説明

メチオニンにより官能基化された両親媒性ポリマー

本発明は、疎水性基及びメチオニン基を含む、新規な両親媒性ポリマーに関する。
本発明は、活性成分、特にその配列中に、酸化に敏感な少なくとも1のアミノ酸を含む活性成分、と非共有結合的に結合されたそのようなポリマーを含む、制御された放出プロフィールを有する組成物にもまた関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親水性の骨格を有し、かつメチオニン基を含む疎水性基を有する、新規な両親媒性ポリマーに関する。
【0002】
一般的に、両親媒性ポリマーはその化学構造に依存して、変化する大きさのナノ粒子を水性媒体中において形成することができる。即ち、その骨格が直鎖、親水性であり、かつ疎水性の側鎖基を有するポリマーは、水中において容易にナノ粒子を形成することができる。これらのナノ粒子は、その製造に使用されるベースの物質に依存して、生体適合性であり得、任意的に生分解性であってもよい。それらは、医薬品のベクター化のために、医薬品の分野において特に使用される。
【0003】
この分野においては、本出願人の会社は、数十年間、種々の疎水性基を含み、Medusa(商標)として知られている、ポリアミノ酸に基づくナノ粒子系及びミクロ粒子系を開発してきている。
【背景技術】
【0004】
すなわち、FLAMEL TECHNOLOGIESの特許出願、国際公開第2003/104303号パンフレットは、水中においてインスリンを結合できるナノ粒子を形成するアルファ−トコフェロールグラフトを含むグルタミン酸ポリマーを記載している。刊行物YP.Chanらの「Expert Opin.Drug.Deliv.」2007年、第4巻、第4号、441〜451頁は、これらのナノ粒子及びタンパク質、例えばインターフェロンアルファ又はインターロイキン2、と一緒に製造された配合物は、ヒトにおける皮下注射後に、少なくとも1週間に等しい期間の間、測定可能な細胞質濃度を得ることを可能にすることを記載している。同様に、プルランに基づき、かつコレステロールグラフトを含む両親媒性ポリマーは、水性媒体中で集合して、タンパク質例えばインスリンを可逆的に結合することのできるナノ粒子を形成することが公知である(アキヨシら、J.Controlled Release、1998年、第54巻、第313〜320頁)。キトサン又はデキストランに基づく他の類似のポリマーは、特にハイドロゲルフィルム又はインプラントを得るために開発されてきた(国際公開第00/14155号パンフレット)。
【0005】
上記から明らかなように、タンパク質及びペプチド配合物の分野における両親媒性ポリマーの使用はたくさんある。
【0006】
不幸なことに、5℃において少なくとも2年の間、水性媒体中で安定である両親媒性ポリマー/タンパク質配合物を得ることは、特に、酸化に関してある種の治療用タンパク質の脆弱性に関して主要な挑戦のままである。
【0007】
実際、ある種のアミノ酸、例えば多くのタンパク質又は酵素の成分であるメチオニン、システイン、ヒスチジン、又はトリプトファンは、後者の形成の間又は経時的にさえ、酸化することができる。明らかな理由から、この酸化現象は、これらのアミノ酸を含む活性成分の生物学的活性に有害な影響を有し得る(クリーランドら、Crit.Rev.Ther.Drug Carrier Systems、1993年、第10巻、第307〜377頁)ことは広く認識されている。
【0008】
この所望されない酸化を防ぐために、タクリュリは1993年に、それらをメチオニンと一緒に配合することにより、メチオニンをその配列中に含むタンパク質又は酵素を使用することを提案した(米国特許第5,272,135号)。この概念は、タンパク質を含む配合物の安定性の分野において働く当業者には今、周知である。例えば、特許出願、国際公開第2008/145323号パンフレットは、2〜75mMのメチオニンを含むインターフェロンアルファ配合物を記載し、米国特許出願公開第2003/0104996号明細書はエリスロポイエチン(EPO)又はハイパーグリコシル化エリスロポイエチン(NESP)の配合物であって、その分解は50mMまでの範囲の量のメチオニンの添加により制限される配合物を記載している。
【0009】
それにもかかわらず、酸化を防止するためのこの選択肢は完全には満足できない。
【0010】
即ち、後者のための酸化安定性を保証するために、タンパク質又は酵素と結合されるメチオニンの量は、もちろん、タンパク質の性質、その濃度、該配合物のpH及び他の要素に依存して変化し得る。他方、このタンパク質又はこのペプチドは、前に定義された両親媒性ポリマーと結合された形ですでに使用されるとき、メチオニンの有効性は変化されることができる。最後に、そのような両親媒性ポリマーから得られるインプラント又はゲルの特定の場合には、添加されたメチオニンは該インプラント又はゲルに均一かつ永久的に分布されることができないので、その有効性を喪失し得る。
【0011】
本発明は、上記の不十分さを正確に補うことを目的としている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
より正確には、本発明の目的は、活性成分、より特に、酸化現象に必然的に敏感であるタンパク質、ペプチド又は酵素のタイプのビヒクルとして使用されることができ、かつこの現象に対する安定性をそのような活性成分に正確に保証することのできる、新規なタイプの両親媒性ポリマーを提案することである。
【0013】
本発明の別の本質的な目的は、これらのポリマーが、さらに活性成分を結合させる傾向を有し、従って、活性成分のベクターとして使用されることができ、従って、たくさんの活性成分と容易に結合して、それらを生体内で放出する能力を示すことである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
