説明

モンテルカストおよびそのアミン塩類の精製方法

モンテルカスト酸またはその溶媒和物、任意のその立体異性体または混合物などを、適切な溶媒の存在下でトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、L-(+)トレオ-2-アミノ-1-フェニル-1,3-プロパンジオール、およびL-(+)-α-フェニルグリシノール塩からなる群から選択されるアミン塩に転換することを含む、モンテルカスト、またはその塩類またはその溶媒和物、任意のその立体異性体または混合物などの精製方法を包含する。また、モンテルカストの新規の塩類、特にモンテルカストの以下の塩類:トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩、L-(+)トレオ-2-アミノ-1-フェニル-1,3-プロパンジオール塩、およびL-(+)-α-フェニルグリシノール塩類も包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はモンテルカストの精製方法に関する。また、前記精製方法に有用なモンテルカストの新規な塩類にも関する。
【背景技術】
【0002】
モンテルカストは、1-[[[(1R)-1-[3-[(1E)-2(7-クロロ-2-キノリニル)エテニル]フェニル]-3-[2-(1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)フェニル]プロピル]スルファニル]メチル]シクロプロパン酢酸、およびCAS No. 158966-92-8の国際一般名(INN)である。モンテルカストナトリウム塩(CAS No 151767-02-1)は、喘息、炎症、アンギナ、脳痙攣、糸球体腎炎、肝炎、内毒血症、ブドウ膜炎、および同種移植の拒絶反応の治療において、現在使われる。
【0003】
モンテルカストナトリウム塩の構造は、式(I)に対応する:

モンテルカストおよびその塩類の調製のための異なる合成ストラテジーが知られている。例えば、EP480717は、モンテルカストナトリウム塩を含むある置換されたキノロン化合物、それらの調製方法、およびこれらの化合物を使用する医薬組成物を開示する。モンテルカストナトリウム塩のいくつかの調製過程は、この文書において報告されている。実施例161は、モンテルカストナトリウム塩の調製に関する。この実施例によれば、モンテルカストナトリウム塩の調製は、その対応するメチルエステルで進行し、その調製は、インシチュで生じる、保護されたメシレート(2-(2-(2-(3(S)-(3-(2-(7-クロロ-2-キノリニル)-エテニル)フェニル)-3-(メタンスルホニルオキシ)プロピル)フェニル)-2-プロポキシ)テトラヒドロピランとメチル-1-(メルカプトメチル)-シクロプロパン酢酸の、水素化ナトリウムまたは炭酸セシウム補助結合を含む。このようにして得られたメチルエステルは、次に直接ナトリウム塩に変換されるモンテルカスト酸に加水分解される。この方法は、メチルエステル中間体および/または最終生成物の面倒なクロマトグラフィー精製を必要とし、中間体および最終生成物の収率は低いので、特に大規模な製造に適していない。モンテルカストおよびその塩類の調製の他の方法は記載されている(参照、例えばWO04/108679、US2005/107612、WO05/105751、WO05/105749、WO05/105750、CN1428335、およびCN1420113)。
【0004】
通常、モンテルカストおよびその薬学的に許容可能な塩類は、競合する副反応によるいくつかの副産物の形成を起こす複雑な合成手順によって得られる。これらの方法は、モンテルカストおよびその中間体を単離するために、面倒な精密検査を必要とし、その結果過剰な時間サイクルをもたらし、そのため、方法はより費用のかかる、よりエコフレンドリーでないものとなる。モンテルカストおよびその前駆体は、速い低下を引き起こす酸素と光に不安定であるため、モンテルカストの精製が面倒で複雑であることは知られており、純度の高いモンテルカストの獲得が難しい。上記の理由のために、モンテルカストは、通常、化学および光学純度の低いものが得られる。
【0005】
いくつかのモンテルカストの精製方法は、当技術分野で記載されており、それらはその塩類の形成に基づく。したがって、EP737186はモンテルカストまたはその塩類の調製方法に関し、モンテルカストを得るために、1-(メルカプトメチル)-シクロプロパン酢酸のジリチウムジアニオンを、対応するメシレートアルコール((2-(2-(2-(3(S)-(3-(2-(7-クロロ-2-キノリニル)-エテニル)フェニル)-3-(メタンスルホニルオキシ)-プロピル)フェニル)-2-プロパノール)に反応させることを含む。粗酸は、そのジシクロヘキシルアミン塩の形成により精製される。使用する溶媒によって、塩類の2の結晶形を得ることができ、そのためシーディングは、結晶化の間、非常に重要な役割を果たす。また、特許出願US2005/234241は、有機モンテルカスト塩基塩類の形成により発生するモンテルカストの調製方法を記載する。特に、実施例2は、モンテルカストのtert-ブチルアミン塩の形成を記載する。また、特許出願WO06/008751も、いくつかの有機モンテルカスト塩基塩類の形成を介した、モンテルカストの調製方法、およびその精製方法を記載する。
