説明

メディア管理システム及びリーダ・ライタ

【課題】リーダ・ライタ用アンテナを複数近接して配置させた場合に、近隣のアンテナ同士が干渉することなく、良好に通信できるようにする。
【解決手段】非接触無線タグを有するメディア又はメディアケースを複数収納するシステムに適用される。そして、メディア又はメディアケースが配置されるそれぞれの収納位置に対応して配置された複数のリーダ・ライタ用アンテナ21a,21b,21c・・・と、その複数のリーダ・ライタ用アンテナの内で、通信を行うリーダ・ライタ用アンテナを選択する選択手段とを有する。そして、選択手段で選択されたリーダ・ライタ用アンテナを、無線通信を行う周波数に対応した第1の共振周波数f1とし、少なくともその第1の共振周波数f1のリーダ・ライタ用アンテナに隣接して配置されたリーダ・ライタ用アンテナを、第1の共振周波数f1と異なる第2の共振周波数f2とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケースに収納されたディスクなどのメディアを管理するメディア管理システム及びそのシステムに適用されるリーダ・ライタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CD(Compact Disc),DVD(Digital Versatile Disc)などのディスクメディアを管理する手法として、ディスクの一部にRFID(Radio Frequency IDentification)タグを貼付けて、必要な際にそのRFIDタグの情報を読み書きするものがある。例えば、図書館などの多くのディスクメディアを保管する場所において、保管する1枚1枚のディスクの表面に、それぞれの識別コードなどを書き込んだRFIDタグを貼付けておく。そして、ディスクの貸し出しや返却などの受付け時に、ディスクのRFIDタグをリーダ・ライタで読み取って、貸し出しの管理を行う。このようにすることで、貸し出し中のディスクなどが判り、ディスクの管理が容易に行えるようになる。
【0003】
このように1枚ずつのディスクにRFIDタグを貼付けて、ディスクの貸し出しや返却時に、リーダ・ライタでRFIDタグを読み取らせることで、ディスク管理が行えるが、あくまでもリーダ・ライタに1枚ずつディスクを近接させて、読み取らせる必要がある。
【0004】
これに対して、収納棚にディスクを収納させた状態で、各ディスクに貼付けたRFIDタグを読み取らせることについて提案されている(特許文献1参照)。
図7〜図9は、この先に提案されているシステムの例を示したものである。
まず図7(a)に示すようにDVDなどの管理したいディスク1を用意し、RFIDタグ2bとコイルアンテナ2cとが貼られたタグシート2を用意する。そして、図7(b)に示すように、ディスク1の信号記録面とは反対側の面(いわゆるレーベル面)に、そのタグシート2を貼付ける。図7の例では、ディスク1の中心の孔1aの周囲に、タグシート2を貼付けるようにしてある。タグシート2には、ディスク1の孔1aよりも若干大きな孔2aを有する。
【0005】
図7(b)に示すように、ディスク1にタグシート2を貼付け、このディスク1の中心付近(即ちタグシート2の箇所)を図示しないリーダ・ライタに近接させることで、リーダ・ライタからの電磁誘導による近距離無線通信で、RFIDタグ2b内のメモリからデータが読み出されると共に、必要によりデータがRFIDタグ2b内のメモリに書き込まれる。ここでのリーダ・ライタとRFIDタグ2bとの近距離無線通信とは、例えば数センチ程度の近距離を想定している。
【0006】
しかしながら、この図7に示したようにディスク1に直接タグシート2を貼付けた場合、合成樹脂で成形されたディスクケースにディスク1を収納させて、複数のディスクケースを並べて収納棚に収めた状態では、リーダ・ライタによる読み取りは困難である。
【0007】
特許文献1に記載の技術は、この問題を解決するものであり、合成樹脂で成形されたディスクケース10として、収納されたディスクの中心近傍と、ケース10の端面17とを結ぶブースタアンテナ3を設けたものである。
ディスクケース10は、下ケース11と、その下ケース11の上に配置されるディスクトレイ13と、蓋上の上ケース12との3分割構造としてあり、下ケース11にディスクトレイ13が接合される。
ディスクトレイ13の載置面14の中心のディスク保持機構15には、ディスク1の孔1a(図7)が嵌められて、ディスク1が保持される。上ケース12は、2つの支点部18が、下ケース11側の孔16に挿入されて、開閉自在に取付けられる。
【0008】
