説明

メディア位置決め装置

【課題】メディアを拘束しながら位置決めでき、メディアを位置決めするための別のゲージング機構に受け渡す動作を削除することでメディアの擦れによるメディアからの微細な塵の発生を少なくして、微細な塵によるメディアの汚染を軽減できるメディア位置決め装置を提供する。
【解決手段】メディアMの開口部H内に挿入されて互いに離れる方向に開くことで開口部Hの周辺部分37をメディアMの軸方向Xに誘い込むテーパ形状部分21B、22Bを有する複数のチャックハンド21,22を備えるチャック部10と、テーパ形状部分により軸方向に誘い込まれたメディアMを当接させて、テーパ形状部分21B、22Bとの間で軸方向について拘束してメディアMを拘束して位置決めをするメディア当接面39を有するステージ11を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メディア位置決め装置に関し、特にメディアケース内のメディアを軸方向に拘束して位置決めするメディア位置決め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
円盤状のメディアは、光ディスクや光磁気ディスクであり、中心部に円形の開口部を有している。メディアを製品に挿入して組み付ける工程では、この種のメディアは複数枚のメディアをメディアケースから取り出して、例えばメディア再生装置のような製品側に挿入する。従来の組み付け工程では、メディアはメディア取り出しユニットのチャック機構で把持してメディアケースから取り出して、メディアをメディアゲージングユニットへ受け渡す。そして、ゲージングユニットからメディアを挿入ヘッドに受け渡して、その後挿入ヘッドから製品側に挿入するようになっている。
【0003】
また、特許文献1には、メディア保管部にストックされているメディアが、メディア搬送機構の搬送アームにより把持してメディアドライブ側に搬送されるようになっている。この搬送アームでは、3本の円柱状の把持爪がメディアの中心の開口部に挿入されて、これらの把持爪が開口部の径方向に広げて開口部の内周面に押し付けてメディアを搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008―97670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のメディアの組み付け工程では、メディア取り出しユニットとメディアゲージングユニットは分離して配置されており、これらのメディア取り出しユニットとメディアゲージングユニット間でのメディアの受け渡し動作時には、メディアの取り出しミスによる装置の停止やメディアの破損が生じることがある。また、メディアの開口部の内周部分とメディアゲージングユニットとの擦れが発生する。この擦れが発生すると微細な塵が生じるのでメディアが汚染されるおそれがある。このように、メディア取り出しユニットとメディアゲージングユニットは分離して配置されており複数のユニットが必要であり、メディアの中心の開口部の内周部分とメディアゲージングユニットとの擦れを低減するための様々な追加の機構が必要となり構造が複雑であり設備コストが大きい。
【0006】
また、特許文献1に記載のメディアを搬送する機構では、構造が複雑であり、3本の円柱状の把持爪がメディアの中心穴に挿入されて、円柱状の把持爪が開口部の径方向に広げて中心穴の内周面に押し付けてメディアを保持するだけであるので、メディアをメディアの軸方向に関して正確に位置決めすることができない。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、メディアを拘束しながら位置決めでき、メディアを拘束した状態からメディアを位置決めするための別のゲージング機構に受け渡す動作を削除することでメディアの擦れによるメディアからの微細な塵の発生を少なくして、微細な塵によるメディアの汚染を軽減できるメディア位置決め装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のメディア位置決め装置は、メディアケースに収容された円盤状のメディアを拘束して位置決めするメディア位置決め装置であって、
前記メディアの開口部内に挿入されて互いに離れる方向に開くことで前記開口部の周辺部分を前記メディアの軸方向に誘い込むテーパ形状部分を有する複数のチャックハンドを備えるチャック部と、
