説明

メダル2枚同時払い出し可能なホッパー装置

【課題】メダルが2枚重なった状態でロータリーディスクの各孔に収納し、1方向のみの回転動作でメダルを各払い出しルートへ移送可能とすることにより1ホッパーで2枚メダルを同時移送できるホッパー装置を提供する。
【解決手段】ロータリーディスク21が回転すると、メダル落とし孔にメダルが落下し、ディスク底板33のメダル誘導溝に堆積する。1つのメダル落とし孔に対し2枚のメダルが積み重ねられる。ロータリーディスク21の回転により2枚重ねのメダルは誘導溝を移動させられ、誘導ピン32に突き当たりメダル移送ルートの案内通路に導かれる。各メダル落とし孔に落下したメダルはつぎから次へと案内通路に導かれるため、2枚重ねのメダルは移送ルートを数珠つなぎ状態に押し上げられ、分割板30で2枚のメダルは分岐させられそれぞれ異なるルートから同時に排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来ホッパーで1枚ずつ移送・払い出されていたメダルを2枚重ねで移送し、かつ2枚同時に払い出し可能なホッパー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
メダルゲーム機では、メダルを払い出すためにメダルを上方に移送するホッパー装置が設置されているのが一般的である。従来のメダルゲーム機におけるホッパー装置はメダル搬送を円滑にするために種々の提案がなさている。
【0003】
特許文献1は、正転・逆転するロータリーディスクの制御を確実に行い、ホッパー装置本体から直結する移送ルートを2種設置したツインホッパー型メダル投出装置により、円滑なメダル搬送を提案するものである。
これはロータリーディスクと移送ルート機構を各々に設置することにより別ルートへの払い出しを行うものである。
【0004】
特許文献2は、ホッパー装置を2機並列して配置し、払い出し完了までの時間の短縮と、一方に不具合が生じても、もう一方で払い出しができるので、遊技を中断させずに済むことを提案するものである。
これはホッパー装置を2機並列して配置させることにより、払い出し速度を2倍にするものである。
従来技術では上述のようにプレイヤに払い出されるメダルは1ホッパー装置で1枚ずつ払い出し口まで移送され、且つ1枚ずつ払い出しが行われる形式であった。また、払い出し口を切り替えることにより1つのホッパー装置で別々の払い出し口からメダルを1枚ずつ払い出していた。
【0005】
特許文献3は、1つのロータリーディスクの回転方向を切り替えて各払い出しルートへメダルを移送することを提案するものである。これによれば1つのロータリーディスクの回転方向を切り替えることにより、ホッパー装置から連結している各払い出しルートへメダルを移送することを提供できる。
【特許文献1】特開2007−241551号公報
【特許文献2】特開2001−112925号公報
【特許文献3】特開2002−222446号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記状況に鑑みてなしたもので、その目的は、メダルが2枚重なった状態でロータリーディスクの各孔に収納し、1方向のみの回転動作でメダルを各払い出しルートへ移送可能とすることにより1ホッパーで2枚メダルを同時移送できるホッパー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために本発明の請求項1記載の発明は、メダルを収容する孔にメダルを落とし、落としたメダルを押してメダル案内通路にメダルを誘導しメダル案内通路中の数珠つなぎ状態のメダルを押し上げることによりメダル案内通路の払い出し口からメダルを払い出すホッパー装置において、メダル2枚分の深さを有するメダル案内通路を有し、終端部に2枚のメダルを分割移送するための分割板を配置したメダル移送部と、メダル集積部に設置され、メダル落とし孔を有し、該メダル落とし孔の脇に押しピンを設置した回転板と、前記回転板の下面とメダルを受ける面との間が略メダル2個分の隙間になるように配置され、誘導ピンを有する底板と、前記回転板を回転させる駆動源とを備え、前記回転板の回転により前記メダル集積部に集積されたメダルを前記メダル落とし孔に落とし込み、該メダル落とし孔を通って前記底板に堆積し2枚重ねになったメダルを前記押しピンで回転板の回転方向に移動させ、前記回転板の回転に従って移動させた2枚重ねのメダルを前記誘導ピンに突き当てることにより前記メダル案内通路入り口に2枚重ねのメダルを誘導し、2枚重ねメダル単位で前記メダル案内通路を押し上げ前記メダル案内通路の終端部から2枚のメダルを同時に払い出すことを特徴とする。
本発明の請求項2記載の発明は前記請求項1記載の発明において前記回転板は周縁に沿って複数のメダル落とし孔を有する円盤であることを特徴とする。
本発明の請求項3記載の発明は、前記請求項1または2記載の発明において前記メダル案内通路の終端部に分割板を配置し、該分割板で2枚重ねのメダルを上下に分岐させ2枚のメダルをそれぞれ異なる方向に導くことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上のようにメダル2枚同時に払い出しが可能なように構成されているため、メダル払い出し時間の短縮を実現できる。また効率よく払い出しができ、払い出しの演出を盛り上げることができる。
