メモリ性を有する画像表示装置
【課題】簡易な構成で、画面更新過程での不快な“ちらつき”を抑制しつつ、中間色まで含めた多階調表現を実現する。
【解決手段】電気泳動粒子は、互いに色と泳動を開始するしきい値電圧を異にするn種類の帯電粒子C1、…、Ck、…、Cnからなると共に、各帯電粒子C1、…、Ck、…、Cnは、帯電粒子C1のしきい値電圧>…>帯電粒子Ckのしきい値電圧>…>帯電粒子Cnのしきい値電圧の関係特性を満たし、かつ、電圧印加手段は、画面更新時、印加する電圧駆動波形毎に、帯電粒子C1→、…、→Ck→、…、→Cnの順に、各帯電粒子の相対色濃度を、対応する中間遷移状態の相対色濃度に遷移させてゆくことで、最終的に所望の濃度の次画面に更新させる。
【解決手段】電気泳動粒子は、互いに色と泳動を開始するしきい値電圧を異にするn種類の帯電粒子C1、…、Ck、…、Cnからなると共に、各帯電粒子C1、…、Ck、…、Cnは、帯電粒子C1のしきい値電圧>…>帯電粒子Ckのしきい値電圧>…>帯電粒子Cnのしきい値電圧の関係特性を満たし、かつ、電圧印加手段は、画面更新時、印加する電圧駆動波形毎に、帯電粒子C1→、…、→Ck→、…、→Cnの順に、各帯電粒子の相対色濃度を、対応する中間遷移状態の相対色濃度に遷移させてゆくことで、最終的に所望の濃度の次画面に更新させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気泳動表示方式で駆動するメモリ性を有する画像表示装置に係り、詳しくは、電子書籍や電子新聞などの電子ペーパ表示装置に用いて好適なメモリ性を有する画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
“読む”という行為をストレス無しに行い得る表示装置として、電子書籍や電子新聞などの電子ペーパ表示装置の開発が行われている。この種の電子ペーパ表示装置には、薄型で、軽量で、割れ難く、その上、低消費電力であることが要求されるため、メモリ性を有する表示素子で構成されることが望ましい。このような用途に適合する表示素子としては、従来から、電気泳動表示素子やコレステリック液晶などが知られているが、最近では、2種類以上の帯電粒子を用いる電気泳動表示素子が注目されている。なお、この明細書において、電気泳動表示素子とは、電子粉流体素子など、帯電粒子が移動することで表示を行う素子を含む概念である。
【0003】
まず、関連技術として、白黒表示のアクティブマトリクス駆動方式の電気泳動表示装置について説明する。この電気泳動表示装置は、スイッチング素子としての薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、以下、TFTともいう)が形成されているTFTガラス基板と、電気泳動表示素子フィルムと、対向基板とが、この順に積層されて構成されている。上記TFTガラス基板には、マトリクス状に多数配列されたTFTと、各TFTに接続される画素電極と、TFTを駆動するためのゲート線、およびデータ線が設けられている。上記電気泳動表示素子フィルムは、ポリマーのバインダ中に約40μmのマイクロカプセルが敷き詰められて形成されている。このマイクロカプセルの内部には溶媒が注入されており、溶媒中には、正負に帯電した2種類のナノ粒子、すなわち、マイナスに帯電した酸化チタン粒子などの白色顔料と、プラスに帯電した炭素粒子などの黒色顔料とが分散浮遊する状態で封じ込められている。また、上記対向基板には、基準電位を与える対向電極(共通電極ともいう)が形成されている。
【0004】
電気泳動表示素子の動作は、画素データに対応した電圧を、画素電極と対向電極との間に印加して、白色顔料と黒色顔料とを上下に泳動させることで行う。すなわち、画素電極にプラスの電圧を印加したときは、マイナスに帯電した白色顔料が画素電極側に寄り集まる一方で、プラスに帯電した黒色顔料は対向電極側に寄り集まるので、対向電極側が表示面であるなら、画面には黒が表示されることになる。これに対して、画素電極にマイナスの電圧を印加したときは、プラスに帯電した黒色顔料が画素電極側に寄り集まる一方で、マイナスに帯電した白色顔料が対向電極側に集まるので、画面には白が表示されることになる。次に、画面を更新する際、すなわち、画像を白表示から黒表示に切り替えるときには、画素電極にプラスの信号電圧を与え、黒表示から白表示に切り替えるときには、画素電極にマイナスの信号電圧を印加する。次に、現在の画像を維持するとき、つまり、次画面でも白表示を維持するとき、あるいは、黒表示を維持するときは、電気泳動表示素子はメモリ性を持っているので、0Vを印加すれば良いことになる。このように、電気泳動表示素子では、現画面(前画面)と次画面(更新画面)とを比較することで、印加すべき信号が決定される。
【0005】
また、カラーフィルターなしでも、紙に近い白黒の色感を損なわずに、1画素単位のカラー表示が可能なカラー電気泳動表示装置も開発されている。
例えば、特許文献1には、同極性に帯電した3色(例えば、シアンC、マジェンタM、イエローY)の電気泳動粒子と、電気泳動粒子を保持するための白色(W)の保持体とを含む電気泳動層から構成されるカラー電気泳動表示装置が記載されている。3色の電気泳動粒子は、泳動を開始するしきい値電圧(泳動開始電圧)が異なるように設定されている。特許文献1に記載のカラー電気泳動表示装置では、しきい値電圧(絶対値)の違いを利用して、各電気泳動粒子を電圧制御することで、画素(セル)単位で、白色(W)、黒色(K)の他に、シアン(C)、マジェンタ(M)、イエロー(Y)やこれらCMYの2次色、3次色を表示できるようにしている。
【0006】
また、特許文献2には、各種のマイクロカプセルを層状に敷き詰めた電気泳動表示素子フィルムを用いるカラー電気泳動表示装置が開示されている。上記マイクロカプセルには、第1の極性に帯電した黒色の第1帯電粒子と、第2の極性に帯電した赤(R)、緑(G)、青(B)の第2帯電粒子R,G,Bと、各粒子を泳動可能に分散させる液体分散媒とが封入されている。ここで、第2帯電粒子R,G,Bは、互いの帯電量が異なり、それゆえ、泳動を開始するしきい値電圧が異なる態様で、互いに別異のマイクロカプセルに封入されていている。特許文献2に記載のカラー電気泳動表示装置でも、しきい値電圧(絶対値)の違いを利用して、各電気泳動粒子が電圧制御されるので、特許文献1と同様にカラーフィルターなしでも、画素(セル)単位で、RGBの2次色、3次色を表示できる。
【0007】
また、特許文献3には、シアン(C),マジェンタ(M)、イエロー(Y)に黒(K)を加えた4色の電気泳動粒子を用いるカラー電気泳動表示装置が開示されている。
【0008】
このように、特許文献1、2、3に記載の関連技術によれば、C、M、Y(またはR、G、B)それぞれが異なる3つのしきい値をもつことで、カラー表示が可能となる。図32及び図33を参照して、特許文献1に記載のカラー電気泳動表示装置の表示動作について説明する。以下、帯電粒子C,M,Yのそれぞれのしきい値電圧Vth(c)、Vth(m)、Vth(y)は、|Vth(c)|<|Vth(m)|<|Vth(y)|の関係を満たすように設定されている。また、印加電圧V1、V2、V3は、|Vth(c)|<|V3|<|Vth(m)|、|Vth(m)|<|V2|<|Vth(y)、|Vth(y)|<|V1|の関係を満たすように設定されている。図32及び図33は、帯電粒子C,M,Yのヒステリシス曲線を表しており、しきい値電圧と相対色濃度の関係を表している。なお、同図において、説明を簡単にするために、各ヒステリシスY,nY、M,nM、C,nCの傾きは一定になるように、Y、M、Cが背面から表示面へ移動するまでの移動時間はそれぞれ異なる時間に設定されている。
【0009】
図32において、始め(前)の画面を白(W)とする。白の表示状態のときに、V3=10Vを印加したときは、シアン色の電気泳動粒子Cが表示面側に移動するので、次画面として、シアン(C)が表示される。白の表示状態のときに、V2=15Vを印加したときは、シアン色とマジェンタ色の電気泳動粒子C,Mが表示面側に移動するので、青(B)が表示される。また、白の表示状態のときに、V1=30Vを印加したときは、シアン色とマジェンタ色とイエロー色の電気泳動粒子C,M,Yが表示面側に移動するので、黒が表示される。なお、白の表示状態のときに、マイナス電圧を印加したときは、表示面側に色粒子がないため、白(W)のままである。
【0010】
次に、前画面を黒(K)とする。黒の表示状態のときに、−V3=−10Vを印加したときには、シアン色の電気泳動粒子Cが背面基板側に移動し、表示面側にはマジェンタ色とイエロー色の電気泳動粒子M,Yが残るので、次画面として、赤(R)が表示される。黒の表示状態のときに、−V2=−15Vを印加したときは、シアン色とマジェンタ色の電気泳動粒子C,Mが背面基板側に移動し、表示面側にはイエロー色の電気泳動粒子Yが残るので、イエロー(Y)となる。黒の表示状態のときに、−V1=−30Vを印加したときは、シアン色、マジェンタ色、イエロー色全ての電気泳動粒子C,M,Yが背面基板側に移動するので、白(W)表示となる。
【0011】
また、マジェンタ(M)を表示するには、図33に示すように、白の表示からV2=15Vを印加して、シアン色とマジェンタ色の電気泳動粒子C,Mを表示面側に移動させて表示色をいったん青(B)色の中間遷移状態とする。この中間遷移状態に対して、−V3=−10Vを印加してシアン色の電気泳動粒子Cを背面側に移動させると、マジェンタ(M)色の表示状態が得られる(表12参照)。
また、緑(G)を表示するには、図32に示すように、黒表示(K)から−V2=−15Vを印加して、シアン色とマジェンタ色の電気泳動粒子C,Mを背面側に移動させて、表示色をいったんイエロー(Y)色の中間遷移状態とする。この中間遷移状態に対して、V3=10Vを印加してシアン色の電気泳動粒子Cを表示面側に移動させて緑(G)色を表示する(表12参照)。
【0012】
このように、前画面が白(W)としたとき、表12に示すように、直接に遷移できる原色の色状態はシアン(C),青(B),黒(K)である。これに対して、同じく表12に示すように、黒(K)の中間遷移状態Iを介して赤(R)、イエロー(Y)が表示される。また、青(B)の中間遷移状態Iを介してマジェンタ(M)が表示され、黒(K)及びイエロー(Y)の中間遷移状態I、IIを介して緑(G)が表示される(表12参照)。
【0013】
【表12】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特許第4049202号
【特許文献2】特許第4385438号
【特許文献3】特開2009−47737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記したように、しきい値電圧の違いを利用する、特許文献1記載の電気泳動表示装置にあっては、基底状態から、赤(R)、緑(G),青(B)、シアン(C)、マジェンタ(M)、イエロー(Y),白(W)、黒(K)の原色の画面を得ることはできる。このことは、特許文献2〜3の電気泳動表示装置についても当てはまる。
しかしながら、特許文献1〜3記載の構成では、前画面から次画面に更新する際、1つまたは2つの原色(相対色濃度1)の中間遷移を介して更新が行われるため、更新過程で輝度や色濃度が大幅かつ急激に変動することに起因する、不快な“ちらつき”が更新時の画面に生じる、という欠点があった。
加えて、同一の画素電極上で、3色の帯電粒子C,M,Yを用いて、中間色や階調表示を含めた、任意の表示色La*b*を表示させることは、非常に複雑であり、特許文献1〜3記載の技術によって、技術的に解決されているとは言い難い。
【0016】
この発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、画面更新過程での不快な“ちらつき”を抑制しつつ、各単色(R,G,B,C,M,Y,W,K)だけでなく、中間色まで含めた多階調表現を簡易な構成で実現できるメモリ性を有する画像表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、この発明の第1の構成は、画素電極が形成されている第1の基板と、対向電極が形成されている第2の基板と、前記第1の基板と第2の基板との間に介挿され、電気泳動粒子を泳動可能に含む電気泳動層とを有してなる表示部と、画面更新時、前記画素電極と前記対向電極との間の前記電気泳動粒子に、複数の所定の電圧駆動波形を順次印加して、前記表示部の表示状態を、前画面から、単数または複数の中間遷移状態を経由して、次画面に更新させる電圧印加手段とを備え、前記電気泳動粒子は、互いに色と泳動を開始するしきい値電圧を異にするn種類(nは、2以上の自然数)の帯電粒子C1、…、Ck、…、Cn(k=n−1、ただし、n=2のとき、Ckは削除)からなると共に、各帯電粒子C1、…、Ck、…、Cnは、帯電粒子C1のしきい値電圧>…>帯電粒子Ckのしきい値電圧>…>帯電粒子Cnのしきい値電圧の関係特性を満たし、かつ、前記電圧印加手段は、画面更新時、印加する前記電圧駆動波形毎に、前記帯電粒子C1→、…、→Ck→、…、→Cnの順に、各帯電粒子の相対色濃度を、対応する中間遷移状態の相対色濃度に遷移させてゆくことで、最終的に所望の濃度の次画面に更新させる(逆順にならなければ、任意の複数種類の帯電粒子について、前記中間遷移状態または最終表示状態への同時遷移確定も有りうる)ことを特徴としている。
【0018】
また、この発明の第2の構成は、画素電極が形成されている第1の基板と、対向電極が形成されている第2の基板と、前記第1の基板と第2の基板との間に介挿され、電気泳動粒子を泳動可能に含む電気泳動層とを有してなる表示部と、画面更新時、前記画素電極と前記対向電極との間の前記電気泳動粒子に、所定の電圧駆動波形を印加して、前記表示部の表示状態を、前画面から次画面に更新させる電圧印加手段とを備え、前記電気泳動粒子は、互いに色と泳動を開始するしきい値電圧を異にするn種類(nは、2以上の自然数)の帯電粒子C1、…、Ck、…、Cn(k=n−1、ただし、n=2のとき、Ckは削除)からなると共に、各帯電粒子C1、…、Ck、…、Cnは、帯電粒子C1のしきい値電圧>…>帯電粒子Ckのしきい値電圧>…>帯電粒子Cnのしきい値電圧の関係特性を満たし、かつ、更新すべき次画面の、帯電粒子C1の相対色濃度情報がR1(0≦R1≦1)、…、帯電粒子Ckの相対色濃度情報がRk(0≦Rk≦1)、…、帯電粒子Cnの相対色濃度情報がRn(0≦Rn≦1)であるとき、前記電圧印加手段は、前記所定の電圧駆動波形を印加することによって、まず、|第1の電圧|(>帯電粒子C1のしきい値電圧)、または/および0V電圧を印加して、前記前画面の前記帯電粒子C1の相対色濃度を参照して、前記帯電粒子C1の相対色濃度をR1に確定させ、……………、次に、|第kの電圧|(>帯電粒子Ckのしきい値電圧)、または/および0V電圧を印加して、前記前画面の前記帯電粒子Ckの相対色濃度を参照して、前記帯電粒子Ckの相対色濃度をRkに確定させ、……………、最後に、|第nの電圧|(>帯電粒子Cnのしきい値電圧)、または/および0V電圧を印加して、前記前画面の前記帯電粒子Cnの相対色濃度を参照して、前記帯電粒子Ckの相対色濃度をRnに確定させるという順序で(前記順序が逆順でなければ、任意の複数種類の帯電粒子について、相対色濃度の同時確定も有りうる)、所望の相対色濃度の次画面に更新させることを特徴としている。
【0019】
また、この発明の第3の構成は、画素電極が形成されている第1の基板と、対向電極が形成されている第2の基板と、前記第1の基板と第2の基板との間に介挿され、電気泳動粒子を泳動可能に含む電気泳動層とを有してなる表示部と、画面更新時、前記画素電極と前記対向電極との間の前記電気泳動粒子に、電圧駆動波形を印加して、前記表示部の表示状態を、前画面から、中間遷移状態を経由して、次画面に更新させる電圧印加手段とを備え、前記電気泳動粒子は、互いに色と泳動を開始するしきい値電圧を異にする2種類の帯電粒子C1、C2からなると共に、前記帯電粒子C1のしきい値電圧が前記帯電粒子C2のそれよりも高く設定されていて、前記電圧印加手段は、画面更新時、まず、前画面をリセットしてから、所定の前記電圧駆動波形を印加することで、前記帯電粒子C1→C2の順に、各帯電粒子の相対色濃度を確定させて(逆順でなければ、帯電粒子C1、C2の相対色濃度の同時確定も有りうる)、所望の濃度の次画面に更新させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0020】
この発明の構成によれば、各単色(R,G,B,C,M,Y,W,K)だけでなく、中間色や中間調表示を含めた任意の色(La*b*)の表示を簡易な構成で実現できる。また、画面更新過程での不快な“ちらつき”を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の参考例である電子ペーパ表示装置を構成する表示部の構成を概念的に示す部分断面図である。
【図2】同表示部を構成する電気泳動表示装置(素子)のカラー表示原理を説明するための状態説明図である。
【図3】同参考例を説明するための図で、中間色・階調表示駆動時、同表示部(電気泳動表示装置)に印加される駆動電圧波形を示す波形図である。
【図4】同表示部に印加される駆動電圧波形を示す波形図である。
【図5】同表示部に印加される駆動電圧波形を示す波形図である。
【図6】同表示部に印加される駆動電圧波形を示す波形図である。
【図7】同表示部に印加される駆動電圧波形を示す波形図である。
【図8】同表示部に印加される駆動電圧波形を示す波形図である。
【図9】同表示部に印加される駆動電圧波形を示す波形図である。
【図10】同表示部に印加される駆動電圧波形を示す波形図である。
【図11】同表示部に印加される駆動電圧波形を示す波形図である。
【図12】画面更新時、参考例で用いられる駆動波形と中間遷移状態を示す図である。
【図13】同参考例において、画面更新時、電気泳動粒子の挙動を示す中間遷移状態図である。
【図14】この発明の第1の実施形態における駆動動作を説明するための図で、中間色・階調表示駆動時、表示部に印加される駆動電圧波形を示す波形図である。
【図15】同表示部に印加される駆動電圧波形を示す波形図である。
【図16】同表示部に印加される駆動電圧波形を示す波形図である。
【図17】同表示部に印加される駆動電圧波形を示す波形図である。
【図18】同表示部に印加される駆動電圧波形を示す波形図である。
【図19】同表示部に印加される駆動電圧波形を示す波形図である。
【図20】画面更新時、同第1の実施形態で用いられる駆動波形と中間遷移状態を示す図である。
【図21】同第1の実施形態において、画面更新時、電気泳動粒子の挙動を示す中間遷移状態図である。
【図22】同第1の実施形態である電子ペーパ表示装置(画像表示装置)の電気的構成を示すブロック図である。
【図23】同電子ペーパ表示装置を構成する電子ペーパコントローラの詳細を示すブロック図である。
【図24】同電子ペーパコントローラを構成する電子ペーパ制御回路の詳細を示すブロック図である。
【図25】同電子ペーパコントローラを構成するLUT変換回路の詳細を示すブロック図である。
【図26】画面更新時、第2の実施形態で用いられる駆動波形と中間遷移状態を示す図である。
【図27】同第2の実施形態において、表示部(電気泳動表示装置)に印加される駆動電圧波形を示す波形図である。
【図28】同第2の実施形態において、表示部に印加される駆動電圧波形を示す波形図である。
【図29】同第2の実施形態において、表示部に印加される駆動電圧波形を示す波形図である。
【図30】画面更新時、第4の実施形態で用いられる駆動波形と中間遷移状態を示す図である。
【図31】同第4の実施形態において、画面更新時、電気泳動粒子の挙動を示す中間遷移状態図である。
【図32】関連技術の問題点を説明するための図である。
【図33】関連技術の問題点を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
各電圧駆動波形を、帯電粒子C1、…、Ck、…、Cnを、電気泳動層の層厚方向に所定距離泳動させる|第1の電圧|または/および0Vを所定のサブフレーム数印加する第1のサブフレーム群期間(第1の電圧印加期間;|第1の電圧|>帯電粒子C1のしきい値電圧)と、……………、次に、帯電粒子Ck、…、Cnを前記層厚方向に所定距離泳動させる|第kの電圧|または/および0Vを所定のサブフレーム数印加する第kのサブフレーム群期間(第kの電圧印加期間;帯電粒子Ck−1のしきい値電圧>|第kの電圧|>帯電粒子Ckのしきい値電圧;第kの電圧印加期間>第k−1の電圧印加期間)と、……………、最後に、前記帯電粒子Cnのみを前記層厚方向に所定距離泳動させる|第nの電圧|または/および0Vを印加する第nのサブフレーム群期間(第nの電圧印加期間;帯電粒子Cn−1のしきい値電圧>|第kの電圧|>帯電粒子Cnのしきい値電圧;第nの電圧印加期間>第n−1の電圧印加期間)とを有して構成することで、この発明の構成を実現した。
【参考例】
【0023】
まず、図面を参照して、この出願人の先の出願に係る発明の実施形態を参考例として説明する。
図1は、この発明の参考例である電子ペーパ表示装置(画像表示装置)を構成する表示部の構成を概念的に示す部分断面図である。
この表示部1は、メモリ性を有する、アクティブマトリクス駆動でカラー表示する電気泳動表示装置(素子)2からなり、この電気泳動表示装置2は、TFTガラス基板3と対向基板4と、TFTガラス基板3と対向基板4との間に封入された、電気泳動層5とから構成されている。
上記TFTガラス基板3には、マトリクス状に多数配列されたスイッチング素子としてのTFT6と、各TFT6にそれぞれ接続される画素電極7、図示せぬゲート線、およびデータ線が設けられている。
【0024】
電気泳動層5は、層厚が10−100μm程度に形成されていて、分散媒Dと、分散媒中に分散した、ナノ粒子であるシアン(C)、マジェンタ(M)、イエロー(Y)の電気泳動粒子C,M,Yと、電気泳動粒子C,M,Yを保持する、たとえば、粒径10−100μm程度の白色の保持体Hとが充填されている(以下の実施形態において同様である)。なお、電気泳動層5は、この参考例では、層厚が10−100μm程度に形成されている。3色の電気泳動粒子C,M,Yは、分散媒Dに分散した状態で、同極性(この参考例では、正の極性)に帯電しているものの、帯電量の設定値が互いに異なるため、保持体H表面から離脱して、分散媒の中で、泳動を開始するしきい値電圧(泳動開始電圧)の絶対値が異なっている。ここで、保持体Hは、電気泳動粒子C,M,Yに較べれば、巨大で、かつ、電気泳動粒子C,M,Yとは逆極性に帯電されているのが好ましいが、これに限定されない。
【0025】
また、上記対向基板4には、基準電位を与える対向電極8が形成され、電気泳動表示装置2…の基準電位を定めるCOM電圧が与えられる。カラー電気泳動表示装置の動作は、画素データに対応した電圧を、画素電極7と対向電極8の間に印加して、3色(CMY)の電気泳動粒子(以下、帯電粒子ともいう)C,M,YをTFTガラス基板3側から対向基板4側へ、あるいは、対向基板4側からTFTガラス基板3側へ移動させることで行う。なお、この参考例では、対向電極2側を表示面とする(以下の実施形態において同様)。
【0026】
次に、図1及び図2を参照して、この参考例による電気泳動表示装置2のカラ−表示原理について説明する。この参考例では、図中、3種類の電気泳動粒子C,M,Yのしきい値電圧Vth(c)、Vth(m)、Vth(y)が、|Vth(c)|<|Vth(m)|<|Vth(y)|の関係を満たすように設定されている。また、画素電極7と対向電極8との間に印加される電圧(以下、印加電圧という)V1,V2,V3は、|Vth(c)|<|V3|<|Vth(m)|、|Vth(m)|<|V2|<|Vth(y)、|Vth(y)|<|V1|の関係を満たすように設定されている。ここで、しきい値電圧とは、印加電圧の絶対値が、しきい値電圧の絶対値以上であるとき、該当する帯電粒子が動き始める電圧(泳動開始電圧)をいう。
【0027】
図2からわかるように、まず、電気泳動粒子Cの挙動について説明すれば、電圧がしきい値電圧であるVth(c)以上になると、電気泳動粒子Cが、TFTガラス基板3側から対向基板4側へと移動し、シアン色の表示濃度が濃くなり、電圧が電圧Vth(m)に達する前に飽和濃度になる。この状態で、マイナスの電圧を印加し、電圧がしきい値電圧である−Vth(c)以下になると、電気泳動粒子Cが、対向基板4側からTFTガラス基板3側へと移動し、シアン色の表示濃度が薄くなり、電圧が−Vth(m)に達する前にシアン色の表示濃度が最低となる。同様にして、電気泳動粒子Mでは、電圧がしきい値電圧Vth(m)以上(または−Vth(m)以下)で表示濃度の増加(または減少)がおこり、電気泳動粒子Yでは、電圧がしきい値電圧Vth(y)以上(または−Vth(y)以下)で表示濃度の増加(または減少)がおこる。
【0028】
次に、参考例に係るカラー電気泳動表示装置(素子)のTFT駆動方法について説明する。電気泳動表示装置2のTFT駆動においても、液晶表示装置と同様に、ゲート線にゲート信号を印加して、ライン毎にシフト動作させ、スイッチング素子のTFTを介してデータ線を画素電極に書き込む動作が行われる。そして、全ラインの書き込みが終わる時間を1フレームと定義し、1フレームを、たとえば60Hz(16.6msec周期)で走査している。一般に液晶表示装置では、この1フレームで画像全体を切り替えている。これに対して、電気泳動表示装置2は液晶に較べて応答速度が遅く、複数のフレーム期間(以下、電気泳動表示素子では、サブフレーム期間と呼び、複数のサブフレーム期間で構成された画面更新の期間を画面更新期間という)の間、電圧を印加し続けなければ画面を切り替えることができない。このため、電気泳動表示装置では、複数のサブフレーム期間の間、一定の電圧を印加し続けるパルス幅変調駆動(Pulse Width Modulation、以下PWM駆動ともいう)が採用される。そして、予め定められた一定の電圧V1(V2またはV3)を所定のサブフレーム数印加することで階調表示が行われる。以下の説明では、任意の表示色(たとえば、La*b*系やXYZ系やRGB系)をあらわすのに、3つの電気泳動粒子C,M,Yの色と同様のCMY系の相対色濃度に変換して説明する。
【0029】
駆動動作<駆動波形1回印加のケース>
この参考例では、前の表示状態CURRENT(以下、前画面とも現画面ともいう)から画像更新後の表示状態NEXT(以下、次画面とも更新画面ともいう)を表示するために、後述する中間遷移状態WK→I−1→I−2を経由することで、中間色・階調表示まで含めた系統的で簡便な駆動方法を実現している。そして、複数のサブフレームにわたって駆動することで所定の画像を更新する。複数のサブフレームにわたる駆動期間は、白(W)又は黒(K)の基底状態に遷移するためのリセット期間と、V1、0または−V1[V]の電圧を印加する第1のサブフレーム群期間(第1の電圧印加期間)と、V2、0、または−V2[V]の電圧を印加する第2のサブフレーム群期間(第2の電圧印加期間)と、V3、0、又は−V3[V]の電圧を印加する第3のサブフレーム群期間(第3の電圧印加期間)からなっている。第1から第3の電圧印加期間を合わせて、セット期間という。
【0030】
具体的には、表示すべき画像(更新すべき次画面NEXT)の画素の表示情報を帯電粒子C,M,Yの相対色濃度(CMY)を(Rc,Rm,Ry)で表わしたときに、
(1)第1のサブフレーム群期間は、白(W)又は黒(K)の基底状態から、帯電粒子Yの相対色濃度がRyとなる第1の中間遷移状態I−1に遷移する期間、
(2)第2のサブフレーム群期間は、第1の中間遷移状態I−1から、Y濃度がRyでM濃度がRmとなる第2の中間遷移状態I−2に遷移する期間、
(3)第3のサブフレーム群期間は、第2の中間遷移状態I−2から、最終表示状態NEXTに遷移する期間である。
【0031】
ここで、相対色濃度Rx(x=c,m,y)は、相対色濃度で0〜1をとり、Rx=0は表面に、どのX粒子(帯電粒子C,M,Y)もない状態を表わし、Rx=1は全てのX粒子が表面に移動している状態を表わしている。それゆえ、(CMY)=(0,0,0)は白(W)表示であり、(CMY)=(1,1,1)は黒(K)表示を表わしている。
表1には、CMY3色の各階調を3階調とした具体的な駆動電圧データが示されている。また、簡便のために、各帯電粒子C,M,Yは、帯電量Qが|Qc|>|Qm|>|Qy|と設定され、粒子が移動を開始するしきい値電圧は|Vth(c)|<|Vth(m)|<|Vth(y)|となっているが、粒子の重量・大きさなどを異ならしめることで、同じ印加電圧に対する移動速度(モビリティ)が、帯電粒子C,M,Y共に同じになるように設定されている。
【0032】
表1に示すように、駆動電圧は、第1サブフレーム群期間で|V1|=30Vに設定され、第2サブフレーム群期間で|V2|=15Vに設定され、第3サブフレーム群期間で|V3|=10Vに設定されている(なお、必要に応じて,駆動電圧を任意の値に設定できることはもちろんである)。
【0033】
さらに、各帯電粒子C,M,Yが背面から表示面に移動する時間Δtは、簡単なモデルでは、しきい値電圧以上では、印加電圧Vと反比例の関係があり、V×Δt=一定となる。そこで、この参考例では、帯電粒子Cが背面から表面(又は表面から背面)へ移動する時間は|V|=30Vで0.2secに、|V|=15Vで0.4secに、|V|=10Vで0.6secに設定されている。また、帯電粒子Mが背面から表面(又は表面から背面)へ移動する時間は|V|=30Vで0.2secに、|V|=15Vで0.4secに設定されている。また、帯電粒子Yが背面から表面(又は表面から背面)へ移動する時間は|V|=30Vで0.2secに設定されている。これらの関係を考慮して、この参考例では、1サブフレーム期間100msecとして、14サブフレーム(リセット電圧印加期間が2サブフレーム、第1のサブフレーム群期間が2サブフレーム、第2のサブフレーム群期間が4サブフレーム、第3のサブフレーム群期間が6サブフレーム)で画面更新期間が構成されている(なお、次画面が静止画なら、後述の終端0V印加サブフレームも含めると、画面更新期間が15サブフレームとなる)。
【0034】
【表1】
【0035】
表1を用いて、この参考例の具体的な駆動動作(駆動方法)について説明する。
第1列は、目標とする更新表示状態の相対色濃度(CMY)を表わしている。第2列は、リセット期間の印加電圧とリセット完了後の基底状態の相対色濃度を表わしている。リセット期間は、この参考例の駆動では2つのサブフレームRa、Rbから構成され、とりうる印加電圧は−30Vである。第3列は、第1のサブフレーム群期間の印加電圧と期間後の第1の中間遷移状態I−1の相対色濃度を表わしている。第1のサブフレーム群期間は2つのサブフレーム1a,1bで構成され、とりうる印加電圧は+30V、0Vである。2サブフレームとしたのは、30Vでの帯電粒子の応答時間は0.2secであるため、換言すれば、1サブフレーム期間は、印加電圧30V中の粒子が、層間を半分程度移動できる所要時間に相当する0.1secであるためである。第4列は、第2のサブフレーム群期間の印加電圧と期間後の第2の中間遷移状態I−2の相対色濃度を表わしている。
【0036】
第2のサブフレーム群期間は4つのサブフレーム2a,2b,2c,2dで構成され、とりうる印加電圧は+15V,0V,−15Vである。4サブフレームとしたのは、15Vでの帯電粒子の応答時間は0.4secであるため、換言すれば、1サブフレーム期間は、印加電圧15V中の粒子が、層間を1/4程度移動できる所要時間に相当する0.1secであるためである。第5列は第3のサブフレーム群期間の印加電圧と期間後の最終更新表示状態NEXTの相対色濃度を表わしている。第3のサブフレーム群期間は6つのサブフレーム3a,3b,3c,3d,3d,3fで構成され、とりうる印加電圧は+10V,0V,−10Vである。6サブフレームとしたのは、10Vでの粒子の応答時間は0.6secであり、1サブフレーム期間が0.1secであるからである。リセット期間では、2フレーム分V1=−30Vを印加し、帯電粒子C,M,Yを表示面と反対側に移動集結させて基底状態である白(W)表示とする。
【0037】
まず、前画面から更新画面である最終遷移状態になるまでの画面の遷移状態について、各リセット期間、サブフレーム群期間毎に説明をする。
リセット期間では、2フレーム分V1=−30Vを印加し、帯電粒子C,M,Yを表示面と反対側に移動集結させて基底状態である白(W)表示とする。
第1のサブフレーム群期間では、帯電粒子Yの相対色濃度に対応して、相対色濃度(Y)が0のときは、印加電圧は0V、相対色濃度(Y)が0.5のときは、印加電圧30Vを1サブフレーム分のみ印加し、相対色濃度(Y)が1のときは、印加電圧30Vを2サブフレーム分印加する。これにより基底状態Wから第1の中間遷移状態(CMY)=(Ry,Ry,Ry)(Ryは3階調であり、Ry=0,0.5,1)になる。
【0038】
第2のサブフレーム群期間では、目標とする帯電粒子Mと帯電粒子Yの相対色濃度の差であるM−Yを計算して、−15Vまたは15Vを所定数、印加する。たとえば相対色濃度(Y)=0.5で相対色濃度(M)=0のときは、相対色濃度差(M−Y)=−0.5なので、−15Vを2サブフレームに分けることで、帯電粒子M、Cを表示面と反対側に移動させて階調を1つ下げる。相対色濃度(Y)=0.5で相対色濃度(M)=0.5のときは、0Vを印加する。相対色濃度(Y)=0.5で相対色濃度(M)=1のときは階調を1つ上げるために、15Vを2サブフレーム分印加して、表示面側の帯電粒子M、Cを増やす。以上により、第1の中間遷移状態I−1:(CMY)=(Ry,Ry,Ry)から第2の中間遷移状態I−2:(CMY)=(Rm,Rm,Ry)(Rmは3階調であり、Rm=0,0.5,1)に遷移する。
【0039】
