説明

メダル貸出機

【課題】隣接する遊技機に遊技メダルを一括投入可能であるとともに、扉を一切開けることなく内部の払い出し装置にメダル補給が可能なメダル貸出機を提供する。
【解決手段】モード変更手段35によりメダル貸出機2が補給モードに移行した場合には、排出開閉部材81を開いて排出用開口49を開放するとともに、補給開閉部材91を開いて内部通路25の入り口を開放し、前記排出用開口49から排出される遊技メダルを外部に排出させることなく前記内部通路25に誘導し、かつメダル揚送機構70を作動させて補給貯留部24に貯留される遊技メダルを払い出し装置23に揚送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内部に遊技メダルを貯留可能に形成されているとともに、隣接する遊技機に遊技メダルを供給可能なメダル貸出機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えばスロットマシンに隣接設置されるメダル貸出機においては、内部のホッパーに貸し出しメダルが無くなった場合のメダル補給を容易に行うべく、様々な工夫がなされている。例えば特許文献1には、メダル貸出機のホッパーの上方に遊技媒体収納容器(メダルジョッキ)を設置すると、その底板が開いてメダルが補給される技術が開示されている。また、特許文献2には、メダル貸出機の補給扉を手前側に回転させることにより、メダル供給箱が前傾して本体から露出し、メダルを入れやすくした技術が開示されている。
【特許文献1】特開2001−87537号公報(図1)
【特許文献2】特開2003−250965号公報(図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、これらの発明では、貸出機本体に設けられた扉や補給口を開いてホッパーにメダルを補給しているので、貸出機内部を人目に晒すこととなって、例えばホッパー装置を誤作動させてメダルを不正に取り出すなどの不正行為が行われるおそれがあった。また、いずれの発明においても、メダル等の補給はホッパーの上方から行うようになっているので、重量のあるメダル容器を少なくともホッパーのメダルタンクよりも上に持ち上げなければならず、作業者に負担を強いていた。
この問題を解決するために、ホッパーのメダルタンクをメダル貸出機の底部に設けることが考えられるが、このように形成すると、スロットマシンに用いられる一括投入機構を備えたメダル貸出機の場合、メダル貸し出しの際、スロットマシンのメダル投入口よりやや高い位置にある一括投入開口までメダルを揚送しなければならないので、メダル投入口の上方に設置したメダルタンクから一括投入開口まで払い出しメダルが落下するのに比べて時間がかかるという問題点がある。
【0004】
そこで、本発明は、払い出し装置を本体の上部に有するメダル貸出機において、隣接する遊技機にメダルを一括投入できるとともに、扉を一切開けることなく内部の払い出し装置にメダル補給が可能なメダル貸出機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項に記載された発明は、上記した各目的を達成するためになされたものであり、各発明の特徴点を図面に示した発明の実施の形態を用いて、以下に説明する。
なお、符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(請求項1)
(特徴点)
請求項1記載の発明は、次の点を特徴とする。
すなわち、請求項1記載の発明は、遊技メダルを側面側から受け入れ可能な側方移送通路(12)を有するメダル投入口(10)を備えた遊技機(スロットマシン1)に隣接して設置される箱形のメダル貸出機(2)であって、外箱(20)の正面側には、遊技メダルを上方から一括投入可能な一括投入開口(31)を有する一括投入機構(3)を備え、外箱の内部には前記一括投入機構(3)よりも上方に位置し遊技者に貸し出す遊技メダルを払い出すための払い出し装置(上部ホッパー23)を備え、前記一括投入機構(3)は、前記一括投入開口(31)の下方に設けられ遊技メダルを貯留可能なメダル貯め部(44)と、一括投入された遊技メダル又は前記メダル貯め部(44)に貯留されている遊技メダルを一枚ずつ分離して送り出す搬送装置(50)と、搬送装置(50)から送り出された遊技メダルを前記遊技機(1)の側方移送通路(12)に誘導する投入導入路(ノズル部60)と、前記メダル貯め部(44)の下方に設けられた排出用開口(キャンセル開口49)及びこの排出用開口(49)を開閉する排出開閉部材(排出弁81)とを少なくとも備え、前記排出開閉部材(81)が開くことにより前記メダル貯め部(44)内の遊技メダルその他の貯留物を前記排出用開口(49)から外箱(20)の外部に排出可能に形成したメダル貸出機(2)に係る。
【0006】
ここで、前記「遊技機」は、遊技メダルを遊技媒体として投入する遊技機であって、メダル貸出機(2)を挟んで遊技場に並列設置されるものである。前記メダル投入口(10)は、遊技機に遊技メダルを投入する部分であって、遊技メダルを落とし込む孔などの開口部の他、遊技メダルを開口部に誘導するための通路や凹部も含む。例えば側方移送路(12)は、遊技メダルを上方から投入可能なスリットである上部投入開口(11)と連通していてもよい。
また、メダル貸出機(2)は、箱形の外箱(20)の内部に払い出し装置(23)が内蔵され、正面側には一括投入機構(3)が取り付けられた、隣接する遊技機(1)に遊技メダルを貸し出し可能であるとともに、遊技メダルを一括投入可能な装置である。メダル貸出機(2)としては、上記構成の他にも、紙幣投入口(21)や紙幣カウンター(22)を備えていてもよい。
【0007】
前記一括投入機構(3)は、隣接する遊技機(1)に遊技メダルを供給するための装置であって、メダル貸出機(2)の外箱(20)の正面側に取り付けられた外装部材(本体カバー30)の上面に一括投入開口(31)を備え、外装部材(30)の内部にメダル貯め部(44)を有するとともに搬送装置(50)が内蔵され、さらに投入導入路(60)が設けられている。
ここで、遊技メダルの「一括投入」とは、メダルの向きを揃えて投入したり一枚ずつ投入するのではなくて、適宜手に掴んだ複数枚の遊技メダルをランダムに投入開口に投げ入れるような場合のことを言うものである。
前記メダル貯め部(44)は、一括投入開口(31)から投入された遊技メダルを一時的に貯留可能な空間である。なお、払い出し装置(23)から直接このメダル貯め部(44)に遊技メダルが払い出されるようにしてもよい。例えば、払い出し装置(23)のメダル排出口を一括投入開口(31)の上方に設けたり、メダル排出口とメダル貯め部(44)との間に移送通路(払い出し通路42)を設けてもよい。
【0008】
前記投入導入路(60)は、メダル受け口(67)とメダル排出口(66)との間に遊技メダルが通過可能なメダル移送路(65)を形成したブロック部材とすることができる。そして、搬送装置(50)により送り出された遊技メダルを、メダル受け口(67)が受け入れるように形成されている。また、メダル排出口(66)は、隣接する遊技機(1)のメダル投入口(10)の側方移送路(12)に連通するように配置される。
前記搬送装置(50)は、所定の作動開始手段(例えばタッチセンサなどのスイッチ)によって作動を開始するものであり、好ましくは搬送ベルト(53)を用いたベルト式メダル送り装置とすることができる。搬送装置(50)としては、一括投入された遊技メダルを一枚ずつ、投入導入路(60)に送り出すことができる装置であれば、どのような構成を有していても構わない。
【0009】
前記排出開閉部材(81)は、例えばソレノイドの作動により回動又はスライド移動して排出用開口(49)を開閉自在な板部材とすることができる。排出開閉部材(81)を開き排出用開口(49)を開放すると、メダル貯め部(44)のメダルは排出用開口(49)から下方に落下する。なお、排出用開口(49)の下方に、落下したメダルを受け止め可能なメダル取り出し皿(100)を設けてもよい。排出開閉部材(81)は、投入したメダルをキャンセルしたい場合や搬送装置(50)でメダル詰まりが生じた場合などに、所定のスイッチ操作により、あるいはメダル貸出機(2)の制御部による制御に基づき、開作動するように形成することができる。