結果として、その特徴の一つに従うと、本発明は、親水性の骨格を含む両親媒性ポリマーにおいて、該骨格が少なくとも1のメチオニンの側鎖又はその誘導体の一つ及び該メチオニン又はその誘導体の一つと異なる複数の疎水性の側鎖を有することを特徴とする、該両親媒性ポリマーに関する。
【0015】
好ましくは、一又は複数のメチオニン基及び/又は複数の疎水性基はランダムに配置されている。
【0016】
その別の特徴に従うと、本発明は、上記のポリマーを活性成分(AI)、特に酸化に敏感であるタンパク質又はペプチドのベクター化のために使用する方法に関する。
【0017】
その別の特徴に従うと、本発明は、活性剤と組み合わされている又は組み合わされていない、本発明に従う少なくとも1のポリマーを含むナノ粒子に関する。
【0018】
そのさらに別の特徴に従うと、本発明は、本発明に従うポリマーを及び活性成分含み、ナノ粒子の状態に組織されている又はされていない組成物に関する。
【0019】
発明の詳細な説明の文脈において、用語「メチオニン」は、ほかに明記されなければ、メチオニン残基又は後者の誘導体、特に以下に定義されるもの、のいずれかを意味するために使用される。
【0020】
本発明の意味内において、本開示の全体において、1以上の活性成分と本発明に従って考慮されているポリマーの相互作用を特定するために使用される、用語「組み合わせ」又は「組み合わせる」は、特に、一又は複数の活性成分がポリマーに特に疎水性及び/又は静電的相互作用により結合されている、及び/又は1又は複数のポリマーにより溶解されていることを意味する。
【0021】
本発明の意味内において、用語「側鎖」は疎水性及びメチオニンの基がペンダント状の基又は直鎖の骨格上のグラフトとしてもまた見えるように配置されていることを意味する。
【0022】
本発明の意味内において、「ランダムに」により、一又は複数のメチオニン基を有する本発明の両親媒性ポリマーの一又は複数のモノマー単位、及び一又は複数の疎水性の基を有する本発明の両親媒性ポリマーの一又は複数のモノマー単位が、親水性の骨格内に、隣接する単位の性質とは独立して、不規則な態様で分布されていることが意味される。
【0023】
以下から明らかであるように、安定なナノ粒子系、及び一方では1以上のメチオニン側鎖グラフトを、他方ではメチオニンとは異なるいくつかの疎水性の側鎖を含む親水性の骨格を形成することができる両親媒性ポリマーの新規な群を開発してきたことは出願人の会社の名誉である。
【0024】
書類国際公開第2008/094144号パンフレットは、メチオニン及び/又はシステイングラフトを有するポリアスパラギン酸タイプの親水性ポリマーを既に記載している。しかし、このタイプのポリマーは、本発明に従って要求されるメチオニンとは異なる疎水性のグラフトがない。さらに、それは該パンフレットにおいては、ナノ粒子の表面処理の目的のためだけに提案されている。従って、この書類は、メチオニンの抗酸化活性には全く関係がなく、この現象に正確に敏感である活性成分の酸化安定性を保存することができるポリマー状のビヒクルを開発する目的のための、後者の潜在的な安定化(valorization)にもさらに関係ない。
【0025】
すべての期待に反して、本発明者らは、両親媒性ポリマー上のグラフトの状態におけるメチオニンの存在は、一方では、活性成分と結合するその能力に、他方では、水性媒体と接触に至らせられたときに、ナノ粒子の状態で組織化される能力にさらに影響を与えることなく、該ポリマーに有意な抗酸化活性を与えることを可能にすることに注目した。
【0026】
さらに、本発明に従って考慮されるポリマーは、有利には、メチオニンのグラフト速度に関して抗酸化活性について調節するのに有利に役立つ。メチオニングラフト化速度を改良するこの可能性は、該ポリマーによって安定化されなければならないタンパク質又はペプチドの酸化感受性の機能として、特にそれが本発明に従うポリマーの抗酸化活性を調節することを可能にするという事実に鑑みて特に重要である。
【0027】
両親媒性ポリマー
− 親水性骨格
上記のように、本発明に従って考慮される両親媒性ポリマーは、親水性の骨格を有する。
【0028】
有利には、本発明に従って考慮されるポリマーは、水に、特に、5〜8に含まれるpHにおいて、可溶であるポリマー状の骨格を有する。
【0029】
この骨格は、ポリアミノ酸、多糖類、ポリアクリレート又はポリメタクリレートのファミリーに属するポリマー又はコポリマーから特に選択されることができる。
【0030】
従って、以下は全く特に適切である。
− ポリアミノ酸例えばポリ(グルタミン酸)(アルファ又はガンマタイプのもの)、ポリ(アスパラギン酸)(アルファ又はアルファ/ベータタイプのもの)、ポリリジン(アルファタイプのもの)又はこれらの同じアミノ酸の組み合わせにより形成されたコポリマー、
− ポリ(アクリル酸)又はポリ(メタクリル酸)、及び
− 多糖類、例えばデキストラン又はその誘導体例えばカルボキシメチルデキストラン又はヒドロキシエチルデキストラン又はプルラン。
【0031】
特定の実施態様に従うと、本発明の両親媒性ポリマーの親水性骨格は、ポリ(グルタミン酸)、ポリ(アスパラギン酸)、ポリリジン又はそれらのコポリマーから選択されたポリアミノ酸である。
【0032】
本発明に従って使用されることのできるある数のポリマー、例えば変化しえる質量のポリ(アルファ−L−グルタミン酸)、ポリ(アルファ−D−グルタミン酸)、ポリ(ガンマ−L−グルタミン酸)及びポリ(アルファ−L−リジン)タイプは、市販入手可能である。
