説明

メモリカードコネクタ及び電子機器

【課題】誤操作によるデータ消失を確実に防止するために、ライトプロテクトスイッチを書き込み禁止位置に自動的に移動させることができるメモリカードコネクタを提供すること。
【解決手段】メモリカードコネクタ101は、ライトプロテクトスイッチ105を備えるメモリカード104を挿入可能とされたメモリカードコネクタであって、メモリカードの挿入に連動して、ライトプロテクトスイッチのメモリカードコネクタ内における挿入方向側への移動を規制する当接部111bを有し、メモリカードの挿入過程において、メモリカードが挿入方向に押し込まれることで、当接部がライトプロテクトスイッチを書き込み禁止位置107へと移動させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、メモリカードコネクタ及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータ(以下、パソコンという。)、デジタルカメラ、携帯電話等の電子機器でデータを保存するための記憶装置として、メモリカードが用いられる。メモリカードは、機器から取り外し可能であり持ち運びも容易なため、データの移動に用いられる。
【0003】
例えば、デジタルカメラで撮影した画像のデータを、メモリカードを用いてパソコンに移動して、パソコンのディスプレイ上に画像を表示させることが行われる。このメモリカードによるデータ移動の際や、移動先の電子機器でデータを取り扱う際に、誤操作によってメモリカードに保存されたデータを消去してしまう場合がある。また、メモリカードは、操作に不慣れな利用者にも普及してきており、誤操作によるデータ消失を防ぐ必要がある。
【0004】
このような誤操作によるデータ消失を防ぐために、メモリカードにはライトプロテクトスイッチが備えられている。ライトプロテクトスイッチを書き込み可能位置から書き込み禁止位置に移動することで、メモリカードへのデータの書き込みが禁止される書き込み禁止状態に設定できる(特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、メモリカードを書き込み禁止状態に設定するためには、ライトプロテクトスイッチを書き込み可能位置から書き込み禁止位置に手動で移動しなければならないため、利用者がライトプロテクトスイッチの移動を忘れた場合には、誤操作によるデータ消失を防ぐことができないという問題がある。
【0006】
【特許文献1】特開2001−188701号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、誤操作によるデータ消失を確実に防止するために、ライトプロテクトスイッチを書き込み禁止位置に自動的に移動させることができるメモリカードコネクタ及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明の一態様によれば、データの書き込みが可能な状態を示す書き込み可能位置とデータの書き込みが禁止される状態を示す書き込み禁止位置とに移動可能なライトプロテクトスイッチを備えるメモリカードを挿入可能とされたメモリカードコネクタであって、メモリカードの挿入に連動して、メモリカードコネクタ内におけるライトプロテクトスイッチの移動経路外から移動経路内へと移動してライトプロテクトスイッチに当接することで、ライトプロテクトスイッチのメモリカードコネクタ内における挿入方向側への移動を規制する当接部を有し、メモリカードの挿入過程において、ライトプロテクトスイッチに当接部を当接させた状態でメモリカードが挿入方向に押し込まれることで、当接部がライトプロテクトスイッチを書き込み禁止位置へと移動させることを特徴とするメモリカードコネクタが提供される。
【0009】
また、本願発明の一態様によれば、データの書き込みが可能な状態を示す書き込み可能位置とデータの書き込みが禁止される状態を示す書き込み禁止位置とに移動可能なライトプロテクトスイッチを備えるメモリカードを挿入可能とされたメモリカードコネクタであって、メモリカードの挿入に連動して、メモリカードコネクタ内におけるライトプロテクトスイッチの移動経路外から移動経路内へと移動してライトプロテクトスイッチに当接することで、ライトプロテクトスイッチのメモリカードコネクタ内における挿入方向側への移動を規制する当接部を有し、メモリカードの取り出し過程において、ライトプロテクトスイッチに当接部を当接させた状態でメモリカードが挿入方向に押し込まれることで、当接部がライトプロテクトスイッチを書き込み禁止位置へと移動させることを特徴とするメモリカードコネクタが提供される。
【0010】
