説明

モジュラーリンク式コンベヤチェーンのための減摩ローラ支持体

1個以上の物品を順方向走路と戻り走路を有する無端経路に沿って少くとも搬送方向に移送するのに用いるためのコンベヤシステム(S)が提供される。このシステムは、搬送方向(C)に対して横断方向に離隔した両側縁(12)を有し、両側縁(12)の中間に表面を有する少くとも1つのリンク(13)を備えた無端チェーン(10)から成る。両側縁(12)の間に配置されており、横断方向に延長した車軸(56)を備えたチェーン支持体(50)が、前記リンクの表面に係合するためのローラ(52)を回転自在に支持する。このローラは、両側縁の中間においてチェーンに対する強化された、かつ、低摩擦の支持を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、コンベヤ技術に関し、特に、減摩ローラ支持体を有することを特徴とするモジュラーリンク式コンベヤチェーン又はベルト(以下、単に「モジュラーコンベヤ」、「コンベヤ」又は「チェーン」又は「「ベルト」とも称する)に関する。
【背景技術】
【0002】
産業におけるモジュラーリンク式コンベヤの使用は、益々、普及してきている。特に食品又は消費者製品を特にパッケージの状態で、又は半ばパッケージされた形で搬送するための手段として、モジュラーリンク式コンベヤは、耐用年数が長く、低コストの搬送手段を求める食品加工業者が選択する手段の中で圧倒的に多く、代表的なものである。近年、比較的大きいサイズのものをも含め、多種類の食品、食品パッケージ及び食品容器のみならず他のタイプの物品及び製品を能率的に搬送処理することができるようにする目的で、この種のコンベヤの開発に著しい進歩が遂げられてきた。
【0003】
今日市販されているモジュラーリンク式コンベヤシステムのうち最も人気があり、信頼性の高いタイプの1つは、1990年9月4日に発行された本出願人の先行米国特許第4,953,693号及び1991年7月16日に発行された先行米国特許第5,031,757号(それらの記載内容が本明細書に編入されているものとする)に開示され、本出願人の会社によって「デザイナシステム」及び「ホイスパートラックス」という商標名で製造販売されているものである。これらの初期特許の時代から急速にコンベヤシステムの分野に著しい技術進歩が達成され、物品及び製品のより能率的な処理及び搬送を実施することが可能になってきている。例えば、本出願人の以後の米国特許第6,364,095号及び6,585,110号(それらの記載内容が本明細書に編入されているものとする)は、チェーン内の特定のリンクに1つ又は複数個のローラを組み入れ、それによって、上記米国特許第4,953,693号及び5,031,757号によって得られる側方撓曲及び長手方向伸縮の利点を随意選択としてとして享受しつつ、摩擦を少なくする(減摩)という点の性能を改善することを提案している。
【0004】
しかしながら、この提案は、従来技術に一般的に用いられている面倒なカテナリー方式を排除し、ガイドリンクにより側部に沿って望ましいしっかりした保持を与えるが、左右両側部ガイドリンクの中間でコンベヤチェーンが垂れ下がるという問題が生じることがある。この垂れ下がりは、モジュラーリンク式チェーンの幅が特定の幅に達するか、それを越えると、特に起こりやすい。例えば、上記米国特許第4,953,693号に開示されているような態様に構成されたリンクと、4mm径のステンレス鋼製コネクタロッド(横断方向の連結ロッド)を備えたモジュラーリンク式チェーンの場合、チェーンのカットオフ(臨界)幅は、約25in(約63.5cm)である。チェーンの幅がそれ以上になると、コネクタロッドの直径を太くしても、効果はなく、対応するリンクの設計をし直さない限り垂れ下がりを防止することができない。(しかも、リンクの設計をし直せば、それらのリンクは、他の以前のチェーンに後付けで利用することはできない。)
【0005】
両側部ガイドリンク間でのコンベヤチェーンの垂れ下がりを防止するために長年実施されてきた解決策は、チェーンの両側部間に支持体を設けることである。従来、そのような支持体は、長手方向に架け渡された湾曲した、又は、蛇行状のレールなどの構造体によって構成されてきた(例えば、米国特許第5,190,145号参照)。これらの構造体(レール)は、チェーンの戻り走路に沿ってチェーンの搬送面に接触するか、あるいは、チェーンの順方向(搬送方向)走路に沿ってチェーンの搬送面の反対側の面(即ち、下面)に接触し、それによってチェーンに所望の中間支持を与える。