さらに、本発明に係るメダル貸出機(2)は、外箱(20)内部には、前記排出用開口(49)よりも下方に位置し、遊技メダルを一時貯留可能な補給貯留部(下部ホッパー24)と、前記排出用開口(49)から排出される遊技メダルを、前記補給貯留部(24)に誘導する内部通路(補給通路25)と、前記補給貯留部(24)から前記払い出し装置(23)に遊技メダルを揚送するためのメダル揚送機構(70)とが少なくとも設けられている。また、前記内部通路(25)の入り口には、内部通路(25)の入り口を開閉する補給開閉部材(補給弁91)を設けてある。さらに、メダル貸出機(2)の作動状態を、前記払い出し装置(23)によるメダル払い出し及び前記搬送装置(50)の作動による遊技機(1)へのメダル移送を可能とする通常モードから、前記一括投入開口(31)から投入した遊技メダルを前記払い出し装置(23)に移送可能とする補給モードに変更するためのモード変更手段(補給モードキースイッチ35)を設けてある。
【0010】
そして、前記モード変更手段(35)によりメダル貸出機(2)が補給モードに移行した場合には、前記排出開閉部材(81)を開いて前記排出用開口(49)を開放するとともに、前記補給開閉部材(91)を開いて前記内部通路(25)の入り口を開放し、前記排出用開口(49)から排出される遊技メダルを外箱(20)の外部に排出させることなく前記内部通路(25)に誘導し、かつ前記メダル揚送機構(70)を作動させて前記補給貯留部(24)に貯留される遊技メダルを前記払い出し装置(23)に揚送可能としたことを特徴とする。
ここで、前記メダル揚送機構(70)は、遊技メダルを上方に移送可能な装置であって、例えばスパイラル軸を用いたスクリュー式上昇装置や、上方に延設されたメダルレールを有する押し上げ式ホッパーとすることができる。
【0011】
また、前記補給開閉部材(91)は、内部通路(25)のメダル受入口付近に回動自在に設けられた板部材とすることができる。なお、補給開閉部材(91)が「内部通路(25)の入り口を開放し、前記排出用開口(49)から排出される遊技メダルを外箱(20)の外部に排出させることなく前記内部通路(25)に誘導」するとは、具体的には、例えば、補給開閉部材(91)が内部通路(25)の入り口を閉じているときには、排出用開口(49)から排出される遊技メダルは所定の排出部(例えば排出用開口(49)の下側に設けられた底部開口(38))から一括投入機構(3)の外部(すなわち外箱(20)の外部)に排出されるが、補給開閉部材(91)が内部通路(25)の入り口を開くと、前記排出部(38)が閉塞されて、排出用開口(49)から排出される遊技メダルが内部通路(25)へと流入するように形成されているような場合をいうものである。
【0012】
前記モード変更手段(35)は、例えば鍵穴に所定の鍵を挿入することにより、あるいは挿入した鍵を回転させることによりONとなるスイッチとすることができる。なおここで、「通常モード」とは、メダル貸出機(2)が、メダルの貸し出し及びメダルの一括投入を行うことができる作動状態のことであり、「補給モード」とは、メダルの貸し出し及びメダルの一括投入を行えない代わりに、一括投入開口(31)から遊技メダルを投入することにより払い出し装置(23)のメダル補給が可能となる状態状態のことである。そして、メダル貸出機(2)としては、前記通常モード及び補給モードの他に、通常モードから補給モードに移行する準備段階としての補給予備モードを有していてもよく、モード変更手段(35)は、所定の操作により、メダル貸出機(2)を、通常モードから補給モードに、補給モードから通常モードに変更可能である他に、通常モードから補給予備モードに、補給予備モードから補給モードに変更可能とするように形成してもよい。
【0013】
(作用)
本発明係るメダル貸出機(2)は、通常モードにおいては、補給開閉部材(91)は内部通路(25)の入り口を閉じており、メダル詰まりなど所定の場合に排出開閉部材(81)が開いて排出用開口(49)が開放されると、メダル貯め部(44)に貯留されているメダルは、排出用開口(49)から落下して、内部通路(25)に流入することなく外箱(20)の外部に排出される。
一方、モード変更手段(35)の操作により補給モードに移行すると、排出開閉部材(81)が開いて排出用開口(49)が開放されるとともに、補給開閉部材(91)は内部通路(25)の入り口を開放する。この状態で、一括投入開口(31)から遊技メダルを投入すると、投入された遊技メダルは排出用開口(49)から落下して、外箱(20)の外部には排出されずに、内部通路(25)の入り口へと流入する。そして、内部通路(25)を経て補給貯留部(24)に貯留され、メダル揚送機構(70)によって払い出し装置(23)に移送される。メダル揚送機構(70)は、例えば内部通路(25)へのメダルの流入を検知することにより作動開始するようにしてもよいし、モード変更手段(35)の操作により作動開始するようにしてもよい。
【0014】
なお、モード変更手段(35)により、メダル貸出機(2)を通常モードから補給予備モードに変更可能に形成し、補給予備モードにおいて、排出開閉部材(81)を開くとともに、搬送装置(50)を逆作動(メダル移送方向と逆方向に作動)させて、メダル貯め部(44)内部又は搬送装置(50)の内部に残留している遊技メダルを排出用開口(49)から排出させた後、補給モードに移行するように形成すると好適である。
【発明の効果】
【0015】
本願発明は、以下のような効果を奏する。
すなわち、請求項1記載の発明によれば、払い出し装置を本体の上部に有するメダル貸出機において、隣接する遊技機に遊技メダルを一括投入可能であるとともに、扉を一切開けることなく内部の貯留装置に遊技媒体の補給が可能な遊メダル貸出機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明を表す好適な実施の形態を、遊技機としてスロットマシンを例に、図面に基づき説明する。
(図面の説明)
図1乃至図9は、本発明の実施の形態を示すものである。
図1はスロットマシン及びメダル貸出機の斜視図、図2は一括投入機構の側断面図、図3はメダル投入口及び一括投入機構の拡大斜視図、図4はメダル送り装置の斜視図、図5及び図6は排出装置及び流路変更装置を示す断面図、図7は上昇装置及び立設装置を示す断面図、図8及び図9は補給モード時のメダル貸出機2の作動の概略を示すフローである。
【0017】
本実施の形態におけるメダル貸出機2は、図1に示すように、スロットマシン1に隣接して設置され、一台のスロットマシンに一機ずつ対応するように設けられている。
(スロットマシン1)
スロットマシン1は、図1に示すように、筐体の正面側に取り付けられた前扉13を有し、正面側には回転リール(図示せず)の図柄を視認可能な図柄表示窓14が形成されている。また、この図柄表示窓14の下方でありスロットマシン1の略中央部は、スタートスイッチやストップスイッチなどの操作手段が設けられる操作部16となっている。そしてこの操作部16の正面右端部には、遊技メダルを投入するためのメダル投入口10が設けられている。なお、特に図示しないが、メダル投入口10の下方には、遊技メダルの真贋を判断すると共に投入メダルをカウントするためのメダルセレクターが設けられている。また、スロットマシン1の下部には、払い出しメダルを貯留可能な下皿15が設けられている。
【0018】
ここで、メダル投入口10は、図3に示すように、上方から遊技メダルを一枚ずつ投入可能な上方投入開口11と、上方投入開口11の側方に連通する側方移送通路12とを有している。この側方移送通路12は、上方投入開口11から正面右側(メダル貸出機2側)に延設された樋状の通路であって、後述するノズル部60から送られてくる遊技メダルを受け入れ上方投入開口11に移送するためのものである。
そして、メダル投入口10から遊技メダルを投入し、スタートスイッチの操作により回転リールを回転させ、ストップスイッチの操作により回転リールを停止させ、このとき、複数の回転リールに表示された図柄が所定の位置態様に停止すると入賞となり、所定枚数のメダルが払い出されるように形成されているものである。
【0019】
(メダル貸出機2)