前記テーパ形状部分により前記軸方向に誘い込まれた前記メディアを当接させて、前記テーパ形状部分との間で前記メディアを前記軸方向について拘束して位置決めをするメディア当接面を有するステージと、
を備えることを特徴とする。上記構成によれば、メディアを拘束しながら位置決めでき、メディアを拘束した状態からメディアを位置決めするための別のゲージング機構に受け渡す動作を削除することでメディアの擦れによるメディアからの微細な塵の発生を少なくして、微細な塵によるメディアの汚染を軽減できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、メディアを拘束しながら位置決めでき、メディアを拘束した状態からメディアを位置決めするための別のゲージング機構に受け渡す動作を削除することでメディアの擦れによるメディアからの微細な塵の発生を少なくして、微細な塵によるメディアの汚染を軽減できるメディア位置決め装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のメディア位置決め装置の実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示すメディアMとメディアケースを省いた状態のメディア位置決め装置を示しており、図2(A)は電動チャックが閉じた状態を示し、図2(B)は電動チャックが開いた状態を示す図である。
【図3】メディアMが電動チャックにより拘束するとともに位置決めされている状態を示す側面図である。
【図4】第1チャックハンドと第2チャックハンドの開閉動作を示す図である。
【図5】メディア位置決め装置がメディアケース内から上昇してとり出された後に、第1チャックハンドと第2チャックハンドと左右のステージからなる旋回構造体を水平状態から垂直状態に90度回転する様子を示す図である。
【図6】搬送ハンドの挿入ヘッドとメディアの挿入対象物である製品の例を示す斜視図である。
【図7】第1チャックハンドと第2チャックハンドは閉じており、第1チャックハンドと第2チャックハンドがメディアMを拘束する前の状態を示す斜視図である。
【図8】第1チャックハンドと第2チャックハンドは開いており、第1チャックハンドと第2チャックハンドがメディアMを拘束した状態を示す斜視図である。
【図9】拘束されたメディアMを垂直状態から水平状態に90度、姿勢変更した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明のメディア位置決め装置の実施形態を示している。
【0013】
図1に示すメディア位置決め装置1は、メディアケース2内に収容されているメディアMを1枚ずつ拘束してメディアMの軸方向に沿って位置決めする機能を有している。
【0014】
メディアケース2は、例えばプラスチック製のケースであり、複数枚のメディアMを並べて収納することができる。メディアケース2は、端部3と両側の側面部4と内側のメディア受け部6と底部7を有しており、T方向に沿って長く形成されている。メディアケース2の上部には、長方形状の開口部5が形成されている。
【0015】
メディアケース2内では、複数枚のメディアMの外周囲部はメディア受け部6により保持され、複数枚のメディアMは、S方向に沿って直立した状態で収納されている。T方向とS方向は直交しており、T方向は水平方向で、S方向は垂直方向である。メディアMは、例えば光ディスクであるが、特に種類は限定されない。メディアMは円盤状の部材であり、メディアMの中央部には円形状の開口部Hを有している。開口部Hは、中心穴とも呼ぶことができる。
【0016】
なお、図1では、メディアケース2内に収納されたメディアMの直径方向がY方向であり、Y方向と直交する方向がX方向で、X方向とY方向に直交する方向がZ方向である。Z方向は垂直方向であり、上方向がZ2方向で下方向がZ1方向である。
【0017】
図1に示すメディア位置決め装置1は、メディア取り出し位置決め装置ともいい、本体部9と、チャック部としての電動チャック10と、一対のステージ11を有している。本体部9は、電動チャック10とステージ11を保持しており、本体部9と電動チャック10とステージ11は、メディアケース2の開口部5からメディアケース2内にZ1方向に挿入され、しかもメディアケース2内から取り出すことができる大きさになっている。
