説明

メッキ処理システム

【課題】生産性向上と設備の小型化を図ったメッキ処理システムの提供。
【解決手段】メッキ処理システムは、前処理用タンク3と、メッキ処理用タンクと、後処理用タンクとを有する。タンク3は、それらタンクの上方に設けられ、被表面処理部材2を搬送する搬送手段7,11と、搬送手段7,11によってタンク上方に搬送された被表面処理部材2を囲繞するとともに各タンクに貯留されている処理液のタンク内における流通を許容するように下部が開放され、当該下部をタンクの処理液中に没した状態で前記各タンクに設置されている被表面処理部材囲繞手段6と、この囲繞手段6の中空部に各タンクから当該タンクに貯留されている処理液を供給するポンプ手段とを備える。囲繞手段6によって被表面処理部材2が囲繞されると、ポンプ手段により、囲繞手段6の中空部を処理液で充填する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メッキ処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板などのシート状をした被表面処理部材のメッキ処理を行うシステムとして、メッキ処理用タンクに貯留されている処理液中を、被表面処理部材を垂下した状態で移動させることにより、被表面処理部材の表面にメッキを施すメッキ処理システムが周知である(文献1参照)。
【0003】
メッキは、通常、被表面処理部材の脱脂洗浄や酸洗いを行う前処理工程と、反応液中に被表面処理部材を一定時間浸漬し、その状態で前記被表面処理部材にメッキ処理を行う工程と、メッキ処理を施した被表面処理部材を水洗し乾燥させる後処理工程とを経て行われている。
【0004】
各工程は、それぞれ前処理タンク、メッキ処理タンク及び後処理タンクにおいて実施される。
そして、前処理工程及び後処理工程では、それらの各処理タンクに入れられている処理液に被表面処理部材を浸漬し、所定時間浸漬したら被表面処理部材を処理液から出す。
【特許文献1】特開2000−54197号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
被表面処理部材を処理液に入れる又は取り出すのに要する昇降時間は数十秒である。当該昇降時間は各処理に直接必要とされる時間ではない。このため、生産性を向上する上で当該昇降時間を短縮することが望まれていた。また、電気メッキ処理システムでは、各工程とも大量の処理液を使用する。したがって、その供給及び排液のための設備が大型化する傾向にある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みて発明されたものであって、その解決しようとする課題は、生産性の向上と設備の小型化が可能なメッキ処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで本発明のメッキ処理システムは、次の手段を採用した。
すなわち、本発明は、メッキ処理がなされる被表面処理部材に対しメッキ処理を行う前に実施される前処理で使用される処理液を貯留する前処理用タンクと、前処理がなされた被表面処理部材に対してメッキするメッキ処理で使用される処理液を貯留するメッキ処理用タンクと、メッキ処理が行われた後の被表面処理部材に対して実施される後処理で使用される後処理液を貯留する後処理用タンクと、を有するメッキ処理システムにおいて、前記三つのタンクのうちの少なくとも一つのタンクは、前記被表面処理部材をタンクの上方に向けて搬送する被表面処理部材搬送手段と、当該タンクの処理液中に没した状態で設置され、前記被表面処理部材搬送手段によってタンクの上方に搬送されて来た被表面処理部材をその位置で囲繞するとともに、当該タンクに係る処理液の流通を許容するように下部が開放されている被表面処理部材囲繞手段と、この被表面処理部材囲繞手段で前記被表面処理部材を囲繞したときにできる被表面処理部材囲繞手段の内部空間に前記タンクの処理液を供給する処理液供給手段と、を備える。
【0008】
そして前記被表面処理部材囲繞手段によって前記被表面処理部材が囲繞されると、前記
処理液供給手段により、前記被表面処理部材囲繞手段の前記内部空間が、前記処理液で充填されるようにすることを特徴とした。
【0009】
本発明によれば、被表面処理部材搬送手段によってタンクの上方に搬送され来た被表面処理部材を被表面処理部材囲繞手段によってその位置で囲繞し、当該囲繞によって形成された被表面処理部材囲繞手段の内部空間に処理液を充填して被表面処理部材の処理を実行する。
【0010】
したがって、被表面処理部材をタンクに貯留されている処理液に入れる又は取り出すために被表面処理部材を昇降するということが、本発明では不要になる。この結果、それだけシステム全体における処理時間の短縮が可能である。
【0011】
また、被表面処理部材囲繞手段はタンクに貯留されている処理液に没しているとともに被表面処理部材囲繞手段の下部は前記処理液の流通を許容するように開放されているので、当該開放されている部位を介して、被表面処理部材囲繞手段とタンクとは連通されるようになる。
