説明

モジュール冷却構造

【課題】小型化かつ軽量化する。
【解決手段】モジュール冷却構造1は、冷媒入口12に連通するケース内流入路13と、冷媒出口16に連通するケース内流出路15と、ケース内流入路13の冷媒を分配しケース内流出路15に誘導してケース内に設けられたモジュール11を冷却するフィン14と、冷媒流量を規制するオリフィス17とを備えたモジュールケース10と、複数のモジュールケース10を並列に固定し、各モジュールケース10のケース内流出路15から冷却後の冷媒を流出させるファンを備えた筺体とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばアンテナ装置において、送受信を行う複数のモジュールを冷却するモジュール冷却構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数のモジュールを用いるアンテナ装置としてAPAA(Active Phased Array Antenna)があり、その筺体には、複数並列に実装されたモジュールに対し冷媒を分配するよう誘導する流路が形成されている。
一方、特許文献1によれば、モジュール冷却構造において、モジュールを格納したモジュールケース内の空気を入口から出口に誘導するよう配置されたフィンを有するモジュールケースの構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2009−512218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のモジュール冷却構造は、複数のモジュールに対して均等に冷却するための流路を複雑な構成品として筺体に設ける必要があるため、筺体が大きくなり、小型化することが難しいという課題があった。また、このような筺体に形成された流路の構成は複雑であり、部品点数の増加につながり軽量化が難しいという課題があった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、小型化かつ軽量化したモジュール冷却構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るモジュール冷却構造は、冷媒入口に連通するケース内流入路と、冷媒出口に連通するケース内流出路と、ケース内流入路の冷媒を分配しケース内流出路に誘導してケース内に設けられたモジュールを冷却するフィンと、冷媒流量を規制するオリフィスとを備えたモジュールケースと、複数のモジュールケースを並列に固定し、各モジュールケースのケース内流出路から冷却後の冷媒を流出させるファンを備えた筺体とを備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係るモジュール冷却構造によれば、上記のようなケース内流入路、ケース内流出路、フィン、オリフィスを備えたモジュールケースを有することにより、複数のモジュールケース間の冷媒流量を均等にし、モジュールケース内流入路からの冷媒をフィンに分配するよう誘導し、フィンを通った冷媒をケース内流出路で集合させて流出することができる。その結果、筺体に複雑な流路を設ける必要がなく、モジュール冷却構造を小型化かつ軽量化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1に係るモジュール冷却構造を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るモジュール冷却構造におけるモジュールケースの構成を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態2に係るモジュール冷却構造におけるモジュールケースの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、モジュール冷却構造1の内部を透過させるとともに一部を切り欠いて内部構成を示しており、図2はモジュール冷却構造1のモジュールケース10の構成を示している。モジュール冷却構造1は、図1に示すように、複数並列に配置されたモジュールケース10が筺体2内に固定されて構成されており、例えば空冷APAAに用いられる構造である。
筺体2は、内部に複数のモジュールケース10を並列に固定し、上面に各モジュールケース10からモジュール11冷却後の冷媒を流出させるファン3を備えている。
【0010】
モジュールケース10は、図2に示すように、ケース内に設けた複数のモジュール11、冷媒入口12、ケース内流入路13、フィン14(第1のフィン)、ケース内流出路15、冷媒出口16、オリフィス17で構成されている。
モジュール11は、例えばAPAAとしての機能を実行するアンテナモジュールであり、動作中に発熱部位を有するものである。
【0011】
冷媒入口12は、モジュールケース10内に流入する冷媒の入口であり、例えばモジュールケース10の下部に形成されている。
ケース内流入路13は、冷媒入口12に連通しており、冷媒入口12から流入した冷媒をモジュールケース10の内部まで誘導する。
フィン14は、ケース内流入路13とケース内流出路15間に複数平行に配列された平板形状を形成しており、ケース内流入路13に流入した冷媒を分配しケース内流出路15へ誘導するよう機能する。また、フィン14は、熱伝導率の高い材料で構成され、モジュール11の熱を冷媒に伝達することで、モジュールケース10内部に設けられた複数のモジュール11を冷却するよう機能する。
ケース内流出路15は、冷媒出口16に連通しており、フィン14からの冷媒を集合させ冷媒出口16に流出させる。
冷媒出口16は、モジュールケース10内でモジュール11の冷却に用いられた冷媒をケース外へ流出する冷媒の出口であり、例えばモジュールケース10の上部に形成されている。
オリフィス17は、冷媒流路の断面積を縮小して冷媒流量を規制することによりモジュールケース10内の冷媒流量を均等にするよう機能し、例えば冷媒出口16に形成される。なお、図2において、オリフィス17は、冷媒出口16に設けられているものとして説明しているが、モジュールケース10内の冷媒流量を均等にできるよう冷媒流量を規制する位置に配置されるものであればよい。
【0012】
ここで、実施の形態1に係るモジュール冷却構造1を用いた冷媒の流れを図1,2により説明する。図1,2の矢印はそれぞれ冷媒の流れを示している。
筺体2のファン3は、図示しない電源から電力が供給されると羽根を回転させ、筺体2内の冷媒を強制的に外部に排出することで筺体2の下部から冷媒を吸入する。筺体2の下部から吸入された冷媒は、各モジュールケース10の冷媒入口12から流入し、ケース内流入路13によりモジュールケース10内部に誘導される。モジュールケース10内部に誘導された冷媒は、モジュール11からの熱が伝わったフィン14に沿って分配され、それぞれフィン14の温度を下げながら通過し、ケース内流出路15へ誘導され集合する。ケース内流出路15に集合した冷媒は、オリフィス17を通って冷媒出口16からモジュールケース10の外へ流出する。このとき、オリフィス17は、冷媒流路の断面積を縮小させることで冷媒流量を規制し、各モジュールケース10から流出する冷媒流量を均一にする。各モジュールケース10から流出したモジュール冷却後の冷媒は、ファン3から筺体2の外部へ排出される。
【0013】
以上のように、実施の形態1のモジュール冷却構造1は、ケース内流入路13、フィン14、ケース内流出路15、オリフィス17を備えたモジュールケース10と、モジュールケース10を並列に固定し、ファン3を備えた筺体2で構成したことにより、各モジュールケース10内の冷媒流量を均一にすることができる。その結果、筺体2に複雑な流路を設ける必要がなく、筐体2の奥行寸法をモジュールケース10の奥行寸法と同等にしてモジュール冷却構造1を小型化することができるという効果が得られる。また、複雑な流路を設ける必要がないので、部品点数が増加せず、モジュール冷却構造1を軽量化することができるという効果が得られる。
【0014】
実施の形態2.