【0006】
WO05/074935によれば、モンテルカストナトリウムは、モンテルカスト遊離酸を固体として得て、モンテルカスト遊離酸をモンテルカストナトリウムに変換することによって、精製することができる。
【0007】
したがって、当該分野で知られている事実から、高収率且つ高い光学純度を実現するモンテルカストおよびその医薬的に許容可能な塩類の精製方法の提供は、これらの化合物の工業生産にとって興味深いものであることがわかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】EP480717
【特許文献2】WO04/108679
【特許文献3】US2005/107612
【特許文献4】WO05/105751
【特許文献5】WO05/105749
【特許文献6】WO05/105750
【特許文献7】CN1428335
【特許文献8】CN1420113
【特許文献9】EP737186
【特許文献10】US2005/234241
【特許文献11】WO06/008751
【特許文献12】WO05/074935
【発明の概要】
【0009】
本発明者らは、光学純度および収率の高いモンテルカストが、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、L-(+)トレオ-2-アミノ-1-フェニル-1,3-プロパンジオール、およびL-(+)-α-フェニルグリシノール塩から選択されるモンテルカストのアミン塩への転換により得られることを発見した。これらのアミン塩は、キラルアミン類であり、およびアミノ部分がヒドロキシル置換エチレン基を含む少なくとも一の置換基で置換されている点で共通している。モンテルカストの他の周知の塩類、特にモンテルカストのジシクロヘキシルアミンまたはtert-ブチルアミン塩と比較して、本発明の塩類は、より光学純度の高いモンテルカストを調製することができる。その純度は、出発物質として光学純度の低い粗モンテルカストが用いられるこれらの場合では驚くほど高い。簡単で費用効果的な容易に産業化可能な方法でモンテルカストを得ることができる。また、化学純度の高いモンテルカストを調製することができる。
【0010】
よって、本発明の第一態様によると、モンテルカスト酸またはその溶媒和物、その立体異性体または混合物などを、適切な溶媒の存在下でトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、L-(+)トレオ-2-アミノ-1-フェニル-1,3-プロパンジオール、およびL-(+)-α-フェニルグリシノール塩類から選択されるアミン塩に転換することを含む、モンテルカスト、またはその医薬的に許容可能な塩類、またはその溶媒和物、その立体異性体または混合物などの精製方法が提供される。
【0011】
本発明はまた、特定の範囲のpHおよび温度で、有機溶媒および水の混合物においてモンテルカストまたはその不純物の一連の特定の選択的抽出を行うことを含む事前精製工程をさらに含む、精製方法に関する。これにより、化学純度の高いモンテルカストを得ることができる。
【0012】
本発明のまた別の態様は、モンテルカスト酸またはその医薬的に許容可能な塩類を調製するための本発明のモンテルカストのアミン塩類の使用である。
【0013】
最後に、モンテルカストの新規の塩類、特にモンテルカストの以下の塩類:トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩、L-(+)トレオ-2-アミノ-1-フェニル-1,3-プロパンジオール塩、およびL-(+)-α-フェニルグリシノール塩、そのメタノール、エタノールまたは2-プロパノール溶媒和物などの提供もまた本発明の一部である。
【0014】
また、モンテルカストのシクロヘキシルアミン塩の形成を介して化学および光学純度について良好な結果が得られ、したがって、その形成によるモンテルカストの精製、および副産物としてのモンテルカストのシクロヘキシルアミン塩それ自体もまた、本発明の一部である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上述したように、本発明の精製方法は、以下のもの:トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、L-(+)トレオ-2-アミノ-1-フェニル-1,3-プロパンジオール、およびL-(+)-α-フェニルグリシノール塩から選択されるモンテルカストのアミン塩の形成により発生する。最後のものは、異なる溶媒和形態で存在することがわかっている。よって、モンテルカストのL-(+)-α-フェニルグリシノール塩のメタノール、エタノール、および2-プロパノール溶媒和物もまた本発明の一部である。モンテルカストのこれらの塩類は、図1−5に示したX線ディフラクトグラムを生じる。X線ディフラクトグラムは、Cu−Kα1放射線(λ=1.5406Å)および出力45kV−40mAでPANalytical X’Pert PRO回折計を用いて記録された。
【0016】