【0033】
さらに、本発明の両親媒性ポリマーの親水性の骨格を形成することのできるポリマーは、当業者に公知の方法により得られることができる。
【0034】
例えば、アルファタイプのポリグルタミン酸ナトリウムの合成は、論文「バイオポリマー」、1976年、第15巻、第1869頁及びH.R.クリヒェルドルフによる書籍「アルファ−アミノ酸−N−カルボキシ無水物及び関連するヘテロ環」、スプリンガー出版(1987年)に記載されているように、N−カルボキシ−アミノ酸無水物(NCA)の重合により行われることができる。NCAの誘導体は好ましくはNCA−Glu−O−R3(R3=メチル、エチル又はベンジル)である。次に、該ポリマーは適切な条件下、加水分解されて、その酸の形のポリマーを得る。これらの方法は、出願人の会社のフランス国特許第2801 226号に与えられた記載に基づく。
【0035】
これらのポリマーは、活性化可能な基として、カルボキシル、アミン又はアルコール官能基を有する。従って、それらのグラフトは困難なしに想定されることができる。
【0036】
一般的に、親水性の骨格を有する直鎖のポリマーは、一又は複数の疎水性の基及びメチオニン又はメチオニン誘導体により同時に又は順番にグラフト化される。
【0037】
−疎水性基及びメチオニン基
本発明の本質的な特徴に従うと、本発明のポリマーは、少なくとも1のメチオニン基(MG)及びペンダント状の、メチオニンとは異なる疎水性基(HG)でグラフト化される。
【0038】
− メチオニン基(MG)
本発明の意味内において、表現「メチオニン誘導体」により、より特に置換誘導体体、特にメチオニンのアミン又はカルボキシル官能基のレベルにおける置換誘導体が意味される。
【0039】
これらは例えば、メチオニンアミド又はメチオニンエチルエステルである。
【0040】
これらの化合物は、メチオニンのアミン官能基によるカップリング反応を行うのに、より特に有利である。
【0041】
メチオニンは、2つの反応性官能基、カルボン酸及び一級アミン、を含み、実行されるカップリング反応に依存して、該官能基の1又は他は保護されなければならないことは明らかである。
【0042】
本発明のポリマーにおいて使用されることのできるメチオニンは、L、D配置又はラセミ体の混合物であることができる。
【0043】
グラフトのタイプに依存して、結合官能基は、アミド又はエステルタイプである。メチオニン基は、一度、ポリマーにグラフトされると一般的に以下の3つの構造のうちの一を有する:
【0044】
【化1】

【0045】
ここで
− Raはヒドロキシ基(任意的に脱プロトン化されていてもよい)、NH、OMe、OEt、NHCH又はN(CHを表し、
− Rb及びRcは、独立して水素原子、メチル又はエチルを表し、
Rb及びRc基のうちの一が水素原子であるときには、他の基はC〜Cのアシル基を表し、メチオニンの配置はL、D又はラセミ混合物であることができる。
【0046】
− 疎水性基(HG)
疎水性基は、実際には、そしてこれは制限的であることなしに、アルコール及びアミンを含む群から選択され、これらの化合物は、当業者により容易に官能基化されることができ、それらのグラフト化はメチオニン誘導体に要求されるものに類似の反応を行う。
【0047】
好ましい特徴に従うと、疎水性基(HG)は、5〜30の炭素原子を含む。
【0048】
これらの疎水性基(HG)は、以下、
− 任意的に少なくとも1の不飽和及び/又は少なくとも1のヘテロ原子を含んでいてもよい直鎖又は分岐状のC〜C30アルキル、
− 任意的に少なくとも1の不飽和及び/又は少なくとも1のヘテロ原子を含んでいてもよい、C〜C30アルキルアリール又はアリールアルキル、
− 及び任意的に少なくとも1の不飽和及び/又は少なくとも1のヘテロ原子を含んでいてもよい、C10〜C30(ポリ)環状物
を含む群から有利にかつ思慮深く選択される。
【0049】
より特に、疎水性基(HG)は、例えば以下、
− ドデカノキシ、テトラデカノキシ、ヘキサデカノキシ、オクタデカノキシ、オレイロキシ、トコフェリル又はコレステリル、アミノヘキシル、アミノヘキサデシル及びアミノオクタデシル、
− ラウリル、ミリスチル、パルミチル及びステアリル、
− 疎水性アミノ酸例えばロイシン、バリン、フェニルアラニン、トリプトファン又はチロシン又はその誘導体の一つ
を含む群から選択されることができる。
【0050】
疎水性基がアミノ酸であるとき、それは以下の(IV)、(V)又は(VI)の構造の一つに対応する誘導体であることができ、ここでRa、Rb及びRcは以前に与えられた定義に相当し、Rdは、ポリマー及び実施されたグラフト反応のタイプに依存するアミノ酸残基に対応する。
【0051】
【化2】

【0052】
あるいは、一又は複数のメチオニン又はメチオニン誘導体及び/又は該疎水性基は、それらをポリマー鎖に結合させることを可能にするスペーサーによりポリマー状骨格に結合されることができる。このスペーサーは、有利には2価であり、特にアミノ酸単位、アミノアルコール誘導体、ジアミン誘導体、ジオール誘導体及びヒドロキシ酸誘導体を含む群に属する。
【0053】
本発明の特定の実施態様に従うと、両親媒性ポリマーの親水性骨格はポリ(L)グルタミン酸ナトリウムであり、疎水性基は合成起源のトコフェリル基であり、好ましくはメチオニン誘導体はメチオニンアミド又はメチオニンエチルエステルである。
【0054】
結果として、本発明の好ましい両親媒性ポリマーは以下の一連の一般式(I)により構成される事実により図式的に示されることができる。
【0055】
【化3】

【0056】
ここで、
− Aは親水性ポリマー鎖の単量体単位を表し、
− MGはメチオニン又はその誘導体の一つを表し、