第3のサブフレーム群期間では、目標とする相対濃度の帯電粒子Cと帯電粒子Mの相対色濃度の差であるC−Mを計算して、−10Vまたは10Vを所定数、印加する。たとえば、M=0.5で相対色濃度(C)=0のときは、色濃度差(C−M)=−0.5なので−10Vを3サブフレーム期間分印加して帯電粒子Cを表示面と反対側に移動することで1階調下げる。相対色濃度(M)=0.5で相対色濃度(C)=0.5のときには0Vを印加する。相対色濃度(M)=0.5で相対色濃度(C)=1のときは1階調上げるために、10Vを3サブフレーム分印加して、表示面側の帯電粒子Cを増やす。
【0040】
このように、第2の中間遷移状態I−2:(CMY)=(Rm,Rm,Ry)から目標とする最終表示状態NEXT:(CMY)=(Rc,Rm,Ry)(Rcは3階調であり、Rc=0,0.5,1)に遷移することができる。
図3乃至図11には、表1に基づいた具体的な駆動波形が示されている。
たとえば、図8(b)から抜き出された図12の駆動波形を参照して、表示状態(CMY)=(0.5,1,0.5)を実現する中間色・階調表示について説明する。
まず、前の表示状態(現画面)CURRENTを消去するために、リセット期間に、2サブフレーム(0.2sec)期間、−30Vを印加して、白の基底状態W:(CMY)=(0,0,0)に遷移させる。次に、第1のサブフレーム群期間に、1サブフレーム期間、+30Vを印加し、1サブフレーム期間、0Vを印加することで、第1の中間遷移状態I−1:(CMY)=(0.5,0.5,0.5)に遷移させる。次の第2のサブフレーム群期間には、2サブフレーム期間、+15Vを印加し、2サブフレーム期間、0Vを印加することで、第2の中間遷移状態I−2:(CMY)=(1,1,0.5)に遷移させる。次の第3のサブフレーム群期間には、3サブフレーム期間、−10Vを印加し、3サブフレーム期間、0Vを印加すること、更新表示状態NEXT:(CMY)=(0.5,1.0,0.5)に遷移する。
【0041】
図13に、図12の駆動波形に応答する帯電粒子C,M,Yの各中間遷移状態を示している。リセット期間の完了後では、帯電粒子C,M,YともにTFTガラス基板3側に移動して、白色の保持体のみが対向基板4側からは見えるので表示状態Wに遷移する。次の第1のサブフレーム群期間で帯電粒子C,M,Y共に、TFTガラス基板3側からTFTガラス基板3と対向基板4の中間に移動するので、第1の中間遷移状態I−1に遷移する。そして、第2のサブフレーム群期間で、Yは中間にとどまったまま、帯電粒子C、Mが表示面側に移動して、第2の中間遷移状態I−2に遷移する。第3のサブフレーム群期間で、帯電粒子Mは表面にとどまったまま、帯電粒子Cのみが中間に遷移するので、所定の更新表示状態NEXTに遷移することができる。
【0042】
ところで、たとえば、目標とする表示状態がNEXT:(CMY)=(1.0,1.0,0.5)のときは、第1の中間遷移状態I−1:(CMY)=(0.5,0.5,0.5)であり、I−2:(1.0,1.0,0.5)であり、(I−2)がすなわち最終表示状態NEXTであるから、第3のサブフレーム群期間を省略でき、かつ中間遷移状態I−2は必要ではない。また、目標とする表示状態がNEXT:(CMY)=(0.5,0.5,0.5)であるときには、第1の中間遷移状態I−1:(CMY)=(0.5,0.5,0.5)であり、それが最終表示状態NEXTであるから、第2、第3サブフレーム群期間を省略でき、中間遷移状態I−1,I−2が必要でない。
また、NEXT:(CMY)=(0,0,0)のときは、リセット期間のみで最終表示状態NEXTを実現できる。それゆえ、基底状態、又は中間遷移状態I−1または中間遷移状態I−2が、最終表示状態NEXTと一致するときは、それ以降のサブフレーム期間を省略するようにしても良い。
【0043】
以上の説明では、帯電粒子C,M,Yのモビリティが同じである場合について述べたが、モビリティ異なるときは、第1の中間遷移状態I−1で、帯電粒子Yの相対色濃度を(Y)=Ryに調整制御できても、帯電粒子C、Mの相対色濃度は、Ryと異なるものとなる。また、第2の中間遷移状態I−2で、帯電粒子Yの相対色濃度を(Y)=Ry、帯電粒子Mの相対色濃度を(M)=Rmに制御できても、Cの相対色濃度はRmとは異なるものとなる。それゆえ、第1の中間遷移状態I−1の相対色濃度は(CMY)=(X,X,Ry)(X:任意、X≠Ry)、第2の中間遷移状態I−2の相対色濃度は(CMY)=(X,Rm,Ry)(X:任意 X≠Rm)と一般化できる。
【0044】
以上では、帯電粒子C,M,Yは印加電圧に応じて、背面側がら表示面側への移動時間が異なるとし、V1=30Vでt1=0.2sec、V2=15Vでt2=0.4sec、V3=10Vでt3=0.6secとしたが、帯電粒子C,M,Yのモビリティが同じであるとき、これを一般化すると、各サブフレーム群期間のサブフレーム期間t1,t2,t3は、各サブフレーム群期間の印加電圧をV1,V2,V3とすると、Vi・ti=一定(i=1,2,3)と設定される。単位サブフレーム時間が一定の場合には各期間のサブフレーム数をniとすれば、Vi・ni=一定(n=1,2,3)となる。または、各期間のサブフレーム数を一定にして、各期間の単位サブフレーム時間を、各期間で異ならせても良い。
【0045】
また、以上では、リセット後の基底状態を白(W)とする場合について述べたが、基底状態を黒(K)としても同様の考えで駆動波形を作成することができる。
また、中間遷移のCMYの相対色濃度を“0”、“1”にするためのサブフレーム群期間では、該サブフレーム群の印加電圧は余計にかけても相対色濃度が飽和して“0”、“1”になるのであれば、印加電圧を余分にかけても良いことはいうまでもない。
また、以上ではC、M、Yは3階調としたが、2階調や3階調以上の多階調でも同様の駆動ができることはいうまでもない。
【0046】
このように、この参考例の構成によれば、各単色(R,G,B,C,M,Y,W,K)だけでなく、中間色まで含めた多階調表現を簡易な構成で実現できる。
しかしながら、中間遷移状態の輝度や色変動は非常に大きく、“ちらつき”を防止するという技術課題は解決できていない。たとえば、最終表示状態NEXT:(CMY)=(0,1,0)に遷移するためには、第1の中間遷移状態I−1:(CMY)=(0,0,0)に遷移し、次に、第2の中間遷移状態I−2:(CMY)=(1,1,0)に遷移し、最終的にNEXT:(CMY)=(0,1,0)に遷移する。すなわち、最終色をマジェンタとするためには、いったん前画面を消去して基底状態WK及び第1の中間遷移状態I−1を白(W)表示にし、次に、第2の中間遷移状態I−2を相対色濃度1の青(B)表示にし、最終的にマジェンタにすることとなる。それゆえ、この参考例によっても、特許文献1〜3に記載の構成と同様に、前画面から次画面に更新する際、1つまたは2つの原色(相対色濃度1)の中間遷移を介して更新が行われるため、更新過程で輝度や色濃度が大幅かつ急激に変動することに起因する、不快な“ちらつき”が更新時の画面に生じる、という欠点を回避することはできない。
【実施形態1】
【0047】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について詳細に説明する。
なお、とくに、明記しない限り、この発明の第1の実施形態である電子ペーパ表示装置の構成は、上記したこの発明の参考例の構成と同一であるので、その説明を省略するが、以下の実施形態の説明で必要なときは、参考例の説明に用いた図や表を参照する。
【0048】
駆動動作<単位駆動波形の繰り返し印加のケース>
この発明の第1の実施形態では、サブフレーム周波数を高速化し、表1で示された駆動波形(以下、単位駆動波形という。基本波形ともいう。)を繰り返すことで、基底状態WKから最終表示状態NEXTへの滑らかな遷移を実現している。
すなわち、この実施形態では、画面更新時、たとえば最終表示状態をNEXT:(CMY)=(1,0,1)としたときは、基底状態(0,0,0)から(0,0,0)→
… … →(0.25,0,0.25)→ … … →(0.5,0,0.5)→ … … →(0.75,0,0.75)→ … … →(1,0,1)となだらかに遷移する構成となっている。
【0049】
表2−1〜表2−5には、この第1の実施形態で用いられる、3色CMYの各階調を3階調とした、5段階からなる具体的な駆動電圧データが示されている。まず、表2−1は、リセット期間の駆動電圧と印加後の基底状態WKを示している。また、表2−2は、1回目の駆動電圧印加期間の駆動電圧と印加後の中間遷移状態I1−3を示し、表2−3は、2回目の駆動電圧印加期間の駆動電圧と印加後の中間遷移状態I2−3を示し、表2−4は、3回目の駆動電圧印加期間の駆動電圧と印加後の中間遷移状態I3−3を示し、また、表2−5は、4回目の駆動電圧印加期間の駆動電圧と印加後の最終表示状態NEXTを示している。
【0050】
ここで、1サブフレーム期間は、4倍速の25msecとして、12サブフレーム(第1のサブフレーム群期間が2サブフレーム、第2のサブフレーム群期間が4サブフレーム、第3のサブフレーム群期間が6サブフレーム)で構成された単位駆動波形を4回繰り返すことで、最終表示状態NEXTを実現している。なお、単位駆動波形を繰り返し印加する期間をセット期間という。
【0051】
【表2−1】
【0052】
【表2−2】
【0053】
【表2−3】
【0054】
【表2−4】
【0055】
【表2−5】
【0056】
表2−1〜表2−5を参照して、この実施形態の具体的な駆動動作(駆動方法)について説明する。
表2−1において、第1列は、目標とする更新表示状態の相対色濃度(CMY)を表わしている。第2列は、リセット期間の印加電圧とリセット期間後の基底状態の相対色濃度を表わしている。リセット期間は、この実施形態による駆動では、8つのサブフレームRa〜Rhで構成され、とりうる印加電圧は−30Vである。
【0057】
表2−2において、第1列は、リセット期間印加後の中間遷移状態を表しており、また、第2列は、単位駆動波形の1回目の印加期間を表し、12サブフレームで構成されている。それぞれのサブフレーム期間にかけるべき印加電圧と中間遷移状態I1−1,I1−2,I1−3を表している。単位駆動波形は、V1,0,−V1[V]を印加する第1の電圧印加期間と、V2,0,−V2[V]を印加する第2の電圧印加期間と、V3,0,−V3[V]を印加する第3の電圧印加期間から構成されている。第1のサブフレーム群期間は2つのサブフレームW1−1a,W1−1bで構成され、とりうる印加電圧は+30V、0Vである。第2のサブフレーム群期間は4つのサブフレーム2a,2b,2c,2dで構成され、とりうる印加電圧は+15V,0V,−15Vである。第3のサブフレーム群期間は6つのサブフレーム3a,3b,3c,3d,3d,3fで構成され、とりうる印加電圧は+10V,0V,−10Vである。
【0058】
同様に、表2−3は、単位駆動波形の2回目の印加期間における各サブフレーム群の印加電圧及び中間遷移状態を示し、表2−4は、単位駆動波形の3回目の印加期間おける各サブフレーム群の印加電圧及び中間遷移状態を示し、また、表2−5は、単位駆動波形の4回目の印加期間おける各サブフレーム群の印加電圧及び中間遷移状態を示している。
図14乃至図19には、表2−1〜表2−5に基づいた具体的な電圧駆動波形が示されている。たとえば、最終遷移状態NEXT:(CMY)=(0,1,0)への遷移するための印加波形を図16(a)から抜き出すと、図20のようになるが、この波形における各期間での中間遷移の表示状態を説明することで、相対色濃度の中間遷移における輝度・色変動について述べる。各期間での中間遷移の表示状態での、帯電粒子C,M,Yの状態をあわせて図21に示す。
ここで、説明を簡略化するため、帯電粒子C,M,Yはそれぞれ、対向基板またはTFT基板面側に到達するまでは、印加期間に応じて相対色濃度が線形的に増加または減少し、到達すると相対色濃度が飽和すると仮定する。まず、リセット期間において、前画面状態からリセット状態W:(CMY)=(0,0,0)に遷移する。このとき、帯電粒子C,M,YはそれぞれTFT基板側に全て移動している。
【0059】
次に、図20(表2−2)及び図21を参照して、単位駆動波形の1回目の印加期間における動作を説明する。リセット状態W:(CMY)=(0,0,0)から第1のサブフレーム群期間では、電圧は印加されないのでI1−1:(0,0,0)のままである。次に第2のサブフレーム群期間において、15Vが4サブフレーム、すなわち100msec印加される。TFT基板から対向基板まで移動する移動時間は15Vの場合は各粒子共に0.4secと仮定しているので、15V、100msecの印加ではC粒子とM粒子がその1/4の距離だけ移動する。このため、表示状態I1−2:(0.25,0.25,0)に遷移する。次に、第3のサブフレーム群期間において、−10Vを6サブフレーム分、すなわち、150msec印加される。これによりいったん移動したC粒子が、再度TFT基板側に戻される。これにより、表示状態I1−3:(0,0.25,0)に遷移する。
【0060】
次に、単位駆動波形の2回目の印加期間における動作を説明する。I1−3:(CMY)=(0,0.25,0)から第1のサブフレーム群期間では、電圧は印加されないのでI2−1:(0,0.25,0)のままである。次に第2のサブフレーム群期間において、15Vが4サブフレーム、すなわち100msec印加される。TFT基板から対向基板まで移動する移動時間は15Vの場合は各粒子共に0.4secと仮定しているので、15V、100msecの印加ではC粒子とM粒子がその1/4の距離だけ移動する。M粒子は1回目の単位駆動波形印加期間において、TFT−対向基板間距離の1/4の距離だけ移動しており、さらに1/4だけ移動し、ちょうどTFT−対向基板の中央まで移動する。一方、C粒子は1回目の単位駆動波形印加期間後、TFT基板側に戻されているので、今回の印加でTFT−対向基板間距離の1/4だけ移動する。そのため、表示状態I2−2:(0.25,0.5,0)に遷移する。次に、第3のサブフレーム群期間において、−10Vを6サブフレーム分、すなわち、150msec印加される。これによりいったん移動したC粒子が、再度TFT基板側に戻される。これにより、表示状態I2−3:(0,0.5,0)に遷移する。
同様の動作が3,4回目の単位駆動波形の印加においても繰り返され、3回目の単位駆動波形印加後に、I3−2:(0,0.75,0)となり、4回目の単位駆動波形印加後に最終表示状態NEXT:(0,1,0)に遷移する。
【0061】
以上説明したように、この実施形態による駆動動作では、前画面がリセット期間終了後、白の基底状態にリセットされ、単位駆動波形の1回目の印加期間終了後(CMY)=(0,0.25,0)の中間遷移状態に、2回目の印加期間終了後に(CMY)=(0,0.5,0)、3回目の印加期間終了後に、(CMY)=(0,0.75,0)に、4回目の印加期間終了後に最終表示状態NEXT:(CMY)=(0,1,0)に遷移する。そして、各単位駆動波形印加期間内においては、変動分はC粒子のみであり、C濃度の変動は、ΔC=±0.25内に抑制される。このため、前画面から更新画面への遷移は、いったん、前画面がリセットされて白状態になってからは、若干の輝度・色変動があるにせよ、白からマジェンタ色がだんだん濃くなっていき、最終的な目的の表示状態であるマジェンタ色に到達することになる。すなわち、上記駆動方法をとることで、画面更新過程での不快な“ちらつき”を抑制しつつ、所定の中間色・階調表示を実現できる。
【0062】
この実施形態では、上記したように、単位駆動波形を4回繰り返す構成としたが、サブフレーム周波数を一段と高速化して単位駆動波形を4回以上繰り返すようにすれば、中間遷移の色変動(たとえば、ΔC、ΔM,ΔY)をさらに小さくすることができ、その分、“ちらつき”を抑制できる。
また、各単位駆動波形の駆動期間終了後、0Vを数サブフレーム分印加することで、(0,0.25,0),(0,0.5,0),(0,0.75,0)…
…の色味が最終表示状態に近い中間遷移状態を強調することができるので、画面の“ちらつき”をさらに緩和できる。
【0063】
なお、この第1の実施形態では、第1〜第3サブフレーム群全体を単位駆動波形として繰り返したが、目標とする更新表示状態において、必要のないサブフレーム群は省略して、印加する必要のある第1〜第3サブフレーム群のみを繰り返すようにしても良い。
また、中間遷移のCMYの相対色濃度が“0”、“1”にするためのサブフレーム群期間においては、該サブフレーム群の印加電圧は余計にかけても相対色濃度が飽和して“0”、“1”になるのであれば、印加電圧を余分にかけても良いことはいうまでもない。また、0Vの印加期間を削減して、駆動期間を短縮できる。さらに、各期間のサブフレーム数を一定にして、各期間の単位サブフレーム時間を、各期間で異ならせても良いことも同様である。また、以上ではリセット後の基底状態を白(W)として説明を行ったが、基底状態を黒(K)としても同様の考えで駆動波形を作成することができる。さらに、最終表示状態ごとに、中間遷移状態I−1またはI−2を最終表示状態NEXTと一致するようにそれぞれ基底状態を白または黒に選択することで、駆動期間の短縮をはかることも可能である。さらに、また、以上ではC,M,Yは3階調としたが、2階調や3階調以上の多階調でも同様の駆動ができることはいうまでもない。また、以上はC,M,Yの3粒子の場合で説明したが、CMY3色のかわりにRGB3色でも良く、またCMYK4色やCMYRGB6色など3色以上の場合にも同様の駆動方法を適用できる。
【0064】
ルックアップテーブルの生成
次に、図14乃至図19の駆動波形を実現するためのルックアップテーブル(LookUp Table、以下、LUTともいう)の生成・変換方法について説明する。表1からわかる通り、リセット期間(Ra〜Rh)では、目標とする更新表示状態(CMY)にかかわらず、一定の電圧が印加されている。また、その後ベースとなる駆動波形が4回繰り返されて印加されている。したがって、LUTとしては、表3に示すように、リセット期間のLUT群R_WF(表3(a))と、単位駆動波形のLUT群B_WF(表3(b))とを用意して、サブフレーム毎にR_WF、B_WFのLUT群の中から所定のLUTを選択することで、所望の駆動波形を表現できる。
【0065】
すなわち、リセット期間は同一の印加電圧が8サブフレーム分繰り返されるのでm行1列のLUTであるR_WFを1つ用意すれば良く、4回繰り返される単位駆動波形は、12サブフレームで構成されるので、m行1列のLUTを12サブフレーム分用意すれば良い。この単位駆動波形用の12サブフレーム分のLUTを単位駆動波形のLUT群B_WFn(n=1〜12)とする。なお、nは、リセット期間または単位駆動波形印加期間のうちのn番目のサブフレーム期間の印加電圧を定義するn番目のLUTを意味する。また、行番号mを表す指標としては、6ビットの2進数で表し、上位2bitがYの階調で、m[4:5]=[00],[01],[10]をとり、中位2ビットがMの階調で、m[2:3]=[00],[01],[10]をとり、下位2ビットがCの階調でm[0:1]=[00],[01],[10]をとるとする。
【0066】
各行のマトリクス要素には、各サブフレームにおいて、更新画面の画素の階調データに遷移する際に、電子ペーパ表示装置のデータドライバ(後述)に供給されるべきドライバデータ信号が表されている。ここで、ドライバデータ信号は3ビットの2進数で[000],[001],[010],[011],[100],[101],[110],[111]の値をとる。そして、データドライバは、[000]が入力されると0Vを出力し、同様に[001]=10V,[010]=15V,[011]=30V,[000]=0V,[101]=−10V,[110]=−15V,[111]=−30Vが出力される。上記構成において、表3(a)、(b)に、表2−1〜表2−5の駆動波形を実現するためのLUT群を示している。
【0067】
【表3】
【0068】
たとえば、表示状態NEXT:(CMY)=(0,1,0)のときは、相対色濃度(C)=[00],(M)=[10],(Y)=[00]なので、LUTの行番号mはm=[001000]となる。このとき、表2より、駆動波形はリセット期間の8サブフレーム分―30Vをかけるので、リセット用LUT群R_LUTの該当する要素データはR_WF1[001000]=[111]となる。さらに単位駆動波形印加期間中の第1の電圧印加期間では、2サブフレーム分0Vを印加するので、B_WFn[001000]=[000](n=1,2)となる。次に、単位駆動波形印加中の第2の電圧印加期間では、4サブフレーム分15Vを印加するので、B_WFn[001000]=[010](n=3,4,5,6)となる。また、単位駆動波形印加中の第3の電圧印加期間では6サブフレーム分―10Vを印加するので、B_WFn[001000]=[101](n=7,8,9,10,11,12)となる。その他の駆動波形とルックアップテーブルの各要素との対応関係も同様である。
【0069】
回路構成
次に、この実施形態の回路構成について説明する。
図22は、この発明の第1の実施形態である電子ペーパ表示装置(画像表示装置)の電気的構成を示すブロック図、図23は、同電子ペーパ表示装置を構成する電子ペーパコントローラの詳細を示すブロック図、図24は、同電子ペーパコントローラを構成する電子ペーパ制御回路の詳細を示すブロック図、また、図25は、同電子ペーパコントローラを構成するLUT変換回路の詳細を示すブロック図である。
【0070】
この電子ペーパ表示装置は、上記したような、この実施形態の駆動波形に基づいて駆動する画像表示装置であって、図23に示すように、カラー表示が可能な電子ペーパ部9と、電子ペーパモジュール基板10とからなっている。上記電子ペーパ部9は、メモリ性を有し、カラー表示可能な電気泳動表示装置2からなる表示部(電子ペーパ)1と、該表示部1を駆動するドライバ(電圧印加手段)とからなっている。このドライバは、シフトレジスタ動作をするゲートドライバ11と多値出力のデータドライバ12とから構成されている。
【0071】
また、電子ペーパモジュール基板10には、電子ペーパ部9を駆動する電子ペーパコントローラ13と、フレームバッファを構成するグラフィックメモリ14と、装置各部を制御すると共に、電子ペーパコントローラ13に画像データを与えるCPU(中央処理装置)15と、ROMやRAMなどのメインメモリ16と、各種画像データや各種プログラムを記憶する記憶装置(ストレージ)17と、無線LANなどからなるデータ送受信部18が備えられている。
【0072】
上記電子ペーパコントローラ13は、表3に示されるLUT群R_WFn,B_WFn(nは、1〜15)を用いて、図14乃至図19に示す画面更新時の駆動波形を実現するための電圧制御手段としての回路構成を有し、具体的には、図23に示すように、表示電源回路19と、電子ペーパ制御回路20と、データ読み出し回路21と、LUT変換回路22とから構成されている。
データ読み出し回路21は、CPU15がグラフィックメモリ14に書き込んだ更新画像(次画面NEXT)の画素のカラー階調を表すRGBデータを読み出して、いったん任意の表示色データLa*b*に変換した後、対応するCMY相対色濃度データに変換して、LUT変換回路22に送信する回路である。ここで変換されたCMY相対色濃度データは、8ビットの2進数で表し、上位2bitは[00]で、次の2bitはY(イエロー色)の階調で、[00]、[01]、[10]をとり、次の2bitがM(マジェンタ色)の階調で[00]、[01]、[10]をとり、下位2bitがC(シアン色)の階調で[00]、[01]、[10]をとるように設定されている。ただし、CMYの階調に対応する相対色濃度データは、上記に限るものでなく、1対1の対応関係がとれれば、別異のデータを用いても良い。なお、CPU15は、RGBデータに代えて、変換されたCMY相対色濃度データをグラフィックメモリ14に格納するようにしても良い。
【0073】
表示電源回路19は、電子ペーパ制御回路20から送信された電源出力要求信号REQVを受けて、電子ペーパ部9のドライバ11、12に複数の基準電圧VDRを供給し、電子ペーパ部9の基準電位を定める対向電極(共通電極)8に与えるCOM電圧VCOMを供給する回路である。
電子ペーパの制御回路20は、図24に示すように、ドライバ制御信号生成回路23と、サブフレームカウンタ24とLUT生成回路25とから構成されている。上記ドライバ制御信号生成回路23は、CPU15から画面更新命令REFLを受けると、電子ペーパ部9のゲートドライバ11とデータドライバ12とにドライバ制御信号CTLを出力すると共に、クロック毎(画素毎)に階調データの読み出し要求信号REQPをデータ読み出し回路21に出力する。さらに、表示電源回路19に電源出力要求信号REQVを出力する。
【0074】
上記サブフレームカウンタ24は、CPU15からの画面更新命令REFLを受けてサブフレームのカウントをし始め、画面更新に必要なフレーム数分、サブフレームのカウントアップを行うと共に、LUT生成回路25に対して、現在が第nサブフレーム目の駆動処理であることを示すサブフレーム番号NUBを出力する。
上記LUT生成回路25は、不揮発性メモリに格納された表3に示すリセット用LUT群R_WFnと単位駆動波形用LUT群B_WFnを読み出してサブフレーム番号に対応したLUTを生成し、LUTデータとしてLUT変換回路22に出力する。
たとえば、表2におけるサブフレームW2a−aにおいてはベースとなる単位駆動波形の2回目の印加で第2サブフレーム群の2番目であるから、対応する表3の単位駆動波形用LUT群のWF4が読み出され、LUTデータとして、LUT変換回路に出力される。
【0075】
LUT変換回路22は、図25に示すように、変換回路26とドライバデータ生成回路27とからなっている。変換回路26は、データ読み出し回路21から送信された8bitのCMY相対色濃度データの上位2bitを削除して、LUTマトリクス行番号mに変換して、ドライバデータ生成回路27に出力する。上記ドライバデータ生成回路27は、電子ペーパ制御回路20から出力されたLUTデータを参照して、変換回路26から出力されたLUTマトリクス行番号mに対応したLUTマトリクス要素をドライバデータDATとして、電子ペーパ部9のドライバ11、12に出力する。このようにして、電子ペーパコントローラ13は、図14乃至図19に示す駆動波形を実現するためのドライバデータDATを出力する。
【0076】
この第1の実施形態では、画面更新時、所定の表示状態NEXT:(Rc,Rm,Ry)を実現する際、サブフレーム周波数をN倍(Nは2以上の自然数)に高速化し、単位基本波形をN回繰り返す構成となっているので、画面更新過程での不快な“ちらつき”を抑制しながら、所定の中間色・階調表示を実現することができる。
【実施形態2】
【0077】
次に、この発明の第2の実施形態について述べる。第1の実施形態では、画面更新過程での不快な“ちらつき”を防止するために、サブフレーム周波数を高速化する構成となっている。しかしながら、サブフレーム周波数の高速化には、駆動時の消費電力の増大やパネルの駆動能力からくる限界がある。たとえば、4回の繰り返しならば、サブフレーム期間は25msecであるが、10回の繰り返しの場合は、サブフレーム期間は10msecとなり、TFTの書き込み能力の限界近くになる。
そこで、この第2の実施形態では、複数種の単位駆動波形を組み合わせて、それを繰り返すことでサブフレーム周波数を緩和している。
なお、第2の実施形態において、回路構成や対応するLUT生成方法などについては、上述の第1の実施形態とほぼ同様であるので、これらの説明を省略または簡素化する。
【0078】
単位駆動波形の作成
まず、駆動周波数を緩和するためのベースとなる単位駆動波形の作成方法について説明する。表2−1〜表2−5の駆動波形からわかる通り、最終表示状態NEXT:(CMY)=(Rc,Rm,Ry)を実現するために、最終遷移状態NEXT:(CMY)=(1,0,0.5)のように、W1−1aのみにV1=30Vを印加する場合と、最終遷移状態NEXT:(CMY)=(1,0,1)のように、W1−1a,W1−1b両方にV1=30Vを印加する場合がある。同様にW1−2a/W1−2bにV2=15V(または−V2=−15V)を印加する場合と、W1−2a/W1−2b/W1−2c/W1−2d全てに印加する場合がある。さらに、W1−3a/W1−3b/W1−3cのみにV3=10V(−V3=−10V)を印加する場合と、W1−3a/W1−3b/W1−3c/W1−3d/W1−3e/W1−3f全てに印加する場合がある。この一部にのみV1(V2,V3)の電圧を印加することを止めることを考える。
【0079】
例として、表4−1〜表4−5を参照して,最終遷移状態NEXT:(CMY)=(1,0,0.5)を表示するための単位駆動波形の作成について説明する。
表4−1〜表4−5には、この第2の実施形態で用いられる3色CMYの各階調を3階調とした具体的な駆動電圧データが示されている。ここで、表4−1は、リセット期間の駆動電圧と印加後の基底状態を示している。また、表4−2は、単位駆動波形Aの1回目の印加期間における、駆動電圧と印加後の中間遷移状態を示し、表4−3は、単位駆動波形Bの1回目の印加期間における駆動電圧と印加後の中間遷移状態を示している。また、表4−4は、単位駆動波形Aの2回目の印加期間における、駆動電圧と印加後の中間遷移状態を示し、表4−5は、単位駆動波形Bの2回目の印加期間における駆動電圧と印加後の最終表示状態を示している。ここで、1サブフレーム期間は、“ちらゆき”が現われる改善前の駆動波形の4倍速の25msecに設定されている点は、上述の第1の実施形態と同様である。
【0080】
第1の実施形態で用いられる表2では、最終遷移状態NEXT:(CMY)=(1,0,0.5)を表示するための駆動波形は、W1−1a=30V,W1−1b=0Vであるが、この実施形態の単位駆動波形Aでは、W1−1bをW1−1aと同じ電圧とし、W1−1a=W1−1b=30Vに修正する。また、表2では、W1−2a=W1−2b=−15V,W1−2c=W1−2d=0Vであるが、この実施形態の単位駆動波形Aでは、W1−2c/W1−2dをW1−2a/W1−2bと同じ電圧とし、W1−2a=W1−2b=W1−2c=W1−2d=−15Vとする。また、表2では、W1−3a(b,c,d,e,f)=10Vであり、前半と後半の電圧が同じであるため、修正は必要ない。この単位駆動波形Aの電圧印加により、表4−2に示すように、中間遷移状態IA1−3:(CMY)=(0.25,0,0.25)に遷移する。
【0081】
次に、表2−3に示される単位駆動波形の2回目の印加期間に相当する期間では、単位駆動波形Aとは異なる単位駆動波形Bを印加することで、表4−3に示すように、単位駆動波形の2回目の印加期間終了後の中間遷移状態IB1−3:(CMY)=(0.5,0,0.25)へ遷移させる。このためには、W2−1a(b)=0V,W2−2a(b,c,d)=0V,W2−3a(b,c,d,e,f)=10Vを印加すれば良い。これにより、中間遷移状態I2−3:(CMY)=(0.5,0,0.25)への遷移が可能となる。この単位駆動波形Aの印加と単位駆動波形Bの印加を再度繰り返すことで、最終表示状態NEXT:(CMY)=(1,0,0.5)への遷移が可能となる。表4−1〜表4−5には、3階調全ての最終表示状態に対する駆動波形が示されている。表4−1〜表4−5では、サブフレーム周波数は表2−1〜表2−5と同じであるが、W1−1aとW1−1bは同じ電圧、W1−2aとW1−2b(c,d,)は同じ電圧、W1−3aとW1−3b(c,d,e,f)は同じ電圧なので、サブフレーム周波数を半分(リセット期間は4つのサブフレーム、各駆動波形A,Bの電圧印加期間は6つのサブフレーム)にすることができる。表5には、この第2の実施形態で用いられる、サブフレーム周波数を半分にした駆動波形が示されている。また、図26には、NEXT:(CMY)=(0,1,0.5)に遷移する際、第2の実施形態で用いられる駆動波形と中間遷移状態が示されている。
【0082】
【表4−1】
【0083】
【表4−2】
【0084】
【表4−3】
【0085】
【表4−4】
【0086】
【表4−5】
【0087】
【表5】
【0088】
このように、この第2の実施形態でも、上述の第1の実施形態と同様に、単位駆動波形を4回繰り返す構成としたが、サブフレーム周波数を一段と高速化して単位駆動波形を4回以上繰り返すようにすれば、中間遷移の色変動(たとえば、ΔC、ΔM,ΔY)をさらに小さくすることができ、その分、“ちらつき”を抑制できる。
また、各単位駆動波形の駆動期間終了後、0Vを数サブフレーム分印加することで、(0,0.25,0),(0,0.5,0),(0,0.75,0)…
…の色味が最終表示状態に近い中間遷移状態を強調することができるので、画面の“ちらつき”をさらに緩和できる。
【0089】
なお、この第2の実施形態では、第1〜第3サブフレーム群全体を単位駆動波形として繰り返したが、目標とする更新表示状態を得る上で、必要のないサブフレーム群は省略して、印加する必要のある第1〜第3サブフレーム群のみを繰り返すようにしても良い。
また、中間遷移のCMYの相対色濃度が“0”、“1”にするためのサブフレーム群期間においては、該サブフレーム群の印加電圧は余計にかけても相対色濃度が飽和して“0”、“1”になるのであれば、印加電圧を余分にかけても良いことはいうまでもない。また、0Vの印加期間を削減して、駆動期間を短縮できる。さらに、各期間のサブフレーム数を一定にして、各期間の単位サブフレーム時間を、各期間で異ならせても良いことも同様である。また、以上ではリセット後の基底状態を白(W)として説明を行ったが、基底状態を黒(K)としても同様の考えで駆動波形を作成することができる。さらに、最終表示表示状態ごとに、中間遷移状態I−1またはI−2を最終表示状態NEXTと一致するようにそれぞれ基底状態を白または黒に選択することで、駆動期間の短縮をはかることも可能である。さらに、また、以上ではC,M,Yは3階調としたが、2階調や3階調以上の多階調でも同様の駆動ができることはいうまでもない。また、以上はC,M,Yの3粒子の場合で説明したが、CMY3色のかわりにRGB3色でも良く、またCMYK4色やCMYRGB6色など3色以上の場合にも同様の駆動方法を適用できる。
