説明

モジュール実装システム及びモジュール実装方法

【課題】モジュールを基板に実装する前に実装ミスの発生の有無を検出することができると共に、アプリケーション情報の設定を自動で行うことができるようにする。
【解決手段】CPU装置(モジュール)2がバックボード(基板)3に実装されるモジュール実装システム1において、バックボード3は、CPU装置2を実装すべきスロットS0〜S7を有して、これらスロットに実装されるCPU装置を特定する固有のバックボードID8が付与されたICタグ7と、CPU装置2は、ICタグ7から非接触状態でバックボードID8を無線通信により読み取るICリーダ10を備え、CPU装置2をバックボード3に実装する前に、CPU装置2のICリーダ10によりバックボード3のICタグ7から非接触状態でバックボードID10を無線通信により読み取り、この読取結果に基づいて、CPU装置2が実装ミスとなるか否かを判定する実装位置判定部11とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、モジュール実装システム及びモジュール実装方法に係り、詳しくは、計測端末装置等の組立に用いられるCPU装置(Central Processing Unit中央処理装置)のようなモジュールを基板に実装する際に、実装ミスを防止するモジュール実装システム及びモジュール実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、監視制御システムに使用される計測端末装置は、制御機能、メモリ機能等を有するモジュールの一種であるCPU装置が、バックボード(基板)に実装されて組み立てられるようになっている。同計測制御装置101の概略構成は、図9の正面図に示すように、縦方向に複数段設けられたケージ1・102A〜ケージ4・102Dの各々が、横方向に複数のスロット1・103A〜スロット16・103Xにより区切られて構成された筐体状のバックボード104に、複数のCPU装置105が対応する各ケージ1〜4及び各スロット1〜16に装着されて実装されるように構成されている。監視制御システムあるいは計測制御装置の規模が大きくなると、バックボード104に実装されるCPU装置105の数は必然的に増加するようになる。
【0003】
このような計測制御装置において、CPU装置がバックボードの予め定められた対応したケージ及びスロットの位置である実装位置に見合った位置に正確に実装されたか否かは、全てのCPU装置の実装が終了してから、計測制御装置を動作させてはじめて判明する。これは全CPU装置とバックボードとを接触させて電気的に接続しないと、計測制御装置を動作させられないからである。また、CPU装置が正確に実装位置に実装されていないために実装ミスが発生すると、同一バックボードに実装されている多くのCPU装置にも悪影響を与えることになる。
【0004】
また、実装位置に見合ったアプリケーション情報を設定するには、実装位置に見合ったCPU装置のSG(System Generation)情報(IPアドレスや局番号等)の設定が必要となるが、実装位置から自動で設定される方法がないので、作業員が実装位置の目視確認によりすべて手動で行っている。このためアプリケーション情報の設定効率が悪くなるだけでなく、ヒューマンエラーも発生し易くなっている。前述したように、監視制御システムあるいは計測制御装置の規模が大きくなると、実装位置の種類が多く(スロット数が多く)なってくるので、CPU装置のバックボードへの実装ミスやアプリケーション情報の設定ミスが発生し易やすくなり、これらのミスはCPU装置の実装が終了した時点でしかわからない。特に、計測制御装置等の実運用現場での装置交換はミスが許されない状況が多いので、ヒューマンエラーを自動排除する仕組みが望まれている。
【0005】
複写機においてスキャン・プリント等の機能を実現する際に、複数のスロットを持つメイン基板にサブ基板を実装する場合の実装ミスを防止するために、サブ基板に認識用ID(Identification)を設けておく考えがある(特許文献1)。また、情報処理装置等においてパッケージを基板に実装する際の実装ミスを防止するために、パッケージに認識用IDを設けておく考えもある(特許文献2、特許文献3)。
【0006】
しかしながら、特許文献1〜特許文献3のいずれにおいても、実装するサブ基板あるいはパッケージ等のモジュールに設けたIDを利用して実装ミスを防止しているが、これらの考えは全て基板にモジュールの実装が終了した後に実装ミスの発生の有無を検出するものである。したがって、前述したように、同一基板に接続されている多くのモジュールに悪影響を与えることが避けられなくなる。
【0007】
