説明

メール応対管理サーバおよびその方法、ならびに同方法がプログラムされ記録された記録媒体

【課題】 顧客から発せられる大量のメール問合せに対し、迅速で適切な内容で一定レベルの回答を行うシステムを構築する。
【解決手段】 顧客から発せられる大量のメール問合せを情報管理サーバ11で一括管理し、ここで自動的にメールを適切な担当者に仕分け、そのメールにあらかじめ適切な回答を添付することで、迅速で適切な内容で一定レベルの回答を要求のあった顧客のクライアント端末17に送信する。また、担当が手動で適切な回答を検索して適用し、その検索適用した行為を情報管理サーバ11が内蔵するDBに履歴として蓄積、管理することにより、自動的に添付した回答と担当者が適用した回答を比較することで、メール添付する回答の評価を行ない、より適切な回答をメール添付する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、メール応対管理サーバ及びその方法、ならびに同方法がプログラムされ記録された記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】電話もしくはメールで発せられる顧客からの問合せをコールセンタに在籍するオペレータが把握し、あらかじめデータベース登録された回答集の中から適切な回答を検索出力するサービスが従来から存在する。メールによる問合せの場合、担当者がそれぞれ手動でどのメールに対して応対するか決め、担当するメールは各担当者の端末で管理していたため、コールセンタ全体としてのメールの対応状態を管理できていないのが現状であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記した従来例によれば、メールによる大量の問合わせが到来した場合、個々のメールの内容に応じてそれぞれに担当者を決め、各担当にその対応を委ねることになる。このときの対応のレベルは各担当者のスキルに依存することになり、担当によっては返答までに時間を要し、また、満足する回答が得られない場合も多かった。いずれにしても回答のレベルにばらつきが生じることになる。
【0004】一方、電話による対応も多く、電話とメールでの対応はそれぞれ別情報として管理していたため、顧客から問合せがあったときその応対履歴を統一して閲覧することができず、従って、迅速な状況把握ができないことがあった。電話での対応とメールでの対応は、その対応ごとに履歴として管理しており、従って、同じ案件に対して複数回の対応を行った場合、対応した回数分だけ履歴が残るため、個々の顧客でどのような案件があるのか、また内容としてどのような案件が多いのかという統計情報を出すのに全て手作業で集計することが多かった。
【0005】本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、顧客から発せられる大量のメール問合せの一括管理を行ない、自動的にメールを適切な担当者に仕分け、そのメールにあらかじめ適切な回答を添付することで、迅速で適切な内容で一定レベルの回答を行うことができる、メール応対管理サーバおよびその方法、ならびに同方法がプログラムされ記録された記録媒体を提供することを目的とする。
【0006】また、担当者が手動で適切な回答を検索して適用し、その検索適用した行為を履歴として管理することにより自動的に添付した回答と担当者が適用した回答を比較することで、メール添付する回答の評価を行ない、より適切な回答をメール添付することが可能な、メール応対管理サーバおよびその方法、ならびに同方法がプログラムされ記録された記録媒体を提供することも目的とする。
【0007】更に、メールでの履歴と電話での履歴の情報を統一して一緒に管理することで、顧客からの問合せの経緯を一覧で迅速に把握することができ、より適切な対応を取ることが可能となり、個々の対応履歴を案件レベルでまとめて管理できるようにすることで、顧客の今までの対応はどのようなものがあったのか、をより簡単に把握することが可能であり、統計情報としてどのような案件が多いのかを把握することで回答の作成に役立て、あるいは経営戦略の参考情報として役立てることが可能な、メール応対管理サーバおよびその方法、ならびに同方法がプログラムされ記録された記録媒体を提供することも目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記した課題を解決するために本発明は、顧客からの問合せ要求を自然言語処理によって分析し、あらかじめデータベース登録された回答集の中から応対として適切な回答を検索出力するメール応対管理サーバであって、前記顧客から発せられる問合わせ要求メールを受信するメール受信手段と、前記メールの内容を自然言語処理により分析し、適切な担当に仕分けして前記担当に回答を促がす担当仕分け手段と、前記データベースを検索することによりあらかじめ登録された回答集の中から適切な回答を抽出してメール添付することにより前記担当宛転送するメール転送手段とを備えたことを特徴とする。