【0018】
本体部9は、モータと送りねじのような構成の駆動部19によりX方向に移動可能であり、しかもZ方向にも移動可能になっている。これにより、メディア位置決め装置1は、メディアケース2内でX方向に移動して位置決めでき、しかもメディアケース2内から上昇してメディアケース2内から取り出すことができるようになっている。X方向はT方向と平行であり、S方向はZ方向と平行である。
【0019】
図2は、図1に示すメディアMとメディアケース2の図示を省いた状態のメディア位置決め装置1を示しており、図2(A)は電動チャック10が閉じた状態を示し、図2(B)は電動チャック10が開いた状態を示している。図3は、メディアMが電動チャック10により拘束するとともに位置決めされている状態を示す側面図である。
【0020】
図1と図2に示すように、電動チャック10は、上側の第1チャックハンド21と、下側の第2チャックハンド22を有している。第1チャックハンド21と第2チャックハンド22は、図2(A)に示すように、チャック動作のセンター線Lに対して上下対称形状を有している。チャック動作のセンター線LはY方向と平行であり、図3に示すように、後で説明する傾斜開始点(傾斜の開始位置に相当)P1に対応する位置にある。
【0021】
図2(A)と図3に示すように、第1チャックハンド21は、ほぼ扇型の正面部21Aと、第1テーパ形状部分21Bと、第1円筒部分21Cを有している。第1円筒部分21Cは第1テーパ形状部分21Bに連続して形成されている。同様にして、第2チャックハンド22は、ほぼ扇型の正面部22Aと、第2テーパ形状部分22Bと、第2円筒部分22Cを有している。第2円筒部分22Cは第2テーパ形状部分22Bに連続して形成されている。
【0022】
図4は、第1チャックハンド21と第2チャックハンド22の開閉動作を示しており、図4(A)では第1チャックハンド21と第2チャックハンド22がチャック動作のセンター線L寄りに近づいて閉じている状態を示す側面図であり、図4(B)では第1チャックハンド21と第2チャックハンド22がチャック動作のセンター線Lから互いに離れるZ2方向とZ1方向に開いた状態を示している。
【0023】
図4(A)に示す第1チャックハンド21と第2チャックハンド22がチャック動作のセンター線L寄りに閉じた状態では、第1チャックハンド21と第2チャックハンド22の形成する最大直径D1は、メディアMの開口部Hの直径Dよりも小さく設定されている。これにより、第1チャックハンド21と第2チャックハンド22がチャック動作のセンター線L寄りに閉じた状態では、第1チャックハンド21と第2チャックハンド22はメディアMの開口部Hに通すことができる。
【0024】
これに対して、図4(B)に示す第1チャックハンド21と第2チャックハンド22がチャック動作のセンター線Lから互いに離れた状態では、第1チャックハンド21と第2チャックハンド22の形成する最大直径D2は、メディアMの開口部Hの直径Dよりも大きく設定されている。これにより、第1チャックハンド21と第2チャックハンド22がチャック動作のセンター線Lから離れるようにして開いた状態では、メディアMは、第1テーパ形成部分21Bと第2テーパ形成部分22Bにより拘束できる。
【0025】
図4に示す電動チャック10は、駆動部30を有している。この駆動部30は、第1チャックハンド21と第2チャックハンド22を図4(A)に示す閉じた状態から図4(B)に示す開いた状態にし、逆に図4(B)に示す開いた状態から図4(A)に示す閉じた状態にするために設けられている。
【0026】
第1チャックハンド21は連結部28に固定され、第2チャックハンド22は連結部29に固定されている。駆動部30は第1アクチュエータ31と第2アクチュエータ32を有しており、第1アクチュエータ31は連結部28に連結され、第2アクチュエータ32は連結部29に連結されている。第1アクチュエータ31と第2アクチュエータ32は制御部100の指令により動作する。
【0027】
これにより、第1アクチュエータ31と第2アクチュエータ32がZ方向に動作することで、第1チャックハンド21と第2チャックハンド22を図4(A)に示す閉じた状態から図4(B)に示す開いた状態にすることができ、逆に第1チャックハンド21と第2チャックハンド22を図4(B)に示す開いた状態から図4(A)に示す閉じた状態にすることができる。
