説明

メディア記憶デバイスを管理する方法および装置

(i)記憶デバイスの現在の記憶状態と、(ii)記憶デバイスの記憶容量と、(iii)記憶中のメディアブロックの少なくとも1つの特性とを決定するために、それぞれの要求を評価することにより複数の記憶デバイス(12および12)を有するシステムの効率を向上させる。書込要求の評価に従い複数の記憶デバイスの中から1つの選択が、発生する。その後、メディアブロックは選択された記憶デバイスに書き込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視聴覚プログラムのようなメディアを記憶するため記憶エリアネットワーク等のような記憶デバイスの管理に関する。
【背景技術】
【0002】
伝統的に、ファイバチャネルの記憶エリアネットワークは、しばしば、テレビプログラムおよび映画形式の視聴覚プログラム用に記憶を提供する場合、ファイバチャネルSANと呼ぶ。このような視聴覚プログラムは、典型的に、ビデオ、オーディオ、補助データ、およびタイムコード情報を含む。このようなファイバチャネルSANの専門的なユーザ、例えばテレビ放送者は、非常に高性能で比較的短い待ち時間のため、一般的にこの形式の記憶に依存している。実際、今日のファイバチャネルSANは、数秒またそれ以下の程度の故障回復時間を提供している。残念ながら、今日のファイバチャネルSANの高性能で短い待ち時間は、購入価格に関しては比較的高価であること、および操作が複雑であることによりもたらされている。
【0003】
インターネット小形計算機システムインタフェース(iSCSI)標準を使用するもののような、より最近のインターネットプロトコルベースの記憶SANが、ファイバチャネルSANの代替案として出現した。ファイバチャネルSANと比較すると、iSCSIベースのSANは、低価格のハードウェアを使用するため、はるかに低価格である。しかしながら、iSCSIベースのSANは待ち時間が長いという不利な点を招く。数秒またはそれ以下の故障回復時間を有する殆どのファイバチャネルSANと比較して、今日のiSCSIベースのSANは30秒またはそれ以上の故障回復時間を有する。そのように長い回復時間は、専門的な使用にiSCSIベースのSANを採用することにより抑止力として働いている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、今日のiSCSIベースのSANは、データ記録のための信頼性に関して何の保証も提供することができないという不利な点を被っている。テレビ放送者のような専門的ユーザは、記憶媒体にメディアを記録した後、全ての資産をチェックする必要性なしで、記憶デバイス上に記録されたメディアが実際に記憶されたという保証を望んでいる。実際、このような専門的ユーザは、メディアサーバと記憶媒体間のデータフローに重大な混乱を引き起こすような如何なるシステム故障があっても、記録されたメディアの完全性に関する保証の方をむしろ望む。
【0005】
それ故、上述の従来技術の不利な点を克服する記憶技術に対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
簡単に、本原理の好ましい実施形態に従い、複数の記憶デバイス間の効率を向上する方法を提供する。上記方法は、まず記憶の少なくとも1つのメディアブロックを書き込む書込要求を評価することから始まり、(i)記憶デバイスの現在の記憶状態と、(ii)記憶デバイスの記憶容量と、(iii)記憶中のメディアブロックの少なくとも1つの特性とを決定する。多くの記憶デバイスから1つを選択することは、書込要求を評価することに従って行われる。その後、メディアブロックは、選択された記憶デバイスに書き込まれる。
【0007】
本出願は、米国法典第35巻第119条(e)の下で、2005年11月4日に出願された米国仮特許出願番号60,733,862の優先権を主張し、当該出願の教示はここに組み込まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下にさらに詳しく議論するように、記憶エリアネットワーク(SAN)内の一組の記憶デバイスのような記憶システム内の効率は、デバイスの容量とデバイスの利用法および記憶中のデータの性質に従い、デバイスにわたる記憶を最大にすることにより向上できる。