上記構成により、メールの中身を自然言語処理によって分析して、適切な担当に仕分けし、あらかじめ登録してある回答集の中から応対内容として最も適した回答が自動的に転送メールに添付されるため、担当は最適な回答が添付された状態で閲覧でき、迅速に返答できると共に一定の回答レベルを保つことが可能となる。また、メールを一括してメール応対管理サーバで管理することになり、各担当はこのメール応対管理サーバにアクセスして対応していくため、全体のメールの応対状態を管理できるようになる。また、本発明のメール応対管理サーバにおいて、前記担当により発せられるキーワード情報を取り込むことにより前記データベースを検索し、得られる回答を前記担当宛出力し、前記転送メールに添付された回答との妥当性チェック、および前記問合せ要求のあった顧客に対して最適回答を選択出力することを促がすキーワード検索出力手段を備えたことを特徴とする。上記構成により、自動的にメール添付された回答とは別に、担当が自分で必要と思われる回答につき、キーワードを指定することで、指定したキーワードの類義語も含めてそれらキーワードが含まれる回答を、あらかじめ登録してある回答集の中から検索し、表示できるので、担当は回答に必要と思われる情報を適用することができる。これによって回答内容をより適切な内容とすることが可能となる。また、本発明のメール応対管理サーバにおいて、前記転送メールに添付された回答と前記キーワード検索手段によって出力される回答が履歴として蓄積される回答履歴蓄積手段と、前記回答の活用度を統計情報として出力し、前記自然言語処理による分析に反映させる回答集更新手段と、を備えたことを特徴とする。上記構成により、個々のメールに対し、自動的に添付された回答と担当が回答を検索し必要と思われる情報を適用した回答とを履歴として管理し、これら2つの情報に基づき、回答の活用度の統計をとることができる。このことにより、例えば、メールに添付された回答は、担当による手動検索で追加適用された回答により役に立たないことがわかる等の評価がなされ、この評価を自然言語処理によって分析するツールに反映させることにより、より最適な回答をメールに自動添付することが可能となる。また、本発明のメール応対管理サーバにおいて、前記回答履歴を顧客毎に付与されるユニークなIDにより管理し、前記問合せメールの送信元アドレスを参照することによって顧客情報管理データベースに登録されたメールアドレスを検索して顧客情報を割り出し、前記顧客情報管理データベースにメールアドレスが登録されていない場合、前記問合せメールの内容を自然言語処理によって分析し、キーワードを抽出して顧客情報を割り出す顧客情報管理手段を備えたことを特徴とする。上記構成により、電話とメールでの対応履歴に関し、顧客情報をキーとして統一して情報管理サーバで管理することができ、指定した顧客の問い合わせ履歴を電話とメールの両方一緒に参照することができるため、迅速な状況把握と応対をおこなうことが可能となる。なお、メールを顧客情報とを関連付けする必要があるため、ここでは、送信元メールアドレスを利用し、顧客情報としてデータベース登録されているメールアドレスを検索し、顧客を割り出している。顧客情報としてメールアドレスが登録されていない場合や、複数の同じメールアドレスが登録されている場合には、メールの内容を自然言語処理によって分析し、顧客情報に関係するキーワードを抽出してそのキーワードに基づいて顧客情報を検索し、該当すると考えられる顧客情報を抽出して選択させることによって実現している。また、本発明のメール応対管理サーバにおいて、個々の応対案件毎に任意の番号を付与して管理し、統計処理で区別したいデータ形式に変換して入力することで集計を行ない、前記自然言語処理による分析に反映させる統計処理手段と、を備えたことを特徴とする。上記構成により、個々の対応毎に案件として任意の管理番号を入力できるようにすることで、個々の電話やメールの対応に対して案件として括り付けを行うことができるようにし、管理番号を統計処理で区別したいデータ形式にして入力することで、後に統計処理を行う際に、区別したい案件ごとの集計を行うことができ、この統計情報を使って、回答集作成に役立てることや経営戦略の参考情報として役立てることが可能となる。上記した課題を解決するために本発明は、顧客からの問合せ要求を自然言語処理によって分析し、あらかじめデータベース登録された回答集の中から応対として適切な回答を検索出力するメール応対管理方法であって、前記顧客から発せられる問合わせ要求メールをメール受信手段によって受信し、前記メールの内容を自然言語処理により分析し、適切な担当に仕分けして前記担当に回答を促がし、前記データベースを検索することによりあらかじめ登録された回答集の中から適切な回答を抽出してメール添付することにより前記担当宛転送することを特徴とする。