説明

メッキ構造物の管理方法

【課題】メッキ処理された構造物を低コストで測定することができると共に、効率的且つ信頼性に優れた構造物を管理することができるメッキ膜厚の管理方法を提供するメッキ構造物の管理方法を提供する。
【解決手段】金属の表面上をメッキ処理して構成された構造物を管理するメッキ構造物の管理方法であって、構造物を構成する所定部位としてナット2の所定箇所としての膜厚値を少なくとも2箇所以上測定することで、暴露状態にない部位の膜厚値を示す第1膜厚値としての初期メッキ膜厚値A点と経年後の状態を判断する部位の膜厚値を示す第2膜厚値としての残存メッキ膜厚値B点との比較値に基づいて構造物の腐食速度を管理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属の表面上をメッキ処理して構成された構造物を管理するメッキ構造物の管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、企業などが所有するメッキ処理された構造物などを管理する手法として、例えば、電力会社の鉄塔においては次のような方法が採用されて維持管理が実施されていた。鉄塔は、鉄製品で構成されており、酸化による錆びで所定の強度(機能)が設備の経過年数(経年)とともに低下することが避けられない状況にある。このような防錆対策として、例えば、鉄塔材の表面に亜鉛メッキ処理を施す、又は鉄塔を塗装する対策などがある。
【0003】
しかしながら、何れの防錆対策も、それぞれ寿命があり永久的な対策としては期待できず、例えば、亜鉛メッキなどの余寿命を判定することによる中長期的な維持管理が不可欠になってくる。現状の余寿命を判定する手法では、メッキの腐食速度の算定が欠かせないが、そのために採用されている現状のメッキ膜厚の測定方法においては次のような問題があった。まず、2回の測定を実施しないとメッキ腐食速度の算定ができず、そして、再測定には10年程度の年月が必要なため、早期の作業の平準化を考慮した中長期的な計画の策定が困難であった。すなわち、塗装を実施する目安となる限界値に到達する到達年数を算定するために必要な初期メッキ膜厚値は、経年した設備のナット表面のみの測定では確認できないため、残存メッキ膜厚値の測定を約10年後に再び実施することで現状のメッキ腐食速度が算定されることになり、必要な塗装時期を判定して信頼性の高い塗装計画を策定するために20年程度の年月を要するため、非効率的且つ再測定のためのコストがかかるといった問題があった。
【0004】
上述のような状況下において、例えば、中長期的な維持管理計画を策定する際などに、初回のメッキ膜厚測定時にメッキ腐食速度の算定に必要な初期メッキ膜厚値が測定でき、又、早期に余寿命判定が容易にでき且つ信頼性のある測定を実施することができる測定方法の改善が望まれていた。
【0005】
また、膜厚の測定に関連する技術として、例えば、半導体及び光デバイス等で用いられる薄膜の膜厚及び密度を非破壊的に測定するための測定方法などが提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、このような技術は、物体の性質的な観点に依存するものであるため、上述のような管理維持を目的とするものに直接的に適用できるものではなかった。
【0006】
【特許文献1】特開2005−164503号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような事情に鑑み、メッキ処理された構造物を低コストで測定することができると共に、効率的且つ信頼性に優れた構造物を管理することができるメッキ膜厚の管理方法を提供するメッキ構造物の管理方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、金属の表面上をメッキ処理して構成された構造物を管理するメッキ構造物の管理方法であって、前記構造物を構成する所定部位の所定箇所の膜厚値を少なくとも2箇所以上測定することで、暴露状態にない部位の膜厚値を示す第1膜厚値と経年後の状態を判断する部位の膜厚値を示す第2膜厚値との比較値に基づいて当該構造物の腐食速度を管理することを特徴とするメッキ構造物の管理方法にある。
【0009】
かかる第1の態様では、構造物を構成する所定部位の所定箇所の膜厚値を少なくとも2箇所以上測定することで、暴露状態にない部位の膜厚値を示す第1膜厚値と経年後の状態を判断する部位の膜厚値を示す第2膜厚値との比較値に基づいて構造物の腐食速度が管理される。これにより、メッキ膜厚からなる構造物を低コストで効率的に測定することができる。
