説明

モータ制御装置、流体噴射装置およびモータ制御方法

【課題】第2モータと第3モータとの駆動によってウエブを下流側に送る際に、ロール体
の使用如何に拘わらずテンションの変動を防止することが可能なモータ制御装置、プリン
タおよびモータ制御方法を提供すること。
【解決手段】用紙が巻回されているロール体RPを回転させるための駆動力を与える第2
モータ35と、搬送駆動ローラ51aを駆動させる駆動力を与える第3モータ53と、第
3モータ53を駆動させずに第2モータ35に作用する負荷と第2モータ35の駆動速度
との関係を測定する負荷測定手段100と、いずれかのタイミングにおいて第2モータ3
5と第3モータ53とを同時に駆動させると共に、その制御の際に負荷測定手段100で
の測定結果と第3モータ53の駆動速度とに基づく補間出力を第2モータ35に対して与
えて、第3モータ53の駆動による用紙の下流側に向かう搬送を実行させるモータ制御手
段100と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ制御装置、流体噴射装置およびモータ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット式のプリンタの中には、用紙サイズがA2以上の大判のものを用いるタ
イプがある。かかる大判のインクジェットプリンタにおいては、単票紙以外に、いわゆる
ロール紙(以下、用紙が巻回されたいわゆるロール紙をロール体とし、ロール体から引き
出される部分を用紙とする。)が利用されることが多い。ロール体からの用紙の引き出し
は、現状、紙送りモータ(PFモータ)によって為されている。このとき、PFモータは
、PID制御によって制御駆動させられる。このようなロール体を用いるプリンタとして
は、特許文献1に示すものがある。また、PID制御を行うプリンタとしては、特許文献
2〜4に示すものがある。
【0003】
【特許文献1】特開2007−290866号公報
【特許文献2】特開2006−240212号公報
【特許文献3】特開2003−79177号公報
【特許文献4】特開2003−48351号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
大判のプリンタにおけるロール体は、その重量が重く、従ってロール体から用紙を引き
出すときの負荷は、大きなものとなっている。そのため、PFモータからの駆動のみでは
、用紙が破断する等の可能性がある。そこで、ロール体を回転駆動させるためのロールモ
ータを設け、PFモータと共に、ロールモータを駆動させて、用紙を引き出すようにして
いる機種が開発されつつある。
【0005】
ここで、ロール体から用紙を引き出すにつれて、ロール体の直径および重量は変動して
いく。そのため、ロールモータに対して、一定の出力(電力)を与える場合には、ロール
体の直径および重量の変動に伴って、PFモータによって回転駆動させられる搬送ローラ
対とロール体との間の用紙のテンションが大きく変動する。また、例えばロール体の重量
が小さくなり過ぎる場合には、搬送ローラ対とロール体との間の用紙にほとんどテンショ
ンが作用せず、用紙が弛んでしまう、という事態も生じ兼ねない。以上述べたようなテン
ションの変動が、用紙の印刷中に発生すると、印刷画質に影響を与えかねない。
【0006】
本発明は上記の事情に基づきなされたもので、その目的とするところは、第1モータと
第2モータとの駆動によってロール紙を下流側に送る際に、ロール体の使用如何に拘わら
ずテンションの変動を防止することが可能なモータ制御装置、流体噴射装置およびモータ
制御方法を提供しよう、とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のモータ制御装置は、ロール紙が巻回されているロール体から当該ロール紙を供
給するべくロール体を回転させるための駆動力を与える第1モータおよび第2モータと、
ロール紙の供給方向に沿ってロール体よりも下流側に設けられる搬送駆動ローラであって
ロール紙を搬送させるための搬送駆動ローラを駆動させる駆動力を与える第3モータと、
第3モータを駆動させずに第2モータのみを駆動させる際に当該第2モータに作用する負
荷と第2モータの駆動速度との関係を測定する負荷測定手段と、いずれかのタイミングに
おいて第2モータと第3モータとを同時に駆動させると共に、その制御の際に負荷測定手
段での測定結果と第3モータの駆動速度とに基づく補間出力を第2モータに対して与えて
、第3モータの駆動によるロール紙の下流側に向かう搬送時において、ロール紙に所定の
テンションを与えるための制御を行うモータ制御手段とを備え、第2モータの、ロール体
の回転軸上の出力分解能は、第1モータの、ロール体の回転軸上の出力分解能より細かい
ようにすることができる。
【0008】
第2モータの出力は、第1モータの出力より小さいようにすることができる。
【0009】
前記第1モータは、第1の減速比を有する動力伝達装置を介して前記ロール体の回転軸
に連結され、前記第2モータは、上記第1の減速比より小さい減速比の動力伝達装置を介
して前記ロール体の回転軸に連結されるか、または前記ロール体の回転軸に直結されるよ
うにすることができる。
【0010】
前記動力伝達装置は、ギヤ輪列またはベルトで構成されるようにすることができる。
【0011】
モータ制御手段は、第3モータの駆動によるロール紙の送り量が、第2モータの駆動に
よるロール紙の送り量よりも大きくなる状態で、第2モータおよび第3モータの駆動を制
御することができるようにすることができる。
【0012】
ロール紙に対して流体を噴射する流体噴射ヘッドを備えるようにすることができる。
