このように、パチスロ機10がゲーム中状態であるか否かをメダル貸し機30に通知する理由は、パチスロ機10がゲーム中状態である場合には該パチスロ機10はメダルの貸し出しを行うことができず、メダル貸し機30からの貸出指示信号が無視される可能性があるからである。
【0040】
図4は、パチスロ機10の状態とPRDY信号の関係を示す図である。同図に示すように、パチスロ機10は、遊技客がメダル投入口104からメダルを投入し、スタートレバー105を操作すると、3つのドラム106〜108がそれぞれ回動し、各ドラムのストップボタン109〜111を押下すると、それぞれのドラム106〜108が停止し、入賞時には賞メダルが払い出される。
【0041】
ここで、このスタートレバー105の操作から賞メダルの払い出しまでの間がゲーム中状態でありメダル貸出が禁止されるメダル貸出禁止状態となり、それ以外では非ゲーム中状態すなわちメダル貸出可能状態となる。そして、PRDY信号は、ゲーム中状態すなわちメダル貸出禁止状態では「ON」となり、非ゲーム中状態すなわちメダル貸出可能状態では「OFF」となる。ただし、小役や大当たり等の賞メダルの払い出しが成立しない場合には、ドラムを停止制御した時点若しくは賞メダルの払い出しが成立しない旨を判定した時点までをゲーム中状態とすることもできる。
【0042】
(パチスロ機の内部構成)
次に、図2に示したパチスロ機10の内部構成について説明する。図5は、図2に示したパチスロ機10の内部構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、パチスロ機10は、表示部11と、操作部12と、記憶部13と、電源部14と、遊技機構部15と、インターフェース部16と、制御部17とを有する。
【0043】
表示部11は、図2に示したカード残高表示部103、クレジット表示部112及び払い出し表示部116の総称であり、操作部12は、図2に示した貸出ボタン101、返却ボタン102、スタートレバー105、ストップボタン109〜111及びクレジット投入ボタン113〜115の総称である。記憶部13は、遊技プログラム、設定データ及び一時データ等を記憶する記憶デバイスであり、電源部14は、パチスロ機10全体に電力を供給する電源である。
【0044】
また、遊技機構部15は、3つのドラム106〜108、ドラム106〜108の駆動部、メダルホッパ及び各種センサ等の遊技に係る機構部であり、I/F部16は、図3に示したPRDY信号線C等を介してメダル貸し機30とデータ通信するためのインターフェース部である。
【0045】
制御部17は、パチスロ機10全体を制御する制御部であり、遊技状態監視部17aと、PRDY信号送信部17bと、貸出処理部17cと、遊技制御部17dとを有する。遊技状態監視部17aは、操作部12及び遊技機構部15等の状況を監視してパチスロ機10がゲーム中状態であるか否かを判定する処理部である。
【0046】
PRDY信号送信部17bは、遊技状態監視部17aの判定結果に対応するPRDY信号をPRDY信号線Cを介してメダル貸し機30に送信する処理部であり、具体的には、遊技状態監視部17aによりゲーム中状態であると判定された場合にはPRDY信号を「ON」にし、非ゲーム中状態であると判定された場合にはPRDY信号を「OFF」にする。
【0047】
貸出処理部17cは、メダル貸し機30から貸出指示信号を受け付けた場合に貸出単位分のメダルの払い出し処理を行う処理部であり、遊技制御部17dは、ドラム106〜108の回転駆動等のパチスロ遊技に係る制御を行う制御部である。
【0048】
(メダル貸し機の内部構成)
次に、図2に示したメダル貸し機30の内部構成について説明する。図6は、図2に示したメダル貸し機30の内部構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、このメダル貸し機30は、表示部31と、操作部32と、紙幣処理部33と、カード処理部34と、記憶部35と、電源部36と、I/F部37及び38と、制御部39とを有する。
【0049】
表示部31は、図2に示したカードランプ301、現金ランプ302、種別ランプ305及び金額表示部306の総称であり、操作部32は、返却レバー304及び金額設定ボタン307の総称である。紙幣処理部33は、紙幣投入口303からの紙幣の受け入れ、紙幣の搬送、紙幣の種別判定及び紙幣の真偽判定等を行う処理部であり、カード処理部34は、カード挿入口309から挿入されたプリペイドカードや会員カードからのデータの読み取り等を行う制御ユニットである。
【0050】