【0090】
この第2の実施形態でも、単位基本波形をN回繰り返す構成となっているので、画面更新過程での不快な“ちらつき”を抑制しながら、所定の中間色・階調表示を実現することができる。加えて、上述の第1の実施形態では、最終表示状態までに遷移するためのサブフレーム数は、リセット期間で8サブフレーム、駆動波形印加期間で12サブフレームx4回=48サブフレームで、全部で56サブフレームを要する構成であるが、この第2の実施形態では、その半分の28サブフレームで済み、サブフレーム周波数を半分に低下することができることができるので、素子構成の負担を緩和できる。
【0091】
なお、この第2の実施形態では、表4−1〜表4−5に示すように、単位駆動波形Aと単位駆動波形Bとを交互に2回ずつ、全体として4回繰り返しているが、図26から分かるように、単位駆動波形Aと単位駆動波形Bとを合わせて、単一の単位駆動波形Cとみなすこともできる。このように考えれば、この第2の実施形態は、単位駆動波形Cが2回繰り返されている(繰り返し周波数が半分の)事例であると考えることもできる。中間遷移の色変動(たとえば、ΔC、ΔM,ΔY)が微細になるほど、繰り返し周波数は高くなり、中間遷移の色変動が粗くなるほど、繰り返し周波数は低くなり、それゆえ、設計者は、必要に応じて、中間遷移の色変動(したがって、繰り返し周波数)を設定できる。
【実施形態3】
【0092】
次に、この発明の第3の実施形態について説明する。
上述の参考例では、リセット期間を設けて、前画面を消去し、白の基底状態に遷移させた上で、更新画面の表示を行うようにしたが、この第3の実施形態では、前画面を参照することで、リセット期間を設けずに、セット期間のみで更新画面を表示する構成となっている点で、上述の参考例のそれと著しく異している。
【0093】
駆動動作<駆動波形1回印加のケース>
この第3の実施形態に係る電気泳動表示装置では、前画面CURRENT:(CMY)=(Rc’,Rm’,Ry’)から次画面NEXT:(CMY)=(Rc,Rm,Ry)に更新する際、リセット期間を設けず、中間遷移状態I−1→I−2のみを経由して、最終表示状態(更新表示状態)を実現する構成となっている。ここで、複数のサブフレームにわたる駆動期間は、V1,0,−V1[V]の電圧を印加する第1のサブフレーム群期間(第1の電圧印加期間)と、V2,0,−V2[V]の電圧を印加する第2のサブフレーム群期間(第2の電圧印加期間)と、V3,0,−V3[V]の電圧を印加する第3のサブフレーム群期間(第3の電圧印加期間)からなっている。
【0094】
第1のサブフレーム群期間は、前画面の表示状態CURRENTから帯電粒子Yの相対色濃度がRyとなる第1の中間遷移状態I−1に遷移する期間であり、第2のサブフレーム群期間は、第1の中間遷移状態I−1から、Y濃度がRyでM濃度がRmとなる第2の中間遷移状態I−2に遷移する期間であり、また、第3のサブフレーム群期間は、第2の中間遷移状態I−2から、最終表示状態NEXTに遷移する期間である。ここで、相対色濃度Rx(x=c,m,y)は、相対色濃度で0〜1をとり、Rx=0は、表面にどのX粒子(帯電粒子C,M,Y)もない状態を表わし、Rx=1は、全てのX粒子が表面に移動している状態を表わしている。それゆえ、(CMY)=(0,0,0)は白(W)表示であり、(CMY)=(1,1,1)は黒(K)表示を表わしている。
【0095】
表6−1〜表6−8は、第3の実施形態において、3色CMYの各階調を3階調としたときの、前画面(CMY)=(Rc,Rm,Ry)から更新画面(CMY)=(Rc,Rm,Ry)を表示するための具体的な駆動波形を示している。
ここで、表6−1には、CURRENT:(0,0,0)→NEXT:(Rc,Rm,Ry)(Rx=0,0.5,1の3階調をとる。x=c,m,y)に遷移するための印加電圧及び中間遷移状態が記載されている。同様に、表6−2には、CURRENT:(1,0,0)→NEXT:(Rc,Rm,Ry)に遷移するための印加電圧及び中間遷移状態が記載されている。表6−3には、CURRENT:(0,1,0)→NEXT:(Rc,Rm,Ry)に遷移するための印加電圧及び中間遷移状態が記載されている。表6−4には、CURRENT:(1,1,0)→NEXT:(Rc,Rm,Ry)に遷移するための印加電圧及び中間遷移状態が記載されている。表6−5には、CURRENT:(0,0,1)→NEXT:(Rc,Rm,Ry)に遷移するための印加電圧及び中間遷移状態が記載されている。表6−6には、CURRENT:(1,0,1)→NEXT:(Rc,Rm,Ry)に遷移するための印加電圧及び中間遷移状態が記載されている。表6−7には、CURRENT:(0,1,1)→NEXT:(Rc,Rm,Ry)に遷移するための印加電圧及び中間遷移状態が記載されている。表6−8には、CURRENT:(1,1,1)→NEXT:(Rc,Rm,Ry)に遷移するための印加電圧及び中間遷移状態が記載されている。
【0096】
簡単のため、前画面の表示状態は、(CMY)=(0,0,0),(1,0,0),(0,1,0),(1,1,0),(0,0,1),(1,0,1),(0,1,1),(1,1,1)の8通りの場合のみ示しているが、前画面がその他の中間調/混色状態でも、以下に示すと同様の考えで、表6−9に示すように、駆動波形を作ることができる。
ここでは、簡便のために、各帯電粒子C,M,Yは、帯電量Qが|Qc|>|Qm|>|Qy|と設定され、粒子が移動を開始するしきい値電圧は|Vth(c)|<|Vth(m)|<|Vth(y)|となっているが、粒子の重量・大きさなどを異ならしめることで、同じ印加電圧に対する移動速度(モビリティ)が、帯電粒子C,M,Y共に同じになるように設定されている。
表6−1〜表6−8に示すように、駆動電圧は、第1サブフレーム群期間で|V1|=30Vに設定され、第2サブフレーム群期間で|V2|=15Vに設定され、第3サブフレーム群期間で|V3|=10Vに設定されている(なお、必要に応じて,駆動電圧を任意の値に設定できることはもちろんである)。
【0097】
さらに、各帯電粒子C,M,Yが背面から表示面に移動する時間Δtは、簡単なモデルでは、印加電圧Vと反比例の関係があり、しきい値電圧以上で、V×Δt=一定となる。この第3の実施形態では、帯電粒子Cが背面から表面(または表面から背面)へ移動する時間は|V|=30Vで0.2secに、|V|=15Vで0.4secに、|V|=10Vで0.6secに設定されている。また、帯電粒子Mが背面から表面(または表面から背面)へ移動する時間は|V|=30Vで0.2secに、|V|=15Vで0.4secに設定されている。また、帯電粒子Yが背面から表面(または表面から背面)へ移動する時間は|V|=30Vで0.2secに設定されている。これらの関係を考慮して、この第3の実施形態では、1サブフレーム期間100msecとして、12サブフレーム(第1のサブフレーム群期間が2サブフレーム、第2のサブフレーム群期間が4サブフレーム、第3のサブフレーム群期間が6サブフレーム)で画面更新期間が設定されている。
【0098】
表6−1〜表6−9において、第1列は、目標とする更新表示状態の相対色濃度(CMY)を表わしている。第2列は、前画面の表示状態の相対色濃度を表わしている。第3列は、第1のサブフレーム群期間の印加電圧と期間後の第1の中間遷移状態I−1の相対色濃度を表わしている。第1のサブフレーム群期間は、2つのサブフレーム1a,1bで構成され、とりうる印加電圧は+30V、0V、−30Vである。2サブフレームとしたのは、30Vでの粒子の応答時間は0.2secであり、1サブフレーム期間が0.1secだからである。第4列は第2のサブフレーム群期間の印加電圧と期間後の第2の中間遷移状態I−2の相対色濃度を表わしている。
【0099】
第2のサブフレーム群期間は4つのサブフレーム2a,2b,2c,2dで構成され、とりうる印加電圧は+15V,0V,−15Vである。4サブフレームとしたのは、15Vでの粒子の応答時間は0.4secであり、1サブフレーム期間が0.1secだからである。第5列は、第3のサブフレーム群期間の印加電圧と期間後の最終更新表示状態NEXTの相対色濃度を表わしている。第3のサブフレーム群期間は、6つのサブフレーム3a,3b,3c,3d,3d,3fで構成され、とりうる印加電圧は+10V,0V,−10Vである。6サブフレームとしたのは、10Vでの粒子の応答時間は0.6secであり、1サブフレーム期間が0.1secだからである。
【0100】
【表6−1】
【0101】
【表6−2】
【0102】
【表6−3】
【0103】
【表6−4】
【0104】
【表6−5】
【0105】
【表6−6】
【0106】
【表6−7】
【0107】
【表6−8】
【0108】
【表6−9】
【0109】
次に、例として、表6−2を参照して、前画面の表示状態が(CMY)=(1,0,0)であるときの更新駆動について説明する。
第1のサブフレーム群期間では、前画面の相対色濃度Yが0であるから、目標とする帯電粒子Yの相対色濃度に対応して、目標とする相対色濃度(Y)が0のときは、印加電圧を印加する必要はないので、0Vを2サブフレーム分印加して、中間遷移状態I−1:(CMY)=(1,0,0)は前画面の表示状態を維持する。これに対して、目標とする相対色濃度(Y)が0.5のときは、印加電圧は−30Vを1サブフレーム分のみ印加して、中間遷移状態I−1:(CMY)=(1,0.5,0.5)に遷移させる。目標とする相対色濃度(Y)が1のときは、印加電圧30Vを2サブフレーム分印加して、中間遷移状態I−1:(CMY)=(1,1,1)に遷移させる。これにより、前画面の表示状態CURRENT:(CMY)=(1,0,1)から第1の中間表示状態I−1:(CMY)=(X,X,Ry)(Xは任意)に遷移する。
【0110】
第2のサブフレーム群期間では、第1の中間遷移状態I−1の帯電粒子Mの相対色濃度を参照して、帯電粒子Mの相対色濃度が目標とする帯電粒子Mの相対色濃度になるように、−15Vまたは15Vを所定数、印加する。たとえば、第1の中間遷移状態I−1のMの相対色濃度Rm’、目標とするMの相対色濃度をRmとしたときに、Rm−Rm’=0のときは電圧を印加する必要はないので、0Vを4サブフレーム分印加する。これに対して、Rm−Rm’=0.5のときは15Vを2サブフレーム分印加し、Rm−Rm’=1のときは15Vを4サブフレーム分印加する。逆に、Rm−Rm’=−0.5のときは−15Vを2サブフレーム分印加し、Rm−Rm’=−1のときはー15Vを4サブフレーム分印加する。以上により、第1の中間遷移状態I−1:(CMY)=(X,X,Ry)から第2の中間遷移状態I−2:(CMY)=(X,Rm,Ry)(Xは任意)に遷移する。
【0111】
第3のサブフレーム群期間では、第2の中間遷移状態I−2の帯電粒子Cの相対色濃度を参照して、帯電粒子Cの相対色濃度が目標とする帯電粒子Cの相対色濃度になるように、−10Vまたは10Vを所定数、印加する。たとえば、第2の中間遷移状態I−2のCの相対色濃度Rc’、目標とするCの相対色濃度をRcとしたときに、Rc−Rc’=0のときは電圧を印加する必要はないので、0Vを6サブフレーム分印加する。Rc−Rc’=0.5のときは10Vを3サブフレーム分印加する。Rc−Rc’=1のときは10Vを6サブフレーム分印加する。逆に、Rc−Rc’=−0.5のときは−10Vを3サブフレーム分印加し、Rc−Rc’=−1のときは、−10Vを6サブフレーム分印加する。以上により、第2の中間遷移状態I−2:(CMY)=(x,Rm,Ry)から目標とする最終表示状態NEXT:(CMY)=(Rc,Rm,Ry)に遷移することができる。他の事例についても同様である。
【0112】
図27〜図29は、前画面の表示状態CURRENT:(Rc,Rm,Ry)→目標とする次画面の表示状態NEXT:(0,1,0)に遷移するための駆動波形を示している。図27〜図29に示すように、前画面の表示状態CURRENT:(x,0,0)→次画面の表示状態NEXT:(1,0,0)に遷移する場合、前画面の表示状態CURRENT:(1,1,0)→次画面の表示状態NEXT:(0,1,0)に遷移する場合、前画面の表示状態CURRENT:(0,1,0)→次画面の表示状態NEXT:(0,1,0)に遷移する場合、前画面の表示状態CURRENT:(x,x,1)→次画面の表示状態NEXT:(0,1,0)(xは0または1)に遷移する場合、では、前画面状態により、印加すべき駆動波形が異なっており、前画面の表示状態を参照して、更新画面の最終表示状態の駆動波形を決定する必要があることがわかる。
【0113】
以上をまとめると、電圧印加期間は、第1の電圧V1(またはV1)、または/及び0V電圧を印加して前記帯電粒子Yの色濃度を前画面のRyから次画面のRy’に遷移させる第1のサブフレーム群と、第2の電圧V2(またはV2)、または/及び0V電圧を印加して前記帯電粒子Yの色濃度をRyに保持したまま、前記帯電粒子Mの相対色濃度をRmとなる第2の中間遷移状態に遷移させる第2のサブフレーム群と、第3の電圧V3(またはV3)、または/及び0V電圧を印加して前記帯電粒子M,Yの色濃度をRm,Ryに保持したまま、前記帯電粒子Cの相対色濃度をRcとなる最終表示状態に遷移させる第3のサブフレーム群とから構成され、
なお、V1,V2,V3は(|Vth(c)|<|V3|<|Vth(m)|<|V2|<|Vth(y)|<|V1|)の関係を満たしている。
各サブフレーム群の印加電圧は、前画面の表示状態と更新画面の表示状態を参照して決定される。
【0114】
なお、目標とする更新表示状態において、必要のないサブフレーム群は省略して、印加する必要のある第1〜第3サブフレーム群のみで駆動することも可能である。
また、中間遷移状態が同じになる表6と異なった駆動波形も存在し、その駆動波形も本実施形態に含まれることはいうまでもない。たとえば、中間遷移のCMYの相対色濃度が“0”、“1”にするためのサブフレーム群期間においては、該サブフレーム群の印加電圧は余計にかけても相対色濃度が飽和して“0”、“1”になるのであれば、印加電圧を余分にかけても良い。また、0Vの印加期間を削減して、駆動期間を短縮することもできる。さらに、各期間のサブフレーム数を一定にして、各期間の単位サブフレーム時間を、各期間で異ならせても良いことも同様である。
また、以上ではC,M,Yは3階調としたが、2階調や3階調以上の多階調でも同様の駆動ができることはいうまでもない。さらに、前画面をいったん2階調に表示して、その上で次画面を表6の駆動波形を用いて表示するようにしても良い。また、以上は、C,M,Yの3粒子の場合について述べた、CMY3色に代えて,RGB3色でも良く、また、CMYK4色やCMYRGB6色など3色以上の場合でも、この駆動方法を適用できる。
【0115】
LUTの生成方法は、第1の実施形態と同様であるが、この第3の実施形態で用いられる生成方法では、リセット期間用のLUTR_LUTを必要としない反面、前画面の表示状態に応じたLUT群が複数必要となり、前画面が3階調であれば、LUT群Bk_LUTn(n=1…12)はk=1…27の27個分必要であり、前画面を2階調である場合には8個分必要である。
また、以上を駆動するための回路構成も第1の実施形態と同様であるが、以下の違いがある。グラフィックメモリに格納する画像データは前画面の画素のRGBデータと更新画面のRGBデータの両方が必要であり、データ読み出し回路は両データを読み出す必要がある。また、LUT生成回路は、前画面の画素のRGBデータに応じたLUT群Bk_LUTnを不揮発性メモリから読み出して、サブフレーム番号に対応したLUTを生成する必要がある。
【0116】
このように、この第3の実施形態の構成によれば、各単色(R,G,B,C,M,Y,W,K)だけでなく、中間色まで含めた多階調表現を簡易な構成で実現できる。加えて、リセット期間がないため、画面更新時間の短縮を図ることができる。
【実施形態4】
【0117】
次に、この発明の第4の実施形態について説明する。
この第4の実施形態は、上述の第3の実施形態の改良に係り、単位駆動波形の繰り返し印加による駆動方法が用いられる点に特徴を有している。
すなわち、この第4の実施形態では、サブフレーム周波数を高速化し、表6−1〜表6−9に示す駆動波形を繰り返すことで、前画面状態CURRENTから最終表示状態NEXTへの滑らかな遷移を実現している。ここで、単位駆動波形の生成は、上述の第1の実施形態において、基本波形の繰り返し印加による駆動動作(駆動方法)について述べたと同様に作成することができるが、そのまま適用すると非常に複雑である。
【0118】
なぜなら、第1の実施形態では、基底状態からの同じ方向への遷移、たとえば(0,0,0)→(1,0,1)への遷移であったため、各帯電粒子C,M,Yはそれぞれ同じ方向(この場合は表示面側)に移動するか、または移動しないかであった。また、上述の第3の実施形態で用いられる駆動波形の1回印加による駆動方法に対して、単位駆動波形の繰り返しにより滑らかな遷移を可能にしようとした場合は、各帯電粒子C,M,Yは移動方向が一定でない場合がある。たとえば、(0,1,1)→(1,1,0)の遷移ではC粒子は表示面側に移動し、Y粒子はTFT基板側に移動し、M粒子は表示面側にとどまる。このため、−30Vを印加した場合、単位駆動波形ではC粒子は基底状態“0”のために、移動しないことが想定されているが、単位駆動波形を複数印加する場合は、たとえば1回目の波形印加後はC粒子が基底状態にいないため、2回目の波形印加期間における−30Vの印加によりC粒子が移動してしまい、これは元々は想定されていない動作のため、ズレが生じてしまう。
【0119】
このズレを修正(補正)するため、第2電圧V2/−V2をさらに印加する修正(補正)第2サブフレーム群期間と、第3電圧V3/−V3をさらに印加する修正第3サブフレーム群期間を、単位駆動波形の繰り返しの間に挿入して、修正駆動波形を印加することで粒子の動きを修正する必要がある。
以下の例では、1サブフレーム期間は、4倍速の25msecとして、単位駆動波形の12サブフレーム(第1のサブフレーム群期間が2サブフレーム、第2のサブフレーム群期間が4サブフレーム、第3のサブフレーム群期間が6サブフレーム)を4回繰り返し、その間に、修正波形の10サブフレーム(修正第2サブフレーム4サブフレーム、修正第3サブフレーム群期間6サブフレーム)を3つ挿入することで、最終表示状態NEXTを実現することとする。
【0120】
説明を簡単にするために、表7−1〜表7−8を参照して、CMY各2階調について、前画面から更新画面への直接遷移するための駆動波形について述べる。表7−1では、前画面の表示状態がCURRENT:(CMY)=(0,0,0)のとき、次画面状態がNEXT:(CMY)=(Rc,Rm,Ry)(Rc,Rm,Ryは0または1)に遷移するための駆動波形であり、表中(a)、(b)、(c)、(d)は、4回の単位駆動波形と各単位駆動波形の間に挿入される3回の修正波形を繰り返した場合の4回分の駆動波形を順次示している。
【0121】
同様に、表7−2は、CURRENT:(CMY)=(1,0,0)⇒NEXT:(CMY)=(Rc,Rm,Ry)(Rc,Rm,Ryは0または1)に遷移するための4回分の駆動波形を順次示している。表7−3は、CURRENT:(CMY)=(0,1,0)⇒NEXT:(CMY)=(Rc,Rm,Ry)(Rc,Rm,Ryは0または1)に遷移するための4回分の駆動波形を順次示している。また、表7−4は、CURRENT:(CMY)=(1,1,0)⇒NEXT:(CMY)=(Rc,Rm,Ry)(Rc,Rm,Ryは0または1)に遷移するための4回分の駆動波形を順次示している。表7−5は、CURRENT:(CMY)=(0,0,1)⇒NEXT:(CMY)=(Rc,Rm,Ry)(Rc,Rm,Ryは0または1)に遷移するための4回分の駆動波形を順次示している。表7−6は、CURRENT:(CMY)=(1,0,1)⇒NEXT:(CMY)=(Rc,Rm,Ry)(Rc,Rm,Ryは0または1)に遷移するための4回分の駆動波形を順次示している。また、表7−7は、CURRENT:(CMY)=(0,1,1)⇒NEXT:(CMY)=(Rc,Rm,Ry)(Rc,Rm,Ryは0または1)に遷移するための4回分の駆動波形を順次示している。さらに、表7−8は、CURRENT:(CMY)=(1,1,1)⇒NEXT:(CMY)=(Rc,Rm,Ry)(Rc,Rm,Ryは0または1)に遷移するための4回分の駆動波形を順次示している。
【0122】
【表7−1】
【0123】
【表7−2】
【0124】
【表7−3】
【0125】
【表7−4】
【0126】
【表7−5】
【0127】
【表7−6】
【0128】
【表7−7】
【0129】
【表7−8】
【0130】
表7−1に示すCURRENT:(0,0,0)→NEXT:(Rc,Rm,Ry)への遷移については、第1の実施形態と同様に基底状態からの遷移であり、修正駆動波形は必要ないので、説明を省略する。次に、表7−2を参照して、CURRENT:(1,0,0)→NEXT:(Rc,Rm,Ry)への遷移についての具体的な駆動方法について説明する。まず、CURRENT:(1,0,0)→NEXT:(Rc,Rm,0)の遷移について述べる。この場合は、Y粒子の移動は伴わないので、C粒子とM粒子のみの移動を考える。
CURRENT:(1,0,0)→NEXT:(0,0,0)、CURRENT:(1,0,0)→NEXT:(1,0,0)の場合は、M粒子の相対色濃度は”0”→”0”でTFT基板側に留まり、C粒子は”1”→”0”または”1”でTFT基板側に移動するか、表示面側に移動するかであるので、C粒子とM粒子の移動方向は同じであり、修正駆動波形の印加は必要でなく、修正駆動期間では電圧を印加する必要はなく、0Vを印加すれば良い。またCURRENT:(1,0,0)→NEXT:(1,1,0)ではM粒子の相対色濃度は”0”→”1”に遷移し、M粒子は表示面側に移動する。C粒子は”1”→”1”で表示面側に留まるので、C粒子とM粒子の移動方向は同じであり、修正駆動波形の印加は必要なく、修正駆動期間は0Vを印加すれば良い。
【0131】
次に、CURRENT:(1,0,0)→NEXT:(0,1,0)の場合は、M粒子の相対色濃度は”0”→”1”に遷移し、M粒子は表示面側に移動する。C粒子の相対色濃度は”1”→”0”に遷移し、C粒子は表示面と反対側のTFT基板側に移動する。すなわち、C粒子とM粒子の移動方向が逆である。このため、たとえば、1回の駆動波形で更新表示状態に遷移する駆動方法では、+15Vの印加でM粒子が”0”→”1”に遷移する際に、C粒子は”1”→”1”のままでC粒子の移動は想定されていないのに対し、繰り返しの単位駆動波形の印加で更新表示状態に遷移する駆動方法では、1回目の単位駆動波形の印加後、C粒子は基底状態”1”から遷移しているため、2回目の繰り返し単位駆動波形印加時における第2サブフレーム群期間の+15Vの印加によってC粒子が移動してしまう。このため、単位駆動波形の繰り返しでは更新表示状態に遷移することができない。これを防ぐため、2回目の単位駆動波形印加の前に−10Vを6サブフレーム分印加し、第2サブフレーム群期間の−15V4サブフレーム分の印加におけるC粒子の移動分を修正しておく必要がある。
【0132】
次に、CURRENT:(1,0,0)→NEXT:(Rc,Rm,1)の遷移について述べる。この事象の場合、Y粒子の相対色濃度は、”0”→”1”に遷移するので、表示面側に移動する。M粒子に関しては、”0”→””0”または”1”に遷移するため、Y粒子と同様に表示面側に移動するか、TFT基板側に留まるかのため、Y粒子と移動方向が同じであり、修正駆動波形を印加する必要はない。よって、修正第2サブフレーム群期間の印加電圧は0Vである。また、C粒子に関しては、CURRENT:(1,0,0)→NEXT:(1,Rm,1)の場合は、C粒子は移動しないので、修正駆動波形を印加する必要はなく、修正第3サブフレームの波形印加は0Vで良い。一方、CURRENT:(1,0,0)→NEXT:(0,Rm,1)の場合は、Y粒子は表示面側に移動するのに対して、C粒子はTFT基板側に移動し、移動方向が逆である。このため、1回の駆動波形で更新表示状態に遷移する駆動方法では、単位駆動波形第1サブフレーム群期間+30Vの印加でY粒子が”0”→”1”に移動するときにC粒子の移動が想定されていないのに対し、繰り返しの単位駆動波形の印加においては、1回目の単位駆動波形印加後、C粒子は基底状態”1”から移動しているので、2回目の単位駆動波形の印加時に、第1サブフレーム群期間の+30Vの印加で、C粒子が移動してしまう。これを防ぐために2回目の単位駆動波形印加の前に−10Vを6サブフレーム分印加し、第1サブフレーム群期間の30V、2サブフレームの印加におけるC粒子の移動分を修正しておく必要がある。
なお、ここでは、修正サブフレーム群期間に印加電圧を印加しなくても最終画面状態に遷移できるときは、印加電圧を0Vとした。しかしながら、たとえば、(0,1,1)→(0,1,0)の遷移において、修正駆動波形の修正第3サブフレーム群期間に−15Vを印加しても、C粒子の最終画面状態は”0”の基底状態に留まるので、問題はない。
【0133】
次に、表7−3を参照して、CURRENT:(1,0,0)→NEXT:(Rc,Rm,Ry)への遷移についての具体的な駆動方法について説明する。CURRENT:(0,1,0)→NEXT:(Rc,Rm,0)の遷移については、表7−2で示したと同様であり、CURRENT:(0,1,0)→NEXT:(0,0,0),CURRENT:(0,1,0)→NEXT:(0,1,0),CURRENT:(0,1,0)→NEXT:(1,1,0)は修正駆動波形を印加する必要はなく、CURRENT:(0,1,0)→NEXT:(1,0,0)は−10Vを6サブフレーム分印加する修正波形を単位駆動波形の印加の間に挿入する必要がある。
これに対して、CURRENT:(0,1,0)→NEXT:(Rc,Rm,1)の遷移については、CURRENT:(0,1,0)→NEXT:(0,1,1),CURRENT:(0,1,0)→NEXT:(1,1,1)への遷移のときは、M粒子は移動せず、C粒子はY粒子と同じ方向に移動するか、移動しないかであるので、修正駆動波形の印加は必要ない。
また、CURRENT:(0,1,0)→NEXT:(0,0,1)への遷移のときは、C粒子は基底状態に留まるが、M粒子とY粒子は反対方向に移動する必要がある。M粒子の移動を修正するために、修正波形印加時に、修正第2サブフレーム群で−15Vを4サブフレーム印加する必要があるが、この前後でC粒子は基底状態から移動しないので、修正第3サブフレーム群での電圧印加は必要でない。
【0134】
CURRENT:(0,1,0)→NEXT:(1,0,1)の場合は、CとY粒子は同じ方向に移動するのに対し、MとY粒子は反対方向に移動する必要がある。まず、反対方向に移動するM粒子の移動を修正するために、修正波形印加時に修正第2サブフレーム群で−15Vを4サブフレーム印加する必要がある。この前後でC粒子はM粒子と同じ方向に移動してしまう。しかし、C粒子はY粒子と同じ方向に移動する必要があり、M粒子と同じ方向への移動をキャンセルする必要があり、−15V、4サブフレームの印加をキャンセルすべく、修正第3サブフレーム群期間に10V、6サブフレームの印加がさらに必要となる。
【0135】
次に、表7−4を参照して、CURRENT:(1,1,0)→NEXT:(Rc,Rm,Ry)への遷移についての具体的な駆動方法について説明する。CURRENT:(1,1,0)→NEXT:(Rc,Rm,0)については、Y粒子は移動せず、C粒子とM粒子は一方が移動しないか、同じ方向に移動するので、修正駆動波形を印加する必要はない。
CURRENT:(1,1,0)→NEXT:(Rc,Rm,1)への遷移については、CURRENT:(1,1,0)→NEXT:(1,1,1)の遷移のときは、Y粒子のみが移動するので、修正駆動波形を印加する必要はない。CURRENT:(1,1,0)→NEXT:(0,1,1)への遷移のときは、M粒子は移動せず、C粒子とY粒子が反対方向に移動するので、修正駆動波形の印加の際に、修正第3サブフレーム群期間に−10V、6サブフレームの印加が必要となる。CURRENT:(1,1,0)→NEXT:(0,0,1)への遷移のときは、C粒子とM粒子は同じ方向に移動し、C、M粒子とY粒子が反対方向に移動するので、修正駆動波形の印加の際に、修正第2サブフレーム群期間に−15V、4サブフレームの印加が必要となる。
また、CURRENT:(1,1,0)→NEXT:(0,1,1)への遷移のときは、M粒子とY粒子は反対方向に移動し、C粒子とY粒子は同じ方向に移動する。このため、修正駆動波形の印加の際に、修正第2サブフレーム群期間に−15V、4サブフレームの印加する。そして、修正第2サブフレーム群期間における電圧印加のC粒子への影響をキャンセルするために、修正第3サブフレーム群期間において、10V、6サブフレームの印加を行う。表7−5〜表7−8の場合についても、上記したと同様であるので、説明を省略する。
【0136】
図30は、画面更新時、この第4の実施形態において、CURRENT:(1,0,0)→NEXT:(0,0,1)に遷移する際の駆動波形と中間遷移状態を示す図、また、図31は、その際の電気泳動粒子の挙動を示す中間遷移状態図である。図30及び図31を参照すれば、CURRENT:(1,0,0)→I1:(0.75,0,0.25)→I1’:(0.5,0,0.25)→I2:(0.5,0,0.5)→I2’:(0.25,0,0.5)→I3:(0.25,0,0.75)→I3’:(0,0,0.75)→NEXT:(0,0,1)と遷移することがわかる。
【0137】
このように、現画面から次画面に遷移する際、前画面をリセットすることなく直接遷移できるようにするために、この実施形態では、単位駆動波形を複数回印加する間に、単位駆動波形とは異なる修正駆動波形を印加する構成としている。
修正駆動波形は、第2の電圧V2(またはV2)を所定のサブフレーム数印加し、次に、V3(またはV3)を所定のサブフレーム数印加するサブフレーム群期間から構成されているが、第2の電圧を印加する修正サブフレーム群期間では、第1の電圧でのみ動くY粒子と、第1、2の電圧で動くM粒子が、遷移の際に、反対方向に移動する場合に電圧印加が必要となり、また、第3の電圧を印加する修正サブフレーム群期間では、第1の電圧でのみ動くY粒子または第1、2の電圧で動くM粒子と、第1,2、3の電圧で動くC粒子とが反対方向に移動する場合に電圧印加が必要となる。
【0138】
このように、この第4の実施形態でも、上述の第1の実施形態と同様に、単位駆動波形を4回繰り返す構成としたが、サブフレーム周波数を一段と高速化して単位駆動波形を4回以上繰り返すようにすれば、中間遷移の色変動(たとえば、ΔC、ΔM,ΔY)をさらに小さくすることができ、その分、“ちらつき”を抑制できる。
また、各単位駆動波形の駆動期間終了後、0Vを数サブフレーム分印加することで、(0,0.25,0),(0,0.5,0),(0,0.75,0)…
…の色味が最終表示状態に近い中間遷移状態を強調することができるので、画面の“ちらつき”をさらに緩和できる。
【0139】
なお、目標とする更新表示状態において、必要のないサブフレーム群は省略して、印加する必要のある第1〜第3サブフレーム群のみで駆動するようにしても良い。
また、中間遷移状態が同じになる単位駆動波形も存在し、その駆動波形も本実施形態に含まれることはいうまでもない。たとえば、中間遷移のCMYの相対色濃度が“0”、“1”にするためのサブフレーム群期間においては、該サブフレーム群の印加電圧は余計にかけても相対色濃度が飽和して“0”、“1”になるのであれば、印加電圧を余分にかけても良い。また、0Vの印加期間を削減して、駆動期間を短縮することもできる。さらに、各期間のサブフレーム数を一定にして、各期間の単位サブフレーム時間を、各期間で異ならせても良いことも同様である。また、以上ではC,M,Yは3階調としたが、2階調や3階調以上の多階調でも同様の駆動ができることはいうまでもない。さらに、前画面をいったん2階調に表示して、その上で次画面を表6の駆動波形を用いて表示することも可能である。また、以上はC,M,Yの3粒子の場合で説明したが、CMY3色のかわりにRGB3色でも良く、またCMYK4色やCMYRGB6色など3色以上の場合にも同様の駆動方法を適用できる。
【0140】
このように、この第4の実施形態によれば、第1の実施形態よりもリセット期間がない分、画面更新の更新期間を短くすることができる。加えて、基底状態の表示を省略できる分、中間遷移状態の輝度や色変動が、一段と少ない、目に違和感のない自然な画面遷移が可能となる。
【実施形態5】
【0141】
次に、この発明の第5の実施形態について説明する。
この第5の実施形態では、3色の電気泳動粒子を廃して、2色の電気泳動粒子を用いるようにした点で、上述した第1〜第4の実施形態と相異している。
すなわち、この第5の実施形態では、互いに補色の関係にあるシアン色(C)の電気泳動粒子と、赤色(R)の電気泳動粒子と、白色の保持体を用いて、赤(R)、シアン(C)、黒(K),白(W)、及び、これらの中間色や階調を表示する構成となっている。
【0142】
駆動動作<リセット期間あり、駆動波形1回印加のケース>
この実施形態では、前画面から次画面への更新は、まず、画面を白(W)または黒(K)の基底状態WKにリセットした後、該当する駆動波形を1回印加することで行われる。この実施形態で用いられる駆動波形の期間領域は、白(W)または黒(K)の基底状態WKに遷移するためのリセット期間と、V1,0,−V1[V]の電圧を印加する第1のサブフレーム群期間(第1の電圧印加期間)と、V2,0,−V2[V]の電圧を印加する第2のサブフレーム群期間(第2の電圧印加期間)とからなっている。
具体的には、更新しようとする次画面NEXTの画素毎の表示情報である帯電粒子C,Rの相対色濃度(CR)を(Rc,Rr)で表したとき、第1のサブフレーム群期間は、白(W)または黒(K)の基底状態から帯電粒子Rの相対色濃度がRrとなる中間遷移状態I−1に遷移する期間であり、第2のサブフレーム群期間は、中間遷移状態I−1から最終表示状態(更新画面)に遷移する期間である。