実施の形態1においては、フィン14が冷却されることによりモジュール11を冷却する構成について説明した。実施の形態2は、冷却能力を向上させる構成について説明する。実施の形態2に係るモジュール冷却構造は、モジュールケース20以外の構成が実施の形態1のモジュール冷却構造1と同様であるため説明を省略する。ただし、実施の形態2においては、実施の形態1と区別するため、モジュール冷却構造1´として説明する。
【0015】
図3は、実施の形態2に係るモジュール冷却構造1´のモジュールケース20の構成を示している。図3において、実施の形態1と同様の構成については図2と同一の符号を付して説明する。
モジュール冷却構造1´のモジュールケース20は、図3に示すように、ケース内に設けた複数のモジュール11、冷媒入口12、ケース内流入路13、フィン14(第1のフィン)、ケース内流出路15、冷媒出口16、オリフィス17、フィン28(第2のフィン)、フィン29(第3のフィン)で構成されている。なお、フィン28、フィン29以外の構成は、実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
【0016】
フィン28はケース内流入路13に所定の間隔離されて配置され、フィン29はケース内流出路15に所定の間隔離されて配置されている。フィン28とフィン29は、冷媒の流れに対して指向性を持たない形状に形成されており、例えば円柱形状に形成されている。また、フィン28とフィン29は、熱伝導率の高い材料で構成され、モジュール11の熱を冷媒に伝達することで、モジュールケース20内部に設けられた複数のモジュール11を冷却するよう機能する。
【0017】
ここで、実施の形態2に係るモジュール冷却構造1´を用いた冷媒の流れの特徴について説明する。
実施の形態2に係るモジュール冷却構造1´を用いた冷媒の流れにおいて、筺体2の下部から吸入された冷媒は、各モジュールケース20の冷媒入口12から流入し、ケース内流入路13によりモジュールケース20内部に誘導され、モジュール11からの熱が伝わったフィン28の温度を下げながら通過する。このとき、フィン28が冷媒の流れに対して指向性を持たない形状であるため、冷媒流れには影響を与えない。
モジュールケース20内部でフィン28を通過した冷媒は、モジュール11からの熱が伝わったフィン14に沿って分配され、それぞれフィン14の温度を下げながら通過し、ケース内流出路15へ誘導される。ケース内流出路15へ誘導された冷媒は、モジュール11からの熱が伝わったフィン29の温度を下げながら通過する。このとき、フィン29が冷媒の流れに対して指向性を持たない形状であるため、冷媒流れには影響を与えない。
【0018】
以上のように、実施の形態2のモジュール冷却構造1´は、実施の形態1の効果に加え、フィン28とフィン29を有するモジュールケース20を備えるよう構成したことにより、モジュールケース20内部の冷媒流れに影響を与えることなくケース内流入路13およびケース内流出路15における冷媒によりモジュール11を冷却することができる。その結果、モジュール11に対する冷却能力を向上させることができるという効果が得られる。
【0019】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0020】
1,1´ モジュール冷却構造、2 筺体、3 ファン、10,20 モジュールケース、11 モジュール、12 冷媒入口、13 ケース内流入路、14 フィン(第1のフィン)、15 ケース内流出路、16 冷媒出口、17 オリフィス、28 フィン(第2のフィン)、29 フィン(第3のフィン)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒入口に連通するケース内流入路と、冷媒出口に連通するケース内流出路と、前記ケース内流入路の冷媒を分配し前記ケース内流出路に誘導してケース内に設けられたモジュールを冷却するフィンと、冷媒流量を規制するオリフィスとを備えたモジュールケースと、
前記モジュールケースを複数並列に固定し、前記モジュールケースのケース内流出路から冷却後の冷媒を流出させるファンを備えた筺体と
を有するモジュール冷却構造。
【請求項2】
モジュールケースは、ケース内流入路とケース内流出路とに冷媒の流れに指向性を持たないフィンを備えたことを特徴とする請求項1記載のモジュール冷却構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−174779(P2012−174779A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33293(P2011−33293)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】