また、本発明のメール応対管理方法において、前記担当により発せられるキーワード情報を取り込むことにより前記データベースを検索し、得られる回答を前記担当宛出力し、前記転送メールに添付された回答との妥当性チェック、および前記問合せ要求のあった顧客に対して最適回答を選択出力することを促がすこと、を特徴とする。上記した課題を解決するために本発明は、顧客からの問合せ要求を自然言語処理によって分析し、あらかじめデータベース登録された回答集の中から応対として適切な回答を検索出力するメール応対管理サーバに用いられるサーバプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、前記サーバプログラムは、前記顧客から発せられる問合わせ要求メールをメール受信手段によって受信し、前記メールの内容を自然言語処理により分析し、適切な担当に仕分けして前記担当に回答を促がすステップと、前記データベースを検索することによりあらかじめ登録された回答集の中から適切な回答を抽出してメール添付することにより前記担当宛転送するステップとから成り、前記各ステップをコンピュータに実行させる記録媒体である。また、本発明の記録媒体において、前記担当により発せられるキーワード情報を取り込むことによって前記データベースを検索するステップと、前記データベース検索の結果得られる回答を前記担当宛出力し、前記転送メールに添付された回答との妥当性チェック、および前記問合せ要求のあった顧客に対して最適回答を選択出力することを促がすステップと、前記転送メールに添付された回答と前記キーワード検索により出力される回答を履歴として蓄積するステップと、前記回答の活用度を統計情報として出力し、前記自然言語処理による分析に反映させるステップと、前記回答履歴を顧客毎に付与されるユニークなIDで管理し、前記問合せメールの送信元アドレスを参照することによって顧客管理データベースに登録されたメールアドレスを検索して顧客情報を割り出すステップと、前記顧客データベースにメールアドレスが登録されていない場合、前記問合せメールの内容を自然言語処理によって分析し、キーワードを抽出して顧客情報を割り出すステップと、個々の応対案件毎に任意の番号を付与して管理し、統計処理で区別したいデータ形式に変換して入力することで集計を行なうステップと、前記集計結果を前記自然言語処理による分析に反映させるステップとを有することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】図1は、本発明のメール応対管理方法が実現されるメール応対管理システムの接続形態を示すブロック図である。ここでは、コールセンタ内にLAN(LocalArea Network)が構築され、本発明のメール応対管理サーバとしての情報管理サーバ11を核に、オペレータがそれぞれ管理するクライアント端末12、メールサーバ13、ファイアウォール(FW)14がLAN回線に共通に接続されている。
【0010】情報管理サーバ11は、顧客からクライアント端末17を介して到来する問合せ要求を自然言語処理によって分析し、適切なオペレータに仕分けしてそのオペレータに回答を促がす。また、内蔵するデータベースを検索することによりあらかじめ登録された回答集の中から適切な回答を抽出してメール添付し、オペレータ宛て転送する機能を有するものであり、詳細については後述する。メールサーバ13はメールの送受信を管理するサーバであって送受信のメールボックスを保管する。ファイアウォール14は、インターネット網18からセキュリティを確保するために情報をフィルタリングするものである。
【0011】一方、オペレータのそれぞれが管理するクライアント端末12は、電話機、内線電話網を介して電話交換機15に接続され、更に、公衆回線網16を介して顧客が所有するクライアント端末17に接続される。オペレータは、自身で管理するクライアント端末12を操作することにより、顧客から発せられた問い合わせ内容を把握し、適切なキーワード情報を入力することによって情報管理サーバ11が保有するデータベースを検索し、得られる回答と転送メールに添付された回答との妥当性をチェックし、問合せ要求のあった顧客に対し、電話交換機15、公衆回線16経由で問合せ要求のあった顧客のクライアント端末17に最適回答を選択出力する。
【0012】なお、顧客が所有するクライアント端末17はインターネット接続環境を持ち、インターネット網18を介してコールセンタに接続されるものとする。また、ここでは、電話網とコンピュータとを統合したCTI(Computer Telephony Integration)システムとして構築され、電話機や電話交換網の多くの機能がコンピュータに組み込まれ、音声やファックス等の情報を電話網とコンピュータとが一体的に処理することができる。例えば電話機には発着信、通話、切断等の機能があるが、これと同じことを電話機を使用することなく、パソコン等で構成されるクライアント端末12で行うことができ、また、電話交換機15が持つ回線切替えのためのスイッチング機能を情報管理サーバ11に持たせることも可能である。