【0143】
ここで、相対色濃度Rx(x=c,r)は、相対色濃度で0〜1をとり、Rx=0は表面にX粒子(帯電粒子C,R)がない状態を表わし、Rx=1は、全てのX粒子が表面に移動している状態を表わしている。
表8には、2色C、Rの各階調を3階調(0,0.5,1)としたときの、具体的な駆動電圧データが示されている。また、簡単のため、各帯電粒子C、Rは、帯電量Qが|Qc|>|Qr|に設定されることで、帯電粒子が移動を開始するしきい値電圧は|Vth(c)|<|Vth(r)|となっている。
【0144】
表8に示すように、駆動電圧は、第1サブフレーム群期間で|V1|=30Vまたは0Vに設定されていて、第2サブフレーム群期間で|V2|=15Vまたは0Vに設定されている。
さらに、各帯電粒子C、Rが背面から表示面に移動する時間Δtは、簡単なモデルでは、しきい値電圧以上で、印加電圧Vと反比例の関係があり、V×Δt=一定となることは、第1の実施形態と同様である。この実施形態では、1サブフレーム期間100msecに設定されていて、画面更新期間は、8サブフレーム(リセット電圧印加期間が2サブフレーム、第1のサブフレーム群期間が2サブフレーム、第2のサブフレーム群期間が4サブフレーム)で構成されている。
【0145】
【表8】
【0146】
次に、表8を参照して,この実施形態による具体的な駆動動作(駆動方法)について説明する。
表8において、第1列は、目標とする更新表示状態の相対色濃度(CR)を表わしている。第2列は、リセット期間の印加電圧とリセット期間後の基底状態の相対色濃度を表わしている。リセット期間は、この第5の実施形態では、2つのサブフレームRa、Rbで構成され、とりうる印加電圧は−30Vである。第3列は、第1のサブフレーム群期間の印加電圧と期間後の中間遷移状態I−1の相対色濃度を表わしている。第1のサブフレーム群期間は2つのサブフレーム1a,1bで構成され、とりうる印加電圧は+30V、0Vである。2サブフレームとしたのは、30Vでの粒子の応答時間は0.2secであり、1サブフレーム期間が0.1secだからである。第4列は第2のサブフレーム群期間の印加電圧と期間後の最終表示状態NEXTの相対色濃度を表わしている。第2のサブフレーム群期間は4つのサブフレーム2a,2b,2c,2dで構成され、とりうる印加電圧は+15V,0V,−15Vである。4サブフレームとしたのは、15Vでの粒子の応答時間は0.4secであり、1サブフレーム期間が0.1secだからである。
【0147】
まず、リセット期間では、2サブフレームにわたりV1=−30Vを印加し、帯電粒子C,Rを表示面とは反対側の背面側に移動集結させて基底状態である白(W)表示にする。次の、第1のサブフレーム群期間では、帯電粒子Rの相対色濃度に対応して、相対色濃度(R)が0のときは、印加電圧0Vを2サブフレーム分印加し、相対色濃度(Y)が0.5のときは、印加電圧30Vを1サブフレーム分、印加電圧0Vを1サブフレーム分印加し、相対色濃度(R)が1のときは、印加電圧30Vを2サブフレーム分印加する。これにより基底状態Wから中間遷移状態I−1:(CR)=(Rr,Rr)(Rrは3階調であり、Ry=0,0.5,1)になる。
次の第2のサブフレーム群期間では、同様に中間遷移状態I−1:(CR)=(Rr、Rr)から、−15Vまたは15Vを所定数、印加して最終表示状態NEXT:(CR)=(Rc、Rr)に遷移させる。たとえば、中間遷移状態I−1の帯電粒子Rの相対色濃度Rrと最終表示状態NEXTの帯電粒子の相対色濃度Rcとの差が(Rr−Rc)=−0.5のときには、−15Vを2サブフレーム分印加する。(Rr−Rc)=1,0.5,0,−1のときも同様にー15V/15Vを所定数印加する。このような駆動動作によって、中間遷移状態I−1:(CR)=(Rr,Rr)から最終表示状態NEXT:(CR)=(Rc,Rr)(Rc、r=0,0.5,1の3階調)に遷移する。
【実施形態6】
【0148】
駆動動作<リセット期間あり、単位駆動波形の4回繰り返し印加のケース>
次に、この発明の第6の実施形態について説明する。
この実施形態では、前画面から次画面への更新は、まず、画面を白(W)または黒(K)の基底状態WKにリセットした後、該当する単位駆動波形を複数回繰り返し印加することで行われる。
表9には、第6の実施形態によって、2色(C、R)・3階調の更新画面を実現するための、具体的な駆動電圧データが示されている。具体的には、この実施形態は、リセット期間を設け、この後、単位駆動波形を4回繰り返し印加するときの、具体的な駆動電圧データが示されている。
まず、表9(a)は、リセット期間の駆動電圧と印加後の基底状態WKを示し、表9(b)は、1回目の駆動電圧印加期間の駆動電圧と印加後の中間遷移状態I1−2を示し、表9(c)は、2回目の駆動電圧印加期間の駆動電圧と印加後の中間遷移状態I2−2を示し、表9(d)は、3回目の駆動電圧印加期間の駆動電圧と印加後の中間遷移状態I3−2を示し、また、表9(e)は、4回目の駆動電圧印加期間の駆動電圧と印加後の最終表示状態NEXTを示している。
【0149】
【表9】
【実施形態7】
【0150】
駆動動作<リセット期間なし、駆動波形1回印加のケース>
次に、この発明の第7の実施形態について説明する。
この第7の実施形態では、前画面から次画面への更新は、表10−1及び表10−2に示すように、リセットを設けずに、駆動波形を1回印加することで行われる。
【0151】
【表10−1】
【0152】
【表10−2】
【実施形態8】
【0153】
駆動動作<リセット期間なし、単位駆動波形複数回印加のケース>
次に、この発明の第8の実施形態について説明する。
この第8の実施形態では、前画面から次画面への更新は、表11に示すように、リセットを設けずに、単位駆動波形を複数回回印加することで行われる。
単位駆動波形の4回繰り返し印加による駆動方法の例として、表11に、前画面の表示状態が(CR)=(0,1)のとき、任意の(CR)=(Rc、Rr)(Rc,r=0,0.5,1の3階調表示)の表示を行うための駆動波形を示している。
【0154】
【表11】
【0155】
以上、この発明の実施形態を図面により詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られたものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更などがあってもこの発明に含まれる。
たとえば、上述の各実施形態では、シアンC、マジェンタM、イエローYの3色の電気泳動粒子と、白色の保持体とからなる電気泳動表示素子を用いたが、シアンC、マジェンタM、イエローYの電気泳動粒子に代えて、赤R、緑G、青Bの電気泳動粒子を用いるようにしても良い。また、保持体を廃して、色粒子を封入したマイクロカプセルを用いても良い。要するに、3以上の異なる色粒子(たとえば、C、M、Y、KやR、G、B、Wの4色粒子や、C、M、Y、R、G、Bの6色粒子など)が異なるしきい値電圧を持つ電気泳動表示素子をこの発明に適用すれば、各単色表示だけではなく、中間色や中間調表示を含めた任意の色(La*b*)の表示を簡易な構成で実現できる。
【0156】
n種類(nは2以上の自然数)の電気泳動粒子にまで包含される、この発明の一般化された構成は、以下の通りである。すなわち、
スイッチング素子と画素電極がマトリクス状に配列されている第1の基板と、対向電極が形成されている第2の基板と、前記第1の基板と第2の基板の間に狭持され、電気泳動粒子を含有してなる電気泳動層とを備える表示部と、画面更新時、前記画素電極と前記対向電極との間の前記電気泳動粒子に所定の期間、所定の電圧を印加して、前記表示部の表示状態を現画面から所定の色濃度の次画面に更新させる電圧印加手段とを備えるメモリ性を有する画像表示装置であって、
前記電気泳動粒子は、互いに色と泳動を開始するしきい値電圧を異にするn種類(nは2以上の自然数)の帯電粒子Cn,…
…,Ck,… …,C1(k=2〜n−1)からなると共に、各帯電粒子Cn,… … ,Ck,… …,C1は、帯電粒子Cnのしきい値電圧|Vth(Cn)|<… … <帯電粒子Ckのしきい値電圧|Vth(Ck)|<…
… <帯電粒子Cnのしきい値電圧C1|Vth(c1)|の関係性を備え、電圧が印加される前記所定の印加期間は、
第1の電圧V1(または−V1)、または/および第2の電圧V2(または−V2)、または/および…、第nの電圧Vn(または−Vn)、または/および0Vを所定のサブフレーム数印加する1つ以上の基本駆動波形を複数回印加する基本波形印加期間から構成されることを特徴としている。なお、V1,…
… ,Vk,… … 、Vnは、|Vth(cn)|<|Vn|<|Vth(c(n−1))|,… …,|Vth(ck)|<|Vk|<|Vth(c(k−1))|,… …,|Vth(c1)|<|V1|の関係を満たすものとする。
【0157】
また、前記基本波形は、まず第1の電圧V1(またはV1)を所定のサブフレーム数印加し、…
…、第kの電圧Vk(またはVk)を所定のサブフレーム数印加し、… …、最後に第nの電圧Vn(またはVn)を所定のサブフレーム数印加するサブフレーム群期間に分かれることを特徴としている。
ここで、第1および第2の実施形態を一般化すると、前記印加期間は、さらに前記現画面をリセットして基底状態にするリセット期間を備え、前記各基本波形印加後の各中間遷移状態における各帯電粒子の相対色濃度情報は、基底状態の相対色濃度情報と、更新表示状態の相対色濃度情報の間にあることを特徴している。
【0158】
また、第3の実施形態(リセット期間なしの駆動波形の1回印加の駆動方法)を一般化すると、次の通りである。すなわち、
スイッチング素子と画素電極とがマトリクス状に配列されている第1の基板と、対向電極が形成されている第2の基板と、前記第1の基板と第2の基板との間に介挿され、電気泳動粒子を含有してなる電気泳動層とを備える表示部と、
画面更新時、前記画素電極と前記対向電極との間の前記電気泳動粒子に所定の期間、所定の電圧を印加して、前記表示部の表示状態を現画面から所定の色濃度の次画面に更新させる電圧印加手段とを備えてなるメモリ性を有する画像表示装置であって、
前記電気泳動粒子は、互いに色と泳動を開始するしきい値電圧を異にするn種類(nは、2以上の自然数)の帯電粒子Cn、…、Ck、…、C1(k=2〜n−1)からなると共に、各帯電粒子Cn、…、Ck、…、C1は、帯電粒子Cnのしきい値電圧|Vth(cn)|<…<帯電粒子Ckのしきい値電圧|Vth(ck)|<…<帯電粒子C1のしきい値電圧|Vth(c1)|の関係特性を備え、
更新すべき次画面を構成する各画素の、帯電粒子Cnの相対色濃度情報がRn、…、帯電粒子Ckの相対色濃度情報がRk、…、帯電粒子C1の相対色濃度情報がR1であるとき、電圧が印加される前記所定の期間は、
第1の電圧V1(または−V1)、または/および0V電圧を印加して、前記現画面の相対色濃度を参照して、前記帯電粒子C1の相対色濃度がR1となる第1の中間遷移状態に遷移させる第1の電圧印加期間と、
第kの電圧Vk(または−Vk)、または/および0V電圧を印加して、前記第k−1の中間遷移状態から、帯電粒子C1の相対色濃度をR1に、…、帯電粒子Ck−1の相対色濃度をRk−1に保持したまま、帯電粒子Ck、…、Cnの相対色濃度がRkとなる第kの中間遷移状態に順次遷移させる第2〜第n−1の電圧印加期間と、
第nの電圧Vn(または−Vn)、または/および0V電圧を印加して、前記第n−1の中間遷移状態から、帯電粒子C1の相対色濃度をR1に、…、帯電粒子Cn−1の相対色濃度をRn−1に保持したまま、帯電粒子Cnの相対色濃度がRnとなる最終表示状態に遷移させる第nの電圧印加期間とから構成され、かつ、前記各帯電粒子の前記しきい値電圧と、前記各電圧印加期間に印加される前記電圧は、
|Vth(cn)|<|Vn|<|Vth(c(n−1))|、
|Vth(ck)|<|Vk|<|Vth(c(k−1))|、
|Vth(c1)|<|V1|
の関係式を満たしていることを特徴としている。
【0159】
また、第4の実施形態(リセット期間なしの駆動波形の複数回印加の駆動方法)を一般化すると、基本駆動波形を複数回印加する間に、基本駆動波形と異なる修正駆動波形を印加することで前記現画面から前記次画面への遷移は前画面をリセットすることなく遷移させることができる。なお、前記修正駆動波形は、第2の電圧V2(またはV2)を所定のサブフレーム数印加し、次に第kの電圧Vk(またはVk)(k=3〜n−1)を所定のサブフレーム数印加し、最後に第nの電圧Vn(またはVn)を所定のサブフレーム数印加するサブフレーム群期間に分かれることを特徴としている。
【0160】
また、2粒子に係る第5の実施形態を一般化すると、次のように表わすことができる。すなわち、
スイッチング素子と画素電極とがマトリクス状に配列されている第1の基板と、対向電極が形成されている第2の基板と、前記第1の基板と第2の基板の間に狭持され、電気泳動粒子を含有してなる電気泳動層とを備える表示部と、画面更新時、前記画素電極と前記対向電極との間の前記電気泳動粒子に所定の期間、所定の電圧を印加して、前記表示部の表示状態を現画面から所定の色濃度の次画面に更新させる電圧印加手段とを備えてなるメモリ性を有する画像表示装置であって、
前記電気泳動粒子は、互いに色と泳動を開始するしきい値電圧を異にする2種類の帯電粒子C,Rからなると共に、各C,Rは、帯電粒子Cのしきい値電圧|Vth(c)|<帯電粒子Rのしきい値電圧|Vth(r)|の関係特性を備え、
更新すべき次画面の構成する各画素の、帯電粒子Cの相対色濃度がRc,帯電粒子Rの相対色濃度がRrとしたときに、
電圧が印加される前記所定の期間は第1の電圧V1(またはV1)、または/及び0V電圧を印加して前記帯電粒子Rの色濃度をRrに遷移させる第1のサブフレーム群と、
第2の電圧V2(またはV2)、または/及び0V電圧を印加して前記帯電粒子Rの色濃度をRrに保持したまま、前記帯電粒子Cの相対色濃度をRcとなる最終表示
状態NEXTに遷移させる第2のサブフレーム群とから構成され、
かつ、V1,V2は(|Vth(c)|<|V2|<|Vth(r)|<|V1|の関係を満たしている。
【0161】
また、各サブフレーム群の印加電圧は、前画面の表示状態と更新画面の表示状態から決定されても良いし、前画面状態を消去するためにリセット期間を設けても良い。
さらに、電圧が印加される前記所定の期間は第1の電圧V1(または−V1)、または/および第2の電圧V2(または−V2)、または/および第3の電圧V3(または−V3)、または/および0Vを所定のサブフレーム数印加する1つ以上の単位駆動波形を複数回印加する駆動波形印加期間から構成されることで、最終表示状態NEXTに遷移することもできる。
なお、目標とする更新表示状態において、必要のないサブフレーム群は省略して、印加する必要のある第1〜第3サブフレーム群のみで駆動するようにしても良い。
また、中間遷移状態が同じになる表8〜表11と異なった駆動波形も存在し、その駆動波形も本実施形態に含まれることはいうまでもない。また、0Vの印加期間を削減して、駆動期間を短縮することもできる。さらに、各期間のサブフレーム数を一定にして、各期間の単位サブフレーム時間を、各期間で異ならせても良いことも同様である。
【0162】
第1〜第8の実施形態を帯電粒子の遷移状態からまとめると次の通りである。
<リセット期間ありの場合>
スイッチング素子と画素電極がマトリクス状に配列されている第1の基板と、対向電極が形成されている第2の基板と、前記第1の基板と第2の基板の間に狭持され、電気泳動粒子を含有してなる電気泳動層とを備える表示部と、画面更新時、前記画素電極と前記対向電極との間の前記電気泳動粒子に所定の期間、所定の電圧を印加して、所定の色濃度の次画面に更新させる電圧印加手段とを備えるメモリ性を有する画像表示装置であって、前記電気泳動粒子は、互いに色と泳動を開始するしきい値電圧を異にする2種類以上の帯電粒子から構成され、
画面の更新期間は、前画面をリセットして基底状態にするリセット期間と、次画面をセットするセット期間から構成され、前記セット期間内では、各電気泳動粒子の相対色濃度は、原色の中間遷移状態をとらない。
【0163】
<リセット期間なしの場合>
スイッチング素子と画素電極がマトリクス状に配列されている第1の基板と、対向電極が形成されている第2の基板と、前記第1の基板と第2の基板の間に狭持され、電気泳動粒子を含有してなる電気泳動層とを備える表示部と、画面更新時、前記画素電極と前記対向電極との間の前記電気泳動粒子に所定の期間、所定の電圧を印加して、所定の色濃度の次画面に更新させる電圧印加手段とを備えるメモリ性を有する画像表示装置であって、前記電気泳動粒子は、互いに色と泳動を開始するしきい値電圧を異にする2種類以上の帯電粒子から構成され、
画面の更新期間内で、各電気泳動粒子の相対色濃度は、原色の中間遷移状態をとらない。
【0164】
なお、以上の実施形態において、更新期間全体にわたって、∫Vdt=0となるように、さらにDCキャンセル補償サブフレーム群を追加し、不要なDC電圧を帯電粒子に印加しないようにし、信頼性の劣化を防ぐことも可能である。この場合は、DCキャンセル補償サブフレーム群で印加される電圧は、絶対値が、帯電粒子の最小のしきい値電圧の絶対値以下に設定して、帯電粒子C,M,Y(またはC,R)が全て動かないようにする必要がある。
【0165】
また、上述の第1乃至第8の実施形態では、電子ペーパ部のデータドライバに供給する電圧信号を−Vdd,0,Vddの3値とし、サブフレーム毎にドライバ用基準電圧Vddを可変とする構成とすることも可能である。この構成によれば、データドライバが、駆動に必要とされる電圧を同時に出力することができない場合でも、電気泳動表示素子を駆動できるので、ドライバを簡略構成にすることができ、このため、コストダウンを図ることができる。
【0166】
さらに、データドライバの耐圧が、素子の駆動電圧より下回る場合にはCOM電圧をサブフレーム毎に可変にすることで、所定の素子の駆動電圧を実現することが可能である。
【0167】
なお、上述の第1の実施形態では、複数回印加される電圧駆動波形は、波形パターンが互いに同一の単位駆動波形からなる場合について述べたが、必ずしも、同一の波形パターンに限らない。たとえば、上述の第1の実施形態における、1回目と2回目の単位電圧駆動波形を合体させたものを1回目の電圧駆動波形として用い、3回目と4回目の単位電圧駆動波形は、そのままとしても、上記したとほぼ同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0168】
電子書籍、電子新聞、デジタルサイネージなどのカラー電子ペーパ表示装置に広く適用できる。
【符号の説明】
【0169】
1 電子ペーパ(表示部)
2 電気泳動表示装置(画像表示装置)
3 TFTガラス基板(第1の基板)
4 対向基板(第2の基板)
5 電気泳動層
6 TFT(スイッチング素子)
7 画素電極
8 対向電極
9 電子ペーパ部
13 電子ペーパコントローラ
22 LUT変換回路
25 LUT生成回路
C,M,Y 電気泳動粒子
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気泳動表示方式で駆動するメモリ性を有する画像表示装置に係り、詳しくは、電子書籍や電子新聞などの電子ペーパ表示装置に用いて好適なメモリ性を有する画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
“読む”という行為をストレス無しに行い得る表示装置として、電子書籍や電子新聞などの電子ペーパ表示装置の開発が行われている。この種の電子ペーパ表示装置には、薄型で、軽量で、割れ難く、その上、低消費電力であることが要求されるため、メモリ性を有する表示素子で構成されることが望ましい。このような用途に適合する表示素子としては、従来から、電気泳動表示素子やコレステリック液晶などが知られているが、最近では、2種類以上の帯電粒子を用いる電気泳動表示素子が注目されている。なお、この明細書において、電気泳動表示素子とは、電子粉流体素子など、帯電粒子が移動することで表示を行う素子を含む概念である。
【0003】
まず、関連技術として、白黒表示のアクティブマトリクス駆動方式の電気泳動表示装置について説明する。この電気泳動表示装置は、スイッチング素子としての薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、以下、TFTともいう)が形成されているTFTガラス基板と、電気泳動表示素子フィルムと、対向基板とが、この順に積層されて構成されている。上記TFTガラス基板には、マトリクス状に多数配列されたTFTと、各TFTに接続される画素電極と、TFTを駆動するためのゲート線、およびデータ線が設けられている。上記電気泳動表示素子フィルムは、ポリマーのバインダ中に約40μmのマイクロカプセルが敷き詰められて形成されている。このマイクロカプセルの内部には溶媒が注入されており、溶媒中には、正負に帯電した2種類のナノ粒子、すなわち、マイナスに帯電した酸化チタン粒子などの白色顔料と、プラスに帯電した炭素粒子などの黒色顔料とが分散浮遊する状態で封じ込められている。また、上記対向基板には、基準電位を与える対向電極(共通電極ともいう)が形成されている。
【0004】
電気泳動表示素子の動作は、画素データに対応した電圧を、画素電極と対向電極との間に印加して、白色顔料と黒色顔料とを上下に泳動させることで行う。すなわち、画素電極にプラスの電圧を印加したときは、マイナスに帯電した白色顔料が画素電極側に寄り集まる一方で、プラスに帯電した黒色顔料は対向電極側に寄り集まるので、対向電極側が表示面であるなら、画面には黒が表示されることになる。これに対して、画素電極にマイナスの電圧を印加したときは、プラスに帯電した黒色顔料が画素電極側に寄り集まる一方で、マイナスに帯電した白色顔料が対向電極側に集まるので、画面には白が表示されることになる。次に、画面を更新する際、すなわち、画像を白表示から黒表示に切り替えるときには、画素電極にプラスの信号電圧を与え、黒表示から白表示に切り替えるときには、画素電極にマイナスの信号電圧を印加する。次に、現在の画像を維持するとき、つまり、次画面でも白表示を維持するとき、あるいは、黒表示を維持するときは、電気泳動表示素子はメモリ性を持っているので、0Vを印加すれば良いことになる。このように、電気泳動表示素子では、現画面(前画面)と次画面(更新画面)とを比較することで、印加すべき信号が決定される。
【0005】
また、カラーフィルターなしでも、紙に近い白黒の色感を損なわずに、1画素単位のカラー表示が可能なカラー電気泳動表示装置も開発されている。
例えば、特許文献1には、同極性に帯電した3色(例えば、シアンC、マジェンタM、イエローY)の電気泳動粒子と、電気泳動粒子を保持するための白色(W)の保持体とを含む電気泳動層から構成されるカラー電気泳動表示装置が記載されている。3色の電気泳動粒子は、泳動を開始するしきい値電圧(泳動開始電圧)が異なるように設定されている。特許文献1に記載のカラー電気泳動表示装置では、しきい値電圧(絶対値)の違いを利用して、各電気泳動粒子を電圧制御することで、画素(セル)単位で、白色(W)、黒色(K)の他に、シアン(C)、マジェンタ(M)、イエロー(Y)やこれらCMYの2次色、3次色を表示できるようにしている。
【0006】
また、特許文献2には、各種のマイクロカプセルを層状に敷き詰めた電気泳動表示素子フィルムを用いるカラー電気泳動表示装置が開示されている。上記マイクロカプセルには、第1の極性に帯電した黒色の第1帯電粒子と、第2の極性に帯電した赤(R)、緑(G)、青(B)の第2帯電粒子R,G,Bと、各粒子を泳動可能に分散させる液体分散媒とが封入されている。ここで、第2帯電粒子R,G,Bは、互いの帯電量が異なり、それゆえ、泳動を開始するしきい値電圧が異なる態様で、互いに別異のマイクロカプセルに封入されていている。特許文献2に記載のカラー電気泳動表示装置でも、しきい値電圧(絶対値)の違いを利用して、各電気泳動粒子が電圧制御されるので、特許文献1と同様にカラーフィルターなしでも、画素(セル)単位で、RGBの2次色、3次色を表示できる。
【0007】
また、特許文献3には、シアン(C),マジェンタ(M)、イエロー(Y)に黒(K)を加えた4色の電気泳動粒子を用いるカラー電気泳動表示装置が開示されている。
【0008】
このように、特許文献1、2、3に記載の関連技術によれば、C、M、Y(またはR、G、B)それぞれが異なる3つのしきい値をもつことで、カラー表示が可能となる。図32及び図33を参照して、特許文献1に記載のカラー電気泳動表示装置の表示動作について説明する。以下、帯電粒子C,M,Yのそれぞれのしきい値電圧Vth(c)、Vth(m)、Vth(y)は、|Vth(c)|<|Vth(m)|<|Vth(y)|の関係を満たすように設定されている。また、印加電圧V1、V2、V3は、|Vth(c)|<|V3|<|Vth(m)|、|Vth(m)|<|V2|<|Vth(y)、|Vth(y)|<|V1|の関係を満たすように設定されている。図32及び図33は、帯電粒子C,M,Yのヒステリシス曲線を表しており、しきい値電圧と相対色濃度の関係を表している。なお、同図において、説明を簡単にするために、各ヒステリシスY,nY、M,nM、C,nCの傾きは一定になるように、Y、M、Cが背面から表示面へ移動するまでの移動時間はそれぞれ異なる時間に設定されている。
【0009】
図32において、始め(前)の画面を白(W)とする。白の表示状態のときに、V3=10Vを印加したときは、シアン色の電気泳動粒子Cが表示面側に移動するので、次画面として、シアン(C)が表示される。白の表示状態のときに、V2=15Vを印加したときは、シアン色とマジェンタ色の電気泳動粒子C,Mが表示面側に移動するので、青(B)が表示される。また、白の表示状態のときに、V1=30Vを印加したときは、シアン色とマジェンタ色とイエロー色の電気泳動粒子C,M,Yが表示面側に移動するので、黒が表示される。なお、白の表示状態のときに、マイナス電圧を印加したときは、表示面側に色粒子がないため、白(W)のままである。
【0010】
次に、前画面を黒(K)とする。黒の表示状態のときに、−V3=−10Vを印加したときには、シアン色の電気泳動粒子Cが背面基板側に移動し、表示面側にはマジェンタ色とイエロー色の電気泳動粒子M,Yが残るので、次画面として、赤(R)が表示される。黒の表示状態のときに、−V2=−15Vを印加したときは、シアン色とマジェンタ色の電気泳動粒子C,Mが背面基板側に移動し、表示面側にはイエロー色の電気泳動粒子Yが残るので、イエロー(Y)となる。黒の表示状態のときに、−V1=−30Vを印加したときは、シアン色、マジェンタ色、イエロー色全ての電気泳動粒子C,M,Yが背面基板側に移動するので、白(W)表示となる。
【0011】
また、マジェンタ(M)を表示するには、図33に示すように、白の表示からV2=15Vを印加して、シアン色とマジェンタ色の電気泳動粒子C,Mを表示面側に移動させて表示色をいったん青(B)色の中間遷移状態とする。この中間遷移状態に対して、−V3=−10Vを印加してシアン色の電気泳動粒子Cを背面側に移動させると、マジェンタ(M)色の表示状態が得られる(表12参照)。
また、緑(G)を表示するには、図32に示すように、黒表示(K)から−V2=−15Vを印加して、シアン色とマジェンタ色の電気泳動粒子C,Mを背面側に移動させて、表示色をいったんイエロー(Y)色の中間遷移状態とする。この中間遷移状態に対して、V3=10Vを印加してシアン色の電気泳動粒子Cを表示面側に移動させて緑(G)色を表示する(表12参照)。
【0012】
このように、前画面が白(W)としたとき、表12に示すように、直接に遷移できる原色の色状態はシアン(C),青(B),黒(K)である。これに対して、同じく表12に示すように、黒(K)の中間遷移状態Iを介して赤(R)、イエロー(Y)が表示される。また、青(B)の中間遷移状態Iを介してマジェンタ(M)が表示され、黒(K)及びイエロー(Y)の中間遷移状態I、IIを介して緑(G)が表示される(表12参照)。
【0013】
【表12】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特許第4049202号
【特許文献2】特許第4385438号
【特許文献3】特開2009−47737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記したように、しきい値電圧の違いを利用する、特許文献1記載の電気泳動表示装置にあっては、基底状態から、赤(R)、緑(G),青(B)、シアン(C)、マジェンタ(M)、イエロー(Y),白(W)、黒(K)の原色の画面を得ることはできる。このことは、特許文献2〜3の電気泳動表示装置についても当てはまる。
しかしながら、特許文献1〜3記載の構成では、前画面から次画面に更新する際、1つまたは2つの原色(相対色濃度1)の中間遷移を介して更新が行われるため、更新過程で輝度や色濃度が大幅かつ急激に変動することに起因する、不快な“ちらつき”が更新時の画面に生じる、という欠点があった。
加えて、同一の画素電極上で、3色の帯電粒子C,M,Yを用いて、中間色や階調表示を含めた、任意の表示色La*b*を表示させることは、非常に複雑であり、特許文献1〜3記載の技術によって、技術的に解決されているとは言い難い。
【0016】
この発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、画面更新過程での不快な“ちらつき”を抑制しつつ、各単色(R,G,B,C,M,Y,W,K)だけでなく、中間色まで含めた多階調表現を簡易な構成で実現できるメモリ性を有する画像表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、この発明の第1の構成は、画素電極が形成されている第1の基板と、対向電極が形成されている第2の基板と、前記第1の基板と第2の基板との間に介挿され、電気泳動粒子を泳動可能に含む電気泳動層とを有してなる表示部と、画面更新時、前記画素電極と前記対向電極との間の前記電気泳動粒子に、複数の所定の電圧駆動波形を順次印加して、前記表示部の表示状態を、前画面から、単数または複数の中間遷移状態を経由して、次画面に更新させる電圧印加手段とを備え、前記電気泳動粒子は、互いに色と泳動を開始するしきい値電圧を異にするn種類(nは、2以上の自然数)の帯電粒子C1、…、Ck、…、Cn(k=n−1、ただし、n=2のとき、Ckは削除)からなると共に、各帯電粒子C1、…、Ck、…、Cnは、帯電粒子C1のしきい値電圧>…>帯電粒子Ckのしきい値電圧>…>帯電粒子Cnのしきい値電圧の関係特性を満たし、かつ、前記電圧印加手段は、画面更新時、印加する前記電圧駆動波形毎に、前記帯電粒子C1→、…、→Ck→、…、→Cnの順に、各帯電粒子の相対色濃度を、対応する中間遷移状態の相対色濃度に遷移させてゆくことで、最終的に所望の濃度の次画面に更新させる(逆順にならなければ、任意の複数種類の帯電粒子について、前記中間遷移状態または最終表示状態への同時遷移確定も有りうる)ことを特徴としている。
【0018】
また、この発明の第2の構成は、画素電極が形成されている第1の基板と、対向電極が形成されている第2の基板と、前記第1の基板と第2の基板との間に介挿され、電気泳動粒子を泳動可能に含む電気泳動層とを有してなる表示部と、画面更新時、前記画素電極と前記対向電極との間の前記電気泳動粒子に、所定の電圧駆動波形を印加して、前記表示部の表示状態を、前画面から次画面に更新させる電圧印加手段とを備え、前記電気泳動粒子は、互いに色と泳動を開始するしきい値電圧を異にするn種類(nは、2以上の自然数)の帯電粒子C1、…、Ck、…、Cn(k=n−1、ただし、n=2のとき、Ckは削除)からなると共に、各帯電粒子C1、…、Ck、…、Cnは、帯電粒子C1のしきい値電圧>…>帯電粒子Ckのしきい値電圧>…>帯電粒子Cnのしきい値電圧の関係特性を満たし、かつ、更新すべき次画面の、帯電粒子C1の相対色濃度情報がR1(0≦R1≦1)、…、帯電粒子Ckの相対色濃度情報がRk(0≦Rk≦1)、…、帯電粒子Cnの相対色濃度情報がRn(0≦Rn≦1)であるとき、前記電圧印加手段は、前記所定の電圧駆動波形を印加することによって、まず、|第1の電圧|(>帯電粒子C1のしきい値電圧)、または/および0V電圧を印加して、前記前画面の前記帯電粒子C1の相対色濃度を参照して、前記帯電粒子C1の相対色濃度をR1に確定させ、……………、次に、|第kの電圧|(>帯電粒子Ckのしきい値電圧)、または/および0V電圧を印加して、前記前画面の前記帯電粒子Ckの相対色濃度を参照して、前記帯電粒子Ckの相対色濃度をRkに確定させ、……………、最後に、|第nの電圧|(>帯電粒子Cnのしきい値電圧)、または/および0V電圧を印加して、前記前画面の前記帯電粒子Cnの相対色濃度を参照して、前記帯電粒子Ckの相対色濃度をRnに確定させるという順序で(前記順序が逆順でなければ、任意の複数種類の帯電粒子について、相対色濃度の同時確定も有りうる)、所望の相対色濃度の次画面に更新させることを特徴としている。
【0019】
また、この発明の第3の構成は、画素電極が形成されている第1の基板と、対向電極が形成されている第2の基板と、前記第1の基板と第2の基板との間に介挿され、電気泳動粒子を泳動可能に含む電気泳動層とを有してなる表示部と、画面更新時、前記画素電極と前記対向電極との間の前記電気泳動粒子に、電圧駆動波形を印加して、前記表示部の表示状態を、前画面から、中間遷移状態を経由して、次画面に更新させる電圧印加手段とを備え、前記電気泳動粒子は、互いに色と泳動を開始するしきい値電圧を異にする2種類の帯電粒子C1、C2からなると共に、前記帯電粒子C1のしきい値電圧が前記帯電粒子C2のそれよりも高く設定されていて、前記電圧印加手段は、画面更新時、まず、前画面をリセットしてから、所定の前記電圧駆動波形を印加することで、前記帯電粒子C1→C2の順に、各帯電粒子の相対色濃度を確定させて(逆順でなければ、帯電粒子C1、C2の相対色濃度の同時確定も有りうる)、所望の濃度の次画面に更新させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0020】