【0009】
図1は、メディアブロックの記憶を制御するための制御装置10を示し、以下メディアパスオーバシアと呼ぶ。図1の図示される実施形態において、メディアパスオーバシア10は、複数のキャッシュメモリ内のメディアブロックの一時的記憶を効率的に管理することにより、メディアブロックの記憶を制御し、前記キャッシュメモリは、キャッシュメモリ12およびキャッシュメモリ12として説明のために示し、インターネット小形計算機システムインタフェース(iSCSI)プロトコル構成16を介してキャッシュメモリ12と連結するディスク14の記憶の前に置かれる。図1は、例示のため2個のキャッシュメモリ12,12を示すが、メディアパスオーバシア10は、以下の議論から明らかになるように、多数のキャッシュメモリを容易に制御できる。
【0010】
キャッシュメモリ12のような典型的キャッシュメモリは、メディアブロックのために一時的記憶を提供するメモリベイ20を制御するマイクロプロセッサまたはマイクロコンピュータのようなプロセッサ18を備える。キャッシュメモリは、メディアデバイス22により説明のために示される1つ以上のメディアデバイスから受信した1つ以上のメディアブロックを記憶する。典型的なメディアデバイスは、1つ以上のビデオストリーム、1つ以上の関連するオーディオストリーム、補助データおよびタイムコード情報を生成するか、または再生する。
【0011】
図2は、あるキャッシュメモリ(例えばキャッシュメモリ12)のメモリベイ20ともう1つのキャッシュメモリ(例えばキャッシュメモリ12)のメモリベイとの仮想リンケージを示す。多数の記憶デバイスの場合において、キャッシュメモリのメモリベイ20の間に仮想接続が存在するであろう。図2に示されるように、所定のキャッシュメモリ内のメモリベイ20は、メディアブロックの形式およびメディアトラック数(例えば、ビデオとオーディオの異なるストリームの数および付随する補助データ数およびタイムコード情報数)に基づき、複数の個別メモリキャッシュを有する。議論の目的で、メディアブロック内のメディアトラックは、(a)ビデオストリームと、(b)1つ以上の関連するオーディオストリームと、(c)関連する補助データセグメントと、(d)所定のビデオストリームに関連するタイムコード情報を具備する。
【0012】
図2に図示される実施形態において、記憶中のメディアブロックは、典型的に4つのトラックを有する。4トラックを含むこのようなメディアブロックに対応するために、キャッシュメモリ12のようなキャッシュメモリ内のメモリベイ20は、それぞれ4個のビデオストリームを記憶するため、メモリキャッシュ24〜24を有するであろう。典型的には、所定のビデオストリームは、8個の関連するオーディオストリームを異なる言語で有する。それ故、4ビデオストリームで合計32の関連するオーディオストリームを有し、それぞれメモリベイ20のキャッシュ26〜2632に記憶される。4個のビデオストリームの中の対応する1つに関連する補助データは、それぞれ、メモリベイ20内のキャッシュ28〜28の中の対応する1つに記憶される。最後に、4個のビデオストリーム中の相当する1つに関連するタイムコード情報は、メモリベイ20内のキャッシュ28〜28の中の個別の1つに記憶される。より多くのまたはより少ないトラック数を有するメディアブロックの記憶のため、所定のメモリベイ20はそれぞれより多くのまたはより少ないキャッシュを必要とするであろう。
【0013】
図1の記憶システムのような典型的記憶システムは、複数の利用可能なキャッシュメモリを有するであろう。典型的には、キャッシュメモリの中の1つは、しばしば最高順位キャッシュメモリと呼ばれるが、そのクライアントの他のキャッシュメモリよりiSCSI構成に接続する大きな帯域幅を有するであろう。図1に図示される実施形態において、キャッシュメモリ12は、ディスク14へメディアブロックを転送するため、iSCSI構成16に接続する最大の帯域幅を有する。それ故、ディスク14に対する後続の書き込みのため、最高順位キャッシュメモリ(例えば、キャッシュメモリ12)にメディアブロックを書き込むことは、他の(例えば、より低順位の)キャッシュメモリからブロックをディスクに直接書き込むことより、より大きな効率をもたらす。例えば、別のキャッシュメモリ(例えば、キャッシュメモリ12)のメモリベイ20に現在存在するメディアブロックは、ディスク14上に書き込むため、キャッシュメモリ12からディスクに書き込むよりむしろ、キャッシュメモリ12のメモリベイ20に転送されるであろう。
