メッシュフィン熱交換器
【目的】 空気調和機用等のメッシュフィン熱交換器において、メッシュフィン部への繊維状の埃の目詰りを防止して熱交換性能の低下を防止する。
【構成】 隣接するメッシュフィンの網目仕様を異なるものにしたり、フィン間クリアランスを奥行き方向に所定の変化分布を持たせることなどにより、メッシュフィン熱交換器前面部への埃の付着量を抑制し、また熱交換器前面に細線を設置することにより付着した埃の洗浄性を高めるようにした。
【構成】 隣接するメッシュフィンの網目仕様を異なるものにしたり、フィン間クリアランスを奥行き方向に所定の変化分布を持たせることなどにより、メッシュフィン熱交換器前面部への埃の付着量を抑制し、また熱交換器前面に細線を設置することにより付着した埃の洗浄性を高めるようにした。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、メッシュ状フィンを用いた空気調和機用等のメッシュフィン熱交換器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば空気調和機用熱交換器としては、一般に多数枚の平板状のフィン(プレートフィン)を狭い隙間をあけて並べ、これら平板状のフィンと直交するように複数本の伝熱管を貫通させて配管した所謂クロスフィンコイル式のものが良く知られているが、最近では、さらに伝熱性能を向上させるために、その他にも種々のタイプの熱交換器が提案されている。
【0003】その一つとして、例えば図16および図17R>7に示すように複数枚のメッシュフィン(網目状フィン)F1〜Fnを重ね合せて形成した積層フィンの各々に複数本の細径の伝熱管1,1・・・を互いに平行に貫装固定して熱交換器モジュール2A,2B,2Cを構成した所謂メッシュフィン熱交換器10がある(例えば実開平3−79079号公報参照)。このようなメッシュフィン熱交換器10によれば、例えば図17に示すようなメッシュ構造を有するメッシュフィンF1〜Fnの各メッシュ部がクロスフィンコイル式熱交換器における上記平板状フィンのスリット又はルーバの切起こし幅を非常に狭くしたのと同様な作用を発揮するので、伝熱性能が大きく向上する。
【0004】そして、例えば同構成よりなる複数のメッシュフィン熱交換器モジュール2A,2B,2Cを所定の間隔を保って一体化し、所定の空気調和機において、その熱交換面が空気流と直交するように水平方向に所定の角度傾斜させて配列することもできるようになる。従って、特に高伝熱性能の空調用熱交換器としての性能を期待することができる。
【0005】また、一方形状の自由度も大きくなり、例えばくの字形から、さらにはラムダ形までの、一定形状、一定断面積の空気調和機本体ケーシング内にあって可及的に大きな伝熱面積を確保することができる任意の形状を採用することができるようにもなる。
【0006】図18は、そのような熱交換器を採用して構成された壁掛型空気調和機の構成を示している。
【0007】すなわち、図中、符号11は当該空気調和機の本体ケーシング(本体ハウジング)である。該本体ケーシング11の前面側上方部分には空気吸込グリル12が、また同下方部分には空気吹出口13が各々形成されている。そして、該本体ケーシング11内には、上記上流側空気吸込グリル12から下流側空気吹出口13に至る空気流通路(送風路)14が形成されており、この空気流通路14には、その上流側から下流側にかけてエアフィルタ9、メッシュフィン熱交換器(くの字形)10、クロスフローファン15が順番に並設されている。
【0008】上記メッシュフィン熱交換器10は、上述のように図16および図17に示すような細径の伝熱管1,1・・・と該細径の伝熱管1,1・・・の両側に重合積層された複数枚のメッシュフィンF1,F2・・・Fnとからなり、上記空気吸込グリル12の背後に位置して図示のように全体を後方に若干傾斜させるとともに、さらにその上部を水平面方向に所定角屈曲させてくの字状にして並設されている。さらに、クロスフローファン15は、上記空気流通路14の設置形状に対応して、上記メッシュフィン熱交換器10の下部背後に位置して配設されている。
【0009】そして、冷暖房時には、上記クロスフローファン15が駆動されると、室内の空気Aは図示矢線のように、空気吸込グリル12から吸い込まれ、エアフィルタ9を経てメッシュフィン熱交換器10に供給されて効率良く熱交換(加熱又は冷却)される。その後、該熱交換された空気流Aは、クロスフローファン15を介して上記空気吹出口13より室内に所定の吹き出し角度で吹き出される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記メッシュフィン熱交換器10は、上述のようにクロスフィンコイルの場合に比べて形状の自由度が大きく、図示のように上部を水平方向後方側に任意に屈曲させることによって熱交換面積を可及的に広く取ることができ、高い伝熱性能と相まってコンパクト化(薄型化および低丈化)が可能となるなどの点でメリットが大きい。
【0011】ところが、上記メッシュフィン熱交換器10の場合、次のような問題が発生している。
【0012】すなわち、メッシュフィンF1,F2・・・Fnそのものは図16および図17に示すように各々網目構造をしているが、伝熱性能を上げるためには該網目の径は一般的に言って小さい方が好ましい。
【0013】ところが、上記空気吸込グリル12から吸込まれる空気中には例えば埃やゴミ、油、煙草のヤニなどの目詰りを生じさせ易い種々の異物が存在する。これらの内、一定の大きさを有するものは上記エアフィルタ9によって一応捕集されるが綿埃などの繊維状の埃や油、ヤニなどは当該エアフィルタ9のみでは必ずしも十分に除去することができない。
【0014】したがって、それらが上記メッシュフィンF1,F2・・・Fn部分まで吸入され同メッシュフィンF1,F2・・・Fnの前後フィン間にブリッジを生じて取れなくなってしまう問題が発生する。そして、運転時間の経過とともに該ブリッジ部の埃の累積量が多くなると、例えば図19に示すように、通風抵抗が増大して送風量が低下し、結局は空調能力の低下を招来することになる。
【0015】
【課題を解決するための手段】本願の請求項1〜10各項記載の発明は、各々上記の問題を解決することを目的としてなされたものであって、それぞれ次のように構成されている。
【0016】(1) 請求項1記載の発明のメッシュフィン熱交換器の構成該メッシュフィン熱交換器は、例えば図1に示すように、伝熱管1,1・・・の両側に複数枚のメッシュフィンF1〜Fnを重合積層してなるメッシュフィン熱交換器10において、上記複数枚のメッシュフィンF1〜Fnの内の相互に隣接するメッシュフィンF1,F2、F2,F3・・・の網目仕様をそれぞれ異ならせて埃の付着を抑制するようになっている。
【0017】(2) 請求項2記載の発明のメッシュフィン熱交換器の構成該メッシュフィン熱交換器は、例えば図7に示すように、上記請求項1記載の発明のメッシュフィン熱交換器の構成における網目仕様の相異が、一方のメッシュフィンを平面方向に所定角回転させることにより相互のメッシュフィンの網目同士の重なりを避けるようにして実現されている。
【0018】(3) 請求項3記載の発明のメッシュフィン熱交換器の構成該メッシュフィン熱交換器は、例えば図12に示すように、上記請求項1記載の発明のメッシュフィン熱交換器の構成における網目仕様の相異が、相互に隣接するメッシュフィンF1,F2、F2,F3・・・の各網目の縦横寸法比を相互に異ならせることにより実現されている。
【0019】(4) 請求項4記載の発明のメッシュフィン熱交換器の構成該メッシュフィン熱交換器は、例えば図10に示すように、伝熱管1,1・・・の両側に複数枚のメッシュフィンF1〜Fnを重合積層してなるメッシュフィン熱交換器10において、相互に隣接するメッシュフィンF1,F2、F2,F3・・・のフィン間クリアランスC1、C2・・・を空気流上流側から下流側にかけて所定の分布パターンを有して異ならせることにより埃の付着を抑制するようになっている。
【0020】(5) 請求項5記載の発明のメッシュフィン熱交換器の構成該メッシュフィン熱交換器は、例えば図10に示すように、上記請求項4記載の発明のメッシュフィン熱交換器の構成における所定の分布パターンが、空気流上流側メッシュフィンのフィン間クリアランスが大きく、他方下流側メッシュフィンのフィン間クリアランスが小さくなるようにして形成されている。
【0021】(6) 請求項6記載の発明のメッシュフィン熱交換器の構成該メッシュフィン熱交換器は、例えば図10、図12、図13に示すように、伝熱管1,1・・・の両側に複数枚のメッシュフィンF1〜Fnを重合積層してなるメッシュフィン熱交換器10において、上記各メッシュフィンF1〜Fnの網目仕様を空気流上流側から下流側にかけて所定の分布パターンを有して異ならせることにより埃の付着を抑制するようになっている。