記憶部35は、メダル貸しプログラム、設定データ及び一時データ等を記憶する記憶デバイスであり、電源部36は、メダル貸し機30全体に電力を供給する電源であり、I/F部37は、ターミナルコントローラ70とデータ通信する際に用いられるインターフェース部であり、I/F部38は、PRDY信号線C等を介してパチスロ機10とデータ通信する際に用いられるインターフェース部である。
【0051】
制御部39は、メダル貸し機30を全体制御する制御部であり、台状態判定部39a及び貸出制御部39bを有する。台状態判定部39aは、PRDY信号線Cの信号状態に基づいてパチスロ機10がゲーム中状態であるか否かを判定する処理部であり、具体的には、PRDY信号が「ON」である場合にはパチスロ機10がゲーム中状態であると判定し、PRDY信号が「OFF」である場合にはパチスロ機10が非ゲーム中状態であると判定する。
【0052】
貸出制御部39bは、メダルの貸出制御を行う制御部であり、パチスロ機10からメダルの貸出要求信号を受け付けたならば、プリペイドカードのカードIDをターミナルコントローラ70に通知して該プリペイドカードの残度数を確認し、貸出単位以上の残度数が存在する場合には、ターミナルコントローラ70に対して度数の減算要求を行った後に、パチスロ機10に対してメダルの貸出指示信号を送信する。
【0053】
ただし、この貸出制御部39bには、パチスロ機10に対して送信する貸出指示信号の送信タイミングを調整するタイミング調整部39cが設けられており、このタイミング調整部39cでは、PRDY信号の状態に基づいて必要に応じて貸出指示信号の送信タイミングを調整する。具体的には、パチスロ機10に対して貸出指示信号を送信しようとした時点でPRDY信号が「ON」である場合には、このPRDY信号が「OFF」となるまで待って貸出指示信号を送信する。また、所定の時間(例えば40秒間)以上PRDY信号が「ON」となっている場合には、パチスロ機10に異常が発生したものと判断して貸出指示信号の送信を中止する。
【0054】
(メダル貸出システム全体のシーケンス)
次に、本発明に係るメダル貸出システム全体のシーケンスについて説明する。図7は、メダル貸し機30、パチスロ機10、ターミナルコントローラ70の間でおこなわれる全体処理手順を説明するためのシーケンス図である。
【0055】
図7に示すように、メダル貸し機30にプリペイドカードが挿入されると(ステップS101)、メダル貸し機30からターミナルコントローラ70に対してこのプリペイドカードの残度数が問い合わされ(ステップS102)、ターミナルコントローラ70では、問い合わせのあったプリペイドカードを対象として残度数が検索される(ステップS103)。
【0056】
その後、ターミナルコントローラ70は、プリペイドカードの残度数をメダル貸し機30に対して通知する(ステップS104)。一方、メダル貸し機30は、ターミナルコントローラ70から残度数が通知されると、この通知された残度数をカード残高表示部103に表示する(ステップS105)。例えば、ターミナルコントローラ70から通知されたプリペイドカードの残度数が「80」であった場合には、カード残高表示部103に残度数を示す「80」が表示される。
【0057】
ここで、パチスロ機10で遊技を行う遊技客により貸出ボタン101が押下されると(ステップS106)、パチスロ機10からメダル貸し機30にメダルの貸出要求信号が通知され(ステップS107)、メダル貸し機30は、ターミナルコントローラ70に対して残度数の減算要求をおこなう(ステップS108)。具体的には、パチスロ機10の貸出ボタン101が1回押下されると、1000円分のメダル(50枚)が貸出されるため、ターミナルコントローラ70に対して、10度数(1000円)の減算要求がされる。
【0058】
一方、ターミナルコントローラ70は、メダル貸し機30から通知された減算要求に基づいて、対象となるプリペイドカードの残度数の減算を行い、この残度数の減算が終了すると(ステップS109)、メダル貸し機30にAck信号を返送する(ステップS110)。
【0059】
そして、メダル貸し機30は、ターミナルコントローラ70から通知されたAck信号を受信すると、PRDY信号線C上のPRDY信号が「ON」であるか「OFF」であるかを確認し(ステップS111)、「ON」である場合には「OFF」になるまで待つことによって貸出指示信号の送信タイミングを調整した後(ステップS112)、貸出指示信号をパチスロ機10に送信する(ステップS113)。パチスロ機10は、メダル貸し機30から貸出指示信号を受信すると、貸出度数単位分のメダル貸出処理を行う(ステップS114)。
【0060】
(貸出指示信号の送信タイミング調整)
次に、図7のステップS112に示した貸出指示信号の送信タイミング調整についてさらに具体的に説明する。図8は、図7のステップS112に示した貸出指示信号の送信タイミング調整手順を示すフローチャートである。