【0014】
メディアデバイス22からディスク14へのメディアブロックの書き込みは、以下の様な方法により生ずる。最初に、メディアデバイスの中の1つ(例えば、メディアデバイス22)はディスク14にメディアブロックを書き込むため、書込要求を発行する。メディアパスオーバシア10は書込要求を受信し、そしてそれに応答して、ノンブロッキング法で一組の個別キューの中の1つに前記要求を置く。特定のキューから抽出された所定の書込要求のため、メディアパスオーバシア10は、(i)記憶デバイスの現在の記憶状態と、(ii)記憶デバイスの記憶容量と、(iii)記憶中のメディアブロックの少なくとも1つの特性とに基づき、前記要求を評価する。
【0015】
メモリ記憶デバイスの現在の状態に関して、メディアパスオーバシアはキャッシュメモリの現在の記憶容量を考慮に入れる。つまり、メディアパスオーバシア10は、各々のキャッシュメモリがどの程度かを決定する。具体的には、メディアパスオーバシア10はキャッシュメモリのフィル状態を決定する。とりわけ、メディアパスオーバシアは最高順位のキャッシュメモリ(例えば、キャッシュメモリ12)のフィル状態とキャッシュメモリがメディアブロックをディスク14に排出する速度を決定する。記憶デバイスの記憶容量に関しては、メディアパスオーバシアはメモリベイ20の個別のキャッシュ数を考慮に入れる。また、メディアパスオーバシア10は、書込要求で具体的に表現されている各メディアブロックの特性およびトラックの特別な形式と数を評価し、キャッシュメモリの中のどれがそのようなブロックを記憶する能力を有するかを決定する。
【0016】
典型的には、メディアパスオーバシア10は、各種のメディアデバイスからそれぞれのドライバを介して書込要求を受信する。各種の書込要求を評価するため、メディアパスオーバシア10は、各種のキャッシュメモリ間のメディアブロックの一時的記憶を効率的に管理することができる。さらに、メディアパスオーバシアは、ディスク14に書き込む前に、メディアブロックがより低位のキャッシュメモリ(例えば、キャッシュメモリ12)から最高位のキャッシュメモリ(例えば、キャッシュメモリ12)に転送するという事実を考慮に入れる。それ故、ディスクに書き込むデータを転送するため、最高位のキャッシュメモリの利用可能な容量がより低位のキャッシュメモリの能力を決定する。
【0017】
メディアパスオーバシア10は、ラウンドロビン方式で各種のキューに関連して書込要求を抽出するため、“ライトヘルパ”タスクを実行する。キャッシュメモリ12に最初に一時的に記憶されたメディアブロックをディスク14への書込要求のため、メディアパスオーバシア10は、容量が存在すると仮定する最高位のキャッシュメモリ(例えば、キャッシュメモリ12)のメモリベイ20にダイレクトメモリアドレス(DMA)転送の手配をする。キャッシュメモリ12のメモリベイ20への転送が完了次第、メディアパスオーバシア10は、実際の書き込みがまだ生じていなくても、ディスク14に書き込むブロックを送信したメディアデバイス22に警告する。より低位のキャッシュメモリのメモリベイ20から最高位のキャッシュメモリのメモリベイ20にDMA転送が生じたことを知ると、より低位のキャッシュメモリ(例えば、キャッシュメモリ12)にメディアブロックの書き込みが可能となる。
【0018】
1つ以上のメディアブロックで今書き込まれた最高位のキャッシュメモリ(例えば、キャッシュメモリ12)のメモリベイ20は、次にディスク14に前記ブロックを書き込み始める。以下にさらに詳しく議論するように、最高位のキャッシュメモリからディスク14へのメディアブロックの書き込みは、メディアブロックに封入された実時間ビデオストリームの速度の2倍を超えない速度で生じる。最高位のキャッシュメモリがディスク14に書き込む速度を測定することにより、ディスク14に書き込むため、多くのクライアントが自身の最高位のキャッシュメモリにフラッシュする時間、サージの可能性を削減するであろう。つまり、ディスク14への書き込み速度を測定してサージを抑え、その結果、他のメディアサーバ(図示せず)は、混乱なしにiSCSI構成16を使用できる。ディスク14への書き込みに続いて、メディアブロックは次に、最高位のキャッシュメモリ(例えば、キャッシュメモリ12)のメモリベイ20からクリアされる。