【0013】図2に情報管理サーバの内部構成が示されている。ここでは、情報管理サーバ11が持つ機能を機能ブロック図に展開して示してある。以降説明する各機能ブロックは、具体的には、CPUおよびメモリを含む周辺LSIで構成され、メモリに記録されたプログラムをCPUが逐次読み出し実行することによって各ブロックが持つ機能を実現するものである。
【0014】情報管理サーバ11は、通信インタフェース部111、メール受信部112、担当仕分け部113、メール転送部114、キーワード検索出力部115、回答集更新部116、顧客情報管理部117、統計処理部118から成る。また、データベース(DB)として、回答集であるFAQ情報DB119、回答履歴蓄積DB120、顧客情報管理DB121、その他DB122を持つ。
【0015】通信インタフェース部111は、電話交換機15、およびLANとのインタフェースを司るものであり、CTI連携としてのインタフェースおよびLANとの接続インタフェースとして、例えば、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)を実現する。メール受信部112は、顧客からクライアント端末17を介して発せられる問合わせ要求メールを受信する機能を持つ。担当仕分け部113は、メールの内容を自然言語処理により分析し、適切な担当(オペレータ)に仕分けして担当に回答を促がす機能を持つ。仕分け処理は、過去の応対実績、経験分野等、オペレータ毎にあらかじめ設定された内容に基づく。
【0016】メール転送部114は、FAQ情報DB119を検索することによりあらかじめ登録された回答集の中から適切な回答を抽出してメール添付することにより担当宛転送する機能を持つ。キーワード検索出力部115は、オペレータにより発せられるキーワード情報を取り込むことによりFAQ情報DB119を検索し、得られる回答を要求のあったオペレータ宛出力し、先に転送メールに添付された回答との妥当性チェック、および前記問合せ要求のあった顧客に対して最適回答を選択出力することを促がす機能を持つ。
【0017】回答集更新部116は、転送メールに添付された回答とキーワード検索出力部115によって出力される回答が履歴として蓄積される回答履歴蓄積DB120を定期、あるいは不定期に参照することで回答の活用度を統計情報として出力し、自然言語処理による分析に反映させる機能を持つ。顧客情報管理部117は、回答履歴を顧客毎に付与されるユニークなIDにより管理し、問合せメールの送信元アドレスを参照することによって顧客情報管理DB121に登録されたメールアドレスを検索して顧客情報を割り出し、顧客情報管理DB121にメールアドレスが登録されていない場合、問合せメールの内容を自然言語処理によって分析し、キーワードを抽出して顧客情報を割り出す機能を持つ。統計処理部118は、個々の応対案件毎に任意の番号を付与して管理し、統計処理で区別したいデータ形式に変換して入力することで集計を行ない、自然言語処理による分析に反映させる機能を持つ。
【0018】FAQ情報DB119には、顧客からの問合せ内容に対する回答集(FAQ:Frequently Asked Question:よくある質問に対する回答集)があらかじめ蓄積されており、システムにより自動的にメール添付され、あるいはオペレータにより手動で検索される。また、回答履歴蓄積DB120は、自動で転送メールに添付された回答とキーワード検索出力部115によって出力される回答が履歴として蓄積され、後に自然言語処理による分析ツールを改善すべく反映される。顧客情報管理DB121には、住所、氏名、メールアドレス、顧客が持つスキル等、顧客毎の属性データが蓄積されている。また、その他DB122には、電話応対履歴、メール応対履歴、後述するFAQサジェスト履歴、FAQ適用履歴、統計情報等が各種データが格納される。
【0019】図3乃至図6は、本発明実施形態の動作を説明するために引用した図であり、メールの仕分けからメール回答に至る一連の流れ、FAQ情報更新の流れ、電話とメール応対との一括管理の流れ、メールと顧客情報との関連付けを自動で行う場合の流れにつき、それぞれフローチャートで示されている。以下、図3乃至図6に示すフローチャートを参照しながら、図1、図2に示す本発明実施形態の動作について詳細に説明する。
【0020】まず、図3に示すフローチャートを参照しながら、メールの仕分けからメール回答に至る一連の流れについて説明する。最初に情報管理サーバ11は、通信インタフェース部111を介し、メール受信部112で顧客から発せられるメールを受信する(ステップS31)。そして、担当仕分け部113によりそのメールの内容を自然言語処理によって分析し(ステップS32)、メール転送部114を介して適当な担当へメールの宛先を変更し、先に分析の結果、FAQ情報DB119を検索して得られるFAQ情報をメール本文に添付して転送する(ステップS33、S34)。なお、担当の仕分けは、あらかじめ設定される担当毎のスキル、応対経験等に従う。更に、その他DB122にそのメールを保存し、メールサーバ13の担当者の受信ボックスに送信する(ステップS35)。