【0022】(7) 請求項7記載の発明のメッシュフィン熱交換器の構成該メッシュフィン熱交換器は、例えば図12に示すように、上記請求項6記載の発明のメッシュフィン熱交換器の構成における所定の分布パターンが、各メッシュフィンF1〜Fnの網目の寸法を空気流上流側で大きく、下流側で小さくすることにより形成されている。
【0023】(8) 請求項8記載の発明のメッシュフィン熱交換器の構成該メッシュフィン熱交換器は、例えば図13に示すように、伝熱管1,1・・・の両側に複数枚のメッシュフィンF1〜Fnを重合積層してなるメッシュフィン熱交換器10において、上記各メッシュフィンF1〜Fnは、相互に隣接するメッシュフィンF1,F2、F2,F3・・・のフィン間クリアランスC1〜Cnを空気流上流側から下流側にかけて所定の分布パターンを有して異ならせるとともに同各メッシュフィンF1〜Fnの網目仕様を空気流上流側から下流側にかけて所定の分布パターンを有して異ならせることによって埃の付着を抑制するようになっている。
【0024】(9) 請求項9記載の発明のメッシュフィン熱交換器の構成該メッシュフィン熱交換器は、例えば図15に示すように、伝熱管1,1・・・の両側に複数枚のメッシュフィンF1〜Fnを重合積層してなるメッシュフィン熱交換器10において、上記各メッシュフィンF1〜Fnの空気流上流側最前列のメッシュフィンF1の前面に複数本の細線15,15・・・を配設している。
【0025】(10) 請求項10記載の発明のメッシュフィン熱交換器の構成該メッシュフィン熱交換器は、例えば図15に示すように、上記請求項1,2,3,4,5,6,7または8記載の発明のメッシュフィン熱交換器の構成における複数枚のメッシュフィンF1〜Fnの空気流上流側最前列のメッシュフィンF1の前面に複数本の細線15,15・・・を配設している。
【0026】
【作用】したがって、本願の請求項1〜10各項記載の発明のメッシュフィン熱交換器では、上記の構成に対応して各々次のような作用を得ることができる。
【0027】(1) 請求項1記載の発明のメッシュフィン熱交換器の作用該メッシュフィン熱交換器の構成では、上述のように、伝熱管1,1・・・の両側に複数枚のメッシュフィンF1〜Fnを重合積層してなるメッシュフィン熱交換器10において、上記複数枚のメッシュフィンF1〜Fnの内の相互に隣接するメッシュフィンF1,F2、F2,F3・・・の網目仕様をそれぞれ異ならせて埃の付着を抑制するようにしている。
【0028】該構成では、上述のように可能な限り前後のメッシュフィンF1,F2、F2,F3・・・の網目の配置角度・寸法・形状等仕様を変えて、それら各網目辺部の重なりを避けるようにして熱交換器部が構成されているので、網目のズレ量を大きくした場合と同様に各々の網目の角部a,a・・にしか埃の集積がなく、全体としての通風抵抗の増大が小さく、空気の偏流も生じない。従って、熱交換能力の低下も最小限で済むことになる。
【0029】(2) 請求項2記載の発明のメッシュフィン熱交換器の作用該メッシュフィン熱交換器の構成では、上述のように、上記請求項1記載の発明のメッシュフィン熱交換器の構成における網目仕様の相異が、一方のメッシュフィンを平面方向に所定角回転させることにより相互のメッシュフィンの網目同士の重なりを避けるようにして実現されている。
【0030】したがって、網目のズレ量を大きくした場合と同様に各々の網目の角部にしか埃の集積がなく、全体としての通風抵抗の増大が小さく、空気の偏流も生じない。従って、熱交換能力の低下も最小限で済むことになる。
【0031】(3) 請求項3記載の発明のメッシュフィン熱交換器の作用該メッシュフィン熱交換器の構成では、上述のように、上記請求項1記載の発明のメッシュフィン熱交換器の構成における網目仕様の相異が、相互に隣接するメッシュフィンF1,F2、F2,F3・・・の各網目の縦横寸法比を相互に異ならせることにより実現されている。
【0032】したがって、やはり網目のズレ量を大きくした場合と同様に各々の網目の角部にしか埃の集積がなく、全体としての通風抵抗の増大が小さく、空気の偏流も生じない。従って、熱交換能力の低下も最小限で済むことになる。
【0033】(4) 請求項4記載の発明のメッシュフィン熱交換器の作用該メッシュフィン熱交換器の構成では、上述のように、伝熱管1,1・・・の両側に複数枚のメッシュフィンF1〜Fnを重合積層してなるメッシュフィン熱交換器10において、相互に隣接するメッシュフィンF1,F2、F2,F3・・・のフィン間クリアランスC1、C2・・・を空気流上流側から下流側にかけて所定の分布パターンを有して異ならせることにより埃の付着を抑制するようにしている。
【0034】したがって、該構成では、例えば最も埃のつきやすい空気流上流域のフィン間クリアランスを大きくすることなどにより、前後のメッシュフィン相互に網目の重なり部があっても、それらの間の間隔が大きいために繊維状の埃のブリッジが生じないようにすることができ、フィン間クリアランスが一定のものの場合と異なって網目全体に埃が付着して通風抵抗が増大し、偏流を生じるようなことをなくすることが可能となる。
【0035】(5) 請求項5記載の発明のメッシュフィン熱交換器の作用該メッシュフィン熱交換器の構成では、上述のように、上記請求項4記載の発明のメッシュフィン熱交換器の構成における所定の分布パターンが、具体的に空気流上流側メッシュフィンのフィン間クリアランスが大きく、他方下流側メッシュフィンのフィン間クリアランスが小さくなるようにして形成されている。
【0036】すなわち、該構成では、最も埃のつきやすい空気流上流域のフィン間クリアランスが大きく、そのために前後のメッシュフィン相互に網目の重なり部があっても、それらの間の間隔が大きいために繊維状の埃のブリッジが生ぜず、フィン間クリアランスが一定のものの場合と異なって網目全体に埃が付着して通風抵抗が増大し、偏流を生じるようなことがなくなる。
【0037】(6) 請求項6記載の発明のメッシュフィン熱交換器の作用該メッシュフィン熱交換器の構成では、上述のように、伝熱管1,1・・・の両側に複数枚のメッシュフィンF1〜Fnを重合積層してなるメッシュフィン熱交換器10において、上記各メッシュフィンF1〜Fnの網目仕様を空気流上流側から下流側にかけて所定の分布パターンを有して異ならせることにより埃の付着を抑制するようになっている。
【0038】したがって、該構成では、例えば前後のメッシュフィンF1,F2、F2,F3・・・の寸法を所定のパターンで順次小さく行くなどの構成によって可能な限り前後のメッシュフィンF1,F2、F2,F3・・・の網目辺部の重なりを避けるようにして熱交換器部を構成することができ、やはり網目のズレ量を大きくした場合と同様に各々の網目の角部a,a・・にしか埃の集積がないようにでき、全体としての通風抵抗の増大が小さく、空気の偏流も生じない。従って、熱交換能力の低下も最小限で済むようになる。
【0039】(7) 請求項7記載の発明のメッシュフィン熱交換器の作用該メッシュフィン熱交換器の構成では、上述のように、上記請求項6記載の発明のメッシュフィン熱交換器の構成における所定の分布パターンが、各メッシュフィンF1〜Fnの網目の寸法を空気流上流側で大きく、下流側で小さくすることにより形成されている。
【0040】すなわち、該構成では、空気流上流側から下流側にかけての各メッシュフィンF1,F2・・・Fnの網目寸法を大きいものから小さいものに網目辺が重ならないように小さくして行くようになっており、空気流上流側のメッシュフィンF1,F2のみの角部a,a・・に集中的に埃が付着することを防止できるようになるとともに各網目部の重なりが少なくなることにより、網目部全体への埃の付着も併せて抑制することができるようになる。
【0041】したがって、より有効に通風抵抗の増大および偏流の発生を防止することができるようになる。
【0042】(8) 請求項8記載の発明のメッシュフィン熱交換器の作用該メッシュフィン熱交換器の構成では、上述のように、伝熱管1,1・・・の両側に複数枚のメッシュフィンF1〜Fnを重合積層してなるメッシュフィン熱交換器10において、上記各メッシュフィンF1〜Fnは、相互に隣接するメッシュフィンF1,F2、F2,F3・・・のフィン間クリアランスC1〜Cnを空気流上流側から下流側にかけて所定の分布パターンを有して異ならせるとともに同各メッシュフィンF1〜Fnの網目仕様を空気流上流側から下流側にかけて所定の分布パターンを有して異ならせることによって埃の付着を抑制するようになっている。
【0043】すなわち、該構成では、例えば熱交換器モジュールの各メッシュフィンF1〜Fnのフィン間クリアランスを埃が多くつく空気流上流側が大きくなる一方、埃の付きにくい下流側のフィン間のクリアランスを小さくなるような配置にすることによって前後のメッシュフィンの網目辺重なり部での埃のブリッジを抑制するようになっている。