また、SPD(Serial Presence Detect)という規格に従って情報をシリアル通信する半導体メモリ(モジュール)をマザーボード(基板)に実装する際に、モジュールのコネクタ端子にシリアルクロック端子や、シリアルデータ端子等の複数の端子を設けることにより生ずるモジュール端子の利用効率の低下を防止するために、モジュールにこのモジュールに関する情報を無線送信するICタグを設けると共に、マザーボードには上記ICタグからの無線信号を受信するリーダを設けるように構成したモジュール実装システムが考えられている(特許文献4)。そして、このシステムではモジュールに関する情報をマザーボードへ無線送信することによりモジュールの動作を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005―332938号公報
【特許文献2】特開平04−223580号公報
【特許文献3】特開平08−153998号公報
【特許文献4】特開2008―251768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、特許文献4に開示されている従来のモジュール実装システムでは、モジュールに関する情報をモジュールからマザーボードに無線送信することで、モジュール端子の利用効率を向上するという目的を達成できるものの、モジュールを基板に実装する際に発生し易い実装ミスを防止することに関しては考慮されていない。
また、特許文献4のモジュール実装システムでは、モジュールとマザーボード間の情報の伝達を非接触で行うという考えが示されているだけで、モジュール実装時の実装位置に見合ったアプリケーション情報を手動で設定する際に発生し易い課題に関しても考慮されていない。
【0010】
この発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、モジュールを基板に実装する前に実装ミスの発生の有無を検出することができると共に、アプリケーション情報の設定を自動で行うことができるようにしたモジュール実装システム及びモジュール実装方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の構成は,所定の動作を行う機能を有するモジュールが基板に実装されるモジュール実装システムに係り、前記基板は、前記モジュールを実装すべきスロットを有して、該スロットに実装される前記モジュールを特定する固有のID情報が付与された無線通信手段を備え、前記モジュールは、前記無線通信手段から非接触状態で前記ID情報を無線通信により読み取るID読取手段と、前記モジュールが前記基板に実装される前に、前記モジュールの前記ID読取手段により前記基板の前記無線通信手段から非接触状態で前記ID情報を無線通信で読み取り、この読取結果に基づいて、前記モジュールが実装ミスとなるか否かを判定する実装位置判定部とを備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
この発明のモジュール実装システムによれば、実装されるモジュールを特定する固有のID情報が付与された無線通信手段を基板に備え、モジュールを基板に実装する前に、モジュールのID読取手段により基板の無線通信手段から非接触状態でID情報を無線通信により読み取り、この読取結果に基づいて、モジュールが実装ミスとなるか否かを判定するので、モジュールを基板に実装する前に実装ミスの発生の有無を検出することができる。また、モジュールは、予め所定の動作を行うアプリケーション情報が保存されたアプリケーション部を備えるので、アプリケーション設定を自動で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の第1の実施形態であるモジュール実装システムにおけるモジュール実装前の概略構成を示す構成図である。
【図2】同モジュール実装システムにおけるモジュール実装後の概略構成を示す構成図である。
【図3】同モジュール実装システムにおけるモジュール実装前の具体例を示す斜視図である。
【図4】同モジュール実装システムにおけるモジュール実装後の具体例を示す斜視図である。
【図5】同モジュール実装システムに用いられる基板の具体例を示す斜視図である。
【図6】同モジュール実装システムを用いたモジュール実装方法を示すフローチャートである。
【図7】同モジュール実装方法により基板の特定のスロットにモジュールを実装した例を示す説明図である。
【図8】この発明の第2の実施形態であるモジュール実装システムのモジュール実装前の具体例を示す斜視図である。
【図9】従来のモジュール実装システムの概略構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