メダル貸出機2は、スロットマシン1の側面側に隣接して設置される箱型の装置であって、金銭と引き替えに遊技メダルを貸し出すと共に、貸し出しメダル及び遊技者が投入するメダルをスロットマシン1のメダル投入口10に投入するためのものである。すなわち、メダル貸出機2は、図1に示すように、外箱20に、紙幣カウンター22と、貸し出しメダルを払い出すための上部ホッパー23と、補給メダルを貯留するための下部ホッパー24と、下部ホッパー24から上部ホッパー23にメダルを揚送するためのメダル揚送機構70とが内蔵されているとともに、正面側には、一括投入開口31から一括投入された遊技メダルを隣接するスロットマシン1に移送可能な一括投入機構3が取り付けられているものである。
【0020】
さらに、メダル貸出機2は、通常モードと補給モードとの二つの作動状態を有している。なお、「通常モード」とは、一括投入開口31から一括投入した遊技メダルをスロットマシン1のメダル投入口10に移送するための作動モードのことであり、「補給モード」とは、一括投入開口31から一括投入した遊技メダルを、下部ホッパー24を経て上部ホッパー23に移送するための作動モードのことである。
(紙幣カウンター22)
前記紙幣カウンター22は、外箱20の正面上方に設けられた紙幣投入口21から投入された紙幣を読み取って、貸し出しメダル払い出し装置23に所定枚数の遊技メダルを払い出させるためのものである。なお、メダル貸出機としては、紙幣投入口21及び紙幣カウンター22の他に、硬貨投入口や硬貨カウンター、釣り銭払い出し口などを有していてもよい。また、プリペイドカード投入口とカードリーダーを有していてもよい。さらに、紙幣投入口21は外箱20の正面下方にあってもよく、紙幣カウンター22はメダル貸出機2の外部(例えば島設備)に設けられていてもよい。
【0021】
(上部ホッパー23)
上部ホッパー23は、遊技メダルを払い出すための払い出し装置であり、特に図示しないが、遊技メダルを貯留しておくためのタンクと、タンクに貯留されている遊技メダルを一枚ずつ排出可能な送り出し円板を有している。送り出し円板は、駆動モータに回転可能に軸止されており遊技メダルが嵌入可能な孔が形成されている。そして、この孔に入った遊技メダルを、回転に伴い一枚ずつ装置の外に排出するようになっている。また、貸し出しメダル払い出し装置23には排出メダルをカウントするためのセンサが設けられていて、所定枚数の遊技メダルを払い出したら駆動モータが停止するように形成されている。
【0022】
なお、払い出し装置を一括投入開口31よりも上方に設けることにより、払い出された貸し出しメダルは、後述するようにメダル送り装置40の内部に直接落下する。このため、紙幣投入後、迅速な遊技開始が可能となるものである。
(下部ホッパー24)
下部ホッパー24は、メダル貸出機2が補給モードとなっているときに一括投入機構3の一括投入開口31から投入した遊技メダルを一時貯留するための補給貯留部である。下部ホッパー24の上側には、一括投入機構3の底部に設けられたキャンセル開口49と連通する補給通路25が設けられており、キャンセル開口49から排出される遊技メダルが補給通路25を通って下部ホッパー24に移送されるようになっている。
【0023】
(メダル揚送機構70)
メダル揚送機構70は、前記下部ホッパー24に一時貯留された遊技メダルを上部ホッパー23に揚送するための機構であり、図1に示すように、下部ホッパー24の底部に設けられた送り出し円板71と、送り出し円板71から送り出される遊技メダルを起立させるための立設装置72と、立設装置72により起立状態(メダルの円周部が上下方向となる状態)とされた遊技メダルを上方に移送するための上昇装置73とを備えている。
(送り出し円板71)
送り出し円板71は、上部ホッパー23に設けられている送り出し円板と同様の構成を有し、メダル嵌入孔に嵌入した遊技メダルを、一枚ずつ立設装置72に水平状態(メダルの表裏面が上下方向となる状態)で送り出すようになっている。
【0024】
(立設装置73)
立設装置73は、前記送り出し円板71から水平状態で送り出された遊技メダルを縦方向に起立させ、上昇装置73へと移送させるためのものである。立設装置73は、図7に示すように、送り出し円板71から送り出された遊技メダルが待機可能な平坦面76の上方に取り付けられ、回転軸72Aに取り付けられ縦方向に回転可能に形成されたメダル押し上げ片72Bと、前記平坦面76から連続し、前記メダル押し上げ片72Bの先端部の軌跡に沿って徐々に高さを増す傾斜面77とから構成されている。
前記回転軸72Aは、図示しない駆動モータに軸着されており、駆動モータの駆動によりメダル押し上げ片72Bが回転する。メダル押し上げ片72Bは、回転軸72Aを中心に回転したとき、その先端が平坦面76よりも若干上方を通過する長さに形成されており、平坦面76に待機している遊技メダルを側面から押して、遊技メダルを動かすことができるようになっている。
【0025】
また、前記傾斜面77は、前記平坦面76からメダル押し上げ片72Bの回転方向に延設され、メダル押し上げ片72Bの先端と干渉しないように形成された凹曲面であり、メダル押し上げ片72Bの回転に伴い、メダル押し上げ片72Bに押された遊技メダルが、この斜面を押し上げられて移動可能となっている。さらに、傾斜面77は、後述する上昇装置73の受入孔74Aの下端部と連結しており、受入孔74Aの下端部付近では、傾斜角度がほぼ直角となるように形成されている。そして、水平状態で平坦面76に待機している遊技メダルが、メダル押し上げ片72Bの回転により上昇装置73の受入孔74Aまで押し上げられた時には、垂直状態となるように形成されているものである。
【0026】
なお、立設装置72は、上述した構成に限られず、水平状態の遊技メダルを起立状態とさせることができる構成であれば、どのようなものでも構わない。例えば、円筒を螺旋状に切り欠き、円筒の回転に伴い切り欠きの上に水平状態で載置された遊技メダルが徐々に起立状態となる変形カムを用いてもよい。
(上昇装置73)
上昇装置73は、前記立設装置72により起立した遊技メダルを、起立したままの状態で上方に移送するためのものである。
上昇装置73は、図1に示すように、上端部が上部ホッパー23の上端よりも若干高くなるように形成されたスクリュー式揚送機であり、角筒状の支持枠74の中に、螺旋状の張り出し部を有するスパイラル軸75が内装されている。
【0027】
前記支持枠74は、スパイラル軸75の外径寸法よりも僅かに大きい内径を有し、その下部には、図7に示すように、立設装置72のメダル押し上げ片72Bにより押し上げられた遊技メダルを筒内部に受け入れ可能な受入孔74Aが、その上端付近には、図1に示すように、スパイラル軸75により上昇した遊技メダルを排出するための排出孔74Bが、それぞれ形成されている。スパイラル軸75は、図示しない駆動モータにより、図7に示す黒矢印方向に回転する。そして、受入孔74Aから取り入れた遊技メダルを、張り出し部に支持させつつ支持枠74内を上方に移動させ、排出孔74Bからに上部ホッパー23のメダルタンクに排出させるものである。
【0028】
(揚送機構70の作動)
ここで、揚送機構70は、補給通路25の入り口付近に設けられた補給センサ120がONとなることにより作動開始する。補給センサ120は、図5に示すように、発光部121及び受光部122を有し、補給通路25に送られてくる遊技メダルの通過を検知する遮光センサであり、この補給センサ120がメダルを検知している場合には、送り出し円板71、立設装置72、上昇装置73を作動させる駆動モータがそれぞれ駆動するようになっている。各駆動モータは、遊技メダルを順次移送可能とするようそれぞれが同期して駆動するように設定されている。そして、揚送機構70は、一定時間補給センサ120がOFFである場合に作動停止するように形成されている。
【0029】
なお、揚送機構70を、補給モードキースイッチ35がONとなることにより作動開始し、補給モードキースイッチ35がOFFとなることにより作動停止するように形成してもよい。この場合には、補給モードキースイッチ35の操作により揚送機構70の作動を制御できるので、補給センサ120を設けなくともよい。このように形成した場合には、メダル補給を行う作業者が任意で揚送機構70の作動をコントロールできるので、メダル補給時の臨機応変な対応が可能となる。
(一括投入機構3)
一括投入機構3は、前記上部ホッパー23から払い出される遊技メダル、及び遊技者が投入する遊技メダルを、スロットマシン1のメダル投入口10に一括投入するための機構である。