また、本願発明の一態様によれば、データの書き込みが可能な状態を示す書き込み可能位置とデータの書き込みが禁止される状態を示す書き込み禁止位置とに移動可能とされたライトプロテクトスイッチを備えるメモリカードを挿入可能とされた挿入部と、挿入部に挿入された状態のメモリカードのライトプロテクトスイッチに当接して、書き込み可能位置から書き込み禁止位置に移動させる当接部と、当接部によるライトプロテクトスイッチの移動を制御する制御部と、を有する電子機器が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、メモリカードをメモリカードコネクタに挿入する際に、ライトプロテクトスイッチが当接部によって自動的に書き込み禁止位置に移動されるので、メモリカードの取り出し時には必ず書き込み禁止状態に設定される。これにより、メモリカードが他の電子機器等に差し替えて使用される場合に、誤操作によるデータ消失を防ぐことができるという効果を奏する。
【0012】
また、本発明によれば、メモリカードを取り出す際に、ライトプロテクトスイッチが当接部によって自動的に書き込み禁止位置に移動されるので、メモリカードの取り出し時には必ず書き込み禁止状態に設定される。これにより、メモリカードが他の電子機器等に差し替えて使用される場合に、誤操作によるデータ消失を防ぐことができるという効果を奏する。また、メモリカードが取り出されるまでは、書き込み禁止状態に設定されないので、本発明のメモリカードコネクタを有する電子機器、例えば、デジタルカメラ等において、書き込み禁止状態を無視する機構を設けなくとも、撮影した画像データをメモリカードに書き込むことができる。
【0013】
また、本発明によれば、挿入部に挿入された状態のメモリカードのライトプロテクトスイッチが、制御部に制御された当接部によって自動的に書き込み禁止位置に移動されるので、メモリカードが他の電子機器等に差し替えて使用される場合に、誤操作によるデータ消失を防ぐことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるメモリカードコネクタの最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0015】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るメモリカードコネクタ101の概略構成を示す図である。メモリカードコネクタ101には、メモリカード104が挿入可能となっており、メモリカードコネクタ101を介してデータの書き込み・読み出しが行われる。
【0016】
まず、メモリカードコネクタ101に挿入されるメモリカード104について説明する。メモリカード104は、メモリカードコネクタ101に挿入されて使用される記憶装置である。メモリカード104は、内部にNAND型フラッシュメモリ等の記憶手段を備えており、例えば、デジタルカメラで撮影した画像のデータ等を保存することができる。メモリカードは、機器から取り外し可能となっている。なお、メモリカード104の挿入方向側を先端側とし、その反対側を後端側として定義する。
【0017】
メモリカード104には、メモリカード104へのデータの書込みが可能な書き込み可能状態又はデータの書き込みが禁止される書込み禁止状態を示すライトプロテクトスイッチ105が設けられている。ライトプロテクトスイッチ105は、メモリカードコネクタ101に対してメモリカード104の挿入方向に沿った方向に移動可能となっている。ライトプロテクトスイッチ105が先端側に移動した位置が、メモリカード104へのデータの書き込み可能状態を示す書き込み可能位置106となる。一方、ライトプロテクトスイッチ105が後端側に移動した位置が、メモリカード104へのデータの書込み禁止状態を示す書き込み禁止位置107となる。
【0018】
例えば、メモリカード104が挿入された状態において、メモリカードコネクタ101側でライトプロテクトスイッチ105の位置が判定される。ライトプロテクトスイッチ105が書き込み禁止位置にあると判定された場合には、メモリカード104に対するライトコマンドがメモリカードコネクタ101側で無効化されて、メモリカード105へのデータの書込みが行われないようにされる。
【0019】
次に、メモリカードコネクタ101の構成を説明する。メモリカードコネクタ101は、コネクタ本体102、切替機構部108を有して大略構成される。
【0020】
コネクタ本体102には、メモリカード104が挿入可能とされた挿入部102aが形成されている。挿入部102aの内部にメモリカード104を収容可能となっている。
【0021】