【0010】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載のメッキ構造物の管理方法において、前記構造物の管理は、前記第2膜厚値が予め規定された管理値を超えているかにより、正常な範囲の構造物として使用できるか否かを判定することを基準として実施することを特徴とするメッキ構造物の管理方法にある。
【0011】
かかる第2の態様では、構造物の管理が、第2膜厚値が予め規定された管理値を超えているかにより、正常な範囲の構造物として使用できるか否かを判定することを基準として実施される。これにより、効率的且つ信頼性に優れた構造物を管理することができるメッキ膜厚の管理が可能となる。
【0012】
本発明の第3の態様は、第1又は2の態様に記載のメッキ構造物の管理方法において、前記腐食速度は、前記第1膜厚値及び前記第2膜厚値から算出される差分値と前記構造物の経過年数との関係から算定されることを特徴とするメッキ構造物の管理方法にある。
【0013】
かかる第3の態様では、腐食速度が、前記第1膜厚値及び前記第2膜厚値から算出される差分値と前記構造物の経過年数との関係から算定される。これにより、より低コストでメッキ膜厚からなる構造物を低コストで測定することができる。
【0014】
本発明の第4の態様は、第1〜3の何れかの態様に記載のメッキ構造物の管理方法において、前記構造物は、所定の電磁膜厚計で測定された膜厚値が当該構造物の経過年数に基づく劣化情報として管理されることを特徴とするメッキ構造物の管理方法にある。
【0015】
かかる第4の態様では、所定の電磁膜厚計で測定された膜厚値が、構造物の経過年数に基づく劣化情報として管理される。これにより、より効率的且つ信頼性に優れた構造物を管理することができるメッキ膜厚の管理が可能となる。
【0016】
本発明の第5の態様は、第1〜4の何れかの態様に記載のメッキ構造物の管理方法において、前記構造物は、規定トルクで固定され且つ亜鉛メッキからなる膜厚で構成された部位を複数有するものであることを特徴とするメッキ構造物の管理方法にある。
【0017】
かかる第5の態様では、構造物が、規定トルクで固定され且つ亜鉛メッキからなる膜厚で構成された部位を複数有するものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、非露出部の膜厚状態を示す第1膜厚値及び露出部の膜厚状態を示す第2膜厚値を1回のみ測定することで、構造物の腐食速度が算定されるため、メッキ処理された構造物を低コストで測定することができると共に、効率的且つ信頼性に優れた構造物を管理することができるメッキ膜厚の管理方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、本実施形態の説明は例示であり、本発明の構成は以下の説明に限定されない。
【0020】
本実施形態では、メッキ膜厚の管理方法として、電力会社が所有する構造物として鉄塔を維持管理する場合を例示して説明する。
【0021】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るメッキ膜厚の管理方法で使用する測定対象物の一例を示す図である。
【0022】
図1には、鉄塔を構成する部材として、初期メッキ膜厚値を測定するための測定対象物となるボルト1及びナット2が示されている。すなわち、ボルト1は部材3を貫通してナット2と連結されることで、部材3同士を固定して鉄塔を構成している。ここで、鉄塔などの構造物の維持管理については、一般的に、鉄塔の初回塗装の実施時期は、経年後の残存ボルトメッキ膜厚(μm)の測定によるメッキ腐食速度(μm/年)の算定により管理されている。この場合、従来の管理方法では、鉄塔の初回塗装の計画管理に必要な現実のメッキ腐食速度(μm/年)を算定するために必要な初期メッキ膜厚値が測定できない。
【0023】
そこで、本実施形態では、初回の測定において、メッキ腐食速度(μm/年)の算定に必要な初期メッキ膜厚値(μm)を測定する際に、従来の測定部位であるナット側面部2a(B点と図示する)に加えて、ナット下面部2b(A点と図示する)を追加測定するようにした。これは、鉄塔の部材として取付けたボルト1の締付部となるナット下面部2bが大気や風雨などにさらされることが殆どなく、経年後も新品同様の状態を維持できるという知見に基づくものである。これにより、例えば、鉄塔に関して、効率的且つ信頼性に優れた現実的な塗装管理が低コストで可能となる。