【0028】
次に、図2に戻って、左右のステージ11,11の構造について説明する。
【0029】
図2(A)に示すように、左右のステージ11,11は、第1チャックハンド21と第2チャックハンド22の外側の周囲に配置されており、例えばほぼ円弧状の断面を有する部材である。第1チャックハンド21と第2チャックハンド22は、中心線L1に関して左右対称形状を有している。この中心線L1は、チャック動作のセンター線Lと直交している。第1アクチュエータ31と第2アクチュエータ32の開閉動作は、左右のステージ11,11との隙間において行うことができる。
【0030】
図2(A)と図3に示すように、左右のステージ11,11は、それぞれ先端面であるメディア当接面39を有している。図3に示すように、第1チャックハンド21の第1テーパ形状部分21Bと第2チャックハンド22の第2テーパ形状部分22Bは、それぞれ傾斜開始点(傾斜の開始位置に相当)P1と傾斜終了点P2を有している。傾斜開始点P1は最も外形寸法が小さく、傾斜終了点P2は傾斜開始点P1に比べて外形寸法が大きい部分である。この傾斜開始点P1とステージ11のメディア当接面39との間の距離は、メディアMの厚み38と一致させている。
【0031】
これにより、メディアMは、図2(A)に示すように第1チャックハンド21と第2チャックハンド22が閉じた状態で第1チャックハンド21と第2チャックハンド22をメディアMの開口部H内に通した後に、図3に示すように第1チャックハンド21と第2チャックハンド22をZ2方向とZ1方向にそれぞれ開くことで、メディアMの開口部Hの周囲部分37は、第1チャックハンド21の第1テーパ部21Bと第2チャックハンド22の第2テーパ部22BによりX1方向に案内されてステージ11のメディア当接面39に当接される。従って、メディアMの開口部Hの周囲部分37は、円筒部分21C、22C上において傾斜開始点(傾斜の開始位置に相当)P1とステージ11のメディア当接面39との間に挟み込んで、X方向(アキシャル方向)に関して正確に拘束できるようになっている。
【0032】
このように、メディアMが拘束される動作では、メディアMの開口部Hの周囲部分37は、第1チャックハンド21の第1テーパ形状部分21Bと第2チャックハンド22の第2テーパ形状部分22BによりX1方向に誘い込むようにして案内できるようになっている。このため、メディアケース2が第1チャックハンド21と第2チャックハンド22に対して多少位置ずれしていたり、メディアケース2内においてメディアMが多少位置ずれしていても、第1チャックハンド21の第1テーパ形状部分21Bと第2チャックハンド22の第2テーパ形状部分22Bは、これらの位置の誤差を吸収しながら、メディアMの周囲部分37を誘い込むことができる。しかも、メディアMの周囲部分37は、円筒部分21C、22C上において傾斜開始点P1とステージ11のメディア当接面39との間で挟み込んで、メディアMの軸方向であるX方向(アキシャル方向)に関して拘束できるようになっている。このため、メディアMの取り出しミスによる装置の停止や、メディアMの破損の頻度を少なくできる。しかも、メディアMは、ステージ11のメディア当接面39に倣うことで、メディアMの姿勢はZ方向に沿って正確に保持できる。
【0033】
第1チャックハンド21の円筒部分21Cの外周形状と第2チャックハンド22の円筒部分22Cの外周形状は、メディアMの開口部Hの内周部分37の形状に合わせてある。すなわち、第1チャックハンド21の円筒部分21Cの曲率と第2チャックハンド22の円筒部分22Cの曲率は、メディアMの開口部Hの内周部分37の形状の曲率に合わせてある。このため、第1チャックハンド21の円筒部分21Cと第2チャックハンド22の円筒部分22Cは、メディアMの内周部分37に対して面で接触することになり、部分的に線接触するよりも、精密にメディアMを位置決めできる。
【0034】
図3に示すようにメディアMが拘束された状態では、図2に示すメディアMのチャック動作のセンターCCにセンターリングされたことなる。
【0035】
図5は、メディア位置決め装置1がメディアケース2内から上昇してとり出された後に、旋回構造体50を水平状態から垂直状態に90度回転する様子を示している。
【0036】