【0013】
本発明の、ロール紙が巻回されているロール体から当該ロール紙を供給するべくロール
体を回転させるための駆動力を与える第1モータおよび第2モータと、ロール紙の供給方
向に沿ってロール体よりも下流側に設けられる搬送駆動ローラであってロール紙を搬送さ
せるための搬送駆動ローラを駆動させる駆動力を与える第3モータとを備えるモータ制御
装置のモータ制御方法は、第3モータを駆動させずに第2モータのみを駆動させる際に当
該第2モータに作用する負荷と第2モータの駆動速度との関係を測定する負荷測定ステッ
プと、いずれかのタイミングにおいて第2モータと第3モータとを同時に駆動させると共
に、その制御の際に負荷測定ステップでの測定結果と第3モータの駆動速度とに基づく補
間出力を第2モータに対して与えて、第3モータの駆動によるロール紙の下流側に向かう
搬送時において、ロール紙に所定のテンションを与えるための制御を行うモータ制御ステ
ップとを含み、第2モータの、ロール体の回転軸上の出力分解能は、第1モータの、ロー
ル体の回転軸上の出力分解能より細かいことを特徴とする。
【0014】
本発明のモータ制御装置またはモータ制御方法においては、ロール紙が巻回されている
ロール体から当該ロール紙を供給するべくロール体を回転させるための駆動力を与える第
1モータおよび第2モータと、ロール紙の供給方向に沿ってロール体よりも下流側に設け
られる搬送駆動ローラであってロール紙を搬送させるための搬送駆動ローラを駆動させる
駆動力を与える第3モータとについて、第3モータを駆動させずに第2モータのみを駆動
させる際に当該第2モータに作用する負荷と第2モータの駆動速度との関係が測定され、
いずれかのタイミングにおいて第2モータと第3モータとを同時に駆動させると共に、そ
の制御の際に負荷測定の測定結果と第3モータの駆動速度とに基づく補間出力を第2モー
タに対して与えて、第3モータの駆動によるロール紙の下流側に向かう搬送時において、
ロール紙に所定のテンションを与えるための制御が行われ、第2モータの、ロール体の回
転軸上の出力分解能は、第1モータの、ロール体の回転軸上の出力分解能より細かいもの
とされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態に係るモータ制御装置(主として制御部100)を備える
、流体噴射装置としてのプリンタ10および駆動制御方法について、図1から図10に基
づいて説明する。なお、本実施の形態のプリンタ10は、例えばJIS規格のA2以上の
サイズを有する、サイズの大きな用紙を印刷するためのプリンタである。また、本実施の
形態におけるプリンタは、インクジェット式のプリンタであるが、かかるインクジェット
式プリンタは、インクを吐出して印刷可能な装置であれば、いかなる吐出方法を採用した
装置でも良い。
【0016】
また、以下の説明においては、下方側とは、プリンタ10が設置される側を指し、上方
側とは、設置される側から離間する側を指す。また、用紙Pが供給される側を給送側(後
端側)、用紙Pが排出される側を排紙側(手前側)として説明する。
【0017】
<プリンタ10の概略構成>
図1は、本発明の実施の形態に係るプリンタ10の外観を示す斜視図である。図2は、
プリンタ10の駆動系の位置関係を示す図示す図である。図3は、プリンタ10の制御系
と駆動系の関係を示す図である。
【0018】
図1に示すように、プリンタ10は、一対の脚部11と、当該脚部11に支持される本
体部20とを有している。脚部11には、支柱12が設けられていると共に、回転自在な
キャスタ13がキャスタ支持部14に取り付けられている。そのため、プリンタ10は、
ユーザが自在に移動させることを可能としている。
【0019】
本体部20は、不図示のシャーシに支持される状態で、内部の各種機器が搭載されてお
り、それらが外部ケース21によって覆われている。また、図2に示すように、本体部2
0には、DCモータを用いる駆動系として、ロール駆動機構30と、キャリッジ駆動機構
40と、用紙搬送機構50とが設けられている。これらのうち、ロール駆動機構30は、
本体部20に存在するロール搭載部22に設けられている。ロール搭載部22は、図1お
よび図2に示すように、本体部20のうち、背面側かつ上方側に設けられていて、上述の
外部ケース21を構成する一要素である開閉蓋23を開くことにより、その内部にロール
体RPを搭載し、ロール駆動機構30によってロール体RPを回転駆動させることが可能
となっている。
【0020】
また、ロール体RPを回転させるためのロール駆動機構30は、図3に示すように、回
転ホルダ31と、ギヤ輪列32と、ロールモータ33と、回転検出部34と、ロールモー
タ35とを有している。
【0021】
これらのうち、回転ホルダ31は、ロール体RPに設けられている中空孔の両端側から
挿入されるものであり、ロール体RPを両端側から支持すべく、一対設けられている。
【0022】
また、ロールモータ33は、第1モータに対応する。このロールモータ33は、ギヤ輪
列32を介して、一対の回転ホルダ31のうち、一端側に位置する回転ホルダ31a(即
ちロール体RPの回転軸)に連結している。即ちロールモータ33が駆動することにより
、ギヤ輪列32を介してロールモータ33の回転力を回転ホルダ31aに伝えることがで
き、ロール体RPに対して回転力を付与することができる。
【0023】
ロールモータ33には、例えば軸回転トルクが100グラム程度のものが使用される。
一方、回転ホルダ31には、例えば重量が5キログラムあるいは10キログラムを超える
こともある重いロール体RPが支持されることがある。そのため、ギヤ輪列32は、回転