【0012】
この結果、前記タンクに処理液を単に貯留すると、当該タンク内において、前記被表面処理部材囲繞手段の内外で処理液は同じ高さになる。また、このとき被表面処理部材囲繞手段の開放されている下部は、処理液によって閉塞される。
【0013】
したがって、当該閉塞された状態で、前記被表面処理部材囲繞手段の内部空間に処理液供給手段によって処理液を注入すると、当該内部空間は、処理液が充填され、当該充填された処理液によって被表面処理部材囲繞手段によって囲繞されている被表面処理部材の処理がなされる。
【0014】
この結果、従来のように、処理液が貯留されているタンク内において被表面処理部材を移動させることにより、各工程における処理を実施していた場合に比べ、本発明では、処理に要する時間を格段に少なくすることができる。
【0015】
前記処理液供給手段としては、例えばポンプ手段を挙げられる。当該ポンプ手段は、前記被表面処理部材囲繞手段の内部空間を前記処理液で充填するに十分な吐出量を有することが好ましい。例えば、前記内部空間を十秒以内好ましくは数秒以内に処理液で充填できる吐出量を有するポンプ手段がよい。
【0016】
例えばポンプの吐出量が毎分6リットルであり、被表面処理部材囲繞手段の内部空間の容積が例えば24リットルであるとすると、被表面処理部材囲繞手段の内部空間を4秒で充填することができる。当該充填に必要な時間は各タンクに係る処理に直接必要とされる時間ではない。処理に直接必要とされない時間は、従来は被表面処理部材を処理液に対して昇降するのに必要な時間であり、当該時間が数十秒であったことに鑑みると、システム全体では大幅に処理時間の短縮が可能となる。
【0017】
また、各タンクに貯留される処理液の量は、少なくとも、被表面処理部材囲繞手段の内部空間を処理液供給手段で充填するのに必要な量と、タンク内ではあっても、被表面処理部材囲繞手段の外部に位置し、被表面処理部材囲繞手段の下部の開放を閉塞するに十分な量とが最低限あれば足りる。
【0018】
したがって、各タンクに貯留される処理液の量は、被表面処理部材を処理液の充填されているタンク内で移動させることで、各工程の処理が実施されていた従来技術に比べ、処理液の量が格段に少なくて済む。また、処理液中を被表面処理部材が移動することもない
。このため、被表面処理部材が当該移動中に液圧を受けて変形してしまう虞も全くない。
【0019】
前記前処理用タンクと、前記メッキ処理用タンクと、前記後処理用タンクとは直列され、これらのタンクに共通に前記被表面処理部材搬送手段が設けられるとともに、前記被表面処理部材囲繞手段及び前記処理液供給手段は各タンクに設けられ、前記被表面処理部材搬送手段により、前記被表面処理部材を各タンクの被表面処理部材囲繞手段に向けて移動するようにしてもよい。
【0020】
このようにすることで、被表面処理部材が前処理用タンクからメッキ処理用タンクへ、メッキ処理用タンクから後処理用タンクへ移動する際に、各タンクの被表面処理部材囲繞手段に向けての被表面処理部材の移動が確実かつスムーズにできる。各タンクでの処理も被表面処理部材を昇降することが不要になるため、メッキ処理システム全体における処理時間の短縮が可能である。
【0021】
前記各タンクは上面が開口され、前記被表面処理部材囲繞手段は、前記開口よりも上方に突出し、当該上方に突出した部分において前記被表面処理部材を囲繞する。そして、前記被表面処理部材囲繞手段のうち前記各処理液に没している部分には、当該処理液の通る通し孔を形成する。
【0022】
このようにすることで、被表面処理部材はタンクに当たることなく被表面処理部材囲繞手段によって囲繞されるようになる。そして、ポンプ手段によって被表面処理部材囲繞手段の内部空間を処理液で充填した後、タンク毎に必要な処理を実行し、当該処理が終了した後ポンプ手段を停止する。
【0023】
被表面処理部材囲繞手段がタンクの開口よりも上方に突出されているため、被表面処理部材囲繞手段に充填された処理液の液面は、タンクに注入されている処理液の液面よりも高所に位置する。このため、ポンプ手段を停止すると、被表面処理部材囲繞手段に充填されている処理液は、重力により、タンクに注入されている処理液と同じ液面高さになるまで前記通し孔から被表面処理部材囲繞手段の外に排出される。
【0024】
前記被表面処理部材囲繞手段は、前記被表面処理部材搬送手段によって前記処理用タンクの上方に搬送されて来た前記被表面処理部材をその両側から挟み込めるように二分割にされた一対の分割部材と、これら一対の分割部材を相互に他方に対して近づけたり、遠ざけたりする駆動部とを有するようにする。
【0025】
そして、駆動部を作動させることにより前記一対の分割部材を近づける場合には、前記被表面処理部材を当該一対の分割部材で囲繞し、前記駆動部を作動させることにより前記一対の分割部材を遠ざける場合には、前記一対の分割部材の間に前記被表面処理部材が通過可能な通路を形成する。