図5(A)に示すように、旋回構造体50は、第1チャックハンド21と第2チャックハンド22と左右のステージ11,11から成る。水平状態の旋回構造体50にはメディアMが既に上述した要領で拘束されている。旋回構造体50は回転軸部51を有しており、制御部100に指令によりアクチュエータ52が作動することで、旋回構造体50は回転軸部51を中心として図5(B)に示すように90度反時計方向に旋回して位置決めできるようになっている。これにより、メディア位置決め装置1がメディアケース2内から上昇してとり出された後に、メディアMはZ方向に沿った垂直の姿勢から、X方向とY方向に沿った水平の姿勢に変更することができる。
【0037】
図6(A)は、搬送ハンド55の挿入ヘッド60を示し、図6(B)は、挿入ヘッド60と製品70の挿入穴71を示している。
【0038】
図6(A)と図6(B)に示す搬送ハンド55は、図5(B)に示すメディア位置決め装置1のメディア当接面39に拘束して精密に位置決めされたメディアMを、図6(B)に示す製品70の装着部分72に対して搬送するための装置である。搬送ハンド55は、挿入ヘッド60を有する。挿入ヘッド60は、図示しない駆動部によりX方向、Y方向、Z方向に移動して位置決め可能である。挿入ヘッド60の下端部には突起状の突起部分61と、リング状のメディアの保持部分62を有している。保持部分62の下側の面(ステージ11と対向する面)でメディアを吸着保持して搬送するようになっている。この突起部分61はリング状の保持部分62と同心円状に形成されている。挿入ヘッド60を下げることにより、突起部分61はメディアの装着対象物である製品70の挿入穴71にはまり込み、メディアの開口部には装着部分72がはまり込むようになっている。製品70としては、メディア再生装置あるいはメディア記録再生装置である。
【0039】
ところで、図9に示すように、第1チャックハンド21は円弧状の内面21Rを有し、第2チャックハンド22は円弧状の内面22Rを有している。円弧状の内面21R、22Rは、第1チャックハンド21の円筒部分21Cと第2チャックハンド22の円筒部分22Cに対して同心円状に配置されている。これらの対向する円弧状の内面21R、22Rは、仮想の穴形状69を形成できる。この仮想の穴形状69は、円筒部分21C、22Cと同心状に形成されている。この仮想の穴形状69の中心は、メディアMのチャック動作のセンターCCと一致している。これにより、円弧状の内面21R、22R、すなわち円弧状の内面21R、22Rが形成する仮想の穴形状69は、メディア位置決め装置1のメディア当接面39に拘束して精密に位置決めされたメディアMを図6に示す挿入ヘッド60に受け渡す際の受け渡し位置の基準として用いることができる。
【0040】
次に、上述したメディア位置決め装置1によるメディアMの位置決め動作を説明する。
【0041】
図7は、第1チャックハンド21と第2チャックハンド22は閉じており、第1チャックハンド21と第2チャックハンド22がメディアMを拘束する前の状態を示す斜視図である。図8は、第1チャックハンド21と第2チャックハンド22は開いており、第1チャックハンド21と第2チャックハンド22がメディアMを拘束した状態を示す斜視図である。図9は、拘束されたメディアMを垂直状態から水平状態に90度、姿勢変更した状態を示している。
【0042】
まず、図1に示すように、メディア位置決め装置1がメディアケース2の開口部5からメディアケース2内に挿入される。この状態では、図7に示すように、電動チャック10の第1チャックハンド21と第2チャックハンド22は互いに近づいて閉じた状態になっている。そして、メディア位置決め装置1の旋回構造体50が、X2方向に前進されることで、図7に示すように第1チャックハンド21と第2チャックハンド22がメディアMの開口部H内に挿入される。
【0043】
次に、図8に示すように、第1チャックハンド21と第2チャックハンド22がそれぞれZ2方向とZ1方向に沿って互いに離れるZ2方向とZ1方向に開くと、図3に示すように、メディアMの開口部Hの周囲部分37は、第1チャックハンド21の第1テーパ形状部分21Bと第2チャックハンド22の第2テーパ形状部分22BによりX1方向に誘い込まれるようにして案内されて、ステージ11のメディア当接面39に当接される。従って、メディアMの周囲部分37は、円筒部分21C、22C上において傾斜開始点P1とステージ11のメディア当接面39との間に挟み込まれて、X方向(アキシャル方向)に関して正確に拘束できるようになっている。