この発明の構成によれば、各単色(R,G,B,C,M,Y,W,K)だけでなく、中間色や中間調表示を含めた任意の色(La*b*)の表示を簡易な構成で実現できる。また、画面更新過程での不快な“ちらつき”を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の参考例である電子ペーパ表示装置を構成する表示部の構成を概念的に示す部分断面図である。
【図2】同表示部を構成する電気泳動表示装置(素子)のカラー表示原理を説明するための状態説明図である。
【図3】同参考例を説明するための図で、中間色・階調表示駆動時、同表示部(電気泳動表示装置)に印加される駆動電圧波形を示す波形図である。
【図4】同表示部に印加される駆動電圧波形を示す波形図である。
【図5】同表示部に印加される駆動電圧波形を示す波形図である。
【図6】同表示部に印加される駆動電圧波形を示す波形図である。
【図7】同表示部に印加される駆動電圧波形を示す波形図である。
【図8】同表示部に印加される駆動電圧波形を示す波形図である。
【図9】同表示部に印加される駆動電圧波形を示す波形図である。
【図10】同表示部に印加される駆動電圧波形を示す波形図である。
【図11】同表示部に印加される駆動電圧波形を示す波形図である。
【図12】画面更新時、参考例で用いられる駆動波形と中間遷移状態を示す図である。
【図13】同参考例において、画面更新時、電気泳動粒子の挙動を示す中間遷移状態図である。
【図14】この発明の第1の実施形態における駆動動作を説明するための図で、中間色・階調表示駆動時、表示部に印加される駆動電圧波形を示す波形図である。
【図15】同表示部に印加される駆動電圧波形を示す波形図である。
【図16】同表示部に印加される駆動電圧波形を示す波形図である。
【図17】同表示部に印加される駆動電圧波形を示す波形図である。
【図18】同表示部に印加される駆動電圧波形を示す波形図である。
【図19】同表示部に印加される駆動電圧波形を示す波形図である。
【図20】画面更新時、同第1の実施形態で用いられる駆動波形と中間遷移状態を示す図である。
【図21】同第1の実施形態において、画面更新時、電気泳動粒子の挙動を示す中間遷移状態図である。
【図22】同第1の実施形態である電子ペーパ表示装置(画像表示装置)の電気的構成を示すブロック図である。
【図23】同電子ペーパ表示装置を構成する電子ペーパコントローラの詳細を示すブロック図である。
【図24】同電子ペーパコントローラを構成する電子ペーパ制御回路の詳細を示すブロック図である。
【図25】同電子ペーパコントローラを構成するLUT変換回路の詳細を示すブロック図である。
【図26】画面更新時、第2の実施形態で用いられる駆動波形と中間遷移状態を示す図である。
【図27】同第2の実施形態において、表示部(電気泳動表示装置)に印加される駆動電圧波形を示す波形図である。
【図28】同第2の実施形態において、表示部に印加される駆動電圧波形を示す波形図である。
【図29】同第2の実施形態において、表示部に印加される駆動電圧波形を示す波形図である。
【図30】画面更新時、第4の実施形態で用いられる駆動波形と中間遷移状態を示す図である。
【図31】同第4の実施形態において、画面更新時、電気泳動粒子の挙動を示す中間遷移状態図である。
【図32】関連技術の問題点を説明するための図である。
【図33】関連技術の問題点を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
各電圧駆動波形を、帯電粒子C1、…、Ck、…、Cnを、電気泳動層の層厚方向に所定距離泳動させる|第1の電圧|または/および0Vを所定のサブフレーム数印加する第1のサブフレーム群期間(第1の電圧印加期間;|第1の電圧|>帯電粒子C1のしきい値電圧)と、……………、次に、帯電粒子Ck、…、Cnを前記層厚方向に所定距離泳動させる|第kの電圧|または/および0Vを所定のサブフレーム数印加する第kのサブフレーム群期間(第kの電圧印加期間;帯電粒子Ck−1のしきい値電圧>|第kの電圧|>帯電粒子Ckのしきい値電圧;第kの電圧印加期間>第k−1の電圧印加期間)と、……………、最後に、前記帯電粒子Cnのみを前記層厚方向に所定距離泳動させる|第nの電圧|または/および0Vを印加する第nのサブフレーム群期間(第nの電圧印加期間;帯電粒子Cn−1のしきい値電圧>|第kの電圧|>帯電粒子Cnのしきい値電圧;第nの電圧印加期間>第n−1の電圧印加期間)とを有して構成することで、この発明の構成を実現した。
【参考例】
【0023】
まず、図面を参照して、この出願人の先の出願に係る発明の実施形態を参考例として説明する。
図1は、この発明の参考例である電子ペーパ表示装置(画像表示装置)を構成する表示部の構成を概念的に示す部分断面図である。
この表示部1は、メモリ性を有する、アクティブマトリクス駆動でカラー表示する電気泳動表示装置(素子)2からなり、この電気泳動表示装置2は、TFTガラス基板3と対向基板4と、TFTガラス基板3と対向基板4との間に封入された、電気泳動層5とから構成されている。
上記TFTガラス基板3には、マトリクス状に多数配列されたスイッチング素子としてのTFT6と、各TFT6にそれぞれ接続される画素電極7、図示せぬゲート線、およびデータ線が設けられている。
【0024】
電気泳動層5は、層厚が10−100μm程度に形成されていて、分散媒Dと、分散媒中に分散した、ナノ粒子であるシアン(C)、マジェンタ(M)、イエロー(Y)の電気泳動粒子C,M,Yと、電気泳動粒子C,M,Yを保持する、たとえば、粒径10−100μm程度の白色の保持体Hとが充填されている(以下の実施形態において同様である)。なお、電気泳動層5は、この参考例では、層厚が10−100μm程度に形成されている。3色の電気泳動粒子C,M,Yは、分散媒Dに分散した状態で、同極性(この参考例では、正の極性)に帯電しているものの、帯電量の設定値が互いに異なるため、保持体H表面から離脱して、分散媒の中で、泳動を開始するしきい値電圧(泳動開始電圧)の絶対値が異なっている。ここで、保持体Hは、電気泳動粒子C,M,Yに較べれば、巨大で、かつ、電気泳動粒子C,M,Yとは逆極性に帯電されているのが好ましいが、これに限定されない。
【0025】
また、上記対向基板4には、基準電位を与える対向電極8が形成され、電気泳動表示装置2…の基準電位を定めるCOM電圧が与えられる。カラー電気泳動表示装置の動作は、画素データに対応した電圧を、画素電極7と対向電極8の間に印加して、3色(CMY)の電気泳動粒子(以下、帯電粒子ともいう)C,M,YをTFTガラス基板3側から対向基板4側へ、あるいは、対向基板4側からTFTガラス基板3側へ移動させることで行う。なお、この参考例では、対向電極2側を表示面とする(以下の実施形態において同様)。
【0026】
次に、図1及び図2を参照して、この参考例による電気泳動表示装置2のカラ−表示原理について説明する。この参考例では、図中、3種類の電気泳動粒子C,M,Yのしきい値電圧Vth(c)、Vth(m)、Vth(y)が、|Vth(c)|<|Vth(m)|<|Vth(y)|の関係を満たすように設定されている。また、画素電極7と対向電極8との間に印加される電圧(以下、印加電圧という)V1,V2,V3は、|Vth(c)|<|V3|<|Vth(m)|、|Vth(m)|<|V2|<|Vth(y)、|Vth(y)|<|V1|の関係を満たすように設定されている。ここで、しきい値電圧とは、印加電圧の絶対値が、しきい値電圧の絶対値以上であるとき、該当する帯電粒子が動き始める電圧(泳動開始電圧)をいう。
【0027】
図2からわかるように、まず、電気泳動粒子Cの挙動について説明すれば、電圧がしきい値電圧であるVth(c)以上になると、電気泳動粒子Cが、TFTガラス基板3側から対向基板4側へと移動し、シアン色の表示濃度が濃くなり、電圧が電圧Vth(m)に達する前に飽和濃度になる。この状態で、マイナスの電圧を印加し、電圧がしきい値電圧である−Vth(c)以下になると、電気泳動粒子Cが、対向基板4側からTFTガラス基板3側へと移動し、シアン色の表示濃度が薄くなり、電圧が−Vth(m)に達する前にシアン色の表示濃度が最低となる。同様にして、電気泳動粒子Mでは、電圧がしきい値電圧Vth(m)以上(または−Vth(m)以下)で表示濃度の増加(または減少)がおこり、電気泳動粒子Yでは、電圧がしきい値電圧Vth(y)以上(または−Vth(y)以下)で表示濃度の増加(または減少)がおこる。
【0028】
次に、参考例に係るカラー電気泳動表示装置(素子)のTFT駆動方法について説明する。電気泳動表示装置2のTFT駆動においても、液晶表示装置と同様に、ゲート線にゲート信号を印加して、ライン毎にシフト動作させ、スイッチング素子のTFTを介してデータ線を画素電極に書き込む動作が行われる。そして、全ラインの書き込みが終わる時間を1フレームと定義し、1フレームを、たとえば60Hz(16.6msec周期)で走査している。一般に液晶表示装置では、この1フレームで画像全体を切り替えている。これに対して、電気泳動表示装置2は液晶に較べて応答速度が遅く、複数のフレーム期間(以下、電気泳動表示素子では、サブフレーム期間と呼び、複数のサブフレーム期間で構成された画面更新の期間を画面更新期間という)の間、電圧を印加し続けなければ画面を切り替えることができない。このため、電気泳動表示装置では、複数のサブフレーム期間の間、一定の電圧を印加し続けるパルス幅変調駆動(Pulse Width Modulation、以下PWM駆動ともいう)が採用される。そして、予め定められた一定の電圧V1(V2またはV3)を所定のサブフレーム数印加することで階調表示が行われる。以下の説明では、任意の表示色(たとえば、La*b*系やXYZ系やRGB系)をあらわすのに、3つの電気泳動粒子C,M,Yの色と同様のCMY系の相対色濃度に変換して説明する。
【0029】
駆動動作<駆動波形1回印加のケース>
この参考例では、前の表示状態CURRENT(以下、前画面とも現画面ともいう)から画像更新後の表示状態NEXT(以下、次画面とも更新画面ともいう)を表示するために、後述する中間遷移状態WK→I−1→I−2を経由することで、中間色・階調表示まで含めた系統的で簡便な駆動方法を実現している。そして、複数のサブフレームにわたって駆動することで所定の画像を更新する。複数のサブフレームにわたる駆動期間は、白(W)又は黒(K)の基底状態に遷移するためのリセット期間と、V1、0または−V1[V]の電圧を印加する第1のサブフレーム群期間(第1の電圧印加期間)と、V2、0、または−V2[V]の電圧を印加する第2のサブフレーム群期間(第2の電圧印加期間)と、V3、0、又は−V3[V]の電圧を印加する第3のサブフレーム群期間(第3の電圧印加期間)からなっている。第1から第3の電圧印加期間を合わせて、セット期間という。
【0030】
具体的には、表示すべき画像(更新すべき次画面NEXT)の画素の表示情報を帯電粒子C,M,Yの相対色濃度(CMY)を(Rc,Rm,Ry)で表わしたときに、
(1)第1のサブフレーム群期間は、白(W)又は黒(K)の基底状態から、帯電粒子Yの相対色濃度がRyとなる第1の中間遷移状態I−1に遷移する期間、
(2)第2のサブフレーム群期間は、第1の中間遷移状態I−1から、Y濃度がRyでM濃度がRmとなる第2の中間遷移状態I−2に遷移する期間、
(3)第3のサブフレーム群期間は、第2の中間遷移状態I−2から、最終表示状態NEXTに遷移する期間である。
【0031】
ここで、相対色濃度Rx(x=c,m,y)は、相対色濃度で0〜1をとり、Rx=0は表面に、どのX粒子(帯電粒子C,M,Y)もない状態を表わし、Rx=1は全てのX粒子が表面に移動している状態を表わしている。それゆえ、(CMY)=(0,0,0)は白(W)表示であり、(CMY)=(1,1,1)は黒(K)表示を表わしている。
表1には、CMY3色の各階調を3階調とした具体的な駆動電圧データが示されている。また、簡便のために、各帯電粒子C,M,Yは、帯電量Qが|Qc|>|Qm|>|Qy|と設定され、粒子が移動を開始するしきい値電圧は|Vth(c)|<|Vth(m)|<|Vth(y)|となっているが、粒子の重量・大きさなどを異ならしめることで、同じ印加電圧に対する移動速度(モビリティ)が、帯電粒子C,M,Y共に同じになるように設定されている。
【0032】
表1に示すように、駆動電圧は、第1サブフレーム群期間で|V1|=30Vに設定され、第2サブフレーム群期間で|V2|=15Vに設定され、第3サブフレーム群期間で|V3|=10Vに設定されている(なお、必要に応じて,駆動電圧を任意の値に設定できることはもちろんである)。
【0033】
さらに、各帯電粒子C,M,Yが背面から表示面に移動する時間Δtは、簡単なモデルでは、しきい値電圧以上では、印加電圧Vと反比例の関係があり、V×Δt=一定となる。そこで、この参考例では、帯電粒子Cが背面から表面(又は表面から背面)へ移動する時間は|V|=30Vで0.2secに、|V|=15Vで0.4secに、|V|=10Vで0.6secに設定されている。また、帯電粒子Mが背面から表面(又は表面から背面)へ移動する時間は|V|=30Vで0.2secに、|V|=15Vで0.4secに設定されている。また、帯電粒子Yが背面から表面(又は表面から背面)へ移動する時間は|V|=30Vで0.2secに設定されている。これらの関係を考慮して、この参考例では、1サブフレーム期間100msecとして、14サブフレーム(リセット電圧印加期間が2サブフレーム、第1のサブフレーム群期間が2サブフレーム、第2のサブフレーム群期間が4サブフレーム、第3のサブフレーム群期間が6サブフレーム)で画面更新期間が構成されている(なお、次画面が静止画なら、後述の終端0V印加サブフレームも含めると、画面更新期間が15サブフレームとなる)。
【0034】
【表1】
【0035】
表1を用いて、この参考例の具体的な駆動動作(駆動方法)について説明する。
第1列は、目標とする更新表示状態の相対色濃度(CMY)を表わしている。第2列は、リセット期間の印加電圧とリセット完了後の基底状態の相対色濃度を表わしている。リセット期間は、この参考例の駆動では2つのサブフレームRa、Rbから構成され、とりうる印加電圧は−30Vである。第3列は、第1のサブフレーム群期間の印加電圧と期間後の第1の中間遷移状態I−1の相対色濃度を表わしている。第1のサブフレーム群期間は2つのサブフレーム1a,1bで構成され、とりうる印加電圧は+30V、0Vである。2サブフレームとしたのは、30Vでの帯電粒子の応答時間は0.2secであるため、換言すれば、1サブフレーム期間は、印加電圧30V中の粒子が、層間を半分程度移動できる所要時間に相当する0.1secであるためである。第4列は、第2のサブフレーム群期間の印加電圧と期間後の第2の中間遷移状態I−2の相対色濃度を表わしている。
【0036】
第2のサブフレーム群期間は4つのサブフレーム2a,2b,2c,2dで構成され、とりうる印加電圧は+15V,0V,−15Vである。4サブフレームとしたのは、15Vでの帯電粒子の応答時間は0.4secであるため、換言すれば、1サブフレーム期間は、印加電圧15V中の粒子が、層間を1/4程度移動できる所要時間に相当する0.1secであるためである。第5列は第3のサブフレーム群期間の印加電圧と期間後の最終更新表示状態NEXTの相対色濃度を表わしている。第3のサブフレーム群期間は6つのサブフレーム3a,3b,3c,3d,3d,3fで構成され、とりうる印加電圧は+10V,0V,−10Vである。6サブフレームとしたのは、10Vでの粒子の応答時間は0.6secであり、1サブフレーム期間が0.1secであるからである。リセット期間では、2フレーム分V1=−30Vを印加し、帯電粒子C,M,Yを表示面と反対側に移動集結させて基底状態である白(W)表示とする。
【0037】
まず、前画面から更新画面である最終遷移状態になるまでの画面の遷移状態について、各リセット期間、サブフレーム群期間毎に説明をする。
リセット期間では、2フレーム分V1=−30Vを印加し、帯電粒子C,M,Yを表示面と反対側に移動集結させて基底状態である白(W)表示とする。
第1のサブフレーム群期間では、帯電粒子Yの相対色濃度に対応して、相対色濃度(Y)が0のときは、印加電圧は0V、相対色濃度(Y)が0.5のときは、印加電圧30Vを1サブフレーム分のみ印加し、相対色濃度(Y)が1のときは、印加電圧30Vを2サブフレーム分印加する。これにより基底状態Wから第1の中間遷移状態(CMY)=(Ry,Ry,Ry)(Ryは3階調であり、Ry=0,0.5,1)になる。
【0038】
第2のサブフレーム群期間では、目標とする帯電粒子Mと帯電粒子Yの相対色濃度の差であるM−Yを計算して、−15Vまたは15Vを所定数、印加する。たとえば相対色濃度(Y)=0.5で相対色濃度(M)=0のときは、相対色濃度差(M−Y)=−0.5なので、−15Vを2サブフレームに分けることで、帯電粒子M、Cを表示面と反対側に移動させて階調を1つ下げる。相対色濃度(Y)=0.5で相対色濃度(M)=0.5のときは、0Vを印加する。相対色濃度(Y)=0.5で相対色濃度(M)=1のときは階調を1つ上げるために、15Vを2サブフレーム分印加して、表示面側の帯電粒子M、Cを増やす。以上により、第1の中間遷移状態I−1:(CMY)=(Ry,Ry,Ry)から第2の中間遷移状態I−2:(CMY)=(Rm,Rm,Ry)(Rmは3階調であり、Rm=0,0.5,1)に遷移する。
【0039】
第3のサブフレーム群期間では、目標とする相対濃度の帯電粒子Cと帯電粒子Mの相対色濃度の差であるC−Mを計算して、−10Vまたは10Vを所定数、印加する。たとえば、M=0.5で相対色濃度(C)=0のときは、色濃度差(C−M)=−0.5なので−10Vを3サブフレーム期間分印加して帯電粒子Cを表示面と反対側に移動することで1階調下げる。相対色濃度(M)=0.5で相対色濃度(C)=0.5のときには0Vを印加する。相対色濃度(M)=0.5で相対色濃度(C)=1のときは1階調上げるために、10Vを3サブフレーム分印加して、表示面側の帯電粒子Cを増やす。
【0040】
このように、第2の中間遷移状態I−2:(CMY)=(Rm,Rm,Ry)から目標とする最終表示状態NEXT:(CMY)=(Rc,Rm,Ry)(Rcは3階調であり、Rc=0,0.5,1)に遷移することができる。
図3乃至図11には、表1に基づいた具体的な駆動波形が示されている。
たとえば、図8(b)から抜き出された図12の駆動波形を参照して、表示状態(CMY)=(0.5,1,0.5)を実現する中間色・階調表示について説明する。
まず、前の表示状態(現画面)CURRENTを消去するために、リセット期間に、2サブフレーム(0.2sec)期間、−30Vを印加して、白の基底状態W:(CMY)=(0,0,0)に遷移させる。次に、第1のサブフレーム群期間に、1サブフレーム期間、+30Vを印加し、1サブフレーム期間、0Vを印加することで、第1の中間遷移状態I−1:(CMY)=(0.5,0.5,0.5)に遷移させる。次の第2のサブフレーム群期間には、2サブフレーム期間、+15Vを印加し、2サブフレーム期間、0Vを印加することで、第2の中間遷移状態I−2:(CMY)=(1,1,0.5)に遷移させる。次の第3のサブフレーム群期間には、3サブフレーム期間、−10Vを印加し、3サブフレーム期間、0Vを印加すること、更新表示状態NEXT:(CMY)=(0.5,1.0,0.5)に遷移する。
【0041】
図13に、図12の駆動波形に応答する帯電粒子C,M,Yの各中間遷移状態を示している。リセット期間の完了後では、帯電粒子C,M,YともにTFTガラス基板3側に移動して、白色の保持体のみが対向基板4側からは見えるので表示状態Wに遷移する。次の第1のサブフレーム群期間で帯電粒子C,M,Y共に、TFTガラス基板3側からTFTガラス基板3と対向基板4の中間に移動するので、第1の中間遷移状態I−1に遷移する。そして、第2のサブフレーム群期間で、Yは中間にとどまったまま、帯電粒子C、Mが表示面側に移動して、第2の中間遷移状態I−2に遷移する。第3のサブフレーム群期間で、帯電粒子Mは表面にとどまったまま、帯電粒子Cのみが中間に遷移するので、所定の更新表示状態NEXTに遷移することができる。
【0042】
ところで、たとえば、目標とする表示状態がNEXT:(CMY)=(1.0,1.0,0.5)のときは、第1の中間遷移状態I−1:(CMY)=(0.5,0.5,0.5)であり、I−2:(1.0,1.0,0.5)であり、(I−2)がすなわち最終表示状態NEXTであるから、第3のサブフレーム群期間を省略でき、かつ中間遷移状態I−2は必要ではない。また、目標とする表示状態がNEXT:(CMY)=(0.5,0.5,0.5)であるときには、第1の中間遷移状態I−1:(CMY)=(0.5,0.5,0.5)であり、それが最終表示状態NEXTであるから、第2、第3サブフレーム群期間を省略でき、中間遷移状態I−1,I−2が必要でない。
また、NEXT:(CMY)=(0,0,0)のときは、リセット期間のみで最終表示状態NEXTを実現できる。それゆえ、基底状態、又は中間遷移状態I−1または中間遷移状態I−2が、最終表示状態NEXTと一致するときは、それ以降のサブフレーム期間を省略するようにしても良い。
【0043】
以上の説明では、帯電粒子C,M,Yのモビリティが同じである場合について述べたが、モビリティ異なるときは、第1の中間遷移状態I−1で、帯電粒子Yの相対色濃度を(Y)=Ryに調整制御できても、帯電粒子C、Mの相対色濃度は、Ryと異なるものとなる。また、第2の中間遷移状態I−2で、帯電粒子Yの相対色濃度を(Y)=Ry、帯電粒子Mの相対色濃度を(M)=Rmに制御できても、Cの相対色濃度はRmとは異なるものとなる。それゆえ、第1の中間遷移状態I−1の相対色濃度は(CMY)=(X,X,Ry)(X:任意、X≠Ry)、第2の中間遷移状態I−2の相対色濃度は(CMY)=(X,Rm,Ry)(X:任意 X≠Rm)と一般化できる。
【0044】
以上では、帯電粒子C,M,Yは印加電圧に応じて、背面側がら表示面側への移動時間が異なるとし、V1=30Vでt1=0.2sec、V2=15Vでt2=0.4sec、V3=10Vでt3=0.6secとしたが、帯電粒子C,M,Yのモビリティが同じであるとき、これを一般化すると、各サブフレーム群期間のサブフレーム期間t1,t2,t3は、各サブフレーム群期間の印加電圧をV1,V2,V3とすると、Vi・ti=一定(i=1,2,3)と設定される。単位サブフレーム時間が一定の場合には各期間のサブフレーム数をniとすれば、Vi・ni=一定(n=1,2,3)となる。または、各期間のサブフレーム数を一定にして、各期間の単位サブフレーム時間を、各期間で異ならせても良い。
【0045】
また、以上では、リセット後の基底状態を白(W)とする場合について述べたが、基底状態を黒(K)としても同様の考えで駆動波形を作成することができる。
また、中間遷移のCMYの相対色濃度を“0”、“1”にするためのサブフレーム群期間では、該サブフレーム群の印加電圧は余計にかけても相対色濃度が飽和して“0”、“1”になるのであれば、印加電圧を余分にかけても良いことはいうまでもない。
また、以上ではC、M、Yは3階調としたが、2階調や3階調以上の多階調でも同様の駆動ができることはいうまでもない。
【0046】
このように、この参考例の構成によれば、各単色(R,G,B,C,M,Y,W,K)だけでなく、中間色まで含めた多階調表現を簡易な構成で実現できる。
しかしながら、中間遷移状態の輝度や色変動は非常に大きく、“ちらつき”を防止するという技術課題は解決できていない。たとえば、最終表示状態NEXT:(CMY)=(0,1,0)に遷移するためには、第1の中間遷移状態I−1:(CMY)=(0,0,0)に遷移し、次に、第2の中間遷移状態I−2:(CMY)=(1,1,0)に遷移し、最終的にNEXT:(CMY)=(0,1,0)に遷移する。すなわち、最終色をマジェンタとするためには、いったん前画面を消去して基底状態WK及び第1の中間遷移状態I−1を白(W)表示にし、次に、第2の中間遷移状態I−2を相対色濃度1の青(B)表示にし、最終的にマジェンタにすることとなる。それゆえ、この参考例によっても、特許文献1〜3に記載の構成と同様に、前画面から次画面に更新する際、1つまたは2つの原色(相対色濃度1)の中間遷移を介して更新が行われるため、更新過程で輝度や色濃度が大幅かつ急激に変動することに起因する、不快な“ちらつき”が更新時の画面に生じる、という欠点を回避することはできない。
【実施形態1】
【0047】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について詳細に説明する。
なお、とくに、明記しない限り、この発明の第1の実施形態である電子ペーパ表示装置の構成は、上記したこの発明の参考例の構成と同一であるので、その説明を省略するが、以下の実施形態の説明で必要なときは、参考例の説明に用いた図や表を参照する。
【0048】
駆動動作<単位駆動波形の繰り返し印加のケース>
この発明の第1の実施形態では、サブフレーム周波数を高速化し、表1で示された駆動波形(以下、単位駆動波形という。基本波形ともいう。)を繰り返すことで、基底状態WKから最終表示状態NEXTへの滑らかな遷移を実現している。
すなわち、この実施形態では、画面更新時、たとえば最終表示状態をNEXT:(CMY)=(1,0,1)としたときは、基底状態(0,0,0)から(0,0,0)→
… … →(0.25,0,0.25)→ … … →(0.5,0,0.5)→ … … →(0.75,0,0.75)→ … … →(1,0,1)となだらかに遷移する構成となっている。
【0049】
表2−1〜表2−5には、この第1の実施形態で用いられる、3色CMYの各階調を3階調とした、5段階からなる具体的な駆動電圧データが示されている。まず、表2−1は、リセット期間の駆動電圧と印加後の基底状態WKを示している。また、表2−2は、1回目の駆動電圧印加期間の駆動電圧と印加後の中間遷移状態I1−3を示し、表2−3は、2回目の駆動電圧印加期間の駆動電圧と印加後の中間遷移状態I2−3を示し、表2−4は、3回目の駆動電圧印加期間の駆動電圧と印加後の中間遷移状態I3−3を示し、また、表2−5は、4回目の駆動電圧印加期間の駆動電圧と印加後の最終表示状態NEXTを示している。
【0050】
ここで、1サブフレーム期間は、4倍速の25msecとして、12サブフレーム(第1のサブフレーム群期間が2サブフレーム、第2のサブフレーム群期間が4サブフレーム、第3のサブフレーム群期間が6サブフレーム)で構成された単位駆動波形を4回繰り返すことで、最終表示状態NEXTを実現している。なお、単位駆動波形を繰り返し印加する期間をセット期間という。
【0051】
【表2−1】
【0052】
【表2−2】
【0053】
【表2−3】
【0054】
【表2−4】
【0055】
【表2−5】
【0056】
表2−1〜表2−5を参照して、この実施形態の具体的な駆動動作(駆動方法)について説明する。
表2−1において、第1列は、目標とする更新表示状態の相対色濃度(CMY)を表わしている。第2列は、リセット期間の印加電圧とリセット期間後の基底状態の相対色濃度を表わしている。リセット期間は、この実施形態による駆動では、8つのサブフレームRa〜Rhで構成され、とりうる印加電圧は−30Vである。
【0057】
表2−2において、第1列は、リセット期間印加後の中間遷移状態を表しており、また、第2列は、単位駆動波形の1回目の印加期間を表し、12サブフレームで構成されている。それぞれのサブフレーム期間にかけるべき印加電圧と中間遷移状態I1−1,I1−2,I1−3を表している。単位駆動波形は、V1,0,−V1[V]を印加する第1の電圧印加期間と、V2,0,−V2[V]を印加する第2の電圧印加期間と、V3,0,−V3[V]を印加する第3の電圧印加期間から構成されている。第1のサブフレーム群期間は2つのサブフレームW1−1a,W1−1bで構成され、とりうる印加電圧は+30V、0Vである。第2のサブフレーム群期間は4つのサブフレーム2a,2b,2c,2dで構成され、とりうる印加電圧は+15V,0V,−15Vである。第3のサブフレーム群期間は6つのサブフレーム3a,3b,3c,3d,3d,3fで構成され、とりうる印加電圧は+10V,0V,−10Vである。
【0058】
同様に、表2−3は、単位駆動波形の2回目の印加期間における各サブフレーム群の印加電圧及び中間遷移状態を示し、表2−4は、単位駆動波形の3回目の印加期間おける各サブフレーム群の印加電圧及び中間遷移状態を示し、また、表2−5は、単位駆動波形の4回目の印加期間おける各サブフレーム群の印加電圧及び中間遷移状態を示している。
図14乃至図19には、表2−1〜表2−5に基づいた具体的な電圧駆動波形が示されている。たとえば、最終遷移状態NEXT:(CMY)=(0,1,0)への遷移するための印加波形を図16(a)から抜き出すと、図20のようになるが、この波形における各期間での中間遷移の表示状態を説明することで、相対色濃度の中間遷移における輝度・色変動について述べる。各期間での中間遷移の表示状態での、帯電粒子C,M,Yの状態をあわせて図21に示す。
ここで、説明を簡略化するため、帯電粒子C,M,Yはそれぞれ、対向基板またはTFT基板面側に到達するまでは、印加期間に応じて相対色濃度が線形的に増加または減少し、到達すると相対色濃度が飽和すると仮定する。まず、リセット期間において、前画面状態からリセット状態W:(CMY)=(0,0,0)に遷移する。このとき、帯電粒子C,M,YはそれぞれTFT基板側に全て移動している。
【0059】
次に、図20(表2−2)及び図21を参照して、単位駆動波形の1回目の印加期間における動作を説明する。リセット状態W:(CMY)=(0,0,0)から第1のサブフレーム群期間では、電圧は印加されないのでI1−1:(0,0,0)のままである。次に第2のサブフレーム群期間において、15Vが4サブフレーム、すなわち100msec印加される。TFT基板から対向基板まで移動する移動時間は15Vの場合は各粒子共に0.4secと仮定しているので、15V、100msecの印加ではC粒子とM粒子がその1/4の距離だけ移動する。このため、表示状態I1−2:(0.25,0.25,0)に遷移する。次に、第3のサブフレーム群期間において、−10Vを6サブフレーム分、すなわち、150msec印加される。これによりいったん移動したC粒子が、再度TFT基板側に戻される。これにより、表示状態I1−3:(0,0.25,0)に遷移する。
【0060】
次に、単位駆動波形の2回目の印加期間における動作を説明する。I1−3:(CMY)=(0,0.25,0)から第1のサブフレーム群期間では、電圧は印加されないのでI2−1:(0,0.25,0)のままである。次に第2のサブフレーム群期間において、15Vが4サブフレーム、すなわち100msec印加される。TFT基板から対向基板まで移動する移動時間は15Vの場合は各粒子共に0.4secと仮定しているので、15V、100msecの印加ではC粒子とM粒子がその1/4の距離だけ移動する。M粒子は1回目の単位駆動波形印加期間において、TFT−対向基板間距離の1/4の距離だけ移動しており、さらに1/4だけ移動し、ちょうどTFT−対向基板の中央まで移動する。一方、C粒子は1回目の単位駆動波形印加期間後、TFT基板側に戻されているので、今回の印加でTFT−対向基板間距離の1/4だけ移動する。そのため、表示状態I2−2:(0.25,0.5,0)に遷移する。次に、第3のサブフレーム群期間において、−10Vを6サブフレーム分、すなわち、150msec印加される。これによりいったん移動したC粒子が、再度TFT基板側に戻される。これにより、表示状態I2−3:(0,0.5,0)に遷移する。
同様の動作が3,4回目の単位駆動波形の印加においても繰り返され、3回目の単位駆動波形印加後に、I3−2:(0,0.75,0)となり、4回目の単位駆動波形印加後に最終表示状態NEXT:(0,1,0)に遷移する。
【0061】
以上説明したように、この実施形態による駆動動作では、前画面がリセット期間終了後、白の基底状態にリセットされ、単位駆動波形の1回目の印加期間終了後(CMY)=(0,0.25,0)の中間遷移状態に、2回目の印加期間終了後に(CMY)=(0,0.5,0)、3回目の印加期間終了後に、(CMY)=(0,0.75,0)に、4回目の印加期間終了後に最終表示状態NEXT:(CMY)=(0,1,0)に遷移する。そして、各単位駆動波形印加期間内においては、変動分はC粒子のみであり、C濃度の変動は、ΔC=±0.25内に抑制される。このため、前画面から更新画面への遷移は、いったん、前画面がリセットされて白状態になってからは、若干の輝度・色変動があるにせよ、白からマジェンタ色がだんだん濃くなっていき、最終的な目的の表示状態であるマジェンタ色に到達することになる。すなわち、上記駆動方法をとることで、画面更新過程での不快な“ちらつき”を抑制しつつ、所定の中間色・階調表示を実現できる。
【0062】
この実施形態では、上記したように、単位駆動波形を4回繰り返す構成としたが、サブフレーム周波数を一段と高速化して単位駆動波形を4回以上繰り返すようにすれば、中間遷移の色変動(たとえば、ΔC、ΔM,ΔY)をさらに小さくすることができ、その分、“ちらつき”を抑制できる。
また、各単位駆動波形の駆動期間終了後、0Vを数サブフレーム分印加することで、(0,0.25,0),(0,0.5,0),(0,0.75,0)…
…の色味が最終表示状態に近い中間遷移状態を強調することができるので、画面の“ちらつき”をさらに緩和できる。
【0063】
なお、この第1の実施形態では、第1〜第3サブフレーム群全体を単位駆動波形として繰り返したが、目標とする更新表示状態において、必要のないサブフレーム群は省略して、印加する必要のある第1〜第3サブフレーム群のみを繰り返すようにしても良い。
