モータ
【課題】非磁性体からなる上ケースと磁性体からなるバックヨークとマグネットとを接着剤無しでも互いに容易に組み付けることを可能にしたモータを提供する。
【解決手段】このモータにおいては、バックヨーク13が上ケース11と下ケース21で挟み込まれ、しかも、バックヨーク13は、上ケース11の側壁11bの内周面に圧着されるように、上ケース11に嵌合しており、上下のケース11,21に対して強固に固定され、ガタツキを抑え、周方向の位置ズレ防止する。マグネット14は、磁気吸着力と圧着力とによってバックヨーク13に固定しており、周方向の位置ズレ防止する。
【解決手段】このモータにおいては、バックヨーク13が上ケース11と下ケース21で挟み込まれ、しかも、バックヨーク13は、上ケース11の側壁11bの内周面に圧着されるように、上ケース11に嵌合しており、上下のケース11,21に対して強固に固定され、ガタツキを抑え、周方向の位置ズレ防止する。マグネット14は、磁気吸着力と圧着力とによってバックヨーク13に固定しており、周方向の位置ズレ防止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、携帯通信機器(例えば携帯電話)、携帯情報端末機器、遊技機器(例えば、ゲームコントローラ)等に内蔵されて、着信報知機能やタッチパネルの操作感向上機能の振動発生源等として利用される小型のモータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、特開平8−126234号公報がある。この公報に記載されたモータにおいて、樹脂からなる円筒状のモータケース内には、磁性体からなるC字状のモータフレーム(バックヨーク)が挿入され、モータフレーム内にはO字状のマグネットが挿入されている。モータフレームの直径は、モータフレームをモータケースに圧入される前は、モータケースの内径より大きく、バネ性をもったモータフレームの径が縮むことで、モータフレームの外面がモータケースの内面に圧着される。これによって、接着剤が無くても、モータケースにモータフレームを固定させることができる。そして、このような圧着後、モータフレーム内にマグネットが挿入されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−126234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来のモータは、モータケースが非磁性の樹脂から形成されているので、磁性体からなるモータフレーム(バックヨーク)を必要とし、このモータフレームはモータケースに対して接着剤不要になっている。しかしながら、マグネットは、モータフレームに対して圧入か接着剤を利用して、固定されるが、この点については何ら開示されていない。また、モータフレームは、バネ力によってモータケースに圧着されているだけなので、モータフレームにガタツキが発生し易く、モータフレームが周方向に回り易くなる。モータフレームのガタツキに伴ってマグネットにガタツキが発生し易くなるので、マグネットも周方向に回るような位置ズレを起こす虞があり、接着剤無しでマグネットをモータフレームに固定させ難いといった問題点がある。
【0005】
本発明は、非磁性体からなる上ケースと磁性体からなるバックヨークとマグネットとを接着剤無しでも互いに容易に組み付けることを可能にしたモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、シャフトを中心に回転するコアと、コアを包囲する環状のマグネットと、を有するモータにおいて、
マグネットを収容すると共に、非磁性体からなる円筒状の上ケースと、
上ケースの開口を塞ぐ下ケースと、
マグネットを包囲すると共に、上ケースの側壁の内面とマグネットとの間に配置されたC字リング状のバックヨークと、を備え、
バックヨークは、上ケースと下ケースとで挟み込まれると共に、バネ性を有するバックヨークはマグネットが圧着されて、上ケースの側壁の内面に圧着されることを特徴とする。
【0007】
このモータにおいては、バックヨークが上ケースと下ケースで挟み込まれ、しかも、バックヨークは、上ケースの側壁の内面に圧着されるように、上ケースに嵌合されているので、バックヨークは、上下のケースに対してしっかりと固定され、バックヨークのガタツキを抑え、バックヨークが周方向に回わるような位置ズレが起こり難い。マグネットは、磁気吸着力と圧着力とによってバックヨークに固定されているので、バックヨークにガタツキが発生しなければ、マグネットも周方向に回るような位置ズレを起こし難い。従って、位置ズレ防止の観点から、接着剤無しでも、非磁性体からなる上ケースと磁性体からなるバックヨークとマグネットとを互いに組み付けることができる。なお、上ケースとバックヨークとマグネットとの寸法精度にもよるが、互いの結合性を更に向上をさせて耐久性アップを図るために、接着剤を利用しても良い。
【0008】
また、バックヨークの下端から内側に向かって突出する爪片によって、マグネットの下端面が保持されていると好適である。
このような構成を採用すると、バックヨークが上ケースと下ケースで挟み込まれると同時に、下ケースからマグネットを浮かせることができるので、上ケースと下ケースによるマグネットの挟み込みを防止して、組立て時にマグネットに割れ、欠け、残留応力が発生するのを防止することができる。
【0009】
また、マグネットの下端面には、爪片が入り込む切欠き部が形成されていると好適である。
このような構成を採用すると、上ケースと下ケースによるマグネットの挟み込みの防止と、マグネットの周方向への回り止めとを同時に達成させることができる。
【0010】
また、上ケースの側壁の内面には、内側に向かって突出する凸部が形成され、この凸部は、C字状のバックヨークの両端の間に位置する離間部分に入り込むと好適である。
このような構成を採用すると、上ケースに対するバックヨークの周方向への回り止めを更に向上させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、非磁性体からなる上ケースと磁性体からなるバックヨークとマグネットとを接着剤無しでも互いに容易に組み付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るモータの一実施形態を示す外観斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】本発明に係るモータの分解斜視図である。
【図4】上ケースアッセンブリを示す分解斜視図である。
【図5】下ケースアッセンブリを示す分解斜視図である。
【図6】ロータアッセンブリ及び錘を示す分解斜視図である。
【図7】ロータアッセンブリ及び錘を示す斜視図である。
【図8】ロータアッセンブリ及び錘を示す平面図である。
【図9】ロータアッセンブリに錘を組み付ける前の状態を示す平面図である。
【図10】本発明に係るモータに適用する錘を示す斜視図である。
【図11】錘を別の角度から見た斜視図である。
【図12】錘をさらに別の角度から見た斜視図である。
【図13】本発明に係るモータに適用されるブラシアッセンブリを示す斜視図である。
【図14】図13に示されたブラシアッセンブリの平面図である。
【図15】ブラシアッセンブリの側面図である。
【図16】ブラシアッセンブリを底面側から見た斜視図である。
【図17】下ケースのスリット内にブラシアッセンブリの突起部を挿入した状態を示す断面図である。
【図18】上ケースアッセンブリの要部拡大断面図である。
【図19】上ケースアッセンブリの他の例を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明に係るモータの好適な実施形態について詳細に説明する。
【0014】
図1〜図3に示すように、小型のモータ1は、携帯通信機器(例えば携帯電話)に内蔵させて、呼び出し機能等の振動発生源として利用される直径約10mm、厚さ約3mmのコイン型をなし、組立て作業を容易にするために、ステータを構成する上ケースアッセンブリ10と、モータ1のベースをなす下ケースアッセンブリ20と、ロータを構成するロータアッセンブリ30と、給電を可能にするブラシアッセンブリ45と、高比重金属(例えばタングステン)からなる錘50とから構成されている。
【0015】
図2〜図4に示すように、上ケースアッセンブリ10は、非磁性材料(例えばステンレス又は樹脂)からなるカップ状の上ケース11と、上ケース11の内壁面に固定されると共に、軟磁性材料で形成されてバネ性をもったCリング状のバックヨーク13と、バックヨーク13の内壁面に固定されるOリング状のマグネット14とから主として構成されている。また、上ケース11の開口を塞ぐように、上ケース11に対してカシメやレーザ溶接等によって接合される非磁性材料(例えばステンレス又は樹脂)からなる皿状の下ケース21と、上ケース11とで、筐体19が構成される。
【0016】
さらに、バックヨーク13の上端13d及び下端13eは、上ケース11の天板部11cの裏面と下ケース21の上面とで挟み込まれ、バックヨーク13の内周面にはマグネット14の外周面が圧着され、バックヨーク13の外周面は、上ケース11のリング状の側壁11bの内周面に圧着されている。
【0017】
このモータ1においては、バックヨーク13が上ケース11と下ケース21で挟み込まれ、しかも、バックヨーク13は、上ケース11の側壁11bの内周面に圧着されるように、上ケース11に嵌合されているので、バックヨーク13は、上下のケース11,21に対してしっかりと固定され、バックヨーク13のガタツキを抑え、バックヨーク13が周方向に回わるような位置ズレが起こり難い。マグネット14は、磁気吸着力と圧着力とによってバックヨーク13に固定されているので、バックヨーク13にガタツキが発生しなければ、マグネット14も周方向に回るような位置ズレを起こし難い。従って、位置ズレ防止の観点から、接着剤無しでも、非磁性体からなる上ケース11と磁性体からなるバックヨーク13とマグネット14とを互いに組み付けることができる。
【0018】
バネ性を有するC字状のバックヨーク13には、バックヨーク13を径方向に押し開くように、マグネット14が嵌合されている。バネの付勢力によってマグネット14が装着されたバックヨーク13を上ケース11に圧着する際に、マグネット14が上ケース11によって直接押圧されないので、バックヨーク13が緩衝材として機能して、マグネット14に割れ、欠け、残留応力が発生し難くなる。また、バネ力によって上ケース11にマグネット14が保持されるので、マグネット14と一緒にバックヨーク13を、上ケース11に容易に圧着させることができる。
【0019】
バックヨーク13の両端13a,13bの間には離間部分Rが設けられ、上ケース11のリング状の側壁11bの内周面には、内側に向かって突出する凸部11aが形成され、この凸部11aは、C字状のバックヨーク13の離間部分Rに入り込む(図18参照)。この凸部11aは、上ケース11の側壁11bと天板部11cとの境界部分を上からプレスすることで、内側に向かって突出させている。このような構成を採用すると、上ケース11に対するバックヨーク13の周方向への回り止めを可能にする。
【0020】
バックヨーク13の下端には、径方向で内側に向かって突出する爪片13cが形成され、爪片13cによって、マグネット14の下端面14bが保持される。そして、マグネット14の下端面14bには、爪片13cが入り込む切欠き部14aが形成されている。
【0021】
このような構成を採用すると、バックヨーク13が上ケース11と下ケース21で挟み込まれると同時に、下ケース11からマグネット14を、隙間P(図2参照)をもって浮かせることができるので、上ケース11と下ケース21によるマグネット14の挟み込みを防止して、組立て時にマグネット14に割れ、欠け、残留応力が発生するのを防止することができる。さらに、爪片13cと切欠き部14aとの協働により、上ケース11と下ケース21によるマグネット14の挟み込みの防止と、マグネット14の周方向への回り止めとを同時に達成させることができる。
【0022】
また、2本の爪片13cが対向して配置されているので、下ケース21に対してマグネット14を確実に浮かせることができる。なお、爪片13cは、3本以上で等間隔に配置させてもよく、下ケース21に対してマグネット14を確実に浮かせることができるのであれば、本数や配置位置に関しては様々な設計変更が可能である。
【0023】
また、上ケースアッセンブリ10の組立て前にマグネット14が着磁されている場合と、上ケースアッセンブリ10の組立て後にマグネット14が着磁される場合とがあり、組立て前の着磁については、爪片13c、切欠き部14a、凸部11a及び離間部分Rは、ブラシ片47に対するマグネット14の極性合わせにも利用される。
【0024】
図5に示すように、下ケースアッセンブリ20は、上ケース11に対してカシメやレーザ溶接等によって接合される非磁性材料(例えばステンレス又は樹脂)からなる皿状の下ケース21と、下ケース21の中央に固定されたシャフト22とからなり、下ケース21には、皿状の本体部21aから径方向に延在する張り出し部21bが設けられている。さらに、下ケース21には、ブラシアッセンブリ45が固定され、張り出し部21b上にブラシアッセンブリ45が配置される。
【0025】
図3に示すように、ロータアッセンブリ30は、上ケース11と下ケース21とからなる筐体19内に収容されると共に、シャフト22に対し回転自在に軸支される。さらに、図6〜図8に示すように、このロータアッセンブリ30は、コイル31と、コイル31が巻き付けられるコア32と、コイル31に電流を供給するためのコミテータ33と、コミテータ33を保持するためのコミテータホルダ34と、コア32の中央孔32aに圧入されると共に、シャフト22が挿入される軸孔36aを有する円筒状の軸受36と、火花及びノイズの発生を防止するためのバリスタ37とからなる。
【0026】
このモータ1は、2極3スロットであり、コア32は、打ち抜き加工された厚さ0.2mmの珪素鋼板を3枚積層することにより作り出されている。コミテータ33は、銅製薄板のプレス成形によって作られた3枚のコミテータセグメント38からなる。各コミテータセグメント38は、回転軸線Lに沿って延在する断面円弧状のブラシ摺接部38aと、コイル31が結線されると共に、コア32の径方向に延在してスロット内に突出するライザ部38bと、ブラシ摺接部38aとライザ部38bとを連結するL字状の連結部38cとからなる(図2参照)。なお、コア32は、単板であってもよい。
【0027】
3個のコミテータセグメント38はコミテータホルダ34に組み付けられて、コミテータアッセンブリが構成される。このコミテータアッセンブリは、コミテータホルダ34の中央孔34a内に軸受36を圧入することで、コア32と一体化する。
【0028】
さらに、リング状のバリスタ37は、コミテータホルダ34の周縁に設けられた各立設部34bで挟持され、バリスタ37の中央孔37b内に軸受36の頂部が挿入される。このようにして、コア32上とバリスタ37を固定した後、コイル31の電線31aがライザ部38bの先端に巻き付けられ、各電線31aとライザ部38bとバリスタ37の各電極37aとを半田Hによって電気的に接続させる。
【0029】
図5に示すように、ブラシアッセンブリ45は、下ケース21に取付け可能な板状の本体部46と、この本体部46から突出して、各コミテータセグメント38のブラシ摺接部38aに接触する一対のブラシ片47と、本体部46の端部で上ケース11から露出する一対のターミナル48とからなる。そして、ブラシ片47とターミナル48とは本体部46内で接続されている。ロータアッセンブリ30の軸受36の軸孔36a内にシャフト22を挿入した後に、ブラシアッセンブリ45は、下ケース21に径方向から装着され、上ケース11と下ケース21との組合わせによって出現する矩形の開口49(図1参照)から一部が径方向に露出する。
【0030】