本発明によれば、従来のホッパー装置内のメダル移送時間を半分に短縮可能で、複数ルートへの払い出しに必要な複数の機構を設置しなくても、2枚分のメダルが格納できるスペースを設けることにより複数機構分の動作・効果を実現できる。
また、本発明は分割板によりメダルを1枚いちまいに分けて払い出し可能であるため、払い出しルートを分岐させることなく1方向に制限することにより、1箇所の払い出し口から2枚同時にメダルを払い出すことも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面等を参照して本発明の実施の形態を詳しく説明する。
図1は、本発明によるホッパー装置を用いるメダルゲーム機の外観を示す正面図である。
このメダルゲーム機1はメダルプッシャーゲームであり、パネル前部にメダル投入口2が配置されている。また、筐体上面にチェッカー6,ムービング板8,滑り台5などを配置したプレイエリア7が設置されている。プレイヤがメダル投入口2にメダルを投入すると、カラーメダルがカラーメダル排出口4からチェッカー6に向かって発射される。
【0010】
チェッカー6の孔に入れば、入賞となりディスプレイ9に入賞によるゲームが表示されて、表示されたゲームを行うこととなる。入らなければ、チェッカー6の背面の壁に当たって跳ね返り、透明のムービング板8の上を手前方向に滑り、ムービング板8の端部から滑り台5に落ち、滑り台5を滑り落ちる。
メダル投入口の脇にメダル置き皿11が設けられ、このメダル置き皿11でメダル排出口3から払い出されるメダルを受けるように構成されている。
【0011】
図2はメダルゲーム機中のホッパー装置の配置例を説明するための図である。この図はホッパー装置が設けられている図1のメダルゲーム機のA−A断面図である。
親落ちメダルを受ける受け部15に落下するメダル13はメダルガイド18を通ってメダル集積部16に集められる。メダル集積部16の底面はホッパー装置20のロータリーディスク21が設置されており、メダル押し出し機構によってメダル移送部31にメダルが押し出され、メダル移送部31の端部に配置されているメダル排出口3からメダルが押し出される。押し出し機構は制御装置14の制御の下、ゲームの進行に基づき作動させられる。
押し出されるメダルは2個の重なったメダルがメダル移送部31に入ると、メダル排出口3から同じ数のメダルが排出される。
【0012】
図3は本発明によるホッパー装置の外観を示す斜視図である。
ロータリーディスク21の上には図示しないメダル集積部16が配置されている。回転軸23はロータリーディスク21の中央に固定されている。回転軸23は減速ギヤ群を介してモータ22の出力軸に固定されている。制御装置14の制御の下にモータ22が駆動させられると、ギヤ群によってモータ回転速度は減速させられ、ロータリーディスク21は反時計方向に回転するようになっている。
ロータリーディスク21は円周に沿ってメダルの外形より若干大きい5個のメダル落とし孔21a〜21eが穿設されている。ロータリーディスク21の下にディスク底板33が配置され、ロータリーディスク21の下面とディスク底板33のディスク案内溝の間はメダル2個分より若干大きめの隙間となっており、メダル落とし孔21a〜21eより落ちるメダルを2個重ねて収容することができる。ロータリーディスク21が回転している間に、メダル集積部16のメダルがかき混ぜられるとともに各メダル落とし孔21a〜21eにメダルが落ち込む。
【0013】
図4はメダル押し出し機構を説明するための一部断面で示した側面図である。
ロータリーディスク21の中心は回転軸23に固定され、回転軸23の端部はギヤ36dに取り付けられている。制御装置で制御されるモータ22の出力軸22aはギヤ36aに固定されている。ギヤ36aはギヤ36bに噛合し、ギヤ36bはギヤ36cと軸によって結合し、さらにギヤ36cはギヤ36dに噛合してモータの回転駆動力は減速されて回転軸23に伝達される。モータ22は、メダルゲームにボーナスが発生した場合等に回転し、対応の角度量だけ回転して停止することにより、図3に示す払い出し口A(26)とB(27)にそれぞれ同時にメダルを排出し、所定の数のメダルを払い出すことができる。
【0014】
ロータリーディスク21の下面とメダルを受けるためのメダル案内溝33aとの間の寸法Rはメダルの厚さをHとすれば、2×H+αである。αは2枚のメダルが重なったときメダルBの上部がロータリーディスク21の下面に擦らないためのマージンをとった寸法である。ディスク底板33の右方のメダル案内溝33aにメダルBとAが重なった状態で堆積した状態が示されている。
【0015】
図5Aはロータリーディスクの詳細図である。
ロータリーディスク21は円周に沿って等間隔で5個のメダル落とし孔21a〜21eが設置され、ロータリ−ディスク21の下面の各メダル落とし孔の脇に2枚の重なったメダルの側面を押すための押しピン34a〜34eがそれぞれ設けられている。
図5Bはディスク底板の詳細図である。
ディスク底板33はロータリーディスク21の各メダル落とし孔21a〜21eに落下するメダルを受けるためのメダル案内溝33aを備えている。メダル案内溝33aは移送ルートの案内底板24に設けられている案内通路36に連結されている。
メダル案内溝33aの案内通路36への連結部分の付近に搬送されてくる2枚重ねのメダルを案内通路36に導くための誘導ピン32が植設されている。
【0016】