モンテルカスト精製の最良の結果は、L-(+)トレオ-2-アミノ-1-フェニル-1,3-プロパンジオールまたはL-(+)-α-フェニルグリシノールでアミン塩類を調製する場合に得られる。よって、好適な実施態様では、アミン塩はL-(+)トレオ-2-アミノ-1-フェニル-1,3-プロパンジオールであり、また別の好適な実施態様では、アミン塩はL-(+)-α-フェニルグリシノール塩である。より好適な実施態様において、塩はL-(+)-α-フェニルグリシノール塩のエタノール溶媒和物である。用いられるアミン類はキラルアミン類であるが、これらのアミン類はキラル生成物として高価でないため、これらの使用により、当該方法の費用を上げることなく良好な結果を得ることができる。
【0017】
モンテルカストのL-(+)-α-フェニルグリシノール塩のメタノール、エタノールまたは2-プロパノール溶媒和物は、結晶化の溶媒として対応するアルコールを用いた本発明のモンテルカストのアミン塩類の調製について実施例に記載した一般的な方法、または別の溶媒中で予め形成されたモンテルカストのL-(+)-α-フェニルグリシノール塩の対応するアルコール中での再結晶化により調製できる。
【0018】
モンテルカスト酸が、上述のアミン類を調製するために出発物質として用いられる。これは適切な溶媒において固体または溶液として提供できる。好ましくは、モンテルカストのアミン塩は、(C-C)-エーテル、(C-C)-アルキルエステル、(C-C)-芳香族炭化水素、(C-C)-脂肪族炭化水素、(C-C)-アルコール、およびその混合物から選択される溶媒において調製される。より好ましくは、溶媒は、トルエン、酢酸エチル、エタノール、2-プロパノール、およびその混合物から選択される。
【0019】
通常、アミンの量は、モンテルカスト1当量につきアミン0.5から2当量で変化する。好適には、アミンの量は0.95から1.05当量である。モンテルカストのアミン塩の調製は、0℃から還流温度、好ましくは0℃から室温で実行される。
【0020】
任意で、得られたモンテルカストのアミン塩は、0℃から還流温度で適切な溶媒で処理できる。モンテルカストのアミン塩の単離は、ろ過などの従来の方法によって行われる。好ましくは、適切な溶媒は、モンテルカストのアミン塩の調製の前工程で用いられるものと同じである。
【0021】
本発明のアミン塩類の光学純度に関して得られた結果は、表1(下記)および実施例に詳述されている。用いられた出発モンテルカスト酸の鏡像体過剰率(e.e.)は98.8%であった。先行技術で記述されている事実と異なり、得られたこれらの塩類の純度および収率は有意にさらに高いものであった。
【表1】

【0022】
上述したように、光学純度の低い粗モンテルカストが出発物質として用いられたこれらの場合において、純度は驚くほど高かった。この事実を、以下の表2で相対的に詳述する。
【表2】

【0023】
さらに、化学純度の高いモンテルカストが調製できる。この事実を以下の表3に詳述する。
【表3】

【0024】
結果は、当該技術分野で周知の塩類の代わりに本発明のアミン塩類を形成することにより、化学純度の低い粗モンテルカストが出発物質として用いられる場合でも有意により高い化学純度が達成されることを示す。
【0025】
上述したように、モンテルカストのシクロヘキシルアミン塩もまた、その化学および光学純度に関して良好な結果を示し、その形成を介したモンテルカストの精製に有用である。モンテルカストの当該塩は、図6に示したX線ディフラクトグラムを生じる。
【0026】
好適な実施態様において、本発明の精製方法は、特定の範囲のpHおよび温度で、有機溶媒および水の混合物においてモンテルカストまたはその不純物の一連の特定の選択的抽出を行うことを含む事前精製をさらに含み、これにより、化学純度のより高いモンテルカストが得られ、前記一連の溶媒抽出は、12.0から13.5のpH、および10℃から混合物の沸点より約5℃低い温度での、有機溶媒を用いた、塩形態の粗モンテルカストを含む水相の少なくとも一回の洗浄を含む。塩形態のモンテルカストを含む水相は、例えば、有機溶媒中でモンテルカスト酸の混合物に塩基の水溶液を添加することにより得られる。より好適な実施態様では、一連の溶媒抽出は以下の工程を含む:(a)12.0から13.5のpH、および10℃から混合物の沸点より約5℃低い温度で有機溶媒を用いて塩形態の粗モンテルカストを含む水相を少なくとも一回洗浄し、次いで塩形態のモンテルカストを含む水相を分離する工程;(b)任意で、8.5から10.0のpH、および10℃から混合物の沸点より約5℃低い温度で有機溶媒を用いて工程(a)の水相を一または複数回洗浄し、次いで塩形態のモンテルカストを含む水相を分離する工程;(c)4.5から8.0のpH、および10℃から混合物の沸点より約5℃低い温度で有機溶媒を用いて工程(a)または(b)の水相から精製されたモンテルカストを抽出し、次いでモンテルカスト酸を含む有機相を分離する工程;および(d)任意で、酸として工程(c)の有機相からモンテルカストを単離する工程。工程(c)の有機相、または工程(d)の単離されたモンテルカスト酸は、上述のものからアミン塩に転換されうる。よって、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、L-(+)トレオ-2-アミノ-1-フェニル-1,3-プロパンジオール、およびL-(+)-α-フェニルグリシノールからなる群から選択される有機塩基を添加し、および反応媒体からモンテルカストの対応する塩を単離することによって、モンテルカストが、塩形態で工程(c)の有機相から単離されうる。同様に、モンテルカストは、シクロヘキシルアミンを添加し且つ形成された塩を単離することによって、シクロヘキシルアミン塩の形態で工程(c)の有機相から単離されうる。