【0026】
被表面処理部材囲繞手段を二分割して前記通路を形成すれば、被表面処理部材囲繞手段に被表面処理部材を入れ易くできる。被表面処理部材囲繞手段に被表面処理部材を入れたら前記一対の分割部材を近づける。このようにすれば、被表面処理部材囲繞手段によって被表面処理部材を簡単に囲繞することができる。
【0027】
被表面処理部材囲繞手段のうち前記被表面処理部材の進行方向における両端を開口し、これらの開口に当該開口を開閉する開閉部材を設けることも考えられる。このようにすることで、被表面処理部材囲繞手段を分割構造とする必要もなく、また前記一対の分割部材を相互に他方に対して近づけたり、遠ざけたりする駆動部が不要になる。
【0028】
このようなメッキ処理システムは、電気化学的酸化還元反応により金属を還元析出させる無電解メッキシステムに適用できる。
【0029】
上記メッキ処理システムは、金属陽イオンを含む溶液中に、品物を陰極として漬けこんで、金属を電気的に陰極表面に析出させる電気メッキシステムにも適用できる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の電気メッキ処理システムによれば、被表面処理部材の処理時間を従来よりも短縮できるので生産性が高まる。また、処理液の量は少なくてもよいので設備の小型化が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0032】
図1〜9を用いて実施例1を説明する。実施例1は、本発明に係るメッキ処理システムを無電解メッキに適用した場合を示す。
【0033】
無電解メッキ処理システムは、例えばプリント基板などのシート状をした被表面処理部材に無電解でメッキを施すシステム、すなわち外部電源を使用せずに、電気化学的酸化還元反応により金属を還元析出させることで被表面処理部材にメッキを施すシステムである。
【0034】
無電解メッキ処理システム1は、図4に示すようにその長手方向に延びる軌道11を有し、当該軌道11に沿って、図4の左側から右側に順に前処理工程Aと、メッキ処理工程Bと、後処理工程Cとに係る各構成部材が設置されている。
そして、軌道11の延びる方向(図4の白矢印参照)に沿って、前処理工程A−メッキ処理工程B−後処理工程Cの各工程における処理が実施される。
【0035】
前処理工程Aは、メッキ処理がなされる被表面処理部材2に対しメッキ処理を実施する前に実施される処理工程であり、前処理工程Aでは、被表面処理部材2に対し脱脂洗浄や酸洗いを行う前処理用の処理液(以下、前処理液)A1が使用される。
【0036】
メッキ処理工程Bは、反応液であるメッキ処理液中に前処理がなされた前記被表面処理部材2を一定時間浸漬し、その状態で被表面処理部材2にメッキ処理を行うための工程であり、メッキ処理用の処理液(反応液)B1が使用される。
【0037】
後処理工程Cは、メッキ処理を行った後の処理工程であり、メッキ処理が施された被表面処理部材2を後処理用の処理液(水)C1で洗いその後乾燥する。
【0038】
これらの工程を実施するため軌道11は、その長手方向に前処理工程Aでの処理を実行するための前軌道領域113と、メッキ処理工程Bでの処理を実行するためのメッキ軌道領域114と、後処理工程Cでの処理を実行するための領域である後軌道領域115とを含む。
【0039】
前軌道領域113の下方には、前処理液A1が貯留されている前処理用タンク3が設置され、メッキ軌道領域114の下方にはメッキ処理液B1が貯留されているメッキ処理用タンク4が設置され、後軌道領域115の下方には後処理液A1が貯留されている後処理用タンク5が設置されている。
【0040】
各タンク3,4,5は、上面が開口されている。これらのタンク3,4,5は、本システム1を平面で見た場合において、軌道11上に直列状態で配置されている。
【0041】
加えて、これらのタンク3,4,5の上方空間3S,4S,5Sにおいて、それぞれ前処理,メッキ処理及び後処理が実施される。当該実施にあたり被表面処理部材2を囲繞する被表面処理部材囲繞手段6がタンク3,4,5毎に設置されている。タンク3,4,5と同様、被表面処理部材囲繞手段6は、軌道11上に直列状態で配置されている。
【0042】
また軌道11には、被表面処理部材2を垂下した状態で各タンク3,4,5の上方に搬送する周知(特許文献1参照)の搬送装置7が設けられている。搬送装置7は、軌道11に沿って移動する。よって、軌道11と搬送装置7とを被表面処理部材搬送手段という。
【0043】
被表面処理部材2に対し、搬送装置7が前軌道領域113にある時に前処理が実施され、前処理が被表面処理部材2に対して実施された後、被表面処理部材2がメッキ軌道領域114に位置する時にメッキ処理が実施され、メッキ処理が被表面処理部材2に対して実施された後、被表面処理部材2が後軌道領域115に位置する時に後処理が実施され、本システムの処理が終了する。
【0044】
工程A,B,Cでの各処理は、基本的に同一の構成部材によって実施される。
