説明

メディア処理装置、メディア処理装置の制御方法及びそのプログラム。

【課題】複数のLEDの点灯パターンの組み合わせに固有の意味を持たせる場合に、同時に複数のLEDの点灯パターンが変化させることができ、また、点滅タイミングの同期をとりやすくする。
【解決手段】装置の状態を示す複数の表示灯(PowerLED、BusyLED、ErrorLED)を備える表示灯部5と、表示灯部の制御を行うオートローダ制御部102と、オートローダ制御部102に制御コマンドを送信する主制御部101と、を備え、主制御部は、表示灯部の表示灯のうち、指定された複数の表示灯の点灯パターンを同時に変更可能な表示灯同時制御コマンドを生成する表示灯同時制御コマンド生成部101Aを有し、オートローダ制御部は、表示灯同時制御コマンドを、指定された表示灯の表示パターンを同時に変更する制御信号に変換する表示灯同時制御コマンド変換部102Aを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
メディア処理装置、メディア処理装置の制御方法及びそのプログラムに関し、特に、複数の表示灯に同時に表示制御を行うメディア処理装置、メディア処理装置の制御方法及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多数枚のブランクCD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)等のメディア(情報記録媒体)にデータの書き込みとレーベル印刷を行うメディア処理装置が用いられつつある。この種のメディア処理装置としては、円板状のメディアを積層状態で収容するメディアスタッカ(メディア収容部)、メディアへデータを書き込むメディアドライブ及びメディアのレーベル面に印刷を施すレーベルプリンタ(メディア処理部)、これらメディア処理部(メディアドライブやレーベルプリンタ)に対してメディアを保持して搬送するメディア搬送機構を備えたものが知られている。
【0003】
このようなメディア処理装置には、装置の状態表示は表示灯で行われている。例えば、特許文献1に開示されたメディア処理装置では、表示灯である複数のLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)を所定の点灯パターンで発光(点灯または点滅)させて、各メディアスタッカの状態を表示する。
【0004】
上記特許文献1のような従来のメディア処理装置においては、状態表示を行うLEDに対する制御は、個々のLEDに対してそれぞれ個別に行っている。
従来のLEDの制御方法について、図10を参照して説明する。図10は、従来の制御方法によって、メディア処理装置の3つのLEDに対し、点灯パターンを変更する場合の制御シーケンスを示す図である。
【0005】
図10に示すように、メディア処理装置の制御部は、複数(3つ)のLEDに対し、順次制御コマンドを発行し、制御を行っている。図10の例は、誤作動状態を示すエラー表示灯であるErrorLED、電源表示灯であるPowerLED、ビジー表示灯であるBusyLED3つのLEDの点灯パターンを変更する例である。
【0006】
図10において、まず、メディア処理装置の制御部はPowerLEDに対する制御コマンドを発行し(ステップS101)、制御信号をPowerLED送信して(ステップS102)、点灯パターンを例えば、「消灯」から「点灯」へ変更する(ステップS103)。次に、制御部はBusyLEDに対する制御コマンドを発行し(ステップS104)、制御信号をBusyLEDに送信して(ステップS105)点灯パターンを例えば、「消灯」から「点滅」へ変更する(ステップS106)。さらに、制御部はErrorLEDに対する制御コマンドを発行し(ステップS107)、制御信号をErrorLED送信して(ステップS108)点灯パターンを例えば、「消灯」から「点滅」へ変更する(ステップS109)。
【特許文献1】特開2008−103032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
複数のLEDの点灯パターンの組み合わせに固有の意味を持たせるようにすれば、少ないLEDであっても、メディア処理装置の各種の状態を示すことができる。しかしながら、この場合、LED個々の状態変化と区別がつくように、同時に複数のLEDの点灯パターンが変化することが望ましい。
