説明

モータ防水構造製造方法

【課題】放熱性のよいモータ防水構造。
【解決手段】
次のステップにより製造する:モータ固定子部材外部をワックスからなる第1被覆材で被覆し、更に、該第1被覆材を熱硬化性樹脂からなる第2被覆材で被覆すると共に該第2被覆材には少なくとも1つの開口を残しておき、加熱して該第2被覆材を硬化させ、同時に第1被覆材を軟化、溶解して該開口から排出し、その後、該開口を密閉して、モーター固定子の防塵、防水構造を完成する。モータ固定子部材を保護すると共に、第1被覆材の抜けた空間により放熱性と軽量化がなされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ防水構造製造方法に関し、特に、モータ固定子外部に複数層の被覆材を被覆し、加熱によって、該被覆材に対し、低融点の被覆層を溶解除去し、及び他方の被覆層を硬化させて、モータ固定子の保護、コスト低減、重量軽減を達成するモータ防水構造製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の空冷ファン装置は、発熱部材に対し、送風して強制放熱する最良の選択肢であり、且つ放熱効果も最良であり、通常、ファンフレーム、固定子、及び回転子を備え、該固定子及び回転子は、該ファンフレーム内に装着され、該固定子は、コイル、電磁鋼組及び支持構造を有し、且つ回路板に接続され、該固定子及び該回転子に磁気励起させて、該回転子を回転させるが、該固定子及び回路板は、空気と直接接触し、空気中の水分及び灰塵によって、該部材に湿気及び埃を受けて部材損傷を招き、部材が動作不能になる。
【0003】
従来技術は、樹脂充填又は射出成型の方式を採用し、該固定子外部に一層のプラスチックフレームを被覆し、外部の水分及び灰塵による部材への湿気又は埃の侵入を防止するが、この構造は完全とはいえず、樹脂充填又は射出成型方式は、可塑材料を該固定子外部に完全に緊密に貼合被覆し、同時に固定子中の隙間空間を充填し、固定子及び該可塑材料フレームの間に隙間が無いようにするので、固定子が放熱できず、熱の堆積を発生し易く、このため従来技術は、下記欠陥を有する:
1.コストが高い
2.固定子が熱堆積現象を発生し易い
3.重量が重い
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−217773号公報
【特許文献2】特開2009−156230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の従来技術の欠陥を解決するため、本発明の目的は、固定子部材を保護し、湿気又は埃を受けることを回避可能なモータ防水構造製造方法を提供することである。
【0006】
本発明のもう1つの目的は、固定子の熱堆積を回避するモータ防水構造製造方法を提供することである。
【0007】
本発明の更にもう1つの目的は、被覆材料を節減し、コストを低減可能なモータ防水構造製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明が提供するモータ防水構造製造方法は、以下のステップを含む:
モータ固定子部材を提供する;
該モータ固定子部材外部を低融点物質からなる第1被覆材で被覆する;
該第1被覆材に更に熱硬化性の材料からなる第2被覆材で被覆し、該第2被覆材は、少なくとも1つの開口を残して、密閉しないようにする;
前記第2被覆材に対し、加熱硬化し、同時に前記第1被覆材を軟化し、該第2被覆材の開口から排出する;
該第2被覆材の開口箇所を密閉する。
【発明の効果】
【0009】
第1被覆材の配設によって固定子周囲に放熱空間を持たせ、固定子に熱が堆積し難くし、第2被覆材の使用を節減することができ、材料を大幅に節減し、コストを低減し、重量を減少することができ、更に、第1被覆材が熱を受け、熔解して除去回収されることにより繰り返し使用でき、生産コストを大幅低減できる。従って、本発明は、以下の利点を有する:
1.モータ内部に熱を堆積しない
2.コストを低減する
3.重量を減少する
4.モータの使用寿命を延長する
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のモータ防水構造製造方法のフロー図である。
【図2】本発明のモータ防水構造製造方法の製造説明図である。
【図3】本発明のモータ防水構造製造方法の製造説明図である。
【図4】本発明のモータ防水構造製造方法の製造説明図である。
【図5】本発明のモータ防水構造製造方法の製造説明図である。
【図6】本発明のモータ防水構造製造方法の製造説明図である。
【図7】本発明のモータ防水構造製造方法の製造説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の上記目的及びその構造及び機能上の特性について、図面に基づく実施例を挙げ以下に説明する。
【0012】
図1,2,3,4,5,6は、本発明のモータ防水構造製造方法のフロー図及び製造説明図であり、図に示すように、本発明のモータ防水構造製造方法は、以下のステップをからなる。