CPU装置2(モジュール)がバックボード3(基板)に実装されるモジュール実装システム1において、バックボード3は、CPU装置2を実装すべきスロットS0〜S7を有して、これらスロットに実装されるCPU装置を特定する固有のバックボードID8(ID情報)が付与されたICタグ7(無線通信手段)を備え、CPU装置2は、ICタグ7から非接触状態でバックボードID8を無線通信により読み取るICリーダ10(ID読取手段)と、CPU装置2がバックボード3に実装される前に、CPU装置2のICリーダ10によりバックボード3のICタグ7から非接触状態でバックボードID10を無線通信により読み取り、この読取結果に基づいて、CPU装置2が実装ミスとなるか否かを判定する実装位置判定部11とを備えている。
【実施形態1】
【0015】
図1は、この発明の第1の実施形態であるモジュール実装システムにおけるモジュール実装前の概略構成を示す構成図、図2は、同モジュール実装システムにおけるモジュール実装後の概略構成を示す構成図、図3は、同モジュール実装システムにおけるモジュール実装前の具体例を示す斜視図、図4は、同モジュール実装システムにおけるモジュール実装後の具体例を示す斜視図、図5は、同モジュール実装システムに用いられる基板の具体例を示す斜視図、また、図6は、同モジュール実装システムを用いたモジュール実装方法を示すフローチャートである。なお、この実施形態では、モジュールとしてCPU装置を用いて、このCPU装置がバックボードのスロットに装着される形式のスロット装着型のCPU装置に適用した例で示している。
【0016】
この実施形態のモジュール実装システム1は、図1及び図2に示すように、ICリーダ10、実装位置判定部11、アプリケーション設定部12、アラーム制御部13、実装情報部14、アプリケーション部15、電気的接続用の接合部16を有するCPU装置(モジュール)2と、このCPU装置2が実装されるバックボード(基板)3とを備えている。CPU装置2がバックボード3に実装されると、所定の動作が可能な例えば計測端末装置等が組み立てられる。
【0017】
バックボード3は、図3〜図5に示すように、ケージ4が横方向に複数のスロットS(S0〜S7)により区切られた筐体状に形成されて、各スロットにはCPU装置2が実装可能に構成されている。各スロットSにはCPU装置2の接合部16と電気的に接続される接合部5が設けられると共に、各スロットSには相互を電気的に接続するバス6が設けられて、各スロットSに装着されたCPU装置3間でのデータの受け渡しが可能に構成されている。
【0018】
また、バックボード3のCPU装置2との対向面には、CPU装置3とバックボード3が非接触状態で情報の受け渡しが可能なICタグ(無線通信手段)7がICチップの形で内蔵されている。このICタグ7には予めスロット毎にスロット固有のバックボードID8が割り当てられて(付与されて)記憶されている。例えば、スロットS0にはこのスロットS0固有のバックボードIDが、スロットS1にはこのスロットS1固有のバックボードIDが割り当てられているように、全てのスロットに固有のバックボードIDが割り当てられて記憶されている。したがって、この第1の実施形態では8個のスロット(S0〜S7)に対応した8種類のバックボードIDが割り当てられて、ICタグ7に記憶されていることになる。これらのバックボードID8はID情報として、バックボード3の各スロットに実装されるCPU装置2を特定する役割を担っている。
【0019】
CPU装置2のICリーダ10は、図1に示すように、CPU装置2がバックボード3の各スロットSに実装される手前で、ICタグ7から非接触状態でそのCPU装置2と対応するスロット固有のバックボードIDを読み取って、この読取結果を実装位置判定部11に伝える。実装位置判定部11は実装情報部14に保存されている実装情報を照合して、その読み取られたバックボードIDがCPU装置2を特定するバックボードIDかどうか、すなわち、そのCPU装置2が正確な実装位置に実装されるか否かを判定する。例えば、そのCPU装置2の実装位置がスロットS1であるとすると、実装情報部14にはそのスロットS1固有のバックボードIDがそのCPU装置2を特定する情報として保存されているので、この組み合わせの場合には実装位置判定部11は、そのCPU装置2がスロットS1に実装されても実装ミスにならないと判定する。
【0020】
ここで、ICリーダ10により読み取られたバックボードIDがCPU装置2を特定しないバックボードIDであったときは、実装位置判定部11は実装情報部14を照合して、ミスマッチであるとみなして、そのCPU装置2がスロットS1に実装されると実装ミスになると判定して、アラーム制御部13により警告を発生させる。警告はブザー等を鳴らす聴覚手段や、ライトを点滅させる視覚手段を利用することができる。