− HGは疎水性基を表し、そして
− E及びE'はそれぞれ0又は1を独立して示すn及びpを有するスペーサー基を表し、
− a、b、及びcは、ゼロとは異なる整数であり、
− 疎水性基HG及びメチオニン基mgはランダムに分布されている。
【0057】
有利には、疎水性基のモル百分率は、c/(a+b+c)の比により表され、メチオニン基のモル百分率は、b/(a+b+c)比により表される。
【0058】
本発明に従うポリマーにおける疎水性単位のモルグラフト率は、有利には2〜30%、好ましくは5〜20%の範囲である。
【0059】
本発明に従うポリマーにおけるメチオニン単位のモルグラフト率は、0.5〜20%の範囲である。
【0060】
a/a+b+cのモル比に関しては、それは40〜97.5%の範囲である。
【0061】
有利には、本発明に従うポリマーは、2,000〜200,000g/モルに、好ましくは5,000〜100,000g/モルに設定されたモル質量を有する。
【0062】
別の変形に従うと、本発明に従うポリマーは、ポリエチレングリコールタイプの少なくとも1のグラフトを有することもできる。
【0063】
好ましくは、ポリエチレングリコールのモル質量は、1,000〜5,000Daである。該ポリエチレングリコールタイプの基は、以下の構造の一つに従って、図式的に表されることができる。
【0064】
【化4】

【0065】
好ましくは、ポリエチレングリコールのモルグラフト百分率は1〜10%の範囲である。この単位は、本発明に従うポリマーの親水性骨格に直接的に結合されていてもいなくてもよい。
【0066】
両親媒性ポリマーの製造方法
【0067】
メチオニンに関して、そのアミン官能基のグラフトは、カップリング剤、例えばカルボジイミド、及び触媒、例えばジメチルアミノピリジン、の存在において、アミン官能基を、両親媒性ポリマー骨格上に存在するカルボキシル官能基とカップリングさせることにより容易に実行されることができる。この反応は、有機溶媒又は水性相において実行されることができる。第二場合において、水溶性カルボジイミドが好ましくは使用される。カルボキシル官能基は、遊離のまま放置されるか、又はエステル又はアミド基を形成する基により保護されることができる。
【0068】
即ち、ポリマーがアミン又はアルコール官能基を有するとき、メチオニンのグラフト化は、メチオニンのアミン官能基をアシル基で又はジメチル化により前もって保護しておき、カルボキシル基により行われる。これらの反応は、当業者に周知であり、例えば、ハーマンソンによる書籍(生体共役技術、第2版、2008年、エルゼビア)がこれらの方法を記載している。
【0069】
その部分については、ペンダント状の疎水性基(HG)は、ポリマーの活性化可能な官能基及びグラフトの活性化可能な官能基の性質に依存して、アミド、エステル、カーボネート、又はカルバメート官能基によりポリマーに結合されることができる。
【0070】
好ましくは、メチオニン誘導体に関して、結合はアミド又はエステルタイプのものである。この場合、メチオニン誘導体及び疎水性基のグラフト化は、同時に行われることができる。
【0071】
疎水性基でグラフト化されたポリアミノ酸を得るためには、縮合剤例えばジイソプロピルカルボジイミド及び触媒例えばジメチルアミノピリジンの存在において、反応性アミン又はアルコール官能基を含む疎水性基とカルボン酸官能基を含むポリマーの間で、カップリング反応が行われる。この反応は、溶媒例えばジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキサイド(DMSO)又はN−メチルピロリドン(NMP)において行われることができる。理想的には、メチオニンのグラフト化が同時に行われる。形成される結合はエステル又はアミド結合である。
【0072】
カップリング試薬、例えばクロロ蟻酸エステルが、アミド結合の形成のためにもまた使用されることができる(カップリング剤の例は、例えばボダンスツキー「ペプチド合成の原則」スプリンガー出版、1984年を参照のこと)。グラフト率は、成分及び試薬の化学量論及び/又は反応時間により化学的に調整される。
【0073】
アミン基を含むポリマー、例えばポリリジン、又はアルコール基をもまた含むデキストランの場合、考慮される疎水性基は、カルボン酸基を有する。カップリングの後に形成される結合は、特にエステル、アミド、カーボネート又はカルバメート結合である。
【0074】
実施例として、我々は、疎水性基HG及びメチオニン基MGの両方を含むことのできる両親媒性ポリマーのいくつかのタイプ及び文献に記載された手順に従ってそれらを得る方法を以下に記載する。
【0075】
コレステロールでグラフト化されたプルランタイプのポリマーに関して、これは、米国特許第6,566,516号に記載された手順に従って合成されることができる。次に、反応性のイソシアネートを有する誘導体は、ジイソシアネートを、その酸官能基が−NH2(アミド)又は−OMe(エステル)により保護されているメチオニンと反応させることにより製造される。この手順は標準的であり上記特許の実施例1に記載されている。グラフト化は、実施例2に記載された方法に従って行われることができる。
【0076】
最後に、ラウロイル基及びメチオニン誘導体でグラフト化されたデキストランタイプのポリマーは、N−メチルピロリドン中で、デキストランポリマーをラウリル酸の酸塩化物及びN−アセチルメチオニンの酸塩化物と反応させることにより得られることができる。ラウロイル基でグラフト化されたデキストランを得るための手順は米国特許第5,750,678号(実施例1)に記載されている。
【0077】