ブースタアンテナ3は、下ケース11とディスクトレイ13との間に配置される。ブースタアンテナ3は、第1コイル部3aと第2コイル部3cとを有し、両コイル部3a,3cを図示しない同調回路で接続してある。第1コイル部3aは、円形に線材を巻回させてあり、ディスクトレイ13のディスク保持機構15の裏側に配置してある。第2コイル部3cは、横長の四角形に線材を巻回させてあり、下ケース11の端面(側面)17に配置してある。
【0009】
この図8に示したディスクケース10に、タグシート2を貼付けたディスク1を入れることで、このディスクケース10の端面17に近接したリーダ・ライタが、ブースタアンテナ3を経由して、タグシート2のRFIDタグ2bと通信を行うことになる。
【0010】
即ち、無線通信状態を図9に示すと、ディスク1のRFIDチップ2bに同調回路2dを介して接続されたコイルアンテナ2cは、ブースタアンテナ3の第1コイル部3aと近接し、信号の送受信が行われる。
ブースタアンテナ3の第1コイル部3aは、同調回路3bを介して第2コイル部3bと接続してあり、この第2コイル部3bが、リーダ・ライタ4のコイルアンテナ4aと近接することで、リーダ・ライタ4側と送受信が可能となる。コイルアンテナ4aは、同調回路4bを介してリーダ・ライタ4の主回路4cと接続してあり、主回路4cからコイルアンテナ4a側に磁束を出力する。
【0011】
このように図8に示したブースタアンテナ3をディスクケース1に取付けて、図9に示したようにこのブースタアンテナ3で中継させ、ディスクケース1の端面17にリーダ・ライタを近接させることで、ディスク1に貼付けたRFIDタグ2bの読み書きが可能となる。
【0012】
非特許文献1には、図書館における蔵書や貸出しの在出庫管理において、RFIDタグを該当品に貼付けて、シェルフアンテナと高出力型リーダ・ライタを用い、10〜20枚単位でRFIDタグの情報を一括で読み取りを行うことについての記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2008−207875号公報
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】IT図書館システム 株式会社内田洋行http://www.uchida.co.jp/ulius/index.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従来の非特許文献1に記載された如き構成の図書館用の管理システムは、例えば4W程度の高出力のリーダ・ライタを用い、シェルフアンテナ上のRFIDタグを複数枚一括読みする方式であり、1枚を特定して読む方式では無い。従って、1枚1枚のディスクの正確な収納位置を判断して管理することは、従来のシステムでは困難である。
【0016】
収納棚などに配置された1枚1枚のディスクに貼り付けたRFIDタグの情報を読み出すためには、収納するディスクケースの数に対応して複数のリーダ・ライタ用アンテナを配置して、それぞれのアンテナで、そのアンテナと近接したディスクケース側と個別に無線通信を行う構成とすることが考えられる。
ところが、複数のリーダ・ライタ用アンテナを近接させて配置した場合、各RFIDタグと無線通信する周波数は同じであるため、それぞれのアンテナは全て同一の共振周波数を持つが、その近接配置された同一共振周波数のアンテナ同士が干渉を起こして、相互に本来の特性を出すことができない問題がある。
【0017】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、リーダ・ライタ用アンテナを複数近接して配置させた場合に、近隣のアンテナ同士が干渉することなく、良好に通信できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、リーダ・ライタに接続されたアンテナと無線通信を行う非接触無線タグを有するメディア又はメディアケースを複数収納して管理するメディア管理システムに適用される。
構成としては、メディア又はメディアケースが配置されるそれぞれの収納位置に対応して配置された複数のリーダ・ライタ用アンテナと、その複数のリーダ・ライタ用アンテナの内で、通信を行うリーダ・ライタ用アンテナを選択する選択手段とを有する。
そして、選択手段で選択されたリーダ・ライタ用アンテナを、無線通信を行う周波数に対応した第1の共振周波数とし、少なくともその第1の共振周波数のリーダ・ライタ用アンテナに隣接して配置されたリーダ・ライタ用アンテナを、第1の共振周波数と異なる第2の共振周波数とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、複数配置されたリーダ・ライタ用アンテナの内で、無線通信を行うように選択されたアンテナを、無線通信用の第1の共振周波数として、少なくともその選択されたアンテナに隣接した他のアンテナを、第1の共振周波数と異なる第2の共振周波数に設定することで、無線通信を行うアンテナとそのアンテナに隣接した他のアンテナとが相互干渉することがなくなる。従って、比較的狭い間隔で複数のアンテナを並べて配置した場合でも、それぞれのアンテナで、近接した非接触無線タグと良好に無線通信できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施の形態の例による共振周波数の設定状態の例を示した説明図である。