また、中間遷移のCMYの相対色濃度が“0”、“1”にするためのサブフレーム群期間においては、該サブフレーム群の印加電圧は余計にかけても相対色濃度が飽和して“0”、“1”になるのであれば、印加電圧を余分にかけても良いことはいうまでもない。また、0Vの印加期間を削減して、駆動期間を短縮できる。さらに、各期間のサブフレーム数を一定にして、各期間の単位サブフレーム時間を、各期間で異ならせても良いことも同様である。また、以上ではリセット後の基底状態を白(W)として説明を行ったが、基底状態を黒(K)としても同様の考えで駆動波形を作成することができる。さらに、最終表示状態ごとに、中間遷移状態I−1またはI−2を最終表示状態NEXTと一致するようにそれぞれ基底状態を白または黒に選択することで、駆動期間の短縮をはかることも可能である。さらに、また、以上ではC,M,Yは3階調としたが、2階調や3階調以上の多階調でも同様の駆動ができることはいうまでもない。また、以上はC,M,Yの3粒子の場合で説明したが、CMY3色のかわりにRGB3色でも良く、またCMYK4色やCMYRGB6色など3色以上の場合にも同様の駆動方法を適用できる。
【0064】
ルックアップテーブルの生成
次に、図14乃至図19の駆動波形を実現するためのルックアップテーブル(LookUp Table、以下、LUTともいう)の生成・変換方法について説明する。表1からわかる通り、リセット期間(Ra〜Rh)では、目標とする更新表示状態(CMY)にかかわらず、一定の電圧が印加されている。また、その後ベースとなる駆動波形が4回繰り返されて印加されている。したがって、LUTとしては、表3に示すように、リセット期間のLUT群R_WF(表3(a))と、単位駆動波形のLUT群B_WF(表3(b))とを用意して、サブフレーム毎にR_WF、B_WFのLUT群の中から所定のLUTを選択することで、所望の駆動波形を表現できる。
【0065】
すなわち、リセット期間は同一の印加電圧が8サブフレーム分繰り返されるのでm行1列のLUTであるR_WFを1つ用意すれば良く、4回繰り返される単位駆動波形は、12サブフレームで構成されるので、m行1列のLUTを12サブフレーム分用意すれば良い。この単位駆動波形用の12サブフレーム分のLUTを単位駆動波形のLUT群B_WFn(n=1〜12)とする。なお、nは、リセット期間または単位駆動波形印加期間のうちのn番目のサブフレーム期間の印加電圧を定義するn番目のLUTを意味する。また、行番号mを表す指標としては、6ビットの2進数で表し、上位2bitがYの階調で、m[4:5]=[00],[01],[10]をとり、中位2ビットがMの階調で、m[2:3]=[00],[01],[10]をとり、下位2ビットがCの階調でm[0:1]=[00],[01],[10]をとるとする。
【0066】
各行のマトリクス要素には、各サブフレームにおいて、更新画面の画素の階調データに遷移する際に、電子ペーパ表示装置のデータドライバ(後述)に供給されるべきドライバデータ信号が表されている。ここで、ドライバデータ信号は3ビットの2進数で[000],[001],[010],[011],[100],[101],[110],[111]の値をとる。そして、データドライバは、[000]が入力されると0Vを出力し、同様に[001]=10V,[010]=15V,[011]=30V,[000]=0V,[101]=−10V,[110]=−15V,[111]=−30Vが出力される。上記構成において、表3(a)、(b)に、表2−1〜表2−5の駆動波形を実現するためのLUT群を示している。
【0067】
【表3】
【0068】
たとえば、表示状態NEXT:(CMY)=(0,1,0)のときは、相対色濃度(C)=[00],(M)=[10],(Y)=[00]なので、LUTの行番号mはm=[001000]となる。このとき、表2より、駆動波形はリセット期間の8サブフレーム分―30Vをかけるので、リセット用LUT群R_LUTの該当する要素データはR_WF1[001000]=[111]となる。さらに単位駆動波形印加期間中の第1の電圧印加期間では、2サブフレーム分0Vを印加するので、B_WFn[001000]=[000](n=1,2)となる。次に、単位駆動波形印加中の第2の電圧印加期間では、4サブフレーム分15Vを印加するので、B_WFn[001000]=[010](n=3,4,5,6)となる。また、単位駆動波形印加中の第3の電圧印加期間では6サブフレーム分―10Vを印加するので、B_WFn[001000]=[101](n=7,8,9,10,11,12)となる。その他の駆動波形とルックアップテーブルの各要素との対応関係も同様である。
【0069】
回路構成
次に、この実施形態の回路構成について説明する。
図22は、この発明の第1の実施形態である電子ペーパ表示装置(画像表示装置)の電気的構成を示すブロック図、図23は、同電子ペーパ表示装置を構成する電子ペーパコントローラの詳細を示すブロック図、図24は、同電子ペーパコントローラを構成する電子ペーパ制御回路の詳細を示すブロック図、また、図25は、同電子ペーパコントローラを構成するLUT変換回路の詳細を示すブロック図である。
【0070】
この電子ペーパ表示装置は、上記したような、この実施形態の駆動波形に基づいて駆動する画像表示装置であって、図23に示すように、カラー表示が可能な電子ペーパ部9と、電子ペーパモジュール基板10とからなっている。上記電子ペーパ部9は、メモリ性を有し、カラー表示可能な電気泳動表示装置2からなる表示部(電子ペーパ)1と、該表示部1を駆動するドライバ(電圧印加手段)とからなっている。このドライバは、シフトレジスタ動作をするゲートドライバ11と多値出力のデータドライバ12とから構成されている。
【0071】
また、電子ペーパモジュール基板10には、電子ペーパ部9を駆動する電子ペーパコントローラ13と、フレームバッファを構成するグラフィックメモリ14と、装置各部を制御すると共に、電子ペーパコントローラ13に画像データを与えるCPU(中央処理装置)15と、ROMやRAMなどのメインメモリ16と、各種画像データや各種プログラムを記憶する記憶装置(ストレージ)17と、無線LANなどからなるデータ送受信部18が備えられている。
【0072】
上記電子ペーパコントローラ13は、表3に示されるLUT群R_WFn,B_WFn(nは、1〜15)を用いて、図14乃至図19に示す画面更新時の駆動波形を実現するための電圧制御手段としての回路構成を有し、具体的には、図23に示すように、表示電源回路19と、電子ペーパ制御回路20と、データ読み出し回路21と、LUT変換回路22とから構成されている。
データ読み出し回路21は、CPU15がグラフィックメモリ14に書き込んだ更新画像(次画面NEXT)の画素のカラー階調を表すRGBデータを読み出して、いったん任意の表示色データLa*b*に変換した後、対応するCMY相対色濃度データに変換して、LUT変換回路22に送信する回路である。ここで変換されたCMY相対色濃度データは、8ビットの2進数で表し、上位2bitは[00]で、次の2bitはY(イエロー色)の階調で、[00]、[01]、[10]をとり、次の2bitがM(マジェンタ色)の階調で[00]、[01]、[10]をとり、下位2bitがC(シアン色)の階調で[00]、[01]、[10]をとるように設定されている。ただし、CMYの階調に対応する相対色濃度データは、上記に限るものでなく、1対1の対応関係がとれれば、別異のデータを用いても良い。なお、CPU15は、RGBデータに代えて、変換されたCMY相対色濃度データをグラフィックメモリ14に格納するようにしても良い。
【0073】
表示電源回路19は、電子ペーパ制御回路20から送信された電源出力要求信号REQVを受けて、電子ペーパ部9のドライバ11、12に複数の基準電圧VDRを供給し、電子ペーパ部9の基準電位を定める対向電極(共通電極)8に与えるCOM電圧VCOMを供給する回路である。
電子ペーパの制御回路20は、図24に示すように、ドライバ制御信号生成回路23と、サブフレームカウンタ24とLUT生成回路25とから構成されている。上記ドライバ制御信号生成回路23は、CPU15から画面更新命令REFLを受けると、電子ペーパ部9のゲートドライバ11とデータドライバ12とにドライバ制御信号CTLを出力すると共に、クロック毎(画素毎)に階調データの読み出し要求信号REQPをデータ読み出し回路21に出力する。さらに、表示電源回路19に電源出力要求信号REQVを出力する。
【0074】
上記サブフレームカウンタ24は、CPU15からの画面更新命令REFLを受けてサブフレームのカウントをし始め、画面更新に必要なフレーム数分、サブフレームのカウントアップを行うと共に、LUT生成回路25に対して、現在が第nサブフレーム目の駆動処理であることを示すサブフレーム番号NUBを出力する。
上記LUT生成回路25は、不揮発性メモリに格納された表3に示すリセット用LUT群R_WFnと単位駆動波形用LUT群B_WFnを読み出してサブフレーム番号に対応したLUTを生成し、LUTデータとしてLUT変換回路22に出力する。
たとえば、表2におけるサブフレームW2a−aにおいてはベースとなる単位駆動波形の2回目の印加で第2サブフレーム群の2番目であるから、対応する表3の単位駆動波形用LUT群のWF4が読み出され、LUTデータとして、LUT変換回路に出力される。
【0075】
LUT変換回路22は、図25に示すように、変換回路26とドライバデータ生成回路27とからなっている。変換回路26は、データ読み出し回路21から送信された8bitのCMY相対色濃度データの上位2bitを削除して、LUTマトリクス行番号mに変換して、ドライバデータ生成回路27に出力する。上記ドライバデータ生成回路27は、電子ペーパ制御回路20から出力されたLUTデータを参照して、変換回路26から出力されたLUTマトリクス行番号mに対応したLUTマトリクス要素をドライバデータDATとして、電子ペーパ部9のドライバ11、12に出力する。このようにして、電子ペーパコントローラ13は、図14乃至図19に示す駆動波形を実現するためのドライバデータDATを出力する。
【0076】
この第1の実施形態では、画面更新時、所定の表示状態NEXT:(Rc,Rm,Ry)を実現する際、サブフレーム周波数をN倍(Nは2以上の自然数)に高速化し、単位基本波形をN回繰り返す構成となっているので、画面更新過程での不快な“ちらつき”を抑制しながら、所定の中間色・階調表示を実現することができる。
【実施形態2】
【0077】
次に、この発明の第2の実施形態について述べる。第1の実施形態では、画面更新過程での不快な“ちらつき”を防止するために、サブフレーム周波数を高速化する構成となっている。しかしながら、サブフレーム周波数の高速化には、駆動時の消費電力の増大やパネルの駆動能力からくる限界がある。たとえば、4回の繰り返しならば、サブフレーム期間は25msecであるが、10回の繰り返しの場合は、サブフレーム期間は10msecとなり、TFTの書き込み能力の限界近くになる。
そこで、この第2の実施形態では、複数種の単位駆動波形を組み合わせて、それを繰り返すことでサブフレーム周波数を緩和している。
なお、第2の実施形態において、回路構成や対応するLUT生成方法などについては、上述の第1の実施形態とほぼ同様であるので、これらの説明を省略または簡素化する。
【0078】
単位駆動波形の作成
まず、駆動周波数を緩和するためのベースとなる単位駆動波形の作成方法について説明する。表2−1〜表2−5の駆動波形からわかる通り、最終表示状態NEXT:(CMY)=(Rc,Rm,Ry)を実現するために、最終遷移状態NEXT:(CMY)=(1,0,0.5)のように、W1−1aのみにV1=30Vを印加する場合と、最終遷移状態NEXT:(CMY)=(1,0,1)のように、W1−1a,W1−1b両方にV1=30Vを印加する場合がある。同様にW1−2a/W1−2bにV2=15V(または−V2=−15V)を印加する場合と、W1−2a/W1−2b/W1−2c/W1−2d全てに印加する場合がある。さらに、W1−3a/W1−3b/W1−3cのみにV3=10V(−V3=−10V)を印加する場合と、W1−3a/W1−3b/W1−3c/W1−3d/W1−3e/W1−3f全てに印加する場合がある。この一部にのみV1(V2,V3)の電圧を印加することを止めることを考える。
【0079】
例として、表4−1〜表4−5を参照して,最終遷移状態NEXT:(CMY)=(1,0,0.5)を表示するための単位駆動波形の作成について説明する。
表4−1〜表4−5には、この第2の実施形態で用いられる3色CMYの各階調を3階調とした具体的な駆動電圧データが示されている。ここで、表4−1は、リセット期間の駆動電圧と印加後の基底状態を示している。また、表4−2は、単位駆動波形Aの1回目の印加期間における、駆動電圧と印加後の中間遷移状態を示し、表4−3は、単位駆動波形Bの1回目の印加期間における駆動電圧と印加後の中間遷移状態を示している。また、表4−4は、単位駆動波形Aの2回目の印加期間における、駆動電圧と印加後の中間遷移状態を示し、表4−5は、単位駆動波形Bの2回目の印加期間における駆動電圧と印加後の最終表示状態を示している。ここで、1サブフレーム期間は、“ちらゆき”が現われる改善前の駆動波形の4倍速の25msecに設定されている点は、上述の第1の実施形態と同様である。
【0080】
第1の実施形態で用いられる表2では、最終遷移状態NEXT:(CMY)=(1,0,0.5)を表示するための駆動波形は、W1−1a=30V,W1−1b=0Vであるが、この実施形態の単位駆動波形Aでは、W1−1bをW1−1aと同じ電圧とし、W1−1a=W1−1b=30Vに修正する。また、表2では、W1−2a=W1−2b=−15V,W1−2c=W1−2d=0Vであるが、この実施形態の単位駆動波形Aでは、W1−2c/W1−2dをW1−2a/W1−2bと同じ電圧とし、W1−2a=W1−2b=W1−2c=W1−2d=−15Vとする。また、表2では、W1−3a(b,c,d,e,f)=10Vであり、前半と後半の電圧が同じであるため、修正は必要ない。この単位駆動波形Aの電圧印加により、表4−2に示すように、中間遷移状態IA1−3:(CMY)=(0.25,0,0.25)に遷移する。
【0081】
次に、表2−3に示される単位駆動波形の2回目の印加期間に相当する期間では、単位駆動波形Aとは異なる単位駆動波形Bを印加することで、表4−3に示すように、単位駆動波形の2回目の印加期間終了後の中間遷移状態IB1−3:(CMY)=(0.5,0,0.25)へ遷移させる。このためには、W2−1a(b)=0V,W2−2a(b,c,d)=0V,W2−3a(b,c,d,e,f)=10Vを印加すれば良い。これにより、中間遷移状態I2−3:(CMY)=(0.5,0,0.25)への遷移が可能となる。この単位駆動波形Aの印加と単位駆動波形Bの印加を再度繰り返すことで、最終表示状態NEXT:(CMY)=(1,0,0.5)への遷移が可能となる。表4−1〜表4−5には、3階調全ての最終表示状態に対する駆動波形が示されている。表4−1〜表4−5では、サブフレーム周波数は表2−1〜表2−5と同じであるが、W1−1aとW1−1bは同じ電圧、W1−2aとW1−2b(c,d,)は同じ電圧、W1−3aとW1−3b(c,d,e,f)は同じ電圧なので、サブフレーム周波数を半分(リセット期間は4つのサブフレーム、各駆動波形A,Bの電圧印加期間は6つのサブフレーム)にすることができる。表5には、この第2の実施形態で用いられる、サブフレーム周波数を半分にした駆動波形が示されている。また、図26には、NEXT:(CMY)=(0,1,0.5)に遷移する際、第2の実施形態で用いられる駆動波形と中間遷移状態が示されている。
【0082】
【表4−1】
【0083】
【表4−2】
【0084】
【表4−3】
【0085】
【表4−4】
【0086】
【表4−5】
【0087】
【表5】
【0088】
このように、この第2の実施形態でも、上述の第1の実施形態と同様に、単位駆動波形を4回繰り返す構成としたが、サブフレーム周波数を一段と高速化して単位駆動波形を4回以上繰り返すようにすれば、中間遷移の色変動(たとえば、ΔC、ΔM,ΔY)をさらに小さくすることができ、その分、“ちらつき”を抑制できる。
また、各単位駆動波形の駆動期間終了後、0Vを数サブフレーム分印加することで、(0,0.25,0),(0,0.5,0),(0,0.75,0)…
…の色味が最終表示状態に近い中間遷移状態を強調することができるので、画面の“ちらつき”をさらに緩和できる。
【0089】
なお、この第2の実施形態では、第1〜第3サブフレーム群全体を単位駆動波形として繰り返したが、目標とする更新表示状態を得る上で、必要のないサブフレーム群は省略して、印加する必要のある第1〜第3サブフレーム群のみを繰り返すようにしても良い。
また、中間遷移のCMYの相対色濃度が“0”、“1”にするためのサブフレーム群期間においては、該サブフレーム群の印加電圧は余計にかけても相対色濃度が飽和して“0”、“1”になるのであれば、印加電圧を余分にかけても良いことはいうまでもない。また、0Vの印加期間を削減して、駆動期間を短縮できる。さらに、各期間のサブフレーム数を一定にして、各期間の単位サブフレーム時間を、各期間で異ならせても良いことも同様である。また、以上ではリセット後の基底状態を白(W)として説明を行ったが、基底状態を黒(K)としても同様の考えで駆動波形を作成することができる。さらに、最終表示表示状態ごとに、中間遷移状態I−1またはI−2を最終表示状態NEXTと一致するようにそれぞれ基底状態を白または黒に選択することで、駆動期間の短縮をはかることも可能である。さらに、また、以上ではC,M,Yは3階調としたが、2階調や3階調以上の多階調でも同様の駆動ができることはいうまでもない。また、以上はC,M,Yの3粒子の場合で説明したが、CMY3色のかわりにRGB3色でも良く、またCMYK4色やCMYRGB6色など3色以上の場合にも同様の駆動方法を適用できる。
【0090】
この第2の実施形態でも、単位基本波形をN回繰り返す構成となっているので、画面更新過程での不快な“ちらつき”を抑制しながら、所定の中間色・階調表示を実現することができる。加えて、上述の第1の実施形態では、最終表示状態までに遷移するためのサブフレーム数は、リセット期間で8サブフレーム、駆動波形印加期間で12サブフレームx4回=48サブフレームで、全部で56サブフレームを要する構成であるが、この第2の実施形態では、その半分の28サブフレームで済み、サブフレーム周波数を半分に低下することができることができるので、素子構成の負担を緩和できる。
【0091】
なお、この第2の実施形態では、表4−1〜表4−5に示すように、単位駆動波形Aと単位駆動波形Bとを交互に2回ずつ、全体として4回繰り返しているが、図26から分かるように、単位駆動波形Aと単位駆動波形Bとを合わせて、単一の単位駆動波形Cとみなすこともできる。このように考えれば、この第2の実施形態は、単位駆動波形Cが2回繰り返されている(繰り返し周波数が半分の)事例であると考えることもできる。中間遷移の色変動(たとえば、ΔC、ΔM,ΔY)が微細になるほど、繰り返し周波数は高くなり、中間遷移の色変動が粗くなるほど、繰り返し周波数は低くなり、それゆえ、設計者は、必要に応じて、中間遷移の色変動(したがって、繰り返し周波数)を設定できる。
【実施形態3】
【0092】
次に、この発明の第3の実施形態について説明する。
上述の参考例では、リセット期間を設けて、前画面を消去し、白の基底状態に遷移させた上で、更新画面の表示を行うようにしたが、この第3の実施形態では、前画面を参照することで、リセット期間を設けずに、セット期間のみで更新画面を表示する構成となっている点で、上述の参考例のそれと著しく異している。
【0093】
駆動動作<駆動波形1回印加のケース>
この第3の実施形態に係る電気泳動表示装置では、前画面CURRENT:(CMY)=(Rc’,Rm’,Ry’)から次画面NEXT:(CMY)=(Rc,Rm,Ry)に更新する際、リセット期間を設けず、中間遷移状態I−1→I−2のみを経由して、最終表示状態(更新表示状態)を実現する構成となっている。ここで、複数のサブフレームにわたる駆動期間は、V1,0,−V1[V]の電圧を印加する第1のサブフレーム群期間(第1の電圧印加期間)と、V2,0,−V2[V]の電圧を印加する第2のサブフレーム群期間(第2の電圧印加期間)と、V3,0,−V3[V]の電圧を印加する第3のサブフレーム群期間(第3の電圧印加期間)からなっている。
【0094】
第1のサブフレーム群期間は、前画面の表示状態CURRENTから帯電粒子Yの相対色濃度がRyとなる第1の中間遷移状態I−1に遷移する期間であり、第2のサブフレーム群期間は、第1の中間遷移状態I−1から、Y濃度がRyでM濃度がRmとなる第2の中間遷移状態I−2に遷移する期間であり、また、第3のサブフレーム群期間は、第2の中間遷移状態I−2から、最終表示状態NEXTに遷移する期間である。ここで、相対色濃度Rx(x=c,m,y)は、相対色濃度で0〜1をとり、Rx=0は、表面にどのX粒子(帯電粒子C,M,Y)もない状態を表わし、Rx=1は、全てのX粒子が表面に移動している状態を表わしている。それゆえ、(CMY)=(0,0,0)は白(W)表示であり、(CMY)=(1,1,1)は黒(K)表示を表わしている。
【0095】
表6−1〜表6−8は、第3の実施形態において、3色CMYの各階調を3階調としたときの、前画面(CMY)=(Rc,Rm,Ry)から更新画面(CMY)=(Rc,Rm,Ry)を表示するための具体的な駆動波形を示している。
ここで、表6−1には、CURRENT:(0,0,0)→NEXT:(Rc,Rm,Ry)(Rx=0,0.5,1の3階調をとる。x=c,m,y)に遷移するための印加電圧及び中間遷移状態が記載されている。同様に、表6−2には、CURRENT:(1,0,0)→NEXT:(Rc,Rm,Ry)に遷移するための印加電圧及び中間遷移状態が記載されている。表6−3には、CURRENT:(0,1,0)→NEXT:(Rc,Rm,Ry)に遷移するための印加電圧及び中間遷移状態が記載されている。表6−4には、CURRENT:(1,1,0)→NEXT:(Rc,Rm,Ry)に遷移するための印加電圧及び中間遷移状態が記載されている。表6−5には、CURRENT:(0,0,1)→NEXT:(Rc,Rm,Ry)に遷移するための印加電圧及び中間遷移状態が記載されている。表6−6には、CURRENT:(1,0,1)→NEXT:(Rc,Rm,Ry)に遷移するための印加電圧及び中間遷移状態が記載されている。表6−7には、CURRENT:(0,1,1)→NEXT:(Rc,Rm,Ry)に遷移するための印加電圧及び中間遷移状態が記載されている。表6−8には、CURRENT:(1,1,1)→NEXT:(Rc,Rm,Ry)に遷移するための印加電圧及び中間遷移状態が記載されている。
【0096】
簡単のため、前画面の表示状態は、(CMY)=(0,0,0),(1,0,0),(0,1,0),(1,1,0),(0,0,1),(1,0,1),(0,1,1),(1,1,1)の8通りの場合のみ示しているが、前画面がその他の中間調/混色状態でも、以下に示すと同様の考えで、表6−9に示すように、駆動波形を作ることができる。
ここでは、簡便のために、各帯電粒子C,M,Yは、帯電量Qが|Qc|>|Qm|>|Qy|と設定され、粒子が移動を開始するしきい値電圧は|Vth(c)|<|Vth(m)|<|Vth(y)|となっているが、粒子の重量・大きさなどを異ならしめることで、同じ印加電圧に対する移動速度(モビリティ)が、帯電粒子C,M,Y共に同じになるように設定されている。
表6−1〜表6−8に示すように、駆動電圧は、第1サブフレーム群期間で|V1|=30Vに設定され、第2サブフレーム群期間で|V2|=15Vに設定され、第3サブフレーム群期間で|V3|=10Vに設定されている(なお、必要に応じて,駆動電圧を任意の値に設定できることはもちろんである)。
【0097】
さらに、各帯電粒子C,M,Yが背面から表示面に移動する時間Δtは、簡単なモデルでは、印加電圧Vと反比例の関係があり、しきい値電圧以上で、V×Δt=一定となる。この第3の実施形態では、帯電粒子Cが背面から表面(または表面から背面)へ移動する時間は|V|=30Vで0.2secに、|V|=15Vで0.4secに、|V|=10Vで0.6secに設定されている。また、帯電粒子Mが背面から表面(または表面から背面)へ移動する時間は|V|=30Vで0.2secに、|V|=15Vで0.4secに設定されている。また、帯電粒子Yが背面から表面(または表面から背面)へ移動する時間は|V|=30Vで0.2secに設定されている。これらの関係を考慮して、この第3の実施形態では、1サブフレーム期間100msecとして、12サブフレーム(第1のサブフレーム群期間が2サブフレーム、第2のサブフレーム群期間が4サブフレーム、第3のサブフレーム群期間が6サブフレーム)で画面更新期間が設定されている。
【0098】
表6−1〜表6−9において、第1列は、目標とする更新表示状態の相対色濃度(CMY)を表わしている。第2列は、前画面の表示状態の相対色濃度を表わしている。第3列は、第1のサブフレーム群期間の印加電圧と期間後の第1の中間遷移状態I−1の相対色濃度を表わしている。第1のサブフレーム群期間は、2つのサブフレーム1a,1bで構成され、とりうる印加電圧は+30V、0V、−30Vである。2サブフレームとしたのは、30Vでの粒子の応答時間は0.2secであり、1サブフレーム期間が0.1secだからである。第4列は第2のサブフレーム群期間の印加電圧と期間後の第2の中間遷移状態I−2の相対色濃度を表わしている。
【0099】
第2のサブフレーム群期間は4つのサブフレーム2a,2b,2c,2dで構成され、とりうる印加電圧は+15V,0V,−15Vである。4サブフレームとしたのは、15Vでの粒子の応答時間は0.4secであり、1サブフレーム期間が0.1secだからである。第5列は、第3のサブフレーム群期間の印加電圧と期間後の最終更新表示状態NEXTの相対色濃度を表わしている。第3のサブフレーム群期間は、6つのサブフレーム3a,3b,3c,3d,3d,3fで構成され、とりうる印加電圧は+10V,0V,−10Vである。6サブフレームとしたのは、10Vでの粒子の応答時間は0.6secであり、1サブフレーム期間が0.1secだからである。
【0100】
【表6−1】
【0101】
【表6−2】
【0102】
【表6−3】
【0103】
【表6−4】
【0104】
【表6−5】
【0105】
【表6−6】
【0106】
【表6−7】
【0107】
【表6−8】
【0108】
【表6−9】
【0109】
次に、例として、表6−2を参照して、前画面の表示状態が(CMY)=(1,0,0)であるときの更新駆動について説明する。
第1のサブフレーム群期間では、前画面の相対色濃度Yが0であるから、目標とする帯電粒子Yの相対色濃度に対応して、目標とする相対色濃度(Y)が0のときは、印加電圧を印加する必要はないので、0Vを2サブフレーム分印加して、中間遷移状態I−1:(CMY)=(1,0,0)は前画面の表示状態を維持する。これに対して、目標とする相対色濃度(Y)が0.5のときは、印加電圧は−30Vを1サブフレーム分のみ印加して、中間遷移状態I−1:(CMY)=(1,0.5,0.5)に遷移させる。目標とする相対色濃度(Y)が1のときは、印加電圧30Vを2サブフレーム分印加して、中間遷移状態I−1:(CMY)=(1,1,1)に遷移させる。これにより、前画面の表示状態CURRENT:(CMY)=(1,0,1)から第1の中間表示状態I−1:(CMY)=(X,X,Ry)(Xは任意)に遷移する。
【0110】
第2のサブフレーム群期間では、第1の中間遷移状態I−1の帯電粒子Mの相対色濃度を参照して、帯電粒子Mの相対色濃度が目標とする帯電粒子Mの相対色濃度になるように、−15Vまたは15Vを所定数、印加する。たとえば、第1の中間遷移状態I−1のMの相対色濃度Rm’、目標とするMの相対色濃度をRmとしたときに、Rm−Rm’=0のときは電圧を印加する必要はないので、0Vを4サブフレーム分印加する。これに対して、Rm−Rm’=0.5のときは15Vを2サブフレーム分印加し、Rm−Rm’=1のときは15Vを4サブフレーム分印加する。逆に、Rm−Rm’=−0.5のときは−15Vを2サブフレーム分印加し、Rm−Rm’=−1のときはー15Vを4サブフレーム分印加する。以上により、第1の中間遷移状態I−1:(CMY)=(X,X,Ry)から第2の中間遷移状態I−2:(CMY)=(X,Rm,Ry)(Xは任意)に遷移する。
【0111】
第3のサブフレーム群期間では、第2の中間遷移状態I−2の帯電粒子Cの相対色濃度を参照して、帯電粒子Cの相対色濃度が目標とする帯電粒子Cの相対色濃度になるように、−10Vまたは10Vを所定数、印加する。たとえば、第2の中間遷移状態I−2のCの相対色濃度Rc’、目標とするCの相対色濃度をRcとしたときに、Rc−Rc’=0のときは電圧を印加する必要はないので、0Vを6サブフレーム分印加する。Rc−Rc’=0.5のときは10Vを3サブフレーム分印加する。Rc−Rc’=1のときは10Vを6サブフレーム分印加する。逆に、Rc−Rc’=−0.5のときは−10Vを3サブフレーム分印加し、Rc−Rc’=−1のときは、−10Vを6サブフレーム分印加する。以上により、第2の中間遷移状態I−2:(CMY)=(x,Rm,Ry)から目標とする最終表示状態NEXT:(CMY)=(Rc,Rm,Ry)に遷移することができる。他の事例についても同様である。
【0112】
図27〜図29は、前画面の表示状態CURRENT:(Rc,Rm,Ry)→目標とする次画面の表示状態NEXT:(0,1,0)に遷移するための駆動波形を示している。図27〜図29に示すように、前画面の表示状態CURRENT:(x,0,0)→次画面の表示状態NEXT:(1,0,0)に遷移する場合、前画面の表示状態CURRENT:(1,1,0)→次画面の表示状態NEXT:(0,1,0)に遷移する場合、前画面の表示状態CURRENT:(0,1,0)→次画面の表示状態NEXT:(0,1,0)に遷移する場合、前画面の表示状態CURRENT:(x,x,1)→次画面の表示状態NEXT:(0,1,0)(xは0または1)に遷移する場合、では、前画面状態により、印加すべき駆動波形が異なっており、前画面の表示状態を参照して、更新画面の最終表示状態の駆動波形を決定する必要があることがわかる。
【0113】
以上をまとめると、電圧印加期間は、第1の電圧V1(またはV1)、または/及び0V電圧を印加して前記帯電粒子Yの色濃度を前画面のRyから次画面のRy’に遷移させる第1のサブフレーム群と、第2の電圧V2(またはV2)、または/及び0V電圧を印加して前記帯電粒子Yの色濃度をRyに保持したまま、前記帯電粒子Mの相対色濃度をRmとなる第2の中間遷移状態に遷移させる第2のサブフレーム群と、第3の電圧V3(またはV3)、または/及び0V電圧を印加して前記帯電粒子M,Yの色濃度をRm,Ryに保持したまま、前記帯電粒子Cの相対色濃度をRcとなる最終表示状態に遷移させる第3のサブフレーム群とから構成され、
なお、V1,V2,V3は(|Vth(c)|<|V3|<|Vth(m)|<|V2|<|Vth(y)|<|V1|)の関係を満たしている。
各サブフレーム群の印加電圧は、前画面の表示状態と更新画面の表示状態を参照して決定される。
【0114】
なお、目標とする更新表示状態において、必要のないサブフレーム群は省略して、印加する必要のある第1〜第3サブフレーム群のみで駆動することも可能である。
また、中間遷移状態が同じになる表6と異なった駆動波形も存在し、その駆動波形も本実施形態に含まれることはいうまでもない。たとえば、中間遷移のCMYの相対色濃度が“0”、“1”にするためのサブフレーム群期間においては、該サブフレーム群の印加電圧は余計にかけても相対色濃度が飽和して“0”、“1”になるのであれば、印加電圧を余分にかけても良い。また、0Vの印加期間を削減して、駆動期間を短縮することもできる。さらに、各期間のサブフレーム数を一定にして、各期間の単位サブフレーム時間を、各期間で異ならせても良いことも同様である。
また、以上ではC,M,Yは3階調としたが、2階調や3階調以上の多階調でも同様の駆動ができることはいうまでもない。さらに、前画面をいったん2階調に表示して、その上で次画面を表6の駆動波形を用いて表示するようにしても良い。また、以上は、C,M,Yの3粒子の場合について述べた、CMY3色に代えて,RGB3色でも良く、また、CMYK4色やCMYRGB6色など3色以上の場合でも、この駆動方法を適用できる。
【0115】
LUTの生成方法は、第1の実施形態と同様であるが、この第3の実施形態で用いられる生成方法では、リセット期間用のLUTR_LUTを必要としない反面、前画面の表示状態に応じたLUT群が複数必要となり、前画面が3階調であれば、LUT群Bk_LUTn(n=1…12)はk=1…27の27個分必要であり、前画面を2階調である場合には8個分必要である。
また、以上を駆動するための回路構成も第1の実施形態と同様であるが、以下の違いがある。グラフィックメモリに格納する画像データは前画面の画素のRGBデータと更新画面のRGBデータの両方が必要であり、データ読み出し回路は両データを読み出す必要がある。また、LUT生成回路は、前画面の画素のRGBデータに応じたLUT群Bk_LUTnを不揮発性メモリから読み出して、サブフレーム番号に対応したLUTを生成する必要がある。
【0116】
このように、この第3の実施形態の構成によれば、各単色(R,G,B,C,M,Y,W,K)だけでなく、中間色まで含めた多階調表現を簡易な構成で実現できる。加えて、リセット期間がないため、画面更新時間の短縮を図ることができる。
【実施形態4】
【0117】
次に、この発明の第4の実施形態について説明する。
この第4の実施形態は、上述の第3の実施形態の改良に係り、単位駆動波形の繰り返し印加による駆動方法が用いられる点に特徴を有している。