【0044】したがって、最も埃のつきやすい空気流上流域のフィン間クリアランスが大きく、そのために前後のメッシュフィン相互の網目に重なり部があっても、それらの間の間隔が大きいために繊維状の埃のブリッジが生ぜず、フィン間クリアランスが一定のものの場合と異なり網目全体に埃が付着して通風抵抗が増大し、偏流を生じるようなことがなくなる。
【0045】(9) 請求項9記載の発明のメッシュフィン熱交換器の作用該メッシュフィン熱交換器の構成では、上述のように、伝熱管1,1・・・の両側に複数枚のメッシュフィンF1〜Fnを重合積層してなるメッシュフィン熱交換器10において、上記各メッシュフィンF1〜Fnの空気流上流側最前列のメッシュフィンF1の前面に複数本の細線15,15・・・を配設している。
【0046】メッシュフィン熱交換器の構成において、付着した埃は当該メッシュフィン熱交換器そのものを洗浄することによって取り除くことができるが、該洗浄効果を容易にするためには埃が内側のメッシュフィン部分に入り込まない方が望ましい。
【0047】そこで、該構成では当該メッシュフィン熱交換器の最前列側メッシュフィンF1の前面に例えば左右両端側に延びる複数本の細線15,15・・・を例えば当該メッシュフィンF1の網目寸法よりも小さい間隔で上下方向に並設し、該細線15,15・・・によって可能な限り埃を最前面で捕集するようにしているので、洗浄時の埃の除去が容易となり、洗浄効果が高い。
【0048】(10) 請求項10記載の発明のメッシュフィン熱交換器の作用該メッシュフィン熱交換器の構成では、上述のように、上記請求項1,2,3,4,5,6,7または8記載の発明のメッシュフィン熱交換器の構成における複数枚のメッシュフィンF1〜Fnの空気流上流側最前列のメッシュフィンF1の前面に複数本の細線15,15・・・を配設しており、該細線15,15・・・によってメッシュフィンに付着する埃を当該メッシュフィンF1の最前面で捕集するようにしているので、上記請求項1,2,3,4,5,6,7または8記載の発明の作用に加えて、さらに洗浄時の埃の除去が容易となり、洗浄効果が高くなる作用が得られる。
【0049】
【発明の効果】以上の結果、本願発明のメッシュフィン熱交換器によると、運転時間の経過による通風抵抗の増大量が小さく、長期に亘って良好な熱交換性能を維持することができるようになり、空気調和機用の熱交換器としてメッシュフィン熱交換器本来の高い熱交換性能をより有効に発揮させることができる。
【0050】
【実施例】
(実施例1)図1〜図6は、本願発明の実施例に係るメッシュフィン熱交換器の構成および同メッシュフィン熱交換器の構成と対比するメッシュフィン熱交換器の構成を示している。
【0051】今、前述のようなメッシュフィン熱交換器モジュール(図16の2A〜2C)の上流側メッシュフィンF1部分への埃(繊維状のもの)の付着状況を分析して見ると、例えば図2〜図5のようであった。
【0052】すなわち、先ず図2及び図3のように、熱交換器モジュールの前後に積層した前列側メッシュフィンF1,F2間の網目のズレ量が大きい場合には各網目の角部(交叉部)a,a・・から付着が進んで行くが、他方図4R>4および図5に示すように、上記網目のス量が小さい場合には上記各網目の角部a,a・・以外にも前後のメッシュフィンF1,F2の網目辺同士での埃のブリッジが発生して、例えば図6に示すように網目全体に多量の埃が付着して行って目詰りが早まり、通風抵抗の増大と空気流の偏流を招く。
【0053】このような問題を解決するには、例えば上記メッシュフィンF1,F2・・・Fnの全ての網目が、例えば図2および図3に示すような状態で空気流の上流側から下流側流れ方向に完全に交互になるようにして配置すれば良いわけであるが、そのようにすることはメッシュフィン外径寸法や材料コスト等の関係から言って実際には採用することができない。
【0054】そこで、本実施例では、例えば図1に示すように、前後のメッシュフィンF1,F2の網目の何れか一方を90度平面方向に回転させて配置することにより、各網目辺同士の重なりを可能な限り少なくして上述のような埃の付着量を角部a,a・・のみに抑制するように構成している。
【0055】該構成では、上述のように可能な限り前後のメッシュフィンF1,F2の網目辺の重なりを避けるようにして図16のような熱交換器モジュール2A〜2Cが構成されているので、上記図2および図3の網目のズレ量を大きくした場合と同様に各々のメッシュフィンF1,F2・・・Fnの網目の角部a,a・・にしか埃の集積がなく、全体としての通風抵抗の増大が小さく、空気の偏流も生じない。従って、図6のような場合と異なり、熱交換能力の低下も最小限で済むことになる。
【0056】(実施例2)図7〜図9は、本願発明の実施例2に係るメッシュフィン熱交換器の構成および同メッシュフィン熱交換器と対比するメッシュフィン熱交換器の構成を示している。
【0057】本実施例では、例えば図8に示すようなメッシュフィンF1,F2・・・Fnの網目の縦寸法Swと横寸法Lwの比を、図7に示すように相互に隣接する前後のもので変えて交互に配置するようにしたことを特徴とするものである。
【0058】すなわち、今図示の例では、例えば前列側メッシュフィンF1の縦寸法SwがSw=2cm、横寸法LwがLw=6cmに設定される一方、後列側メッシュフィンF2の縦寸法SwがSw=2cm、横寸法LwがLw=4cmに設定され、これらをペアとして複数個空気流上流側から下流側に所定ピッチで配列して構成されている。
【0059】該構成では、上述のように前後のメッシュフィンF1,F2、F2,F3・・・Fn−1,Fnの網目の縦横比を相互に異ならせることによって可能な限り前後のメッシュフィンF1,F2、F2,F3・・・Fn−1,Fnの網目辺の重なりを避けるように熱交換器モジュールが構成されているので、やはり上記図2および図3の網目のズレ量を大きくした場合と同様に各々網目の角部a,a・・にしか埃の集積がなく、全体としての通風抵抗の増大が小さく、空気の偏流も生じない。従って、熱交換能力の低下も最小限で済むようになる。
【0060】(実施例3)図10および図11は、本願発明の実施例3に係るメッシュフィン熱交換器の構成および同メッシュフィン熱交換器と対比するメッシュフィン熱交換器の構成を示している。
【0061】本実施例では、例えば図16に示すようなメッシュフィン熱交換器モジュール2A〜2Cの各メッシュフィンF1〜Fnのフィン間クリアランスC1,C2・・・Cnを埃が多くつく空気流上流側ほど大きく取る一方、埃の付きにくい下流側のフィン間のクリアランスを小さくして配置することによって可能な限り前後のメッシュフィンF1,F2、F2,F3・・・Fn−1,Fnの網目辺重なり部での埃のブリッジ(図4および図5参照)を抑制するようにしたことを特徴とするものである。
【0062】該構成では、最も埃のつきやすい空気流上流域のフィン間クリアランスC1,C2・・・が大きく、そのために前後のメッシュフィンF1,F2・・・相互に網目の重なり部があっても、それらの間の間隔が大きいために前述した図4および図5のような繊維状の埃のブリッジが生じにくくなり、従って例えば図11のようなフィン間クリアランスCが一定のものの場合と異なり図6R>6のように網目全体に埃が付着して通風抵抗が増大し、偏流を生じるようなことがなくなる。
【0063】(実施例4)図12は、本願発明の実施例4に係るメッシュフィン熱交換器の構成を示している。
【0064】上記実施例1および2のメッシュフィン熱交換器の構成では、各メッシュフィンF1,F2・・・Fn間の網目辺の重なり部の埃の付着は抑制できるが角部a,a・・への埃の付着は必ずしも十分に抑制することができない問題が残されている。
【0065】そこで、本実施例では、例えば図12に示すように図16のような各熱交換器モジュール2A〜2Cの空気流上流側から下流側にかけての各メッシュフィンF1,F2・・・Fnの網目寸法を順次大きいものから小さいものに所定の分布パターンで変化するようにし、しかもそれらの縦横寸法比を次第に網目辺が重ならないように変化させて行って配置構成したことを特徴とするものである。
【0066】該構成によると、空気流上流側のメッシュフィンF1,F2・・のみの網目の角部a,a・・に図2のように集中的に埃が付着することを防止できるようになるとともに上記実施例2の場合と同様に網目部の重なりが少なくなるので、図6のような網目部全体への埃の付着も併せて抑制することができるようになる。
【0067】したがって、より有効に通風抵抗の増大および偏流の発生を防止することができるようになる。
【0068】(実施例5)図13は、本願発明の実施例5に係るメッシュフィン熱交換器の構成を示している。