【図2】本発明の一実施の形態の例による回路構成例を示した回路図である。
【図3】本発明の一実施の形態の例による装置の一部を破断して示す斜視図である。
【図4】図3例の装置でディスクケースを収納した状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の一実施の形態によるシステム構成例を示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施の形態の他の例による回路構成例を示した回路図である。
【図7】ディスクにタグシートを張り付けた状態の例を示す説明図である。
【図8】ブースタアンテナ付きのディスクケースの構成例を示す説明図である。
【図9】ディスクとリーダ・ライタとの通信状態の例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施の形態を、図1〜図6を参照して説明する。
本実施の形態においては、背景技術の欄で図7〜図9を用いて説明した、ディスク1の中心部の近傍に、RFIDチップ2b及びコイルアンテナ2cを配置したタグシート2を貼り付けたものを使用する。そのディスク1を収納するディスクケース10についても、図8に示したようにブースタアンテナ3を備えて、ケースの端面17に近接させたリーダ・ライタ用のアンテナで通信できる構成としたものを用意する。なお、本実施の形態においては、RFIDチップ2bがブースタアンテナ3を介してリーダ・ライタとの間で近距離無線通信を行う通信方式については特に説明をしないが、RFID用として既に実用化されている各種方式が適用可能である。無線通信を行う周波数としては、ここでは13.56MHzを共振周波数として、リーダ・ライタとRFIDとの間で通信を行う。
【0022】
図1は、本実施の形態の収納棚20の概要と、その収納棚20に配置したコイルアンテナ21a,21b,21c,・・・の状態(共振周波数の設定状態)を示した図である。
図1に示すように、収納棚20のケース載置面20aには、複数枚のディスクケース10a,10bを並べて置いた状態を示してある。ディスクケース10aはリーダ・ライタでケース内のディスクのRFIDチップと通信を行うものであり、その周囲の各ディスクケース10bは、図1の状態では通信を行わないものとしてある。
【0023】
収納棚20の1つ1つのディスクケースの配置位置には、コイルアンテナ21a,21b,21c・・・が埋め込んである。本実施の形態の各コイルアンテナ21a,21b,21c・・・は、ディスクケースの底面の幅に合わせて幅の狭い四角い形状としてあり、ディスクケースが収納される間隔と同じ間隔で並んでいる。
【0024】
そして図1に示すように、ディスクケース10a内のディスクのRFIDチップと、そのディスクケース10aと近接したコイルアンテナ21cとで無線通信を行うことを想定し、コイルアンテナ21cをリーダ・ライタの無線通信回路と接続する。この無線通信回路との接続は、後述する切り替えスイッチ44(図5参照)により行われる。
【0025】
ここで本例においては、コイルアンテナ21cは共振周波数を第1の周波数f1とし、その他のコイルアンテナ21a,21b,21d,21e,21fについては、第1の周波数f1とは異なる第2の周波数f2とする。
第1の周波数f1は、無線通信を行う周波数である13.56MHzとしてあり、第2の周波数f2は、これとは別の周波数としてある。
なお、無線通信を行うコイルアンテナが別のアンテナに切り替わった場合には、そのとき無線通信に使用されるコイルアンテナが共振周波数f1となり、残りのコイルアンテナが共振周波数f2に変化する。
このように共振周波数を設定することで、コイルアンテナ21cによる無線通信中には、近隣の他のコイルアンテナ21a,21b,21d,21eが全て、共振周波数f1とは異なる共振周波数f2となり、コイルアンテナ21cと他のコイルアンテナとの相互干渉を防ぐことができる。
【0026】
図2は、1つのコイルアンテナの回路構成を示した図である。