【0027】
本発明の選択的抽出で効果的に除去されうる不純物としては以下のものが挙げられる。


モンテルカストに通常存在するこれらの不純物は、12.0から13.5のpHでの、塩形態のモンテルカストを含む水相の溶媒抽出により効果的に除去されうる。
【0028】
モンテルカストの存在しうる他の不純物は、以下のものである。


これらの不純物は、存在する場合、8.5から10.0のpHでの、塩形態のモンテルカストを含む水相の溶媒抽出により効果的に除去されうる。
【0029】
好適には、選択的抽出の溶媒は、(C-C)-エーテル、(C-C)-芳香族炭化水素、(C-C)-塩素含有溶媒、およびその混合物から選択される。より好ましくは、溶媒は、トルエン、tert-ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、およびその混合物からから選択される。好適には、12.0から13.5のpHで2または3回の洗浄が行われる。好適には、前記工程(a)の洗浄は、12.0から13.5のpH、および20から60℃の温度で行われる。より好適には、決まったpHおよび温度で少なくとも2回の洗浄が行われる。また好適には、前記工程(b)の洗浄は、9.0から9.5のpH、および20から60℃の温度で行われる。最適な温度状態は、主に使用される溶媒によって異なる。温度は、本明細書に記載の実施例の教示を用いて当業者により容易に決定される。
【0030】
これらの精製方法は、(C-C)-アルコールおよび水の混合物における無機塩基との反応による、式(II)の対応するシアノ中間体から得られるモンテルカストの精製に特に有用である。

【0031】
当該方法による特定の不純物は、12.0から13.5のpHでの、塩形態のモンテルカストを含む水相の溶媒抽出により効果的に除去されうる。これらの不純物としては、出発物質として用いられるシアノ化合物および以下の不純物が挙げられる:


【0032】
こういった場合、当該精製方法はさらに、塩形態の式(I)の粗モンテルカストを生じさせるために、式(II)の化合物を(C-C)-アルコールおよび水の混合物において無機塩基と反応させる前工程を含む。こういった場合、反応の終わりに例えば蒸留によりアルコールが単離されうる。次いで、塩形態のモンテルカストを含む有機相から該塩類を含む水相を単離するために、反応させる粗物質に有機溶媒および水を添加できる。塩形態のモンテルカストは、水を用いて有機相から抽出できる。結果的に塩形態のモンテルカストを含む水相を得るために、上述の精製方法が実行される。
【0033】
本発明のモンテルカストのアミン塩を用いてモンテルカストが調製される。よって、これらは、ギ酸、酢酸、プロパン酸、または酪酸、または無機酸、例えばクロロヒドリン酸での処理によってモンテルカスト酸に転換できる。好適には、転換は有機溶媒および水の混合物において実行される。より好適には、有機溶媒はトルエンまたはtert-ブチルメチルエーテルである。転換は、0℃から混合物の沸点より約10℃低い温度で行うことができる。より好適には、転換は、40℃から混合物の沸点より約10℃低い温度で行われる。生成物の単離は、ろ過などの従来の方法によって行われる。モンテルカスト酸またはその医薬的に許容可能な塩類が、本発明の対象であるモンテルカストアミン塩類から得られる場合、光学純度の低下はない。
【0034】
モンテルカスト酸は、例えば塩基、例えば水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ナトリウムメトキシド、またはナトリウムtert-ブトキシドでの処理により、医薬的に許容可能な塩、好適にはナトリウム塩に転換できる。同様に、モンテルカストのアミン塩もまた、例えばナトリウムメトキシドまたは水酸化ナトリウムを用いて、医薬的に許容可能な塩、好適にはナトリウム塩に便宜的に転換できる。
【0035】
本発明の方法を実行するための最善の状態は、当業者により考慮されるパラメータ、例えば出発物質、モル比、温度などに応じて異なる。こういった反応状態は、定期試験、および本明細書に記載の実施例の教示を用いて当業者によって容易に決定されうる。
【0036】
明細書および請求項を通して、「含む」なる語およびその変形は、他の技術的特徴、添加物、要素または工程を除外するものではない。本出願の要約を参照としてここに組み込む。本発明の追加的な目的、利点および特徴は、本明細書を見ると当業者には明らかであるか、または本発明の実施によりわかるであろう。以下の実施例は例示として提供されたものであり、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】モンテルカストのトリス-(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩のX線出力回折パターンを示す。