【0006】
この方策の1つの難点は、チェーンと支持構造体との係合が、特に順方向に沿って被搬送物品が存在する場合、ベルト又はチェーンに作用する摩擦力を増大させることである。この係合によって惹起される抗力が、チェーンの順方向の走行を送らせ、従って、チェーンを無端経路に沿って駆動するのに要する動力を増大させる。利用可能な動力は搬送方向のチェーンの許容長さに比例するから、モーターの馬力を大きくするか、複数のモーターを設けるか、又は、正規の駆動機構を助成するための中間駆動機構を設けることによってしか克服することができない制約が存在する。しかしながら、これらの方策は、いずれも、チェーンを駆動するのに要する消費電力を増大させるという点で運転コストを増大させるばかりでなく、製造コストも、メンテナンスコストも増大させる。
【特許文献1】米国特許第4,953,693号
【特許文献2】米国特許第5,031,757号
【特許文献3】米国特許第6,364,095号
【特許文献4】米国特許第6,585,110号
【特許文献5】米国特許第5,190,145号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、モジュラーリンク式コンベヤチェーンを支持するための構成を改良することを求める要望がある。本発明の一実施形態によれば、その支持構成は、摩擦力をほとんど増大させることなく、チェーンをその両側部の中間で支持することができる。その結果として、チェーンを駆動するのに要する電力を最少限にするのみならず、現行の技術でははるかに短いチェーンを駆動するのに要するのと同じ電源を用いて、より長いチェーンを無端経路に沿って駆動することができる。従って、既存のコンベヤシステムにも本発明の構造体を容易に後付けする(レトロフィットする)ことができるので、最低限でも電力所要量を低減することができ、従って、使用される特定の駆動機の有効寿命を延長することができる。
【0008】
本発明の第1側面によれば、1個以上の物品を順方向走路と戻り走路を有する無端経路に沿って少くとも搬送方向に移送するのに用いるためのコンベヤシステムが提供される。このシステムは、搬送方向に対して横断方向に離隔した両側縁を有し、両側縁の中間に表面を有する少くとも1つのリンクを備えた無端チェーンから成る。両側縁の間に配置されており、横断方向に延長した車軸を備えたチェーン支持体が、前記リンクの表面に係合するためのローラを回転自在に支持する。このローラは、両側縁の中間においてチェーンに対する強化された、かつ、低摩擦の(減摩)支持を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態においては、本発明のチェーン支持体(以下、単に「支持体」とも称する)は、搬送方向に延長したレールと、複数の隔置された(互いに間隔を置いて配置された)車軸から成る。各車軸は、チェーンがその搬送方向に走行する間リンクの表面に係合するためのローラを担持している。好ましくは、各車軸は、レールから外方へ突出したスタブ軸(短軸)から成り、一端に対応するローラを保持するための保持部材を有する。これらのスタブ車軸は、その対応するローラの直径の2倍未満の距離だけ搬送方向に互いに離隔させることができ、従って、間隔が密であるといえる。
【0010】
本発明の1つの可能な実施例として、ローラに係合するためのリンクの表面は、チェーンの搬送面の反対側、即ち、搬送面の下面(裏面)側とすることができる。その場合、支持体は、チェーンの戻り走路に沿って配置される。チェーンは、それぞれ搬送方向に延長した対応する側部ガイドレールに係合するための、横断方向に隔置された側部ガイドリンクを含むものとすることができる。これらの側部ガイドレールは、前記チェーン支持体を担持することができ、各側部ガイドリンクは、側部ガイドレールの対応する1つに係合するための横断方向の耳片を有するものとすることができる。各側部ガイドレールは、チェーンの側縁に沿って低摩擦の支持を与えるための少くとも1つのローラを含むものとすることができる。
【0011】