切替機構部108は、本体部111、圧縮バネ109を有して構成される。本体部111は、軸111cを中心として回転可能とされて挿入部102aの内部に設けられる。本体部111は、その一端側に受け部111aを備える。受け部111aは、挿入された状態におけるメモリカード104側に突出形成される。後に詳説する圧縮バネ109の作用により、メモリカード104の未挿入時には、メモリカードコネクタ101内におけるライトプロテクトスイッチ105の移動経路内(図1における二点鎖線の間)に位置する。また、受け部111は、メモリカード104の挿入時に、メモリカード104の先端側に押し込まることで、ライトプロテクトスイッチ105の移動経路外に移動される。
【0022】
本体部111は、受け部111aに対して軸111cを挟んだ他端側に、挿入された状態におけるメモリカード104側に突出形成された当接部111bを備える。当接部111bは、後に詳説する圧縮バネ109の作用により、メモリカード104の未挿入時には、メモリカードコネクタ101内におけるライトプロテクトスイッチ105の移動経路外に位置する。
【0023】
また、当接部111bは、メモリカード104の挿入時に受け部111aが移動し、本体部111が回転することで、ライトプロテクトスイッチ105の移動経路外から移動経路内へと移動する。
【0024】
圧縮バネ109は、本体部111の受け部111aが形成された一端側と挿入部102aの内壁との間に配置される。圧縮バネ109は、受け部111aをライトプロテクトスイッチ105の移動経路側に向けて付勢する。すなわち、圧縮バネ109は、メモリカード104の未挿入時において、受け部111aをライトプロテクトスイッチ105の移動経路内に位置させる機能を発揮する。
【0025】
次に、メモリカード104の挿入過程において、当接部111bがライトプロテクトスイッチ105を書き込み禁止位置に移動させる動作について図面を用いて説明する。
【0026】
図2は、メモリカード104がメモリカードコネクタ101に挿入されてメモリカード104の先端側が受け部111aに押し当てられた状態を示す図である。メモリカード104の挿入時には、当接部111bはライトプロテクトスイッチ105の移動経路外に位置しているので、メモリカード104の先端側が受け部111aに押し当てられるまでは、メモリカード104の挿入に干渉しない。
【0027】
図3は、メモリカード104の先端側が受け部111aに押し当てられた状態(図2の状態)でさらにメモリカード104が挿入方向側に押し込まれた状態を示す図である。メモリカード104がさらに押し込まれることで、受け部111aが圧縮バネ109の付勢力に抗してライトプロテクトスイッチ105の移動経路外へと移動される。受け部111aがライトプロテクトスイッチ105に移動経路外に移動すると、本体部111が回転し、当接部111bがライトプロテクトスイッチ105の移動経路内に移動してライトプロテクトスイッチ105に当接する。これにより、当接部111bによって、メモリカードコネクタ101内におけるライトプロテクトスイッチ105の挿入方向側への移動が規制される。
【0028】
図4は、ライトプロテクトスイッチ105に当接部111bを当接させた状態(図3の状態)で、さらにメモリカード104が挿入方向側に押し込まれた状態を示す図である。ライトプロテクトスイッチ105の挿入方向側への移動が当接部111bによって規制されているので、メモリカード104がさらに押し込まれると、メモリカード104のライトプロテクトスイッチ105以外の部分だけが挿入方向に移動する。すなわち、メモリカード104がさらに押し込まれることで、当接部111bが、ライトプロテクトスイッチ105を書き込み禁止位置107へと移動させる。
【0029】
なお、メモリカードコネクタ101からメモリカード104を取り出せば、圧縮バネ109の付勢力によって受け部111aがライトプロテクトスイッチ105移動経路内に移動するので、切替機構部108はメモリカード104の挿入前の状態(図1の状態)に復帰する。
【0030】
以上説明したように、メモリカードコネクタ101にメモリカード104を挿入すると、ライトプロテクトスイッチ105が当接部111bによって自動的に書き込み禁止位置107に移動されるので、メモリカード104の取り出し時には必ず書き込み禁止状態に設定されている。これにより、メモリカード104が他の電子機器等に差し替えて使用される場合に、誤操作によるデータ消失を防ぐことができる。