図8〜図12に示すように、コア32に錘50が固定される。このコア32は、軸受36が圧入される中央孔32aをもったリング状の中央部39(図6参照)と、この中央部39から放射状に突出する突極40a,40b,40cとからなる。等間隔に配置された各突極40a,40b,40cは、コイル31が巻かれる巻線部41a,41b,41cと、巻線部41a,41b,41cの端部から円周方向に延在するウイング部42a,42b,42cとからなる。
【0031】
錘50は、隣接するウイング部42a,42bを上下で挟み込むようにウイング部42a,42bに沿って延在する第1及び第2の錘部51a,51bと、第1の錘部51aと第2の錘部51bとの間で延在して、隣接するウイング部42a,42bの挿入を可能にしたスリット状の差込み部52と、差込み部52を左右に分断するように第1の錘部51aと第2の錘部51bとを回転軸線L方向に連結して、隣接するウイング部42a,42b間(すなわちスロット)に挿入される第3の錘部53とを備えている。
【0032】
第3の錘部53は、ウイング部42aの端とウイング部42bの端との間の隙間Bと略同等の幅を有しているので、第3の錘部53の左右(周方向)のガタツキをウイング部42a,42bによって抑制することができる。
【0033】
この錘50は、コア32に対して径方向に差し込むように装着される。このとき、上下で平行に延在する第1及び第2の錘部51a,51bをガイドにしながら、錘50の差込み部52内にコア32の各ウイング部42a,42bが差し込まれるので、コア32に対する錘50の組付け作業性が非常によい。そして、このような挿入作業によって、モータ1を振動させ易い場所である突極40aと突極40bとの間(すなわちスロット)に、錘50の一部をなす第3の錘部53が配置されるので、モータ1の高振動を確保させることができる。
【0034】
さらに、第1及び第2の錘部51a,51bは、ウイング部42a,42bに沿って延在するので、第1及び第2の錘部51a,51bにおけるウイング部42a,42b上の部分をも振動に有効に寄与させることができる。モータ1の小型化によってコア32の径が小さくなった場合でも、この部分で錘50の質量を確保することができ、モータ1の小型化によるモータ1の振動量の低下を抑制することができる。
【0035】
コア32に対する錘50の組付け作業性を更に良好にするために、ウイング部42a,42bの外径部の周面には凹部43a,43bが形成され、錘50には、第1の錘部51aと第2の錘部51bとを連結して、ウイング部42a,42bの凹部43a,43b内に挿入され且つ嵌合する係止部54a,54bが設けられている。
【0036】
凹部43a,43bと係止部54a,54bは、互いに三角形状をなし、密着する。また、図9に示すように、凹部43aの二壁面のうちの一方の壁面43aAは、装着方向Aと略同一方向に延在し、凹部43bの二壁面のうちの一方の壁面43bAは、装着方向Aと略同一方向に延在する。同様に、係止部54aの二壁面のうちの一方の壁面54aAは、差込み方向Aと略同一方向に延在し、係止部54bの二壁面のうちの一方の壁面54bAは、差込み方向Aと略同一方向に延在する。
【0037】
これによって、錘50の装着作業時に、凹部43a,43b内に係止部54a,54bを簡単且つ確実に入り込ませることができ、凹部43a,43bの他方の壁面43aB,43bBに錘50の係止部54a,54bの他方の壁面54aB,54bBを突き当てることで、錘50の差込み方向(装着方向)奥側の位置決めを容易且つ確実に達成することができる。しかも、この係止部54a,54bは、錘50の一部をなしているので、モータ1の振動に寄与させることができる。
【0038】
コア32に対する錘50の組付け作業性を更に良好にするために、錘50には、左右一対の第1のカシメ部56a,56bと第2のカシメ部57a,57bとが設けられている。各カシメ部56a,56b,57a,57bは、回転軸線L方向でも対をなしており、矩形のブロック状をなす第3の錘部53に隣接すると共に、第1及び第2の錘部51a,51bからウイング部42a,42bを越えて突極40a,40b間に向けて突出する。
【0039】
そして、下方に位置する第1のカシメ部56a,56bを台などで支持して、上方から第2のカシメ部57a,57bの打点K(図8参照)を上方から加圧することで、第1のカシメ部56a,56bと第2のカシメ部57a,57bとが近づくように、第1及び第2のカシメ部56a,56b,57a,57bが回転軸線L方向にカシメられる。その結果、錘50を回転軸線L方向に抜け難くすることができ、このようなカシメ作業によって、錘50をコア32に簡単に且つ確実に固定させることができる。
【0040】
また、コイル31の近くでレーザ溶接を施工する必要がないので、レーザによるコイル31の断線を回避させることができる。さらには、モータ1を振動させ易い場所である突極40a,40b間に、錘50の一部を構成している第1及び第2のカシメ部56a,56b,57a,57bを配置させているので、各カシメ部56a,56b,57a,57bは、第3の錘部53と相俟ってモータ1の高振動に寄与される。
【0041】
さらに、三角形状をなす一対の第1のカシメ部56a,56bは、第3の錘部53を両側から挟み込むように第3の錘部53に一体化している。これに対し、三角形状をなす一対の第2のカシメ部57a,57bは、第1のカシメ部56a,56bに対向して配置されると共に、第3の錘部53から離間する。
【0042】
このように、第2のカシメ部57a,57bは、第3の錘部53から離間しているので、第2のカシメ部57a,57bは、カシメ作業により曲げ易くなっている。従って、タングステンなどの硬質材からなる錘50にカシメ作業を適用し易く、カシメ時に錘50の割れや破損が起こり難くなる。
【0043】
さらに、第2のカシメ部57a,57b間で第3の錘部53の上方に凹部58が形成され、径方向に延在するライザ部38bがこの凹部58内に挿入される。ライザ部38bがコア32の径方向に延在することで、モータ1の薄型化を可能にし、このようなライザ部38bに邪魔されることなく、第3の錘部53をコア32の径方向に延ばすことができ、錘50の質量を増大させることができる。
【0044】
図8及び図9に示すように、他の突極41cのウイング部42cにも、突極40a,40bと同様の形状をなす凹部43cが設けられている。これによって、錘50は、いずれの突極40a,40b,40cであっても装着させることができ、コア32に対する錘50の組付け作業性が極めて良好になる。
【0045】
次に、ブラシアッセンブリ45を更に詳細に説明する。
【0046】
図5及び図13〜図15に示すように、ブラシアッセンブリ45は、シャフト22の回転軸線Lに対して直交する方向でコミテータ33に向けて移動すると共に、下ケース21の本体部21aの内表面21aAに沿って摺動する樹脂製の本体部46と、本体部46から突出すると共に、本体部46の移動によってコミテータ33を挟み込みながら摺動する一対のブラシ片47と、本体部46から露出する一対のターミナル48と、一方のブラシ片47と一方のターミナル48とを本体部46内で連結させる連結部59と、がインサート成形によって一体をなしている。
【0047】
さらに、厚さ約0.4mm、全長(本体部46の端部からブラシ片47の先端までの長さ)7mm、幅3mmの極めて小さなブラシアッセンブリ45をモータ1に組み込み易くするために、モータ1は、ブラシアッセンブリ45の本体部46と下ケース21とが係合して、下ケース21に対する本体部46の位置合わせを行う位置合わせ手段60(図17参照)と、下ケース21に対する本体部46の位置合わせ後に、ブラシアッセンブリ45を回転軸線Lに対して直交する方向に案内するガイド手段61(図5参照)と、を備えている。
【0048】
このような構造のブラシアッセンブリ45を採用することで、モータ1の組立て作業が容易になる。また、モータ1の組立て時において、ガイド手段61により、ブラシアッセンブリ45を回転軸線Lに対して直交する方向に案内させる前に、ブラシアッセンブリ45の本体部46と下ケース21とを係合させる位置合わせ手段60を利用することで、下ケース21の所定位置に本体部46を一旦載置させる組立て手順をとることができる。