【0044】
このように、メディアMが拘束される動作では、メディアMの開口部Hの周囲部分37は、第1チャックハンド21の第1テーパ形状部分21Bと第2チャックハンド22の第2テーパ形状部分22BによりX1方向に案内されるようになっている。従って、メディアケース2が第1チャックハンド21と第2チャックハンド22に対して多少位置ずれしていたり、メディアケース2内においてメディアMが位置ずれしていても、これらの位置の誤差を吸収しながら、メディアMの周囲部分37は、円筒部分21C、22C上において傾斜開始点P1とステージ11のメディア当接面39との間に挟み込んで、X方向(アキシャル方向)に関して拘束できる。
【0045】
図3と図8に示すようにメディアMが拘束された状態では、図2に示すメディアMのチャック動作のセンターCCにセンターリングされたことなる。
【0046】
次に、図5(A)に示すように、水平状態の旋回構造体50にはメディアMが既に拘束されている。旋回構造体50は、図1に示すメディアケース2内からZ2方向に取り出された後に、制御部100に指令によりアクチュエータ52が作動することで、旋回構造体50は回転軸部51を中心として図5(B)と図9に示すように、90度反時計方向に旋回して位置決めできる。これにより、メディア位置決め装置1がメディアケース2内から上昇して取り出された後に、メディアMはZ方向に沿った垂直の姿勢から、X方向とY方向に沿った水平の姿勢に確実に変更できる。
【0047】
続いて、図9に示す仮想の穴形状69に対して図6に示す挿入ヘッド60の突起部分61を挿入して、図9に示す仮想の穴形状69と図6に示す挿入ヘッド60の突起部分61の位置を合わせることで、メディアMのチャック動作のセンターCCと突起部分61の位置を合わせる。この合わせた状態で、第1チャックハンド21と第2チャックハンド22を互いに近づく方向に閉じることでメディアMを開放して、メディアMを第1チャックハンド21と第2チャックハンド22側から挿入ヘッド60側に受け渡すことができる。
【0048】
その後、図6(B)に示すように、挿入ヘッド60を挿入ヘッド60の突起部分61と製品70の挿入穴71との位置合わせを行い、メディアMを挿入ヘッド60から製品70の装着部分72にはめ込んでメディアMを装着する。
【0049】
以上のようにして、メディアケース2内のメディアMは、メディアケース2内から取り出して拘束して位置決めをした後、挿入ヘッド60を用いて製品70側に装着できる。
【0050】
本発明の実施形態では、電動チャック10の第1チャックハンド21と第2チャックハンド22上にメディアMのゲージング機構(位置決め機構)を持たせることができるので、電動チャック10がメディアMを拘束しながら位置決めでき、別途ゲージング機構を用意する必要がなく設備費を低減できる。従って、メディアMを拘束した状態から別のゲージング機構に受け渡す動作を削除できるので、メディアの擦れによるメディアからの微細な塵の発生を少なくして、微細な塵によるメディアの汚染を軽減できる。
【0051】
本発明の実施形態では、円弧状の内面21R、22Rが形成する仮想の穴形状69は、メディア位置決め装置1のメディア当接面39に拘束して精密に位置決めされたメディアMを図6に示す挿入ヘッド60に受け渡す位置の基準として用いることができる。
【0052】
本発明のメディア位置決め装置では、各前記チャックハンドの前記テーパ形状部分の外形寸法の最も小さい傾斜の開始位置と前記ステージの前記メディア当接面との間の距離を、前記メディアの厚みに合わせてあることを特徴とする。上記構成によれば、メディアの周囲部分は、傾斜の開始位置とステージのメディア当接面との間に挟み込み力を得て、軸方向に関してメディアを拘束できる。
【0053】
本発明のメディア位置決め装置では、各チャックハンドのテーパ形状部分の外形寸法の最も小さい傾斜の開始位置とステージのメディア当接面との間の距離を、メディアの厚みに合わせてあることを特徴とする。上記構成によれば、メディアは、傾斜の開始位置とステージのメディア当接面との間に確実に拘束して位置決めできる。
【0054】