【0024】
具体的には、鉄塔である構造物を構成する所定部位としてのナット2の所定箇所としての膜厚値を少なくともA点及びB点の2箇所以上測定することで、暴露状態にない部位(A点)の膜厚値を示す第1膜厚値としての初期メッキ膜厚値(μm)と経年後の状態を判断する部位(B点)の膜厚値を示す第2膜厚値としての残存メッキ膜厚値(μm)との比較値に基づいて、鉄塔のメッキ腐食速度(μm/年)を管理する。すなわち、初回の測定時点で、メッキ腐食速度(μm/年)の算定に必要な非露出部の膜厚状態を示す初期メッキ膜厚値(A点)、及びその時点の露出部の膜厚状態を示す残存メッキ膜厚値(B点)の双方を同時期に測定することになる。これにより、10年後の再測定を必要とせず、1回のみの測定でメッキ腐食速度(μm/年)の算定ができ、信頼性の高い中長期的な計画の策定を容易にすることも可能となる。さらに、測定回数の減少により、コストを低減させることもできる。
【0025】
図2は、本発明の実施形態1に係るメッキ膜厚の管理方法に関するモデル図の概要を示す図である。
【0026】
図2には、ナット下面部2bを測定したことによるメッキ膜厚の減少モデルが例示されている。具体的には、縦軸には残存メッキ膜厚値(μm)が示され、横軸には年数(年)が示されている。そして、ナット下面部2bの測定値がA点(初期メッキ膜厚値)、ナット側面部2aの測定値がB点(残存メッキ膜厚値)として示されている。この2点を結ぶ曲線がメッキ腐食速度(μm/年)の関係を示しており、メッキ膜厚(μm)の減少モデルとして成り立っている。本実施形態では、このような関係を算定することを1回のみの測定で可能にしている。
【0027】
すなわち、メッキ腐食速度(μm/年)は、第1膜厚値としての初期メッキ膜厚値(μm)及び第2膜厚値としての残存メッキ膜厚値(μm)から算出される差分値と構造物である鉄塔の経過年数との関係から算定される。
【0028】
ここで、メッキ構造物の具体的な管理方法、すなわち、メッキ腐食速度の具体的な算定方法について説明する。なお、メッキ腐食速度は、基本的に各パターンに応じて、例えば、下記に示す算定式に基づいて管理する。
【0029】
<新たな算定方法>
新たな方法によってメッキ腐食速度Aを算定する際の算定式は次のようになる。
メッキ腐食速度A(μm/年)={初期メッキ膜厚値(μm)−残存メッキ膜厚値(μm)}/経過年数A
ここで、残存メッキ膜厚値とは、第1の管理値であり、メッキ膜厚の平均値を示す。一方、初期メッキ膜厚値とは、第2の管理値であり、ナット下面部2bの膜厚値の平均値を示す。そして、経過年数Aとは、建設以降の経過年数を示す。
【0030】
また、塗装時期の残余年数を算定する算定式は次のようになる。
残余年数={残存メッキ膜厚測定値(μm)−1(μm)−20(μm)}/メッキ腐食速度A(μm/年)
ここで、1(μm)という値は、測定器(例えば、電磁膜厚計)の測定誤差を示す。一方、20(μm)という値は、残存メッキ膜厚の限界値を示す。
【0031】
上述のような算定式により、構造物としての鉄塔の管理は、残存メッキ膜厚(μm)が予め規定された管理値(μm)を超えているかにより、正常な範囲の構造物として使用できるか否かが判定されることを基準として実施される。なお、新たな算定方法による測定は、原則として、建設後15年以上経過時においてする。そして、測定回数は原則として1回とし、必要に応じて2回目以降の測定を行うようにしてもよい。2回目以降に測定が必要な場合としては、例えば、1回目の測定時に塗装の必要がないと判断され、所定の期間が経過した後に見直しのための再測定をする場合などが考えられる。
【0032】
また、測定データの管理方法としては、例えば、図3に示すような手法が考えられる。この場合、各種測定値と共に、写真や構造図などをリンクさせるようにしてもよい。
【0033】
(実施例)
以下、具体的な測定箇所と測定方法について説明する。図4は、鉄塔の測定部位を示す図である。図5は、測定対象物の測定箇所を説明する図である。
【0034】
図4には、タイプの異なる鉄塔10が2つ例示されている。すなわち、本実施例の構造物としては、規定トルクで固定され且つ亜鉛メッキ処理されて構成された部位(ナット付きボルト)を複数有する鉄塔10となる。このような鉄塔10には、測定部位が測定点1から測定点4まで示されている。
【0035】