【0061】
同図に示すように、メダル貸し機40がターミナルコントローラ70から通知されたAck信号を受信すると(ステップS201)、PRDY信号線C上のPRDY信号が「ON」であるか否かを確認し(ステップS202)、PRDY信号が「ON」である場合には(ステップS202肯定)、引き続きPRDY信号線Cを監視し(ステップS203)、PRDY信号が「ON」のまま所定時間が経過したか否かを確認する(ステップS204)。
【0062】
そして、所定時間以上「ON」が継続する場合には(ステップS204肯定)、パチスロ機10に異常が発生したものとみなしてエラー処理を行って処理を終了する(ステップS205)。すなわち、かかる場合には、パチスロ機10に対して貸出指示信号は送信されない。
【0063】
これに対して、所定時間までの間にPRDY信号が「ON」から「OFF」に切り替わったならば(ステップS204否定、S202否定)、この切り替わりタイミングで貸出指示信号をパチスロ機10に対して送信する(ステップS206)。
【0064】
上述してきたように、本実施例では、パチスロ機10とメダル貸し機30との間にPRDY信号線Cを設け、このPRDY信号線Cを介してパチスロ機10がゲーム中状態であるか否かを示すPRDY信号をメダル貸し機30に通知し、メダル貸し機30では、メダル貸出操作が行われた場合であってもこのPRDY信号がゲーム中状態を示すONであればOFFになるまでタイミング調整を行って貸出指示信号をパチスロ機10に送信するよう構成したので、メダル貸し機30を介してパチスロ機10にメダル貸し出しを行う場合に、パチスロ機10がゲーム中状態であることを理由に遊技客のメダル貸出操作を無効化する事態を効率良く防止し、もって遊技客に対して円滑にメダルを貸し出すことができる。
【0065】
ところで、上記実施例では、パチスロ機10がゲーム中状態であるか否かのみを考慮した場合を説明したが、たとえパチスロ機10が非ゲーム中状態であったとしても、パチスロ機10の扉が開けられていたり、メダルエンプティ等を起こしていた場合には、メダルの貸し出しを行うのは避けることが望ましい。このため、例えば図9に示すように、メダルの払い出し途中でメダルエンプティとなったような場合には、メダルが補充されるまでの間はメダル貸出禁止状態とし、PRDY信号を「ON」に維持するよう構成することもできる。このためには、図10に示すように、パチスロ機80の制御部81に台状態監視部82を設けてメダルエンプティ等の台状態を監視し、遊技状態監視部17aが非ゲーム中状態と判定し、かつ、台状態監視部82が台状態が異常でないと判定した場合に、PRDY信号送信部83がPRDY信号を「OFF」とし、それ以外の場合はPRDY信号を「ON」とすれば良い。
【0066】
なお、本実施例では、貸出ボタン101をパチスロ機10側に設けた場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、かかる貸出ボタン101はメダル貸し機30側に設けることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明にかかるメダル貸出システム及びメダル貸出方法は、メダル貸し機を介してパチスロ機にメダル貸し出しを行う場合に、パチスロ機がゲーム中状態であることを理由に遊技客のメダル貸出操作を無効化する事態を効率良く防止し、もって遊技客に対して円滑にメダルを貸し出す場合に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本実施例に係るメダル貸出システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示したパチスロ機及びメダル貸し機の外観を示した正面図である。
【図3】図2に示したパチスロ機とメダル貸し機の間に配設される信号線を説明するための説明図である。
【図4】パチスロ機の状態とPRDY信号の関係を示す図である。
【図5】図2に示したパチスロ機の内部構成を示す機能ブロック図である。
【図6】図2に示したメダル貸し機の内部構成を示す機能ブロック図である。
【図7】メダル貸し機、パチスロ機、ターミナルコントローラの間でおこなわれる全体処理手順を説明するためのシーケンス図である。
【図8】図7に示した貸出指示信号の送信タイミング調整手順を示すフローチャートである。
【図9】台状態を考慮した場合のパチスロ機の状態とPRDY信号の関係を示す図である。
【図10】台状態を考慮した場合のパチスロ機の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0069】
A 貸出要求信号線
B 貸出指示信号線
C PRDY信号線