前述の如く、従来のメディア処理装置においては、状態表示を行うLEDに対する制御は、個々のLEDに対してそれぞれ個別に行っているので、複数のLEDの点灯パターンを変化させる場合は、各LEDに順次制御コマンドを送信する必要があった。このため、制御コマンドに対する反応性が悪いと、LED毎に点灯パターンが変化するタイミングがずれてしまい、LED個々の状態変化の場合との区別がわかりづらいという問題がある。
また、複数のLEDが同時に点滅することで固有の意味を持たせる場合は、点滅タイミングの同期をとることが好ましいが、上記のような従来のメディア処理装置では、点滅タイミングの同期が取りづらいという問題がある。
【0008】
本発明の目的は上記課題を解消することに係り、複数のLEDの点灯パターンの組み合わせに固有の意味を持たせる場合に、同時に複数のLEDの点灯パターンを変化させることができ、また、点滅タイミングの同期がとりやすいようにすることができるメディア処理装置、メディア処理装置の制御方法及びそのプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係るメディア処理装置は、メディアへデータの書込みを行うメディアドライブと、
前記メディアのレーベル面への印刷を行うレーベルプリンタと、
前記メディアを保管するメディア保管部と、
前記メディアドライブ、前記レーベルプリンタ及び前記メディア保管部に前記メディアを搬送可能なメディア搬送機構と、
装置の状態を示す複数の表示灯を備える表示灯部と、
前記メディアドライブ及びメディア搬送機構の制御に加えて、前記表示灯部の制御を行うオートローダ制御部と、
前記オートローダ制御部に制御コマンドを送信する主制御部と、
を備え、
前記主制御部は、前記表示灯部の表示灯のうち、指定された複数の表示灯の点灯パターンを同時に変更可能な表示灯同時制御コマンドを生成する表示灯同時制御コマンド生成部を有し、
前記オートローダ制御部は、前記表示灯同時制御コマンドを、指定された表示灯の表示パターンを同時に変更する制御信号に変換する表示灯同時制御コマンド変換部を有することを特徴とする。
上記制御構成によれば、1つの表示灯同時制御コマンドによって、同時に複数の表示灯の点灯パターンを変更させることができるので、複数の表示灯の点灯パターンの組み合わせに固有の意味を持たせる場合に、個々の表示灯の点灯パターンの変化タイミングのずれを無くすこと、あるいは、少なくすることができる。また、複数の表示灯を同時に点滅させたい場合に、点滅タイミングの同期がとりやすいようにすることができる。
また、オートローダ制御部と主制御部がそれぞれ独立して設けられているので、ホストコンピュータのソフトウェア仕様変更等があっても、主制御部の変更(主制御部の交換あるいは、主制御部のソフトウェアの更新)のみで対処することができる。
【0010】
本発明に係るメディア処理装置の制御方法は、メディアへデータの書込みを行うメディアドライブと、
前記メディアのレーベル面への印刷を行うレーベルプリンタと、
前記メディアを保管するメディア保管部と、
前記メディアドライブ、前記レーベルプリンタ及び前記メディア保管部に前記メディアを搬送可能なメディア搬送機構と、
装置の状態を示す複数の表示灯を備える表示灯部と、
前記メディアドライブ及びメディア搬送機構の制御に加えて、前記表示灯部の制御を行うオートローダ制御部と、
前記オートローダ制御部に制御コマンドを送信する主制御部と、を有するメディア処理装置の制御方法であって、
前記主制御部は、前記複数の表示灯を同時制御可能な表示灯同時制御コマンドを生成して、前記オートローダ制御部へ送信するステップと、
前記オートローダ制御部は、前記主制御部から送信された前記表示灯同時制御コマンドを受信し、当該同時制御コマンドにより指定された表示灯を制御して、その表示パターンを同時に変更させるステップと、
を含むことを特徴とする。
上記制御方法によれば、複数の表示灯の点灯パターンの組み合わせに固有の意味を持たせる場合に、個々の表示灯の点灯パターンの変化タイミングのずれを無くすこと、あるいは、少なくすることができる。また、複数の表示灯を同時に点滅させたい場合に、点滅タイミングの同期がとりやすいようにすることができる。
【0011】