したがって、前処理工程で用いられている構成部材について述べることとし、他の工程を構成する部材の詳細な説明は省略する。
【0045】
前処理用タンク3は、図1の白矢印で示すように、搬送装置7によって前処理用タンク3の上方に向けて軌道11上を搬送されて来た被表面処理部材2を囲繞する被表面処理部材囲繞手段6を有する。
【0046】
被表面処理部材囲繞手段6は、前処理用タンク3の底面(以下、タンク底面)31に植立状態で設けられている。タンク底面31における被表面処理部材囲繞手段6は、前処理用タンク3の幅方向中央かつ当該前処理用タンク3の長手方向(被表面処理部材2の進行方向と平行に延びる方向)に延びるように設置されている。
【0047】
被表面処理部材囲繞手段6は、前処理用タンク3の上方に搬送されて来た被表面処理部材2をその両側から挟み込めるように二分割にされた一対の分割部材61を有する。当該一対の分割部材61は、被表面処理部材2の進行方向と直交する方向において、相互に他方に対して近づいたり、遠ざかったりする。また被表面処理部材囲繞手段は、一対の分割部材61のこのような移動を実現するための駆動部62を分割部材61毎に有する。
【0048】
駆動部62は、いかなる構造のものでもよいが、この実施例では、分割部材61を移動させるために伸縮自在な駆動アーム621を有する駆動装置が採用されている。駆動部62は前処理タンク3の外部において、図示しない適宜の固定手段に支持されている。
【0049】
分割部材61の各々は、図1〜8からわかるように、水平断面で三方に閉じられかつ一方が開くコ字形状を扁平にしたごとき板状体である(図1,2,4,5参照)。また一対の分割部材61の各々は、前記一方の開いた側を対向させた状態でタンク底面31に直立され、前処理用タンク3の開口3aよりも上方に突出する。当該突出した部分(以下、突出部分)を符号611で示し、タンク内の部分(以下、タンク内部分)を符号612で示す。さらに分割部材61の各々は、その上下方向における両端が開口している。
【0050】
突出部分611の大きさは、被表面処理部材2の縦・横寸法よりも幾分大きめである。したがって、被表面処理部材2は、前記一対の分割部材61が駆動部62によって閉じら
れると突出部分611により囲繞される(図1,2参照)。
【0051】
さらに、分割部材61のタンク内部分612の下面部612aには、分割部材61を前処理用タンク3内で移動するためのローラ613が複数(この実施例では4つ)設けられている。各ローラ613、延いてはローラ613が取り付けられている分割部材61は、ガイドレール614によって案内され、スムーズに移動する。ガイドレール614は、被表面処理部材2の進行方向と直交するようにタンク底面31に取り付けられている。
【0052】
ガイドレール614をローラ613が移動することで、分割部材61は安定して移動することができる。分割部材61にローラ613を設け、このローラ613をガイドレール614で支えることにより、被表面処理部材囲繞手段6とタンク底面31との間には、隙間sができる(図1〜4参照)。当該隙間sを介して、前処理用タンク3では、被表面処理部材囲繞手段6の内部と外部との間で、前処理用タンク3に貯留されている前処理液A1が流通可能になる。
【0053】
なお、前処理液A1の流通性を高めるため、タンク内部分612のうち前処理液A1に没している部分において、下面部612aに近い箇所には、前処理液A1の通る処理液流通孔6aを形成してある(図1〜4参照)。
【0054】
そして、駆動部62の駆動アーム621を伸ばすことで、一対の分割部材61は、相互に他方に対して近付き、やがて接合される(図1,2,4,5参照)。これにより、一対の分割部材61は、上下方向両端において開口された中空六面体形状を呈するようになる。
反対に駆動部62の駆動アーム621を縮めることで、一対の分割部材61は、相互に他方に対して遠ざかり、やがて一対の分割部材61の間には被表面処理部材2が通過する通路Tを形成する(図1,4,6参照)。
【0055】
駆動部62により一対の分割部材61を相互に他方に対して近付けることを被表面処理部材囲繞手段6が閉じるといい、反対に一対の分割部材61を遠ざけることを被表面処理部材囲繞手段6が開くという。
【0056】
前記被表面処理部材囲繞手段6の中空(内部空間)Sの大きさは、例えば被表面処理部材2が縦600mm×幅600mm×厚み1mm程度の大きさの基板であるとすると、縦(700+タンクの高さ寸法)mm×横700mm×厚み50mm程度の大きさのものを例示できる。上記の中空Sの厚み寸法が縦寸法及び横寸法に比べかなり小さいことより、被表面処理部材囲繞手段6は、一対の分割部材61が接合された状態において、扁平な中空Sを有する中空体ということができる。
【0057】
また中空Sには、前処理液A1が充填される(図4参照)。当該充填には処理液供給手段としてポンプ手段8が使用される。このポンプ手段8で前処理用タンク3に貯留されている前処理液A1を吸引し、被表面処理部材囲繞手段6の前記中空Sに送り込む(図9の矢印A1参照)。当該中空Sの容積は、例えば24リットルであり、前処理用タンク3の容積の数分の1の量である。