【0021】一方、問合せメールの転送を受信した担当は、自分宛てのメールを開き、添付されたFAQ情報が正しいか否かを確認する(ステップS36)。ここで、正しくないと判断された場合は、その問合せ内容に最適なキーワードを決定し、そのキーワードを設定することにより、FAQ情報DB119を検索する(ステップS37)。そして、その検索結果が期待するものであるか否かをチェックし(ステップS38)、期待するものであれば、先にメールに添付されたFAQ情報に代え、手動でキーワード検索した結果得られたFAQ情報を、問合せ要求のあった顧客にメール送信する(ステップS39,S40)。もし、期待するものでなかった場合には、再度キーワードを設定し直し、ステップS37以降の処理を繰り返す。なお、ステップS36の処理で、転送メールに添付されたFAQ情報が正しいと判断された場合は、自動で添付されたFAQ情報を問合せ要求のあった顧客に送信する(ステップS39,S40)。
【0022】従来、問合せメールに対し個別に担当者がそれぞれ手動で、どのメールについて対応するか決め、それぞれの担当者の端末で管理していたため全体としてのメールの対応状態を管理できていなかったが、ここでは、メールを一括して情報管理サーバ11で管理し、各担当はこの情報管理サーバ11にアクセスすることによって対応していくので、全体のメールの応対状態を管理できるようになる。また、メールの中身を自然言語処理によって分析して、適切な担当者に仕分けし、あらかじめDB登録してあるFAQ情報の中から応対内容として最も適したFAQ情報を添付するので、担当は自分が対応できるメール見ることができ、また最も適した対応例情報が添付された状態で見ることができるため、迅速に返答でき、一定の回答レベルを保つことが可能となる。
【0023】ここでは、メールの内容を分析して最も適したFAQ情報を追加するが、回答内容をより適切な内容とし、かつ自動的に追加するFAQ情報の内容として適切であることの精度を向上することが必要となる。このため、自動的に追加したFAQ情報とは別に、担当者が自分で必要と思われるFAQ情報をキーワードを指定することで、指定したキーワードの類義語も含めてそれらキーワードが含まれるFAQ情報を、あらかじめ登録してあるFAQ情報の中から検索して表示している。オペレータがクライアント端末12を操作することによって到来する検索要求に対する回答は、キーワード検索出力部115が提供する。このことにより、各担当は回答に必要と思われるFAQ情報を適用できるようになっている。従って、回答内容をより適切な内容とすることができる。
【0024】次に、図4に示すフローチャートを参照しながらFAQ情報更新処理について説明する。ここでは、まず、統計処理部118でメールに自動添付されたFAQ情報と手動で担当が適用したFAQ情報の履歴を出力する(ステップS41)。これら履歴についてはその他DB122に都度保存されたデータを利用するものとする。統計処理部118による分析に従い、例えば、「あるタイプの質問に対しては、現在添付しているFAQ情報よりも別のFAQ情報を添付した方が好ましい」というようなことがわかる(ステップS42)。そこで、回答集更新部116により、メールの内容を分析する際の自然言語処理のリールを変更することによって、より精度の高いFAQ情報の添付が可能になる(ステップS43,S44)。
【0025】このようにして個々のメールに対して、自動的に添付するFAQ情報と、担当がFAQ情報を検索し適用したFAQ情報とを履歴として管理し、2つの情報に基づき定期的にFAQ情報の活用度を統計情報(自動添付したFAQ情報は担当者による手動検索で追加適用されたFAQ情報により役に立たないことがわかる)として出力することにより、実質的に役に立っていない自動添付されたFAQ情報に対し、自然言語処理によって分析するツールを改善していくことが可能となり、このことにより、より適切な内容のFAQ情報を自動添付することが可能となる。
【0026】次に、図5に示すフローチャートを参照しながら、電話とメール応対の一括管理について説明する。最初に情報管理サーバ11は、通信インタフェース部111を介し、メール受信部112で顧客から発せられるメールを受信する(ステップS51)。そして、顧客情報管理部117により、送信元メールアドレスをキーに顧客情報を検索する(ステップS52)。ここで、顧客情報が見つからなかった場合、自然言語処理により受信したメール本文を解析し、顧客情報を検索する際のキーワードを抽出する(ステップS53)。そして、該当する顧客情報候補の一覧を表示し、担当が正しいと判断される顧客情報を手動により選択し顧客情報と問合せメールとを関連付けることができる(ステップS54、S55)。
【0027】一方、ステップS52の処理で顧客情報が1件のみ見つかった場合、ステップS55以降の処理に分岐し、その顧客情報と問合せメールとを関連付ける。また、顧客情報が複数見つかった場合、ステップS54の処理に分岐し、該当する顧客情報候補の一覧を表示し、担当者にその選択を委ね、関連付けを行う。そして、その顧客情報をキーに情報管理サーバ11でメールの問合せ履歴を管理し、電話での応対履歴とメールでの応対履歴を統一して一括管理することができる(ステップS56、S57)。以降、電話とメールによる回答履歴をいっしょに検索、閲覧できるようになる(ステップS58)。
【0028】従来、電話での対応とメールでの対応はそれぞれ別の情報として管理していたため、顧客からの問合せがあつた場合今までの対応履歴を統一してみることができないため迅速な状況把握ができなかったが、ここでは、電話とメールの対応履歴に関し、顧客情報をキーに統一して情報管理サーバ11で管理することにより、指定した顧客の問い合わせ履歴を電話とメールの両方一緒に参照することができ、従って、迅速な状況把握と応対を行うことが可能となる。この方法によれば、メールを顧客情報と紐付する必要があるため、メールの送信元メールアドレスを利用して顧客情報に登録されているメールアドレスを検索し、顧客情報を割り出して、関係付けしている。顧客情報にまだメールアドレスが登録されていない場合や複数の同じメールアドレスが登録されている場合には、メールの中身を自然言語処理によって分析して、顧客情報に関係するキーワードを抽出し、そのキーワードを元に顧客情報を検索し、該当していると思われる顧客情報を抽出して選択させることによって実現している。
【0029】最後に図6に示すフローチャートを参照しながら、メールと顧客情報との関連付けについて説明する。従来、電話での対応とメールでの対応は、その対応毎に履歴として管理していなかったため、同じ案件に対して複数回の対応をした場合、対応した回数分だけ履歴が残り、個々の顧客でどのような案件があるのか、また内容としてどのような案件が多いのかという統計情報を出すのに全て手作業で集計することが多かった。ここでは、個々の対応ごとに案件として任意の管理番号を入力できるようにすることで、個々の電話やメールの対応に対して案件として括り付けを行うことができるようにし、管理番号を統計処理で区別したいデータ形式にして入力することで、後で、統計処理を行う際に、区別したい案件ごとの集計を行うことができ、この統計情報を使って、FAQ情報作成に役立てることや経営戦略の参考情報として役立てることが可能となる。
【0030】すなわち、担当は、まず自分宛てのメールを開き、そのメールに対して自動または手動で、ある案件の管理番号を入力する(ステップS61、S62)。そして、回答履歴蓄積DB120、およひその他DB122で応対履歴を蓄積、管理し(ステップS63)、統計処理部118による統計処理の際に区別したい案件毎に集計し、FAQ情報の作成、あるいは経営戦略の参考情報として活用することができる(ステップS64、S65)。
【0031】以上説明のように本発明は、顧客から発せられる大量のメール問合せの一括管理を行ない、自動的にメールを適切な担当者に仕分け、そのメールにあらかじめ適切な回答を添付することで、迅速で適切な内容で一定レベルの回答を行うものである。また、担当者が手動で適切な回答を検索して適用し、その検索適用した行為を履歴として管理することにより、自動的に添付した回答と担当者が適用した回答を比較することで、メール添付する回答の評価を行ない、より適切な回答をメール添付する。更に、メールでの履歴と電話での履歴の情報を統一して一緒に管理することで、顧客からの問合せの経緯を一覧で迅速に把握し、より適切な対応を取ることが可能となり、また、個々の対応履歴を案件レベルでまとめて管理できるようにすることで、顧客の今までの対応はどのようなものがあったのか、をより簡単に把握することが可能である。このため、統計情報としてどのような案件が多いのかを把握することで回答の作成に役立て、あるいは経営戦略の参考情報として役立てることができる。