本発明の第2側面によれば、1個以上の物品を順方向走路と戻り走路を有する無端経路に沿って少くとも搬送方向に移送するのに用いるためのコンベヤシステムが提供される。このシステムは、搬送方向に対して横断方向に延長したコネクタによって相互に連結された側部リンクと中間リンクを含む複数列のモジュラーリンクによって形成された、両側縁を有する無端チェーンから成る。チェーン支持体は、チェーンがその搬送方向に走行する間少くとも1つの中間リンクの表面に係合するためのローラを回転自在に支持するための横断方向に延長した車軸を含む。かくして、ローラは、チェーンの垂れ下がり防止を助成するために両側縁の間でチェーンに対して強化された低摩擦の支持を与える。
【0012】
一実施形態においては、前記少くとも1つの中間リンクの表面は、チェーンの戻り走路の搬送面の反対側の面(裏面)側とすることができる。支持体は、搬送方向に延長したガイドレールから成る。このガイドレールは、チェーンがその無端経路に沿って走行する間中間リンクの表面に係合することによってチェーンに対して低摩擦の支持を与えるための複数の密に隔置されたローラを担持することが好ましい。
【0013】
本発明の第3側面によれば、少くとも1つのリンクを含み、搬送方向に走行するモジュラーコンベヤチェーンのための支持構成体が提供される。この支持構成体は、チェーンに係合し、直接的な低摩擦支持を与えるために搬送方向に隔置された複数のローラを含む、長手方向に延長したレールから成る。ローラ間の搬送方向の間隔は、リンクの搬送方向の寸法より短い。
【0014】
本発明の第4側面によれば、少くとも1つのリンクを含み、搬送方向に走行するモジュラーコンベヤチェーンのための支持構成体が提供される。この支持構成体は、チェーンに係合し、直接的な低摩擦支持を与えるために搬送方向に隔置された複数のローラを含む、長手方向に延長したレールから成る。これらの複数のローラは、少くとも1つのリンクに同時に接触する。
【0015】
本発明の第5側面によれば、モジュラーコンベヤチェーンのための支持構成体が提供される。この支持構成体は、チェーンを少くとも支持するための隔置された第1側部部材と第2側部部材を含む支持フレームから成る。隔置されたレールの間に配置された中間支持レールが、チェーンに係合するための少くとも1つのローラを担持する少くとも1つの車軸を支持する。
【0016】
一実施形態においては、前記中間支持レールは、搬送方向に離隔された複数の車軸を担持し、各車軸は、各々チェーンに係合するための1つのローラを担持する。前記側部部材は、コンベヤチェーンに係合するための摩耗ストリップを備えることができ、更に、コンベヤチェーンに係合するためのローラを含むものとすることができる。各車軸は、スタブ車軸であり、対応するローラを保持するための保持部材を有し、前記中間支持レールは、前記両側部部材によって担持される。
【0017】
本発明の第6側面によれば、側縁を有するモジュラーリンク式コンベヤチェーンのための支持構成体を製造する方法が提供される。この方法は、チェーンに係合するための少くとも1つのローラを支持する車軸を備えた、長手方向に延長するレールをチェーンの両側縁の間に配置することから成る。
【0018】
本発明の第7側面によれば、コンベヤシステムを製造する方法が提供される。この方法は、複数のモジュラーリンクに横断方向のコネクタを挿通することによって1列のリンク列を形成する工程を含む、モジュラーリンク式無端コンベヤチェーンを形成する工程と、
該チェーンに係合するためのローラを支持する車軸を備えた、長手方向に延長するレールを該チェーンの両側縁の間に配置することによって該無端チェーンを支持する工程とから成る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1及び図2を参照すると、モジュラーリンク式コンベヤチェーン又はベルト10を含むコンベヤシステムSの慣用の構成全体が示されている。チェーン10は、被搬送物品に係合しそれを支持するための搬送面11を有する。この特定の実施例では、チェーン10は、互いに離隔した列(図6及び列R,...R参照)として配置され、それによって搬送面11を部分的に創生する側部ガイドリンク12及び中間リンク13を含む複数のモジュラーリンクから成る。R,Rのように隣接するリンク列は、横断方向に延長するコネクタ14(業界語で「横断ロッド」とも称される)によって相互に連結される。
【0020】