【0069】本実施例は、図示の如く上記実施例3の構成と同様に各メッシュフィンF1〜Fnの空気流上流側ほどフィン間クリアランス(フィンピッチ)Cを大きくして網目辺への埃の付着による目詰りを抑制するとともに、上記実施例4と同様に上流側から下流側にかけて網目の絶対寸法(開口面積)を所定の分布パターンで大きいものから次第に小さくして行く一方、各網目の縦横寸法比を大きく(縦小、横大)して行って同じく網目辺の重なりによるブリッジ化による埃の付着量を抑制するようにし、より有効にメッシュ部全体への埃の付着量を低減する一方、それらの組合せによって、さらに図示のように冷房運転時に発生するドレン水の保持力をも高くするようにして水飛び現象の発生をも併せて防止するようにしたことを特徴とするものである。
【0070】該構成によると、上記実施例3,4以上に、より効果的に埃による目詰りが防止されて一層熱交換性能の向上が可能になるとともに冷房運転時の水飛び現象が生じにくくなるので、空気調和機用熱交換器として特に最適のものとなる。
【0071】(実施例6)図14は、本願発明の実施例6に係るメッシュフィン熱交換器の構成を示している。
【0072】本実施例のメッシュフィン熱交換器10は、上記実施例5の構成によるメッシュフィン熱交換器モジュール2A,2B,2Cをそれぞれ円弧状に屈曲させて山形に設置するように構成したことを特徴とするものである。
【0073】該構成では、上記実施例5のメッシュフィン熱交換器と同様の作用効果に加えて、さらに上部側の水平面に近くなる円弧部頂部に滞留しやすい水滴も円弧状のメッシュフィンF1,F2・・・部の水滴ガイド機能によって左右両端側2方向により効果的に速かに排出されるようになる。
【0074】従って、水滴の排出効果も一層高くなり、通風抵抗も低下して熱交換性能がより一層向上する。
【0075】(実施例7)ところで、上記実施例1〜6の各メッシュフィン熱交換器の構成において、付着した埃は当該熱交換器そのものを洗浄することによって取り除くことができるが、該洗浄効果を容易にするためには埃が内側のメッシュフィンF2,F3・・・部分に入り込まない方が望ましい。
【0076】そこで、本実施例では例えば図15に示すようにメッシュフィン熱交換器モジュール2の最前列側メッシュフィンF1の前面に左右両端側に延びる相互に平行な複数本の細線15,15・・・をメッシュフィンF1の網目寸法(縦寸法)よりも小さい間隔で上下方向に並設して構成されており、該細線15,15・・・によって可能な限り埃を捕集して内側のメッシュフィンF2,F3・・・内に入り込ませないようにすることによって洗浄時の埃の除去を容易にしている。
【0077】この場合、メッシュフィン熱交換器モジュール2自体の構成は、上述の実施例1〜6の何れの構造のものであってもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本願発明の実施例1に係るメッシュフィン熱交換器のメッシュフィン部分の構成を示す要部の正面図である。
【図2】図2は、メッシュフィン熱交換器の問題点の解決例を示すメッシュフィン部分の一部拡大正面図である。
【図3】図3は、同メッシュフィン部の縦断面図である。
【図4】図4は、メッシュフィン熱交換器の問題点を説明するためのメッシュフィン部分の一部拡大正面図である。
【図5】図5は、同図4のメッシュフィン部分の縦断面図である。
【図6】図6は、図4の構成のメッシュフィン熱交換器のメッシュフィン部における全体的な埃の付着状態を示す同メッシュフィン部の正面図である。
【図7】図7は、本願発明の実施例2に係るメッシュフィン熱交換器のメッシュフィン部の構成を示す正面図である。
【図8】図8は、同メッシュフィン部の網目の寸法を示す網目部の拡大正面図である。
【図9】図9は、図7のメッシュフィン熱交換器の特徴を対比するメッシュフィン熱交換器のメッシュフィン部の正面図である。
【図10】図10は、本願発明の実施例3に係るメッシュフィン熱交換器の構成を示す斜視図である。
【図11】図11は、同メッシュフィン熱交換器の特徴を対比する従来のメッシュフィン熱交換器の構成を示す斜視図である。
【図12】図12は、本願発明の実施例4に係るメッシュフィン熱交換器の各メッシュフィン部分の網目寸法関係を示す説明図である。
【図13】図13は、本願発明の実施例5に係るメッシュフィン熱交換器の構成を示す側面図である。
【図14】図14は、本願発明の実施例6に係るメッシュフィン熱交換器の構成を示す側面図である。
【図15】図15は、本願発明の実施例7に係るメッシュフィン熱交換器の構成を示す斜視図である。
【図16】図16は、従来一般のメッシュフィン熱交換器の熱交換器モジュール構造を示す斜視図である。
【図17】図17は、同熱交換器モジュールのメッシュフィン網目部の拡大正面図である。
【図18】図18は、同従来のメッシュフィン熱交換器を使用した壁掛け型空気調和機の縦断面図である。
【図19】図19は、同空気調和機の運転時間の経過と風量変化の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1は伝熱管、2,2A,2B,2Cはメッシュフィン熱交換器モジュール、F1〜Fnはメッシュフィン、aは角部である。
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、メッシュ状フィンを用いた空気調和機用等のメッシュフィン熱交換器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば空気調和機用熱交換器としては、一般に多数枚の平板状のフィン(プレートフィン)を狭い隙間をあけて並べ、これら平板状のフィンと直交するように複数本の伝熱管を貫通させて配管した所謂クロスフィンコイル式のものが良く知られているが、最近では、さらに伝熱性能を向上させるために、その他にも種々のタイプの熱交換器が提案されている。
【0003】その一つとして、例えば図16および図17R>7に示すように複数枚のメッシュフィン(網目状フィン)F1〜Fnを重ね合せて形成した積層フィンの各々に複数本の細径の伝熱管1,1・・・を互いに平行に貫装固定して熱交換器モジュール2A,2B,2Cを構成した所謂メッシュフィン熱交換器10がある(例えば実開平3−79079号公報参照)。このようなメッシュフィン熱交換器10によれば、例えば図17に示すようなメッシュ構造を有するメッシュフィンF1〜Fnの各メッシュ部がクロスフィンコイル式熱交換器における上記平板状フィンのスリット又はルーバの切起こし幅を非常に狭くしたのと同様な作用を発揮するので、伝熱性能が大きく向上する。
【0004】そして、例えば同構成よりなる複数のメッシュフィン熱交換器モジュール2A,2B,2Cを所定の間隔を保って一体化し、所定の空気調和機において、その熱交換面が空気流と直交するように水平方向に所定の角度傾斜させて配列することもできるようになる。従って、特に高伝熱性能の空調用熱交換器としての性能を期待することができる。
【0005】また、一方形状の自由度も大きくなり、例えばくの字形から、さらにはラムダ形までの、一定形状、一定断面積の空気調和機本体ケーシング内にあって可及的に大きな伝熱面積を確保することができる任意の形状を採用することができるようにもなる。
【0006】図18は、そのような熱交換器を採用して構成された壁掛型空気調和機の構成を示している。
【0007】すなわち、図中、符号11は当該空気調和機の本体ケーシング(本体ハウジング)である。該本体ケーシング11の前面側上方部分には空気吸込グリル12が、また同下方部分には空気吹出口13が各々形成されている。そして、該本体ケーシング11内には、上記上流側空気吸込グリル12から下流側空気吹出口13に至る空気流通路(送風路)14が形成されており、この空気流通路14には、その上流側から下流側にかけてエアフィルタ9、メッシュフィン熱交換器(くの字形)10、クロスフローファン15が順番に並設されている。
【0008】上記メッシュフィン熱交換器10は、上述のように図16および図17に示すような細径の伝熱管1,1・・・と該細径の伝熱管1,1・・・の両側に重合積層された複数枚のメッシュフィンF1,F2・・・Fnとからなり、上記空気吸込グリル12の背後に位置して図示のように全体を後方に若干傾斜させるとともに、さらにその上部を水平面方向に所定角屈曲させてくの字状にして並設されている。さらに、クロスフローファン15は、上記空気流通路14の設置形状に対応して、上記メッシュフィン熱交換器10の下部背後に位置して配設されている。
【0009】そして、冷暖房時には、上記クロスフローファン15が駆動されると、室内の空気Aは図示矢線のように、空気吸込グリル12から吸い込まれ、エアフィルタ9を経てメッシュフィン熱交換器10に供給されて効率良く熱交換(加熱又は冷却)される。その後、該熱交換された空気流Aは、クロスフローファン15を介して上記空気吹出口13より室内に所定の吹き出し角度で吹き出される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記メッシュフィン熱交換器10は、上述のようにクロスフィンコイルの場合に比べて形状の自由度が大きく、図示のように上部を水平方向後方側に任意に屈曲させることによって熱交換面積を可及的に広く取ることができ、高い伝熱性能と相まってコンパクト化(薄型化および低丈化)が可能となるなどの点でメリットが大きい。