【図2】モンテルカストのL-(+)トレオ-2-アミノ-1-フェニル-1,3-プロパンジオール塩のX線出力回折パターンを示す。
【図3】モンテルカストのL-(+)-α-フェニルグリシノール塩のX線出力回折パターンを示す。
【図4】モンテルカストのL-(+)-α-フェニルグリシノール塩のエタノール溶媒和物のX線出力回折パターンを示す。
【図5】モンテルカストのL-(+)-α-フェニルグリシノール塩の2-プロパノール溶媒和物のX線出力回折パターンを示す。
【図6】モンテルカストのシクロヘキシルアミン塩のX線出力回折パターンを示す。
【実施例】
【0038】
実施例1:抽出のために溶媒としてトルエンを用いるモンテルカスト酸の精製
45mlのNaOH水溶液0.5Mを、トルエンおよびモンテルカスト酸(不純物i:0.05エリア%;不純物i:1.39エリア%;不純物i:0.20エリア%;不純物i:0.05エリア%)の30mlの懸濁液に添加する。二層溶液が形成され、ここでモンテルカストはナトリウム塩として水層に溶解したようであった。40℃で30分間撹拌した後、有機層を捨てた。30mlのトルエンでさらに2回の洗浄を、各回pHを12.2から13.2に調節して連続的に行った。生じた水溶液を、2Mの酢酸水溶液でpH9.3に酸性化し、30mlのトルエンで2回洗浄した。抽出はどちらも60℃で行った。最後に、さらに30mlのトルエンを水溶液に添加し、混合物を、室温で2Mの酢酸水溶液でpH6.0に酸性化した。最終有機層を分離し、精製されたモンテルカスト酸(HPLCによる純度:96.8エリア%;不純物i:0.02エリア%;不純物i:1.23エリア%;不純物i:検出されず;不純物i:検出されず)の溶液として維持した。収率:83%。
【0039】
実施例2:抽出のために溶媒としてtert-ブチルメチルエーテルを用いるモンテルカスト酸の精製
45mlのNaOH水溶液0.5Mを、tert-ブチルメチルエーテルおよびモンテルカスト酸(HPLCによる純度:97.4エリア%;不純物i:0.05エリア%;不純物i:1.39エリア%;不純物i:0.20エリア%;不純物i:0.05エリア%)の30mlの懸濁液に添加する。二層溶液が形成され、ここでモンテルカストはナトリウム塩として水層に溶解したようであった。室温で30分間撹拌した後、有機層を捨てた。30mlのtert-ブチルメチルエーテルでさらに2回の洗浄を、各回pHを室温で12.5から13.5に調節して連続的に行った。生じた水溶液を、2Mの酢酸水溶液でpH9.2に酸性化し、室温で2回、30mlのtert-ブチルメチルエーテルで洗浄した。最後に、さらに30mlのトルエンを水溶液に添加し、混合物を、室温で2Mの酢酸水溶液でpH7.7に酸性化した。最終有機層を分離し、精製されたモンテルカスト酸(HPLCによる化学純度:97.7エリア%;不純物i:検出されず;不純物i:1.11エリア%;不純物i:検出されず;不純物i:検出されず)の溶液として維持した。収率:67%。
【0040】
実施例3:モンテルカスト酸の調製
143.6gの水酸化ナトリウムを、407mlのエタノール96%(v/v)中、102gの(R,E)-2-(1-((1-(3-(2-(7-クロロキノリン-2-イル)ビニル)フェニル)-3-(2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)プロピルチオ)メチル)シクロプロピル)アセトニトリルの溶液に添加した。混合物を、30分間還流温度で撹拌した。この時間の後、真空下で溶媒を蒸留した(HPLCによる純度:61.5エリア%;不純物i:1.84エリア%;不純物i:3.70エリア%;不純物i:1.42エリア%)。混合物を、室温で1000mlのトルエンおよび1500mlの水で分離した。無機塩が溶解した水相を捨てた。有機相を1500mlの水と混合し、その混合物を60℃まで加熱して15分間撹拌した。この時点で生成物は水層に溶解した。水層のpHは12.5であった。本工程から出るいくらかの不純物は有機相に溶解した。したがって、有機相を捨てた。60℃でのトルエン洗浄を繰り返した。生じた水相を室温まで冷却し、1000mlのトルエンを添加した。ついで、2M酢酸溶液を用いて混合物のpHを5.6に調節した。混合物を30分間撹拌し、水相を捨てた。最後に、有機層を1000mlの水で洗浄し、精製されたモンテルカスト酸(HPLCによる純度:84.4エリア%;不純物i:0.81エリア%;不純物i:0.70エリア%;不純物i:0.07エリア%)の溶液として維持した。結果生じた溶液からの表題化合物のHPLCにより補正された収率:86%。
【0041】
実施例4:モンテルカスト酸の結晶化
前述の実施例で得られたトルエン溶液を、室温で12時間撹拌した。この時間の後、黄色の懸濁液が形成された。生じた固体をろ過し、トルエンで洗浄し、そして真空下において30℃で24時間乾燥させた。53gのモンテルカスト酸が回収された(HPLCによる純度:96エリア%)。HPLCにより補正された収率:90%。
【0042】
実施例5−8(比較実施例)