同様に、ステアリルアミン及びメチオニンアミドを含むポリアクリレートは、グラフト化段階の間、所望される量で存在するメチオニンアミドを有することにより、米国特許第6,607,714号に記載された手順に従って製造されることができる。
【0078】
フェニルアラニンエステル及びメチオニンエステルを含むポリ(ガンマ)グルタメートは、Chem.Letters、2004年、第33巻、第398〜399頁においてマツサキらにより記載されたプロトコルに従って製造されることができる。水溶性カルボジイミドの存在におけるメチオニンエチルエステル及びフェニルアラニンエチルエステルの混合物が、水中のポリ(ガンマ−グルタミン酸)に同時にグラフト化されることができる。
【0079】
最後に、ステアロイル基、N−アセチルメチオニン及びポリエチレングリコール鎖を含むポリリジンは、Bioconjugate Chem、2000年、第11巻、第880〜891頁においてブラウンらにより記載された手順に従って製造されることができる。この実施態様において、ポリリジンにグラフト化されるべきメチオニン誘導体は、カルボキシレート上のヒドロキシサクシンイミド基及びアミン官能基上のアセチルを含む。
【0080】
活性成分(AI)
本発明の好ましい実施態様に従うと、本発明に従うポリマーと組み合わされることのできる活性成分、AI、はタンパク質又はペプチド、すなわち酸化の現象に敏感であるAIから選択される。
【0081】
より特に、これらは、その配列中に少なくとも1のメチオニンを含むこれらのペプチド又はタンパク質である。実際、メチオニンは、特に酸化に敏感である。
【0082】
このカテゴリーにおいて、タンパク質例えば成長ホルモン、インターフェロン、凝固因子タンパク質例えば因子VII、因子VIII、及び因子IX、EPO、GCSF、及びモノクロナール抗体は、容易に酸化されることが公知である。これらのたんぱく質は、任意的に少なくとも1のポリエチレングリコール鎖を含む。
【0083】
1以上のAIを本発明に従う両親媒性ポリマーと組み合わせる技術は、特に米国特許第6,630,171号に記載されている。
【0084】
上記技術は、1以上の活性成分を搭載された又は1以上の活性成分と組み合わされた本発明のポリマーを含む液状媒体において、少なくとも1の活性成分を取り込むことからなる。この取り込みは、以下のように行われることができる:水性溶液にポリマーを入れること、次に、固体の形又は水死溶液の活性成分の添加。
【0085】
好ましくは、活性成分は、タンパク質、グリコタンパク質、1以上のポリアルキレングリコール鎖に結合されたタンパク質(好ましくはポリエチレングリコール(PEG):「PEG化されたタンパク質」)を含む群から選択される。
【0086】
ナノ粒子
有利には、AIと組み合わされた又は組み合わされていない、本発明に従って考慮されるポリマー、特に上で定義されたもの、は、5〜8の範囲にpHを有する水性媒体、特に水、に分散されるとき、自発的にナノ粒子を形成することができる。
【0087】
一般的に、ナノ粒子の形成は、ナノ領域において疎水性基の分離を有する多数のポリマー鎖の自己会合のためである。ナノ粒子は、1以上の疎水性のナノ領域を含むことができる。
【0088】
ポリマー状ナノ粒子のサイズは、1〜1,000nm、特に5〜500nm、特に10〜300nm、より特に10〜200 nm、又は10〜100nmさえであることができる。
【0089】
用途
上記のように、本発明の両親媒性ポリマーは、疎水性基の性質、それらのメチオニンのモル百分率及びそれらの重合度に依存して複数の方法で使用され得る。本発明により参照される種々の形態の活性成分のカプセル化のためのポリマーを成形する方法は、当業者に公知である。
【0090】
より詳細には、これらのいくつかの特に関連する参照文献が、例えば参考にされる。
− ナノ粒子又はミクロ粒子の形の疎水性基を含むポリアミノ酸を有するタンパク質の配合物:国際公開00/30618号パンフレット、国際公開2005/051418号パンフレット、国際公開2007/141344号パンフレット、国際公開2008/025425号パンフレット、国際公開2008/135561号パンフレット、
− 疎水性基、例えばコレステロール、を含むプルランを有するタンパク質の配合物:米国特許第6,566,516号明細書。
【0091】
その別の特徴に従うと、本発明は上記の少なくとも1のポリマー及び少なくとも1の活性成分、特に酸化に付されるもの、を含む組成物、特に医薬品、化粧料、食事療法の又は植物検疫の組成物に関する。これはより特にタンパク質、ペプチド又は酸化に敏感な酵素である。
【0092】
特に、タンパク質、ペプチド、又は酵素は、その配列中に少なくとも1のメチオニンを含む。
【0093】
一つの変形の実施態様に従うと、AIと組み合わされた又は組み合わされていない、このポリマーはナノ粒子の状態であることができる。
【0094】
一つの実施態様に従うと、本発明の組成物は、ゲル、溶液、懸濁物、エマルジョン、ミセル、ナノ粒子、ミクロ粒子、インプラント、粉末、懸濁物、結乾燥品(lyophilisate)又はフィルム、好ましくはナノ粒子、ミクロ粒子、ゲル又はフィルムの形で提供されることができる。
【0095】
有利には、時間の関数として制御される、該活性成分の放出プロフィールを保証することができる。
【0096】
その特に好ましい形態に従うと、活性成分を搭載された又は搭載されていない組成物は、ナノ粒子及び/又はミクロ粒子の安定なコロイド状懸濁物及び/又は水性相中のミセルである。
【0097】
ミクロ粒子は、種々の方法、例えば凝集剤(2価又は3価のイオン又はポリ電解質)の存在におけるコアセルベーション、pH又はイオン力の変化による沈殿、抽出/蒸発、アトマイゼーション、又は凍結乾燥、により得られることができる。