図3及び4a−4cに詳細に示されている側部ガイドリンク(以下、単に「側部リンク」とも称する)12について説明すると、各側部リンクは、外側垂下腕12aと、内方に突出した横断耳片12bを含む(かくして、配置によって異なる右側側部リンクと左側側部リンクを形成する)ものとすることもできる。外側垂下腕12aと横断耳片12bは、それらが設けられる場合は、例えばコンベヤ支持フレームE(図1及び図5参照)の一部を構成する長手方向に延長するガイドレールG又はGなどから成る慣用の支持構成体を受容するように設計される。各ガイドレールG,Gは、順方向走路Fに沿っても、戻り走路Rに沿っても(順方向走路Fから戻り走路Rへの遷移部に沿ってリンクに噛合し、対応するモーターMによって連動駆動される1対の隔置されたスプロケットKを介して)無端経路で双方向に駆動されるチェーン10を支持する。
【0021】
各ガイドレールG,Gは、リンク12との摩擦を少なくするために減摩材から成る摩耗ストリップWを含むことが好ましい。ガイドレールG,Gは、図2及び図5に示されるように、C字形又はシグマ形としてもよく、あるいは、摩耗ストリップWが舌片又はほぞのように外方に突出してチェーン10(特に側部ガイドリンク12)に対する支承表面を画定するような態様に関連する摩耗ストリップWを担持する任意の望ましい形状に1つ又は複数の支持セクションを備えたものとすることもできる。上述したタイプの関連するリンク(ガイドレールと組み合わされるリンク)は、通常、ナイロン6−6、アセタール、又はその他の安価で軽量の耐久性材料などの相補材料又は相互適合材料(ガイドレールの素材と相補関係をなす材料又はガイドレールの素材と適合する材料)で周知の成形法(異なる材料の同時成形法をも含む)を用いて形成される。その結果としてシステム10の性能を向上させることができるが、リンクとガイドレール(摩耗ストリップ)を形成する素材の相互適合性は、要件とはみなされていない。
【0022】
好ましくは、対をなす側部リンク12は、中間リンク13と共に、チェーン10が駆動される方向(長手方向又は搬送方向と称する)(図6の動作矢印C参照)に互いに離隔された列を形成する。この方向が、平常作動においてチェーン10が物品を搬送する主方向であり、搬送方向Cに対して横断方向の横断方向又は側方方向は、動作矢印Pで示されている。第1列R(図示の例では先行列)を構成するリンク12の対を相互に連結する横断方向のコネクタ14は、ステンレス鋼のロッドで形成されており、側部リンク12を含め、各中間リンク13の足部分13cに形成された整列穴(図6参照)に挿通される(
リンク間に、側方に反復する複数の区間がある場合、足部分13cは2つ以上でもよい)。中間リンク13は、チェーン10を製造する際は、隣接する第2(後行)列Rのリンク12,13を第1列Rのリンク12,13に噛合させ、横断方向のコネクタ14を第2列の各リンク12,13の先端部12eに形成された搬送方向Cの方向に細長いスロット12dに挿通する。
【0023】
当業者には明らかなように、リンクのこの特定の構造上の構成は、完全に随意選択ではあるが、チェーン10の長手方向の伸縮を可能にするとともに、チェーン10がカーブ又は屈曲部を円滑に通過するように(図6参照)リンクの側方撓曲動作をも可能にし、それによって、カテナリーを設ける必要性を排除する。このような機能性の向上が特定の用例において特に必要とされない場合は、コネクタ14を通すためのスロット12e(図4a参照)を長手方向(搬送方向)に細長い穴ではなく、単なる穴に代えることができる。その場合は、長手方向の伸縮も、側方撓曲もできないチェーンとなる。その場合、互いに噛合されるリンク12に、本出願人の米国特許第6,364,095号及び6,585,110号に開示されているように、平坦な頂面を形成することができる。
【0024】
いずれにしても、長手方向に離隔した2列のリンク12を相互に連結するために、コネクタ14は、各側部リンク12に形成された受容部12f又はスロットに着脱自在に挿入された錠止素子又は耳片17によって所定位置に保持される。図4cに示されるように、tab17はコネクタ14のくびれ又はへこみ部分14aに係合するための凹部17aを有するものとすることができる。搬送方向に所要の長さのチェーン10を形成するために互いに噛合するリンク12,13に対してこの組み立てパターンを反復することができる。業界語でコンベヤ「ベルト」とも称されるこのタイプのチェーンの詳細な説明は、本出願人の米国特許第第4,953,693号及び5,031,757号(その記載内容が本明細書に編入されているものとする)に開示されている。
【0025】