比較実施例5において、EP737186の実施例13に記載の状態でモンテルカストのジシクロヘキシルアミン塩を調製した。比較実施例6は、WO04/108679の実施例2に記載の状態でのモンテルカストのジシクロヘキシルアミン塩の調製に相当する。実施例7および8は、US2005/234241の実施例2に記載の方法に基づく。比較実施例5から8で用いた出発モンテルカスト酸の鏡像体過剰率(e.e.)は98.8%であり、HPLCによる化学純度:95.5%であった。鏡像体過剰率(e.e.)は、キラルHPLCにより測定した。結果を表4にまとめる。
【表4】

比較実施例8のt-ブチルアミンについて得られた化学純度は97.3%である。
【0043】
モンテルカストのアミンの調製のための基本プロセス
1.0当量のアミンを、2mlの溶媒中、0.5gのモンテルカスト酸(e.e.:98.8%)に一度に添加する。必要であれば、溶解が達成されるまで懸濁液を加熱した。室温で18時間撹拌した後、生じた懸濁液をろ過した。得られた固体を、真空下において30℃で24時間乾燥させた。表5に示した対応するアミンおよび溶媒を用いて、当該基本工程を繰り返した。実施例9は、5.0gのモンテルカスト酸を用いて実行した。実施例16は、2.4gのモンテルカスト酸を用いて実行した。実施例9−18で用いた出発モンテルカスト酸の鏡像体過剰率(e.e.)は98.8%であった。
【0044】
鏡像体過剰率(e.e.)は、キラルHPLCにより測定した。DSC Mettle Toledo DSC822eを用いて窒素でパージしながら10℃/分のスキャン率で25.0℃から250.0℃まで有孔パンにおいてDSC測定を行った。
【表5】

実施例17で得られたモンテルカストのL-(+)-α-フェニルグリシノール塩は、図3に示したX線ディフラクトグラムを生じた。
【0045】
実施例19(比較実施例):95.2%のe.e.を有するモンテルカスト酸からのモンテルカストのジシクロヘキシルアミン塩の調製
0.5gのモンテルカスト酸(e.e.:95.2%)を5mlのトルエンに懸濁し、0.11mlのジシクロヘキシルアミンを一度に添加して透明な薄茶色の溶液を得た。8時間の撹拌後、1mlのヘプタンを添加し、生じた懸濁液を真空下でろ過した。得られた固体を、真空下において30℃で24時間乾燥させて0.12gの表題化合物を得た(収率:19%、e.e.:96.5%)。
【0046】
実施例20:95.2%のe.e.を有するモンテルカスト酸からのモンテルカストのL-(+)トレオ-2-アミノ-1-フェニル-1,3-プロパンジオール塩の調製
0.5gのモンテルカスト酸(e.e.:95.2%)を5mlの2-プロパノールに懸濁し、0.14gのL-(+)トレオ-2-アミノ-1-フェニル-1,3-プロパンジオールを一度に添加した。生じた懸濁液を加熱して透明な薄茶色の溶液を得た。その後、混合物を室温まで冷却し、4時間撹拌した後、生じた懸濁液を真空下でろ過した。得られた固体(真空下において30℃で24時間乾燥させたアリコートのe.e.:98.6%)を5mlの2-プロパノール中15分間加熱し、2時間室温まで冷却し、再度ろ過した。生じた固体を、真空下において30℃で24時間乾燥させて0.35gの表題化合物を得た(収率:55%、e.e.:99.8%)。
【0047】
実施例21:95.2%のe.e.を有するモンテルカスト酸からのモンテルカストのL-(+)-α-フェニルグリシノール塩の調製
0.5gのモンテルカスト酸(e.e.:95.2%)を5mlの酢酸エチルに懸濁し、0.11gのL-(+)-α-フェニルグリシノールを一度に添加した。生じた懸濁液を加熱して透明な薄茶色の溶液を得た。その後、混合物を室温まで冷却し、4時間撹拌した後、生じた懸濁液を真空下でろ過した。得られた固体(真空下において30℃で24時間乾燥させたアリコートのe.e.:98.2%)を5mlの酢酸エチル中15分間加熱し、2時間室温まで冷却し、ろ過した。生じた固体を、真空下において30℃で24時間乾燥させて0.42gの表題化合物を得た(収率:82%、e.e.:99.5%)。
【0048】
実施例22:モンテルカスト遊離酸からのL-(+)-α-フェニルグリシノール塩の調製
189.4gのモンテルカスト酸(HPLCによる純度:93.8エリア%、e.e.:99.4%)を1.9Lのトルエンに懸濁し、44.3gのL-(+)-α-フェニルグリシノールを一度に添加した。生じた懸濁液を加熱して透明な薄茶色の溶液を得た。その後、混合物を室温まで冷却し、2時間撹拌した後、生じた懸濁液を真空下でろ過した。500mlのトルエンを用いて残渣を洗浄した。得られた固体(HPLC純度:98.4エリア%、e.e.:99.7%)を2.9Lのトルエンに懸濁し、80℃で40分間加熱し、室温まで冷却してろ過した。HPLCによる純度:98.9エリア%、e.e.:99.9%。収率:91%。
【0049】
モンテルカストのアミン塩からのモンテルカスト酸の調製のための基本工程
モンテルカストのアミン塩を10倍量のトルエンおよび10倍量の水に懸濁した。次いで、pHが6未満になるまで2Mの酢酸溶液を添加した。その後、混合物を30から95℃に加熱して、30分間撹拌し、冷却し、そして水相を捨てた。有機層を5倍量の水で洗浄し、モンテルカスト酸の溶液として維持した。
【0050】
実施例23:モンテルカストのL-(+)-α-フェニルグリシノール塩からのモンテルカスト遊離酸の調製