本発明に係るメディア処理装置の制御プログラムは、メディア処理装置の制御方法の各手順を、前記オートローダ制御部のコンピュータ及び前記主制御部のコンピュータに実行させることを特徴とする。
上記制御プログラムを実行すれば、複数の表示灯の点灯パターンの組み合わせに固有の意味を持たせる場合に、個々の表示灯の点灯パターンの変化タイミングのずれを無くすこと、あるいは、少なくすることができる。また、複数の表示灯を同時に点滅させたい場合に、点滅タイミングの同期がとりやすいようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係るメディア処理装置、メディア処理装置の制御方法及びその制御プログラムの実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
図1は、各部を閉状態としたメディア処理装置の外観斜視図、図2は各部を開状態としたメディア処理装置の外観斜視図、図3はメディア処理装置のケースを外した状態の前方上側から見た斜視図である。図4はメディア処理装置に設置されたレーベルプリンタ部分の斜視図である。
【0013】
まず、本実施形態のメディア処理装置の全体構成について説明する。
図1に示すように、メディア処理装置1は、CDやDVD等の円板状のメディアヘのデータの書き込みやメディアのレーベル面への印刷を行う装置であり、ほぼ直方体形状のケース2を備えている。このケース2の前面には、開閉可能な開閉扉3,4が取り付けられている。ケース2の上側左端部には、装置の状態を示す複数のLED(表示灯)を備える表示灯部5が設けられている。また、ケース2の下端には、下方に突出するように載置用の脚部6が左右両側に設けられている。左右の脚部6の間位置には引出機構7が設けられている。
【0014】
正面視右側の開閉扉3は、図2に示すように、メディア処理装置1の前面側の開口部8を開閉するもので、例えば未使用(ブランク)のメディアMを開口部8を介してセットする時、あるいは作成済みのメディアMを、開口部8を介して取り出すときに、開閉する扉である。
【0015】
また、正面視左側の開閉扉4は、図3に示すレーベルプリンタ11のインクカートリッジ12の入れ換え時に開閉するためのものであり、この開閉扉4を開けると、鉛直方向に配列された複数のカートリッジホルダ13を有するカートリッジ装着部14が露出するようになっている。
【0016】
図2及び図3に示すように、メディア処理装置1のケース2の内部には、データ書き込み処理が行われていない複数枚(例えば50枚)の未使用のメディアMをスタック可能なメディア保管部としてのメディアスタッカ21と、複数枚(例えば50枚)の未使用のメディアMあるいは作成済みメディアMが保管されるメディア保管部としてのメディアスタッカ22とが保管されるメディアMの中心軸線が同一となるように上下に配置されている。メディアスタッカ21及びメディアスタッカ22は、それぞれ所定位置に対して着脱自在である。
【0017】
上側のメディアスタッカ21は、左右一対の円弧状の枠板24,25を備えており、これにより、メディアMを上側から受け入れ、同軸に積層した状態で収容可能な構成をなしている。メディアスタッカ21にメディアMを収容あるいは補充する作業は、開閉扉3を開けてメディアスタッカ21を取り出すことにより、簡単に行うことが可能となっている。
【0018】
下側のメディアスタッカ22も同一構造となっており、左右一対の円弧状の枠板27,28を備え、これによって、メディアMを上側から受け入れ、同軸に積層した状態で収容可能なメディアスタッカが構成されている。
【0019】
図3に示すように、メディアスタッカ21及びメディアスタッカ22の後側には、メディア搬送機構31が配置されている。メディア搬送機構31は、本体フレーム30とシャーシ32の天板33との間に垂直に架け渡されている垂直ガイド軸35を有している。この垂直ガイド軸35に搬送アーム36が昇降及び旋回可能な状態で支持されている。搬送アーム36は、駆動モータ37によって垂直ガイド軸35に沿って昇降可能であるとともに、垂直ガイド軸35を中心に左右に旋回可能である。
【0020】
上下のメディアスタッカ21,22及びメディア搬送機構31の側方の後方の部位には、上下に積層された2つのメディアドライブ41が配置され、これらメディアドライブ41の下側にレーベルプリンタ11の後述するキャリッジ62が移動可能に配置されている。