引き続き図5を参照し、更に図7をも参照して説明すると、本発明の一側面は、側部リンク12と12の間にチェーン10の側縁(側ブリンク12)に沿って1つ又は複数の隔置されたローラ52を含む長手方向に延長するローラ支持体(「ローラレール」又は単に「支持体」とも称する)50を設けることにある。これらのローラ52は、順方向走路Fに沿って、又は、戻り走路Rに沿って、又はそれらの両方の走路に沿って低摩擦の(減摩)支持を与える。図5では、ローラ支持体50は、摩耗ストリップを有するガイドレールG又はG構成する特別な側部フレーム部材を含む、上述した特別の側部ガイドリンク12を備えたチェーン10に組み合わせて用いる態様が示されている。一方、図7は、チェーン10の側部が単にガイドレールG,Gによって構成されており、少くとも1つの、好ましくは複数のローラ支持体50が横断方向に間隔を置いて配置された構成を示す。
【0026】
図8−14を参照すると、ローラ支持体50の一実施形態が示されている。この実施形態では、細長いレール54を含み、レール54は、少くとも1つの対応するローラのための車軸56を支持する。この好ましい実施形態では、車軸56は、ローラ52を保持するための保持部材60(例えば、C形クリップ)を受容するための切欠き58を含むスタブ軸から成る。保持部材60は、ローラの搬送方向Cの自由回転を許す。各車軸56は、対応するローラ52の周面をレール54を越えて突出させ、それによってローラの周面をベルト又はチェーン10の対応する表面に係合させることができるように垂直方向に取り付けられる。
【0027】
水平方向に関して、特に図9及び図10を参照して説明すると、各車軸56は、搬送方向に隣接するローラに52に対して非常に近接した(密な)間隔に配置することが好ましく、最も好ましくは、対応するローラ52との間に干渉を生じない限りできるだけ近接して配置する。例えば、図9に示されるように、隣接する車軸56の心と心の間の心間距離は、単一のローラ52の直径Dの2倍未満の直線距離Lであり、好ましくは、直径より僅かに長い距離とする。その結果として、これらのローラ52は、互いに干渉することなく、しかも、チェーン10に対して実質的に連続した低摩擦支持を与える。
【0028】
図9の右側に示された密間隔の別の実施例では、搬送方向Cに隣接する2つのローラ52の心間距離Lは、対応するリンク12又は13の対応する寸法Hより短い(換言すれば、L<Hである)。その結果として、リンク12,13は,搬送方向Cに移動する間、常時、少くとも2つのローラ52によって少くとも部分的に支持される。リンク12,13の搬送方向Cの寸法Hが、3つのローラ52の直線距離、即ち心間距離(ほぼ2L)より長い(即ち、H>2L)場合は、少くとも2つのローラ52によってリンクに対して常時完全支持が与えられる。
【0029】
使用において、ローラレール50は、チェーン10の両側縁の間で、リンク12の、チェーン10を構成する表面(例えば、順方向走路Fに沿っての搬送面11、又は、戻り方向走路Rに沿っての搬送面11、又は、両方の走路に沿っての搬送面11)に係合するようにコンベヤシステムSの直線区間(図7)又は湾曲区間(図6)に沿って取り付けられる。かくして、ローラ52は、無端経路に沿って走行するチェーン10を構成する1つ又はそれ以上のリンク12に対応する走路に沿って次々に係合する。従って、車軸に取り付けられた自由回転自在のローラ52によって付与される望ましい低摩擦でもってチェーン10に完全な支持が与えられる。
【0030】
この低摩擦支持の結果として、チェーン10を駆動するための所要電力が低減される。このことは、より大型のモーターを用いるか、第2のモーターを追加する必要なしに、順方向走路Fを相当な長さ(例えば、25ft)延長することができることを意味する。従って、製造コストを削減するばかりでなく(モーターはコンベヤシステムの構成機器のうちで最もコストの高い機器である場合がある)、メンテナンスコストをも削減する。
【0031】
図12を参照して説明すると、各ローラ52は、好ましくは樽形であり、ほぼ円形の中央部分52aと、その両端に連接した、テーパーした、又は切頭円錐形の外側部分52bを有する。ローラ52のこの形状は、チェーン10の対応する表面との円滑な接触を維持するのに有効であり、ローラ52がチェーンを損傷させるのを防止するのにも有効である。各ローラ52は、又、レール50の近接する表面又は保持部材60に係合するための環状の側方突出部52cを有するものとすることができる。好ましくは、この環状突出部52cは、側方移動の結果としてローラ52とレール50又は保持部材60との間に起こりうる接触する度合を最少限にするために十分に薄くすることが好ましい。ローラ52は、その有効寿命を最大限にするために、アセタール又はナイロン6−6などの安価な耐久性材料で形成することが好ましい。