具体的には、測定点1は上部であり、その部位におけるアーム主材取付プレート上より2本及び斜材取付点ボルトより2本が測定対象物のナット2となる。測定点2は中間部であり、その部位におけるアーム主材取付プレート上より2本及び斜材取付点ボルトより2本が測定対象物のナット2となる。測定点3は下部であり、その部位における斜材取付点ボルトより2本が測定対象物のナット2となる。測定点4は任意点であり、その部位における1〜2本が測定対象物のナット2となる。この場合、任意点は、担当者及び現地の判断により任意に設定される。
【0036】
ここで、ナット2の測定箇所について説明する。図5には、測定対象となったナット2の測定箇所が例示されている。
【0037】
図5に示すように、本実施例の測定箇所は、ナット2のナット側面部2a及びナット下面部2bの合計6箇所となる。すなわち、1つのナット2当り6点を測定することで、初期メッキ膜厚値(A点)及び残存メッキ膜厚値(B点)がそれぞれ平均値として得られることになる。このとき、各測定箇所には印を付けておき、それらの箇所と実質的に同一と判断できる部位を測定する。
【0038】
そして、この得られた測定値からメッキ腐食速度(μm/年)を算出する。すなわち、初期メッキ膜厚値(μm)と残存メッキ膜厚値(μm)との差分及び建設時からの経過年数によりメッキ腐食速度(μm/年)を算出して曲線からなるモデル図として示す。このようにして、メッキ腐食速度(μm/年)を示す曲線に対する塗装の実施時期を管理する残メッキ膜厚の管理値20(μm)を基準として鉄塔10の塗装時期を判断する。
【0039】
また、本実施例の測定にあたっては、次に示す性能を有する測定機器を使用する。
(1)計器名:電磁膜厚計
(2)測定方式:電磁誘導式
(3)測定範囲:0μm以上
(4)測定精度:測定値の±1%+1.0μm以下
(5)校正:校正されていること(1回/年)
上述のような方法により、本実施例における構造物としての鉄塔10は、所定の電磁膜厚計で測定された膜厚値が鉄塔10の経過年数に基づく劣化情報として管理されることになる。
【0040】
以上の実施例を踏まえて、実際に測定した結果を試験例として以下に示す。
【0041】
(試験例)
500kVの幹線(1980年運開、計画基数23基)を構成する鉄塔10のボルト1に結合されたナット2のナット側面部2a及びナット下面部2bを測定した結果、図6及び図7に示すような結果を確認することができた。
【0042】
図6に示すように、運開後に実施した初回の測定時において、初期メッキ膜厚値の平均値(A点)が70.3(μm)となることを確認することができた。この値は、JIS規格の初期メッキ膜厚値である48.6(μm)を大きく上回るものであり、新品のボルト(ナットも含む)のメッキ膜厚値とほぼ同じ数値であることが確認できた。
【0043】
そして、初期メッキ膜厚値の平均値(A点)の70.3(μm)を初期値として採用し、鉄塔10の維持管理に必要なメッキ腐食速度0.81(μm/年)を算定して確認することができた。この値は、JIS規格の「海洋地帯」における標準メッキ腐食速度である1.54(μm/年)を下回るメッキ腐食速度であることも確認できた。
【0044】
また、図7に示すように、鉄塔10の測定部位について、上部、中間部、及び下部毎の平均的なメッキ腐食速度を比較した結果、それぞれD1〜D3に示す曲線を確認することができた。すなわち、D1は、鉄塔10の上部におけるメッキ腐食速度0.9(μm/年)を示し、D2は、鉄塔10の中間部におけるメッキ腐食速度0.75(μm/年)を示し、D3は、鉄塔10の下部におけるメッキ腐食速度0.72(μm/年)を示している。なお、D1〜D3で得られたデータの平均値は、D曲線として示されている。これらの値は、他の鉄塔10においても同一傾向を示しており、鉄塔10の上部になるほどメッキ腐食速度(μm/年)が速くなることが実測データから確認できた。
【0045】
そして、初期メッキ膜厚値(A点)及び残存メッキ膜厚値(B点)が測定できたことで、図7に示すようなメッキ腐食速度(μm/年)が算定できるため、塗装の実施時期を判定する管理値(塗装管理値)である20(μm)に基づいて、各々の部位についての塗装時期を判断できるようになった。なお、実際の管理計画を策定する際には、メッキ腐食速度(μm/年)の一番速い鉄塔10の上部のメッキ腐食速度D1を用いることが好ましい。これにより、早期に信頼性の高い中長期的な管理計画の策定が容易となる。
【0046】
さらに、コスト面においても有効であることが確認できた。以下に、具体的に低減されるコスト金額を各パターンに応じて示す。
<初回の塗装実施時期の延伸によるコスト低減額>
・500kVの幹線 対象基数:49基・・・7,000千円/年程度