【0031】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態について図面を用いて説明する。上記実施の形態と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。第1の実施の形態は、メモリカード104の挿入時にライトプロテクトスイッチ105を書込み禁止位置に移動させるものであったが、第2の実施の形態では、メモリカード104の取り出し時にライトプロテクトスイッチ105を書込み禁止位置に移動させることを特徴とする。
【0032】
図5は、本発明の第2の実施の形態に係るメモリカードコネクタ201の概略構成を示す図である。メモリカードコネクタ201では、いわゆるプッシュロック−プッシュイジェクト方式と呼ばれるメモリカード104の挿入―取り出し方式が採用されている。メモリカードコネクタ201は、コネクタ本体102、切替機構部202、ガイド部203、ガイド側引張バネ205、ロッド部206を有して大略構成される。
【0033】
切替機構部202は、本体部211、切替機構側引張バネ208を備える。本体部211は、第1の実施の形態で説明したものと同様に、突出形成された当接部211bを備え、軸211cを中心に回転可能とされている。本体部211は、当接部211bに対して軸211cを挟んだ他端側がロッド部206と連結されている。また、本体部211のうちロッド部206と連結された側は、切替機構側引張バネ208に引っ張られて、矢印Xに示す方向に向けて付勢されている。
【0034】
ガイド部203は、挿入部102aの内部に配置されて、ガイド側引張バネ205によってメモリカード104の取り出し方向に向けて付勢されている。これにより、ガイド部203は、メモリカード204の挿入・取り出しに合わせて、メモリカード104の挿入方向に沿って移動する。ガイド部203には、後述するロッド部206の案内軸206cを嵌め込むための溝カム204が形成されている。
【0035】
ロッド部206は、第1ロッド206a、第2ロッド206b、案内軸206cを備える。第1ロッド206aは、切替機構部202の本体部211と案内軸206cとを連結する。第2ロッド206bは、挿入部102aの挿入方向奥側の内壁と案内軸206cとを連結する。案内軸206cは、ガイド部203の溝カム204に嵌め込まれる。案内軸206cは、第1ロッド206aを介して切替機構部202の本体部211と連結されているので、切替機構部側引張バネ208の作用により矢印Xの示す方向に付勢される。これにより、案内軸206cは、ガイド部203の移動に合わせて、溝カム204内をスライド移動する。なお、メモリカード104が挿入されていない状態では、案内軸206cはA点に位置する。
【0036】
ロッド部206は、上記構成により、切替機構部202の本体部211を回転させる機能、及び、ガイド部203の位置決めをする機能を発揮する。なお、これらの機能については後述する動作説明において詳説する。
【0037】
次に、メモリカード104の取出し過程において、当接部111bがライトプロテクトスイッチ105を書き込み禁止位置に移動させる動作について図面を用いて説明する。
【0038】
図6は、メモリカード104を挿入する際に、メモリカード104をメモリカードコネクタ201の奥まで押し込んだ状態を示す図である。この場合、溝カム204に対する案内軸206cの位置はA点からB点に変化する。しかし、案内軸206cのメモリカードコネクタ201に対する位置は変化していないため、切替機構部202の本体部211に形成された当接部211bは、メモリカードコネクタ201内におけるライトプロテクトスイッチ105の移動経路(図5における二点鎖線の間)外に位置したままである。
【0039】
図7は、メモリカード104をメモリカードコネクタ201の奥まで押し込んだ状態(図6の状態)から、ガイド部203がガイド側引張バネ205に引っ張られてロック位置まで復帰した状態を示す図である。この場合、切替機構側引張バネ208の作用により、案内軸206cの溝カム204に対する位置はB点からC点へ変化する。案内軸206cは、C点においてガイド部203が必要以上に取り出し方向側に移動するのを規制して、メモリカードコネクタ201内におけるメモリカード104の位置を適切な位置(ロック位置)に保つ。つまり、利用者は、メモリカード104を一旦奥まで押し込んでから手を離すことで、メモリカード104をロック位置に位置させることができる。
【0040】
また、案内軸206cがC点に移動することで、メモリカードコネクタ201に対する案内軸206cの位置も矢印Xが示す方向に移動する。案内軸206cの移動により、切替機構部202の本体部211が回転し、当接部211bが、ライトプロテクトスイッチ105の移動経路内に移動する。当接部211bが移動経路内に移動することで、当接部211bがライトプロテクトスイッチ105に当接する。これにより、当接部211bによって、メモリカードコネクタ201内におけるライトプロテクトスイッチ105の挿入方向側への移動が規制される。
【0041】
図8は、メモリカード104を取り出す際に、メモリカード104がロック位置にある状態(図7の状態)から、メモリカード104をさらに押し込んだ状態を示す図である。ライトプロテクトスイッチ105の挿入方向側への移動が当接部211bによって規制されたままメモリカード104がさらに押し込まれるので、メモリカード104のライトプロテクトスイッチ105以外の部分だけが挿入方向に移動する。すなわち、メモリカード104がさらに押し込まれることで、当接部211bが、ライトプロテクトスイッチ105を書き込み禁止位置107へと移動させる。
【0042】
なお、メモリカード104の取り出しは、利用者が図7の状態にあるメモリカード104を押し込んでから手を離すことで、案内軸206cがD点からA点に復帰して、メモリカード104が引き抜き可能な位置まで押し出されることにより可能となる。なお、案内軸206cがD点からA点に復帰する際に、当接部211bは移動経路外に移動するので、当接部211bがメモリカード104の取り出しの邪魔になることはない。
【0043】
以上説明したように、メモリカードコネクタ201からメモリカード104を取り出す際に、ライトプロテクトスイッチ105が当接部211bによって自動的に書き込み禁止位置107に移動されるので、メモリカード104の取り出し時には必ず書き込み禁止状態に設定されている。これにより、メモリカード104が他の電子機器等に差し替えて使用される場合に、誤操作によるデータ消失を防ぐことができる。
【0044】
また、第1の実施の形態に係るメモリカードコネクタを、例えばデジタルカメラ等の電子機器に設けた場合には、メモリカード104の挿入と同時に書込み禁止状態にされるので、書込み禁止状態を無視する機構を設けなければ、撮影した画像データ等をメモリカード104に保存できない。しかし、第2の実施の形態に係るメモリカードコネクタ201であれば、メモリカード104を取り出すまでは書き込み可能状態であるので、書込み禁止状態を無視するような機構を設ける必要がない。
【0045】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態について図面を用いて説明する。上記実施の形態と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。第1の実施の形態は、メモリカード104の挿入時にライトプロテクトスイッチ105を書込み禁止位置に移動させるものであり、第2の実施の形態は、メモリカード104の取り出し時にライトプロテクトスイッチ105を書込み禁止位置に移動させるものであったが、第3の実施の形態では、特定のイベント発生時に挿入状態にあるメモリカード104のライトプロテクトスイッチ105を書き込み禁止位置に移動させる切替機構部を備えることを特徴とする。
【0046】
図9は、本発明の第3の実施の形態に係る電子機器内部の概略構成を示す図である。電子機器301は、挿入部301a、取出スイッチ(取出操作部)302、制御部303、切替機構制御回路304、切替機構部315を有して大略構成される。
【0047】
挿入部301aは、メモリカード104が挿入可能とされ、内部にメモリカード104を収容可能となっている。挿入部301aに挿入された状態で、メモリカード104に対するデータの書き込みや読み出しが行われる。
【0048】
取出スイッチ302は、電子機器301に挿入されたメモリカード104を取り出す際に利用者によって操作される。なお、電子機器301は、取出スイッチ302が操作された際に、メモリカード104を自動的に取り出す取出機構部も備えるが、図示及び詳細な説明については省略する。
【0049】
制御部303は、後述する切替機構部315の当接部309の移動を制御する。制御部303は、取出スイッチ302が操作されると、切替機構制御回路304に向けて切替指令を送信する。
【0050】
切替機構制御回路304は、制御部303からの切替指令に基づいて切替機構部315に対する通電等を行い、当接部309等を移動させる。
【0051】
切替機構部315は、第1ソレノイド305、引張バネ306、スライド台307、第2ソレノイド308、当接部309、圧縮バネ310を備える。第1ソレノイド305は、切替機構制御回路304によって通電されると、スライド台307を矢印Pの示す方向に移動させる。引張バネ306は、スライド台307を矢印Qの示す方向に付勢する。
【0052】