【0032】
再び図7に戻って説明すると、ローラ支持体50は、ベルト又はチェーン10の外側に沿って設けることもできることに留意されたい(図7では、チェーン10には、保持又は案内機能を与えるための特別な側部リンクを設けない状態で示されている)。ローラ52は、長手方向のレールに取り付けるのではなく、コンベヤフレームEの一部を構成する部材に関連させ、それらの部材によって支持されるようにしてもよい。側部支持体50のローラ52は、チェーン10の両側部を望ましい低摩擦態様で支持する。かくして、これらの側部支持体50は、1つ又は複数の中間ローラ支持体と連携して使用することもでき、あるいは、連携せずに使用することもでき、チェーン10に対して望ましい低摩擦支持を与えるという点で得られる利点を更に増大させる働きをする。
【0033】
図示の実施形態では、支持体50は、長手方向即ち搬送面Cに延長するものとして示されているが、横断方向Pに延長する支持体を設け、その支持体に、1つ又は複数のローラをコンベヤチェーンのコネクタロッドと整列する静止車軸を中心として回転するように支持させることも可能である。この構成は、ベルト又はチェーンの対応する表面に不均一な摩耗を生じさせるのを回避するために、横断方向Pに延長する支持体に対するローラ52の横断方向の間隔を変えることができるという点で有利であると考えられる。
【0034】
本発明のいろいろな実施形態の以上の記述は、例示と説明の目的でなされたものであり、本発明をここに開示された形態に限定するためのものではなく、上記の教示に照らしていろいろな変更及び改変が可能である。例えば、ベルト又はチェーン10を構成する1つ又は複数個のリンク12の搬送面11とは反対側の表面を、順方向走路に沿ってローラ52に係合するための平坦な実質的に連続的な表面(上記米国特許第6,364,095号及び6,585,110号に開示されたタイプのチェーンが用いられる場合に、戻り走路に沿ってローラ52に係合する平坦な搬送面11に類似した表面)とすることができる。上述した各実施形態は、本発明の原理の最適な適用例を示すためのものであり、当業者はここに開示された発明をいろいろな実施形態で利用することが可能であり、特定の用途に適合するようにいろいろな改変が可能である。そのような改変及び変更は、本出願の請求項によって決定される発明の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、コンベヤシステム全体の一部略図による側面図である。
【図2】図2は、図1の線2−2に沿ってみた断面図である。
【図3】図3は、コンベヤチェーンの側部リンクに係合するためのガイドレールに付設された摩耗ストリップの一部破除された部分断面図である。
【図4】図4aは、側部リンクの一例の透視図である。 図4bは、側部リンクの断面図である。 図4cは、横断コネクタに係合するための耳片の断面図である。
【図5】図5は、上下両走路のためのローラ支持レールを含むモジュラーリンク式コンベヤシステムの一部断面による端面図である。
【図6】図6は、本発明のコンベヤチェーンの一実施形態の上からみた、一部破除された平面図であり、側方撓曲動作が可能であることを示す。
【図7】図7は、上下両走路のためのローラ支持レールを含む、別の実施形態によるモジュラーリンク式コンベヤシステムの一部断面による端面図である。
【図8】図8は、ローラ支持レールの透視図である。
【図9】図9は、図8のローラ支持レールの側面図である。
【図10】図10は、図8のローラ支持レールの上からみた平面図である。
【図11】図11は、図8のローラ支持レールの拡大端面図である。
【図12】図12は、図8のローラ支持レールに関連させたローラの拡大透視図である。
【図13】図13は、図8のローラ支持レールにおいてローラの車軸として機能するスタブ軸の拡大側面図である。
【図14】図14は、図8のローラ支持レールの車軸にローラを保持するための保持部材の拡大側面図である。
【符号の説明】
【0036】
10 コンベヤチェーン、チェーン、ベルト
11 搬送面
12 側部ガイドリンク、側部リンク、リンク
12a 外側垂下腕
12b 横断耳片
12c 足部分
12d スロット
12e 先端部
12f 受容部
13 中間リンク
13c 足部分
14 横断方向コネクタ