すなわち、この第4の実施形態では、サブフレーム周波数を高速化し、表6−1〜表6−9に示す駆動波形を繰り返すことで、前画面状態CURRENTから最終表示状態NEXTへの滑らかな遷移を実現している。ここで、単位駆動波形の生成は、上述の第1の実施形態において、基本波形の繰り返し印加による駆動動作(駆動方法)について述べたと同様に作成することができるが、そのまま適用すると非常に複雑である。
【0118】
なぜなら、第1の実施形態では、基底状態からの同じ方向への遷移、たとえば(0,0,0)→(1,0,1)への遷移であったため、各帯電粒子C,M,Yはそれぞれ同じ方向(この場合は表示面側)に移動するか、または移動しないかであった。また、上述の第3の実施形態で用いられる駆動波形の1回印加による駆動方法に対して、単位駆動波形の繰り返しにより滑らかな遷移を可能にしようとした場合は、各帯電粒子C,M,Yは移動方向が一定でない場合がある。たとえば、(0,1,1)→(1,1,0)の遷移ではC粒子は表示面側に移動し、Y粒子はTFT基板側に移動し、M粒子は表示面側にとどまる。このため、−30Vを印加した場合、単位駆動波形ではC粒子は基底状態“0”のために、移動しないことが想定されているが、単位駆動波形を複数印加する場合は、たとえば1回目の波形印加後はC粒子が基底状態にいないため、2回目の波形印加期間における−30Vの印加によりC粒子が移動してしまい、これは元々は想定されていない動作のため、ズレが生じてしまう。
【0119】
このズレを修正(補正)するため、第2電圧V2/−V2をさらに印加する修正(補正)第2サブフレーム群期間と、第3電圧V3/−V3をさらに印加する修正第3サブフレーム群期間を、単位駆動波形の繰り返しの間に挿入して、修正駆動波形を印加することで粒子の動きを修正する必要がある。
以下の例では、1サブフレーム期間は、4倍速の25msecとして、単位駆動波形の12サブフレーム(第1のサブフレーム群期間が2サブフレーム、第2のサブフレーム群期間が4サブフレーム、第3のサブフレーム群期間が6サブフレーム)を4回繰り返し、その間に、修正波形の10サブフレーム(修正第2サブフレーム4サブフレーム、修正第3サブフレーム群期間6サブフレーム)を3つ挿入することで、最終表示状態NEXTを実現することとする。
【0120】
説明を簡単にするために、表7−1〜表7−8を参照して、CMY各2階調について、前画面から更新画面への直接遷移するための駆動波形について述べる。表7−1では、前画面の表示状態がCURRENT:(CMY)=(0,0,0)のとき、次画面状態がNEXT:(CMY)=(Rc,Rm,Ry)(Rc,Rm,Ryは0または1)に遷移するための駆動波形であり、表中(a)、(b)、(c)、(d)は、4回の単位駆動波形と各単位駆動波形の間に挿入される3回の修正波形を繰り返した場合の4回分の駆動波形を順次示している。
【0121】
同様に、表7−2は、CURRENT:(CMY)=(1,0,0)⇒NEXT:(CMY)=(Rc,Rm,Ry)(Rc,Rm,Ryは0または1)に遷移するための4回分の駆動波形を順次示している。表7−3は、CURRENT:(CMY)=(0,1,0)⇒NEXT:(CMY)=(Rc,Rm,Ry)(Rc,Rm,Ryは0または1)に遷移するための4回分の駆動波形を順次示している。また、表7−4は、CURRENT:(CMY)=(1,1,0)⇒NEXT:(CMY)=(Rc,Rm,Ry)(Rc,Rm,Ryは0または1)に遷移するための4回分の駆動波形を順次示している。表7−5は、CURRENT:(CMY)=(0,0,1)⇒NEXT:(CMY)=(Rc,Rm,Ry)(Rc,Rm,Ryは0または1)に遷移するための4回分の駆動波形を順次示している。表7−6は、CURRENT:(CMY)=(1,0,1)⇒NEXT:(CMY)=(Rc,Rm,Ry)(Rc,Rm,Ryは0または1)に遷移するための4回分の駆動波形を順次示している。また、表7−7は、CURRENT:(CMY)=(0,1,1)⇒NEXT:(CMY)=(Rc,Rm,Ry)(Rc,Rm,Ryは0または1)に遷移するための4回分の駆動波形を順次示している。さらに、表7−8は、CURRENT:(CMY)=(1,1,1)⇒NEXT:(CMY)=(Rc,Rm,Ry)(Rc,Rm,Ryは0または1)に遷移するための4回分の駆動波形を順次示している。
【0122】
【表7−1】
【0123】
【表7−2】
【0124】
【表7−3】
【0125】
【表7−4】
【0126】
【表7−5】
【0127】
【表7−6】
【0128】
【表7−7】
【0129】
【表7−8】
【0130】
表7−1に示すCURRENT:(0,0,0)→NEXT:(Rc,Rm,Ry)への遷移については、第1の実施形態と同様に基底状態からの遷移であり、修正駆動波形は必要ないので、説明を省略する。次に、表7−2を参照して、CURRENT:(1,0,0)→NEXT:(Rc,Rm,Ry)への遷移についての具体的な駆動方法について説明する。まず、CURRENT:(1,0,0)→NEXT:(Rc,Rm,0)の遷移について述べる。この場合は、Y粒子の移動は伴わないので、C粒子とM粒子のみの移動を考える。
CURRENT:(1,0,0)→NEXT:(0,0,0)、CURRENT:(1,0,0)→NEXT:(1,0,0)の場合は、M粒子の相対色濃度は”0”→”0”でTFT基板側に留まり、C粒子は”1”→”0”または”1”でTFT基板側に移動するか、表示面側に移動するかであるので、C粒子とM粒子の移動方向は同じであり、修正駆動波形の印加は必要でなく、修正駆動期間では電圧を印加する必要はなく、0Vを印加すれば良い。またCURRENT:(1,0,0)→NEXT:(1,1,0)ではM粒子の相対色濃度は”0”→”1”に遷移し、M粒子は表示面側に移動する。C粒子は”1”→”1”で表示面側に留まるので、C粒子とM粒子の移動方向は同じであり、修正駆動波形の印加は必要なく、修正駆動期間は0Vを印加すれば良い。
【0131】
次に、CURRENT:(1,0,0)→NEXT:(0,1,0)の場合は、M粒子の相対色濃度は”0”→”1”に遷移し、M粒子は表示面側に移動する。C粒子の相対色濃度は”1”→”0”に遷移し、C粒子は表示面と反対側のTFT基板側に移動する。すなわち、C粒子とM粒子の移動方向が逆である。このため、たとえば、1回の駆動波形で更新表示状態に遷移する駆動方法では、+15Vの印加でM粒子が”0”→”1”に遷移する際に、C粒子は”1”→”1”のままでC粒子の移動は想定されていないのに対し、繰り返しの単位駆動波形の印加で更新表示状態に遷移する駆動方法では、1回目の単位駆動波形の印加後、C粒子は基底状態”1”から遷移しているため、2回目の繰り返し単位駆動波形印加時における第2サブフレーム群期間の+15Vの印加によってC粒子が移動してしまう。このため、単位駆動波形の繰り返しでは更新表示状態に遷移することができない。これを防ぐため、2回目の単位駆動波形印加の前に−10Vを6サブフレーム分印加し、第2サブフレーム群期間の−15V4サブフレーム分の印加におけるC粒子の移動分を修正しておく必要がある。
【0132】
次に、CURRENT:(1,0,0)→NEXT:(Rc,Rm,1)の遷移について述べる。この事象の場合、Y粒子の相対色濃度は、”0”→”1”に遷移するので、表示面側に移動する。M粒子に関しては、”0”→””0”または”1”に遷移するため、Y粒子と同様に表示面側に移動するか、TFT基板側に留まるかのため、Y粒子と移動方向が同じであり、修正駆動波形を印加する必要はない。よって、修正第2サブフレーム群期間の印加電圧は0Vである。また、C粒子に関しては、CURRENT:(1,0,0)→NEXT:(1,Rm,1)の場合は、C粒子は移動しないので、修正駆動波形を印加する必要はなく、修正第3サブフレームの波形印加は0Vで良い。一方、CURRENT:(1,0,0)→NEXT:(0,Rm,1)の場合は、Y粒子は表示面側に移動するのに対して、C粒子はTFT基板側に移動し、移動方向が逆である。このため、1回の駆動波形で更新表示状態に遷移する駆動方法では、単位駆動波形第1サブフレーム群期間+30Vの印加でY粒子が”0”→”1”に移動するときにC粒子の移動が想定されていないのに対し、繰り返しの単位駆動波形の印加においては、1回目の単位駆動波形印加後、C粒子は基底状態”1”から移動しているので、2回目の単位駆動波形の印加時に、第1サブフレーム群期間の+30Vの印加で、C粒子が移動してしまう。これを防ぐために2回目の単位駆動波形印加の前に−10Vを6サブフレーム分印加し、第1サブフレーム群期間の30V、2サブフレームの印加におけるC粒子の移動分を修正しておく必要がある。
なお、ここでは、修正サブフレーム群期間に印加電圧を印加しなくても最終画面状態に遷移できるときは、印加電圧を0Vとした。しかしながら、たとえば、(0,1,1)→(0,1,0)の遷移において、修正駆動波形の修正第3サブフレーム群期間に−15Vを印加しても、C粒子の最終画面状態は”0”の基底状態に留まるので、問題はない。
【0133】
次に、表7−3を参照して、CURRENT:(1,0,0)→NEXT:(Rc,Rm,Ry)への遷移についての具体的な駆動方法について説明する。CURRENT:(0,1,0)→NEXT:(Rc,Rm,0)の遷移については、表7−2で示したと同様であり、CURRENT:(0,1,0)→NEXT:(0,0,0),CURRENT:(0,1,0)→NEXT:(0,1,0),CURRENT:(0,1,0)→NEXT:(1,1,0)は修正駆動波形を印加する必要はなく、CURRENT:(0,1,0)→NEXT:(1,0,0)は−10Vを6サブフレーム分印加する修正波形を単位駆動波形の印加の間に挿入する必要がある。
これに対して、CURRENT:(0,1,0)→NEXT:(Rc,Rm,1)の遷移については、CURRENT:(0,1,0)→NEXT:(0,1,1),CURRENT:(0,1,0)→NEXT:(1,1,1)への遷移のときは、M粒子は移動せず、C粒子はY粒子と同じ方向に移動するか、移動しないかであるので、修正駆動波形の印加は必要ない。
また、CURRENT:(0,1,0)→NEXT:(0,0,1)への遷移のときは、C粒子は基底状態に留まるが、M粒子とY粒子は反対方向に移動する必要がある。M粒子の移動を修正するために、修正波形印加時に、修正第2サブフレーム群で−15Vを4サブフレーム印加する必要があるが、この前後でC粒子は基底状態から移動しないので、修正第3サブフレーム群での電圧印加は必要でない。
【0134】
CURRENT:(0,1,0)→NEXT:(1,0,1)の場合は、CとY粒子は同じ方向に移動するのに対し、MとY粒子は反対方向に移動する必要がある。まず、反対方向に移動するM粒子の移動を修正するために、修正波形印加時に修正第2サブフレーム群で−15Vを4サブフレーム印加する必要がある。この前後でC粒子はM粒子と同じ方向に移動してしまう。しかし、C粒子はY粒子と同じ方向に移動する必要があり、M粒子と同じ方向への移動をキャンセルする必要があり、−15V、4サブフレームの印加をキャンセルすべく、修正第3サブフレーム群期間に10V、6サブフレームの印加がさらに必要となる。
【0135】
次に、表7−4を参照して、CURRENT:(1,1,0)→NEXT:(Rc,Rm,Ry)への遷移についての具体的な駆動方法について説明する。CURRENT:(1,1,0)→NEXT:(Rc,Rm,0)については、Y粒子は移動せず、C粒子とM粒子は一方が移動しないか、同じ方向に移動するので、修正駆動波形を印加する必要はない。
CURRENT:(1,1,0)→NEXT:(Rc,Rm,1)への遷移については、CURRENT:(1,1,0)→NEXT:(1,1,1)の遷移のときは、Y粒子のみが移動するので、修正駆動波形を印加する必要はない。CURRENT:(1,1,0)→NEXT:(0,1,1)への遷移のときは、M粒子は移動せず、C粒子とY粒子が反対方向に移動するので、修正駆動波形の印加の際に、修正第3サブフレーム群期間に−10V、6サブフレームの印加が必要となる。CURRENT:(1,1,0)→NEXT:(0,0,1)への遷移のときは、C粒子とM粒子は同じ方向に移動し、C、M粒子とY粒子が反対方向に移動するので、修正駆動波形の印加の際に、修正第2サブフレーム群期間に−15V、4サブフレームの印加が必要となる。
また、CURRENT:(1,1,0)→NEXT:(0,1,1)への遷移のときは、M粒子とY粒子は反対方向に移動し、C粒子とY粒子は同じ方向に移動する。このため、修正駆動波形の印加の際に、修正第2サブフレーム群期間に−15V、4サブフレームの印加する。そして、修正第2サブフレーム群期間における電圧印加のC粒子への影響をキャンセルするために、修正第3サブフレーム群期間において、10V、6サブフレームの印加を行う。表7−5〜表7−8の場合についても、上記したと同様であるので、説明を省略する。
【0136】
図30は、画面更新時、この第4の実施形態において、CURRENT:(1,0,0)→NEXT:(0,0,1)に遷移する際の駆動波形と中間遷移状態を示す図、また、図31は、その際の電気泳動粒子の挙動を示す中間遷移状態図である。図30及び図31を参照すれば、CURRENT:(1,0,0)→I1:(0.75,0,0.25)→I1’:(0.5,0,0.25)→I2:(0.5,0,0.5)→I2’:(0.25,0,0.5)→I3:(0.25,0,0.75)→I3’:(0,0,0.75)→NEXT:(0,0,1)と遷移することがわかる。
【0137】
このように、現画面から次画面に遷移する際、前画面をリセットすることなく直接遷移できるようにするために、この実施形態では、単位駆動波形を複数回印加する間に、単位駆動波形とは異なる修正駆動波形を印加する構成としている。
修正駆動波形は、第2の電圧V2(またはV2)を所定のサブフレーム数印加し、次に、V3(またはV3)を所定のサブフレーム数印加するサブフレーム群期間から構成されているが、第2の電圧を印加する修正サブフレーム群期間では、第1の電圧でのみ動くY粒子と、第1、2の電圧で動くM粒子が、遷移の際に、反対方向に移動する場合に電圧印加が必要となり、また、第3の電圧を印加する修正サブフレーム群期間では、第1の電圧でのみ動くY粒子または第1、2の電圧で動くM粒子と、第1,2、3の電圧で動くC粒子とが反対方向に移動する場合に電圧印加が必要となる。
【0138】
このように、この第4の実施形態でも、上述の第1の実施形態と同様に、単位駆動波形を4回繰り返す構成としたが、サブフレーム周波数を一段と高速化して単位駆動波形を4回以上繰り返すようにすれば、中間遷移の色変動(たとえば、ΔC、ΔM,ΔY)をさらに小さくすることができ、その分、“ちらつき”を抑制できる。
また、各単位駆動波形の駆動期間終了後、0Vを数サブフレーム分印加することで、(0,0.25,0),(0,0.5,0),(0,0.75,0)…
…の色味が最終表示状態に近い中間遷移状態を強調することができるので、画面の“ちらつき”をさらに緩和できる。
【0139】
なお、目標とする更新表示状態において、必要のないサブフレーム群は省略して、印加する必要のある第1〜第3サブフレーム群のみで駆動するようにしても良い。
また、中間遷移状態が同じになる単位駆動波形も存在し、その駆動波形も本実施形態に含まれることはいうまでもない。たとえば、中間遷移のCMYの相対色濃度が“0”、“1”にするためのサブフレーム群期間においては、該サブフレーム群の印加電圧は余計にかけても相対色濃度が飽和して“0”、“1”になるのであれば、印加電圧を余分にかけても良い。また、0Vの印加期間を削減して、駆動期間を短縮することもできる。さらに、各期間のサブフレーム数を一定にして、各期間の単位サブフレーム時間を、各期間で異ならせても良いことも同様である。また、以上ではC,M,Yは3階調としたが、2階調や3階調以上の多階調でも同様の駆動ができることはいうまでもない。さらに、前画面をいったん2階調に表示して、その上で次画面を表6の駆動波形を用いて表示することも可能である。また、以上はC,M,Yの3粒子の場合で説明したが、CMY3色のかわりにRGB3色でも良く、またCMYK4色やCMYRGB6色など3色以上の場合にも同様の駆動方法を適用できる。
【0140】
このように、この第4の実施形態によれば、第1の実施形態よりもリセット期間がない分、画面更新の更新期間を短くすることができる。加えて、基底状態の表示を省略できる分、中間遷移状態の輝度や色変動が、一段と少ない、目に違和感のない自然な画面遷移が可能となる。
【実施形態5】
【0141】
次に、この発明の第5の実施形態について説明する。
この第5の実施形態では、3色の電気泳動粒子を廃して、2色の電気泳動粒子を用いるようにした点で、上述した第1〜第4の実施形態と相異している。
すなわち、この第5の実施形態では、互いに補色の関係にあるシアン色(C)の電気泳動粒子と、赤色(R)の電気泳動粒子と、白色の保持体を用いて、赤(R)、シアン(C)、黒(K),白(W)、及び、これらの中間色や階調を表示する構成となっている。
【0142】
駆動動作<リセット期間あり、駆動波形1回印加のケース>
この実施形態では、前画面から次画面への更新は、まず、画面を白(W)または黒(K)の基底状態WKにリセットした後、該当する駆動波形を1回印加することで行われる。この実施形態で用いられる駆動波形の期間領域は、白(W)または黒(K)の基底状態WKに遷移するためのリセット期間と、V1,0,−V1[V]の電圧を印加する第1のサブフレーム群期間(第1の電圧印加期間)と、V2,0,−V2[V]の電圧を印加する第2のサブフレーム群期間(第2の電圧印加期間)とからなっている。
具体的には、更新しようとする次画面NEXTの画素毎の表示情報である帯電粒子C,Rの相対色濃度(CR)を(Rc,Rr)で表したとき、第1のサブフレーム群期間は、白(W)または黒(K)の基底状態から帯電粒子Rの相対色濃度がRrとなる中間遷移状態I−1に遷移する期間であり、第2のサブフレーム群期間は、中間遷移状態I−1から最終表示状態(更新画面)に遷移する期間である。
【0143】
ここで、相対色濃度Rx(x=c,r)は、相対色濃度で0〜1をとり、Rx=0は表面にX粒子(帯電粒子C,R)がない状態を表わし、Rx=1は、全てのX粒子が表面に移動している状態を表わしている。
表8には、2色C、Rの各階調を3階調(0,0.5,1)としたときの、具体的な駆動電圧データが示されている。また、簡単のため、各帯電粒子C、Rは、帯電量Qが|Qc|>|Qr|に設定されることで、帯電粒子が移動を開始するしきい値電圧は|Vth(c)|<|Vth(r)|となっている。
【0144】
表8に示すように、駆動電圧は、第1サブフレーム群期間で|V1|=30Vまたは0Vに設定されていて、第2サブフレーム群期間で|V2|=15Vまたは0Vに設定されている。
さらに、各帯電粒子C、Rが背面から表示面に移動する時間Δtは、簡単なモデルでは、しきい値電圧以上で、印加電圧Vと反比例の関係があり、V×Δt=一定となることは、第1の実施形態と同様である。この実施形態では、1サブフレーム期間100msecに設定されていて、画面更新期間は、8サブフレーム(リセット電圧印加期間が2サブフレーム、第1のサブフレーム群期間が2サブフレーム、第2のサブフレーム群期間が4サブフレーム)で構成されている。
【0145】
【表8】
【0146】
次に、表8を参照して,この実施形態による具体的な駆動動作(駆動方法)について説明する。
表8において、第1列は、目標とする更新表示状態の相対色濃度(CR)を表わしている。第2列は、リセット期間の印加電圧とリセット期間後の基底状態の相対色濃度を表わしている。リセット期間は、この第5の実施形態では、2つのサブフレームRa、Rbで構成され、とりうる印加電圧は−30Vである。第3列は、第1のサブフレーム群期間の印加電圧と期間後の中間遷移状態I−1の相対色濃度を表わしている。第1のサブフレーム群期間は2つのサブフレーム1a,1bで構成され、とりうる印加電圧は+30V、0Vである。2サブフレームとしたのは、30Vでの粒子の応答時間は0.2secであり、1サブフレーム期間が0.1secだからである。第4列は第2のサブフレーム群期間の印加電圧と期間後の最終表示状態NEXTの相対色濃度を表わしている。第2のサブフレーム群期間は4つのサブフレーム2a,2b,2c,2dで構成され、とりうる印加電圧は+15V,0V,−15Vである。4サブフレームとしたのは、15Vでの粒子の応答時間は0.4secであり、1サブフレーム期間が0.1secだからである。
【0147】
まず、リセット期間では、2サブフレームにわたりV1=−30Vを印加し、帯電粒子C,Rを表示面とは反対側の背面側に移動集結させて基底状態である白(W)表示にする。次の、第1のサブフレーム群期間では、帯電粒子Rの相対色濃度に対応して、相対色濃度(R)が0のときは、印加電圧0Vを2サブフレーム分印加し、相対色濃度(Y)が0.5のときは、印加電圧30Vを1サブフレーム分、印加電圧0Vを1サブフレーム分印加し、相対色濃度(R)が1のときは、印加電圧30Vを2サブフレーム分印加する。これにより基底状態Wから中間遷移状態I−1:(CR)=(Rr,Rr)(Rrは3階調であり、Ry=0,0.5,1)になる。
次の第2のサブフレーム群期間では、同様に中間遷移状態I−1:(CR)=(Rr、Rr)から、−15Vまたは15Vを所定数、印加して最終表示状態NEXT:(CR)=(Rc、Rr)に遷移させる。たとえば、中間遷移状態I−1の帯電粒子Rの相対色濃度Rrと最終表示状態NEXTの帯電粒子の相対色濃度Rcとの差が(Rr−Rc)=−0.5のときには、−15Vを2サブフレーム分印加する。(Rr−Rc)=1,0.5,0,−1のときも同様にー15V/15Vを所定数印加する。このような駆動動作によって、中間遷移状態I−1:(CR)=(Rr,Rr)から最終表示状態NEXT:(CR)=(Rc,Rr)(Rc、r=0,0.5,1の3階調)に遷移する。
【実施形態6】
【0148】
駆動動作<リセット期間あり、単位駆動波形の4回繰り返し印加のケース>
次に、この発明の第6の実施形態について説明する。
この実施形態では、前画面から次画面への更新は、まず、画面を白(W)または黒(K)の基底状態WKにリセットした後、該当する単位駆動波形を複数回繰り返し印加することで行われる。
表9には、第6の実施形態によって、2色(C、R)・3階調の更新画面を実現するための、具体的な駆動電圧データが示されている。具体的には、この実施形態は、リセット期間を設け、この後、単位駆動波形を4回繰り返し印加するときの、具体的な駆動電圧データが示されている。
まず、表9(a)は、リセット期間の駆動電圧と印加後の基底状態WKを示し、表9(b)は、1回目の駆動電圧印加期間の駆動電圧と印加後の中間遷移状態I1−2を示し、表9(c)は、2回目の駆動電圧印加期間の駆動電圧と印加後の中間遷移状態I2−2を示し、表9(d)は、3回目の駆動電圧印加期間の駆動電圧と印加後の中間遷移状態I3−2を示し、また、表9(e)は、4回目の駆動電圧印加期間の駆動電圧と印加後の最終表示状態NEXTを示している。
【0149】
【表9】
【実施形態7】
【0150】
駆動動作<リセット期間なし、駆動波形1回印加のケース>
次に、この発明の第7の実施形態について説明する。
この第7の実施形態では、前画面から次画面への更新は、表10−1及び表10−2に示すように、リセットを設けずに、駆動波形を1回印加することで行われる。
【0151】
【表10−1】
【0152】
【表10−2】
【実施形態8】
【0153】
駆動動作<リセット期間なし、単位駆動波形複数回印加のケース>
次に、この発明の第8の実施形態について説明する。
この第8の実施形態では、前画面から次画面への更新は、表11に示すように、リセットを設けずに、単位駆動波形を複数回回印加することで行われる。
単位駆動波形の4回繰り返し印加による駆動方法の例として、表11に、前画面の表示状態が(CR)=(0,1)のとき、任意の(CR)=(Rc、Rr)(Rc,r=0,0.5,1の3階調表示)の表示を行うための駆動波形を示している。
【0154】
【表11】
【0155】
以上、この発明の実施形態を図面により詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られたものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更などがあってもこの発明に含まれる。
たとえば、上述の各実施形態では、シアンC、マジェンタM、イエローYの3色の電気泳動粒子と、白色の保持体とからなる電気泳動表示素子を用いたが、シアンC、マジェンタM、イエローYの電気泳動粒子に代えて、赤R、緑G、青Bの電気泳動粒子を用いるようにしても良い。また、保持体を廃して、色粒子を封入したマイクロカプセルを用いても良い。要するに、3以上の異なる色粒子(たとえば、C、M、Y、KやR、G、B、Wの4色粒子や、C、M、Y、R、G、Bの6色粒子など)が異なるしきい値電圧を持つ電気泳動表示素子をこの発明に適用すれば、各単色表示だけではなく、中間色や中間調表示を含めた任意の色(La*b*)の表示を簡易な構成で実現できる。
【0156】
n種類(nは2以上の自然数)の電気泳動粒子にまで包含される、この発明の一般化された構成は、以下の通りである。すなわち、
スイッチング素子と画素電極がマトリクス状に配列されている第1の基板と、対向電極が形成されている第2の基板と、前記第1の基板と第2の基板の間に狭持され、電気泳動粒子を含有してなる電気泳動層とを備える表示部と、画面更新時、前記画素電極と前記対向電極との間の前記電気泳動粒子に所定の期間、所定の電圧を印加して、前記表示部の表示状態を現画面から所定の色濃度の次画面に更新させる電圧印加手段とを備えるメモリ性を有する画像表示装置であって、
前記電気泳動粒子は、互いに色と泳動を開始するしきい値電圧を異にするn種類(nは2以上の自然数)の帯電粒子Cn,…
…,Ck,… …,C1(k=2〜n−1)からなると共に、各帯電粒子Cn,… … ,Ck,… …,C1は、帯電粒子Cnのしきい値電圧|Vth(Cn)|<… … <帯電粒子Ckのしきい値電圧|Vth(Ck)|<…
… <帯電粒子Cnのしきい値電圧C1|Vth(c1)|の関係性を備え、電圧が印加される前記所定の印加期間は、
第1の電圧V1(または−V1)、または/および第2の電圧V2(または−V2)、または/および…、第nの電圧Vn(または−Vn)、または/および0Vを所定のサブフレーム数印加する1つ以上の基本駆動波形を複数回印加する基本波形印加期間から構成されることを特徴としている。なお、V1,…
… ,Vk,… … 、Vnは、|Vth(cn)|<|Vn|<|Vth(c(n−1))|,… …,|Vth(ck)|<|Vk|<|Vth(c(k−1))|,… …,|Vth(c1)|<|V1|の関係を満たすものとする。
【0157】
また、前記基本波形は、まず第1の電圧V1(またはV1)を所定のサブフレーム数印加し、…
…、第kの電圧Vk(またはVk)を所定のサブフレーム数印加し、… …、最後に第nの電圧Vn(またはVn)を所定のサブフレーム数印加するサブフレーム群期間に分かれることを特徴としている。
ここで、第1および第2の実施形態を一般化すると、前記印加期間は、さらに前記現画面をリセットして基底状態にするリセット期間を備え、前記各基本波形印加後の各中間遷移状態における各帯電粒子の相対色濃度情報は、基底状態の相対色濃度情報と、更新表示状態の相対色濃度情報の間にあることを特徴している。
【0158】
また、第3の実施形態(リセット期間なしの駆動波形の1回印加の駆動方法)を一般化すると、次の通りである。すなわち、
スイッチング素子と画素電極とがマトリクス状に配列されている第1の基板と、対向電極が形成されている第2の基板と、前記第1の基板と第2の基板との間に介挿され、電気泳動粒子を含有してなる電気泳動層とを備える表示部と、
画面更新時、前記画素電極と前記対向電極との間の前記電気泳動粒子に所定の期間、所定の電圧を印加して、前記表示部の表示状態を現画面から所定の色濃度の次画面に更新させる電圧印加手段とを備えてなるメモリ性を有する画像表示装置であって、
前記電気泳動粒子は、互いに色と泳動を開始するしきい値電圧を異にするn種類(nは、2以上の自然数)の帯電粒子Cn、…、Ck、…、C1(k=2〜n−1)からなると共に、各帯電粒子Cn、…、Ck、…、C1は、帯電粒子Cnのしきい値電圧|Vth(cn)|<…<帯電粒子Ckのしきい値電圧|Vth(ck)|<…<帯電粒子C1のしきい値電圧|Vth(c1)|の関係特性を備え、
更新すべき次画面を構成する各画素の、帯電粒子Cnの相対色濃度情報がRn、…、帯電粒子Ckの相対色濃度情報がRk、…、帯電粒子C1の相対色濃度情報がR1であるとき、電圧が印加される前記所定の期間は、
第1の電圧V1(または−V1)、または/および0V電圧を印加して、前記現画面の相対色濃度を参照して、前記帯電粒子C1の相対色濃度がR1となる第1の中間遷移状態に遷移させる第1の電圧印加期間と、
第kの電圧Vk(または−Vk)、または/および0V電圧を印加して、前記第k−1の中間遷移状態から、帯電粒子C1の相対色濃度をR1に、…、帯電粒子Ck−1の相対色濃度をRk−1に保持したまま、帯電粒子Ck、…、Cnの相対色濃度がRkとなる第kの中間遷移状態に順次遷移させる第2〜第n−1の電圧印加期間と、
第nの電圧Vn(または−Vn)、または/および0V電圧を印加して、前記第n−1の中間遷移状態から、帯電粒子C1の相対色濃度をR1に、…、帯電粒子Cn−1の相対色濃度をRn−1に保持したまま、帯電粒子Cnの相対色濃度がRnとなる最終表示状態に遷移させる第nの電圧印加期間とから構成され、かつ、前記各帯電粒子の前記しきい値電圧と、前記各電圧印加期間に印加される前記電圧は、
|Vth(cn)|<|Vn|<|Vth(c(n−1))|、
|Vth(ck)|<|Vk|<|Vth(c(k−1))|、
|Vth(c1)|<|V1|
の関係式を満たしていることを特徴としている。
【0159】
また、第4の実施形態(リセット期間なしの駆動波形の複数回印加の駆動方法)を一般化すると、基本駆動波形を複数回印加する間に、基本駆動波形と異なる修正駆動波形を印加することで前記現画面から前記次画面への遷移は前画面をリセットすることなく遷移させることができる。なお、前記修正駆動波形は、第2の電圧V2(またはV2)を所定のサブフレーム数印加し、次に第kの電圧Vk(またはVk)(k=3〜n−1)を所定のサブフレーム数印加し、最後に第nの電圧Vn(またはVn)を所定のサブフレーム数印加するサブフレーム群期間に分かれることを特徴としている。
【0160】
また、2粒子に係る第5の実施形態を一般化すると、次のように表わすことができる。すなわち、
スイッチング素子と画素電極とがマトリクス状に配列されている第1の基板と、対向電極が形成されている第2の基板と、前記第1の基板と第2の基板の間に狭持され、電気泳動粒子を含有してなる電気泳動層とを備える表示部と、画面更新時、前記画素電極と前記対向電極との間の前記電気泳動粒子に所定の期間、所定の電圧を印加して、前記表示部の表示状態を現画面から所定の色濃度の次画面に更新させる電圧印加手段とを備えてなるメモリ性を有する画像表示装置であって、
前記電気泳動粒子は、互いに色と泳動を開始するしきい値電圧を異にする2種類の帯電粒子C,Rからなると共に、各C,Rは、帯電粒子Cのしきい値電圧|Vth(c)|<帯電粒子Rのしきい値電圧|Vth(r)|の関係特性を備え、
更新すべき次画面の構成する各画素の、帯電粒子Cの相対色濃度がRc,帯電粒子Rの相対色濃度がRrとしたときに、
電圧が印加される前記所定の期間は第1の電圧V1(またはV1)、または/及び0V電圧を印加して前記帯電粒子Rの色濃度をRrに遷移させる第1のサブフレーム群と、
第2の電圧V2(またはV2)、または/及び0V電圧を印加して前記帯電粒子Rの色濃度をRrに保持したまま、前記帯電粒子Cの相対色濃度をRcとなる最終表示
状態NEXTに遷移させる第2のサブフレーム群とから構成され、
かつ、V1,V2は(|Vth(c)|<|V2|<|Vth(r)|<|V1|の関係を満たしている。
【0161】
また、各サブフレーム群の印加電圧は、前画面の表示状態と更新画面の表示状態から決定されても良いし、前画面状態を消去するためにリセット期間を設けても良い。
さらに、電圧が印加される前記所定の期間は第1の電圧V1(または−V1)、または/および第2の電圧V2(または−V2)、または/および第3の電圧V3(または−V3)、または/および0Vを所定のサブフレーム数印加する1つ以上の単位駆動波形を複数回印加する駆動波形印加期間から構成されることで、最終表示状態NEXTに遷移することもできる。
なお、目標とする更新表示状態において、必要のないサブフレーム群は省略して、印加する必要のある第1〜第3サブフレーム群のみで駆動するようにしても良い。
また、中間遷移状態が同じになる表8〜表11と異なった駆動波形も存在し、その駆動波形も本実施形態に含まれることはいうまでもない。また、0Vの印加期間を削減して、駆動期間を短縮することもできる。さらに、各期間のサブフレーム数を一定にして、各期間の単位サブフレーム時間を、各期間で異ならせても良いことも同様である。
【0162】
第1〜第8の実施形態を帯電粒子の遷移状態からまとめると次の通りである。
<リセット期間ありの場合>
スイッチング素子と画素電極がマトリクス状に配列されている第1の基板と、対向電極が形成されている第2の基板と、前記第1の基板と第2の基板の間に狭持され、電気泳動粒子を含有してなる電気泳動層とを備える表示部と、画面更新時、前記画素電極と前記対向電極との間の前記電気泳動粒子に所定の期間、所定の電圧を印加して、所定の色濃度の次画面に更新させる電圧印加手段とを備えるメモリ性を有する画像表示装置であって、前記電気泳動粒子は、互いに色と泳動を開始するしきい値電圧を異にする2種類以上の帯電粒子から構成され、
画面の更新期間は、前画面をリセットして基底状態にするリセット期間と、次画面をセットするセット期間から構成され、前記セット期間内では、各電気泳動粒子の相対色濃度は、原色の中間遷移状態をとらない。