本発明のメディア位置決め装置では、各チャックハンドは、テーパ形状部分に連続して形成された円筒部分を有し、円筒部分の形状は、メディアの開口部の内周部分の形状に合わせて形成されていることを特徴とする。上記構成によれば、チャックハンドの円筒部分は、メディアの内周部分に対して面で接触することになり、部分的に線接触するよりも、精密にメディアを位置決めできる。
【0055】
本発明のメディア位置決め装置では、各チャックハンドは、メディアを搬送ハンド側に受け渡す際に、搬送ハンドの突起部分を挿入してチャンクハンドと搬送ハンドとの位置合わせを行うための円弧状の内面を有することを特徴とする。上記構成によれば、円弧状の内面は、メディア当接面に拘束して精密に位置決めされたメディアを搬送ハンド側に受け渡す際の受け渡し位置の基準として用いることができる。
【0056】
ところで、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、本発明の実施形態における円盤状のメディアとしては、例えば樹脂製の円盤に細かい凹凸を刻んでデータを記録する光ディスクや、光磁気ディスク等であるが、情報の記録方式、情報の再生方式や、メディアの直径の大小には特に限定されない。メディアとしては、光ディスクや光磁気ディスク、ハードディスク等を含む。
【0057】
図示した実施形態では、チャック部としての電動チャック10は、180度反対位置に配置された第1チャックハンド21と第2チャックハンド22を有しているが、チャック部は、例えば120度毎に配置された第1チャックハンド、第2チャックハンド、そして第3チャックハンドを有する構造であっても良い。
【0058】
さらに、本発明の実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成できる。例えば、本発明の実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1・・・メディア位置決め装置、2・・・メディアケース、9・・・本体部、10・・・チャック部としての電動チャック、11・・・ステージ、21・・・第1チャックハンド、21B・・・第1チャックハンドのテーパ形状部分、21R・・・第1チャックハンドの内面、22・・・第2チャックハンド、22B・・・第2チャックハンドのテーパ形状部分、22R・・・第2チャックハンドの内面、37・・・開口部の周辺部分、39・・・ステージのメディア当接面、55・・・搬送ハンド、61・・・搬送ハンドの突起部分、M・・・メディア、H・・・メディアの開口部、P1・・・傾斜開始点(傾斜の開始位置に相当)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メディアケースに収容された円盤状のメディアを拘束して位置決めするメディア位置決め装置であって、
前記メディアの開口部内に挿入されて互いに離れる方向に開くことで前記開口部の周辺部分を前記メディアの軸方向に誘い込むテーパ形状部分を有する複数のチャックハンドを備えるチャック部と、
前記テーパ形状部分により前記軸方向に誘い込まれた前記メディアを当接させて、前記テーパ形状部分との間で前記メディアを前記軸方向について拘束して位置決めをするメディア当接面を有するステージと、
を備えることを特徴とするメディア位置決め装置。
【請求項2】
各前記チャックハンドの前記テーパ形状部分の外形寸法の最も小さい傾斜の開始位置と前記ステージの前記メディア当接面との間の距離を、前記メディアの厚みに合わせてあることを特徴とする請求項1に記載のメディア位置決め装置。
【請求項3】
各前記チャックハンドは、前記テーパ形状部分に連続して形成された円筒部分を有し、前記円筒部分の形状は、前記メディアの前記開口部の前記内周部分の形状に合わせて形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のメディア位置決め装置。
【請求項4】
各前記チャックハンドは、前記メディアを搬送ハンド側に受け渡す際に、前記搬送ハンドの突起部分を挿入して前記チャンクハンドと前記搬送ハンドとの位置合わせを行うための円弧状の内面を有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つの項に記載のメディア位置決め装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate