説明

メレンゲ菓子用ミックス粉及びこれを使用したメレンゲ菓子の製造方法

【課題】メレンゲを別立てすることなくメレンゲを使用した菓子を製造するためのミックス粉並びにこれを使用した菓子及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】架橋澱粉70〜30質量部及び卵白粉30〜70質量部からなる原料100質量部に対し、砂糖180〜450質量部及び膨剤1〜7質量部を含むメレンゲ菓子用ミックス粉である。また、前記メレンゲ菓子用ミックス粉100質量部に対して水140〜220質量部及び起泡性油脂35〜90質量部を加え比重が0.5〜0.7になるまでミキシングして生地を調製し、この生地を180℃〜250℃で10分間〜20分間焼成することを特徴とするメレンゲ菓子の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メレンゲ菓子用ミックス粉及びこれを使用したメレンゲ菓子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ダックワーズなどのメレンゲを原料とする菓子はメレンゲを別立てして作られている。
メレンゲは卵白を泡立てた食材であり必要に応じてこれに砂糖などを加えて調製している。
例えば、メレンゲを使用した菓子として、ジャポネ、ダックワーズ、シュクセ、プログレなどの菓子が例示され、その製造方法として、卵白をミキサーなどで泡立てて、糖を数回に分けて添加し、さらに所定量の穀粉と所望により膨剤、フレーバー、油脂類などを添加し、成型、焼成する方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−268647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のメレンゲを使用した菓子の製造方法はメレンゲを別立てして用意しなければならず手間がかかるという問題点があった。
従って、本発明の目的は、メレンゲを別立てすることなくメレンゲを使用した菓子を製造するためのミックス粉並びにこれを使用したメレンゲ菓子の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は前記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定配合のプレミックス粉を使用しこれに水及び起泡性油脂を加え特定比重になるまでミキシングしこれを型を使用して焼成することでメレンゲ菓子を容易に製造できることを見出し本発明を完成するに至った。
従って、本発明は、架橋澱粉70〜30質量部及び卵白粉30〜70質量部からなる原料100質量部に対し、砂糖180〜450質量部及び膨剤1〜7質量部を含むメレンゲ菓子用ミックス粉である。
また、前記メレンゲ菓子用ミックス粉100質量部に対して水140〜220質量部及び起泡性油脂35〜90質量部を加え比重が0.5〜0.7になるまでミキシングして生地を調製し、この生地を180℃〜250℃で10分〜20分焼成することを特徴とするメレンゲ菓子の製造方法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明のメレンゲ菓子用ミックス粉を使用することによりメレンゲを別立てして調製したメレンゲ菓子と同品質のメレンゲ菓子を簡便に得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明においてメレンゲ菓子とは、起泡した卵白を含む生地を調製しこれを焼成した菓子をいう。
従来のメレンゲ菓子は、卵白を別立てしこれに糖や澱粉を必要に応じて加え焼成して製造されていた。
このようなメレンゲ菓子は、その配合と製法の違いによりダックワーズ、マカロン、シュクセなどと称されている。
本発明では、従来卵白を別立てして製造されていたメレンゲ菓子を卵白を別立てせずメレンゲ菓子用ミックス粉を使用して生地を調製しこれを焼成することで簡便に得ることができる。
【0008】
本発明のメレンゲ菓子用ミックス粉は架橋澱粉70〜30質量部及び卵白粉30〜70質量部からなる主原料100質量部に対し、砂糖180〜450質量部及び膨剤1〜7質量部の副原料を含み必要に応じて従来のメレンゲ菓子に使用されている小麦粉などの穀粉、架橋澱粉以外の澱粉、砂糖以外の糖類、香料、増粘剤、食塩、香辛料、着色料、調味料、フレーバー、油脂類、乳化剤等が含まれていてもよい。
【0009】
本発明のメレンゲ菓子用ミックス粉の主原料は架橋澱粉70〜30質量部及び卵白粉30〜70質量部からなる。
使用できる架橋澱粉として、小麦澱粉、タピオカ澱粉、ばれいしょ澱粉、コーンスターチなどの原料を由来とするエステル化架橋澱粉、エーテル化架橋澱粉、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン、リン酸架橋デンプンなどを挙げることができる。
使用できる卵白粉は液卵を乾燥して粉末状にしたものであれば得に限定はなく、例えば、市販されている卵白乾燥粉を使用することができる。
架橋澱粉と卵白粉の割合において架橋澱粉が70質量部を超えると生地がゆるくなり保形性の悪い製品となり、30質量部未満になると生地が固くなり縮みの大きな製品となる。
【0010】
本発明のメレンゲ菓子用ミックス粉は副原料として前記主原料100質量部に対し砂糖180〜450質量部及び膨剤1〜7質量部を含む。
使用できる砂糖として、グラニュー糖、上白糖、三温糖などを挙げることができる。
砂糖の使用量が180質量部未満の場合には起泡が安定せず比重が上がりやすくなるため好ましくなく、450質量部を超えると甘くなりすぎるため味覚の点で好ましくない。
膨剤の使用量が1質量部未満の場合はボリュームが十分に出ず、7質量部を超えると風味に影響し好ましくない。
膨剤は、焼き菓子に使用されている食品用の膨剤であれば特に限定なく使用でき、例えば炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、塩化アンモニウム、炭酸水素ナトリウム等を単独または組み合わせて使用できるほか、ガス発生促進剤として酒石酸、酒石酸水素カリウム、フマル酸、第一リン酸カルシウム、グルコノデルタラクトン、酸性ピロリン酸ナトリウムを適宜組み合わせて併用することもできる。
また、市販されているベーキングパウダーを使用することもできる。
【0011】
これらの原料を均一に混合し本発明のメレンゲ菓子用ミックス粉を得ることができる。
ミキシングの方法は、ほぼ均一に混合できれば混合の方法や原料の投入順序は特に限定されない。
例えば、混合装置としてリボンミキサー、V型ミキサー、ロータリーミキサー、ヘンシェルミキサー、フラッシュミキサー、ケミカルミキサー、フードプロセッサ等の混合機を使用した方法や泡立器を使用した手作業による方法等を挙げることができる。
【0012】
以下、本発明のメレンゲ菓子用ミックス粉を使用したメレンゲ菓子の製造方法について説明する。
本発明のメレンゲ菓子用ミックス粉を使用したメレンゲ菓子の製造方法は従来のメレンゲを別立てして製造していたメレンゲ菓子の製造方法に比較してはるかに容易である。
まず、メレンゲ菓子用ミックス粉100質量部に対して水140〜220質量部、起泡性油脂35〜90質量部を加え比重が0.5〜0.7になるまでミキシングし生地を調製する。
例えば、ホッパーを使用して低速1分間、高速4〜6分間ミキシングすることで生地を調製することができる。
使用できるミキサーは従来メレンゲ菓子の仕込みに使用しているミキサーが使用でき仕込み量に応じて卓上ミキサーや20クォートミキサーなどを適宜選択して使用できる。
起泡性油脂は製菓用のものであれば特に限定なく使用でき、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルなどを界面活性剤として油脂分に対して1〜30質量部含むものが使用できる。
【0013】
ミキシング後の生地温度は適宜調整すればよいが、15℃〜30℃程度である。
この生地を型に流し込み180℃〜250℃のオーブンで10分間〜20分間焼成することで本発明のメレンゲ菓子を得ることができる。
型の材質は特に限定するものではなく、スチール、アルミなどが使用できる。
また、型の形状には特に限定はなく、リング型、カップ型など焼き菓子に使用されている型を使用できる。
【実施例】
【0014】
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜13、比較例1〜6]ダックワーズ風焼成菓子
表1〜表3に示す原料をケミカルミキサーで均一になるまで混合してメレンゲ菓子用ミックス粉を得た。
架橋澱粉は、リン酸架橋タピオカ澱粉を使用した。
前記メレンゲ菓子用ミックス粉100gに水40g、起泡性油脂10gを加えて卓上ミキサー(株式会社エフ・エムアイ社製、商品名:キッチンエイド)で比重を0.6になるようにミキシングし生地を得た。
生地温度は19℃であった。
この生地にアーモンドプードル45gを入れて均一になるように混合した。
この生地50gをリング型(直径80mm、材質:スチール)に入れ180℃のオーブンで15分間焼成してダックワーズ風の焼き菓子を得た。
[対照]ダックワーズ
卵白90gにグラニュー糖25gを3回に分けて入れながらホイッパーを使用して中速で泡立て、最後に高速にしメレンゲを得た。
このメレンゲに砂糖45gとアーモンドプードル45gとリン酸架橋タピオカ澱粉45gを加えて均一になるよう混合し生地を得た。
この生地50gをリング型(直径80mm、材質:スチール)に入れ180℃のオーブンで15分間焼成し対照品を得た。
これを自然冷却し焼成1時間後に以下の評価基準で10名のパネラーにより評価を行った。
得られた評価結果(平均値)を表4に示す。
[評価基準]
5点 サクサクとした食感で、口溶け良い。
4点 ややサクサクとした食感、やや口溶け良い。
3点 普通
2点 ややサクサクとした食感がなく、やや口溶け悪い。
1点 サクサクとした食感がなく悪い、口溶け悪い。
外観
5点 表面の形状に潰れがなく非常に良好。
4点 表面の形状に潰れがなく良好。
3点 普通
2点 やや表面の形状に潰れがあり不良。
1点 表面の形状に潰れがあり不良。
【0015】
[架橋澱粉と卵白粉の配合比率の影響]
【表1】

【0016】
[膨剤の配合比率の影響]
【表2】

【0017】
[砂糖の配合比率の影響]
【表3】

【0018】
[評価結果]
【表4】

【0019】
実施例1、5に比べて実施例2〜4の方が形状不良が少なく製品として優れていた。
比較例1、比較例2では表面が潰れ形状不良が見られた。
比較例3では比重が下がりにくくなる影響が見られた。
比較例5では甘みが弱く比較例6では甘みが強すぎた。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋澱粉70〜30質量部及び卵白粉30〜70質量部からなる原料100質量部に対し、砂糖180〜450質量部及び膨剤1〜7質量部を含むメレンゲ菓子用ミックス粉。
【請求項2】
請求項1に記載のメレンゲ菓子用ミックス粉100質量部に対して水140〜220質量部及び起泡性油脂35〜90質量部を加え比重が0.5〜0.7になるまでミキシングして生地を調製し、この生地を180℃〜250℃で10分間〜20分間焼成することを特徴とするメレンゲ菓子の製造方法。