【0030】
具体的には、一括投入機構3は、図2及び図3に示すように、大きく分けて、メダル貸出機2の外箱20の正面に取り付けられた本体カバー30と、本体カバー30の内部に設けられたメダル送り装置40と、本体カバー30の正面側に取り付けられたノズル部60とから構成されている。
(本体カバー30)
本体カバー30は、図1乃至図3に示すように、メダル貸出機2の外箱20の正面略中央部から手前側(スロットマシン1を正面から見た場合の手前側。以下同じ)に突設された、上面板32、底板33、前面板、背面板及び左右二つの側面板を有する箱形の部材である。そしてこの本体カバー30の内部には、搬送装置50を備えたメダル送り装置40が収納されている。
【0031】
前記上面板32には、図2及び図3に示すように、上方に開口する一括投入開口31が形成され、一括投入開口31の手前側には、カウンター状の張り出し部が形成されている。ここには、特に図示しないが、搬送装置50を作動及び作動停止させるためのタッチセンサが敷設されている。そして、このタッチセンサに手を触れることにより、搬送装置50の駆動モータ55が駆動し、タッチセンサに触れている手を離すことにより、搬送装置50の駆動モータ55が駆動を停止するようになっている。なお、搬送装置50を作動させる手段としては、タッチセンサに限られず、ボタン式のスイッチやその他の操作手段を設けてもよい。また、駆動モータ55の駆動を開始させるためのスイッチと、駆動を停止させるためのスイッチを別々に設けてもよいものである。
【0032】
そして、前記底板33の奥側には、メダル送り装置40から排出される異物やキャンセルメダルを落下させるための底部開口38が形成されており、底部開口38の下方には、キャンセルメダルその他の落下物を受け止めるメダル取り出し皿100が形成されている。また、本体カバー30の前面板の下方には、ノズル部60のカバー部材61が設けられている。
さらに、本体カバー30の背面側には、補給通路25の上部開口と連続する背面開口39が形成されているとともに、通常モード時には前記背面開口39を閉塞しており、補給モード時には背面開口39を開放して遊技メダルを下部ホッパー24に誘導するための流路変更装置90が設けられている。
【0033】
(補給モードキースイッチ35)
補給モードキースイッチ35は、メダル貸出機2の状態を通常モード、補給モードに切り替えるためのスイッチであって、本体カバー30の正面側に設けられた鍵穴(図3参照)に所定の鍵を挿入してスイッチのON、OFFを行うことができるように形成されている。
具体的には、特に図示しないが、鍵穴の奥側には、押圧すると通電する接触センサや、遮光センサなどの鍵検知部が設けられており、鍵穴に鍵を挿入することにより、あるいは挿入した鍵を所定の方向に回転させることにより、鍵検知部が適正な鍵を検知すると、補給モードキースイッチ35がONになる。すなわち、通常モードのときに鍵穴に鍵を挿入すると補給モードに移行し、補給モードのときに鍵穴から鍵を抜き取ると通常モードに戻る。
【0034】
本実施の形態では、通常モード時において、補給モードキースイッチ35の鍵穴に挿入した鍵を回転させてONにすることにより、補給モードに移行する前段階としての補給予備モードに移行する。そして、補給予備モードの終了後、補給モードに移行するように形成されている。ここで「補給予備モード」とは、補給モードに移行する前に、メダル送り装置40内部の残留メダルを排出させるための準備モードである。
あるいは、補給モードキースイッチ35の鍵穴に鍵を挿入すると、補給予備モードに移行し、補給予備モードの終了後、鍵穴の鍵を回転させることにより、補給モードに移行するように形成してもよい。
【0035】
前記鍵はホールの管理者が所持しており、補給モードキースイッチ35を上記したように形成することにより、遊技者が過ってスイッチを操作し、一括投入開口31に投入した手持ちの遊技メダルをメダル貸出機2に飲み込まれてしまう(上部ホッパー23に戻されてしまう)といったトラブルを回避できる。
なお、メダル補給は、上部ホッパー23が空になって所定のエンプティエラーが表示されている場合に、遊技者の呼び出しに応じて店員が行うことができる。また、遊技者がいない間であっても、上部ホッパー23が空になりそうな場合に適宜行うこともできる。
(メダル送り装置40)
メダル送り装置40は、メダルを送り出すための装置であり、図1に示すように、前記本体カバー30の内部に収納される箱状の本体ベース41の内側に搬送装置50を設け、搬送装置50の奥側下方に排出装置80を設けた構成となっている。
【0036】
本体ベース41は、図2及び図4に示すように、長さ方向略中央部に、上方に開口する受入開口48を有し、受入開口48の奥側には、上方に開口し内部において前記受入開口48と連通する払い出し通路42が設けられている。本体ブロック41の前方下部には、搬送装置50が内蔵されており、本体ブロック41の正面側は、搬送装置50により送り出されたメダルをノズル部60に一枚ずつ排出するためのメダル排出部47となっている。そして、図2に示すように、前記払い出し通路42を形成する内壁の底部には、排出装置80が設けられている。
また、図2に示すように、受入開口48の手前側端部には、搬送装置50の上方空間を、受入開口48の下方に位置するメダル貯め部44と、メダル貯め部44よりも手前側に位置するメダル戻り部45とに分ける移動調整弁43が取り付けられている。移動調整弁43は、メダル貯め部44からメダル戻り部45へのメダル移動を阻止し、メダル戻り部45からメダル貯め部44へのメダル移動は適宜許容することにより、搬送装置50によるメダル移送をスムーズに行わせるためのものである。
【0037】
前記受入開口48は、図2及び図4に示すように、一括投入開口31から投入される遊技メダルを受け入れるための開口であり、開口幅の中央よりもやや後方側に、横方向に亘って設けられた仕切棒46を有している。これは、投入される遊技メダルを、極力同一方向に揃えるためである。すなわち、この仕切棒46があることにより、受入開口48に遊技メダルが縦向き(メダルの表裏面が左右方向となる向き)で投入されることがないので、ランダムに投入される遊技メダルの向きを、横向き(メダルの表裏面が前後方向となる向き)にして落下させるようになるものである。このように落下した場合には、メダルの向きが揃っているので、受入開口48の下方に位置する空間であるメダル貯め部44に、遊技メダルが平積みとなるよう貯留させることができ、搬送装置50により搬送しやすくなる。
【0038】
前記払い出し通路42は、メダル貸出機2の上部ホッパー23から貸し出される遊技メダルを受け入れて、前記メダル貯め部44に誘導するためのものである。払い出し通路42の底面は、奥側から手前側に向かって下り傾斜となっており、傾斜の前端部が排出装置80の排出弁81によって開閉可能に形成されている。排出弁81が閉じているときには、メダル貯め部44に遊技メダルが貯留される。また、排出弁81が開いた場合には、メダル貯め部44の下側にキャンセル開口49が開口し、メダル貯め部44又は搬送装置50の搬送ベルト53上にあるゴミなどの異物や遊技メダルは、キャンセル開口49から落下する。なお、キャンセル開口49から落下した異物や遊技メダルは、本体カバー30の底部開口38を通ってメダル取り出し皿100に貯留される。
【0039】
(排出装置80)
ここで、排出装置80は、図2及び図5に示すように、上方に突設された可動軸を所定の作動指令信号(開放作動信号、閉塞作動信号)に応じて上下動させるソレノイド82と、一方の端部が前記可動軸に軸支され、本体ブロック41に固定された固定軸を支点として上下方向に揺動可能に形成された排出弁81を有している。そして、可動軸が下方に位置しているときには排出弁81が閉じた状態(図1参照)となり、可動軸が上方に位置しているときには排出弁81が開いた状態(図5参照)となるよう形成されているものである。そして、ソレノイド82の作動で排出弁81を開くことにより、メダル送り装置40内部にあるメダルや異物などを、本体ブロック41の底面に形成されたキャンセル開口49から排出させることができるようになっている。
【0040】
排出装置80は、メダル詰まりやメダル補給時など所定の場合に排出弁81が開くように形成されている。また、特に図示しないが、排出装置80を作動させるためのリセットスイッチを設けてもよい。