【0049】
従って、コミテータ33に各ブラシ片47が接触する前に、ブラシ片47に無理な負荷が加えられることがなく、しかも、組立て時に、ブラシアッセンブリ45をガイド手段61によっていきなりガイドさせる場合に比べて、モータの組立て作業がし易く、ブラシアッセンブリ45のガイドに無理なくスムーズに移行させることができるといった優れた効果を有する。
【0050】
ブラシ片47に対する無理な負荷は、不良品の発生原因になるばかりか、モータの精度や耐久性にも影響を与えることがある。特に、小型、軽量化が図られたモータ1に適用されるブラシは、非常に薄く、変形し易くなっており、本体部46も非常に小さくなっているので、モータの小型化において、本発明は、特に効果的である。
【0051】
前述した位置合わせ手段60は、下ケース21の円形の内表面でシャフト22の回転軸線Lに対して直交する方向に延在するスリット62と、本体部46から突出し且つスリット内に挿入される突起部63と、からなる(図17参照)。そして、スリット62は、下ケース21の本体部21aから張り出し部21bに渡って延在し、張り出し部21bを利用することで、スリット62を長くすることができ、コミテータ33に各ブラシ片47が接触する前に、突起部63をスリット62内に挿入させることができる。
【0052】
このように、下ケース21側にスリット62を設け、本体部46側に突起部63を設けることで、本体部46側を薄くさせ易く、ブラシアッセンブリ45の薄型化が可能になる。このことは、モータ1の小型、軽量化に有利である。
【0053】
さらに、スリット62のシャフト22側の端部には、下ケース21の内表面21aAから突出するストッパ部64が設けられ、突起部63は、ブラシアッセンブリ45の移動完了後に、ストッパ部64の下側に潜り込んで係止させられる(図2及び図17参照)。これにより、下ケース21上でブラシアッセンブリ45を仮止めさせることができ、モータ1の組立て作業の効率化が図られる。
【0054】
図5及び図16に示すように、ガイド手段61は、下ケース21から突出すると共に、シャフト22の回転軸線Lに対して直交する方向に延在する張り出し部21bと、本体部46に設けられると共に、張り出し部21bを両側から挟み込む一対の略平行なガイド片66と、からなる(図5参照)。
【0055】
このような構成によって、下ケース21から突出する張り出し部21b上にブラシアッセンブリ45の本体部46を載置させることができるので、本体部46の曲げ強度を張り出し部21bで補強することができ、本体部46の薄型化に有利である。さらに、このような張り出し部21bを組立て時に利用して、本体部46をガイドさせているので、張り出し部21bの有効利用を図ることができる。
【0056】
さらに、張り出し部21bの両側面には、円形の凸状圧着部21bAが形成され、組立て作業中に、圧着部21bAの先端がガイド片66の内壁面66a(図16参照)に圧着されることで、各圧着部21bAにより、下ケース21の内表面21aA上でブラシアッセンブリ45を仮止めさせることができるので、モータ1の組立て作業の効率化が図られる。
【0057】
図3及び図13に示すように、上ケース11の下端周縁には、回転軸線Lと平行に延在して平行な一対の側辺67aと、両側辺67a間で回転軸線Lに対して直交して延在する上辺67bと、からなる略コ字状の切欠き部67が設けられている。これに対して、ブラシアッセンブリ45の本体部46には、各側辺67aが挿入される差込み溝68が設けられている。
【0058】
下ケース21上でブラシアッセンブリ45を仮止めさせた状態で、上ケース11を下ケース21に被せると、上ケース11の切欠き部67の両側辺67aが、本体部46の各差込み溝68内に入り込むので、筐体19の組立てと同時に、ブラシアッセンブリ45の抜け止めを達成させることができる。
【0059】
さらに、本体部46には、上辺67bにより押圧される直線状の3本の凸部70が設けられている。従って、下ケース21上でブラシアッセンブリ45を仮止めさせた状態で、上ケース11を下ケース21に被せると、上ケース11の切欠き部67の上辺67bが、本体部46の各凸部70を押え付けるので、上ケース11の組付け完了と同時に、ブラシアッセンブリ45のガタツキ防止を達成させることができる。
【0060】
本発明は、前述した実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【0061】
図19に示すように、他の上ケースアッセンブリ80は、非磁性材料(例えばステンレス又は樹脂)からなるカップ状の上ケース11と、上ケース11の内壁面に固定されると共に、軟磁性材料により形成されてバネ性をもったCリング状のバックヨーク81と、バックヨーク81の内壁面に固定されるOリング状のマグネット82とから主として構成されている。
【0062】
バックヨーク81の下端には、径方向で内側に向かって突出する左右一対の爪片81a,81bが形成され、各爪片81a,81bによって、マグネット82の下端面82bが保持される。そして、マグネット82の下端面82bには、左右一対の爪片81a,81bの間に配置されて、爪片81aと爪片81bとで挟み込まれる突起部82aが形成されている。
【0063】
このような構成を採用すると、下ケース11からマグネット82を隙間P(図2参照)をもって浮かせることができるので、上ケース11と下ケース21によるマグネット82の挟み込みを防止して、組立て時にマグネット82に割れ、欠け、残留応力が発生するのを防止することができる。さらに、爪片81a,81bと突起部82aとの協働により、上ケース11と下ケース21によるマグネット82の挟み込みの防止と、マグネット82の周方向への回り止めとを同時に達成させることができる。
【0064】
そして、2本で一組をなす爪片81a,81bが対向して二組配置され、これに対応して、突起部82aも2個形成されているので、下ケース21に対してマグネット82を確実に浮かせることができる。なお、爪片81a,81bは、3組以上で等間隔に配置させてもよく、下ケース21に対してマグネット82を確実に浮かせることができるのであれば、本数や配置位置に関しては様々な設計変更が可能である。
【0065】
また、上ケースアッセンブリ10に関して、上ケース11とバックヨーク13とマグネット14との寸法精度にもよるが、互いの結合性を更に向上させて耐久性アップを図るために、接着剤を利用しても良い。なお、上ケースアッセンブリ80についても同様である。
【符号の説明】
【0066】
1…モータ、11…上ケース、11a…凸部、13…バックヨーク、13c…爪片、14…マグネット、14a…切欠き部、14b…マグネットの下端面、19…筐体、21…下ケース、22…シャフト、32…コア、33…コミテータ、47…ブラシ片、R…離間部分。
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、携帯通信機器(例えば携帯電話)、携帯情報端末機器、遊技機器(例えば、ゲームコントローラ)等に内蔵されて、着信報知機能やタッチパネルの操作感向上機能の振動発生源等として利用される小型のモータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、特開平8−126234号公報がある。この公報に記載されたモータにおいて、樹脂からなる円筒状のモータケース内には、磁性体からなるC字状のモータフレーム(バックヨーク)が挿入され、モータフレーム内にはO字状のマグネットが挿入されている。モータフレームの直径は、モータフレームをモータケースに圧入される前は、モータケースの内径より大きく、バネ性をもったモータフレームの径が縮むことで、モータフレームの外面がモータケースの内面に圧着される。これによって、接着剤が無くても、モータケースにモータフレームを固定させることができる。そして、このような圧着後、モータフレーム内にマグネットが挿入されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−126234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来のモータは、モータケースが非磁性の樹脂から形成されているので、磁性体からなるモータフレーム(バックヨーク)を必要とし、このモータフレームはモータケースに対して接着剤不要になっている。しかしながら、マグネットは、モータフレームに対して圧入か接着剤を利用して、固定されるが、この点については何ら開示されていない。また、モータフレームは、バネ力によってモータケースに圧着されているだけなので、モータフレームにガタツキが発生し易く、モータフレームが周方向に回り易くなる。モータフレームのガタツキに伴ってマグネットにガタツキが発生し易くなるので、マグネットも周方向に回るような位置ズレを起こす虞があり、接着剤無しでマグネットをモータフレームに固定させ難いといった問題点がある。