ホルダ31に重いロール体RPが支持された場合であっても、回転ホルダ31を回転する
ことができるように、減速比が、例えば50から100といった大きなものに設定されて
いる。
【0024】
回転検出部34は、本実施の形態ではロータリエンコーダを用いている。そのため、回
転検出部34は、円盤状スケール34aと、ロータリセンサ34bとを具備している。
【0025】
円盤状スケール34aは、その周方向に沿って一定の間隔毎に、光を透過させる透光部
と、光の透過を遮断する遮光部とを有している。また、ロータリセンサ34bは、不図示
の発光素子と、同じく不図示の受光素子と、同じく不図示の信号処理回路を主要な構成要
素としている。
【0026】
なお、本実施の形態では、ロータリセンサ34bからの出力により、図4に示すような
、互いに位相が90度異なるパルス信号(A相のENC信号,B相のENC信号)が制御
部100に入力される。そのため、ロールモータ33が正転状態にあるのか、または逆転
状態にあるのかを、位相の進行/遅れによって検出可能となっている。
【0027】
ロールモータ35は、第2モータに対応する。このロールモータ35は、図2および図
3に示すように、一対の回転ホルダ31のうち、一端側に位置する回転ホルダ31aに直
結している。即ちロールモータ35が駆動することによっても、ロールモータ35の回転
力を回転ホルダ31aに伝えることができ、ロール体RPに対して回転力を付与すること
ができる。
【0028】
また、本体部20には、キャリッジ駆動機構40が設けられている。キャリッジ駆動機
構40は、インク供給/噴射機構の構成要素の一部ともなるキャリッジ41と、キャリッ
ジ軸42と、その他不図示のキャリッジモータ、ベルト等を具備している。
【0029】
これらのうち、キャリッジ41は、各色のインク(流体に対応)を貯留するためのイン
クタンク43を具備していて、このインクタンク43には、図示しないチューブを介して
、本体部20の前面側に固定的に設けられているインクカートリッジ(図示省略)からイ
ンクが供給可能となっている。また、図3に示すように、キャリッジ41の下面には、イ
ンク滴を吐出可能な印刷ヘッド44(流体噴射ヘッドに対応)が設けられている。印刷ヘ
ッド44には、各インクに対応づけられた不図示のノズル列が設けられていて、このノズ
ル列を構成するノズルには、不図示のピエゾ素子が配置されている。このピエゾ素子の作
動により、インク通路の端部にあるノズルからインク滴を吐出することが可能となってい
る。
【0030】
なお、これらキャリッジ41、インクタンク43、不図示のチューブ、インクカートリ
ッジ、印刷ヘッド44によって、インク供給/噴射機構が構成されている。また、印刷ヘ
ッド44は、ピエゾ素子を用いたピエゾ駆動方式に限られず、例えばインクをヒータで加
熱し、発生する泡の力を利用するヒータ方式、磁歪素子を用いる磁歪方式、ミストを電界
で制御するミスト方式等を採用しても良い。また、インクカートリッジ/インクタンク4
3に充填されるインクは、染料系インク/顔料系インク等、いずれの種類のインクを搭載
しても良い。
【0031】
図3、図5等に示すように、用紙搬送機構50は、搬送ローラ対51と、ギヤ輪列52
と、PFモータ53と、回転検出部54とを有している。
【0032】
搬送ローラ対51は、搬送駆動ローラ51aと、搬送従動ローラ51bとを具備してい
て、これらの間で、ロール体RPから引き出される用紙P(ロール紙に対応)を挟持可能
となっている。
【0033】
また、PFモータ53は、第3モータに対応する。PFモータ53は、搬送駆動ローラ
51aに対して、ギヤ輪列52を介して駆動力(回転力)を与えるものである。
【0034】
さらに、回転検出部54は、本実施の形態ではロータリエンコーダを用いていて、上述
の回転検出部34と同様に、円盤状スケール54aと、ロータリセンサ54bとを具備し
、図4に示すようなパルス信号を出力可能としている。
【0035】
また、搬送ローラ対51よりも下流側(排紙側)には、プラテン55が設けられていて
、用紙Pは当該プラテン55上をガイドさせられる。また、プラテン55には、印刷ヘッ
ド44が対向するように配設されている。このプラテン55には、吸引孔55aが形成さ
れている。一方、吸引孔55aは、吸引ファン56に連通可能に設けられていて、吸引フ
ァン56が作動することによって、印刷ヘッド44側から吸引孔55aを介して空気が吸
引される。それにより、プラテン55上に用紙Pが存在する場合には、当該用紙Pを吸引
保持することが可能となっている。なお、プリンタ10は、その他、用紙Pの幅を検出す
る紙幅検出センサ等、その他の各種センサを備えている。
【0036】
<制御部に関して>
次に、制御部100について、図6、図7等に基づいて説明する。負荷測定手段、モー
タ制御手段に対応する制御部100は、各種の制御を行う部分である。この制御部100
は、後述するようなロールモータ33、ロールモータ35、PFモータ53の制御を実現
するための部分である。この制御部100には、上述のロータリセンサ34b,54b、
不図示のリニアセンサ、不図示の紙幅検出センサ、不図示のギャップ検出センサ、プリン
タ10の電源をオン/オフする電源スイッチ等の各出力信号が入力される。
【0037】
図2に示すように、制御部100は、CPU101、ROM102、RAM103、P
ROM104、ASIC105、モータドライバ106等を具備していて、これらが例え
ばバス等の伝送路107を介して接続されている。また、制御部100は、コンピュータ
COMに接続されている。そして、これらのハードウエアと、ROM102やPROM1