【0011】ところが、上記メッシュフィン熱交換器10の場合、次のような問題が発生している。
【0012】すなわち、メッシュフィンF1,F2・・・Fnそのものは図16および図17に示すように各々網目構造をしているが、伝熱性能を上げるためには該網目の径は一般的に言って小さい方が好ましい。
【0013】ところが、上記空気吸込グリル12から吸込まれる空気中には例えば埃やゴミ、油、煙草のヤニなどの目詰りを生じさせ易い種々の異物が存在する。これらの内、一定の大きさを有するものは上記エアフィルタ9によって一応捕集されるが綿埃などの繊維状の埃や油、ヤニなどは当該エアフィルタ9のみでは必ずしも十分に除去することができない。
【0014】したがって、それらが上記メッシュフィンF1,F2・・・Fn部分まで吸入され同メッシュフィンF1,F2・・・Fnの前後フィン間にブリッジを生じて取れなくなってしまう問題が発生する。そして、運転時間の経過とともに該ブリッジ部の埃の累積量が多くなると、例えば図19に示すように、通風抵抗が増大して送風量が低下し、結局は空調能力の低下を招来することになる。
【0015】
【課題を解決するための手段】本願の請求項1〜10各項記載の発明は、各々上記の問題を解決することを目的としてなされたものであって、それぞれ次のように構成されている。
【0016】(1) 請求項1記載の発明のメッシュフィン熱交換器の構成該メッシュフィン熱交換器は、例えば図1に示すように、伝熱管1,1・・・の両側に複数枚のメッシュフィンF1〜Fnを重合積層してなるメッシュフィン熱交換器10において、上記複数枚のメッシュフィンF1〜Fnの内の相互に隣接するメッシュフィンF1,F2、F2,F3・・・の網目仕様をそれぞれ異ならせて埃の付着を抑制するようになっている。
【0017】(2) 請求項2記載の発明のメッシュフィン熱交換器の構成該メッシュフィン熱交換器は、例えば図7に示すように、上記請求項1記載の発明のメッシュフィン熱交換器の構成における網目仕様の相異が、一方のメッシュフィンを平面方向に所定角回転させることにより相互のメッシュフィンの網目同士の重なりを避けるようにして実現されている。
【0018】(3) 請求項3記載の発明のメッシュフィン熱交換器の構成該メッシュフィン熱交換器は、例えば図12に示すように、上記請求項1記載の発明のメッシュフィン熱交換器の構成における網目仕様の相異が、相互に隣接するメッシュフィンF1,F2、F2,F3・・・の各網目の縦横寸法比を相互に異ならせることにより実現されている。
【0019】(4) 請求項4記載の発明のメッシュフィン熱交換器の構成該メッシュフィン熱交換器は、例えば図10に示すように、伝熱管1,1・・・の両側に複数枚のメッシュフィンF1〜Fnを重合積層してなるメッシュフィン熱交換器10において、相互に隣接するメッシュフィンF1,F2、F2,F3・・・のフィン間クリアランスC1、C2・・・を空気流上流側から下流側にかけて所定の分布パターンを有して異ならせることにより埃の付着を抑制するようになっている。
【0020】(5) 請求項5記載の発明のメッシュフィン熱交換器の構成該メッシュフィン熱交換器は、例えば図10に示すように、上記請求項4記載の発明のメッシュフィン熱交換器の構成における所定の分布パターンが、空気流上流側メッシュフィンのフィン間クリアランスが大きく、他方下流側メッシュフィンのフィン間クリアランスが小さくなるようにして形成されている。
【0021】(6) 請求項6記載の発明のメッシュフィン熱交換器の構成該メッシュフィン熱交換器は、例えば図10、図12、図13に示すように、伝熱管1,1・・・の両側に複数枚のメッシュフィンF1〜Fnを重合積層してなるメッシュフィン熱交換器10において、上記各メッシュフィンF1〜Fnの網目仕様を空気流上流側から下流側にかけて所定の分布パターンを有して異ならせることにより埃の付着を抑制するようになっている。
【0022】(7) 請求項7記載の発明のメッシュフィン熱交換器の構成該メッシュフィン熱交換器は、例えば図12に示すように、上記請求項6記載の発明のメッシュフィン熱交換器の構成における所定の分布パターンが、各メッシュフィンF1〜Fnの網目の寸法を空気流上流側で大きく、下流側で小さくすることにより形成されている。
【0023】(8) 請求項8記載の発明のメッシュフィン熱交換器の構成該メッシュフィン熱交換器は、例えば図13に示すように、伝熱管1,1・・・の両側に複数枚のメッシュフィンF1〜Fnを重合積層してなるメッシュフィン熱交換器10において、上記各メッシュフィンF1〜Fnは、相互に隣接するメッシュフィンF1,F2、F2,F3・・・のフィン間クリアランスC1〜Cnを空気流上流側から下流側にかけて所定の分布パターンを有して異ならせるとともに同各メッシュフィンF1〜Fnの網目仕様を空気流上流側から下流側にかけて所定の分布パターンを有して異ならせることによって埃の付着を抑制するようになっている。
【0024】(9) 請求項9記載の発明のメッシュフィン熱交換器の構成該メッシュフィン熱交換器は、例えば図15に示すように、伝熱管1,1・・・の両側に複数枚のメッシュフィンF1〜Fnを重合積層してなるメッシュフィン熱交換器10において、上記各メッシュフィンF1〜Fnの空気流上流側最前列のメッシュフィンF1の前面に複数本の細線15,15・・・を配設している。
【0025】(10) 請求項10記載の発明のメッシュフィン熱交換器の構成該メッシュフィン熱交換器は、例えば図15に示すように、上記請求項1,2,3,4,5,6,7または8記載の発明のメッシュフィン熱交換器の構成における複数枚のメッシュフィンF1〜Fnの空気流上流側最前列のメッシュフィンF1の前面に複数本の細線15,15・・・を配設している。
【0026】
【作用】したがって、本願の請求項1〜10各項記載の発明のメッシュフィン熱交換器では、上記の構成に対応して各々次のような作用を得ることができる。
【0027】(1) 請求項1記載の発明のメッシュフィン熱交換器の作用該メッシュフィン熱交換器の構成では、上述のように、伝熱管1,1・・・の両側に複数枚のメッシュフィンF1〜Fnを重合積層してなるメッシュフィン熱交換器10において、上記複数枚のメッシュフィンF1〜Fnの内の相互に隣接するメッシュフィンF1,F2、F2,F3・・・の網目仕様をそれぞれ異ならせて埃の付着を抑制するようにしている。
【0028】該構成では、上述のように可能な限り前後のメッシュフィンF1,F2、F2,F3・・・の網目の配置角度・寸法・形状等仕様を変えて、それら各網目辺部の重なりを避けるようにして熱交換器部が構成されているので、網目のズレ量を大きくした場合と同様に各々の網目の角部a,a・・にしか埃の集積がなく、全体としての通風抵抗の増大が小さく、空気の偏流も生じない。従って、熱交換能力の低下も最小限で済むことになる。
【0029】(2) 請求項2記載の発明のメッシュフィン熱交換器の作用該メッシュフィン熱交換器の構成では、上述のように、上記請求項1記載の発明のメッシュフィン熱交換器の構成における網目仕様の相異が、一方のメッシュフィンを平面方向に所定角回転させることにより相互のメッシュフィンの網目同士の重なりを避けるようにして実現されている。
【0030】したがって、網目のズレ量を大きくした場合と同様に各々の網目の角部にしか埃の集積がなく、全体としての通風抵抗の増大が小さく、空気の偏流も生じない。従って、熱交換能力の低下も最小限で済むことになる。
【0031】(3) 請求項3記載の発明のメッシュフィン熱交換器の作用該メッシュフィン熱交換器の構成では、上述のように、上記請求項1記載の発明のメッシュフィン熱交換器の構成における網目仕様の相異が、相互に隣接するメッシュフィンF1,F2、F2,F3・・・の各網目の縦横寸法比を相互に異ならせることにより実現されている。
【0032】したがって、やはり網目のズレ量を大きくした場合と同様に各々の網目の角部にしか埃の集積がなく、全体としての通風抵抗の増大が小さく、空気の偏流も生じない。従って、熱交換能力の低下も最小限で済むことになる。
【0033】(4) 請求項4記載の発明のメッシュフィン熱交換器の作用該メッシュフィン熱交換器の構成では、上述のように、伝熱管1,1・・・の両側に複数枚のメッシュフィンF1〜Fnを重合積層してなるメッシュフィン熱交換器10において、相互に隣接するメッシュフィンF1,F2、F2,F3・・・のフィン間クリアランスC1、C2・・・を空気流上流側から下流側にかけて所定の分布パターンを有して異ならせることにより埃の付着を抑制するようにしている。