【0098】
本発明に従う組成物は、それが医薬品であるときには、経口の、肺の、非経口の、鼻の、膣の、目の、皮下の、静脈の、筋肉内の、皮内の、腹腔内の、大脳内の、又は頬経路により投与されることができる。
【0099】
別の実施態様に従うと、該組成物は、pH及び/又は浸透圧の調整のため及び/又は安定性を改善するため、及び/又は抗菌剤として、添加剤を任意的に含むことができる。これらの添加剤は当業者に公知である(文献、注射可能な医薬品の開発、P.K.グプタら、インターファーム出版、デンバー、コロラド、1999年を参照のこと)。
【0100】
以下の実施例及び図は、実施例として提示され、本発明の分野の非制限的な例である。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明に従う実施例1のポリマーを配合されたインターフェロンアルファ−2bの配合物(実施例5)、及びメチオニンを配合されたインターフェロンアルファ−2bの比較配合物(参照配合物)について、実施例5に従って5℃においてT0及び2か月後のT(2月)において測定された酸化されたタンパク質の図式的な提示。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0102】
実施例1
アルファトコフェロールとメチオニンのグラフトを含むポリグルタミン酸ナトリウムの合成
5%のラセミアルファトコフェロールで統計的にグラフトされたポリグルタメートが、国際公開第03/104303号(実施例1)に記載された方法に従って合成される。ポリ酸の形におけるポリマー、5gが70℃において77mlのDMFに溶解される。該固体の溶解後、得られた溶液は0℃に冷却され、108mlのクロロ蟻酸イソブチル及び92mlのN−メチルモルフォリンが添加され、その後、得られた白い懸濁物が0℃において10分間撹拌される。平行して、536mgのメチオニンエチルエステル塩酸塩(MetOEtHCl)が8.2mlのNMPに溶解され、その後、349mlのトリエチルアミンが添加される。この混合物が活性化されたポリマーの懸濁物に添加され、反応混合物が0℃において1時間撹拌される。1mLの濃HCl(35%)その後50mlの水の添加後、混合物は1Nのソーダで中和される。得られた溶液は、塩水(0.9%)に、次に水にダイアフィルターされ、約150mlの体積まで濃縮される。該ポリマーの酸加水分解後にHPLCにより測定された、メチオニンエチルエステルのモルグラフト率は、1.7%のモノマー単位である。
【0103】
実施例2
アルファトコフェロールとメチオニンのグラフトを含むポリアクリル酸ナトリウムの合成
段階1:市販のポリアクリル酸(Degacryl 4779L)の精製
75gのDEGACRYL 4779L溶液(エボニックによる)が1425gの水で溶解され、次に8体積の水に対してダイアフィルターされる。得られた溶液はさらに凍結乾燥される。立体排除クロマトグラフィーにより測定された平均分子質量Mnは、PMMA(ポリメチルメタクリレート)中で33.6kDaに等しく、多分散度指数は2.4である。
【0104】
段階2:アラニンα−トコフェロール(AlaVE)エステルの合成
22mlのN,N´−ジイソプロピルカルボジイミド(DIPC)が、400mLのジクロロメタン中の21.1gのN−Bocアラニン、40gのα−トコフェロール、及び0.57gのジメチルアミノピリジン(DNAP)の溶液に一滴ずつ添加される。20℃において22時間の間、撹拌した後に、反応混合物は0.1NのHCl溶液、水、5%の重炭酸ナトリウム、そして最後に水で次々と洗浄される。有機相は乾燥するまで気化され、得られた油は、ジオキサン中の4MHCl溶液、400mlに溶解される。室温における4時間の撹拌後に、反応混合物は乾燥するまで気化され、エタノール中で結晶化される。このように製造されたAlaVE塩酸塩(33.8gの白色粉末)がCDCl中でプロトンNMRにより分析され、その化学構造に従うスペクトルを示す。
【0105】
段階3:精製されたポリアクリル酸上へのAlaVEとメチオニンアミドのグラフト化
2.25gのAlaVEが58mLのDMF及び0.58mLのトリエチルアミンに溶解される。平行して、19mgのメチオニンアミド塩酸塩が2mLのDMF及び0.27mLのトリエチルアミンに溶解される。5gの精製されたDEGACRYL(段階1)が125mLのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)及び0.25gの4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)に溶解される。この溶液は、15℃において冷却され、AlaVE/トリエチルアミン懸濁物、MetNH/NEt溶液、及び1.66mLのN,N´−ジイソプロピルカルボジイミド(DIPC)が連続して添加される。反応混合物は、15℃において一晩撹拌される。6mLのDMFに希釈されたHClの35%溶液(056mL)の添加後に、反応混合物は200mLの水において1Nのソーダで中和される。得られた溶液はダイア濾過により精製され、約200mLの体積まで濃縮される。
【0106】
TFA−dにおけるプロトンNMRにより測定されたAlaVEの百分率は6%であり、加水分解後にHPLCにより測定されたグラフト化されたメチオニンアミドの百分率は5.5%のモノマー単位である。
【0107】
実施例3
オクタデシルアミン及びメチオニンのグラフトを含むポリグルタミン酸ナトリウムの合成