ステップ1:モータ固定子部材を提供する;
モータ固定子部材1を提供し、該モータ固定子部材1は、電磁鋼組11を具え、回路板12に突き合わせ接合し、該電磁鋼組11外部に複数のコイル13を巻回する。
【0013】
ステップ2:該モータ固定子部材を被覆材で被覆する;
該モータ固定子部材1(即ち、該電磁鋼組11、回路板12、コイル13)の前記電磁鋼組11が該回路板12に突き合わせ接合され、前記コイル13は、該電磁鋼組11外部に巻きつけられ、前記モータ固定子部材1外部は、一層の第1被覆材2で被覆し、前記第1被覆材2は、本実施例において、ワックス材料を例とし、実施例を説明するが、これに制限するものではなく、前記ワックス材料は、石化ワックス、木ワックス及び鉱物ワックス及び石化ワックス及び金属ワックスのうちの何れか1つであり、本実施例は、金属ワックスを例とし実施例を説明するが、これに限定するものではなく、前記第1被覆材は、該電磁鋼組11、回路板12、及びコイル13の相互間の隙間中に充填され、同時に該電磁鋼組11、回路板12、及びコイル13外部に被覆される。
【0014】
ステップ3:該第1被覆材外に更に第2被覆材を被覆し、該第2被覆材が少なくとも1つの開口を保留し、密閉しないようする;
前記第1被覆材2外部は、更に第2被覆材3を被覆し、前記第2被覆材3は、本実施例において、熱硬化性プラスチック(例えば、エポキシ樹脂熱硬化型樹脂)で説明するがこれに限定するものではなく、前記第2被覆材3は、射出成型加工により該第1被覆材2外部に形成される。
前記外層に第1被覆材2を被覆したモータ固定子部材1を射出成型金型4のキャビティ41内に置き、熔融状態の第2被覆材3を更に該第1被覆材2の外部に被覆し、同時に開口31を残して、被覆させないようする。
【0015】
ステップ4:前記第2被覆材に対し加熱硬化し、同時に前記第1被覆材を軟化、溶解させて、該第2被覆材の開口から該第2被覆材内部に排出する;
前記第1被覆材2外部に成型した第2被覆材3に対し、加熱硬化し、前記第2被覆材3が熱を受け硬化すると同時に、該第1被覆材2は、融点が低いことにより熔解を開始し、前記第2被覆材3の残留開口31箇所から該第2被覆材3内部に排出し、更に、該モータ固定子部材1及び該第2被覆材3間に空間32を形成して、第2被覆材3の節減及び重量軽減の目的を達成するだけでなく、第2被覆材3及びモータ固定子部材1間に空間21が存在することにより、モータ固定子部材1に熱堆積が生じない。
【0016】
また、該第1被覆材2は、熱を受けて熔解するので、回収使用でき、即ち、生産コストを大幅に低減することができる。
【0017】
更に、このステップは、射出成型金型4中で行うか、又は該モータ固定子部材1を該射出成型金型4から取り出して行うこともできる。
【0018】
ステップ5:該第2被覆材の開口箇所を密閉する。
最後に、前記第1被覆材2が該第2被覆材3及び該モータ固定子1間の空間32から完全に排出された後、前記残りの開口31を密閉し、該第2被覆材3に該モータ固定子部材1を完全に密閉する。
【符号の説明】
【0019】
1 モータ固定子部材
11 電磁鋼組
12 回路板
13 コイル
2 第1被覆材
3 第2被覆材
31 開口
32 空間
4 射出成型金型
41 キャビティ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップ:
モータ固定子部材を提供する;
該モータ固定子部材外部に少なくとも1つの第1被覆材を被覆する;
該第1被覆材に更に第2被覆材を被覆し、該第2被覆材は、少なくとも1つの開口を残して、密閉しないようにする;
前記第2被覆材に対し、加熱硬化し、同時に前記第1被覆材を軟化し、該第2被覆材の開口から該第2被覆材内部に排出する;
該第2被覆材の開口箇所を密閉する;
ことからなるモータ防水構造製造方法。
【請求項2】
前記第1被覆材は、ワックス材料である請求項1に記載のモータ防水構造製造方法。
【請求項3】
前記ワックス材料は、石化ワックス、木ワックス、鉱物ワックス、石ワックス及び金属ワックスのうちの何れか1つである請求項2に記載のモータ防水構造製造方法。
【請求項4】
前記第2被覆材は、熱硬化性プラスチックである請求項1に記載のモータ防水構造製造方法。
【請求項5】
前記第2被覆材は、射出成型加工により第1被覆材外部に形成される請求項1に記載のモータ防水構造製造方法。
【請求項6】
前記モータ固定子部材は、電磁鋼組は、回路板に突き合わせ接合し、該電磁鋼組外部に複数のコイルを設ける請求項1に記載のモータ防水構造製造方法。
【請求項7】
前記射出成型加工は、前記外層に第1被覆材を被覆するモータ固定子部材を射出成型金型のキャビティ内に載置し、熔融状態の第2被覆材で更に第1被覆材の外部を被覆する請求項5に記載のモータ防水構造製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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