04に記憶されているソフトウエアおよび/またはデータの協働、または特有の処理を行
う回路や構成要素の追加等によって、図6のブロック図に示すような、主制御部110と
、PFモータ制御部120と、ロールモータ制御部130とが実現される。
【0038】
PFモータ制御部120は、ロール体RPの用紙Pが給送側に搬送されるように、PF
モータ53の駆動を制御する。なおこのPFモータ53の駆動制御は、PID制御によっ
て行われる。
【0039】
PFモータ制御部120はまた、用紙Pに生じる、用紙Pの長手方向が本来の引き出し
方向に対して徐々に傾いていく、いわゆるスキューを解消するために、用紙Pをロール体
RPに巻き戻す方向に、PFモータ53の駆動を制御する。
【0040】
ロール体RPは、PFモータ53が給送側の方向に回転すると、用紙Pを介して引っ張
られて、給送側の方向に回転し、そしてそれに伴ってロールモータ33およびロールモー
タ35も回転するが、ロールモータ制御部130は、後述するようなメジャメント動作に
よって得られるモータ駆動負荷に関する情報に基づいて、回転時のロールモータ35の負
荷を調整する駆動制御を行う。
【0041】
ロールモータ制御部130はまた、スキューを解消するために、PFモータ53と同期
して、用紙Pをロール体RPに巻き戻す方向に、ロールモータ33の駆動を制御する。
【0042】
主制御部110は、ロールモータ制御部130とPFモータ制御部120との両方に対
して所定の指令を与える。
【0043】
次に、PFモータ制御部120とロールモータ制御部130の構成について説明する。
【0044】
PFモータ制御部120は、出力演算部121を有して構成されている。
【0045】
図7は、出力演算部121の構成例を示すブロック図である。図7に示すように、出力
演算部121は、位置演算部141と、速度演算部142と、第1減算部143と、目標
速度発生部144と、第2減算部145と、比例要素146と、積分要素147と、微分
要素148と、加算部150と、PWM信号出力部152と、タイマ153とを具備して
いる。
【0046】
これらのうち、位置演算部141は、ロータリセンサ54bから入力される、矩形波で
ある出力信号(図4参照)のエッジをカウントすることにより、用紙Pの送り量を算出す
る。
【0047】
また、速度演算部142には、ロータリセンサ54bから入力される、矩形波である出
力信号のエッジをカウントすると共に、タイマ153で計測される時間(周期)に関する
信号も入力される。そして、カウントしたエッジと時間(周期)に基づいて、用紙Pの送
り速度を算出する。
【0048】
また、第1減算部143は、位置演算部141から出力される送り量(現在位置)に関
する情報と、ROM102またはPROM104等のメモリから出力される目標位置(目
標停止位置)に関する情報とに基づき、目標位置(目標停止位置)から現在位置を減算し
て位置偏差を算出する。
【0049】
目標速度発生部144には、第1減算部143から出力される位置偏差に関する情報が
入力される。そして、目標速度発生部144は、この位置偏差に応じた目標速度に関する
情報を出力する。なお、この目標速度に関する情報は、図8に示すような速度テーブルに
関するものである。図8に示すように、速度テーブルは、PFモータ53に関する速度テ
ーブルPFが存在する。
【0050】
第2減算部145は、目標速度から現在のPFモータ53の送り速度(現在速度)を減
算して、速度偏差ΔVを算出し、比例要素146、積分要素147および微分要素148
にそれぞれ出力する。比例要素146、積分要素147および微分要素148は、入力さ
れる速度偏差ΔVに基づいて、以下の比例制御値QPと、積分制御値QIと、微分制御値
QDとを算出する。
QP(j)=ΔV(j)×Kp …(式1)
QI(j)=QI(j−1)+ΔV(j)×Ki …(式2)
QD(j)={ΔV(j)−ΔV(j−1)}×Kd …(式3)
ここで、jは、時間であり、Kpは比例ゲイン、Kiは積分ゲイン、Kdは微分ゲイン
である。
【0051】
加算部150は、比例要素146、積分要素147、および微分要素148から出力さ
れる各制御値を加算し、その加算により求めた制御値の和(合計値;Qpid)をPWM
信号出力部152へ出力する。
【0052】
PWM信号出力部152には、加算部150から出力される制御値Qpidが入力され
る。そして、PWM信号出力部152では、供給される制御値Qpidを換算して得たDu
ty値のPWM信号を出力する。タイマ153は、不図示のクロックからの信号を受信する
。そして、例えば100μsec等のような、所定のPID演算周期が到来すると、その
PID演算周期毎に、速度演算部142にタイマ信号を出力する。
【0053】
また、モータドライバ106は、PWM信号出力部152から出力されるPWM信号に
基づいて、PFモータ53をPWM制御にて、制御駆動する。
【0054】
続いて、次にロールモータ制御部130の構成例について説明する。ロールモータ制御
部130は、図6に示すように、出力演算部201および出力演算部202を有している

【0055】
出力演算部201は、スキューを解消するために、PFモータ53と同期して、用紙P
をロール体RPに巻き戻す方向に、ロールモータ33の駆動を制御する。スキューは、こ
の例の場合、ロールモータ33を一定量だけPFモータ53と同時に駆動させ、用紙Pを
一定量だけ巻き戻すことによって解消される。なおこの駆動制御に必要なロールモータ3
3の移動量や速度は、ロータリセンサ34bからの出力に基づいて算出される。
【0056】
出力演算部202は、用紙Pが給送側に搬送されるとき、次に述べるようにして算出し