14a くびれ又はへこみ部分
17 錠止素子、耳片
17a 凹部
50 レール、ローラレール
50 ローラ支持体、側部支持体、支持体
52 ローラ
52a 中央部分
52b 外側部分
52c 側方突出部、環状突出部
54 レール
56 車軸、スタブ車軸
60 保持部材
C 搬送方向
D ローラの直径
E コンベヤフレーム、コンベヤ支持フレーム
F 順方向走路
,G ガイドレール
H 寸法
K スプロケット
L 心間距離、直線距離
M モーター
P 横断方向
,R リンク列
S コンベヤシステム
W 摩耗ストリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1個以上の物品を順方向走路と戻り走路を有する無端経路に沿って少くとも搬送方向に移送するのに用いるためのコンベヤシステムであって、
搬送方向に対して横断方向に離隔した両側縁を有し、両側縁の中間に表面を有する少くとも1つのリンクを備えた無端チェーンと、
該チェーンの前記両側縁の間に配置されており、前記リンクの前記表面に係合するためのローラを回転自在に支持する、横断方向に延長した車軸を備えたチェーン支持体とから成り、該ローラが、前記両側縁の中間において前記チェーンに対する強化された、かつ、低摩擦の支持を提供することを特徴とするコンベヤシステム。
【請求項2】
前記チェーン支持体は、前記搬送方向に延長したレールと、複数の隔置された車軸と、該各車軸に担持されており、前記チェーンが搬送方向に走行する間前記リンクの前記表面に係合するためのローラから成る請求項1に記載のコンベヤシステム。
【請求項3】
前記各車軸は、前記レールから外方へ突出したスタブ軸から成り、該スタブ軸は、その一端に対応する前記ローラを保持するための保持部材を有する請求項2に記載のコンベヤシステム。
【請求項4】
前記車軸は、それらの対応する前記ローラの直径の2倍未満の距離だけ前記搬送方向に互いに離隔されている請求項2に記載のコンベヤシステム。
【請求項5】
前記ローラに係合するための前記リンクの表面は、前記チェーンの搬送面の反対側の表面である請求項1に記載のコンベヤシステム。
【請求項6】
前記ローラに係合するための前記リンクの表面は、前記チェーンの搬送面であり、前記チェーン支持体は、チェーンの戻り走路に沿って配置されている請求項1に記載のコンベヤシステム。
【請求項7】
前記チェーンは、それぞれ搬送方向に延長した両側側部ガイドレールに係合するための、横断方向に隔置された両側側部ガイドリンクを含む請求項1に記載のコンベヤシステム。
【請求項8】
前記各側部ガイドレールは、前記チェーン支持体を担持している請求項7に記載のコンベヤシステム。
【請求項9】
前記各側部ガイドリンクは、側部ガイドレールの対応する1つに係合するための横断方向の耳片を有する請求項7に記載のコンベヤシステム。
【請求項10】
前記各側部ガイドレールは、前記チェーンの側縁に沿って低摩擦の支持を与えるための少くとも1つのローラを含む請求項7に記載のコンベヤシステム。
【請求項11】
1個以上の物品を順方向走路と戻り走路を有する無端経路に沿って少くとも搬送方向に移送するのに用いるためのコンベヤシステムであって、
搬送方向に対して横断方向に延長したコネクタによって相互に連結された側部リンクと中間リンクを含む複数列のモジュラーリンクによって形成された、両側縁を有する無端チェーンと、
該無端チェーンが無端経路に沿って走行する間少くとも1つの中間リンクの表面に係合するためのローラを回転自在に支持するための横断方向に延長した車軸を含むチェーン支持体とから成り、該ローラが該チェーンの垂れ下がり防止を助成するために前記両側縁の間で前記チェーンに対して強化された低摩擦の支持を与えることを特徴とするコンベヤシステム。
【請求項12】
前記少くとも1つの中間リンクの表面は、前記搬送面の反対側の表面である請求項11に記載のコンベヤシステム。
【請求項13】
前記少くとも1つの中間リンクの表面は、前記チェーンの戻り走路の搬送面である請求項11に記載のコンベヤシステム。
【請求項14】
前記チェーン支持体は、搬送方向に延長したガイドレールから成る請求項11に記載のコンベヤシステム。
【請求項15】
前記ガイドレールは、前記チェーンがその無端経路に沿って走行する間前記中間リンクの表面に係合することによって該チェーンに対して低摩擦の支持を与えるための複数の密な間隔に隔置されたローラを担持している請求項14に記載のコンベヤシステム。
【請求項16】