(メダル取り出し皿100)
メダル取り出し皿100は、図2に示すように、本体カバー30の背面板に設けられたヒンジを介して前後に回動自在に取り付けられている。メダル取り出し皿100は、手前側に向かって湾曲した登り傾斜を有する皿底と、奥行き方向に向かって皿底からの高さが高くなる側面板とにより形成される凹部を有する受け皿であり、底部開口38から排出されるメダル等が落下の勢いで皿から飛び出してしまわないようになっているとともに、皿内に貯留されたメダル等を取り出しやすく形成されている。なお、凹部にラバーなどの弾性部材を敷設すると好適である。
【0041】
また、メダル取り出し皿100は、常態においては、図2に実線で示すように、凹部が上側に向いた状態であり、図5に示すように、排出されるメダル等を受け入れることができるようになっている。そして前方底部を持ち上げることにより、図2に二点鎖線で示すように、ヒンジを中心に後方に回動し、正面側の端部が本体カバー30の底板33に当接する位置まで移動する。このようにメダル取り出し皿100が移動することにより、本体カバー30の下側の空間が広くなり、メダル貸出機2を挟んでスロットマシン1の隣に設置される他のスロットマシンの下扉を開くときに、下扉とメダル取り出し皿100が干渉することがない。
【0042】
(搬送装置50)
搬送装置50は、本体ブロック41の前方下部に内蔵されており、メダル溜め部44に投入又は払い出された遊技メダルを、水平状態(遊技メダルの表裏面が上下となる状態)で一枚ずつ、ノズル部60へと送り出すためのものである。具体的には、搬送装置50は、図1に示すように、一対のローラ51(51A,51B)と、ローラ51A,51Bに掛け渡された搬送ベルト53と、搬送ベルト53の手前側上方に送出間隙54をあけて設置された逆転ローラ52と、ローラ51,52を回転させるための駆動モータ55と、駆動モータ55のモータ軸の回転をローラ51,52に伝達するための伝達手段(図示せず)を有している。
【0043】
前記ローラ51は、正面側から見て前後に並列して設けられている。また、前記搬送ベルト53は、二つのローラ51A,51Bに掛け渡された平ベルトであり、表面にはゴム等を被覆して、遊技メダルとの摩擦抵抗を大きくするよう形成してある。そして、図1に示すように、手前側のローラ51Aの方が、奥側のローラ51Bよりも若干高い位置に取り付けられているので、搬送ベルト53の上面は手前側に向かってやや上り傾斜となっており、ローラ51を図1に示す黒矢印の方向に回転させることにより、搬送ベルト53の上面が手前側に移動するようになっている。
前記ローラ51と逆転ローラ52は、図示しない伝達手段により同時に回転するようになっている。伝達手段は、駆動モータ55の駆動軸、ローラ51A、逆転ローラ52にそれぞれ設けられたギヤと、これらの各ギヤを連結するベルトであって、逆転ローラ52はローラ41と同方向に回転するので、搬送ベルト53の上面の進行方向と、逆転ローラ52の下側面の移動方向とが逆になる。また、ローラ51と逆転ローラ52の直径の違いにより、逆転ローラ52の線速(ローラ表面の移動速度)の方が、ローラ51の線速よりも早くなるように形成されている。
【0044】
そして、図2に示すように、逆転ローラ52の下端と搬送ベルト53の上面との間には、遊技メダル一枚の厚みよりも大きく、遊技メダル二枚分の厚みよりは小さい送出間隙54が形成されている。これにより、搬送ベルト53の上面に乗っている遊技メダルを、一枚ずつ手前側に送り出すとともに、搬送ベルト53の上方であって逆転ローラ42の後方にある遊技メダルをメダル戻り部45に蹴り出すようになっている。
前記逆転ローラ52には、断面略台形の撹拌溝が軸方向に沿って形成されている。撹拌溝は、溝の端部で遊技メダルを引っ掛けるようにして、搬送ベルト53の上方に積み重なった遊技メダルを効果的に後方に蹴り上げる役割を果たすものである。
【0045】
搬送ベルト53の前方側は、後述するノズル部60のメダル受け口67と近接しており、ベルト上面に乗っている遊技メダルは、前記送出間隙54を潜ってメダル排出部47からノズル部60のメダル受け口67へと運ばれる。
(ノズル部60)
ノズル部60は、前記搬送装置50から送り出された遊技メダルをスロットマシン1のメダル投入口10に移送するためのものである。そして、ノズル部60は、図2及び図3に示すように、本体カバー30の正面下部に取り付けられるベース部材62と、本体カバー30の正面側に取り付けられるカバー部材61とから成り、カバー部材61がベース部材62を正面側から覆った状態、すなわちカバー部材61が閉じた状態で、本体カバー30の前面板の下方に形成された開口部を塞ぐようになっている。
【0046】
なお、カバー部材61は、本体カバー30又はベース部材62に着脱可能に取り付けられていてもよいし、移動(例えば手前側に回動)可能に形成されていてもよい。
前記ベース部材62は、図2に示すように、上端部に下方から上方に向かって奥方向に湾曲する湾曲部が形成された奥壁部62Aと、奥壁部62Aの正面側に位置し、図示しない軸支部を中心に前後方向に回動可能に取り付けられた前壁部62Bを有している。そして、前記奥壁部62Aの湾曲部と前壁部62Bの上部には、メダル送り装置40のメダル排出部47と連通するメダル受け口67が形成される。
また、奥壁部62Aと前壁部62Bの間には、遊技メダル一枚分の厚さよりやや大きい厚みを有し、遊技メダルの直径よりもやや大きい幅を有するメダル移送路65が形成されるようになっている。メダル移送路65は、正面視逆L字型に形成されており、メダル受け部67からノズル部60のスロットマシン1側に屈曲して、その端部がメダル排出口66となっている(図3参照)。さらに、奥壁部62Aには、メダル移送路65を通過する遊技メダルを検知するためのノズルセンサ64が設けられている。
【0047】
なお、前壁部62Bは、カバー部材61の正面側に設けられたプッシュボタン63を押圧することにより、その上端部が奥方向に押されて下側が手前側に回動するようになっている。これは、メダル移送路65内でメダルが詰まった場合に、簡単に詰まりを解消させるためのものである。前壁部62Bの下側が回動すると、前壁部62Bの裏面とメダル移送路65の下部との間に隙間が生じ、この隙間から詰まった遊技メダルが滑落する。滑落したメダルは、カバー部材61の底部に形成されたメダル落下口69(図2参照)から装置外に排出されるので、これを手のひらなどで受け止めればよい。
(流路変更装置90)
流路変更装置90は、非作動時にはメダル送り装置40のキャンセル開口49から排出される排出メダルを本体カバー30の底部開口38からメダル取り出し皿100に落下させ、作動時には前記排出メダルを底部開口38から落下させずに補給通路25に誘導するための装置であり、図5及び図6に示すように、底部開口38の背面側下端部に設けられた軸部92を中心に前後方向に回動自在に取り付けられた補給弁91と、軸部92を軸中心に回転させることにより補給弁91を回動させるための駆動部93とから成る。
【0048】
前記補給弁91は、一端部が前記軸部92に固定された板状の部材であり、通常モード時には図5に示すように垂直状態となっている。このとき、軸部93の反対側の先端部93が排出装置80の下端部に当接して背面開口39を閉塞し、補給通路25の入り口を閉じるとともに、底部開口38は開放されるようになっている。また、補給予備モードにおいて搬送ベルト53が一定時間逆転した後には、図6に示すように、軸部92を中心に手前側に回動し、底板33の底部開口38付近に設けられた突起33Aと先端部93が当接して底部開口38を閉塞し、背面開口39を開放して補給通路25の入り口を開くようになっている。なお、補給モード時にはキャンセル開口49が開放されるようになっているとともに、搬送ベルト53はメダル送り出し方向に向かって上り傾斜しているため、一括投入開口31から遊技メダルを投入すれば、投入したメダルは搬送ベルト53の上面やメダル貯め部44に滞留せず、キャンセル開口49を通って補給通路25へと流下するものである。
【0049】
前記駆動部94は、軸部93を回転させるための小型モータであり、軸部93の軸方向の端部に設けられたギヤとモータ軸とをベルトなどの連結手段で連結し、モータの回転を軸部93に伝達するように形成してある。そして、駆動部94が所定時間駆動することにより、軸部93が回転し、補給弁91が所定の角度だけ回動するようになっているものである。なお、駆動部94はモータでなくともよく、ソレノイドを用いてもよい。