たモータ実出力値Dxによってロールモータ35の駆動制御(以下、テンション制御と称
する)を行うことにより、用紙Pが破断してしまうようなテンションが用紙Pにかからな
いようにする。
【0057】
このモータ実出力値Dxの計算は、(式4)に示すように、基本的には、用紙Pが弛ま
ないようにするテンションを与える規定のテンションFを与えるのに必要なDuty値である
Duty(f)を、ある速度Vnでロールモータ35を駆動させるのに必要なDuty値であるDuty
(ro)から減算することにより求められる。
Dx=Duty(ro)−Duty(f)=aVn+b−(F×r/M)×Duty(max)/Ts
…(式4)
ここで、rはロール体RPの半径、Duty(max)はDuty値の最大値、Ktはロールモー
タ35のモータ定数、Eはロールモータ35に供給される電源電圧値、Mはギヤ輪列32
による減速比、Tsはロールモータ35の起動トルク、係数a,bは、以下の(式6)お
よび(式7)で定義される値である。上述の(式4)は、以下のようにして求められる。
【0058】
なお、上述の(式4)において、(F×r/M)は、ギヤ輪列の減速比を考慮した、テ
ンションFによるトルクであり、この(F×r/M)というトルクをロールモータ35の
起動トルクTsで除算すると、無次元の比(Duty(max)を1とした場合に対する比)で
ある、(F×r/M)/Tsが得られる。そして、かかる無次元の比の(F×r/M)/
Tsに、Duty(max)を乗じることにより、テンションFを与えるのに必要なDuty値であ
るDuty(f)が算出される。
【0059】
ここで、ロールモータ35は、PFモータ53の駆動によって、用紙Pを介して引っ張
られる。そのため、ロールモータ35は、結果的にはPFモータ53と同じ速度Vnで駆
動させられる。なお、ロールモータ35においては、ロータリセンサ54bで検出された
検出値を代用して、速度Vnを算出している。
【0060】
また、PFモータ53と同じ速度Vnで駆動させるべく、ロールモータ35に対し、当
該ロールモータ35を速度Vnで駆動させるのに必要なDuty値であるDuty(ro)を与える
場合、用紙Pは弛まず、かつロールモータ35とPFモータ53との間にテンションが作
用しない状態となる。そこで、ロールモータ35を速度Vnで駆動させるのに必要なDuty
値であるDuty(ro)から、テンションFを与えるのに必要なDuty値であるDuty(f)を減
じれば、用紙Pが弛まないようなテンションFを、当該用紙Pに与えることが可能となる
。以上のようにして、(式4)のモータ実出力値Dxが求められる。
【0061】
<(式4)の係数a,bの算出に関して>
ある速度Vnでロールモータ35を駆動させるのに必要なDuty値を求めるために、メジ
ャメント動作を実行している。このメジャメント動作では、図9に示すように、低速側の
速度VLと高速側の速度VHとでロール体RPを回転駆動させる。そして、低速側の速度V
Lでロールモータ35を駆動させるのに必要なメジャメント値ave TiLと、高速側の速度
VHでロールモータ35を駆動させるのに必要なメジャメント値ave TiHを算出する。な
お、メジャメント値ave TiLとメジャメント値ave TiHは、それぞれの速度でPID制御
を行う場合における、積分要素から出力される制御値の平均となっている。
【0062】
図9に示すような一次式の関係から、ある速度Vnでロールモータ35を駆動させるた
めのDuty(ro)は、係数a,bを用いて容易に求められる。
Duty(ro)=aVn+b …(式6)
a=(ave TiH−ave TiL)/(VH−VL) …(式7)
b=ave TiH−(ave TiH−ave TiL)×VL/(VH−VL) …(式8)
【0063】
以上のような(式7)、(式8)に基づいて、係数a,bが決定され、(式4)に反映
させられる。
【0064】
<ロールモータ35とPFモータ53の制御方法>
図10を参照して、用紙Pを給送側に搬送する場合のロールモータ35とPFモータ5
3の制御処理について説明する。
【0065】
まず、ロールモータ35とPFモータ53とを駆動させるのに先立って、メジャメント
動作を実行する(S01)。メジャメント動作においては、主制御部110からの指令に
基づいて、低速側と高速側の2つの速度VL,VHでロールモータ35を駆動させ、それに
よって上述したような(式4)における、係数a,bが求められる。なお、PFモータ5
3が駆動しない状態で、メジャメント動作は実行される。
【0066】
続いて、PFモータ53の駆動による送り量LpfをPROM104等のメモリから読み
込む(S02)。送り量Lpfは、例えば用紙Pに対する印刷を、1パスだけ実行するのに
必要な値となっている。
【0067】
S02で送り量Lpfが読み込まれると、主制御部110からの指令に基づいて、ロール
モータ35およびPFモータ53の駆動を開始させる(S03)。このとき、PFモータ
53は、図8に示すような速度テーブルに従って、駆動させられるが、ロールモータ35
は、ロータリセンサ34bで検出される速度に関する検出値に基づいて、モータ実出力値
Dxが定められる。また、ロールモータ35およびPFモータ53の駆動に際しては、ロ
ールモータ35の駆動によって、当該ロールモータ35が何等駆動力を発生させない場合
よりも、用紙Pが引き出され易い状態となっている。
【0068】
また、S03におけるロールモータ35およびPFモータ53の駆動に際しては、用紙
Pに、テンションFを作用させるように制御しつつ、駆動させることになる。このテンシ
ョンFの制御では、出力演算部202での上述したような計算によって、(式4)に示す