メディアドライブ41は、メディアMへのデータ書き込み位置とメディアMの受け取り受け渡しを行うメディア受け渡し位置との間を移動可能なメディアトレイ41aをそれぞれ有している。
【0021】
また、レーベルプリンタ11は、メディアMのレーベル面へのレーベル印刷可能な印刷位置とメディアMの受け取り受け渡しを行うメディア受け渡し位置との間を移動可能なメディアトレイ45を有している。
【0022】
図3では、上下のメディアドライブ41のメディアトレイ41aが手前に引き出されてメディア受け渡し位置にある状態及び下側のレーベルプリンタ11のメディアトレイ45が手前側のメディア受け渡し位置にある状態が示されている。また、レーベルプリンタ11はインクジェットプリンタであり、インク供給機構60として各色(例えば、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、ライトシアン、ライトマゼンタの6色)のインクカートリッジ12が用いられ、これらのインクカートリッジ12がカートリッジ装着部14の各カートリッジホルダ13に前方から装着されている。
【0023】
ここで、メディアスタッカ21の左右一対の枠板24,25の間及びメディアスタッカ22の左右一対の枠板27,28の間には、メディア搬送機構31の搬送アーム36が昇降可能な隙間が形成されている。また、これら上下のメディアスタッカ21とメディアスタッカ22との間には、メディア搬送機構31の搬送アーム36が水平に旋回して、メディアスタッカ22の真上に位置できるように隙間が開いている。さらに、両メディアトレイ41aをメディアドライブ41に押し込むと、メディア搬送機構31の搬送アーム36を下降させて、メディア受け渡し位置にあるメディアトレイ45にアクセス可能となっている。
【0024】
メディア搬送機構31の搬送アーム36は、両メディアトレイ41aをデータ書き込み位置に位置させ、メディアトレイ45を奥側の印刷位置に位置させた状態で、メディアトレイ45の高さ位置よりもさらに下側まで下降可能となっている。そして、メディアトレイ45のメディア受け渡し位置の下方には、搬送アーム36がこの位置まで下降してリリースしたメディアMが通過するガイド穴であって、後述するメディアスタッカ(別体メディアスタッカ)が装着されるガイド穴65が形成されている。
【0025】
図2及び図3に示すように、引出機構7は、本体フレーム30の下側に、本体フレーム30から引き出して開いたり、収納して閉じたりすることが可能な引出トレイ70を有している。引出トレイ70には、メディアスタッカ部71が下方に凹んで設けられている。引出トレイ70が収納位置(閉位置)にあるとき、メディアスタッカ部71は、ガイド穴65の下方に位置し、メディアスタッカ部71の中心部は、受け渡し位置にある両メディアトレイ41aとメディアトレイ45の中心軸線が同一となるように位置されている。このメディアスタッカ部71は、ガイド穴65を介して投入されるメディアMを受け入れ、このメディアMを比較的少量(例えば5枚〜10枚程度)だけ収容する。メディアスタッカ部71は、メディアMを上側から受け入れ、同軸に積層した状態で収容可能となっている。
【0026】
収納状態にある引出トレイ70のメディアスタッカ部71及びガイド穴65には、メディアスタッカ部71よりもメディアMの収容量が多いメディアスタッカ(別体メディアスタッカ)72が着脱可能となっている(図3参照)。このメディアスタッカ72も、一対の円弧状の枠板73,74を備えており、これによって、メディアMを上側から受け入れ、同軸に積層した状態で複数枚(例えば50枚)収容可能となっている。一対の円弧状の枠板73,74の間には、メディア搬送機構31の搬送アーム36が昇降可能な隙間が形成されている。また、一方の枠板74の上部には着脱時にユーザによって把持される取っ手75が設けられている。
【0027】
そして、メディアスタッカ72を取り付けた状態とすれば、下側のメディアスタッカ22から未使用のメディアMを取り出し、メディアドライブ41およびレーベルプリンタ11でデータ記録および印刷を行った後に、メディアスタッカ72に収容することができる。