【0163】
<リセット期間なしの場合>
スイッチング素子と画素電極がマトリクス状に配列されている第1の基板と、対向電極が形成されている第2の基板と、前記第1の基板と第2の基板の間に狭持され、電気泳動粒子を含有してなる電気泳動層とを備える表示部と、画面更新時、前記画素電極と前記対向電極との間の前記電気泳動粒子に所定の期間、所定の電圧を印加して、所定の色濃度の次画面に更新させる電圧印加手段とを備えるメモリ性を有する画像表示装置であって、前記電気泳動粒子は、互いに色と泳動を開始するしきい値電圧を異にする2種類以上の帯電粒子から構成され、
画面の更新期間内で、各電気泳動粒子の相対色濃度は、原色の中間遷移状態をとらない。
【0164】
なお、以上の実施形態において、更新期間全体にわたって、∫Vdt=0となるように、さらにDCキャンセル補償サブフレーム群を追加し、不要なDC電圧を帯電粒子に印加しないようにし、信頼性の劣化を防ぐことも可能である。この場合は、DCキャンセル補償サブフレーム群で印加される電圧は、絶対値が、帯電粒子の最小のしきい値電圧の絶対値以下に設定して、帯電粒子C,M,Y(またはC,R)が全て動かないようにする必要がある。
【0165】
また、上述の第1乃至第8の実施形態では、電子ペーパ部のデータドライバに供給する電圧信号を−Vdd,0,Vddの3値とし、サブフレーム毎にドライバ用基準電圧Vddを可変とする構成とすることも可能である。この構成によれば、データドライバが、駆動に必要とされる電圧を同時に出力することができない場合でも、電気泳動表示素子を駆動できるので、ドライバを簡略構成にすることができ、このため、コストダウンを図ることができる。
【0166】
さらに、データドライバの耐圧が、素子の駆動電圧より下回る場合にはCOM電圧をサブフレーム毎に可変にすることで、所定の素子の駆動電圧を実現することが可能である。
【0167】
なお、上述の第1の実施形態では、複数回印加される電圧駆動波形は、波形パターンが互いに同一の単位駆動波形からなる場合について述べたが、必ずしも、同一の波形パターンに限らない。たとえば、上述の第1の実施形態における、1回目と2回目の単位電圧駆動波形を合体させたものを1回目の電圧駆動波形として用い、3回目と4回目の単位電圧駆動波形は、そのままとしても、上記したとほぼ同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0168】
電子書籍、電子新聞、デジタルサイネージなどのカラー電子ペーパ表示装置に広く適用できる。
【符号の説明】
【0169】
1 電子ペーパ(表示部)
2 電気泳動表示装置(画像表示装置)
3 TFTガラス基板(第1の基板)
4 対向基板(第2の基板)
5 電気泳動層
6 TFT(スイッチング素子)
7 画素電極
8 対向電極
9 電子ペーパ部
13 電子ペーパコントローラ
22 LUT変換回路
25 LUT生成回路
C,M,Y 電気泳動粒子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素電極が形成されている第1の基板と、対向電極が形成されている第2の基板と、前記第1の基板と第2の基板との間に介挿され、電気泳動粒子を泳動可能に含む電気泳動層とを有してなる表示部と、
画面更新時、前記画素電極と前記対向電極との間の前記電気泳動粒子に、複数の所定の電圧駆動波形を順次印加して、前記表示部の表示状態を、前画面から、単数または複数の中間遷移状態を経由して、次画面に更新させる電圧印加手段とを備え、
前記電気泳動粒子は、互いに色と泳動を開始するしきい値電圧を異にするn種類(nは、2以上の自然数)の帯電粒子C1、…、Ck、…、Cn(k=n−1、ただし、n=2のとき、Ckは削除)からなると共に、各帯電粒子C1、…、Ck、…、Cnは、帯電粒子C1のしきい値電圧>…>帯電粒子Ckのしきい値電圧>…>帯電粒子Cnのしきい値電圧の関係特性を満たし、かつ、
前記電圧印加手段は、画面更新時、印加する前記電圧駆動波形毎に、
前記帯電粒子C1→、…、→Ck→、…、→Cnの順に、
各帯電粒子の相対色濃度を、対応する中間遷移状態の相対色濃度に遷移させてゆくことで、最終的に所望の濃度の次画面に更新させる(逆順にならなければ、任意の複数種類の帯電粒子について、前記中間遷移状態または最終表示状態への同時遷移確定も有りうる)ことを特徴とするメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項2】
前記各電圧駆動波形は、
前記帯電粒子C1、…、Ck、…、Cnを、前記電気泳動層の層厚方向に所定距離泳動させる|第1の電圧|または/および0Vを印加する第1の電圧印加期間(|第1の電圧|>帯電粒子C1のしきい値電圧)と、
……………、
次に、前記帯電粒子Ck、…、Cnを前記層厚方向に所定距離泳動させる|第kの電圧|または/および0Vを印加する第kの電圧印加期間(帯電粒子Ck−1のしきい値電圧>|第kの電圧|>帯電粒子Ckのしきい値電圧)と、
……………、
最後に、前記帯電粒子Cnのみを前記層厚方向に所定距離泳動させる|第nの電圧|または/および0Vを印加する第nの電圧印加期間(帯電粒子Cn−1のしきい値電圧>|第kの電圧|>帯電粒子Cnのしきい値電圧)とを有してなることを特徴とする請求項1記載のメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項3】
前記各電圧駆動波形は、
前記帯電粒子C1、…、Ck、…、Cnを、前記電気泳動層の層厚方向に所定距離泳動させる|第1の電圧|または/および0Vを所定のサブフレーム数印加する第1のサブフレーム群期間(|第1の電圧|>帯電粒子C1のしきい値電圧)と、
……………、
次に、前記帯電粒子Ck、…、Cnを前記層厚方向に所定距離泳動させる|第kの電圧|または/および0Vを所定のサブフレーム数印加する第kのサブフレーム群期間(帯電粒子Ck−1のしきい値電圧>|第kの電圧|>帯電粒子Ckのしきい値電圧;第kのサブフレーム群期間>第k−1のサブフレーム群期間)と、
……………、
最後に、前記帯電粒子Cnのみを前記層厚方向に所定距離泳動させる|第nの電圧|または/および0Vを印加する第nのサブフレーム群期間(帯電粒子Cn−1のしきい値電圧>|第kの電圧|>帯電粒子Cnのしきい値電圧;第nのサブフレーム群期間>第n−1のサブフレーム群期間)とを有してなることを特徴とする請求項1記載のメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項4】
前記複数回の電圧駆動波形は、波形パターンが互いに同一の単位駆動波形からなることを特徴とする請求項1、2または3記載のメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項5】
前記電圧印加手段は、画面更新時、前画面をリセットして、電気泳動状態を基底状態に置いてから、前記電圧駆動波形を印加することを特徴する請求項1、2または3記載のメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項6】
前記電圧印加手段は、前記複数の電圧駆動波形を印加する過程で、任意の中間遷移状態が、最終表示状態である次画面の表示状態と一致したときは、以降の前記電圧駆動波形の印加を省略することを特徴とする請求項1、2又は3記載のメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項7】
前記電圧印加手段は、画面更新時、前画面のリセット処理に代えて、印加される電圧駆動波形と、次に印加される電圧駆動波形との間に、任意の帯電粒子同士が反対方向に泳動することに起因する、任意の帯電粒子の泳動ずれを是正するための修正用電圧駆動波形を印加することを特徴とする請求項1,2,3記載のメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項8】
前記電圧印加手段は、画面更新時、前画面のリセット処理に代えて、印加される電圧駆動波形と、次に印加される電圧駆動波形との間に、任意の帯電粒子同士が反対方向に泳動することに起因する、任意の帯電粒子の泳動ずれを是正するための修正用電圧駆動波形を印加すると共に、
前記修正用駆動波形は、前記|第2の電圧|を所定のサブフレーム数印加するサブフレーム群期間と、…、前記|第kの電圧|を所定のサブフレーム数印加するサブフレーム群期間と、…、前記|第nの電圧|を所定のサブフレーム数印加するサブフレーム群期間とを有してなることを特徴とする請求項3記載のメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項9】
画素電極が形成されている第1の基板と、対向電極が形成されている第2の基板と、前記第1の基板と第2の基板との間に介挿され、電気泳動粒子を泳動可能に含む電気泳動層とを有してなる表示部と、
画面更新時、前記画素電極と前記対向電極との間の前記電気泳動粒子に、所定の電圧駆動波形を印加して、前記表示部の表示状態を、前画面から次画面に更新させる電圧印加手段とを備え、
前記電気泳動粒子は、互いに色と泳動を開始するしきい値電圧を異にするn種類(nは、2以上の自然数)の帯電粒子C1、…、Ck、…、Cn(k=n−1、ただし、n=2のとき、Ckは削除)からなると共に、各帯電粒子C1、…、Ck、…、Cnは、帯電粒子C1のしきい値電圧>…>帯電粒子Ckのしきい値電圧>…>帯電粒子Cnのしきい値電圧の関係特性を満たし、かつ、
更新すべき次画面の、帯電粒子C1の相対色濃度情報がR1(0≦R1≦1)、…、帯電粒子Ckの相対色濃度情報がRk(0≦Rk≦1)、…、帯電粒子Cnの相対色濃度情報がRn(0≦Rn≦1)であるとき、
前記電圧印加手段は、前記所定の電圧駆動波形を印加することによって、
まず、|第1の電圧|(>帯電粒子C1のしきい値電圧)、または/および0V電圧を印加して、前記前画面の前記帯電粒子C1の相対色濃度を参照して、前記帯電粒子C1の相対色濃度をR1に確定させ、
……………、
次に、|第kの電圧|(>帯電粒子Ckのしきい値電圧)、または/および0V電圧を印加して、前記前画面の前記帯電粒子Ckの相対色濃度を参照して、前記帯電粒子Ckの相対色濃度をRkに確定させ、
……………、
最後に、|第nの電圧|(>帯電粒子Cnのしきい値電圧)、または/および0V電圧を印加して、前記前画面の前記帯電粒子Cnの相対色濃度を参照して、前記帯電粒子Ckの相対色濃度をRnに確定させるという順序で(前記順序が逆順でなければ、任意の複数種類の帯電粒子について、相対色濃度の同時確定も有りうる)、所望の相対色濃度の次画面に更新させることを特徴とするメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項10】
前記電圧駆動波形は、まず、前記|第1の電圧|または/及び0Vを所定のサブフレーム数印加する第1のサブフレーム群期間と、……、次に、前記|第kの電圧|または/及び0Vを所定のサブフレーム数印加する第kのサブフレーム群期間(>第k−1のサブフレーム群期間)と、……、最後に、前記|第nの電圧|または/及び0Vを所定のサブフレーム数印加する第nのサブフレーム群期間(>第n−1のサブフレーム群期間)とを有してなることを特徴とする請求項9記載のメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項11】
前記電圧印加手段は、前記電圧駆動波形の印加中、最終表示状態である次画面の表示状態に到達したときは、前記電圧駆動波形の残部の印加を省略することを特徴とする請求項9または10記載のメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項12】
画素電極が形成されている第1の基板と、対向電極が形成されている第2の基板と、前記第1の基板と第2の基板との間に介挿され、電気泳動粒子を泳動可能に含む電気泳動層とを有してなる表示部と、
画面更新時、前記画素電極と前記対向電極との間の前記電気泳動粒子に、電圧駆動波形を印加して、前記表示部の表示状態を、前画面から、中間遷移状態を経由して、次画面に更新させる電圧印加手段とを備え、
前記電気泳動粒子は、互いに色と泳動を開始するしきい値電圧を異にする2種類の帯電粒子C1、C2からなると共に、前記帯電粒子C1のしきい値電圧が前記帯電粒子C2のそれよりも高く設定されていて、
前記電圧印加手段は、画面更新時、まず、前画面をリセットしてから、所定の前記電圧駆動波形を印加することで、
前記帯電粒子C1→C2の順に、各帯電粒子の相対色濃度を確定させて(逆順でなければ、帯電粒子C1、C2の相対色濃度の同時確定も有りうる)、所望の濃度の次画面に更新させることを特徴とするメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項13】
所定の前記電圧駆動波形は、前記帯電粒子C1、C2を、前記電気泳動層の層厚方向に所定距離泳動させて、表示状態を所定の中間遷移状態に導く|第1の電圧|または/および0Vを印加する第1の電圧印加期間(|第1の電圧|>帯電粒子C1のしきい値電圧)と、次に、前記帯電粒子C2のみを前記層厚方向に所定距離泳動させて、所望の濃度の次画面に更新させる|第2の電圧|または/および0Vを印加する第2の電圧印加期間(帯電粒子C1のしきい値電圧>|第2の電圧|>帯電粒子C2のしきい値電圧)と、(|第1の電圧|>|第2の電圧|)とを有してなることを特徴とする請求項12記載のメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項14】
所定の前記電圧駆動波形は、前記帯電粒子C1、C2を、前記電気泳動層の層厚方向に所定距離泳動させて、表示状態を所定の中間遷移状態に導く|第1の電圧|または/および0Vを所定のサブフレーム数印加する第1のサブフレーム群期間(|第1の電圧|>帯電粒子C1のしきい値電圧)と、次に、前記帯電粒子C2のみを前記層厚方向に所定距離泳動させて、所望の濃度の次画面に更新させる|第2の電圧|または/および0Vを印加する第2のサブフレーム群期間(帯電粒子C1のしきい値電圧>|第2の電圧|>帯電粒子C2のしきい値電圧;第2のサブフレーム群期間>第1のサブフレーム群期間)とを有してなることを特徴とする請求項12記載のメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項15】
前記電圧印加手段は、前記電圧駆動波形を印加する過程で、第1のサブフレーム群期間終了後の表示状態が、最終表示状態である次画面の表示状態と一致したときは、前記第2のサブフレーム群期間を省略することを特徴とする請求項14記載のメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項16】
前記電気泳動層は、スイッチング素子と画素電極とがマトリクス状に配列されている第1の基板と、対向電極が形成されている第2の基板との間に挟持され、
前記電圧印加手段は、画面更新時、前記スイッチング素子を駆動して、画素単位で、前記電圧駆動波形を、前記画素信号と前記対向電極との間に印加することを特徴する請求項1、9または12記載のメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項17】
前記電気泳動層内には、前記n種類の帯電粒子を保持するための保持粒子が含まれていることを特徴とする請求項1または9記載のメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項18】
前記n種類の帯電粒子は、シアン色とマジェンタ色とイエロー色の3種類、または、赤色、緑色、青色の3種類の帯電粒子からなることを特徴とする請求項1または9記載のメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項19】
前記電気泳動層内には、シアン色とマジェンタ色とイエロー色の3種類の帯電粒子と、前記3種類の帯電粒子を保持するための白色の保持粒子とが含まれていることを特徴とする請求項1または9記載のメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項20】
前記電気泳動層内には、赤色、緑色、青色の3種類の帯電粒子と、前記3種類の帯電粒子を保持するための黒色の保持粒子とが含まれていることを特徴とする請求項1または9記載のメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項21】
前記電気泳動粒子は、互いに補色の関係を有する2種類の帯電粒子からなることを特徴とする請求項1、9または12記載のメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項22】
前記電気泳動層内には、互いに補色の関係を有する2種類の帯電粒子と、前記2種類の帯電粒子を保持するための白色または黒色の保持粒子とが含まれていることを特徴とする請求項1、9または12記載のメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項23】
更新期間全体にわたって、∫Vdt=0となるように、さらに、DCキャンセル補償サブフレーム群を追加し、DCキャンセル補償サブフレーム群で印加される電圧は、絶対値が、帯電粒子の最小の|しきい値電圧|以下に設定されていることを特徴とする請求項1、9または12記載のメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項24】
前記電圧印加手段に供給される電圧信号を−Vdd,0,Vddの3値とし、かつ、サブフレーム期間毎に、駆動用基準電圧Vddが可変とされることを特徴とする請求項1、9または12記載のメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項25】
サブフレーム期間毎に、前記対向電極に印加される、前記電気泳動粒子の基準電位を定めるCOM電圧を変化させることを特徴とする請求項1、9または12記載のメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項1】
画素電極が形成されている第1の基板と、対向電極が形成されている第2の基板と、前記第1の基板と第2の基板との間に介挿され、電気泳動粒子を泳動可能に含む電気泳動層とを有してなる表示部と、
画面更新時、前記画素電極と前記対向電極との間の前記電気泳動粒子に、複数の所定の電圧駆動波形を順次印加して、前記表示部の表示状態を、前画面から、単数または複数の中間遷移状態を経由して、次画面に更新させる電圧印加手段とを備え、
前記電気泳動粒子は、互いに色と泳動を開始するしきい値電圧を異にするn種類(nは、2以上の自然数)の帯電粒子C1、…、Ck、…、Cn(k=n−1、ただし、n=2のとき、Ckは削除)からなると共に、各帯電粒子C1、…、Ck、…、Cnは、帯電粒子C1のしきい値電圧>…>帯電粒子Ckのしきい値電圧>…>帯電粒子Cnのしきい値電圧の関係特性を満たし、かつ、
前記電圧印加手段は、画面更新時、印加する前記電圧駆動波形毎に、
前記帯電粒子C1→、…、→Ck→、…、→Cnの順に、
各帯電粒子の相対色濃度を、対応する中間遷移状態の相対色濃度に遷移させてゆくことで、最終的に所望の濃度の次画面に更新させる(逆順にならなければ、任意の複数種類の帯電粒子について、前記中間遷移状態または最終表示状態への同時遷移確定も有りうる)ことを特徴とするメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項2】
前記各電圧駆動波形は、
前記帯電粒子C1、…、Ck、…、Cnを、前記電気泳動層の層厚方向に所定距離泳動させる|第1の電圧|または/および0Vを印加する第1の電圧印加期間(|第1の電圧|>帯電粒子C1のしきい値電圧)と、
……………、
次に、前記帯電粒子Ck、…、Cnを前記層厚方向に所定距離泳動させる|第kの電圧|または/および0Vを印加する第kの電圧印加期間(帯電粒子Ck−1のしきい値電圧>|第kの電圧|>帯電粒子Ckのしきい値電圧)と、
……………、
最後に、前記帯電粒子Cnのみを前記層厚方向に所定距離泳動させる|第nの電圧|または/および0Vを印加する第nの電圧印加期間(帯電粒子Cn−1のしきい値電圧>|第kの電圧|>帯電粒子Cnのしきい値電圧)とを有してなることを特徴とする請求項1記載のメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項3】
前記各電圧駆動波形は、
前記帯電粒子C1、…、Ck、…、Cnを、前記電気泳動層の層厚方向に所定距離泳動させる|第1の電圧|または/および0Vを所定のサブフレーム数印加する第1のサブフレーム群期間(|第1の電圧|>帯電粒子C1のしきい値電圧)と、
……………、
次に、前記帯電粒子Ck、…、Cnを前記層厚方向に所定距離泳動させる|第kの電圧|または/および0Vを所定のサブフレーム数印加する第kのサブフレーム群期間(帯電粒子Ck−1のしきい値電圧>|第kの電圧|>帯電粒子Ckのしきい値電圧;第kのサブフレーム群期間>第k−1のサブフレーム群期間)と、
……………、
最後に、前記帯電粒子Cnのみを前記層厚方向に所定距離泳動させる|第nの電圧|または/および0Vを印加する第nのサブフレーム群期間(帯電粒子Cn−1のしきい値電圧>|第kの電圧|>帯電粒子Cnのしきい値電圧;第nのサブフレーム群期間>第n−1のサブフレーム群期間)とを有してなることを特徴とする請求項1記載のメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項4】
前記複数回の電圧駆動波形は、波形パターンが互いに同一の単位駆動波形からなることを特徴とする請求項1、2または3記載のメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項5】
前記電圧印加手段は、画面更新時、前画面をリセットして、電気泳動状態を基底状態に置いてから、前記電圧駆動波形を印加することを特徴する請求項1、2または3記載のメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項6】
前記電圧印加手段は、前記複数の電圧駆動波形を印加する過程で、任意の中間遷移状態が、最終表示状態である次画面の表示状態と一致したときは、以降の前記電圧駆動波形の印加を省略することを特徴とする請求項1、2又は3記載のメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項7】
前記電圧印加手段は、画面更新時、前画面のリセット処理に代えて、印加される電圧駆動波形と、次に印加される電圧駆動波形との間に、任意の帯電粒子同士が反対方向に泳動することに起因する、任意の帯電粒子の泳動ずれを是正するための修正用電圧駆動波形を印加することを特徴とする請求項1,2,3記載のメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項8】
前記電圧印加手段は、画面更新時、前画面のリセット処理に代えて、印加される電圧駆動波形と、次に印加される電圧駆動波形との間に、任意の帯電粒子同士が反対方向に泳動することに起因する、任意の帯電粒子の泳動ずれを是正するための修正用電圧駆動波形を印加すると共に、
前記修正用駆動波形は、前記|第2の電圧|を所定のサブフレーム数印加するサブフレーム群期間と、…、前記|第kの電圧|を所定のサブフレーム数印加するサブフレーム群期間と、…、前記|第nの電圧|を所定のサブフレーム数印加するサブフレーム群期間とを有してなることを特徴とする請求項3記載のメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項9】
画素電極が形成されている第1の基板と、対向電極が形成されている第2の基板と、前記第1の基板と第2の基板との間に介挿され、電気泳動粒子を泳動可能に含む電気泳動層とを有してなる表示部と、
画面更新時、前記画素電極と前記対向電極との間の前記電気泳動粒子に、所定の電圧駆動波形を印加して、前記表示部の表示状態を、前画面から次画面に更新させる電圧印加手段とを備え、
前記電気泳動粒子は、互いに色と泳動を開始するしきい値電圧を異にするn種類(nは、2以上の自然数)の帯電粒子C1、…、Ck、…、Cn(k=n−1、ただし、n=2のとき、Ckは削除)からなると共に、各帯電粒子C1、…、Ck、…、Cnは、帯電粒子C1のしきい値電圧>…>帯電粒子Ckのしきい値電圧>…>帯電粒子Cnのしきい値電圧の関係特性を満たし、かつ、
更新すべき次画面の、帯電粒子C1の相対色濃度情報がR1(0≦R1≦1)、…、帯電粒子Ckの相対色濃度情報がRk(0≦Rk≦1)、…、帯電粒子Cnの相対色濃度情報がRn(0≦Rn≦1)であるとき、
前記電圧印加手段は、前記所定の電圧駆動波形を印加することによって、
まず、|第1の電圧|(>帯電粒子C1のしきい値電圧)、または/および0V電圧を印加して、前記前画面の前記帯電粒子C1の相対色濃度を参照して、前記帯電粒子C1の相対色濃度をR1に確定させ、
……………、
次に、|第kの電圧|(>帯電粒子Ckのしきい値電圧)、または/および0V電圧を印加して、前記前画面の前記帯電粒子Ckの相対色濃度を参照して、前記帯電粒子Ckの相対色濃度をRkに確定させ、
……………、
最後に、|第nの電圧|(>帯電粒子Cnのしきい値電圧)、または/および0V電圧を印加して、前記前画面の前記帯電粒子Cnの相対色濃度を参照して、前記帯電粒子Ckの相対色濃度をRnに確定させるという順序で(前記順序が逆順でなければ、任意の複数種類の帯電粒子について、相対色濃度の同時確定も有りうる)、所望の相対色濃度の次画面に更新させることを特徴とするメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項10】
前記電圧駆動波形は、まず、前記|第1の電圧|または/及び0Vを所定のサブフレーム数印加する第1のサブフレーム群期間と、……、次に、前記|第kの電圧|または/及び0Vを所定のサブフレーム数印加する第kのサブフレーム群期間(>第k−1のサブフレーム群期間)と、……、最後に、前記|第nの電圧|または/及び0Vを所定のサブフレーム数印加する第nのサブフレーム群期間(>第n−1のサブフレーム群期間)とを有してなることを特徴とする請求項9記載のメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項11】
前記電圧印加手段は、前記電圧駆動波形の印加中、最終表示状態である次画面の表示状態に到達したときは、前記電圧駆動波形の残部の印加を省略することを特徴とする請求項9または10記載のメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項12】
画素電極が形成されている第1の基板と、対向電極が形成されている第2の基板と、前記第1の基板と第2の基板との間に介挿され、電気泳動粒子を泳動可能に含む電気泳動層とを有してなる表示部と、
画面更新時、前記画素電極と前記対向電極との間の前記電気泳動粒子に、電圧駆動波形を印加して、前記表示部の表示状態を、前画面から、中間遷移状態を経由して、次画面に更新させる電圧印加手段とを備え、
前記電気泳動粒子は、互いに色と泳動を開始するしきい値電圧を異にする2種類の帯電粒子C1、C2からなると共に、前記帯電粒子C1のしきい値電圧が前記帯電粒子C2のそれよりも高く設定されていて、
前記電圧印加手段は、画面更新時、まず、前画面をリセットしてから、所定の前記電圧駆動波形を印加することで、
前記帯電粒子C1→C2の順に、各帯電粒子の相対色濃度を確定させて(逆順でなければ、帯電粒子C1、C2の相対色濃度の同時確定も有りうる)、所望の濃度の次画面に更新させることを特徴とするメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項13】
所定の前記電圧駆動波形は、前記帯電粒子C1、C2を、前記電気泳動層の層厚方向に所定距離泳動させて、表示状態を所定の中間遷移状態に導く|第1の電圧|または/および0Vを印加する第1の電圧印加期間(|第1の電圧|>帯電粒子C1のしきい値電圧)と、次に、前記帯電粒子C2のみを前記層厚方向に所定距離泳動させて、所望の濃度の次画面に更新させる|第2の電圧|または/および0Vを印加する第2の電圧印加期間(帯電粒子C1のしきい値電圧>|第2の電圧|>帯電粒子C2のしきい値電圧)と、(|第1の電圧|>|第2の電圧|)とを有してなることを特徴とする請求項12記載のメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項14】
所定の前記電圧駆動波形は、前記帯電粒子C1、C2を、前記電気泳動層の層厚方向に所定距離泳動させて、表示状態を所定の中間遷移状態に導く|第1の電圧|または/および0Vを所定のサブフレーム数印加する第1のサブフレーム群期間(|第1の電圧|>帯電粒子C1のしきい値電圧)と、次に、前記帯電粒子C2のみを前記層厚方向に所定距離泳動させて、所望の濃度の次画面に更新させる|第2の電圧|または/および0Vを印加する第2のサブフレーム群期間(帯電粒子C1のしきい値電圧>|第2の電圧|>帯電粒子C2のしきい値電圧;第2のサブフレーム群期間>第1のサブフレーム群期間)とを有してなることを特徴とする請求項12記載のメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項15】
前記電圧印加手段は、前記電圧駆動波形を印加する過程で、第1のサブフレーム群期間終了後の表示状態が、最終表示状態である次画面の表示状態と一致したときは、前記第2のサブフレーム群期間を省略することを特徴とする請求項14記載のメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項16】
前記電気泳動層は、スイッチング素子と画素電極とがマトリクス状に配列されている第1の基板と、対向電極が形成されている第2の基板との間に挟持され、
前記電圧印加手段は、画面更新時、前記スイッチング素子を駆動して、画素単位で、前記電圧駆動波形を、前記画素信号と前記対向電極との間に印加することを特徴する請求項1、9または12記載のメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項17】
前記電気泳動層内には、前記n種類の帯電粒子を保持するための保持粒子が含まれていることを特徴とする請求項1または9記載のメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項18】
前記n種類の帯電粒子は、シアン色とマジェンタ色とイエロー色の3種類、または、赤色、緑色、青色の3種類の帯電粒子からなることを特徴とする請求項1または9記載のメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項19】
前記電気泳動層内には、シアン色とマジェンタ色とイエロー色の3種類の帯電粒子と、前記3種類の帯電粒子を保持するための白色の保持粒子とが含まれていることを特徴とする請求項1または9記載のメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項20】
前記電気泳動層内には、赤色、緑色、青色の3種類の帯電粒子と、前記3種類の帯電粒子を保持するための黒色の保持粒子とが含まれていることを特徴とする請求項1または9記載のメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項21】
前記電気泳動粒子は、互いに補色の関係を有する2種類の帯電粒子からなることを特徴とする請求項1、9または12記載のメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項22】
前記電気泳動層内には、互いに補色の関係を有する2種類の帯電粒子と、前記2種類の帯電粒子を保持するための白色または黒色の保持粒子とが含まれていることを特徴とする請求項1、9または12記載のメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項23】
更新期間全体にわたって、∫Vdt=0となるように、さらに、DCキャンセル補償サブフレーム群を追加し、DCキャンセル補償サブフレーム群で印加される電圧は、絶対値が、帯電粒子の最小の|しきい値電圧|以下に設定されていることを特徴とする請求項1、9または12記載のメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項24】
前記電圧印加手段に供給される電圧信号を−Vdd,0,Vddの3値とし、かつ、サブフレーム期間毎に、駆動用基準電圧Vddが可変とされることを特徴とする請求項1、9または12記載のメモリ性を有する画像表示装置。
【請求項25】
サブフレーム期間毎に、前記対向電極に印加される、前記電気泳動粒子の基準電位を定めるCOM電圧を変化させることを特徴とする請求項1、9または12記載のメモリ性を有する画像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
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【公開番号】特開2012−220693(P2012−220693A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85849(P2011−85849)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(303018827)NLTテクノロジー株式会社 (547)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(303018827)NLTテクノロジー株式会社 (547)
【Fターム(参考)】
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