ようなモータ実出力値Dxが求められる。そして、このモータ実出力値Dxでは、ある速
度Vnでロールモータ35を駆動させるのに必要なDuty値であるDuty(ro)から、用紙P
が弛まないようにするテンションを与える規定のテンションFを与えるのに必要なDuty値
であるDuty(f)を減算している。
【0069】
このとき、ある速度Vnは、PFモータ53の駆動によりロールモータ33およびロー
ルモータ35が用紙Pを介して引っ張られて、結果的に回転させられるときのロールモー
タ33の回転速度であるが、その速度は、回転検出部34から出力されるロールモータ3
3の回転位置を示す信号を代用して求められる。
【0070】
以上のように、Duty(ro)からDuty(f)が減じられることにより、用紙Pには、テン
ションFが及ぼされる状態となる。以上のようなS03の、テンション制御しながらの駆
動が進行すると、用紙Pは、テンションFが作用する状態で、印刷ヘッド44と対向する
部位に送り込まれていく。
【0071】
なお、上述のテンションFは、その値の調整が可能となっている。すなわち、用紙Pの
種類やサイズ、印刷特性等に応じて、テンションFの値を変数として調整可能となってい
る。
【0072】
また、上述のようなS03の処理をしている際には、主制御部110は、所定のタイミ
ング毎に、予め定められている送り量Lpfだけ送られたか否かを判断する(S04)。
【0073】
また、上述のS04において、予め定められている送り量Lpfだけ送られたと判断され
る場合(Yesの場合)、ロールモータ35およびPFモータ53の駆動を停止させる(
S05)。
【0074】
続いて、印刷ヘッド44が不図示のキャリッジモータの駆動によって用紙Pの幅方向に
走査しつつ、印刷ヘッド44が駆動させられる(S06)。それにより、用紙Pに対して
、インク滴が付着して、1パス分の印刷が実行される。また、この1パス分の印刷が終了
すると、続いて、全てのパスの紙送りが終了したか否かを判断する(S07)。そして、
この判断において全てのパスの紙送りが終了したと判断される場合(Yesの場合)、一
連の処理が終了する。また、S07において、全てのパスの紙送りが終了していないと判
断される場合(Noの場合)、S02に戻り、一連の処理が継続する。
【0075】
なお、上述のS04における判断において、予め定められている送り量Lpfだけ送られ
ていないと判断される場合(Noの場合)、S03に戻り、処理を継続する。
【0076】
<本発明の適用による効果>
以上のように、図9に示すようなメジャメント動作を実行することによって、PFモー
タ53を駆動させずにロールモータ35のみを駆動させる際における、ロールモータ35
に作用する負荷と駆動速度との関係が測定される。そして、制御部100では、図9に示
すようなメジャメント動作と、PFモータ53の駆動速度とに基づくモータ実出力値Dx
が、ロールモータ35に与えられる。それにより、用紙Pは破断せずに下流側に良好に送
ることが可能となる。
【0077】
また以上のように、モータ実出力値Dxは、ロールモータ35に作用する負荷に関して
、図9に示すような関係からDuty(ro)を求め、そのDuty(ro)を反映させて算出されて
いる。そのため、PFモータ53の駆動速度が変動しても、ロールモータ35には、その
駆動速度の変動に追従する状態でモータ実出力値Dxが与えられる。それにより、用紙P
を弛ませることがなくなり、しかも用紙Pに作用させるテンションFの変動が少ない状態
が実現可能となる。
【0078】
また以上のように、上述したテンション制御を、ロール体RPに直結したロールモータ
35の駆動制御により実現するようにしたので、精度よくテンション制御を行うことがで
きる。
【0079】
原理的には、ギヤ輪列32を介して回転ホルダ31aに連結しているロールモータ33
を駆動制御することによっても、上述したテンション制御を実現することができる。しか
しながらこの場合ロールモータ33軸上の出力は、ギヤ輪列32によって増幅されるので
、ロールモータ33の、回転ホルダ31上の出力分解能が低下してしまい(即ちテンショ
ン調整の分解能が低下してしまい)、テンション制御を精度よく行うことができないこと
がある。
【0080】
これに対して、回転ホルダ31aに直結されているロールモータ35を利用すれば、ロ
ールモータ35の、回転ホルダ31a上の出力分解能は、ロールモータ33の、回転ホル
ダ31a上の出力分解能より細かいので(即ちテンション調整の分解能が低下しないので
)、テンション制御を精度よく行うことができる。
【0081】
例えばギヤ輪列32の減速比が100である場合、ロールモータ33とロールモータ3
5のモータ軸上の出力分解能が同じであっても、ロールモータ35の、回転ホルダ31a
上の出力分解能は、ロールモータ33のそれの1/100となる。
【0082】
なおロールモータ35を、ギヤ輪列32と同じ減速比のギヤ輪列を介して回転ホルダ3
1aに連結しても、ロールモータ35を、ロールモータ33に比べ高分解能のもの(例え
ば、ロールモータ33に比べ小出力のもの)にすれば、ロールモータ33の場合に比べ高
分解能でテンション調整を行うことができる。
【0083】
即ちロールモータ35の回転ホルダ31上の出力は、ロールモータ33の回転ホルダ3
1上の出力と比べ相対的に小さければよく、ロールモータ35を、ギヤ輪列を介して回転
ホルダ31に連結するか、またその場合の減速比をどの程度のものにするか、またロール
モータ35を回転ホルダ31に直結するか、さらにロールモータ35の出力をどの程度の
ものにするかは、テンション制御に最適な、回転ホルダ31上の出力分解能に基づいて決