【0005】
本発明は、非磁性体からなる上ケースと磁性体からなるバックヨークとマグネットとを接着剤無しでも互いに容易に組み付けることを可能にしたモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、シャフトを中心に回転するコアと、コアを包囲する環状のマグネットと、を有するモータにおいて、
マグネットを収容すると共に、非磁性体からなる円筒状の上ケースと、
上ケースの開口を塞ぐ下ケースと、
マグネットを包囲すると共に、上ケースの側壁の内面とマグネットとの間に配置されたC字リング状のバックヨークと、を備え、
バックヨークは、上ケースと下ケースとで挟み込まれると共に、バネ性を有するバックヨークはマグネットが圧着されて、上ケースの側壁の内面に圧着されることを特徴とする。
【0007】
このモータにおいては、バックヨークが上ケースと下ケースで挟み込まれ、しかも、バックヨークは、上ケースの側壁の内面に圧着されるように、上ケースに嵌合されているので、バックヨークは、上下のケースに対してしっかりと固定され、バックヨークのガタツキを抑え、バックヨークが周方向に回わるような位置ズレが起こり難い。マグネットは、磁気吸着力と圧着力とによってバックヨークに固定されているので、バックヨークにガタツキが発生しなければ、マグネットも周方向に回るような位置ズレを起こし難い。従って、位置ズレ防止の観点から、接着剤無しでも、非磁性体からなる上ケースと磁性体からなるバックヨークとマグネットとを互いに組み付けることができる。なお、上ケースとバックヨークとマグネットとの寸法精度にもよるが、互いの結合性を更に向上をさせて耐久性アップを図るために、接着剤を利用しても良い。
【0008】
また、バックヨークの下端から内側に向かって突出する爪片によって、マグネットの下端面が保持されていると好適である。
このような構成を採用すると、バックヨークが上ケースと下ケースで挟み込まれると同時に、下ケースからマグネットを浮かせることができるので、上ケースと下ケースによるマグネットの挟み込みを防止して、組立て時にマグネットに割れ、欠け、残留応力が発生するのを防止することができる。
【0009】
また、マグネットの下端面には、爪片が入り込む切欠き部が形成されていると好適である。
このような構成を採用すると、上ケースと下ケースによるマグネットの挟み込みの防止と、マグネットの周方向への回り止めとを同時に達成させることができる。
【0010】
また、上ケースの側壁の内面には、内側に向かって突出する凸部が形成され、この凸部は、C字状のバックヨークの両端の間に位置する離間部分に入り込むと好適である。
このような構成を採用すると、上ケースに対するバックヨークの周方向への回り止めを更に向上させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、非磁性体からなる上ケースと磁性体からなるバックヨークとマグネットとを接着剤無しでも互いに容易に組み付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るモータの一実施形態を示す外観斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】本発明に係るモータの分解斜視図である。
【図4】上ケースアッセンブリを示す分解斜視図である。
【図5】下ケースアッセンブリを示す分解斜視図である。
【図6】ロータアッセンブリ及び錘を示す分解斜視図である。
【図7】ロータアッセンブリ及び錘を示す斜視図である。
【図8】ロータアッセンブリ及び錘を示す平面図である。
【図9】ロータアッセンブリに錘を組み付ける前の状態を示す平面図である。
【図10】本発明に係るモータに適用する錘を示す斜視図である。
【図11】錘を別の角度から見た斜視図である。
【図12】錘をさらに別の角度から見た斜視図である。
【図13】本発明に係るモータに適用されるブラシアッセンブリを示す斜視図である。
【図14】図13に示されたブラシアッセンブリの平面図である。
【図15】ブラシアッセンブリの側面図である。
【図16】ブラシアッセンブリを底面側から見た斜視図である。
【図17】下ケースのスリット内にブラシアッセンブリの突起部を挿入した状態を示す断面図である。
【図18】上ケースアッセンブリの要部拡大断面図である。
【図19】上ケースアッセンブリの他の例を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明に係るモータの好適な実施形態について詳細に説明する。
【0014】
図1〜図3に示すように、小型のモータ1は、携帯通信機器(例えば携帯電話)に内蔵させて、呼び出し機能等の振動発生源として利用される直径約10mm、厚さ約3mmのコイン型をなし、組立て作業を容易にするために、ステータを構成する上ケースアッセンブリ10と、モータ1のベースをなす下ケースアッセンブリ20と、ロータを構成するロータアッセンブリ30と、給電を可能にするブラシアッセンブリ45と、高比重金属(例えばタングステン)からなる錘50とから構成されている。
【0015】
図2〜図4に示すように、上ケースアッセンブリ10は、非磁性材料(例えばステンレス又は樹脂)からなるカップ状の上ケース11と、上ケース11の内壁面に固定されると共に、軟磁性材料で形成されてバネ性をもったCリング状のバックヨーク13と、バックヨーク13の内壁面に固定されるOリング状のマグネット14とから主として構成されている。また、上ケース11の開口を塞ぐように、上ケース11に対してカシメやレーザ溶接等によって接合される非磁性材料(例えばステンレス又は樹脂)からなる皿状の下ケース21と、上ケース11とで、筐体19が構成される。
【0016】
さらに、バックヨーク13の上端13d及び下端13eは、上ケース11の天板部11cの裏面と下ケース21の上面とで挟み込まれ、バックヨーク13の内周面にはマグネット14の外周面が圧着され、バックヨーク13の外周面は、上ケース11のリング状の側壁11bの内周面に圧着されている。
【0017】
このモータ1においては、バックヨーク13が上ケース11と下ケース21で挟み込まれ、しかも、バックヨーク13は、上ケース11の側壁11bの内周面に圧着されるように、上ケース11に嵌合されているので、バックヨーク13は、上下のケース11,21に対してしっかりと固定され、バックヨーク13のガタツキを抑え、バックヨーク13が周方向に回わるような位置ズレが起こり難い。マグネット14は、磁気吸着力と圧着力とによってバックヨーク13に固定されているので、バックヨーク13にガタツキが発生しなければ、マグネット14も周方向に回るような位置ズレを起こし難い。従って、位置ズレ防止の観点から、接着剤無しでも、非磁性体からなる上ケース11と磁性体からなるバックヨーク13とマグネット14とを互いに組み付けることができる。
【0018】