【0034】したがって、該構成では、例えば最も埃のつきやすい空気流上流域のフィン間クリアランスを大きくすることなどにより、前後のメッシュフィン相互に網目の重なり部があっても、それらの間の間隔が大きいために繊維状の埃のブリッジが生じないようにすることができ、フィン間クリアランスが一定のものの場合と異なって網目全体に埃が付着して通風抵抗が増大し、偏流を生じるようなことをなくすることが可能となる。
【0035】(5) 請求項5記載の発明のメッシュフィン熱交換器の作用該メッシュフィン熱交換器の構成では、上述のように、上記請求項4記載の発明のメッシュフィン熱交換器の構成における所定の分布パターンが、具体的に空気流上流側メッシュフィンのフィン間クリアランスが大きく、他方下流側メッシュフィンのフィン間クリアランスが小さくなるようにして形成されている。
【0036】すなわち、該構成では、最も埃のつきやすい空気流上流域のフィン間クリアランスが大きく、そのために前後のメッシュフィン相互に網目の重なり部があっても、それらの間の間隔が大きいために繊維状の埃のブリッジが生ぜず、フィン間クリアランスが一定のものの場合と異なって網目全体に埃が付着して通風抵抗が増大し、偏流を生じるようなことがなくなる。
【0037】(6) 請求項6記載の発明のメッシュフィン熱交換器の作用該メッシュフィン熱交換器の構成では、上述のように、伝熱管1,1・・・の両側に複数枚のメッシュフィンF1〜Fnを重合積層してなるメッシュフィン熱交換器10において、上記各メッシュフィンF1〜Fnの網目仕様を空気流上流側から下流側にかけて所定の分布パターンを有して異ならせることにより埃の付着を抑制するようになっている。
【0038】したがって、該構成では、例えば前後のメッシュフィンF1,F2、F2,F3・・・の寸法を所定のパターンで順次小さく行くなどの構成によって可能な限り前後のメッシュフィンF1,F2、F2,F3・・・の網目辺部の重なりを避けるようにして熱交換器部を構成することができ、やはり網目のズレ量を大きくした場合と同様に各々の網目の角部a,a・・にしか埃の集積がないようにでき、全体としての通風抵抗の増大が小さく、空気の偏流も生じない。従って、熱交換能力の低下も最小限で済むようになる。
【0039】(7) 請求項7記載の発明のメッシュフィン熱交換器の作用該メッシュフィン熱交換器の構成では、上述のように、上記請求項6記載の発明のメッシュフィン熱交換器の構成における所定の分布パターンが、各メッシュフィンF1〜Fnの網目の寸法を空気流上流側で大きく、下流側で小さくすることにより形成されている。
【0040】すなわち、該構成では、空気流上流側から下流側にかけての各メッシュフィンF1,F2・・・Fnの網目寸法を大きいものから小さいものに網目辺が重ならないように小さくして行くようになっており、空気流上流側のメッシュフィンF1,F2のみの角部a,a・・に集中的に埃が付着することを防止できるようになるとともに各網目部の重なりが少なくなることにより、網目部全体への埃の付着も併せて抑制することができるようになる。
【0041】したがって、より有効に通風抵抗の増大および偏流の発生を防止することができるようになる。
【0042】(8) 請求項8記載の発明のメッシュフィン熱交換器の作用該メッシュフィン熱交換器の構成では、上述のように、伝熱管1,1・・・の両側に複数枚のメッシュフィンF1〜Fnを重合積層してなるメッシュフィン熱交換器10において、上記各メッシュフィンF1〜Fnは、相互に隣接するメッシュフィンF1,F2、F2,F3・・・のフィン間クリアランスC1〜Cnを空気流上流側から下流側にかけて所定の分布パターンを有して異ならせるとともに同各メッシュフィンF1〜Fnの網目仕様を空気流上流側から下流側にかけて所定の分布パターンを有して異ならせることによって埃の付着を抑制するようになっている。
【0043】すなわち、該構成では、例えば熱交換器モジュールの各メッシュフィンF1〜Fnのフィン間クリアランスを埃が多くつく空気流上流側が大きくなる一方、埃の付きにくい下流側のフィン間のクリアランスを小さくなるような配置にすることによって前後のメッシュフィンの網目辺重なり部での埃のブリッジを抑制するようになっている。
【0044】したがって、最も埃のつきやすい空気流上流域のフィン間クリアランスが大きく、そのために前後のメッシュフィン相互の網目に重なり部があっても、それらの間の間隔が大きいために繊維状の埃のブリッジが生ぜず、フィン間クリアランスが一定のものの場合と異なり網目全体に埃が付着して通風抵抗が増大し、偏流を生じるようなことがなくなる。
【0045】(9) 請求項9記載の発明のメッシュフィン熱交換器の作用該メッシュフィン熱交換器の構成では、上述のように、伝熱管1,1・・・の両側に複数枚のメッシュフィンF1〜Fnを重合積層してなるメッシュフィン熱交換器10において、上記各メッシュフィンF1〜Fnの空気流上流側最前列のメッシュフィンF1の前面に複数本の細線15,15・・・を配設している。
【0046】メッシュフィン熱交換器の構成において、付着した埃は当該メッシュフィン熱交換器そのものを洗浄することによって取り除くことができるが、該洗浄効果を容易にするためには埃が内側のメッシュフィン部分に入り込まない方が望ましい。
【0047】そこで、該構成では当該メッシュフィン熱交換器の最前列側メッシュフィンF1の前面に例えば左右両端側に延びる複数本の細線15,15・・・を例えば当該メッシュフィンF1の網目寸法よりも小さい間隔で上下方向に並設し、該細線15,15・・・によって可能な限り埃を最前面で捕集するようにしているので、洗浄時の埃の除去が容易となり、洗浄効果が高い。
【0048】(10) 請求項10記載の発明のメッシュフィン熱交換器の作用該メッシュフィン熱交換器の構成では、上述のように、上記請求項1,2,3,4,5,6,7または8記載の発明のメッシュフィン熱交換器の構成における複数枚のメッシュフィンF1〜Fnの空気流上流側最前列のメッシュフィンF1の前面に複数本の細線15,15・・・を配設しており、該細線15,15・・・によってメッシュフィンに付着する埃を当該メッシュフィンF1の最前面で捕集するようにしているので、上記請求項1,2,3,4,5,6,7または8記載の発明の作用に加えて、さらに洗浄時の埃の除去が容易となり、洗浄効果が高くなる作用が得られる。
【0049】
【発明の効果】以上の結果、本願発明のメッシュフィン熱交換器によると、運転時間の経過による通風抵抗の増大量が小さく、長期に亘って良好な熱交換性能を維持することができるようになり、空気調和機用の熱交換器としてメッシュフィン熱交換器本来の高い熱交換性能をより有効に発揮させることができる。
【0050】
【実施例】
(実施例1)図1〜図6は、本願発明の実施例に係るメッシュフィン熱交換器の構成および同メッシュフィン熱交換器の構成と対比するメッシュフィン熱交換器の構成を示している。
【0051】今、前述のようなメッシュフィン熱交換器モジュール(図16の2A〜2C)の上流側メッシュフィンF1部分への埃(繊維状のもの)の付着状況を分析して見ると、例えば図2〜図5のようであった。
【0052】すなわち、先ず図2及び図3のように、熱交換器モジュールの前後に積層した前列側メッシュフィンF1,F2間の網目のズレ量が大きい場合には各網目の角部(交叉部)a,a・・から付着が進んで行くが、他方図4R>4および図5に示すように、上記網目のス量が小さい場合には上記各網目の角部a,a・・以外にも前後のメッシュフィンF1,F2の網目辺同士での埃のブリッジが発生して、例えば図6に示すように網目全体に多量の埃が付着して行って目詰りが早まり、通風抵抗の増大と空気流の偏流を招く。
【0053】このような問題を解決するには、例えば上記メッシュフィンF1,F2・・・Fnの全ての網目が、例えば図2および図3に示すような状態で空気流の上流側から下流側流れ方向に完全に交互になるようにして配置すれば良いわけであるが、そのようにすることはメッシュフィン外径寸法や材料コスト等の関係から言って実際には採用することができない。
【0054】そこで、本実施例では、例えば図1に示すように、前後のメッシュフィンF1,F2の網目の何れか一方を90度平面方向に回転させて配置することにより、各網目辺同士の重なりを可能な限り少なくして上述のような埃の付着量を角部a,a・・のみに抑制するように構成している。
【0055】該構成では、上述のように可能な限り前後のメッシュフィンF1,F2の網目辺の重なりを避けるようにして図16のような熱交換器モジュール2A〜2Cが構成されているので、上記図2および図3の網目のズレ量を大きくした場合と同様に各々のメッシュフィンF1,F2・・・Fnの網目の角部a,a・・にしか埃の集積がなく、全体としての通風抵抗の増大が小さく、空気の偏流も生じない。従って、図6のような場合と異なり、熱交換能力の低下も最小限で済むことになる。