【0019】
図3は、より低位のキャッシュメモリ(例えば、キャッシュメモリ)から最高位のキャッシュメモリ(例えば、キャッシュメモリ12)にDMA転送する通常(定常状態)の動作に関連する4つの状態の中の1つを、個別に示すメモリ状態図を表現している。図3の状態1に示すように、最初は、キャッシュメモリ12およびキャッシュメモリ12のメモリベイ20は空のままである。次の段階(状態2)の間、キャッシュメモリ12のメモリベイ20には、メディアブロックが書き込まれる。その後、状態3に示すように、キャッシュメモリ12のメモリベイ内のメディアブロックは、DMA転送を介してキャッシュメモリ12(例えば、最高位のメモリバンク)のメモリベイ20に転送する。最終的には、状態4に示すように、図1のディスク14にメディアブロックを書き込み、最高位のキャッシュメモリのメモリベイ20をクリアする。
【0020】
前に議論したように、最高位のキャッシュメモリ(例えば、図1のキャッシュメモリ12)のメモリベイ20からのメディアブロックの書き込みを測定し、その結果、メディアブロックに封入された実時間ビデオストリームの速度の2倍を超えない速度で、前記書き込みは生じる。典型的には、図1のiSCSI構成16のようなiSCSIネットワークのメディアサーバは、事実上、1つ以上の“ブリッジ”サーバに対してクライアントを構成する。多数のブリッジサーバで、iSCSIネットワークのトラフィックは、各ブリッジサーバで均等に分布する。ネットワーク部品、スイッチ、ブリッジサーバ、ポート等の故障のような故障のイベントでは、メディアサーバの最大半分が前記ネットワーク内の代替パスに“フェイルオーバ”するであろう。この“フェイルオーバ”のイベントは最高30秒またはそれ以上かかり得る。この時間の間、仮想的にリンクしたキャッシュメモリは満杯になり、ある点で、ディスク14へ最終的に転送するため、最高位のキャッシュメモリにその記憶されたメディアブロックを排出する。
【0021】
フェイルオーバイベントが完了し、接続が回復する場合、メディアサーバの最大半分は、自身の関連するキャッシュメモリを著しく満杯にし、自身の記憶されたメディアブロックを今や排出しなければならない。しかしながら、もし、前記記憶されたメディアブロックが全て一度に排出するなら、ディスク14へのデータの“サージ”が生じるであろう。これは、まだ同じiSCSI構成16で動作中のメディアサーバの他の半分を潜在的に混乱させることに導く可能性がある。
【0022】
同じネットワークの他のメディアサーバの混乱を回避するため、本原理の態様に従い、サージ予防技術は、メディアサーバが自身の関連するキャッシュメモリを同時に排出する影響を緩和する役目を果たす。サージ予防技術は、仮想的にリンクしたキャッシュメモリが、メディアブロック転送の定常状態実時間速度の2倍より速くはない速度で、自身の記憶されたメディアブロックを排出することを保証する。サージ予防技術は、メディアブロック内に封入されたビデオ型式について知識を保有していなければならない。各種のビデオ型式は異なるフレーム速度特性を有し、このことは、メディアブロックがディスク14に排出する速度が異なるということを生じさせる。
【0023】
実例となる実施形態において、同じネットワークおよび記憶媒体を共有する他のメディアサーバに混乱が全く生じないようにするため、次式は、メディアブロックの測定を決定するのに役に立つ。
τ=1000/(f×δ)−θ m.s.
ここで、
τは、ミリ秒単位のメータ時間であり、
fは、特定のトラックおよびメディアキャッシュと関連する特定のビデオ型式に対するビデオフレーム速度であり、
δは、サージ予防技術が超えないであろう排出速度であり、典型的には1.5と2.5の間、すなわち言い換えれば、1.5x−2.5x(ビデオの定常状態トラックの標準速度)であり、
θは、記憶媒体がこの型式の要求のサービスに費やす平均時間(ミリ秒単位)である。
【0024】
しばしば、メディアサーバは、ビデオフレームをまとめて1つの大きな単一の入力/出力(I/O)要求にする。フレームを結合することは、記憶媒体の性能を最大にする役目を果たす。そのような場合には、サージ緩和式は次の型式を取る。
τ=(1000×η)/(f×δ)−θ m.s.