【0058】
ポンプ手段8は、前処理用タンク3に設置されたポンプ本体8aと、ポンプ本体8a及び前処理用タンク3を結ぶ導入パイプ8bと、ポンプ本体8a及び被表面処理部材囲繞手段6を結ぶ排出パイプ8cとを有する。各パイプは柔軟性を有する。また、ポンプ本体8a及び被表面処理部材囲繞手段6を結ぶ排出パイプ8cは、駆動部62の駆動アーム621の伸縮に合わせて被表面処理部材囲繞手段6の一対の分割部材61が移動する関係で余裕をもった長さ又は蛇腹状のパイプとされている。
【0059】
またポンプ手段8は、被表面処理部材2が被表面処理部材囲繞手段6に入った後、被表面処理部材囲繞手段6が閉じた状態で作動して、前処理用タンク3から被表面処理部材囲繞手段6に処理液を供給し、被表面処理部材2が前処理液にA1に満遍なく浸かるまで充填する。その後も前処理が被表面処理部材囲繞手段6の中空S内において終了するまでの時間、ポンプ手段8を作動し、被表面処理部材囲繞手段6に前処理液を注入し続ける。
【0060】
なお 被表面処理部材囲繞手段6に注入された前処理液A1が中空Sを満たした後、ポンプ手段8が作動をし続けている間は、被表面処理部材囲繞手段6の上部開口から又は図示しない排水口から、前処理液A1は前処理タンク3内に循環され、再びポンプ手段8によって被表面処理部材囲繞手段8の中空Sにくみ上げられる。
【0061】
前処理用タンク3に貯留される前処理液A1の量は、少なくとも被表面処理部材囲繞手段6の中空Sをポンプ手段8で充填するのに必要な量と、前処理用タンク3内ではあるが被表面処理部材囲繞手段6の外部に位置し、被表面処理部材囲繞手段6の前記隙間s及び処理液流通孔6aを閉塞するに十分な量とが最低限あればよい。
【0062】
またポンプ手段8は、被表面処理部材囲繞手段6の中空Sを処理液A1で十秒以内、好ましくは数秒以内で充填するに十分な吐出量を有する。この場合でいうと、ポンプ手段8は、その吐出量が毎分6リットルのものを例示できる。
【0063】
次にこのような構成部材を含む前処理工程における作用効果を説明する。
前処理工程によれば、搬送装置7によって軌道11上を前処理用タンク3の上方に向けて搬送されて来た被表面処理部材2を被表面処理部材囲繞手段6によって囲繞し、当該囲繞によって形成された中空Sに前処理液A1を充填して前処理工程における処理を実行する。
【0064】
したがって、被表面処理部材をタンクに貯留されている処理液に入れる又は取り出すために被表面処理部材を昇降するということが、本発明では不要になる。したがって、その分システム全体における処理時間の短縮が可能である。
【0065】
また前処理工程Aによれば、被表面処理部材囲繞手段6の下面部612aとタンク底面31との間に設けられた隙間s及び被表面処理部材囲繞手段6の処理液流通孔6aを介して、被表面処理部材囲繞手段6の下部が開放されている。したがって、前処理用タンク3内では、被表面処理部材囲繞手段6の内外が連通し、処理液A1の流通を許容する。

【0066】
この結果、前処理用タンク3では、当該タンク3に前処理液Aを貯留すると、被表面処理部材囲繞手段6の内と外とで、前処理液A1は同じ高さになる。また、このとき被表面処理部材囲繞手段6の隙間s及び処理液流通孔6aは、前処理液A1によって閉塞された状態になる。
【0067】
したがって、当該閉塞された状態で、ポンプ手段8により、被表面処理部材囲繞手段6の中空Sに前処理液A1を注入すると、中空Sに前処理液Aが充填され、当該充填された前処理液A1によって前処理がなされる。この結果、従来技術がそうであったように処理液が貯留されているタンク内で被表面処理部材を移動させることにより各工程に係る処理を実施していた場合に比べ、本実施形態では、前処理に要する時間を格段に少なくすることができる。
【0068】
また前記隙間s以外に、被表面処理部材囲繞手段6のうち処理液A1に没している部分
には、処理液A1の通る処理液流通孔6aが形成されており、前記隙間sの大きさ及び処理液流通孔6aの大きさや数の設定を変更すれば、被表面処理部材囲繞手段6の内と外とでの処理液A1の流通量を変更することができる。
【0069】
さらに実施例1では、ポンプ手段8の吐出量が毎分6リットルであり、被表面処理部材囲繞手段6の中空Sの容積が24リットルのものを例示した。この場合、被表面処理部材囲繞手段6の中空Sを前処理液によりわずか4秒で充填することができる。このように、ポンプ手段8により、わずか数秒で被表面処理部材囲繞手段6を充填できるので、被表面処理部材2の前処理を被表面処理部材囲繞手段6の中空S内で実施するまでの時間を極めて短くすることができる。
【0070】
当該充填に必要な時間は前処理用タンクに係る処理に直接必要とされる時間ではない。処理に直接必要とされない時間は、従来は被表面処理部材を処理液に対して昇降するのに必要な時間であり、当該時間が数十秒であったことに鑑みると、システム全体では大幅に処理時間の短縮が可能となる。