【0056】(実施例2)図7〜図9は、本願発明の実施例2に係るメッシュフィン熱交換器の構成および同メッシュフィン熱交換器と対比するメッシュフィン熱交換器の構成を示している。
【0057】本実施例では、例えば図8に示すようなメッシュフィンF1,F2・・・Fnの網目の縦寸法Swと横寸法Lwの比を、図7に示すように相互に隣接する前後のもので変えて交互に配置するようにしたことを特徴とするものである。
【0058】すなわち、今図示の例では、例えば前列側メッシュフィンF1の縦寸法SwがSw=2cm、横寸法LwがLw=6cmに設定される一方、後列側メッシュフィンF2の縦寸法SwがSw=2cm、横寸法LwがLw=4cmに設定され、これらをペアとして複数個空気流上流側から下流側に所定ピッチで配列して構成されている。
【0059】該構成では、上述のように前後のメッシュフィンF1,F2、F2,F3・・・Fn−1,Fnの網目の縦横比を相互に異ならせることによって可能な限り前後のメッシュフィンF1,F2、F2,F3・・・Fn−1,Fnの網目辺の重なりを避けるように熱交換器モジュールが構成されているので、やはり上記図2および図3の網目のズレ量を大きくした場合と同様に各々網目の角部a,a・・にしか埃の集積がなく、全体としての通風抵抗の増大が小さく、空気の偏流も生じない。従って、熱交換能力の低下も最小限で済むようになる。
【0060】(実施例3)図10および図11は、本願発明の実施例3に係るメッシュフィン熱交換器の構成および同メッシュフィン熱交換器と対比するメッシュフィン熱交換器の構成を示している。
【0061】本実施例では、例えば図16に示すようなメッシュフィン熱交換器モジュール2A〜2Cの各メッシュフィンF1〜Fnのフィン間クリアランスC1,C2・・・Cnを埃が多くつく空気流上流側ほど大きく取る一方、埃の付きにくい下流側のフィン間のクリアランスを小さくして配置することによって可能な限り前後のメッシュフィンF1,F2、F2,F3・・・Fn−1,Fnの網目辺重なり部での埃のブリッジ(図4および図5参照)を抑制するようにしたことを特徴とするものである。
【0062】該構成では、最も埃のつきやすい空気流上流域のフィン間クリアランスC1,C2・・・が大きく、そのために前後のメッシュフィンF1,F2・・・相互に網目の重なり部があっても、それらの間の間隔が大きいために前述した図4および図5のような繊維状の埃のブリッジが生じにくくなり、従って例えば図11のようなフィン間クリアランスCが一定のものの場合と異なり図6R>6のように網目全体に埃が付着して通風抵抗が増大し、偏流を生じるようなことがなくなる。
【0063】(実施例4)図12は、本願発明の実施例4に係るメッシュフィン熱交換器の構成を示している。
【0064】上記実施例1および2のメッシュフィン熱交換器の構成では、各メッシュフィンF1,F2・・・Fn間の網目辺の重なり部の埃の付着は抑制できるが角部a,a・・への埃の付着は必ずしも十分に抑制することができない問題が残されている。
【0065】そこで、本実施例では、例えば図12に示すように図16のような各熱交換器モジュール2A〜2Cの空気流上流側から下流側にかけての各メッシュフィンF1,F2・・・Fnの網目寸法を順次大きいものから小さいものに所定の分布パターンで変化するようにし、しかもそれらの縦横寸法比を次第に網目辺が重ならないように変化させて行って配置構成したことを特徴とするものである。
【0066】該構成によると、空気流上流側のメッシュフィンF1,F2・・のみの網目の角部a,a・・に図2のように集中的に埃が付着することを防止できるようになるとともに上記実施例2の場合と同様に網目部の重なりが少なくなるので、図6のような網目部全体への埃の付着も併せて抑制することができるようになる。
【0067】したがって、より有効に通風抵抗の増大および偏流の発生を防止することができるようになる。
【0068】(実施例5)図13は、本願発明の実施例5に係るメッシュフィン熱交換器の構成を示している。
【0069】本実施例は、図示の如く上記実施例3の構成と同様に各メッシュフィンF1〜Fnの空気流上流側ほどフィン間クリアランス(フィンピッチ)Cを大きくして網目辺への埃の付着による目詰りを抑制するとともに、上記実施例4と同様に上流側から下流側にかけて網目の絶対寸法(開口面積)を所定の分布パターンで大きいものから次第に小さくして行く一方、各網目の縦横寸法比を大きく(縦小、横大)して行って同じく網目辺の重なりによるブリッジ化による埃の付着量を抑制するようにし、より有効にメッシュ部全体への埃の付着量を低減する一方、それらの組合せによって、さらに図示のように冷房運転時に発生するドレン水の保持力をも高くするようにして水飛び現象の発生をも併せて防止するようにしたことを特徴とするものである。
【0070】該構成によると、上記実施例3,4以上に、より効果的に埃による目詰りが防止されて一層熱交換性能の向上が可能になるとともに冷房運転時の水飛び現象が生じにくくなるので、空気調和機用熱交換器として特に最適のものとなる。
【0071】(実施例6)図14は、本願発明の実施例6に係るメッシュフィン熱交換器の構成を示している。
【0072】本実施例のメッシュフィン熱交換器10は、上記実施例5の構成によるメッシュフィン熱交換器モジュール2A,2B,2Cをそれぞれ円弧状に屈曲させて山形に設置するように構成したことを特徴とするものである。
【0073】該構成では、上記実施例5のメッシュフィン熱交換器と同様の作用効果に加えて、さらに上部側の水平面に近くなる円弧部頂部に滞留しやすい水滴も円弧状のメッシュフィンF1,F2・・・部の水滴ガイド機能によって左右両端側2方向により効果的に速かに排出されるようになる。
【0074】従って、水滴の排出効果も一層高くなり、通風抵抗も低下して熱交換性能がより一層向上する。
【0075】(実施例7)ところで、上記実施例1〜6の各メッシュフィン熱交換器の構成において、付着した埃は当該熱交換器そのものを洗浄することによって取り除くことができるが、該洗浄効果を容易にするためには埃が内側のメッシュフィンF2,F3・・・部分に入り込まない方が望ましい。
【0076】そこで、本実施例では例えば図15に示すようにメッシュフィン熱交換器モジュール2の最前列側メッシュフィンF1の前面に左右両端側に延びる相互に平行な複数本の細線15,15・・・をメッシュフィンF1の網目寸法(縦寸法)よりも小さい間隔で上下方向に並設して構成されており、該細線15,15・・・によって可能な限り埃を捕集して内側のメッシュフィンF2,F3・・・内に入り込ませないようにすることによって洗浄時の埃の除去を容易にしている。
【0077】この場合、メッシュフィン熱交換器モジュール2自体の構成は、上述の実施例1〜6の何れの構造のものであってもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本願発明の実施例1に係るメッシュフィン熱交換器のメッシュフィン部分の構成を示す要部の正面図である。
【図2】図2は、メッシュフィン熱交換器の問題点の解決例を示すメッシュフィン部分の一部拡大正面図である。
【図3】図3は、同メッシュフィン部の縦断面図である。
【図4】図4は、メッシュフィン熱交換器の問題点を説明するためのメッシュフィン部分の一部拡大正面図である。
【図5】図5は、同図4のメッシュフィン部分の縦断面図である。
【図6】図6は、図4の構成のメッシュフィン熱交換器のメッシュフィン部における全体的な埃の付着状態を示す同メッシュフィン部の正面図である。
【図7】図7は、本願発明の実施例2に係るメッシュフィン熱交換器のメッシュフィン部の構成を示す正面図である。
【図8】図8は、同メッシュフィン部の網目の寸法を示す網目部の拡大正面図である。
【図9】図9は、図7のメッシュフィン熱交換器の特徴を対比するメッシュフィン熱交換器のメッシュフィン部の正面図である。
【図10】図10は、本願発明の実施例3に係るメッシュフィン熱交換器の構成を示す斜視図である。
【図11】図11は、同メッシュフィン熱交換器の特徴を対比する従来のメッシュフィン熱交換器の構成を示す斜視図である。
【図12】図12は、本願発明の実施例4に係るメッシュフィン熱交換器の各メッシュフィン部分の網目寸法関係を示す説明図である。
【図13】図13は、本願発明の実施例5に係るメッシュフィン熱交換器の構成を示す側面図である。
【図14】図14は、本願発明の実施例6に係るメッシュフィン熱交換器の構成を示す側面図である。
【図15】図15は、本願発明の実施例7に係るメッシュフィン熱交換器の構成を示す斜視図である。
【図16】図16は、従来一般のメッシュフィン熱交換器の熱交換器モジュール構造を示す斜視図である。
【図17】図17は、同熱交換器モジュールのメッシュフィン網目部の拡大正面図である。