ここで、τ、f、δおよびθは上記と同じであり、ηは1つの大きな単一I/O要求にまとめられたビデオフレーム数である。
【0025】
放送品質のビデオに対する典型的なフレーム速度fには、60、50、30、25および24フレーム/秒、を含む。例としてこれらのf速度の中の1つを使用し、f=30フレーム/秒の場合では、η=6ビデオフレーム/(まとめられたI/O要求)とし、排出速度δ=2、そして平均記憶媒体サービス時間θ=30を選択すると、各まとめられたI/O要求は、((1000×6)/(30×2))−30すなわち約70ミリ秒毎に1回より早くない速度で、図1のディスク14に書き込まれる。重要なことは、δは常に1より大きく選択することであり、1.5と2.5の間が望ましい。これが保証するところは、充満となる速度より速い速度でキャッシュメモリは排出するが、故障が起こった直後に他のメディアサーバの邪魔をするほど早くはない、ということである。
【0026】
典型的には、メディアサーバは、所定のメディアファイルのために、記憶媒体に対して多数の顕著なI/O要求を発行する。このような多数の要求を発行することは、各要求に伴う典型的なトランザクションオーバヘッドをマスクすることにより、性能を向上する役割を果たす。このような場合では、サージ緩和式は次の型式を取る。
τ=(1000×η×σ)/(f×δ)−θ m.s.
パラメータτ、f、δ、ηおよびθは前と同じであり、σは、I/O要求が発行された時のこのメディアファイルに対する顕著な要求の数である。多数の顕著なI/O要求が所定のファイルのために記憶媒体に発行された場合、所定の顕著なI/O要求のメータ時間τは、同じファイルに対する他の顕著なI/O要求と多かれ少なかれ同じ時に終了する。例えば、同じメディアファイルに次々と発行される3個の顕著なI/O要求が存在する場合を考えられたい。
τ―――――――→
τ’―――――――→
τ”―――――――→
メータ時間τ、τ’およびτ”は、一斉に、シリアルではなく、走る。そのため、この“マスク”効果を上記のサージ緩和式に組み込むことは重要なことである。これらの要因全てを考慮に入れて、サージ緩和メカニズムは、システムの全ての部分に対して最適な速度で、入りメディアブロックと出メディアブロックを整列させる。
【0027】
実際には、最高位のメモリキャッシュ(例えば、メモリキャッシュ12)と関連するプロセッサ18は、メモリベイ20およびディスク14との間の最終的ライトトランザクションを管理し、また、上記のサージ予防技術を実装する。サージ予防技術は定常状態および故障状態の両方の条件下で連続的に走行する。定常状態動作の下では、書込要求は1×(実時間)より早く生じることは決してない。従って、サージ予防技術は関与しない。メディアブロックのサージが無い場合は、サージ予防技術は、存在するが、全く影響が無い。しかしながら、キャッシュメモリが満杯または部分的に満杯になり、最高位のメモリキャッシュを介してディスク14に排出準備をするようになる場合、上記の式により、サージ予防技術はディスク14へのメディアブロックの転送を減衰させる。特定のビデオトラックに関連する書込要求を時間量τ毎に1つに制限して、メディアブロックを測定する。これは、トラックの測定は個別に生じるため、他のメディアトラックに関連するメディアブロックの書き込みを妨げない。
【0028】
一般的に、オーディオ、補助データおよびタイムコード情報の排出を測定する必要性は全く存在しない。実際、オーディオ、補助データおよびタイムコードのメディアブロックのビデオメディアブロックに対する比率は重要でないままである。それ故、起こる可能性のあるサージは、全てはるかに少ない規模で存在するであろうし、他のメディアサーバを混乱させそうでもないであろう。しかしながら、上述のサージ予防技術は、オーディオ、補助データおよびタイムコード情報の排出を測定することにも同様に役に立つ可能性がある。
【0029】
本原理のサージ予防技術を使用してメディアブロック転送速度を測定することが、いかにサージを予防することができるかを評価するため、低速ディスク14状態の1つまたは両方に関連する、または、iSCSI構成16上への多くの動作の流入に関連する各種状態を示す状態図を表す図4を参照されたい。最初に、図4の状態1で示すように、キャッシュメモリ12およびキャッシュメモリ12のメモリベイ20は空のままである。次の段階(状態2)の間、キャッシュメモリ12のメモリベイ20を最初メディアブロックで書き込み、図4のメディアブロック0と指定する。その後、状態3が示すように、キャッシュメモリ12のメモリベイ20のメディアブロック0を、キャッシュメモリ12(例えば、最高位のメモリバンク)のメモリベイ20にDMA転送する。DMA転送の後、キャッシュメモリ12のメモリベイ20のメディアブロック0をクリアする。
【0030】
次の状態(状態4)の間、キャッシュメモリ12のメモリベイ20に、もう1つのメディアブロック(ブロック1)を書き込み、一方、最初のメディアブロック(ブロック0)はキャッシュメモリ12のメモリベイ20にそのまま残る。状態5の間、キャッシュメモリ12のメモリベイ20からキャッシュメモリ12のメモリベイにメディアブロック1を転送する。転送に続いて、メディアブロック1を、キャッシュメモリ12のメモリベイ20からクリアする。状態6で示すように、nを通じるメディアブロック2の転送は、前に説明した方法で、キャッシュメモリ12(最高位のキャッシュメモリ)のメモリベイ20が満杯になるまで続く。