RF入力端子51に送信信号が供給され、制御信号入力端子52に共振周波数切り替え信号が供給される。RF入力端子51は、コンデンサCとダイオードDを介して、コイルLとコンデンサCの一端に接続してあり、コイルLとコンデンサCの他端を接地電位部に接続してある。またダイオードDとコイルLとの接続点には、コンデンサCの一端が接続してあり、このコンデンサCの他端が、スイッチSの一方の固定接点Saに接続してある。スイッチS1の他方の固定接点Sbは、抵抗器Rを介して接地電位部に接続してあり、可動接点Smは、直接、接地電位部に接続してある。
【0027】
スイッチSの可動接点Smの接続状態は、制御信号入力端子52に得られる信号で制御される。即ち、制御信号入力端子52は、抵抗器RとコイルLとの直列回路を介して、コンデンサCとダイオードDの接続点に接続させてあり、抵抗器RとコイルLとの接続点に得られる信号で、スイッチSの可動接点Smの接続を制御する構成としてある。なお、抵抗器RとコイルLとの接続点には、抵抗器Rの一端とコンデンサCの一端とが接続してあり、抵抗器Rの他端とコンデンサCの他端を接地電位部に接続してある。
このように構成したことで、制御信号入力端子52に得られる信号がハイレベル“H”であるとき、スイッチSがオン状態となって、可動接点Smが一方の固定接点Saと接続状態となり、コンデンサCがコンデンサCと並列に接続された状態となる。制御信号入力端子52に得られる信号がローレベル“L”であるときには、スイッチSがオフ状態となって、可動接点Smが他方の固定接点Sbと接続状態となる。
【0028】
このようにコイルアンテナが構成されることで、このコイルアンテナは、コイルLとコンデンサC,Cの定数でアンテナとしての共振周波数が決まる。但しコンデンサCはスイッチSがオン状態のときだけ接続される素子であり、スイッチSがオン状態のときには、コイルLとコンデンサCの定数でアンテナとしての共振周波数が決まる。
【0029】
ここで共振周波数の例を示すと、例えばコイルL=1.1μH、コンデンサC=22pF、コンデンサC=100pFとする。
このとき、スイッチSがオン状態の場合には、共振周波数f1が以下の式で決まる。
f1=1/2π√L×(C+C
=1/2π√1.1×122E―18
=13.7MHz
また、スイッチSがオフ状態の場合には、共振周波数f2が以下の式で決まる。
f2=1/2π√L×C
=1/2π√1.1×22E―18
=32MHz
【0030】
このように、スイッチSの切り替えで、第1の共振周波数f1である13.7MHzと、第2の共振周波数f2である32MHzとを切り替えることができる。
なお、C>>Cとすることで、2つの共振周波数f1,f2の差分は、大きくなる。通信時の相互干渉を防ぐ点から、この2つの共振周波数f1,f2の差分を大きくすることは重要である。
【0031】
図3及び図4は、このようコイルアンテナが組み込まれる本実施の形態の収納棚20の構成例を示した図である。
収納棚20は、底板22の上に仕切り板23が一定の間隔で配置してあり、この仕切り板23で仕切られる位置に、1つのディスクケース10を置くことができる。ディスクケース10を置く際には、各ディスクケース10の端面17(図8参照)を下側にしておく。この端面17は、ブースタアンテナ3の第2コイル部3cが配置された面である。
【0032】
仕切り板23で仕切られた各ディスクケースの収納場所の底板22には、コイルアンテナ21a,21b,・・・,21m,21n(nは任意の整数)が内蔵させてある。この複数のコイルアンテナ21a〜21nは、リーダ・ライタ用のアンテナとして機能するものであり、ディスクケースの収納場所に沿って細長い形状に導体を所定の複数回巻回させたアンテナである。
【0033】
また、図3に示すように、底板22の前端部には、各ディスクケースの収納位置に対応して、発光手段であるLED(発光ダイオード)31a,31b,・・・,31m,31nが配置してある。このLED31a〜31nの点灯は、ディスクケースの収納状態に応じて制御される。点灯制御の詳細については後述するが、例えば、図4に示すようにディスクケースが正しい位置に収納された場合に、その収納位置の下のLEDを点灯させる。
【0034】
なお、図3及び図4では数個のディスクケース10が収納される構成を示してあるが、実際には数十個あるいは百個以上のディスクケース10を収納できる棚として構成される。また、図3では右端のディスクケース10だけ内部にディスクが収納されている状態を示しているが、その他のディスクケース10についても内部にディスクが収納されている。
【0035】
次に、図3及び図4の構成の収納棚20に接続されるリーダ・ライタなどの構成を、図5を参照して説明する。