【0032】なお、図2における、通信インタフェース部111、メール受信部112、担当仕分け部113、メール転送部114、キーワード検索出力部115、回答集更新部116、顧客情報管理部117、統計処理部118が持つ機能を実現するためのプログラムを、それぞれコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムを、メール応対管理システムを構成するコンピュータシステムに読み込ませ、当該コンピュータが上記プログラムを逐次読み出し実行することによって、本発明のメール応対管理サーバが構築される。また、ここでいうコンピュータシステムとは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0033】更に、コンピュータシステムは、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、フロッピー(登録商標)ディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらにコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0034】また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0035】以上、本発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0036】
【発明の効果】以上説明のように本発明によれば、情報管理サーバにより、顧客から到来する大量のメール問合せの一括管理を行なうことで、そのメールを自動的に適切な担当者に仕分けし、そのメールにあらかじめ適切な回答を添付することで迅速で適切に、かつ一定レベルの均一な回答を行うことができる。また、自動的にメール添付された回答とは別に、担当が自分で必要と思われる回答につき、キーワードを指定することで、指定したキーワードの類義語も含めてそれらキーワードが含まれる回答を、あらかじめ登録してある回答集の中から検索し、表示できるので、担当は回答に必要と思われる情報を適用することができ、これによって回答内容をより適切な内容とすることが可能となる。
【0037】また、個々のメールに対し、自動的に添付された回答と担当が回答を検索し必要と思われる情報を適用した回答とを履歴として管理し、これら2つの情報に基づき、回答の活用度の統計をとることで、例えば、メールに添付された回答は、担当による手動検索で追加適用された回答により役に立たないことがわかる等の評価がなされ、この評価を自然言語処理によって分析するツールに反映させることにより、より最適な回答をメールに自動添付することが可能となる。
【0038】更に、電話とメールでの対応履歴に関し、顧客情報をキーとして統一して情報管理サーバで管理することができ、指定した顧客の問い合わせ履歴を電話とメールの両方一緒に参照することができるため、迅速な状況把握と応対をおこなうことが可能となる。また、個々の対応毎に案件として任意の管理番号を入力できるようにすることで、個々の電話やメールの対応に対して案件として括り付けを行うことができるようにし、管理番号を統計処理で区別したいデータ形式にして入力することで、後に統計処理を行う際に、区別したい案件ごとの集計を行うことができ、この統計情報を使って、回答集作成に役立てることや経営戦略の参考情報として役立てることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のメール応対管理方法を実現するメール応対管理システムの接続構成例を示すブロック図である。
【図2】 図1に示すメール応対管理サーバの内部構成を機能展開して示したブロック図である。
【図3】 本発明実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図4】 本発明実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図5】 本発明実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図6】 本発明実施形態の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
11 情報管理サーバ
12 クライアント端末(オペレータ)
13 メールサーバ
14 ファイアウォール(FW)
15 電話交換機
16 公衆回線網
17 クライアント端末(顧客)
18 インターネット網
111 通信インタフェース部
112 メール受信部
113 担当仕分け部
114 メール転送部
115 キーワード検索出力部
116 回答集更新部
117 顧客情報管理部
118 統計処理部
119 FAQ情報DB
120 回答履歴蓄積DB
121 顧客情報管理DB
122 その他DB

【特許請求の範囲】
【請求項1】 顧客からの問合せ要求を自然言語処理によって分析し、あらかじめデータベース登録された回答集の中から応対として適切な回答を検索出力するメール応対管理サーバであって、前記顧客から発せられる問合わせ要求メールを受信するメール受信手段と、前記メールの内容を自然言語処理により分析し、適切な担当に仕分けして前記担当に回答を促がす担当仕分け手段と、前記データベースを検索することによりあらかじめ登録された回答集の中から適切な回答を抽出してメール添付することにより前記担当宛転送するメール転送手段と、を備えたことを特徴とするメール応対管理サーバ。