【0031】
議論の目的で、状態6の最初に、低速ディスクまたは輻輳したiSCSI構成状態またはその両方が起こったと仮定する。そのような状況があると、メディアブロックを図1のディスク14に排出することを少なくとも妨げるであろう。キャッシュメモリ12のメモリベイ20が今やこの時点で満杯になったとしても、メディアブロックをキャッシュメモリ12のメモリベイ20に書き込むことは、その時でも生じることが可能であり、それは、そのキャッシュメモリから転送する各メディアブロックを、転送後クリアするからである。それ故、状態7の間、メディアブロックn+1(ここでnは整数)を、キャッシュメモリ12のメモリベイ20に書き込む。状態8の間、メディアブロックn+2を、キャッシュメモリ12のメモリベイ20に書き込む。キャッシュメモリ12のメモリベイ20への追加のメディアブロックを書き込むプロセスは、状態9に示すように、メディアブロックn+mをキャッシュメモリ12のメモリベイ20に書き込むまで続く。
【0032】
状態10で、低速度ディスクおよび/または輻輳したiSCSI構成条件がすでに存在せず、キャッシュメモリ12のメモリベイ20に記憶されたメディアブロックは今や図1のディスク14に排出し始めることが可能と仮定しよう。そのような条件では、メディアブロックの排出を測定するため、上記で議論したサージ抑圧技術を呼び出す。サージ抑圧技術の呼び出し後直ちに、キャッシュメモリ12のメモリベイ20内の前記メディアブロックは、ブロック0で開始し、前記ブロックに封入されたビデオストリームの実時間速度の2倍を超えない測定速度で排出される。
【0033】
キャッシュメモリ12のメモリベイ20内のメディアブロックのあるパーセント(例えば、20%)が図1のディスク14に排出された後、キャッシュメモリ12のメモリベイ20からキャッシュメモリ12へメディアブロックn+1のDMA転送が、状態11に示すように生じる。キャッシュメモリ12とキャッシュメモリ12との間の転送は、ハードウェアが許す限り早く生じる。対照的に、キャッシュメモリ12(最高位のキャッシュメモリ)のメモリベイ20からディスク14へのメディアブロックの排出は、以前に説明した方法で測定した速度で継続する。キャッシュメモリ12のメモリベイ20からキャッシュメモリ12のメモリベイ20へ1つずつメディアブロックを転送することは、メディアブロックm+nを通してメディアブロックn+1を継続する。同時に、キャッシュメモリ12のメモリベイ20は測定速度でディスク14に排出する。新しいメディアブロックは、メディアブロックpで始まり、キャッシュメモリ12のメモリベイ20に書き込まれる。状態13で始まり、定常状態動作が、キャッシュメモリ12のメモリベイ20に書き込まれた新しいメディアブロックp+1で再開する。その後、キャッシュメモリ12のメモリベイ20の前記新しいメディアブロックp+1は、キャッシュメモリ12のメモリベイ20へDMA転送され、状態14に示すように、キャッシュメモリ12のメモリベイ20からクリアされる。最終的に、状態15の間に、前記新しいメディアブロックp+1はディスク14に排出する。キャッシュメモリ12のメモリベイ20からキャッシュメモリ12のメモリベイ20へのブロックの転送およびその後のディスクへのメディアブロックの排出という定常状態プロセスは、全てのブロックの完全な転送が終了するまで継続する。
【0034】
前述で、複数の記憶デバイスの記憶を効率的に管理する技術について記載した。本原理の記憶技術は、複数のより低位キャッシュメモリの1つから、1個の最高位のキャッシュメモリにメディアブロックを転送することについて記載したが、前記技術は多数のより高位のキャッシュメモリにも等しく適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本原理の説明に役立つ実施形態に従い、記憶システム内の効率を向上するために、制御装置の概略ブロック図である。
【図2】図1の制御装置で制御される形式の一対の記憶デバイスを示す図である。
【図3】図1の制御装置で制御される一対の記憶デバイスの定常状態動作に関連する状態を示す状態図である。
【図4A】低速記憶デバイス動作に関連する状態を示す状態図である。
【図4B】低速記憶デバイス動作に関連する状態を示す状態図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の記憶デバイス間の効率を向上する方法であって、
(i)前記記憶デバイスの現在の記憶状態と、(ii)前記記憶デバイスの記憶容量と、(iii)記憶中の前記メディアブロックの少なくとも1つの特性とを決定するために、少なくとも1つのメディアブロックを記憶デバイスに書き込む書込要求を評価するステップと、
前記書込要求の評価に従って、複数の記憶デバイスの中から1つを選択するステップと、
前記選択された記憶デバイスに前記少なくとも1つのメディアブロックを書く込むステップを備える、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
さらに、前記選択された記憶デバイスから後続の記憶デバイスに前記少なくとも1つのメディアブロックを転送するステップを備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