(通常モード時におけるメダル貸出機2の作動)
次に、上記構成を有するメダル貸出機2において、通常モード時における作動及び一括投入機構3による遊技メダルの移送過程を説明する。
【0050】
通常モード(補給モードキースイッチ35がOFFのとき)において、初期状態では、一括投入機構3は、図1に示すように、排出弁81はキャンセル開口49を閉塞しており、補給弁91は補給通路25の入り口を閉塞している。そして、メダル貸出機2の紙幣投入口21に紙幣を投入すると、上部ホッパー23が作動開始し、投入金額に対応する枚数の遊技メダルを払い出す。払い出しメダルは、払い出し通路42を経て排出弁81の上面に積み重なるように落下し、メダル貯め部44に貯留される。また、一括投入開口31から遊技メダルを投入すると、遊技メダルは搬送ベルト53の後方部上面と排出弁82の上面に積み重なるように落下し、メダル貯め部44に貯留される。
【0051】
次に、一括投入機構3の上面板32を手で触れると、タッチセンサが反応して、搬送装置50が作動を開始する。すなわち、駆動モータ55が駆動して、ローラ51が回転し、搬送ベルト53が前方に移動開始する。搬送ベルト53が移動開始すると、搬送ベルト53の後方部上面に乗っている遊技メダルが前方に移動し、その上方に貯まっているメダルも引きずられて、移動調整弁43の下方を潜ってメダル戻り部45に移動する。ここで、移動調整弁43は、前方(メダル戻り部45側)には回動しないので、メダル貯め部44の上部に貯留されているメダルが、一気にメダル戻り部45に雪崩れ込むのを防ぐことができる。
搬送ベルト53により前方に移送された遊技メダルのうち、搬送ベルト53の上面に乗っている遊技メダルは、搬送ベルト53と逆転ローラ52の下面との間の送出間隙54をすり抜けて、一枚ずつ、メダル排出部47へと移送される。一方、搬送ベルト53の上方に重なっている遊技メダルは、逆転ローラ52と接触することにより、逆転ローラ52に設けられた撹拌溝に引っかかり、上方後部のメダル戻り部45に蹴り戻される。逆転ローラ52は、ローラ51よりも高速回転しているので、効率よくメダルを蹴り出すことができる。
【0052】
ここで、メダル戻り部45に滞留するメダルの量が多いと、逆転ローラ52によって後方に蹴り出すのに支障をきたし、送出間隙54でメダル詰まりが発生するおそれがある。しかし、移動調整弁43は、後方(メダル貯め部側)に回動可能に取り付けられているので、メダル戻り部45内に滞留したメダルはメダル貯め部44に逆流し、メダル戻り部45の上方に空間が形成される。これにより、逆転ローラ52によるメダルの蹴り出しがスムーズに行われるものである。
搬送装置50から送り出された遊技メダルは、メダル排出部47から排出され、ノズル部60の湾曲部620aに誘導されつつメダル受け口67に入り、メダル移送路65を通ってメダル排出口66から排出される。メダル排出口66はスロットマシン1のメダル投入口10の側方移送通路12と位置あわせされているので、遊技メダルは側方移送通路12を通って、上部投入開口11に投入される。
【0053】
ところで、投入された遊技メダルを全て移送し終える前にメダル送り装置50の作動を停止させた場合(タッチセンサから手を離した場合)には、搬送ベルト53の上面やメダル貯め部33に遊技メダルが残留したままとなる。この場合、遊技を終了するなどにより、残留している遊技メダルをスロットマシン1に投入したくない場合には、所定のリセットスイッチ(図示せず)を操作する。すると、図5に示すように、排出装置80のソレノイド82が作動して排出弁82を開くとともに、メダル送り装置50の駆動モータ55が逆転駆動する。これにより、搬送ベルト53の上面にある遊技メダルは後方に移動し、排出弁81が開くことにより、メダル貯め部44の底部に開口するキャンセル開口49から下方に落下する。メダル貯め部44に貯留されていた遊技メダルも、同様にキャンセル開口49から落下する。
【0054】
このようにしてメダル送り装置40から排出された遊技メダルは、底部開口38から落下しメダル取り出し皿100に貯留されるので、メダル取り出し皿100に貯まったメダルを取り出せばよい。なお、一括投入機構3の内部に、ゴミなどの異物が混入した場合にも、上記したのと同様にして、取り出すことができるのは言うまでもない。
なお、搬送装置50の作動中にメダル詰まりの発生が検知された場合には、所定の警報が発せられるとともに、駆動モータ55の駆動が停止する。同時に排出装置80を作動させるとともに駆動モータ55を逆転駆動させ、搬送ベルト53と逆転ローラ52の間に挟まったメダルをメダル貯め部44側に戻すとともに、キャンセル開口49から排出させるようにしてもよい。メダル詰まりは、駆動モータ55及びローラ51に設けた回転検知センサにより認識することができる。回転検知センサは、具体的には、例えばローラ51の回転軸に断面D字型の突起を設け、この突起を挟んでフォトセンサを設け回転軸の回転を検知するものとすることができる。そして例えば、駆動モータ55が駆動しているにもかかわらず一定時間ローラ51の回転を検知しない場合には、搬送装置50の内部でメダル詰まりが起きていると判断できる。ちなみに、ノズルセンサ64がメダルを検知したままになっている場合には、ノズル部60の内部でメダル詰まりが起きていると判断できる。この場合には、プッシュボタン63の押圧により前壁部62Bを開いて詰まりを解除するよう所定の報知を行うとよい。
【0055】
(補給モード時におけるメダル貸出機2の作動)
続いて、補給モード時におけるメダル貸出機2の作動の流れを、第一の作動例及び第二の作動例に分けて、図8及び図9のフローに基づき説明する。
(第一の作動例)
図8は、第一の作動例を示す流れ図である。第一の作動例においては、補給モードキースイッチ35の鍵穴に挿入した鍵を回転させてONにすることにより、メダル貸出機2が補給予備モードに移行し、補給予備モードの終了後、メダル貸出機2は補給モードに移行し、補給センサ120がメダルを検知することにより、メダル揚送機構70が作動開始するように形成されている。
【0056】
まず、図8のステップ100において、補給モードキースイッチ35がONになったかどうかを判断する。補給モードキースイッチ35がONにならない場合には、ステップ100に戻る。そして補給モードキースイッチ35がONになった場合には、次のステップ101に進む。なおこのとき、メダル貸出機2は補給予備モードに移行する。
ステップ101において、排出弁81を開作動させてメダル送り装置40のキャンセル開口49を開く。これにより、排出弁81の上面に貯留されている遊技メダルはキャンセル開口49から底部開口38を経てメダル取り出し皿100に落下する(図5参照)。そして、次のステップ102に進む。
【0057】
ステップ102において、一定時間搬送ベルト53を逆転させる。すなわち、駆動モータ55を一定時間逆転駆動させる。これにより、搬送ベルト53の上面に乗っている遊技メダルは後方に送り戻されて、キャンセル開口49から排出される。なお「一定時間」は予め設定した時間であって、メダル送り装置40の内部に残留している遊技メダルをすべて排出させるのに必要十分な時間である。一定時間経過後は、駆動モータ55の逆転駆動を停止させて搬送ベルト53の逆転を停止する。そして、次のステップ103に進む。
ステップ103において、補給弁91を回動させて、底部開口38を閉塞すると同時に補給通路25の入り口を開放する(図6参照)。なおこのとき、排出弁81は開いたままである。補給弁91の回動に伴う補給通路25の開放によって、補給予備モードは終了し(メダル補給ができるための準備が整い)、補給モードに移行する。そして、次のステップ104に進む。
【0058】
ステップ104において、補給センサ120がONであるかどうかを判断する。すなわち、図6に示すように、一括投入開口31から投入した遊技メダルがキャンセル開口49から落下して補給通路25に流下しているかどうかを判断する。そして、補給センサ120がONの場合には、次のステップ105に進む。