定される。
【0084】
また以上のようにテンション制御を行うようにしたので、ロールモータ35、PFモー
タ53、およびこれらロールモータ35、PFモータ53に電力を与える電源等に個体差
(バラ付き)が存在していても、用紙Pに作用するテンションFのバラ付きを抑えること
が可能となる。また、本実施の形態では、ロールモータ35とPFモータ53とが同時に
駆動され、速度変動が生じる場合であっても、用紙Pには、常に所定のテンションFが与
えられる。そのため、用紙Pが弛むことがないばかりか、常に所定のテンションFが作用
する。このように、一度テンションFをある値に設定すれば、その設定が有効な限りにお
いて、常に安定した所定のテンションFが用紙Pに作用する状態で、印刷が実行され、当
該用紙Pに対する印刷品質を向上させることが可能となる。
【0085】
また以上のように、Dxは、テンションFの値を変数として調整可能となっているので
、用紙Pの種類やサイズ、印刷特性等に応じて、テンションFを変更し、印刷に対する種
々の要請に対応させた値にテンションFを設定することができる。
【0086】
なお以上においては、ロールモータ33が存在し、ロールモータ33の回転位置を検出
する回転検出部34が設けられていたので、回転検出部34から出力されるロールモータ
33の回転位置を示す信号を代用して、ロールモータ35の回転速度を検出するようにし
たが、ロールモータ33のような他のロールモータが存在しない場合には、ロールモータ
35の回転位置を検出する回転検出部を別途設けることによって、上述した場合と同様に
、テンション制御を行うことができる。
【0087】
また、本発明においては、PFモータ53の駆動による用紙Pの送り量が、ロールモー
タ35の駆動による用紙Pの送り量よりも大きくなる状態で、ロールモータ35およびP
Fモータ53の駆動を制御することができる。この場合、用紙Pには、ロールモータ35
とPFモータ53との間の送り量の差を起因とするテンションFが付与される。そのため
、用紙Pが弛むことがないばかりか、常に所定のテンションFが作用することによって、
用紙Pの搬送の下流側における印刷品質を向上させることが可能となる。
【0088】
以上においては、スキューを解消するために、PFモータ53と同期して、用紙Pをロ
ール体RPに巻き戻す方向に回転するように、ロールモータ33の駆動が制御された。
その他、ユーザがロール体RPから用紙Pを引き出す際に、ユーザのその引き出し作業
をアシストするために、紙送り方向に回転するように、ロールモータ33の駆動を制御す
ることもできる。
ロール体RPは、例えば、10メーターあるいは20メーターを超える長さの帯状の用
紙Pが巻かれたものであるため、その重量は大きいが、このロールモータ33のアシスト
駆動により、ユーザは小さな力で用紙Pをロール体RPから引き出すことができるように
なる。
またロールモータ33の紙送り方向への回転により、PFモータ53の紙送り量より多
くの用紙Pが送りだされた場合、用紙Pの弛みが生じるが、そのようなときにロールモー
タ33の回転が停止するように、ロールモータ33の駆動を制御することもできる。
例えば印刷中に、ユーザが誤ってロール体RPを手で回してしまった場合、ロールモー
タ33の回転を停止させることができ、例えば用紙Pの弛みを防止することができる。
【0089】
また以上においては、ギヤ輪列32を動力伝送装置として用い、ロールモータ33等を
そのギヤ輪列32等を介して回転ホルダ31に連結する場合を例として説明したが、例え
ばベルト等の他の動力伝送装置を介して回転ホルダ31に連結することもできる。
【0090】
<変形例>
以上、本発明の一実施の形態について述べたが、本発明は、種々変形可能である。以下
、それについて述べる。上述の実施の形態においては、モータ制御装置は、プリンタ10
に設けられている場合について説明している。しかしながら、モータ制御装置は、プリン
タ10に設ける場合には限られず、ロール体(ロール紙)を用いるファックス等に適用す
るようにしても良い。また、上述の実施の形態では、用紙Pをロール紙としているが、用
紙P以外に、フィルム状の部材、樹脂製のシート、アルミ箔等としても良い。
【0091】
また、上述の実施の形態では、出力信号(ENC信号)のレベル変化を検出する場合、
A相およびB相の2つのENC信号を用いている。しかしながら、出力信号のレベル変化
を検出するのに際して、1つのみのENC信号、または位相が互いに異なる3つ以上のE
NC信号を用いるように構成しても良い。
【0092】
また、制御部100は、上述の実施の形態のものには限られず、例えばASIC105
のみでロールモータ35、PFモータ53の制御を司るように構成しても良く、また、こ
れら以外に種々の周辺機器が組み込まれた1チップマイコン等を組み合わせて、制御部1
00を構成するようにしても良い。
【0093】
さらに、上述の実施の形態では、制御部100におけるPID制御は、速度に関して行
っているが、位置に関するPID制御を行うようにしても良い。また、PFモータ53の
制御は、PID制御には限られず、PI制御に本発明を適用するようにしても良い。
【0094】
また、上述の実施の形態におけるプリンタ10は、スキャナ装置やコピー装置のような
、複合的な機器の一部であっても良い。さらに、上述の実施の形態においては、インクジ
ェット方式のプリンタ10に関して説明している。しかしながら、プリンタ10としては
、流体を噴射可能なものであれば、インクジェット方式のプリンタには限られない。例え
ば、ジェルジェット方式のプリンタ、トナー方式のプリンタ、ドットインパクト方式のプ