収納棚20の底板22に配置した各コイルアンテナ21a〜21nは、図5に示すように、切り替えスイッチ44に接続してあり、そのスイッチ44を介してリーダ・ライタ42と接続される。切り替えスイッチ44は、管理部41からの指令に基づいて、アンテナ制御部43が切り替え制御する。例えばアンテナ制御部43の制御で、切り替えスイッチ44は、複数のコイルアンテナ21a〜21nを所定時間ごとに順に選択して接続させる切り替え処理を行う。例えばコイルアンテナ21a〜21nが100個である場合、その100個のコイルアンテナ21a,21b,・・・を順に選択して、リーダ・ライタ42に接続させて、その接続されたコイルアンテナで通信を行う。
【0036】
またアンテナ制御部43は、各コイルアンテナ21a〜21nの制御信号入力端子52(図2参照)に対して、スイッチSのオン・オフ制御信号を供給する。この制御信号は、通信中のコイルアンテナのスイッチSをオン状態とし、他のコイルアンテナのスイッチSをオフ状態とする信号である。
【0037】
各コイルアンテナ21a〜21nが接続されるリーダ・ライタ42は、接続されたコイルアンテナから磁束を出力させて、ブースタアンテナ3を介して近接したRFIDチップと無線通信を行って、そのRFIDチップからデータを読み出すと共にデータを書き込ませる処理が行われる。このリーダ・ライタ42による読み出し及び書き込みについては、近距離無線通信により読み書きを行うリーダ・ライタとして一般的なものが適用可能である。
【0038】
リーダ・ライタ42は、ディスクの管理を行う管理部41に接続してある。この管理部41とその周辺の処理部は、例えばパーソナルコンピュータ装置とその周辺機器で構成される。
リーダ・ライタ42は、タグシート2側のRFIDチップから通信で得たデータを管理部41に送ると共に、管理部41から供給された書き込ませる必要のあるデータを、タグシート2側のRFIDチップに送信させる。
管理部41には、収納棚20で保管するディスクについてのデータを、データベース48として保持する。このデータベース48は、ディスクのコード番号や、ディスクに記録されたコンテンツに関するディスクなどの他に、どの収納棚20のどの位置に配置されるのかのデータや、貸し出し中か否かなどのデータが保存される。
【0039】
管理部41には、ディスプレイ45が接続してあり、ディスプレイ45で管理状態を表示させることができる。また、キーボードなどの入力部46を備えて、各種データの入力が行える構成としてある。
さらに、収納棚20に配置したLED31a〜31nの点灯を制御する点灯制御部47を備え、管理部41からの指令で、各LED31a〜31nを個別に点灯させることができる。例えば図2に示すように、ディスクケース10が置かれた位置に対応した特定のLED例えば31bのみを点灯させることも可能である。
【0040】
以上説明した構成とすることで、RFIDチップと通信を行う際には、RFIDチップが貼り付けられたディスクが収納されたディスクケース(図1でのディスクケース10a)と通信中のアンテナ(図1でのコイルアンテナ21c)については、無線通信するのに適した共振周波数f1となり、その他のアンテナについては、異なる共振周波数f2となり、通信中のアンテナが、隣接した他のアンテナと相互干渉することがなくなる。従って、リーダ・ライタ用の通信回路に接続されたアンテナと、RFIDチップとの無線通信が良好に行え、特定の1枚のディスクに貼り付けられたRFIDチップと確実に通信ができる。
このように特定の1枚のディスク側と通信できることで、ディスクの収納位置を判別することができ、ディスクの管理が良好に行える効果を有する。即ち、収納棚に置かれた全てのディスクについて、データベースに登録されたディスクと一致するか否かの管理が行え、また、それぞれのディスクの収納位置が正しいかについても判るようになる。
【0041】
図6は、コイルアンテナの他の回路構成を示した図である。この例では、各コイルアンテナ21a,21b,21c・・・として、それぞれコイルLとコンデンサCとの並列回路を用意する。そして、リーダ・ライタ42の出力端子を、第1の切り替えスイッチS11の可動接点に接続する。この第1の切り替えスイッチS11の各固定接点は、それぞれのコイルアンテナ21a,21b,21c・・・を構成するコイルLとコンデンサCとの並列回路の一端に個別に接続する。コイルLとコンデンサCとの並列回路の他端は接地側に接続する。
さらに、それぞれのコイルアンテナ21a,21b,21c・・・を構成するコイルLとコンデンサCとの並列回路の一端を、第2の切り替えスイッチS12の各固定接点に接続する。この第2の切り替えスイッチS12の可動接点は、コンデンサCを介して接地側に接続する。
第1の切り替えスイッチS11と第2の切り替えスイッチS12は、通信を行うアンテナの切り替えに連動して切り替わるスイッチである。
【0042】