バネ性を有するC字状のバックヨーク13には、バックヨーク13を径方向に押し開くように、マグネット14が嵌合されている。バネの付勢力によってマグネット14が装着されたバックヨーク13を上ケース11に圧着する際に、マグネット14が上ケース11によって直接押圧されないので、バックヨーク13が緩衝材として機能して、マグネット14に割れ、欠け、残留応力が発生し難くなる。また、バネ力によって上ケース11にマグネット14が保持されるので、マグネット14と一緒にバックヨーク13を、上ケース11に容易に圧着させることができる。
【0019】
バックヨーク13の両端13a,13bの間には離間部分Rが設けられ、上ケース11のリング状の側壁11bの内周面には、内側に向かって突出する凸部11aが形成され、この凸部11aは、C字状のバックヨーク13の離間部分Rに入り込む(図18参照)。この凸部11aは、上ケース11の側壁11bと天板部11cとの境界部分を上からプレスすることで、内側に向かって突出させている。このような構成を採用すると、上ケース11に対するバックヨーク13の周方向への回り止めを可能にする。
【0020】
バックヨーク13の下端には、径方向で内側に向かって突出する爪片13cが形成され、爪片13cによって、マグネット14の下端面14bが保持される。そして、マグネット14の下端面14bには、爪片13cが入り込む切欠き部14aが形成されている。
【0021】
このような構成を採用すると、バックヨーク13が上ケース11と下ケース21で挟み込まれると同時に、下ケース11からマグネット14を、隙間P(図2参照)をもって浮かせることができるので、上ケース11と下ケース21によるマグネット14の挟み込みを防止して、組立て時にマグネット14に割れ、欠け、残留応力が発生するのを防止することができる。さらに、爪片13cと切欠き部14aとの協働により、上ケース11と下ケース21によるマグネット14の挟み込みの防止と、マグネット14の周方向への回り止めとを同時に達成させることができる。
【0022】
また、2本の爪片13cが対向して配置されているので、下ケース21に対してマグネット14を確実に浮かせることができる。なお、爪片13cは、3本以上で等間隔に配置させてもよく、下ケース21に対してマグネット14を確実に浮かせることができるのであれば、本数や配置位置に関しては様々な設計変更が可能である。
【0023】
また、上ケースアッセンブリ10の組立て前にマグネット14が着磁されている場合と、上ケースアッセンブリ10の組立て後にマグネット14が着磁される場合とがあり、組立て前の着磁については、爪片13c、切欠き部14a、凸部11a及び離間部分Rは、ブラシ片47に対するマグネット14の極性合わせにも利用される。
【0024】
図5に示すように、下ケースアッセンブリ20は、上ケース11に対してカシメやレーザ溶接等によって接合される非磁性材料(例えばステンレス又は樹脂)からなる皿状の下ケース21と、下ケース21の中央に固定されたシャフト22とからなり、下ケース21には、皿状の本体部21aから径方向に延在する張り出し部21bが設けられている。さらに、下ケース21には、ブラシアッセンブリ45が固定され、張り出し部21b上にブラシアッセンブリ45が配置される。
【0025】
図3に示すように、ロータアッセンブリ30は、上ケース11と下ケース21とからなる筐体19内に収容されると共に、シャフト22に対し回転自在に軸支される。さらに、図6〜図8に示すように、このロータアッセンブリ30は、コイル31と、コイル31が巻き付けられるコア32と、コイル31に電流を供給するためのコミテータ33と、コミテータ33を保持するためのコミテータホルダ34と、コア32の中央孔32aに圧入されると共に、シャフト22が挿入される軸孔36aを有する円筒状の軸受36と、火花及びノイズの発生を防止するためのバリスタ37とからなる。
【0026】
このモータ1は、2極3スロットであり、コア32は、打ち抜き加工された厚さ0.2mmの珪素鋼板を3枚積層することにより作り出されている。コミテータ33は、銅製薄板のプレス成形によって作られた3枚のコミテータセグメント38からなる。各コミテータセグメント38は、回転軸線Lに沿って延在する断面円弧状のブラシ摺接部38aと、コイル31が結線されると共に、コア32の径方向に延在してスロット内に突出するライザ部38bと、ブラシ摺接部38aとライザ部38bとを連結するL字状の連結部38cとからなる(図2参照)。なお、コア32は、単板であってもよい。
【0027】
3個のコミテータセグメント38はコミテータホルダ34に組み付けられて、コミテータアッセンブリが構成される。このコミテータアッセンブリは、コミテータホルダ34の中央孔34a内に軸受36を圧入することで、コア32と一体化する。
【0028】
さらに、リング状のバリスタ37は、コミテータホルダ34の周縁に設けられた各立設部34bで挟持され、バリスタ37の中央孔37b内に軸受36の頂部が挿入される。このようにして、コア32上とバリスタ37を固定した後、コイル31の電線31aがライザ部38bの先端に巻き付けられ、各電線31aとライザ部38bとバリスタ37の各電極37aとを半田Hによって電気的に接続させる。
【0029】
図5に示すように、ブラシアッセンブリ45は、下ケース21に取付け可能な板状の本体部46と、この本体部46から突出して、各コミテータセグメント38のブラシ摺接部38aに接触する一対のブラシ片47と、本体部46の端部で上ケース11から露出する一対のターミナル48とからなる。そして、ブラシ片47とターミナル48とは本体部46内で接続されている。ロータアッセンブリ30の軸受36の軸孔36a内にシャフト22を挿入した後に、ブラシアッセンブリ45は、下ケース21に径方向から装着され、上ケース11と下ケース21との組合わせによって出現する矩形の開口49(図1参照)から一部が径方向に露出する。
【0030】
図8〜図12に示すように、コア32に錘50が固定される。このコア32は、軸受36が圧入される中央孔32aをもったリング状の中央部39(図6参照)と、この中央部39から放射状に突出する突極40a,40b,40cとからなる。等間隔に配置された各突極40a,40b,40cは、コイル31が巻かれる巻線部41a,41b,41cと、巻線部41a,41b,41cの端部から円周方向に延在するウイング部42a,42b,42cとからなる。
【0031】
錘50は、隣接するウイング部42a,42bを上下で挟み込むようにウイング部42a,42bに沿って延在する第1及び第2の錘部51a,51bと、第1の錘部51aと第2の錘部51bとの間で延在して、隣接するウイング部42a,42bの挿入を可能にしたスリット状の差込み部52と、差込み部52を左右に分断するように第1の錘部51aと第2の錘部51bとを回転軸線L方向に連結して、隣接するウイング部42a,42b間(すなわちスロット)に挿入される第3の錘部53とを備えている。
【0032】
第3の錘部53は、ウイング部42aの端とウイング部42bの端との間の隙間Bと略同等の幅を有しているので、第3の錘部53の左右(周方向)のガタツキをウイング部42a,42bによって抑制することができる。
【0033】
この錘50は、コア32に対して径方向に差し込むように装着される。このとき、上下で平行に延在する第1及び第2の錘部51a,51bをガイドにしながら、錘50の差込み部52内にコア32の各ウイング部42a,42bが差し込まれるので、コア32に対する錘50の組付け作業性が非常によい。そして、このような挿入作業によって、モータ1を振動させ易い場所である突極40aと突極40bとの間(すなわちスロット)に、錘50の一部をなす第3の錘部53が配置されるので、モータ1の高振動を確保させることができる。
【0034】
さらに、第1及び第2の錘部51a,51bは、ウイング部42a,42bに沿って延在するので、第1及び第2の錘部51a,51bにおけるウイング部42a,42b上の部分をも振動に有効に寄与させることができる。モータ1の小型化によってコア32の径が小さくなった場合でも、この部分で錘50の質量を確保することができ、モータ1の小型化によるモータ1の振動量の低下を抑制することができる。
【0035】