DP100を有する5gのポリグルタメートが110mLのDMFに80℃において溶解される。固体の溶解後、1mLのDMF中の95mgの4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)の溶液が添加され、混合物は80℃において18時間撹拌され、その後、15℃において冷却される。220μLのトリエチルアミンが5mLのDMF中の286mgのメチオニンアミド塩酸塩の溶液に添加され、該溶液は室温において撹拌される。11mLのDMF中の1.04gのオクタデシルアミンの溶液、上記の溶液、1mLのDMF中の189mgのDMAP、及び1.26mLのジイソプロピルカルボジイミド(DIPC)が、DMF中のポリグルタメートの溶液に逐次的に添加される。反応混合物は15℃において24時間撹拌され、その後、該反応は、0.3mLの濃HCL(35%)、0.3mLの水及び5mLのDMFの溶液を添加することにより停止される。該溶液は500mLの水に注がれ、1Nのソーダで中和される。得られた溶液は塩水(0.9%)に、その後、水にダイアフィルターされ濃縮される。TFA−dにおいてプロトンNMRにより測定されたオクタデシルアミン及びメチオニンアミドのモルグラフト率は、それぞれ10及び4%のモノマー単位である。
【0108】
実施例4
実施例1のポリマーと共に配合された成長ホルモンの安定性の調査
配合物が、pH及び浸透圧が、(HCl又はNaOHで)約pH7.0及び(NaClで)300mOsm/Kgに調節されたポリマー溶液1と、タンパク質溶液との単純な混合により製造され、0.7mg/mLの最終的な成長ホルモン濃度及び22 mg/mLのポリマー1濃度を得る。これらの条件下、ポリマー1を含む配合物は、約2.4mMの当量メチオニン濃度を有する。ポリマー溶液は0.2μmのフィルターを通して前もって濾過された。最終的に得られた配合物は環境温度において一晩撹拌され、それから分割され、一つの部は5℃における冷蔵庫に入れられる。試料中の酸化された成長ホルモンの比は、以下の条件に従って液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定される:カラム対称性300C18(ウォーターズ;150x4.6mm;3.5μm)、フローレート:0.8mL/分、UV検出:220nm、カラムの温度55℃、リン酸カリウムバッファー25mM pH=6.5/溶出液としてのプロパノール−1。
【0109】
2つのメチオニン残基が成長ホルモンにおいて酸化に敏感である:位置14におけるメチオニン及び位置125におけるメチオニン。これらの2つの分解生成物は酸化の定量において考慮に入れられる。
【0110】
5℃においてT0及び2月後(T(2月))において測定された、酸化されたタンパク質のレベルが、以下の表1に与えられる:
【0111】
【表1】

【0112】
実施例5
実施例1のポリマーと配合されたインターフェロンアルファ−2bの安定性の調査
【0113】
配合物(配合物5)がpH及び浸透圧において(約pH6.5及び300 mOsm/Kgに)調整された実施例1のポリマー溶液とタンパク質溶液との単純な混合により製造されて、0.3mg/mLの最終的なインターフェロンアルファ2bの濃度及び22 mg/mLのポリマー濃度を得る。これらの条件下、ポリマー1を含む配合物は、約2.4mMの当量メチオニン濃度(equivalent methionine concentration)を有する。ポリマー溶液は0.2μmのフィルターを通して前もって濾過された。最終的に得られた配合物は環境温度において一晩撹拌され、それから5℃における冷蔵庫に入れられる。
【0114】
比較のために、当量メチオニン濃度を有するタンパク質の溶液が似た条件において製造される(参照配合物)。酸化された形の比(位置111におけるメチオニンの酸化に相当する)は、以下のクロマトグラフィー条件に従って液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定される。カラムYMC C30(インターシム;250x4.6mm;3μm)、フローレート:1mL/分、蛍光検出:280nmにおける励起及び340nmにおける発光、カラムの温度20℃、溶出液としての水/アセトニトリル/TFA。
【0115】
5℃においてT0及び2月後、T(2月)、に測定された酸化されたタンパク質の比が図1に示される。
【0116】
実施例4及び5から、本発明に従うポリマーの使用は、配合の間に酸化されるタンパク質の割合をより効率的に減らすこと、及び/又は経時的に低い割合に維持することを可能にする。
【0117】
実施例6
実施例1のポリマー及び結合されたメチオニンを含まない先行技術のポリマーからのミクロ粒子の製造
いくつかの用途のためには、ポリマー及び活性成分のミクロ粒子を含む配合物の製造が好まれる(例えば、本出願人による出願、国際公開第2007/141344号パンフレット)。ミクロ粒子配合物が出願、国際公開第2007/141344号パンフレットの実施例18に従って、言いかえると、アルファトコフェロール、IFN、及び遊離の状態のメチオニンでグラフト化されたポリマーPOポリグルタメートから出発して製造される。
【0118】
ミクロ粒子配合物は、IFN及び本発明に従う実施例1のポリマー(アルファトコフェロールのグラフト及びメチオニングラフトを含む)から出発して似た条件で製造される。
【0119】
ミクロ粒子におけるメチオニンの量が測定される。結果は下の表2に与えられる。
【0120】
【表2】

【0121】