【0071】
そして、前処理用タンク3に貯留されている前処理液A1の量は、少なくとも被表面処理部材囲繞手段6の中空Sをポンプ手段8で充填するのに必要な量と、前処理用タンク3内ではあるが被表面処理部材囲繞手段6の外部に位置し、被表面処理部材囲繞手段6の前記隙間s及び処理液流通孔6aを閉塞するに十分な量とが最低限あればよいので、前処理用タンク3に貯留される前処理液A1の量は、被表面処理部材を前処理液の充填されているタンク内で移動させることで前処理の実現を図っていた従来技術に比べ、タンクに貯留される処理液A1の量が格段に少なくて済む。
【0072】
このように処理液A1の量が少なくても十分に処理ができるため、設備の小型化が可能である。また、処理液中を被表面処理部材2が移動することもないので、当該移動中に被表面処理部材2が液圧による外力を受けて変形してしまうこともない。
【0073】
前処理用タンク3は上方に開口され、被表面処理部材囲繞手段6は当該開口よりも上方に突出する突出部分611を有する。そして、被表面処理部材囲繞手段6の中空Sのうち当該突出部分611が占める領域で前記被表面処理部材2を囲繞する。
【0074】
したがって、前処理の実施にあたり、被表面処理部材2を垂下した搬送装置7を軌道7に沿って移動し、被表面処理部材2が向かう被表面処理部材囲繞手段6を駆動部62を作動することにより開いて通路Tを形成しておけば、被表面処理部材2は通路Tを通って被表面処理部材囲繞手段6の中に前処理用タンク3に触れずに入る(図1参照)。その後、被表面処理部材囲繞手段6を閉じれば、被表面処理部材2は囲繞される(図2,9参照)。
【0075】
その後、ポンプ手段8によって被表面処理部材囲繞手段6の中空Sを処理液A1で充填すれば、被表面処理部材囲繞手段6の中空S内で前処理が実行される(図2,9参照)。その間ポンプ手段8は稼働し続け、当該前処理が終了した後にポンプ手段8を停止する。
【0076】
ポンプ手段8の停止後、駆動部62により被表面処理部材囲繞手段6を開いて、一対の分割部材61の間に被表面処理部材2が通過する通路Tを再び形成し、次の工程であるメッキ処理を実行すべく、搬送装置7により、前処理が行われた被表面処理部材2を軌道11に沿って移動し、被表面処理部材囲繞手段6の外に出す(図3,7,8参照)。
【0077】
なお、被表面処理部材囲繞手段6は前処理用タンク3の開口よりも上方に突出している
ため、被表面処理部材囲繞手段6に処理液をポンプ手段8で充填すると、当該充填された処理液A1の被表面処理部材囲繞手段6における液面は、前処理用タンク3において被表面処理部材囲繞手段6の外にある処理液A1の液面よりも高所に位置する。
【0078】
このため、ポンプ手段8を停止すると重力により、被表面処理部材囲繞手段6に充填されている処理液A1は、前処理用タンク3に注入されている処理液A1と同じ液面高さになるまで隙間sや処理液流通孔6aから被表面処理部材囲繞手段6の外に排出される(図2の矢印a参照)。
【0079】
また、駆動部62により被表面処理部材囲繞手段6を開くことで形成される通路Tにより、被表面処理部材囲繞手段6に対して被表面処理部材2を出し入れし易くできる。このようにして、実施例1に係るメッキ処理システムは、被表面処理部材2の処理を極めて短時間に実施できるので、生産性が高まる。
前処理工程Aに係る以上の説明は、メッキ処理工程B及び後処理工程Cにおいても適用する。
【0080】
また、前処理用タンク3と、メッキ処理用タンク4と、後処理用タンク5とは直列され、当該直列状態にある各タンク3,4,5には、これらタンクの上方に設けられた共通の軌道11を介して搬送装置7により、被表面処理部材2が各タンクに向けて搬送されて来る。
【0081】
そして、タンク毎に被表面処理部材囲繞手段6及びポンプ手段8が設けられ、被表面処理部材搬送手段である搬送装置7及び軌道11により、被表面処理部材2を各タンクの被表面処理部材囲繞手段6に向けて移動する。
【0082】
したがって、被表面処理部材2が、前処理用タンク3からメッキ処理用タンク4へ、メッキ処理用タンク4から後処理用タンク5へ移動する際に、各タンク3,4,5の被表面処理部材囲繞手段6に向けて被表面処理部材2を移動するのが確実かつスムーズになる。
【実施例2】
【0083】
図10〜15を参照して、実施例2を説明する。
実施例2にあっては、被表面処理部材囲繞手段6が実施例1と相違する点を説明する。
実施例2の被表面処理部材囲繞手段6Aが実施例1の被表面処理部材囲繞手段6と相違する点は、被表面処理部材囲繞手段6Aを分割せずとも、被表面処理部材2が被表面処理部材囲繞手段6を通過できるようにしたという点及びこれに伴い、ローラ613並びにガイドレール614が無い点である。よって実施例1と同一部分には、同一の符号を付して説明を省略する。
【0084】