コア32に対する錘50の組付け作業性を更に良好にするために、ウイング部42a,42bの外径部の周面には凹部43a,43bが形成され、錘50には、第1の錘部51aと第2の錘部51bとを連結して、ウイング部42a,42bの凹部43a,43b内に挿入され且つ嵌合する係止部54a,54bが設けられている。
【0036】
凹部43a,43bと係止部54a,54bは、互いに三角形状をなし、密着する。また、図9に示すように、凹部43aの二壁面のうちの一方の壁面43aAは、装着方向Aと略同一方向に延在し、凹部43bの二壁面のうちの一方の壁面43bAは、装着方向Aと略同一方向に延在する。同様に、係止部54aの二壁面のうちの一方の壁面54aAは、差込み方向Aと略同一方向に延在し、係止部54bの二壁面のうちの一方の壁面54bAは、差込み方向Aと略同一方向に延在する。
【0037】
これによって、錘50の装着作業時に、凹部43a,43b内に係止部54a,54bを簡単且つ確実に入り込ませることができ、凹部43a,43bの他方の壁面43aB,43bBに錘50の係止部54a,54bの他方の壁面54aB,54bBを突き当てることで、錘50の差込み方向(装着方向)奥側の位置決めを容易且つ確実に達成することができる。しかも、この係止部54a,54bは、錘50の一部をなしているので、モータ1の振動に寄与させることができる。
【0038】
コア32に対する錘50の組付け作業性を更に良好にするために、錘50には、左右一対の第1のカシメ部56a,56bと第2のカシメ部57a,57bとが設けられている。各カシメ部56a,56b,57a,57bは、回転軸線L方向でも対をなしており、矩形のブロック状をなす第3の錘部53に隣接すると共に、第1及び第2の錘部51a,51bからウイング部42a,42bを越えて突極40a,40b間に向けて突出する。
【0039】
そして、下方に位置する第1のカシメ部56a,56bを台などで支持して、上方から第2のカシメ部57a,57bの打点K(図8参照)を上方から加圧することで、第1のカシメ部56a,56bと第2のカシメ部57a,57bとが近づくように、第1及び第2のカシメ部56a,56b,57a,57bが回転軸線L方向にカシメられる。その結果、錘50を回転軸線L方向に抜け難くすることができ、このようなカシメ作業によって、錘50をコア32に簡単に且つ確実に固定させることができる。
【0040】
また、コイル31の近くでレーザ溶接を施工する必要がないので、レーザによるコイル31の断線を回避させることができる。さらには、モータ1を振動させ易い場所である突極40a,40b間に、錘50の一部を構成している第1及び第2のカシメ部56a,56b,57a,57bを配置させているので、各カシメ部56a,56b,57a,57bは、第3の錘部53と相俟ってモータ1の高振動に寄与される。
【0041】
さらに、三角形状をなす一対の第1のカシメ部56a,56bは、第3の錘部53を両側から挟み込むように第3の錘部53に一体化している。これに対し、三角形状をなす一対の第2のカシメ部57a,57bは、第1のカシメ部56a,56bに対向して配置されると共に、第3の錘部53から離間する。
【0042】
このように、第2のカシメ部57a,57bは、第3の錘部53から離間しているので、第2のカシメ部57a,57bは、カシメ作業により曲げ易くなっている。従って、タングステンなどの硬質材からなる錘50にカシメ作業を適用し易く、カシメ時に錘50の割れや破損が起こり難くなる。
【0043】
さらに、第2のカシメ部57a,57b間で第3の錘部53の上方に凹部58が形成され、径方向に延在するライザ部38bがこの凹部58内に挿入される。ライザ部38bがコア32の径方向に延在することで、モータ1の薄型化を可能にし、このようなライザ部38bに邪魔されることなく、第3の錘部53をコア32の径方向に延ばすことができ、錘50の質量を増大させることができる。
【0044】
図8及び図9に示すように、他の突極41cのウイング部42cにも、突極40a,40bと同様の形状をなす凹部43cが設けられている。これによって、錘50は、いずれの突極40a,40b,40cであっても装着させることができ、コア32に対する錘50の組付け作業性が極めて良好になる。
【0045】
次に、ブラシアッセンブリ45を更に詳細に説明する。
【0046】
図5及び図13〜図15に示すように、ブラシアッセンブリ45は、シャフト22の回転軸線Lに対して直交する方向でコミテータ33に向けて移動すると共に、下ケース21の本体部21aの内表面21aAに沿って摺動する樹脂製の本体部46と、本体部46から突出すると共に、本体部46の移動によってコミテータ33を挟み込みながら摺動する一対のブラシ片47と、本体部46から露出する一対のターミナル48と、一方のブラシ片47と一方のターミナル48とを本体部46内で連結させる連結部59と、がインサート成形によって一体をなしている。
【0047】
さらに、厚さ約0.4mm、全長(本体部46の端部からブラシ片47の先端までの長さ)7mm、幅3mmの極めて小さなブラシアッセンブリ45をモータ1に組み込み易くするために、モータ1は、ブラシアッセンブリ45の本体部46と下ケース21とが係合して、下ケース21に対する本体部46の位置合わせを行う位置合わせ手段60(図17参照)と、下ケース21に対する本体部46の位置合わせ後に、ブラシアッセンブリ45を回転軸線Lに対して直交する方向に案内するガイド手段61(図5参照)と、を備えている。
【0048】
このような構造のブラシアッセンブリ45を採用することで、モータ1の組立て作業が容易になる。また、モータ1の組立て時において、ガイド手段61により、ブラシアッセンブリ45を回転軸線Lに対して直交する方向に案内させる前に、ブラシアッセンブリ45の本体部46と下ケース21とを係合させる位置合わせ手段60を利用することで、下ケース21の所定位置に本体部46を一旦載置させる組立て手順をとることができる。
【0049】
従って、コミテータ33に各ブラシ片47が接触する前に、ブラシ片47に無理な負荷が加えられることがなく、しかも、組立て時に、ブラシアッセンブリ45をガイド手段61によっていきなりガイドさせる場合に比べて、モータの組立て作業がし易く、ブラシアッセンブリ45のガイドに無理なくスムーズに移行させることができるといった優れた効果を有する。
【0050】
ブラシ片47に対する無理な負荷は、不良品の発生原因になるばかりか、モータの精度や耐久性にも影響を与えることがある。特に、小型、軽量化が図られたモータ1に適用されるブラシは、非常に薄く、変形し易くなっており、本体部46も非常に小さくなっているので、モータの小型化において、本発明は、特に効果的である。
【0051】
前述した位置合わせ手段60は、下ケース21の円形の内表面でシャフト22の回転軸線Lに対して直交する方向に延在するスリット62と、本体部46から突出し且つスリット内に挿入される突起部63と、からなる(図17参照)。そして、スリット62は、下ケース21の本体部21aから張り出し部21bに渡って延在し、張り出し部21bを利用することで、スリット62を長くすることができ、コミテータ33に各ブラシ片47が接触する前に、突起部63をスリット62内に挿入させることができる。
【0052】
このように、下ケース21側にスリット62を設け、本体部46側に突起部63を設けることで、本体部46側を薄くさせ易く、ブラシアッセンブリ45の薄型化が可能になる。このことは、モータ1の小型、軽量化に有利である。
【0053】
さらに、スリット62のシャフト22側の端部には、下ケース21の内表面21aAから突出するストッパ部64が設けられ、突起部63は、ブラシアッセンブリ45の移動完了後に、ストッパ部64の下側に潜り込んで係止させられる(図2及び図17参照)。これにより、下ケース21上でブラシアッセンブリ45を仮止めさせることができ、モータ1の組立て作業の効率化が図られる。
【0054】
図5及び図16に示すように、ガイド手段61は、下ケース21から突出すると共に、シャフト22の回転軸線Lに対して直交する方向に延在する張り出し部21bと、本体部46に設けられると共に、張り出し部21bを両側から挟み込む一対の略平行なガイド片66と、からなる(図5参照)。