【0021】
また、実装位置判定部11は、上述のようにCPU装置2が実装ミスにならないと判定したときには、アプリケーション設定部12及びアプリケーション部15を制御して、アプリケーション情報の自動設定を行う。アプリケーション部15には、予めバックボード3のスロット毎のアプリケーション情報が保存されている。このアプリケーション情報とは、実際に実行形式のファイルやSG情報を示している。すなわち、実装位置判定部11は、ICリーダ10により読み取られたバックボードIDに合致するアプリケーション情報がアプリケーション部15に保存されているか否かを検索する。そして、そのバックボードIDに合致するアプリケーション情報が検索されたときは、実装位置判定部11はアプリケーション設定部12を制御して動作エリアに展開する。
【0022】
ここで、バックボードIDに合致するアプリケーション情報が検索されなかったときは、アプリケーション情報の自動設定は行われないので、実装位置判定部11はアラーム制御部13により、ブザー等を鳴らす聴覚手段や、ライトを点滅させる視覚手段を利用して警告を発生させる。
【0023】
上述のように、CPU装置2のバックボード3への実装前に、実装位置の判定の結果が実装ミスにならないと判定され、またアプリケーション情報の自動設定が行われると、いずれの場合にもアラーム制御部13による警告は発生されないので、CPU装置2はバックボード3のスロットへの実装が行われる。この時点で、バックボード3が電源オン等の活線状態になっていれば、CPU装置3は予めアプリケーション部15に保存されたアプリケーション情報に基づいた正常動作が可能になる。
【0024】
次に、図6のフローチャートを照合して、この第1の実施形態のモジュール実装システムを用いたモジュール実装方法を説明する。
まず、実装すべきCPU装置2をバックボード3のスロットSの手前に配置して、CPU装置2のICリーダ10によりバックボード3のICタグ7から非接触状態でそのCPU装置2と対応するスロット固有のバックボードIDを読み取る(ステップS1)。
【0025】
次に、ICリーダ10はその読取結果を実装位置判定部11に伝え、実装位置判定部11は実装情報部14に保存されている実装情報を照合して、その読み取られたバックボードIDがCPU装置2を特定するバックボードIDか否かを判定する(ステップS2)。実装情報部14にそのスロットS1固有のバックボードIDがそのCPU装置2を特定する情報として保存されているときは、実装位置判定部11は、そのCPU装置2がスロットS1に実装されても実装ミスにならないと判定し、フローはステップS3へ進む。一方、読み取られたバックボードIDがCPU装置2を特定しないバックボードIDであったときは、実装位置判定部11はそのCPU装置2がスロットS1に実装されると実装ミスになると判定して、フローはステップS6に進む。
【0026】
次に、実装位置判定部11はアラーム制御部13によりブザー等を鳴らす聴覚手段や、ライトを点滅させる視覚手段を利用して警告を発生させる(ステップS6)。
【0027】
次に、実装ミスにならないと判定されたときは、実装位置判定部11はアプリケーション設定部12及びアプリケーション部15を制御して、アプリケーション情報の自動設定を行うべく、ICリーダ10により読み取られたバックボードIDに合致するアプリケーション情報をアプリケーション部15から検索する(ステップS3)。
【0028】
次に、実装位置判定部11は、読み取られたバックボードIDに合致するアプリケーション情報をアプリケーション部15から検索すると、フローはステップS5に進む。一方、アプリケーション情報がアプリケーション部15から検索されないと、フローはステップS6に進む(ステップS4)。
【0029】
次に、アプリケーション情報が検索されたときは、CPU装置2をバックボード3のスロットへ実装し、この時点で、バックボード3が電源オン等の活線状態になっている基で、CPU装置3は予めアプリケーション部15に保存されたアプリケーション情報に基づいた正常動作を行う(ステップS5)。
【0030】
図7は、一例としてバックボード3のスロットS0にCPU装置2が実装される場合の例を示し、ステップS3においてスロットS0のアプリケーション情報が検索されて、ステップS4においてCPU装置2の動作エリアにスロットS0のアプリケーションが展開される例を示している。この例の場合、CPU装置2はスロットS0専用の設定となる。
【0031】