169.5gのモンテルカストのL-(+)-α-フェニルグリシノール塩(e.e.:99.9%)を1695mlのトルエンに懸濁した。1695mlの水、次いで170mlの2Mの酢酸水溶液を懸濁液に添加した。混合物を35℃に加熱し、30分間撹拌し、そして水相を捨てた。35℃の温度を維持しながら、有機層を850mlの水で2度洗浄した。生じたモンテルカスト酸の有機溶液をキラルHPLCにより分析した(e.e.:99.9%)。収率:97%。
【0051】
実施例24:モンテルカストナトリウムの調製
2.6gのモンテルカスト酸を、26mlのトルエンに溶解し、8.9mlのメタノール中0.5MのNaOH溶液を室温でゆっくり添加した。混合物を1時間撹拌し、溶媒を真空下で除去して残留物を得た。次いで、ヘプタン(24ml)を、室温で4mlの酢酸エチル中よく撹拌した残留物の溶液に30分かけて添加した。添加の2時間後、窒素雰囲気下でオフホワイトの固体がろ過され、それを5mlのヘプタンで洗浄した。湿った生成物を真空下において70−80℃で2日間乾燥させ、2.7gのモンテルカストナトリウムを得た。収率:100%。
【0052】
実施例25:モンテルカストナトリウムの調製
1.15Lのトルエンを115.2gのモンテルカスト酸(e.e.:99.9%)に添加した。混合物を2から10℃に冷却し、313.3mlのメタノール中0.5MのNaOH溶液を15分かけて添加した。次いで、混合物を室温まで暖め、30分間撹拌した。この時間の後、1.5Lの溶液を30℃で減圧蒸留した。その後、2.4Lのトルエンを粗物質に加え、蒸留を再開して300mlの最終容積を得た。得られた粗物質の溶液を、室温で撹拌しながら1時間かけて1Lのヘプタンに添加した。添加の18時間後、窒素雰囲気下でオフホワイトの固体がろ過され、それを500mlのヘプタンで洗浄した。湿った生成物を真空下において75℃で3日間乾燥させ、120gのモンテルカストナトリウムを得た。収率:100%。e.e.:99.9%。
【0053】
実施例26:モンテルカストのL-(+)-α-フェニルグリシノール塩からの、モンテルカストのL-(+)-α-フェニルグリシノール塩のメタノール溶媒和物の調製
4.0gのモンテルカストのL-(+)-α-フェニルグリシノール塩(HPLC:98.2%)を24mlのメタノールに懸濁し、溶液が得られるまで室温で撹拌した。溶液を室温に維持し、素早く白色の固体を沈殿させた。その後、スラリーを0℃に冷却し、固体をろ過して真空下で乾燥させた。3.2gの表題化合物が得られた。収率:79%。HPLC:99.3%。DSC(ピーク):91.9℃、104.0℃。H-RMN(6d-DMSO):MeOHの0.6%(モル/モル)。
【0054】
実施例27:モンテルカストのL-(+)-α-フェニルグリシノール塩からの、モンテルカストのL-(+)-α-フェニルグリシノール塩のエタノール溶媒和物の調製
4.0gのモンテルカストのL-(+)-α-フェニルグリシノール塩(HPLC:98.2%)を40mlのエタノールに懸濁した。溶液が得られるまで懸濁液を60℃に加熱した。溶液を20℃に冷却し、十分な固体が沈殿するまで室温で撹拌を続けた。スラリーを0℃に冷却し、固体をろ過して真空下で乾燥させた。3.35gの表題化合物が得られた。収率:81%。HPLC:99.2%。DSC(ピーク):89.2℃、95.1℃。H-RMN(6d-DMSO):EtOHの0.6%(モル/モル)。図4に示したX線ディフラクトグラム。
【0055】
実施例27:モンテルカストのL-(+)-α-フェニルグリシノール塩からの、モンテルカストのL-(+)-α-フェニルグリシノール塩の2-プロパノール溶媒和物の調製
4.0gのモンテルカストのL-(+)-α-フェニルグリシノール塩(HPLC:98.2%)を40mlの2-プロパノールに懸濁した。溶液が得られるまで懸濁液を60℃に加熱した。溶液を20℃に冷却し、十分な固体が沈殿するまで室温で撹拌を続けた。スラリーを0℃に冷却し、固体をろ過して真空下で乾燥させた。3.64gの表題化合物が得られた。収率:86%。HPLC:99.3%。DSC(ピーク):79.9℃。H-RMN(6d-DMSO):2-プロパノールの0.6%(モル/モル)。図5に示したX線ディフラクトグラム。
【0056】
実施例29:モンテルカストのt-ブチルアミン塩の調製
1.0gのモンテルカスト遊離酸(HPLCによる純度:97.6%;e.e.:96.8%)を10mlのアセトンに懸濁した。0.25gのt-ブチrンアミンを一度に添加した。室温で4時間撹拌した後、混合物を真空下でろ過した。残渣を2mlのアセトンで3回洗浄した。生じた固体を真空下において25℃で24時間乾燥させ、0.68gの表題化合物を得た(収率:60%;HPLCによる純度:98.6%;e.e.:97.7%)。
【0057】
実施例30:モンテルカストのL-(+)-α-フェニルグリシノール塩の調製