また、例えば、上側のメディアスタッカ21および下側のメディアスタッカ22にそれぞれの最大収容枚数(50枚+50枚)の未使用のメディアMを装填し、下側のメディアスタッカ22の全枚数(50枚)のメディアMを順次処理してメディアスタッカ72に収容し、次に、上側のメディアスタッカ21の全枚数(50枚)のメディアMを順次処理して、空となった下側のメディアスタッカ22に収容する。このようにして、上側のメディアスタッカ21および下側のメディアスタッカ22の最大収容枚数(50枚+50枚)のメディアMを一度に処理する(バッチ処理モード)。
【0028】
また、メディアスタッカ72を取り外した状態とすれば、上側のメディアスタッカ21あるいは下側のメディアスタッカ22から未使用のメディアMを取り出し、メディアドライブ41及びレーベルプリンタ11でデータ記録及び印刷を行った後に、収納状態にある引出トレイ70のメディアスタッカ部71に収容することができる。
【0029】
これにより、その後、引出トレイ70を引き出すことでメディアスタッカ部71から処理が完了したメディアMを取り出すことができる。つまり、メディアMへの処理中であっても、開閉扉3を閉じたまま、処理が完了したメディアMから順に1枚ずつあるいは複数枚ずつ取り出すことができる(外部排出モード)。
【0030】
ここで、メディア搬送機構31の搬送アーム36の昇降及び左右への旋回の組み合わせ動作によって、メディアMは、メディアスタッカ21、メディアスタッカ22、引出トレイ70のメディアスタッカ部71(またはメディアスタッカ72)、各メディアドライブ41のメディアトレイ41a及びレーベルプリンタ11のメディアトレイ45間で適宜搬送される。
【0031】
図4に示すように、レーベルプリンタ11はインク吐出用のノズル(図示省略)を備えたインクジェットヘッド61を有するキャリッジ62を備えており、このキャリッジ62は、キャリッジモータの駆動力でキャリッジガイド軸に沿って水平方向に往復移動する(図示省略)。
【0032】
レーベルプリンタ11は、インクカートリッジ12が装着されるカートリッジ装着部14を有するインク供給機構60を備えている。このインク供給機構60は、縦型構造を有しており、メディア処理装置1の本体フレーム30上に立設されて鉛直方向に配設されている。このインク供給機構60には、可撓性を有するインク供給チューブ63の一端が接続されており、このインク供給チューブ63の他端は、キャリッジ62に接続されている。
【0033】
そして、インク供給機構60に装着されるインクカートリッジ12のインクは、インク供給チューブ63を介してキャリッジ62に供給され、このキャリッジ62に設けられたダンパユニット及び背圧調整ユニット(図示省略)を経てインクジェットヘッド61に供給されインクノズル(図示省略)から吐出される。
なお、インク供給機構60には、その上部に主部を配置するように加圧機構64が設けられており、この加圧機構64は、圧縮空気を送り出してインクカートリッジ12内を加圧し、インクカートリッジ12内のインクパックに貯留しているインクを送り出す。
【0034】
また、キャリッジ62のホームポジション(図4に示す位置)における下方側には、ヘッドメンテナンス機構81が設けられている。
このヘッドメンテナンス機構81は、ホームポジションに配置されたキャリッジ62の下面に露出するインクジェットヘッド61のインクノズルを覆うヘッドキャップ82と、インクジェットヘッド61のヘッドクリーニング動作やインク充填動作によってヘッドキャップ82に排出されたインクを吸引する廃インク吸引ポンプ83とを備えている。
【0035】
そして、このヘッドメンテナンス機構81の廃インク吸引ポンプ83によって吸引されたインクは、チューブ84を介して、廃インク吸収タンク85へ送り込まれる。
この廃インク吸収タンク85は、ケース86内に図示しない吸収材を配設したもので、その上面は、複数の通気孔87を有するカバー88によって覆われている。
なお、ヘッドメンテナンス機構81の下方には、廃インク吸収タンク85の一部である廃インク受け部89が設けられ、ヘッドメンテナンス機構81から滴下したインクを受け止め、吸収材によって吸収するようになっている。
【0036】
次に、本発明の実施形態に係るメディア処理装置の表示灯部の構成を詳細に説明する。図5は、本発明の実施形態に係るメディア処理装置の表示灯部の拡大図である。
【0037】