この図6に示す構成としたことで、通信中のアンテナについては、第1の切り替えスイッチS11でリーダ・ライタ42が接続されると共に、第2の切り替えスイッチS12を介してコンデンサCが接続され、コイルLとコンデンサC,Cで共振周波数が決まる。これに対して、その他のアンテナについては、コンデンサC2が接続されず、コイルLとコンデンサCで共振周波数が決まる。従って、図2の例と同じ共振周波数f1,f2が設定され、図2の例と同様の効果を有する。
【0043】
なお、上述した実施の形態で各図に示した構成や処理は、好適な一例を示したものであり、本発明は、これらの構成や処理に限定されるものではない。例えば、図2や図6以外の回路構成としてもよい。
【0044】
また、本実施の形態においては、図7に示すようにRFIDタグが取付けられたシートをディスクの中心近傍に貼付けたものを使用したが、その他の構成でディスクにRFIDタグが取付けたれたものに適用してもよい。例えば、ディスクにRFIDタグが埋め込まれたものに適用してもよい。或いは、ディスクケースにRFIDタグが貼付けられたものにも適用が可能である。さらに、ディスク以外のRFIDタグが貼付けられた(埋め込まれた)メディアを収納する棚などで管理を行う場合にも適用可能である。
【0045】
また、上述した実施の形態では、アンテナの共振周波数を変える処理として、通信中のアンテナ以外の全てのアンテナの共振周波数を変えるようにした。このように通信中以外の全てのアンテナの共振周波数を変えるのが好ましいが、少なくとも通信中のアンテナに隣接して配置されたアンテナの共振周波数を変え、その他のアンテナについては、共振周波数を変えない構成としてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1…ディスク、1a…孔、2…タグシート、2a…孔、2b…RFIDチップ、2c…コイルアンテナ、2d…同調回路、3…ブースタアンテナ、3a…第1コイルアンテナ、3b…同調回路、3c…第2コイルアンテナ、4…リーダ・ライタ、4a…コイルアンテナ、4b…同調回路、4c…主回路、10,10a,10b…ディスクケース、11…下ケース、12…上ケース、13…ディスクトレイ、14…ディスク載置部、15…ディスク保持機構、16…孔、17…端面、18…支点部、20…収納棚、21a〜21n…コイルアンテナ、22…底板、23…仕切り板、31a〜31n…LED、41…管理部、42…リーダ・ライタ、43…アンテナ制御部、44…切り替えスイッチ、45…ディスプレイ、46…入力部、47…点灯制御部、48…データベース、51…RF入出力端子、52…制御信号入力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リーダ・ライタに接続されたアンテナと無線通信を行う非接触無線タグを有するメディア又はメディアケースを複数収納して管理するディスク管理システムにおいて、
前記メディア又はメディアケースが配置されるそれぞれの収納位置に対応して配置された複数のリーダ・ライタ用アンテナと、
前記複数のリーダ・ライタ用アンテナの内で、通信を行うリーダ・ライタ用アンテナを選択する選択手段と、
前記選択手段で選択されたリーダ・ライタ用アンテナを、前記無線通信を行う周波数に対応した第1の共振周波数とし、少なくともその第1の共振周波数のリーダ・ライタ用アンテナに隣接して配置されたリーダ・ライタ用アンテナを、前記第1の共振周波数と異なる第2の共振周波数としたことを特徴とするメディア管理システム。
【請求項2】
請求項1記載のディスク管理システムにおいて、
前記リーダ・ライタ用アンテナは、コイルと第1のコンデンサと第2のコンデンサとを並列接続して構成される共振回路を備え、
前記第2のコンデンサの接続と非接続の切り替えで、前記第1の共振周波数と前記第2の共振周波数を切り替えることを特徴とするメディア管理システム。
【請求項3】
近接した非接触無線タグと無線通信を行うアンテナを複数並べて配置し、
その複数並べて配置したアンテナの内の選択されたアンテナを通信回路に接続して、前記非接触無線タグと無線通信を行って、前記非接触無線タグからの読み出し及び/又は前記非接触無線タグへの書き込みを行うリーダ・ライタにおいて、
前記選択されたアンテナを、前記無線通信を行うための第1の共振周波数とし、
少なくともその第1の共振周波数のアンテナに隣接したアンテナを、第2の共振周波数としたことを特徴とするリーダ・ライタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−211537(P2010−211537A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−57157(P2009−57157)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(506150146)ビフレステック株式会社 (16)
【Fターム(参考)】