さらに、前記少なくとも1つのメディアブロックを前記後続の記憶デバイスに転送後直ちに、前記選択された記憶デバイスをクリアするステップを備えることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
さらに、前記後続の記憶デバイスからディスクに前記少なくとも1つのメディアブロックを書き込むステップを備えることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
さらに、前記ディスクに前記少なくとも1つのメディアブロックを書き込んだ後に、前記後続の記憶デバイスから前記少なくとも1つのメディアブロックをクリアするステップを備えることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
さらに、前記少なくとも1つのメディアブロックの特性により決定された速度を超えない速度で排出するよう、前記後続の記憶デバイスからディスクへの前記少なくとも1つのメディアブロックの書き込みを規制するステップを備えることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記メディアブロックは、少なくとも1つの封入されたビデオストリームを具備し、
前記メディアブロックが前記ディスクに排出する速度は、前記ビデオストリームの実時間速度の2倍を超えないように規制されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つのメディアブロックの前記後続の記憶デバイスへの転送および前記ディスクへのメディアブロックの書き込みは、オーバラップ区間内で起こることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つのメディアブロックの前記後続の記憶デバイスへの転送および前記ディスクへのメディアブロックの書き込みは、異なる速度で起こることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項10】
少なくともメディアブロックを記憶するための複数の記憶デバイスと、
(i)前記記憶デバイスの現在の記憶状態と、(ii)前記記憶デバイスの記憶容量と、(iii)記憶中の前記メディアブロックの少なくとも1つの特性とを決定するために、少なくとも1つのメディアブロックを記憶デバイスに書込要求を評価する手段と、
前記書込要求の評価に従って、前記複数の記憶デバイスから1つを選択する手段と、
前記選択された記憶デバイスに少なくとも1つのメディアブロックを書き込む手段と
を備えることを特徴とする装置。
【請求項11】
前記記憶デバイスが、それぞれ他と接続された第1順位のキャッシュメモリを具備することを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
さらに、前記少なくとも1つのメディアブロックを受信するため、選択された記憶デバイスに接続された第2順位のキャッシュメモリを備えることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項13】
さらに、前記少なくとも1つのメディアブロックを記憶するディスクと、
前記ディスクに前記第2順位のキャッシュメモリを接続する通信パスと
を備えることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記通信パスは、インターネット小形計算機システムインタフェースを備えることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
さらに、前記少なくとも1つのメディアブロックの特性により決定された速度を超えない速度で排出するよう、前記第2順位のキャッシュメモリから前記ディスクへの前記少なくとも1つのメディアブロックの書き込みを規制する手段を具備することを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項16】
前記メディアブロックは、少なくとも1つの封入されたビデオストリームを具備し、
前記規制手段は、前記メディアブロックが前記ディスクに排出する速度が前記ビデオストリームの実時間速度の2倍を超えないように規制することを特徴とする請求項15に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公表番号】特表2009−515278(P2009−515278A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540077(P2008−540077)
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際出願番号】PCT/US2006/042825
【国際公開番号】WO2007/056067
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing 
【住所又は居所原語表記】46 Quai A. Le Gallo, F−92100 Boulogne−Billancourt, France
【Fターム(参考)】