本発明の実施形態に係るメディア処理装置には、前述の図1で示したように、表示灯部5が設けられており、この表示灯部5は、3個の(複数の)表示灯であるLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)で構成されている。この3個のLEDは、図5に示すように、電源表示用であるPowerLED、ビジー表示用であるBusyLED、誤作動状態を示すエラー表示用であるErrorLEDである。
【0038】
次に、本実施の形態におけるメディア処理装置1の制御構成要部について説明する。図6は本発明の実施形態に係るメディア処理装置の制御構成要部を示すブロック図である。
【0039】
メディア処理装置1は、図6に示すように、各機能部(ハードウェア)を直接制御・駆動する各制御部(オートローダ制御部102、プリンタ制御部103)とこれらの各制御部に制御コマンドを送信して制御する主制御部101がそれぞれ独立している。このように、各機能部(ハードウェア)を直接に駆動・制御するオートローダ制御部102、プリンタ制御部103と、主制御部101がそれぞれ独立して設けられているので、各機能部(ハードウェア)の変更を伴わない、ホストコンピュータのソフトウェア仕様変更等があっても、主制御部の変更(主制御部の交換あるいは、主制御部のソフトウェアの更新)のみで対処することができる。
【0040】
オートローダ制御部102は、メディアドライブ41及びメディア搬送機構31を制御してメディアへのデータ書き込みやメディアの搬送を行わせる。
【0041】
プリンタ制御部103は、レーベルプリンタ11を制御して、メディアのレーベル面への印刷動作を行わせる。
【0042】
主制御部101は、オートローダ制御部102及びプリンタ制御部103と接続され、制御コマンドによってこれらを制御する。また、主制御部101は、通信手段によってホストコンピュータ200と接続されており、通常は、ホストコンピュータ200から送信される書き込みデータ、印刷データ及びコマンドを解析して、オートローダ制御部102及びレーベルプリンタ11に送信する。
【0043】
また、主制御部101は、表示灯同時制御コマンドを発行する表示灯同時制御コマンド発行部101Aを有する。表示灯同時制御コマンドは、表示灯部5のLEDのうち、指定された複数のLEDの点灯パターンを同時に変更可能なコマンドである。
また、オートローダ制御部102は、主制御部101から送信された表示灯同時制御コマンドを受信し、表示灯同時制御コマンドを、指定されたLEDの表示パターンを同時に変更する制御信号に変換する表示灯同時制御コマンド変換部102Aを有する。
なお、複数のLEDの点灯パターンの組み合わせに固有の意味を持たせる場合とは、メディアドライブ41、メディア搬送機構31、レーベルプリンタ11、開閉扉3,4など各部の動作の開始・停止、各種のエラー、警告の通知などの場合である。
【0044】
次に、表示灯同時制御コマンドの仕様について説明する。
表示灯同時制御コマンドをコマンドAとすると、以下のように表される。
コマンドA m1 n1 m2 n2 m3 n3
m(m1,n1,m2)はLEDの種類を指定するパラメータであり、m=0はPowerLED、m=1はBusyLED、m=2はErrorLEDである。
n(n2,m3,n3)は点灯パターンを指定するパラメータであり、n=0は消灯、n=1は点灯、n=2は点滅、n=3は速い点滅である。
【0045】
次に、本発明の実施形態に係るメディア処理装置における表示灯の制御方法において、図7を参照して、3個のLEDに対して点灯パターンを変更する場合の制御方法について説明する。図7は表示灯同時制御コマンドによる3個のLEDの同時制御のシーケンスを示す図である。
【0046】
図7において、メディア処理装置の主制御部101の表示灯同時制御コマンド発行部101Aは、3個のLEDに対して点灯パターンを変更するようにパラメータを設定した表示灯同時制御コマンド、例えば、「コマンドA 0 2 1 1 2 1」を発行する。
【0047】
そして、「コマンドA 0 2 1 1 2 1」をオートローダ制御部102へ送信する(ステップS12)。オートローダ制御部102の表示灯同時制御コマンド変換部102Aは、この「コマンドA 0 2 1 1 2 1」を個別の制御信号(PowerLED制御信号、BusyLED制御信号、ErrorLED制御信号)に変換する(ステップS13)。
【0048】