このように、第1の実施形態のモジュール実装システム1によれば、実装されるCPU装置2を特定する固有のバックボードID8が付与されたICタグ7をバックボード3に備え、CPU装置2をバックボード3に実装する前に、CPU装置2のIDリーダ10によりバックボード3のICタグ7から非接触状態でバックボードIDを無線通信により読み取り、この読取結果に基づいて、CPU装置2が実装ミスとなるか否かを判定するので、CPU装置2をバックボード3に実装する前に実装ミスの発生の有無を検出することができる。また、CPU装置2は、予め所定の動作を行うアプリケーションが保存されたアプリケーション部15を備えるので、アプリケーション設定を自動で行うことができる。
したがって、モジュールを基板に実装する前に実装ミスの発生の有無を検出することができると共に、アプリケーション情報の設定を自動で行うことができる。これにより、ヒューマンエラーを自動排除でき、また、アプリケーション管理の向上とメンテナンス性の向上を実現することができる。
【実施形態2】
【0032】
図8は、この発明の第2の実施形態であるモジュール実装システムのモジュール実装前の具体例を示す斜視図である。この実施形態のモジュール実装システムの構成が、上述した第1の実施形態のそれと大きく異なるところは、CPU装置をスロット実装型に代えてボックス型のものを用いるようにした点である。
すなわち、この第2の実施形態のモジュール実装システム9で用いるCPU装置22は、第1の実施形態と形状が変わるだけで、基本的構成は第1の実施形態のそれと略同じである。ただし、第2の実施形態においては、CPU装置22はスロットIDをボックスIDとして取得して実装ボックスの判定を行うことで、ボックスへの実装ミス検出と、アプリケーション情報の自動設定を、実動作開始前に行うようになっている。このようにCPU装置の形状を変化させることで、CPU装置を実装する用途にバリエーションを持たせることができるという利点が得られる。なお、この第2の実施形態では説明を簡単にするために1個のCPU装置22のみを示したが、実際には、第1の実施形態と同じような数が用いられる。
【0033】
第1及び第2の実施形態では、バックボードに実装されるCPU装置を特定するID情報をICタグに付与する例で説明したが、ICタグに代えてICカードを用いるようにしてもよい。また、バックボードのスロットの数は8個を設ける例で説明したが、目的、用途等に応じて任意に変更することができる。さらに、バックボードに実装するモジュールとしてはCPU装置に例をあげて説明したが、これに限らずに、各種制御機能、メモリ機能等の所定の動作を行う機能を有するものであれば、同様に適用することができる。
【0034】
以上、この発明の一実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
モジュールを基板に実装して所定の機能を発揮する装置を構成する場合、モジュールが受け取った基板のID情報は、実動作中においても任意の情報としてモジュール内の別のアプリケーション動作等にも適用することができる。例えば、基板のスロット毎に別パラメータを照合するアプリケーション等は動作時にバックボードIDを照合して、スロット毎に異なった値として動作することが可能となる。
【符号の説明】
【0036】
1、9 モジュール実装システム
2、22 CPU装置(モジュール)
3 バックボード(基板)
4 ケージ
5 バックボードの接合部
6 バス
7 ICタグ(無線通信手段)
8 バックボードID(ID情報)
10 ICリーダ(ID読取手段)
11 実装位置判定部
12 アプリケーション設定部
13 アラーム制御部
14 実装情報部
15 アプリケーション部
16 CPU装置の接合部
S(S0〜S7) バックボードのスロット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の動作を行う機能を有するモジュールが基板に実装されるモジュール実装システムであって、
前記基板は、前記モジュールを実装すべきスロットを有して、該スロットに実装される前記モジュールを特定する固有のID情報が付与された無線通信手段を備え、
前記モジュールは、前記無線通信手段から非接触状態で前記ID情報を無線通信により読み取るID読取手段と、
前記モジュールが前記基板に実装される前に、前記モジュールの前記ID読取手段よって前記基板の前記無線通信手段から非接触状態で前記ID情報を無線通信で読み取り、この読取結果に基づいて、前記モジュールが実装ミスとなるか否かを判定する実装位置判定部と、
を備えてなることを特徴とするモジュール実装システム。
【請求項2】
所定の動作を行う機能を有する複数のモジュールが基板に実装されるモジュール実装システムであって、