これは、出願、国際公開第2007/141344号パンフレットに従うミクロ粒子組成物では、メチオニンに重大な損失があり、該損失は、本発明に従うポリマー1が使用されるときは観察されないことを示す。さらに、本発明に従うポリマーの使用は、どのようなサイズであれ、粒子におけるメチオニンの均一な分布を可能にする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親水性の骨格を含む両親媒性ポリマーにおいて、該骨格が、メチオニン又はその誘導体の一つの少なくとも1の側鎖基、及び該メチオニン又はその誘導体の一つと異なる複数の疎水性側鎖基を有することを特徴とする、該両親媒性ポリマー。
【請求項2】
一又は複数の該メチオニン基及び/又は複数の該疎水性基がランダムに配置されている、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
該親水性の骨格が、ポリアミノ酸、多糖類、ポリアクリレート又はポリメタクリレートの群に属するポリマー又はコポリマーであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のポリマー。
【請求項4】
該親水性骨格が、ポリ(グルタミン酸)、ポリ(アスパラギン酸)、ポリリジン又はそれらのコポリマーから選択されるポリアミノ酸であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項5】
0.5〜20%の範囲の、メチオニンのモルグラフト率を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項6】
一又は複数のメチオニン基が以下の構造の一つを有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリマー


ここで
− Raはヒドロキシ基、NH、OMe、OEt、NHCH又はN(CH基を表し、
− Rb及びRcは、独立して水素原子、メチル又はエチルを表し、
基Rb及びRcのうちの一つが水素原子であるときには他の基はC〜Cのアシル基を表し、メチオニンの配置はL、D又はラセミ混合物であることができる。
【請求項7】
2〜30%の範囲の、疎水性基のモルグラフト率を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項8】
疎水性基が、
− 任意的に少なくとも1の不飽和及び/又は少なくとも1のヘテロ原子を含んでいてもよい直鎖又は分岐状のC〜C30アルキル、
− 任意的に少なくとも1の不飽和及び/又は少なくとも1のヘテロ原子を含んでいてもよい、C〜C30アルキルアリール又はアリールアルキル、
− 任意的に少なくとも1の不飽和及び/又は少なくとも1のヘテロ原子を含んでいてもよい、C10〜C30(ポリ)環状物
を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項9】
該親水性骨格がポリ(L)グルタミン酸ナトリウムであり、及び疎水性基が、合成起源のトコフェリル基である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項10】
メチオニン誘導体がメチオニンアミド又はメチオニンエチルエステルであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項11】
ポリマーが、2,000〜200,000g/モル、好ましくは5,000〜100,000g/モルの範囲のモル質量を有することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項12】
ポリマーが、ポリエチレングリコールタイプの少なくとも1のグラフトをもまた持ち、より特に1〜10%の範囲のグラフトのモル百分率である、請求項1〜11のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項13】
ポリマーが、5〜8の範囲のpHを有する水性媒体、特に水、に分散されたときに、自発的にナノ粒子を形成することができることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載のポリマーのナノ粒子において、該ナノ粒子のサイズが、1〜1000nm、特に5〜500nm、特に10〜300nm、より特に10〜200nm又は10〜100nmさえの範囲である、上記ナノ粒子。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれか1項に記載のポリマー、及び活性成分として酸化に敏感な少なくとも1のタンパク質又はペプチドを含むことを特徴とする、組成物。
【請求項16】
タンパク質又はペプチドが、その配列中に少なくとも1のメチオニンを含むことを特徴とする、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
ナノ粒子、ミクロ粒子、ゲル又はフィルムの形で提供されることを特徴とする、請求項15又は16に記載の組成物。
【請求項18】
時間の関数として制御された、活性成分の放出プロフィールを保証することのできる、請求項15〜17のいずれか1項に記載の組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2013−515809(P2013−515809A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545519(P2012−545519)
【出願日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【国際出願番号】PCT/IB2010/056041
【国際公開番号】WO2011/077402
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(511025765)フラメル テクノロジーズ (6)
【Fターム(参考)】