スライド台307は、切替機構部315に備えられ、矢印P、矢印Qの示す方向に往復移動可能となっている。スライド台307は、第1ソレノイド305に通電されてない時は、引張バネ306の作用により矢印Qに示す方向側に位置される。スライド台307は、第1ソレノイド305に通電されると、引張バネ306の付勢力に抗して矢印Pの示す方向側に移動される。
【0053】
第2ソレノイド308は、スライド台307に備えられ、切替機構制御回路304によって通電されると、当接部309を矢印Rに示す方向に移動させる。圧縮バネ310は、スライド台307に備えられ、当接部309を矢印Sの示す方向に付勢する。
【0054】
当接部309は、メモリカード104のライトプロテクトスイッチ105を書込み禁止位置に移動させる機能を有する。当接部309は、第1ソレノイド305に通電されていないときは、ライトプロテクトスイッチ105に当接しない位置にある。第1ソレノイド305に通電されてスライド台307が矢印Pの示す方向側に移動されると、当接部309はライトプロテクトスイッチ105に当接する。
【0055】
当接部309がライトプロテクトスイッチ105に当接した状態で第2ソレノイド308に通電されると、当接部309は矢印Rに示す方向に移動して、ライトプロテクトスイッチ105を書き込み禁止位置に移動させる。
【0056】
次に、当接部309がライトプロテクトスイッチ105を書き込み禁止位置に移動させる動作について図面を用いて説明する。
【0057】
図10は、第1ソレノイド305に通電された状態を示す図である。図11は、第1ソレノイド305に通電された状態(図10の状態)で、さらに第2ソレノイド308に通電された状態を示す図である。
【0058】
挿入部301aにメモリカード104が挿入された状態で、取出スイッチ302が操作されて制御部303から切替指令が送信されると、切替機構制御回路304は、まず、第1ソレノイド305に通電する。当接部309は、第1ソレノイド305に通電されていないときは、ライトプロテクトスイッチ105に当接しない位置にあるが、第1ソレノイド305に通電されてスライド台307が矢印Pの示す方向側に移動することで、ライトプロテクトスイッチ105に当接する。
【0059】
次に、切替機構制御回路304は第2ソレノイド308に通電する。当接部309がライトプロテクトスイッチ105に当接した状態で第2ソレノイド308に通電されると、当接部309は矢印Rに示す方向に移動して、ライトプロテクトスイッチ105を書き込み禁止位置に移動させる。
【0060】
以上説明したように、第3の実施の形態によれば、取出スイッチ302が操作された際に、挿入部301aに挿入された状態のメモリカード104のライトプロテクトスイッチ105が、制御部303に制御された当接部309によって自動的に書き込み禁止位置に移動されるので、メモリカード104が他の電子機器等に差し替えて使用される場合に、誤操作によるデータ消失を防ぐことができる。
【0061】
なお、第3の実施の形態では、ライトプロテクトスイッチ105を書き込み禁止位置107に移動させる特定のイベントを取出スイッチ302の操作としているが、これに限られない。例えば、電子機器301の電源のオン及びオフを切り替えるための電源スイッチ(電源操作部)の操作を特定イベントとして、ライトプロテクトスイッチ105を書き込み禁止位置に移動させるように構成してもよい。この場合、利用者が電子機器301の電源をオフに切り替えてから手動でメモリカード104を取り出す場合であっても、電源をオフに切り替えた時点でライトプロテクトスイッチ105を書き込み禁止位置に位置させることができ、誤操作によるデータ消失を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るメモリカードコネクタの概略構成を示す図。
【図2】メモリカードがメモリカードコネクタに挿入されてメモリカードの先端側が受け部に押し当てられた状態を示す図。
【図3】メモリカードの先端側が受け部に押し当てられた状態でさらにメモリカードが挿入方向側に押し込まれた状態を示す図。
【図4】ライトプロテクトスイッチに当接部を当接させた状態で、さらにメモリカードが挿入方向側に押し込まれた状態を示す図。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るメモリカードコネクタの概略構成を示す図。
【図6】メモリカードをメモリカードコネクタに奥まで押し込んだ状態を示す図。
【図7】メモリカードをメモリカードコネクタの奥まで押し込んだ状態から、ガイド部がロック位置まで復帰した状態を示す図。
【図8】メモリカードがロック位置にある状態から、メモリカードをさらに押し込んだ状態を示す図。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係る電子機器内部の概略構成を示す図。