【図18】図18は、同従来のメッシュフィン熱交換器を使用した壁掛け型空気調和機の縦断面図である。
【図19】図19は、同空気調和機の運転時間の経過と風量変化の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1は伝熱管、2,2A,2B,2Cはメッシュフィン熱交換器モジュール、F1〜Fnはメッシュフィン、aは角部である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 伝熱管(1),(1)・・・の両側に複数枚のメッシュフィン(F1)〜(Fn)を重合積層してなるメッシュフィン熱交換器(10)において、相互に隣接するメッシュフィン(F1),(F2)、(F2),(F3)・・・の網目仕様を異ならせることにより埃の付着を抑制するようにしたことを特徴とするメッシュフィン熱交換器。
【請求項2】 網目仕様の相異は、一方のメッシュフィンを平面方向に所定角回転させることにより相互のメッシュフィンの網目の重なりを避けるようにして実現されていることを特徴とする請求項1記載のメッシュフィン熱交換器。
【請求項3】 網目仕様の相異は、相互に隣接するメッシュフィン(F1),(F2)、(F2),(F3)・・・の各網目の縦横寸法比を相互に異ならせることにより実現されていることを特徴とする請求項1記載のメッシュフィン熱交換器。
【請求項4】 伝熱管(1),(1)・・・の両側に複数枚のメッシュフィン(F1)〜(Fn)を重合積層してなるメッシュフィン熱交換器(10)において、相互に隣接するメッシュフィン(F1),(F2)、(F2),(F3)・・・のフィン間クリアランス(C1)、(C2)・・・を空気流上流側から下流側にかけて所定の分布パターンを有して異ならせることにより埃の付着を抑制するようにしたことを特徴とするメッシュフィン熱交換器。
【請求項5】 所定の分布パターンは、空気流上流側メッシュフィンのフィン間クリアランスが大きく、下流側メッシュフィンのフィン間クリアランスが小さくなっていることを特徴とする請求項4記載のメッシュフィン熱交換器。
【請求項6】 伝熱管(1),(1)・・・の両側に複数枚のメッシュフィン(F1)〜(Fn)を重合積層してなるメッシュフィン熱交換器(10)において、上記各メッシュフィン(F1)〜(Fn)の網目仕様を空気流上流側から下流側にかけて所定の分布パターンを有して異ならせることにより埃の付着を抑制するようにしたことを特徴とするメッシュフィン熱交換器。
【請求項7】 所定の分布パターンは、各メッシュフィン(F1)〜(Fn)の網目の寸法を空気流上流側で大きく、下流側で小さくすることにより形成されていることを特徴とする請求項6記載のメッシュフィン熱交換器。
【請求項8】 伝熱管(1),(1)・・・の両側に複数枚のメッシュフィン(F1)〜(Fn)を重合積層してなるメッシュフィン熱交換器(10)において、上記各メッシュフィン(F1)〜(Fn)は、相互に隣接するメッシュフィン(F1),(F2)、(F2),(F3)・・・のフィン間クリアランス(C1),(C2)・・・を空気流上流側から下流側にかけて所定の分布パターンを有して異ならせるとともに同各メッシュフィン(F1),(F2)・・・の網目仕様を空気流上流側から下流側にかけて所定の分布パターンを有して異ならせることによって埃の付着を抑制するようになっていることを特徴とするメッシュフィン熱交換器。
【請求項9】 伝熱管(1),(1)・・・の両側に複数枚のメッシュフィン(F1)〜(Fn)を重合積層してなるメッシュフィン熱交換器(10)において、上記各メッシュフィン(F1)〜(Fn)の空気流上流側最前列のメッシュフィン(F1)の前面に複数本の細線(15),(15)・・・を配設したことを特徴とするメッシュフィン熱交換器。
【請求項10】 複数枚のメッシュフィン(F1)〜(Fn)の空気流上流側最前列のメッシュフィン(F1)の前面に複数本の細線(15),(15)・・・を配設したことを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7又は8記載のメッシュフィン熱交換器。
【請求項1】 伝熱管(1),(1)・・・の両側に複数枚のメッシュフィン(F1)〜(Fn)を重合積層してなるメッシュフィン熱交換器(10)において、相互に隣接するメッシュフィン(F1),(F2)、(F2),(F3)・・・の網目仕様を異ならせることにより埃の付着を抑制するようにしたことを特徴とするメッシュフィン熱交換器。
【請求項2】 網目仕様の相異は、一方のメッシュフィンを平面方向に所定角回転させることにより相互のメッシュフィンの網目の重なりを避けるようにして実現されていることを特徴とする請求項1記載のメッシュフィン熱交換器。
【請求項3】 網目仕様の相異は、相互に隣接するメッシュフィン(F1),(F2)、(F2),(F3)・・・の各網目の縦横寸法比を相互に異ならせることにより実現されていることを特徴とする請求項1記載のメッシュフィン熱交換器。
【請求項4】 伝熱管(1),(1)・・・の両側に複数枚のメッシュフィン(F1)〜(Fn)を重合積層してなるメッシュフィン熱交換器(10)において、相互に隣接するメッシュフィン(F1),(F2)、(F2),(F3)・・・のフィン間クリアランス(C1)、(C2)・・・を空気流上流側から下流側にかけて所定の分布パターンを有して異ならせることにより埃の付着を抑制するようにしたことを特徴とするメッシュフィン熱交換器。
【請求項5】 所定の分布パターンは、空気流上流側メッシュフィンのフィン間クリアランスが大きく、下流側メッシュフィンのフィン間クリアランスが小さくなっていることを特徴とする請求項4記載のメッシュフィン熱交換器。
【請求項6】 伝熱管(1),(1)・・・の両側に複数枚のメッシュフィン(F1)〜(Fn)を重合積層してなるメッシュフィン熱交換器(10)において、上記各メッシュフィン(F1)〜(Fn)の網目仕様を空気流上流側から下流側にかけて所定の分布パターンを有して異ならせることにより埃の付着を抑制するようにしたことを特徴とするメッシュフィン熱交換器。
【請求項7】 所定の分布パターンは、各メッシュフィン(F1)〜(Fn)の網目の寸法を空気流上流側で大きく、下流側で小さくすることにより形成されていることを特徴とする請求項6記載のメッシュフィン熱交換器。
【請求項8】 伝熱管(1),(1)・・・の両側に複数枚のメッシュフィン(F1)〜(Fn)を重合積層してなるメッシュフィン熱交換器(10)において、上記各メッシュフィン(F1)〜(Fn)は、相互に隣接するメッシュフィン(F1),(F2)、(F2),(F3)・・・のフィン間クリアランス(C1),(C2)・・・を空気流上流側から下流側にかけて所定の分布パターンを有して異ならせるとともに同各メッシュフィン(F1),(F2)・・・の網目仕様を空気流上流側から下流側にかけて所定の分布パターンを有して異ならせることによって埃の付着を抑制するようになっていることを特徴とするメッシュフィン熱交換器。
【請求項9】 伝熱管(1),(1)・・・の両側に複数枚のメッシュフィン(F1)〜(Fn)を重合積層してなるメッシュフィン熱交換器(10)において、上記各メッシュフィン(F1)〜(Fn)の空気流上流側最前列のメッシュフィン(F1)の前面に複数本の細線(15),(15)・・・を配設したことを特徴とするメッシュフィン熱交換器。
【請求項10】 複数枚のメッシュフィン(F1)〜(Fn)の空気流上流側最前列のメッシュフィン(F1)の前面に複数本の細線(15),(15)・・・を配設したことを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7又は8記載のメッシュフィン熱交換器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図14】
【図17】
【図18】
【図13】
【図15】
【図16】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図14】
【図17】
【図18】
【図13】
【図15】
【図16】
【図19】
【公開番号】特開平8−261677
【公開日】平成8年(1996)10月11日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−60610
【出願日】平成7年(1995)3月20日
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【公開日】平成8年(1996)10月11日
【国際特許分類】
【出願日】平成7年(1995)3月20日
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
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