実施例2に係る被表面処理部材囲繞手段6Aは、被表面処理部材囲繞手段6Aのうち前記被表面処理部材2の進行方向における両端が開口され、これらの開口には、当該開口を開閉する開閉部材9が設けられている。
【0085】
開閉部材9は図示しない駆動装置によって、被表面処理部材2の移動に合わせて開閉されるようにしてもよいし、図10及び11に示すように、上下に延びかつ弾性を有する一対の開閉片91から形成し、被表面処理部材2の移動に合わせて開閉片91が開閉されるようにしてもよい。
【0086】
これら一対の開閉片91の間を被表面処理部材2が通過するときは、一対の開閉片91の先端での当接が解除されて前記開口が開かれ、通過した後は、一対の開閉片91の先端が再び当接し、前記開口が閉じられる。
【0087】
次に実施例2に係る本メッキ処理システム1についての作用効果を説明する。
実施例2に係る本メッキ処理システム1では、実施例1と同様の効果を奏する以外に、被表面処理部材囲繞手段6を分割構造とする必要もなく、また被表面処理部材囲繞手段6を開閉することも不要であるので、開閉のための駆動部62,ローラ613及びガイドレール614が不要になる。またローラ613及びガイドレール614が無いので被表面処理部材囲繞手段6とタンク底面31との間の隙間sもない。このため、システムの小型化が可能である。
【実施例3】
【0088】
実施例3は、本発明に係るメッキ処理システムを電気メッキに適用した場合を示す。
電気メッキシステムでは、金属陽イオンを含む溶液中に、被表面処理部材を陰極として漬けこんで、金属を電気的に陰極表面に析出させる。
実施例3が実施例1及び2と相違する点は、メッキ処理用タンクを電気メッキ処理用タンクにした点にある。
【0089】
電気メッキ処理用タンク4では、電解質溶液を収容したメッキ処理用の処理液として機能する反応液の中に被表面処理部材2を一定時間浸漬し、その状態で被表面処理部材2に給電して電気メッキ処理を行う。そこで、被表面処理部材2に給電できるように、軌道11を陰極として機能させ、軌道1に垂下されている被表面処理部材2を、軌道1を介して陰極にできるように通電可能にするとともに、被表面処理部材囲繞手段6を陽極として機能させる。
【0090】
次に実施例3に係る本メッキ処理システム1についての作用効果を説明する。
実施例1及び2と同様、被表面処理部材2の処理を短時間に実施できるので、生産性が高まる。また、処理液A1の量は少なくても十分であるため設備の小型化が可能である。
【0091】
なお、本発明は、上述の図示例にのみ限定されるもはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明に係るメッキ処理システムの実施例1であって無電解メッキ処理システムに本発明を適用した場合の前処理工程に係る構成部材を示し、被表面処理部材囲繞手段に被表面処理部材が入ろうとしている状態を示す全体斜視図である。
【図2】図1の状態から被表面処理部材囲繞手段に被表面処理部材が囲繞された状態を示す全体斜視図である。
【図3】図2の状態から被表面処理部材が被表面処理部材囲繞手段から出ようとしている状態を示す全体斜視図である。
【図4】本システムの正面図である。
【図5】図1の平面図である。
【図6】図2の平面図である。
【図7】図3の平面図である。
【図8】図1(又は図3)の矢印VIII方向から見た一部切り欠き側面図である。
【図9】図2の矢印IX方向から見た一部切り欠き側面図である。
【図10】本発明に係るメッキ処理システムの実施例2であって、図1に相当する全体斜視図である。
【図11】本発明に係るメッキ処理システムの実施例2であって、図2に相当する全体斜視図である。
【図12】本発明に係るメッキ処理システムの実施例2であって、図3に相当する全体斜視図である。
【図13】本発明に係るメッキ処理システムの実施例2であって、図10の平面図である。
【図14】本発明に係るメッキ処理システムの実施例2であって、図11の平面図である。
【図15】本発明に係るメッキ処理システムの実施例2であって、図12の平面図である。
【符号の説明】
【0093】
1 無電解メッキ処理システム
11 軌道(被表面処理部材搬送手段)
113 前軌道領域
114 メッキ軌道領域
115 後軌道領域
2 被表面処理部材
3 前処理用タンク
3a 前処理用タンクの開口
3S 前処理用タンクの上方空間
31 タンク底面
4 メッキ処理用タンク
4S メッキ処理用タンクの上方空間
5 後処理用タンク
5S 後処理用タンクの上方空間
6 実施例1の被表面処理部材囲繞手段
6A 実施例2の被表面処理部材囲繞手段
6a 処理液流通孔
61 分割部材
611 分割部材のうちタンクの開口よりも上方に突出した部分
612 分割部材のうちタンクの開口よりも下方に位置する部分
612a 底面部
613 ローラ
614 ガイドレール
62 駆動部
621 駆動アーム
7 搬送装置(被表面処理部材搬送手段)
8 ポンプ手段(処理液供給手段)
8a ポンプ本体
8b 導入パイプ
8c 排出パイプ