・220kV以下の送電線 対象基数:904基・・・10,500千円/年程度
<10年後の再測定の省略によるコスト低減額>
・初回の塗装対象基数:953基・・・1,000千円/年程度
以上から、本発明のメッキ構造物の管理方法は、効率性、信頼性、及びコスト面などの種々の要素において有効であることを実証することができた。
【0047】
(他の実施形態)
上述した実施形態1では、ナット2の測定箇所として、ナット側面部2aを残存メッキ膜厚値(B点)の測定箇所とし、ナット下面部2bを初期メッキ膜厚値(A点)の測定箇所としているが、特にこれに限定されず、例えば、図8に示す箇所を測定箇所として採用してもよい。
【0048】
図8に示す例では、部材3の露出部3bを残存メッキ膜厚値(B点)の測定箇所として採用している。すなわち、部材3の露出部3bから測定される残存メッキ膜厚値(B点)とナット下面に接している部材3の非露出部3cから測定される初期メッキ膜厚値(A点)との比較値と経過年数との関係により、メッキ腐食速度(μm/年)を算定することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、電気、ガス、水道、及び電話などメッキ構造物を有する各種企業、或いはそれら企業が提供する産業などで利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施形態1に係るメッキ膜厚の管理方法で使用する測定対象物の一例を示す図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るメッキ膜厚の管理方法に関するモデル図の概要を示す図である。
【図3】本発明の実施形態1に係るデータの管理方法の一例を示す図である。
【図4】本発明の実施例に係る測定部位を示す図である。
【図5】本発明の実施例に係る測定対象物の測定箇所を説明する図である。
【図6】試験例の結果を示す図である。
【図7】試験例の結果を示す図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係る測定対象物の一例を説明する図である。
【符号の説明】
【0051】
1 ボルト
2 ナット
2a ナット側面部
2b ナット下面部
3 部材
3b 露出部
3c 非露出部
10 鉄塔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属の表面上をメッキ処理して構成された構造物を管理するメッキ構造物の管理方法であって、
前記構造物を構成する所定部位の所定箇所の膜厚値を少なくとも2箇所以上測定することで、暴露状態にない部位の膜厚値を示す第1膜厚値と経年後の状態を判断する部位の膜厚値を示す第2膜厚値との比較値に基づいて当該構造物の腐食速度を管理することを特徴とするメッキ構造物の管理方法。
【請求項2】
請求項1に記載のメッキ構造物の管理方法において、前記構造物の管理は、前記第2膜厚値が予め規定された管理値を超えているかにより、正常な範囲の構造物として使用できるか否かを判定することを基準として実施することを特徴とするメッキ構造物の管理方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のメッキ構造物の管理方法において、前記腐食速度は、前記第1膜厚値及び前記第2膜厚値から算出される差分値と前記構造物の経過年数との関係から算定されることを特徴とするメッキ構造物の管理方法。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載のメッキ構造物の管理方法において、前記構造物は、所定の電磁膜厚計で測定された膜厚値が当該構造物の経過年数に基づく劣化情報として管理されることを特徴とするメッキ構造物の管理方法。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載のメッキ構造物の管理方法において、前記構造物は、規定トルクで固定され且つ亜鉛メッキからなる膜厚で構成された部位を複数有するものであることを特徴とするメッキ構造物の管理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−239007(P2007−239007A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−61768(P2006−61768)
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】