10gのモンテルカスト酸(HPLCによる純度:89.1%;e.e.:99.1%)に相当する実施例3で得られた溶液を、2.4gのL-(+)-α-フェニルグリシノールと混合した。生じた懸濁液を70℃に加熱し、10分後、混合物を室温まで冷却し、1時間撹拌して真空下でろ過した。残渣を10mlのトルエンで2回洗浄し、真空下において25℃で乾燥させた。10.7gの表題化合物が得られた。収率:90%。HPLCによる純度:98.3エリア%。e.e.:99.6%。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意のその立体異性体または混合物を含む、モンテルカスト、またはその医薬的に許容可能な塩類、またはその溶媒和物の精製方法であって、その立体異性体または混合物を含む、モンテルカスト酸、または任意のその溶媒和物を、適切な溶媒の存在下でトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、L-(+)トレオ-2-アミノ-1-フェニル-1,3-プロパンジオール、およびL-(+)-α-フェニルグリシノール塩類から選択されるアミン塩に転換することを含む精製方法。
【請求項2】
アミン塩が、L-(+)トレオ-2-アミノ-1-フェニル-1,3-プロパンジオール、およびL-(+)-α-フェニルグリシノール塩からなる群から選択される、請求項1に記載の精製方法。
【請求項3】
モンテルカストのL-(+)-α-フェニルグリシノール塩が、メタノール、エタノール、および2-プロパノール溶媒和物からなる群から選択される溶媒和物である、請求項2に記載の精製方法。
【請求項4】
溶媒が、(C-C)-エーテル、(C-C)-アルキルエステル、(C-C)-芳香族炭化水素;(C-C)-非芳香族炭化水素、(C-C)-脂肪族炭化水素、(C-C)-アルコール、およびその混合物から選択される、請求項1から3のいずれかに記載の精製方法。
【請求項5】
溶媒が、トルエン、酢酸エチル、エタノール、2-プロパノール、およびその混合物から選択される、請求項4に記載の精製方法。
【請求項6】
モンテルカストまたはその不純物の一連の特定の選択的溶媒抽出を行うことを含む事前精製工程をさらに含み、前記一連の溶媒抽出が、12.0から13.5のpH、および10℃から混合物の沸点より約5℃低い温度での、有機溶媒を用いた、塩形態の粗モンテルカストを含む水相の少なくとも一回の洗浄を含む、請求項1から5のいずれかに記載の精製方法。
【請求項7】
一連の溶媒抽出が以下の工程:
(a)12.0から13.5のpH、および10℃から混合物の沸点より約5℃低い温度で有機溶媒を用いて塩形態の粗モンテルカストを含む水相を少なくとも一回洗浄し、次いで塩形態のモンテルカストを含む水相を分離する工程;
(b)任意で、8.5から10.0のpH、および10℃から混合物の沸点より約5℃低い温度で有機溶媒を用いて工程(a)の水相を一または複数回洗浄し、次いで塩形態のモンテルカストを含む水相を分離する工程;
(c)4.5から8.0のpH、および10℃から混合物の沸点より約5℃低い温度で有機溶媒を用いて工程(a)または(b)の水相から精製されたモンテルカストを抽出し、次いでモンテルカスト酸を含む有機相を分離する工程;
(d)任意で、酸として工程(c)の有機相からモンテルカストを単離する工程
を含む、請求項6に記載の精製方法。
【請求項8】
有機溶媒が、(C-C)-エーテル、(C-C)-芳香族炭化水素;(C-C)-塩素含有溶媒、およびその混合物から選択される、請求項6または7に記載の精製方法。
【請求項9】
溶媒が、トルエン、tert-ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、およびその混合物からから選択される、請求項8に記載の精製方法。
【請求項10】
12.0から13.5のpH、および20から60℃の温度で少なくとも2回の洗浄が行われる、請求項6から9のいずれかに記載の精製方法。
【請求項11】
工程(b)の抽出が、9.0から9.5のpH、および20から60℃の温度で行われる、請求項6から10のいずれかに記載の精製方法。
【請求項12】
(a)請求項1に記載のモンテルカストのアミン塩を酸で処理してモンテルカスト酸を得ること;および任意で
(b)こうして得られた生成物をイオン源で処理して対応する医薬的に許容可能な塩を単離すること
を含む、請求項1から11のいずれかに記載の精製方法。
【請求項13】
イオンがナトリウムであり、そして医薬的に許容可能な塩がナトリウム塩である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩。
【請求項15】
モンテルカストのL-(+)トレオ-2-アミノ-1-フェニル-1,3-プロパンジオール塩。
【請求項16】
モンテルカストのL-(+)-α-フェニルグリシノール塩。
【請求項17】
メタノール、エタノール、および2-プロパノール溶媒和物からなる群から選択される、モンテルカストのL-(+)-α-フェニルグリシノール塩の溶媒和物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−500325(P2010−500325A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523276(P2009−523276)
【出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【国際出願番号】PCT/EP2007/058180
【国際公開番号】WO2008/017669
【国際公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(507005056)エステヴェ キミカ, エス.エー. (9)
【Fターム(参考)】