ロータリーディスク21が反時計方向に回転すると、2枚重ねのメダルは例えば押しピン34aに押されて案内通路36への連結部に搬送される。搬送されてきた2枚重ねのメダルは13aで示すように誘導ピン32に突き当たり案内通路36に押し出される。
各メダル落とし孔21a〜21eによってメダル案内溝33aに落下したメダルは次からつぎへと誘導ピン32で誘導されて案内通路36に導かれるためメダル移送ルートには図3に示すように2枚重ねのメダルが数珠つなぎ状態で上に押し出される。
【0017】
図6はメダル移送部の終端付近の縦断面図である。
メダル移送部の終端付近の案内通路中に分割板30を設けている。案内底板24と案内押さえ板25の間隔は2枚のメダルの厚さに分割板30の厚さを加えメダルを移動させるための寸法マージンを加えたものである。分割板30の先端部30aは尖っており、上昇してくる2枚重ねのメダル、すなわちメダルBとAを2つの通路にそれぞれ分岐させる。払い出し口を図3に示すように別々の払い出しルートA(28)とB(29)に分けて払い出すことができる。また、分割板30を設けなければ、1箇所の払い出し口からメダル2枚同時に払い出すことが可能である。
【0018】
以上の実施の形態は、ロータリーディスクを反時計方向に回転して2枚重ねのメダルをメダル移送部の案内通路に誘導する例を示したが、誘導ピンの位置を変え、押しピン34をメダル落とし孔21a〜21eの反対側の位置に設け、時計方向に回転させても同様に2枚重ねのメダルをメダル移送部に案内することができる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
イベント会場やゲームセンタに設置されているメダルゲーム機に用いられるホッパー装置である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明によるホッパー装置を用いるメダルゲーム機の外観を示す正面図である。
【図2】メダルゲーム機中のホッパー装置の配置例を説明するためのメダルゲーム機の断面図である。
【図3】本発明によるホッパー装置の外観を示す斜視図である。
【図4】メダル押し出し機構を説明するためのロータリーディスク部分を一部断面で示した側面図である。
【図5A】ロータリーディスクの詳細図である。
【図5B】ディスク底板の詳細図である。
【図6】メダル移送部の終端付近の縦断面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 メダルゲーム機
2 メダル投入口
3 メダル排出口
4 カラーメダル排出口
5 滑り台
6 チェッカー
7 プレイエリア
8 ムービング板
9 ディスプレイ
10 スピーカ
11 メダル置き皿
13 メダル
14 制御装置
15 親落ちメダル受け部
16 メダル集積部
18 メダルガイド
20 ホッパー装置
21 ロータリーディスク
22 モータ
23 回転軸
24 案内底板
25 案内押さえ板
25a 窓
26 払い出し口A
27 払い出し口B
28 払い出しルートA
29 払い出しルートB
30 分割板
32 誘導ピン
33 ディスク底板
33a メダル案内溝
34 押しピン
35 モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メダルを収容する孔にメダルを落とし、落としたメダルを押してメダル案内通路にメダルを誘導しメダル案内通路中の数珠つなぎ状態のメダルを押し上げることによりメダル案内通路の払い出し口からメダルを払い出すホッパー装置において、
メダル2枚分の深さを有するメダル案内通路を有し、終端部に2枚のメダルを分割移送するための分割板を配置したメダル移送部と、
メダル集積部に設置され、メダル落とし孔を有し、該メダル落とし孔の脇に押しピンを設置した回転板と、
前記回転板の下面とメダルを受ける面との間が略メダル2個分の隙間になるように配置され、誘導ピンを有する底板と、
前記回転板を回転させる駆動源とを備え、
前記回転板の回転により前記メダル集積部に集積されたメダルを前記メダル落とし孔に落とし込み、該メダル落とし孔を通って前記底板に堆積し2枚重ねになったメダルを前記押しピンで回転板の回転方向に移動させ、前記回転板の回転に従って移動させた2枚重ねのメダルを前記誘導ピンに突き当てることにより前記メダル案内通路入り口に2枚重ねのメダルを誘導し、2枚重ねメダル単位で前記メダル案内通路を押し上げ前記メダル案内通路の終端部から2枚のメダルを同時に払い出すことを特徴とするメダル2枚同時払い出し可能なホッパー装置。
【請求項2】
前記回転板は周縁に沿って複数のメダル落とし孔を有する円盤であることを特徴とする請求項1記載のメダル2枚同時払い出し可能なホッパー装置。
【請求項3】
前記メダル案内通路の終端部に分割板を配置し、該分割板で2枚重ねのメダルを上下に分岐させ2枚のメダルをそれぞれ異なる方向に導くことを特徴とする請求項1または2記載のメダル2枚同時払い出し可能なホッパー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−92313(P2010−92313A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−262383(P2008−262383)
【出願日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(306019111)株式会社タイトー (475)
【Fターム(参考)】