【図10】第1ソレノイドに通電された状態を示す図。
【図11】第1ソレノイドに通電された状態で、さらに第2ソレノイドに通電された状態を示す図。
【符号の説明】
【0063】
101 メモリカードコネクタ、104 メモリカード、105 ライトプロテクトスイッチ、106 書き込み可能位置、107 書き込み禁止位置、108 切替機構部、109 圧縮バネ、111 本体部、111a 受け部、111b 当接部、111c 軸、201 メモリカードコネクタ、202 切替機構部、203 ガイド部、204 溝カム、205 ガイド側引張バネ、206 ロッド部、208 切替機構側引張バネ、211 本体部、211b 当接部、211c 軸、301 電子機器、302 取出スイッチ、303 制御部、305 第1ソレノイド、306 引張バネ、307 スライド台、308 第2ソレノイド、309 当接部、310 圧縮バネ、315 切替機構部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データの書き込みが可能な状態を示す書き込み可能位置とデータの書き込みが禁止される状態を示す書き込み禁止位置とに移動可能なライトプロテクトスイッチを備えるメモリカードを挿入可能とされたメモリカードコネクタであって、
前記メモリカードの挿入に連動して、前記メモリカードコネクタ内における前記ライトプロテクトスイッチの移動経路外から移動経路内へと移動して前記ライトプロテクトスイッチに当接することで、前記ライトプロテクトスイッチの前記メモリカードコネクタ内における挿入方向側への移動を規制する当接部を有し、
前記メモリカードの挿入過程において、前記ライトプロテクトスイッチに前記当接部を当接させた状態で前記メモリカードが前記挿入方向に押し込まれることで、前記当接部が前記ライトプロテクトスイッチを前記書き込み禁止位置へと移動させることを特徴とするメモリカードコネクタ。
【請求項2】
データの書き込みが可能な状態を示す書き込み可能位置とデータの書き込みが禁止される状態を示す書き込み禁止位置とに移動可能なライトプロテクトスイッチを備えるメモリカードを挿入可能とされたメモリカードコネクタであって、
前記メモリカードの挿入に連動して、前記メモリカードコネクタ内における前記ライトプロテクトスイッチの移動経路外から移動経路内へと移動して前記ライトプロテクトスイッチに当接することで、前記ライトプロテクトスイッチの前記メモリカードコネクタ内における挿入方向側への移動を規制する当接部を有し、
前記メモリカードの取り出し過程において、前記ライトプロテクトスイッチに前記当接部を当接させた状態で前記メモリカードが前記挿入方向に押し込まれることで、前記当接部が前記ライトプロテクトスイッチを前記書き込み禁止位置へと移動させることを特徴とするメモリカードコネクタ。
【請求項3】
データの書き込みが可能な状態を示す書き込み可能位置とデータの書き込みが禁止される状態を示す書き込み禁止位置とに移動可能とされたライトプロテクトスイッチを備えるメモリカードを挿入可能とされた挿入部と、
前記挿入部に挿入された状態のメモリカードの前記ライトプロテクトスイッチに当接して、前記書き込み可能位置から前記書き込み禁止位置に移動させる当接部と、
前記当接部による前記ライトプロテクトスイッチの移動を制御する制御部と、を有する電子機器。
【請求項4】
前記電子機器の電源のオン及びオフを切り替える際に操作される電源操作部をさらに有し、
前記制御部は、前記電源操作部の操作により電源がオフとされる際に前記当接部による前記ライトプロテクトスイッチの移動を制御することを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記挿入部に挿入されたメモリカードを取り出す際に操作される取出操作部と、
前記取出操作部が操作された際に前記挿入部に挿入されたメモリカードの取り出し動作を行う取出し機構と、をさらに有し、
前記制御部は、前記取出操作部が操作された際に前記当接部による前記ライトプロテクトスイッチの移動を制御することを特徴とする請求項3に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−79427(P2010−79427A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−244539(P2008−244539)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(390010308)東芝デジタルメディアエンジニアリング株式会社 (192)
【Fターム(参考)】