前記チェーンは、前記横断方向に互いに離隔して配置され、前記搬送方向に延長したそれぞれ対応する側部ガイドレールに係合するための側部ガイドリンクを含む請求項11に記載のコンベヤシステム。
【請求項17】
前記側部ガイドレールは、前記チェーンを担持する請求項16に記載のコンベヤシステム。
【請求項18】
前記各側部ガイドリンクは、垂下腕と、横断方向内方に延長した耳片を有する請求項16に記載のコンベヤシステム。
【請求項19】
前記各側部ガイドレールは、前記チェーンの側縁に沿って低摩擦の支持を与えるための少くとも1つのローラを含む請求項16に記載のコンベヤシステム。
【請求項20】
少くとも1つのリンクを含み、搬送方向に走行するモジュラーコンベヤチェーンのための支持構成体であって、
前記チェーンに係合し、直接的な低摩擦支持を与えるために前記搬送方向に隔置された複数のローラを含む、長手方向に延長したレールから成り、
前記ローラ間の搬送方向の間隔を前記リンクの搬送方向の寸法より短くしたことを特徴とする支持構成体。
【請求項21】
少くとも1つのリンクを含み、搬送方向に走行するモジュラーコンベヤチェーンのための支持構成体であって、
前記チェーンに係合し、直接的な低摩擦支持を与えるために前記搬送方向に隔置された複数のローラを含む、長手方向に延長したレールから成り、
前記複数のローラは、少くとも1つのリンクに同時に接触することを特徴とする支持構成体。
【請求項22】
モジュラーコンベヤチェーンのための支持構成体であって、
前記チェーンを少くとも支持するための隔置された第1側部部材と第2側部部材を含む支持フレームと、
隔置されたレールの間に配置された中間支持レールとから成り、該中間支持レールは、前記チェーンに係合するための少くとも1つのローラを担持する少くとも1つの車軸を支持していることを特徴とする支持構成体。
【請求項23】
前記中間支持レールは、前記搬送方向に離隔された複数の車軸を担持し、各車軸は、各々前記チェーンに係合するための1つのローラを担持している請求項22に記載の支持構成体。
【請求項24】
前記側部部材は、前記コンベヤチェーンに係合するための摩耗ストリップを有する請求項22に記載の支持構成体。
【請求項25】
前記側部部材は、前記チェーンに係合するためのローラを含む請求項22に記載の支持構成体。
【請求項26】
前記各車軸は、スタブ車軸であり、対応するローラを保持するための保持部材を有する請求項22に記載の支持構成体。
【請求項27】
前記中間支持レールは、前記両側部部材によって担持されている請求項22に記載の支持構成体。
【請求項28】
側縁を有するモジュラーコンベヤチェーンのための支持構成体を製造する方法であって、
前記チェーンに係合するための少くとも1つのローラを支持する車軸を備えた、長手方向に延長するレールを該チェーンの両側縁の間に配置することを特徴とする方法。
【請求項29】
コンベヤシステムを製造する方法であって、
複数のモジュラーリンクに横断方向のコネクタを挿通することによって1列のリンク列を形成する工程を含む、モジュラーリンク式無端コンベヤチェーンを形成する工程と、
該無端チェーンに係合するためのローラを支持する車軸を備えた、長手方向に延長するレールを該無端チェーンの両側縁の間に配置することによって該無端チェーンを支持する工程とから成ることを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項22のコンベヤシステムを使用して物品を搬送する物品搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2008−536773(P2008−536773A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−554293(P2007−554293)
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【国際出願番号】PCT/US2006/004099
【国際公開番号】WO2006/084231
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(500240553)スパン テック エルエルシー (6)
【住所又は居所原語表記】1115 CLEVELAND AVENUE P.O.BOX 369 GLASGOW,KENTUCKY 42142 USA
【Fターム(参考)】