10 パチスロ機
11 表示部
12 操作部
13 記憶部
14 電源部
15 遊技機構部
16 I/F部
17 制御部
17a 遊技状態監視部
17b PRDY信号送信部
17c 貸出処理部
17d 遊技制御部
20 カード発行機
30 メダル貸し機
31 表示部
32 操作部
33 紙幣処理部
34 カード処理部
35 記憶部
36 電源部
37 I/F部
38 I/F部
39 制御部
39a 台状態判定部
39b 貸出処理部
39c タイミング調整部
40 カード更新機
50 カード精算機
60 島コントローラ
70 ターミナルコントローラ(T/C)
80 パチスロ機
81 制御部
82 台状態監視部
83 PRDY信号送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パチスロ機と通信可能に併設されたメダル貸し機が貨幣若しくは有価価値が価値付けられた記録媒体を受け付けてメダル貸出処理を行い、このメダル貸出処理に応答して前記パチスロ機からメダルを貸し出すメダル貸出システムであって、
前記パチスロ機は、
当該パチスロ機がゲーム中状態であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果を前記メダル貸し機に通知する通知手段とを備え、
前記メダル貸し機は、
所定のメダル貸出操作がなされたことを示す信号を受け付け、かつ、前記通知手段によりゲーム中状態でない旨の判定結果を受け付けた場合に、前記メダル貸出処理を行う
ことを特徴とするメダル貸出システム。
【請求項2】
前記判定手段は、絵柄が貼付されたドラムを回動開始させるスタートレバーの操作を受け付けてから、前記ドラムを停止制御して入賞時にはその賞メダルを払い出すまでの間を前記ゲーム中状態であると判定することを特徴とする請求項1に記載のメダル貸出システム。
【請求項3】
前記パチスロ機と前記メダル貸し機との間に、前記判定手段による判定結果通知用信号線を配設し、前記通知手段は、前記判定手段によりゲーム中状態であると判定されている間は当該判定結果通知用信号線に前記ゲーム中状態を意味する第1の信号を送出し、前記判定手段によりゲーム中状態でないと判定されている間は当該判定結果通知用信号線に前記ゲーム中状態ではないことを意味する第2の信号を送出することを特徴とする請求項1又は2に記載のメダル貸出システム。
【請求項4】
前記パチスロ機は、当該パチスロ機が異常状態であるか否かを検出する異常状態検出手段をさらに備え、前記通知手段は、前記判定手段によりゲーム中状態でないと判定され、かつ、前記異常状態検出手段により異常状態が検出されていない場合に前記判定結果通知用信号線に前記第2の信号を送出し、それ以外の場合に前記第1の信号を送出することを特徴とする請求項3に記載のメダル貸出システム。
【請求項5】
前記メダル貸し機は、所定のメダル貸出操作がなされたことを示す信号を受け付けた際に、前記判定結果通知用信号線から受け付ける信号が前記第1の信号である場合には、該判定結果通知用信号線から受け付ける信号が前記第1の信号から前記第2の信号に変化した後に、前記パチスロ機に対して貸出指示を行うことを特徴とする請求項3又は4に記載のメダル貸出システム。
【請求項6】
前記メダル貸し機は、前記判定結果通知用信号線から受け付ける信号が所定の期間前記第1の信号から前記第2の信号に変化しない場合には、エラー処理を行うことを特徴とする請求項5に記載のメダル貸出システム。
【請求項7】
パチスロ機と通信可能に併設されたメダル貸し機が貨幣若しくは有価価値が価値付けられた記録媒体を受け付けてメダル貸出処理を行い、このメダル貸出処理に応答して前記パチスロ機からメダルを貸し出すメダル貸出方法であって、
前記パチスロ機が、当該パチスロ機がゲーム中状態であるか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程による判定結果を前記メダル貸し機に通知する通知工程と、
前記メダル貸し機が、所定のメダル貸出操作がなされたことを示す信号を受け付け、かつ、前記通知手段によりゲーム中状態でない旨の判定結果を受け付けた場合に、前記メダル貸出処理を行う貸出処理工程と
を含んだことを特徴とするメダル貸出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−325648(P2007−325648A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−157325(P2006−157325)
【出願日】平成18年6月6日(2006.6.6)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】