【0055】
このような構成によって、下ケース21から突出する張り出し部21b上にブラシアッセンブリ45の本体部46を載置させることができるので、本体部46の曲げ強度を張り出し部21bで補強することができ、本体部46の薄型化に有利である。さらに、このような張り出し部21bを組立て時に利用して、本体部46をガイドさせているので、張り出し部21bの有効利用を図ることができる。
【0056】
さらに、張り出し部21bの両側面には、円形の凸状圧着部21bAが形成され、組立て作業中に、圧着部21bAの先端がガイド片66の内壁面66a(図16参照)に圧着されることで、各圧着部21bAにより、下ケース21の内表面21aA上でブラシアッセンブリ45を仮止めさせることができるので、モータ1の組立て作業の効率化が図られる。
【0057】
図3及び図13に示すように、上ケース11の下端周縁には、回転軸線Lと平行に延在して平行な一対の側辺67aと、両側辺67a間で回転軸線Lに対して直交して延在する上辺67bと、からなる略コ字状の切欠き部67が設けられている。これに対して、ブラシアッセンブリ45の本体部46には、各側辺67aが挿入される差込み溝68が設けられている。
【0058】
下ケース21上でブラシアッセンブリ45を仮止めさせた状態で、上ケース11を下ケース21に被せると、上ケース11の切欠き部67の両側辺67aが、本体部46の各差込み溝68内に入り込むので、筐体19の組立てと同時に、ブラシアッセンブリ45の抜け止めを達成させることができる。
【0059】
さらに、本体部46には、上辺67bにより押圧される直線状の3本の凸部70が設けられている。従って、下ケース21上でブラシアッセンブリ45を仮止めさせた状態で、上ケース11を下ケース21に被せると、上ケース11の切欠き部67の上辺67bが、本体部46の各凸部70を押え付けるので、上ケース11の組付け完了と同時に、ブラシアッセンブリ45のガタツキ防止を達成させることができる。
【0060】
本発明は、前述した実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【0061】
図19に示すように、他の上ケースアッセンブリ80は、非磁性材料(例えばステンレス又は樹脂)からなるカップ状の上ケース11と、上ケース11の内壁面に固定されると共に、軟磁性材料により形成されてバネ性をもったCリング状のバックヨーク81と、バックヨーク81の内壁面に固定されるOリング状のマグネット82とから主として構成されている。
【0062】
バックヨーク81の下端には、径方向で内側に向かって突出する左右一対の爪片81a,81bが形成され、各爪片81a,81bによって、マグネット82の下端面82bが保持される。そして、マグネット82の下端面82bには、左右一対の爪片81a,81bの間に配置されて、爪片81aと爪片81bとで挟み込まれる突起部82aが形成されている。
【0063】
このような構成を採用すると、下ケース11からマグネット82を隙間P(図2参照)をもって浮かせることができるので、上ケース11と下ケース21によるマグネット82の挟み込みを防止して、組立て時にマグネット82に割れ、欠け、残留応力が発生するのを防止することができる。さらに、爪片81a,81bと突起部82aとの協働により、上ケース11と下ケース21によるマグネット82の挟み込みの防止と、マグネット82の周方向への回り止めとを同時に達成させることができる。
【0064】
そして、2本で一組をなす爪片81a,81bが対向して二組配置され、これに対応して、突起部82aも2個形成されているので、下ケース21に対してマグネット82を確実に浮かせることができる。なお、爪片81a,81bは、3組以上で等間隔に配置させてもよく、下ケース21に対してマグネット82を確実に浮かせることができるのであれば、本数や配置位置に関しては様々な設計変更が可能である。
【0065】
また、上ケースアッセンブリ10に関して、上ケース11とバックヨーク13とマグネット14との寸法精度にもよるが、互いの結合性を更に向上させて耐久性アップを図るために、接着剤を利用しても良い。なお、上ケースアッセンブリ80についても同様である。
【符号の説明】
【0066】
1…モータ、11…上ケース、11a…凸部、13…バックヨーク、13c…爪片、14…マグネット、14a…切欠き部、14b…マグネットの下端面、19…筐体、21…下ケース、22…シャフト、32…コア、33…コミテータ、47…ブラシ片、R…離間部分。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトを中心に回転するコアと、前記コアを包囲する環状のマグネットと、を有するモータにおいて、
前記マグネットを収容すると共に、非磁性体からなる円筒状の上ケースと、
前記上ケースの開口を塞ぐ下ケースと、
前記マグネットを包囲すると共に、前記上ケースの側壁の内面と前記マグネットとの間に配置されたC字リング状のバックヨークと、を備え、
前記バックヨークは、前記上ケースと前記下ケースとで挟み込まれると共に、バネ性を有する前記バックヨークは前記マグネットが圧着されて、前記上ケースの前記側壁の前記内面に圧着されることを特徴とするモータ。
【請求項2】
前記バックヨークの下端から内側に向かって突出する爪片によって、前記マグネットの下端面が保持されていることを特徴とする請求項1記載のモータ。
【請求項3】
前記マグネットの前記下端面には、前記爪片が入り込む切欠き部が形成されていることを特徴とする請求項2記載のモータ。
【請求項4】
前記上ケースの前記側壁の前記内面には、内側に向かって突出する凸部が形成され、この凸部は、C字状の前記バックヨークの両端の間に位置する離間部分に入り込むことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のモータ。
【請求項1】
シャフトを中心に回転するコアと、前記コアを包囲する環状のマグネットと、を有するモータにおいて、
前記マグネットを収容すると共に、非磁性体からなる円筒状の上ケースと、
前記上ケースの開口を塞ぐ下ケースと、
前記マグネットを包囲すると共に、前記上ケースの側壁の内面と前記マグネットとの間に配置されたC字リング状のバックヨークと、を備え、
前記バックヨークは、前記上ケースと前記下ケースとで挟み込まれると共に、バネ性を有する前記バックヨークは前記マグネットが圧着されて、前記上ケースの前記側壁の前記内面に圧着されることを特徴とするモータ。
【請求項2】
前記バックヨークの下端から内側に向かって突出する爪片によって、前記マグネットの下端面が保持されていることを特徴とする請求項1記載のモータ。
【請求項3】
前記マグネットの前記下端面には、前記爪片が入り込む切欠き部が形成されていることを特徴とする請求項2記載のモータ。
【請求項4】
前記上ケースの前記側壁の前記内面には、内側に向かって突出する凸部が形成され、この凸部は、C字状の前記バックヨークの両端の間に位置する離間部分に入り込むことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のモータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−97746(P2011−97746A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249314(P2009−249314)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(000001225)日本電産コパル株式会社 (755)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(000001225)日本電産コパル株式会社 (755)
【Fターム(参考)】
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