オートローダ制御部102は、PowerLED制御信号をPowerLEDに送信して(ステップS14A)、その点灯パターンを変更し(ステップS15A)、BusyLED制御信号をBusyLEDに送信して(ステップS14B)、その点灯パターンを変更し(ステップS15B)、ErrorLED制御信号をErrorLEDに送信して(ステップS14C)、その点灯パターンを変更する(ステップS15C)。なお、上記「コマンドA 0 2 1 1 2 1」を送信する前の各LEDの点灯パターンが、PowerLED「点灯」、BusyLED「消灯」、ErrorLED「消灯」であったとすると、PowerLEDの点灯パターンは「点灯」から「点滅」に変更される。また、BusyLEDの点灯パターンは「消灯」から「点灯」に変更される。また、ErrorLEDの点灯パターンは「消灯」から「点灯」へ変更される。
【0049】
次に、図8を参照して、2個のLEDに対して点灯パターンを変更する場合の制御方法について説明する。図8は表示灯同時制御コマンドによる2個のLEDの同時制御のシーケンスを示す図である。
【0050】
図8において、メディア処理装置の主制御部101の表示灯同時制御コマンド発行部101Aは、2個のLEDに対して点灯パターンを変更するようにパラメータを設定した表示灯同時制御コマンド、例えば、「コマンドA 0 2 2 2」を発行する。(ステップS21)。
【0051】
そして、「コマンドA 0 2 2 2」をオートローダ制御部102へ送信する(ステップS22)。オートローダ制御部102の表示灯同時制御コマンド変換部102Aは、この「コマンドA 0 2 2 2」を個別の制御信号(PowerLED制御信号、ErrorLED制御信号)に変換する(ステップS23)。
【0052】
オートローダ制御部102は、PowerLED制御信号をPowerLEDに送信して(ステップS24A)、その点灯パターンを変更し(ステップS25A)、ErrorLED制御信号をErrorLEDに送信して(ステップS24B)、その点灯パターンを変更する(ステップS25B)。なお、上記「コマンドA 0 2 2 2」を送信する前の各LEDの点灯パターンが、PowerLED「点灯」、ErrorLED「消灯」であったとすると、PowerLEDの点灯パターンは「点灯」から「点滅」に変更される。また、ErrorLEDの点灯パターンは「消灯」から「点滅」へ変更される。また、コマンドで指定しなかったBusyLEDは以前の状態を維持する。
【0053】
次に、図9を参照して、1個のLEDに対して点灯パターンを変更する場合の制御方法について説明する。図9は表示灯同時制御コマンドによる1個のLEDの同時制御のシーケンスを示す図である。
【0054】
図9において、メディア処理装置の主制御部101の表示灯同時制御コマンド発行部101Aは、1個のLEDに対して点灯パターンを変更するようにパラメータを設定した表示灯同時制御コマンド、例えば、「コマンドA 2 1」を発行する。(ステップS31)。
【0055】
そして、「コマンドA 2 1」をオートローダ制御部102へ送信する(ステップS32)。オートローダ制御部102の表示灯同時制御コマンド変換部102Aは、「コマンドA 2 1」をErrorLED制御信号に変換する(ステップS33)。
オートローダ制御部102は、ErrorLED制御信号をErrorLEDに送信して(ステップS34)、その点灯パターンを変更する(ステップS35)。なお、上記「コマンドA 2 1」を送信する前のErrorLEDの点灯パターンが「消灯」であったとすると、「消灯」から「点灯」に変更される。
【0056】
以上、詳述したように、本発明の実施形態に係るメディア処理装置、メディア処理装置の制御方法及びその制御プログラムによれば、1つの表示灯同時制御コマンドによって、同時に複数のLED(表示灯)の点灯パターンを変更させることができるので、複数のLED(表示灯)の点灯パターンの組み合わせに固有の意味を持たせる場合に、個々のLED(表示灯)の点灯パターンの変化タイミングのずれを無くすこと、あるいは、少なくすることができる。また、複数のLED(表示灯)を同時に点滅させたい場合に、点滅タイミングの同期がとりやすいようにすることができる。
また、オートローダ制御部102と主制御部101がそれぞれ独立して設けられているので、ホストコンピュータ200のソフトウェア仕様変更等があっても、主制御部101の変更(主制御部101の交換あるいは、主制御部101のソフトウェアの更新)のみで対処することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】各部を閉状態としたメディア処理装置の外観斜視図である。