9 開閉部材
91 開閉片
A 前処理工程
A1 前処理液
B メッキ処理工程
B1 メッキ処理液
C 後処理工程
C1 後処理液
S 被表面処理部材囲繞手段の中空
T 通路
s 被表面処理部材囲繞手段とタンク底面との間の隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッキ処理がなされる被表面処理部材に対しメッキ処理を行う前に実施される前処理で使用される処理液を貯留する前処理用タンクと、
前処理がなされた被表面処理部材に対してメッキするメッキ処理で使用される処理液を貯留するメッキ処理用タンクと、
メッキ処理が行われた後の被表面処理部材に対して実施される後処理で使用される後処理液を貯留する後処理用タンクと、
を有するメッキ処理システムにおいて、
前記三つのタンクのうちの少なくとも一つのタンクは、
前記被表面処理部材をタンクの上方に向けて搬送する被表面処理部材搬送手段と、
当該タンクの処理液中に没した状態で設置され、前記被表面処理部材搬送手段によってタンクの上方に搬送されて来た被表面処理部材をその位置で囲繞するとともに、当該タンクに係る処理液の流通を許容するように下部が開放されている被表面処理部材囲繞手段と、
この被表面処理部材囲繞手段で前記被表面処理部材を囲繞したときにできる被表面処理部材囲繞手段の内部空間に前記タンクの処理液を供給する処理液供給手段と、
を備え、
前記被表面処理部材囲繞手段によって前記被表面処理部材が囲繞されると、前記処理液供給手段により、前記被表面処理部材囲繞手段の前記内部空間が、前記処理液で充填されることを特徴とするメッキ処理システム。
【請求項2】
前記処理液供給手段は、ポンプ手段であって、
当該ポンプ手段は、前記被表面処理部材囲繞手段の内部空間を前記処理液で充填するに十分な吐出量を有することを特徴とする請求項1に記載のメッキ処理システム。
【請求項3】
前記前処理用タンクと、
前記メッキ処理用タンクと、
前記後処理用タンクとは直列され、
これらのタンクに共通に前記被表面処理部材搬送手段が設けられるとともに、
前記被表面処理部材囲繞手段及び前記処理液供給手段は各タンクに設けられ、
前記被表面処理部材搬送手段により、前記被表面処理部材を各タンクの被表面処理部材囲繞手段に向けて移動することを特徴とする請求項1又は2に記載のメッキ処理システム。
【請求項4】
前記各タンクは上面が開口され、
前記被表面処理部材囲繞手段は、前記開口よりも上方に突出され、
当該上方に突出した部分において前記被表面処理部材は囲繞され、
前記被表面処理部材囲繞手段のうち前記各処理液に没している部分には、当該処理液の通る通し孔が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のメッキ処理システム。
【請求項5】
前記被表面処理部材囲繞手段は、
前記被表面処理部材搬送手段によって前記処理用タンクの上方に搬送されて来た前記被表面処理部材をその両側から挟み込めるように二分割にされた一対の分割部材と、
これら一対の分割部材を相互に他方に対して近づけたり、遠ざけたりする駆動部とを有し、
前記駆動部を作動させることにより前記一対の分割部材を近づける場合には、記被表面処理部材を当該一対の分割部材で囲繞し、
前記駆動部を作動させることにより前記一対の分割部材を遠ざける場合には、前記一対
の分割部材の間に前記被表面処理部材が通過可能な通路を形成することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のメッキ処理システム。
【請求項6】
前記被表面処理部材囲繞手段は、
当該被表面処理部材囲繞手段のうち前記被表面処理部材の進行方向における両端が開口され、
これらの開口には、当該開口を開閉する開閉部材が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のメッキ処理システム。
【請求項7】
前記メッキ処理システムは、電気化学的酸化還元反応により金属を還元析出させる無電解メッキシステムであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のメッキ処理システム。
【請求項8】
前記メッキ処理システムは、金属陽イオンを含む溶液中に、被表面処理部材を陰極として漬けこんで、金属を電気的に陰極表面に析出させる電気メッキシステムであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のメッキ処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−223094(P2008−223094A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−63661(P2007−63661)
【出願日】平成19年3月13日(2007.3.13)
【出願人】(505225278)株式会社アイプラント (5)
【Fターム(参考)】