【請求項2】 前記担当により発せられるキーワード情報を取り込むことにより前記データベースを検索し、得られる回答を前記担当宛出力し、前記転送メールに添付された回答との妥当性チェック、および前記問合せ要求のあった顧客に対して最適回答を選択出力することを促がすキーワード検索出力手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のメール応対管理サーバ。
【請求項3】 前記転送メールに添付された回答と前記キーワード検索手段によって出力される回答が履歴として蓄積される回答履歴蓄積手段と、前記回答の活用度を統計情報として出力し、前記自然言語処理による分析に反映させる回答集更新手段と、を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のメール応対管理サーバ。
【請求項4】 前記回答履歴を顧客毎に付与されるユニークなIDにより管理し、前記問合せメールの送信元アドレスを参照することによって顧客情報管理データベースに登録されたメールアドレスを検索して顧客情報を割り出し、前記顧客情報管理データベースにメールアドレスが登録されていない場合、前記問合せメールの内容を自然言語処理によって分析し、キーワードを抽出して顧客情報を割り出す顧客情報管理手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のメール応対管理サーバ。
【請求項5】 個々の応対案件毎に任意の番号を付与して管理し、統計処理で区別したいデータ形式に変換して入力することで集計を行ない、前記自然言語処理による分析に反映させる統計処理手段と、を備えたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のメール応対管理サーバ。
【請求項6】 顧客からの問合せ要求を自然言語処理によって分析し、あらかじめデータベース登録された回答集の中から応対として適切な回答を検索出力するメール応対管理方法であって、前記顧客から発せられる問合わせ要求メールをメール受信手段によて受信し、前記メールの内容を自然言語処理により分析し、適切な担当に仕分けして前記担当に回答を促がし、前記データベースを検索することによりあらかじめ登録された回答集の中から適切な回答を抽出してメール添付することにより前記担当宛転送することを特徴とするメール応対管理方法。
【請求項7】 前記担当により発せられるキーワード情報を取り込むことにより前記データベースを検索し、得られる回答を前記担当宛出力し、前記転送メールに添付された回答との妥当性チェック、および前記問合せ要求のあった顧客に対して最適回答を選択出力することを促がすこと、を特徴とする請求項6に記載のメール応対管理方法。
【請求項8】 顧客からの問合せ要求を自然言語処理によって分析し、あらかじめデータベース登録された回答集の中から応対として適切な回答を検索出力するメール応対管理サーバに用いられるサーバプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、前記サーバプログラムは、前記顧客から発せられる問合わせ要求メールをメール受信手段によって受信し、前記メールの内容を自然言語処理により分析し、適切な担当に仕分けして前記担当に回答を促がすステップと、前記データベースを検索することによりあらかじめ登録された回答集の中から適切な回答を抽出してメール添付することにより前記担当宛転送するステップとから成り、前記各ステップをコンピュータに実行させる記録媒体。
【請求項9】 前記担当により発せられるキーワード情報を取り込むことによって前記データベースを検索するステップと、前記データベース検索の結果得られる回答を前記担当宛出力し、前記転送メールに添付された回答との妥当性チェック、および前記問合せ要求のあった顧客に対して最適回答を選択出力することを促がすステップと、前記転送メールに添付された回答と前記キーワード検索により出力される回答を履歴として蓄積するステップと、前記回答の活用度を統計情報として出力し、前記自然言語処理による分析に反映させるステップと、前記回答履歴を顧客毎に付与されるユニークなIDで管理し、前記問合せメールの送信元アドレスを参照することによって顧客管理データベースに登録されたメールアドレスを検索して顧客情報を割り出すステップと、前記顧客データベースにメールアドレスが登録されていない場合、前記問合せメールの内容を自然言語処理によって分析し、キーワードを抽出して顧客情報を割り出すステップと、個々の応対案件毎に任意の番号を付与して管理し、統計処理で区別したいデータ形式に変換して入力することで集計を行なうステップと、前記集計結果を前記自然言語処理による分析に反映させるステップとを有することを特徴とする請求項8記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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