【図2】各部を開状態としたメディア処理装置の外観斜視図である。
【図3】メディア処理装置のケースを外した状態の前方上側から見た斜視図である。
【図4】メディア処理装置に設置されたレーベルプリンタ部分の斜視図である。
【図5】本発明の実施形態に係るメディア処理装置の表示灯部の拡大図である。
【図6】本発明の実施形態に係るメディア処理装置の制御構成要部を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施形態における表示灯同時制御コマンドによる3個のLEDの同時制御のシーケンスを示す図である。
【図8】本発明の実施形態における表示灯同時制御コマンドによる2個のLEDの同時制御のシーケンスを示す図である
【図9】本発明の実施形態における表示灯同時制御コマンドによる1個のLEDの同時制御のシーケンスを示す図である。
【図10】従来の制御方法によって、メディア処理装置の3つのLEDに対し、点灯パターンを変更する場合の制御シーケンスを示す図である。
【符号の説明】
【0058】
1…メディア処理装置、3,4…開閉扉、5…表示灯部、11…レーベルプリンタ、31…メディア搬送機構、41…メディアドライブ、101…主制御部、101A…表示灯同時制御コマンド発行部、102…オートローダ制御部、102A…表示灯同時制御コマンド変換部、103…プリンタ制御部、200…ホストコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メディアへデータの書込みを行うメディアドライブと、
前記メディアのレーベル面への印刷を行うレーベルプリンタと、
前記メディアを保管するメディア保管部と、
前記メディアドライブ、前記レーベルプリンタ及び前記メディア保管部に前記メディアを搬送可能なメディア搬送機構と、
装置の状態を示す複数の表示灯を備える表示灯部と、
前記メディアドライブ及びメディア搬送機構の制御に加えて、前記表示灯部の制御を行うオートローダ制御部と、
前記オートローダ制御部に制御コマンドを送信する主制御部と、
を備え、
前記主制御部は、前記表示灯部の表示灯のうち、指定された複数の表示灯の点灯パターンを同時に変更可能な表示灯同時制御コマンドを生成する表示灯同時制御コマンド生成部を有し、
前記オートローダ制御部は、前記表示灯同時制御コマンドを、指定された表示灯の表示パターンを同時に変更する制御信号に変換する表示灯同時制御コマンド変換部を有することを特徴とするメディア処理装置。
【請求項2】
メディアへデータの書込みを行うメディアドライブと、
前記メディアのレーベル面への印刷を行うレーベルプリンタと、
前記メディアを保管するメディア保管部と、
前記メディアドライブ、前記レーベルプリンタ及び前記メディア保管部に前記メディアを搬送可能なメディア搬送機構と、
装置の状態を示す複数の表示灯を備える表示灯部と、
前記メディアドライブ及びメディア搬送機構の制御に加えて、前記表示灯部の制御を行うオートローダ制御部と、
前記オートローダ制御部に制御コマンドを送信する主制御部と、を有するメディア処理装置の制御方法であって、
前記主制御部は、前記複数の表示灯を同時制御可能な表示灯同時制御コマンドを生成して、前記オートローダ制御部へ送信するステップと、
前記オートローダ制御部は、前記主制御部から送信された前記表示灯同時制御コマンドを受信し、当該同時制御コマンドにより指定された表示灯を制御して、その表示パターンを同時に変更させるステップと、
を含むことを特徴とするメディア処理装置の制御方法。
【請求項3】
請求項2に記載されたメディア処理装置の制御方法の各手順を、前記オートローダ制御部のコンピュータ及び前記主制御部のコンピュータに実行させることを特徴とするメディア処理装置の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−86610(P2010−86610A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−255409(P2008−255409)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)