ステップ105において、搬送ベルト53を逆転させつつ、メダル揚送機構70を作動させる。すなわち、搬送装置50の駆動モータ55を逆転駆動させながら、送り出し円板71、立設装置72、上昇装置73を作動させるための駆動モータを駆動させて、下部ホッパー24に貯留された補給メダルを上部ホッパー23にまで移送する。搬送ベルト53の逆転により、一括投入開口31から投入されるメダルがキャンセル開口49に誘導され、効率よく補給を行うことができるとともに、投入したメダルが搬送ベルト53の上面に乗ったまま取り残されることがない。そして、次のステップ106に進む。
【0059】
ステップ106において、補給センサ120がOFFとなったかどうかを判断する。補給センサ120がOFFにならない場合には、ステップ105に戻る。すなわち補給通路25にメダルが流入し続けている限り、メダル揚送機構70の作動を継続させる。一方、補給センサ120がOFFになった場合には、次のステップ107に進む。
ステップ107において、補給センサ120がOFFとなってから一定時間が経過したかどうかを判断する。この一定時間は、下部ホッパー24に貯留されている遊技メダルが、送り出し円板71、立設装置72、上昇装置73を経て上部ホッパー23に到達するまでに必要十分な時間(例えば10秒)に設定されている。一定時間が経過していない場合には、ステップ105に戻る。すなわち、一括投入開口31からのメダル補給後も、一定時間メダル揚送機構70は作動を継続する。この場合、補給メダルのすべてが上部ホッパー23に移送されるまでメダル揚送機構70を作動させ続ける必要はなく、メダル揚送機構70の内部、例えば上昇装置73の内部などにメダルが残っていたとしても、次にメダル揚送機構70が作動したときには残留メダルも上部ホッパー23に移送されるので、何ら問題はない。一方、一定時間が経過した場合には、次のステップ108に進む。
【0060】
ステップ108において、搬送ベルト53の逆転を停止させ、メダル揚送機構70の作動を停止させる。そして、次のステップ109に進む。
前記ステップ104において、補給センサ120がONでない場合にも、ステップ109に進む。
ステップ109において、補給モードキースイッチ35がOFFになったかどうかを判断する。補給モードキースイッチ35がOFFにならない場合には、ステップ104に戻る。これは、補給センサ120がOFFになって一定時間経過した後に、メダル補給が再開される場合を考慮したものである。一方、補給モードキースイッチ35がOFFになった場合には、次のステップ110に進む。
【0061】
ステップ110において、排出弁81を閉作動させてキャンセル開口49を閉塞する。そして、次のステップ111に進む。
ステップ111において、補給弁91を回動させて、補給通路25の入り口を閉塞すると同時に底部開口38を開放する(図1参照)。これにより、補給モードは終了し、メダル貸出機2は通常モードに戻る。
このように、第一の作動例によれば、補給モードキースイッチ35の操作によりまず補給予備モードに移行し、メダル送り装置40の内部に残留しているメダルを排出してから、補給モードに移行するので、遊技者の手持ちメダルが上部ホッパー23に送られてしまうことがない。また、搬送ベルト23を逆転させながらメダル揚送機構70を作動させているので、一括投入開口31から投入するメダルを効率的に補給通路25に送り込むことができる。
【0062】
(第二の作動例)
図9は、第二の作動例を示す流れ図である。第二の作動例においては、補給モードキースイッチ35の鍵穴に鍵を挿入することにより、補給予備モードに移行させるための予備モードスイッチがONになって、メダル貸出機2が補給予備モードに移行し、補給予備モードの終了後、挿入した鍵を所定方向に回転させることにより、補給モードに移行させるための補給モードスイッチがONになって、メダル貸出機2が補給モードに移行するとともに、メダル揚送機構70が作動開始するように形成されている。
まず、図9のステップ200において、予備モードスイッチがONとなったかどうか、すなわち補給モードキースイッチ35の鍵穴に鍵が挿入されたかどうかを判断する。予備モードスイッチがONでない場合には、ステップ200に戻る。そして、予備モードスイッチがONとなった場合には、次のステップ201に進む。
【0063】
ステップ201において、排出弁81を開作動させてメダル送り装置40のキャンセル開口49を開く。そして、次のステップ202に進む。
ステップ202において、一定時間搬送ベルト53を逆転させる。一定時間経過後は、駆動モータ55の逆転駆動を停止させて搬送ベルト53の逆転を停止する。そして、次のステップ203に進む。
ステップ203において、補給弁91を回動させて、底部開口38を閉塞すると同時に補給通路25の入り口を開放する(図6参照)。なおこのとき、排出弁81は開いたままである。補給弁91の回動に伴う補給通路25の開放によって、補給予備モードは終了し、補給モードに移行する。そして、次のステップ104に進む。
【0064】
ステップ204において、補給予備モードが終了したことを知らせる予備モード終了報知を行う。予備モード終了報知は、例えば所定の報知ランプを点灯させたり、ブザーやチャイムを鳴らすようにしてもよい。そして次のステップ205に進む。
ステップ205において、補給モードスイッチがONとなったかどうか、すなわち補給モードキースイッチ35の鍵穴に挿入されている鍵が所定方向に回転されたかどうかを判断する。補給モードスイッチがONにならない場合には、ステップ205に戻る。すなわち、補給予備モードが終了したら、補給モードキースイッチ35を操作しないと、補給モードには移行しない。なお、予備モード終了報知により、作業者は補給モードキースイッチ35の操作タイミングを把握することができる。ちなみに、予備モード終了報知後であれば、一括投入開口31から補給メダルを投入すれば、補給通路25を経て下部ホッパー24に落下し貯留される。そして、補給モードスイッチがONになった場合には、次のステップ206に進む。
【0065】
ステップ206において、メダル揚送機構70を作動させる。これにより、下部ホッパー24に貯留されていたメダル及び一括投入開口31から投入されるメダルが上部ホッパー23に移送される。そして、次のステップ207に進む。
ステップ207において、補給モードキースイッチ35がOFFになったかどうか、すなわち鍵が鍵穴から抜かれたかどうかを判断する。補給モードキースイッチ35がOFFにならない場合には、ステップ206に戻る。すなわち、一括投入開口31からのメダル補給の有無、メダル揚送機構70内部の残留メダルの有無にかかわらず、補給モードキースイッチ35を操作してOFFにしない限り、メダル揚送機構70は作動を継続する。従って、作業者は、一括投入開口31からのメダル補給後、所定時間が経過するのを見計らって適宜補給モードキースイッチ35を操作することとなる。なお、作動例1で述べたように、メダル揚送機構70の停止時に内部にメダルが残留していてもなんら問題はないので、所定時間はそれほど正確に測定する必要はない。そして、補給モードキースイッチ35がOFFになった場合には、次のステップ208に進む。
【0066】
ステップ208において、一定時間搬送ベルト53を逆転させる。これにより、一括投入開口31から投入された補給メダルのうち搬送ベルト53の上に残っていたメダルがキャンセル開口49から排出される。一定時間経過後は、駆動モータ55の逆転駆動を停止させて搬送ベルト53の逆転を停止する。そして、次のステップ209に進む。
ステップ209において、メダル揚送機構70の作動を停止させる。そして、次のステップ210に進む。
ステップ210において、排出弁81を閉作動させてキャンセル開口49を閉塞する。そして、次のステップ211に進む。
【0067】
ステップ211において、補給弁91を回動させて、補給通路25の入り口を閉塞すると同時に底部開口38を開放する。そして、ステップ212に進む。
ステップ212において、補給モードが終了したことを知らせる補給モード終了報知を行う。これにより、補給モード終了報知により、メダル貸出機2からのメダルの払い出しや、一括投入機構3の作動が可能となったことが周知となる。そして、補給モードは終了し、メダル貸出機2は通常モードに戻る。