前記基板は、前記各モジュールを対応付けて実装すべき複数のスロットを有し、かつ、スロット毎に、対応付けて実装すべき前記モジュールを特定する固有のID情報が付与された無線通信手段を備え、
前記各モジュールは、前記無線通信手段から非接触状態で前記ID情報を無線通信により読み取るID読取手段と、
前記各モジュールが前記基板に実装される前に、前記各モジュールの前記ID読取手段により、前記基板の直面する前記無線通信手段から非接触状態で前記ID情報を無線通信で読み取り、この読取結果に基づいて、前記各モジュールが実装ミスとなるか否かを判定する実装位置判定部と、
を備えてなることを特徴とするモジュール実装システム。
【請求項3】
前記モジュールは、予め前記基板のスロット毎に対応した所定の動作を行うアプリケーションが保存されたアプリケーション部を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載のモジュール実装システム。
【請求項4】
前記読取結果が、前記モジュールを特定するID情報であったときは、前記実装位置判定部は、前記モジュールが実装ミスにならないと判定することを特徴とする請求項1又は2記載のモジュール実装システム。
【請求項5】
前記読取結果が、前記モジュールを特定するID情報でなかったときは、前記実装位置判定部は、前記モジュールが実装ミスになると判定することを特徴とする請求項1又は2記載のモジュール実装システム。
【請求項6】
前記モジュールは、アプリケーション設定部をさらに備え、前記モジュールが実装ミスにならないと判定されたときは、前記モジュールが前記基板の前記特定されたスロットに実装された後、前記アプリケーション設定部は、前記アプリケーション部に保存された前記アプリケーションを動作エリアに展開することを特徴とする請求項3記載のモジュール実装システム。
【請求項7】
前記無線通信手段として、ICタグあるいはICカードを用いることを特徴とする請求項1又は2記載のモジュール実装システム。
【請求項8】
所定の動作を行う機能を有するモジュールを基板に実装するモジュール実装方法であって、
前記モジュールを前記基板のスロットの手前に配置して、前記モジュールに設けられているID読取手段によって、前記基板の無線通信手段から非接触状態で前記スロット固有のID情報を読み取る第1のステップと、
前記モジュールに設けられている前記実装位置判定部によって、前記モジュールの実装情報を照合して前記読み取られたID情報が前記モジュールを特定するID情報か否かを判定する第2のステップと、
前記ID情報が前記モジュールを特定するID情報と判定されたときは、前記モジュールが前記スロットに実装されても実装ミスにならないと判定する一方、前記ID情報が前記モジュールを特定するID情報と判定されなかったときは、前記モジュールが前記スロットに実装されると実装ミスになると判定する第3のステップと、
を含むことを特徴とするモジュール実装方法。
【請求項9】
前記第3のステップにおいて、前記ID情報が前記モジュールを特定するID情報と判定されたときは、該ID情報に合致するアプリケーション情報が前記モジュール内に保存されているか否かを判定する第4のステップと、
この判定の結果、前記アプリケーション情報が保存されているときは、前記モジュールを前記前記スロットに実装する第5のステップと、
をさらに含むことを特徴とするモジュール実装方法。
【請求項10】
前記モジュールは、アプリケーション設定部を備え、前記第5のステップにて前記モジュールを前記スロットに実装した後、前記アプリケーション設定部に、前記モジュール内に保存された前記アプリケーションを動作エリアに展開させることを特徴とする請求項9記載のモジュール実装方法。
【請求項11】
前記第2のステップにおいて前記モジュールを特定するID情報と判定されなかったときは、警告を発生させることを特徴とする請求項8記載のモジュール実装方法。
【請求項12】
前記第4のステップにおいて前記アプリケーション情報が保存されていないときは、警告を発生させることを特徴とする請求項9記載のモジュール実装方法。
【請求項13】
前記無線通信手段として、ICタグあるいはICカードを用いることを特徴とする請求項8記載のモジュール実装システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−199444(P2010−199444A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−44914(P2009−44914)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】