リンタ等、種々のプリンタに対して、本発明を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の一実施の形態に係るプリンタの構成を示す斜視図である。
【図2】図1のプリンタの駆動系の位置関係を示す図である。
【図3】図1のプリンタの概略構成を示す図である。
【図4】ENC信号を示す図である。
【図5】ロール体と搬送ローラ対、印刷ヘッドの位置関係を示す図である。
【図6】制御部の構成の一例を示すブロック図である。
【図7】出力演算部の概略構成を示すブロック図である。
【図8】速度テーブルの一例を示す図である。
【図9】メジャメント動作におけるDuty値と速度との関係を示す図である。
【図10】シンクロ駆動制御における動作フローを示す図である。
【符号の説明】
【0096】
10…プリンタ、20…本体部、30…ロール駆動機構、33…ロールモータ(第1モ
ータに対応)、34,54…回転検出部、34b,54b…リニアセンサ、35…ロール
モータ(第2モータに対応)40…キャリッジ駆動機構、44…印刷ヘッド(流体噴射ヘ
ッドに対応)、50…用紙搬送機構、51…搬送ローラ対、53…PFモータ(第3モー
タに対応)、100…制御部(モータ制御装置、負荷測定手段、モータ制御手段に対応)
、110…主制御部、120…PFモータ制御部、130…ロールモータ制御部、201
,202…出力演算部、RP…ロール体、P…用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール紙が巻回されているロール体から当該ロール紙を供給するべく上記ロール体を回
転させるための駆動力を与える第1モータおよび第2モータと、
上記ロール紙の供給方向に沿って上記ロール体よりも下流側に設けられる搬送駆動ロー
ラであって上記ロール紙を搬送させるための搬送駆動ローラを駆動させる駆動力を与える
第3モータと、
上記第3モータを駆動させずに上記第2モータのみを駆動させる際に当該第2モータに
作用する負荷と上記第2モータの駆動速度との関係を測定する負荷測定手段と、
いずれかのタイミングにおいて上記第2モータと上記第3モータとを同時に駆動させる
と共に、その制御の際に上記負荷測定手段での測定結果と上記第3モータの駆動速度とに
基づく補間出力を上記第2モータに対して与えて、上記第3モータの駆動による上記ロー
ル紙の下流側に向かう搬送時において、前記ロール紙に所定のテンションを与えるための
制御を行うモータ制御手段と
を備え、
上記第2モータの、上記ロール体の回転軸上の出力分解能は、上記第1モータの、上記
ロール体の回転軸上の出力分解能より細かい
ことを特徴とするモータ制御装置。
【請求項2】
前記第2モータの出力は、前記第1モータの出力より小さい
ことを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項3】
前記第1モータは、第1の減速比を有する動力伝達装置を介して前記ロール体の回転軸
に連結され、
前記第2モータは、上記第1の減速比より小さい減速比の動力伝達装置を介して前記ロ
ール体の回転軸に連結されるか、または前記ロール体の回転軸に直結される
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のモータ制御装置。
【請求項4】
前記動力伝達装置は、ギヤ輪列またはベルトで構成される
ことを特徴とする請求項3に記載のモータ制御装置。
【請求項5】
前記モータ制御手段は、前記第3モータの駆動による前記ロール紙の送り量が、前記第
2モータの駆動による前記ロール紙の送り量よりも大きくなる状態で、前記第2モータお
よび前記第3モータの駆動を制御することを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置

【請求項6】
請求項1から4のいずれか1項に記載のモータ制御装置を具備すると共に、
前記ロール紙に対して流体を噴射する流体噴射ヘッドを備えることを特徴とする流体噴
射装置。
【請求項7】
ロール紙が巻回されているロール体から当該ロール紙を供給するべく上記ロール体を回
転させるための駆動力を与える第1モータおよび第2モータと、
上記ロール紙の供給方向に沿って上記ロール体よりも下流側に設けられる搬送駆動ロー
ラであって上記ロール紙を搬送させるための搬送駆動ローラを駆動させる駆動力を与える
第3モータとを備えるモータ制御装置のモータ制御方法において、
上記第3モータを駆動させずに上記第2モータのみを駆動させる際に当該第2モータに
作用する負荷と上記第2モータの駆動速度との関係を測定する負荷測定ステップと、
いずれかのタイミングにおいて上記第2モータと上記第3モータとを同時に駆動させる
と共に、その制御の際に上記負荷測定ステップでの測定結果と上記第3モータの駆動速度
とに基づく補間出力を上記第2モータに対して与えて、上記第3モータの駆動による上記
ロール紙の下流側に向かう搬送時において、前記ロール紙に所定のテンションを与えるた
めの制御を行うモータ制御ステップと
を含み、
上記第2モータの、上記ロール体の回転軸上の出力分解能は、上記第1モータの、上記
ロール体の回転軸上の出力分解能より細かい
ことを特徴とするモータ制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−263088(P2009−263088A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−114922(P2008−114922)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】