このように、第二の作動例によれば、補給モードキースイッチ35の操作によって、メダル揚送機構70を作動及び作動停止させるようにしてあるので、補給センサ120を設ける必要がない。また、作業者の任意でメダル揚送機構70の作動を制御できるので、メダル補給作業を臨機応変に行うことができる。そして、補給予備モード終了後、及び補給モード終了後に所定の報知を行うように形成してあるので、作業者や遊技者が次の操作に移行するのに好都合である。さらに、メダルの補給中はメダル揚送機構70のみを作動させ、補給モードキースイッチ35のOFFによって搬送ベルト53を逆転させるようにしたため、ベルト上にメダルを残留させることがないとともに、補給の最中に搬送装置50が作動することなく無駄な電力を消費せず、騒音も少なくなるという利点がある。
【0068】
なお、上記第一及び第二の作動例において、補給予備モードでのメダル送り装置40内部のメダルを排出中に、一括投入開口31からメダルを投入できないよう、補給予備モード時に一括投入開口31を閉塞するシャッターを設けてもよい。シャッターは、特に図示しないが、例えば本体カバー30の上面板32の下側とメダル送り装置40の本体ベース41の上面との間に間隙を設け、この間隙に収納可能であり前後方向に水平移動することにより一括入開口31を開閉自在とするスライド板とすることができる。そして、補給予備モード時にこのスライド板をモータやソレノイドで移動させることで、一括投入開口31を閉塞するように形成することができる。
【0069】
あるいは、補給予備モード中に、一括投入開口31からメダルを投入しないよう、音声による警告を発するようにしてもよい。
以上のように、本実施の形態によれば、一括投入開口31から遊技メダルを投入することにより、上部ホッパー23に補給することができ、メダルの入った重いメダル容器をメダル貸出機2の上方まで持ち上げる必要がない。また、メダル貸出機2に補給口を設ける必要がないので、メダル貸出機2の内部を人目に晒すことがないとともに、開口部から異物を挿入してホッパーを誤作動させるといった不正行為の被害に遭いにくくなる。 さらに、ホッパー(払い出し装置)をメダル貸出機2の下部に設けると、メダル貸し出しの都度メダル揚送機構を作動させなければならないが、本実施の形態では、メダル揚送機構70はメダル貸し出しに比べて頻度の低いメダル補給時のみ作動するので、省エネルギーや騒音の点で好適である。
【0070】
なお、本実施の形態では、メダル揚送機構70として、送り出し円板71、立設装置72、上昇装置73を設けたが、メダル揚送機構70の構成はこのようなものに限られない。例えば、下部ホッパー24の送り出し円板71から上部ホッパー23までメダルレールを延設し、送り出し円板71から送り出されるメダルがメダルレール内を一列に並んで押し上げられるように形成してもよい。ただ、メダルレールの距離が長いと、メダル移送の不具合が生じやすいので、上記実施の形態のようにスクリュー式上昇装置を用いるのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施の形態であって、スロットマシン及びメダル貸出機の斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態であって、一括投入機構の断面図である。
【図3】本発明の実施の形態であって、メダル投入口及び一括投入機構の拡大斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態であって、メダル送り装置の斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態であって、一括投入機構の部分断面図である。
【図6】本発明の実施の形態であって、一括投入機構の部分断面図である。
【図7】本発明の実施の形態であって、立設装置及び上昇装置を示す断面図である。
【図8】本発明の実施の形態であって、メダル補給時におけるメダル貸出機の第一の作動例を示す流れ図である。
【図9】本発明の実施の形態であって、メダル補給時におけるメダル貸出機の第二の作動例を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0072】
1 スロットマシン(遊技機)
10 メダル投入口 11 上部投入開口
12 側方移送通路 13 前扉
14 図柄表示窓 15 下皿
16 操作部
2 メダル貸出機
20 外箱 21 紙幣投入口
22 紙幣カウンター 23 上部ホッパー(払い出し装置)
24 下部ホッパー(補給貯留部) 25 補給通路(内部通路)
3 一括投入機構
30 本体カバー 31 一括投入開口
32 上面板 33 底板
35 補給モードキースイッチ(モード変更手段)
38 底部開口 39 背面開口
40 メダル送り装置 41 本体ベース
42 払い出し通路 43 移動調整弁
44 メダル貯め部 45 メダル戻り部
46 仕切棒 47 メダル排出部
48 受入開口 49 キャンセル開口
50 搬送装置 51 ローラ
52 逆転ローラ 53 搬送ベルト
54 送出間隙 55 駆動モータ
60 ノズル部(投入導入路) 61 カバー部材
62 ベース部材 63 プッシュボタン
64 ノズルセンサ 65 メダル移送路
66 メダル排出口 67 メダル受け口
69 メダル落下口
70 メダル揚送機構 71 送り出し円板
72 立設装置 72A 回転軸
72B メダル押し上げ片 73 上昇装置
74 支持枠 74A 受入孔
74B 排出孔 75 スパイラル軸
76 平坦面 77 傾斜面
80 排出装置 81 排出弁(排出開閉部材)
82 ソレノイド
90 流路変更装置 91 補給弁(補給開閉部材)
92 先端部 93 軸部
94 駆動部
100 メダル取り出し皿 120 補給センサ
121 発光部 122 受光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技メダルを側面側から受け入れ可能な側方移送通路を有するメダル投入口を備えた遊技機に隣接して設置される箱形のメダル貸出機であって、
外箱の正面側には、遊技メダルを上方から一括投入可能な一括投入開口を有する一括投入機構を備え、外箱の内部には前記一括投入機構よりも上方に位置し遊技者に貸し出す遊技メダルを払い出すための払い出し装置を備え、
前記一括投入機構は、前記一括投入開口の下方に設けられ遊技メダルを貯留可能なメダル貯め部と、一括投入された遊技メダル又は前記メダル貯め部に貯留されている遊技メダルを一枚ずつ分離して送り出す搬送装置と、搬送装置から送り出された遊技メダルを前記遊技機の側方移送通路に誘導する投入導入路と、前記メダル貯め部の下方に設けられた排出用開口及びこの排出用開口を開閉する排出開閉部材とを少なくとも備え、前記排出開閉部材が開くことにより前記メダル貯め部内の遊技メダルその他の貯留物を前記排出用開口から外箱の外部に排出可能に形成したメダル貸出機において、
外箱内部には、
前記排出用開口よりも下方に位置し、遊技メダルを一時貯留可能な補給貯留部と、
前記排出用開口から排出される遊技メダルを、前記補給貯留部に誘導する内部通路と、
前記補給貯留部から前記払い出し装置に遊技メダルを揚送するためのメダル揚送機構とを少なくとも設け、
前記内部通路の入り口には、内部通路の入り口を開閉する補給開閉部材を設け、
メダル貸出機の作動状態を、前記払い出し装置によるメダル払い出し及び前記搬送装置の作動による遊技機へのメダル移送を可能とする通常モードから、前記一括投入開口から投入した遊技メダルを前記払い出し装置に移送可能とする補給モードに変更するためのモード変更手段を設け、
前記モード変更手段によりメダル貸出機が補給モードに移行した場合には、前記排出開閉部材を開いて前記排出用開口を開放するとともに、前記補給開閉部材を開いて前記内部通路の入り口を開放し、前記排出用開口から排出される遊技メダルを外箱の外部に排出させることなく前記内部通路に誘導し、かつ前記メダル揚送機構を作動させて前記補給貯留部に貯留される遊技メダルを前記払い出し装置に揚送可能としたことを特徴とするメダル貸出機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−229194(P2007−229194A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−54367(P2006−54367)
【出願日】平成18年3月1日(2006.3.1)
【出願人】(390031772)株式会社オリンピア (2,719)
【Fターム(参考)】