説明

モード識別装置、モード識別方法、およびプログラム

【課題】複数の識別器の中から状況に応じて適切な識別器を選択して、対象のモードを識別し得る、モード識別装置、モード識別方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】センサデータを用いて対象のモードを識別するため、モード識別装置1は、想定される複数のモードそれぞれ毎に作成され、且つ、センサデータから、対応するモードが対象のモードに該当する可能性を示す評価値を算出するための、複数の識別器51を記憶する、記憶部50と、複数の識別器の中から、モード識別装置1の状況に応じて、対象のモードの識別に利用する識別器を選択するための選択条件を設定する、選択条件設定部20と、選択条件に基づいて、いずれかの識別器を選択する、識別器選択部40と、選択された識別器を用いて、それが対応するモードの評価値を取得し、取得した評価値に基づいて、対象のモードを識別する、モード識別部20とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象の状態を識別するモード識別装置、モード識別方法、およびこれらを実現するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種センサ(加速度、角速度、心拍など)を用いて、人の行動又は状態といったモードを識別する技術が提案されている。このような技術では、センサは、人に直接装着され、又は人が携帯する端末装置に取り付けられ、人のモードに応じて、加速度データ等の時系列データを出力する。そして、時系列データに基づいて、モードの識別が行われる(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
【0003】
特許文献1は、被験者の左右の手首、足首、太腿に加速度センサを取り付け、センサが出力した加速度データを用いて、被験者の姿勢及び行動を識別する装置を開示している。特許文献1に開示の装置は、SVM(Support Vector Machine)、決定木等の学習手法を用い、加速度データ、姿勢、及び行動の関係を学習して、加速度データから姿勢及び行動を識別する識別器を構築する。そして、特許文献1に開示の装置は、構築した識別器を用い、計測された加速度データに基づいて、被験者の行動及び姿勢を識別する。
【0004】
但し、特許文献1に開示された装置には、次の2つの問題がある。第1の問題は、複合的なモードを考慮できていないことである。つまり、特許文献1に開示された装置では、識別時において行動及び姿勢は一意に決定され、複合的なモードの識別は考慮されていない。例えば、被験者が「電車の中で歩いている」場合、「電車に乗っている」又は「歩いている」のいずれであるかのみが識別される。
【0005】
また、第2の問題は、新たに識別モードを追加することに、手間がかかるということである。識別モードを新たに追加するには、対応する識別器を新たに構築する必要があり、そして、識別器を新たに構築するためには、予め対象となる行動及び姿勢の加速度データを収集する必要がある。つまり、特許文献1に開示された装置によって、新たな行動又は姿勢を識別しようとすると、再度加速度データを収集して、識別器を構築し直す必要がある。
【0006】
一方、特許文献2に開示された発明を適用すれば、上記の2つの問題を解決することが可能であると考えられる。特許文献2は、被験者の体の下に敷いた圧電マット等により就寝時に発生する体の動作を識別し、不眠症患者の特徴的な動作を識別する装置を開示している。特許文献2に開示された装置では、体の各部位の動きを計測し、得られた各計測データの組合せからユーザの行動を識別することができる。
【0007】
例えば、特許文献2に開示された装置は、計測データから、「蹴り上げる」、「下肢落下」、「下肢落下リバウンド」という一連の動作を検出すると、それらの組み合わせから「蹴飛ばす」という行動を識別することができる。つまり、特許文献2に開示された装置では、基本的な複数の動作に対して用意された各識別器によって、各基本的な動作が識別され、そして、識別された基本的な動作の組み合わせにより、新たな行動が識別される。
【0008】
なお、「識別器」は、対応する動作を識別するために作成された動作モデルであり、特許文献2に開示された装置は、センサからの時系列データと動作モデルとを対比することによって、動作を識別する。
【0009】
このように、特許文献2に開示された装置によれば、複数の識別器から得られた識別結果を組み合わせて、複合的なモードの識別が可能となるので、第1の問題は解消される。更に、新たな識別器を用意しなくても、複数の識別器の組み合わせによって新たなモードを識別することが可能となるので、第2の問題も解消される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009-39466号公報
【特許文献2】特開2009-160341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、モード識別を利用するサービスが普及するようになった状況を想定すると、サービスの多様化により、識別対象となるモードの種類が増加し、更に様々なセンサが普及すると考えられる。その結果、各種のモード、及び各種のセンサに対応して、様々な性能の識別器が開発され、モードの識別を行う装置では、より多くの識別器を利用可能であることが求められることとなる。更に、実際のモードの識別においては、全ての識別器が同時に利用される場面は少ないと考えられ、装置は、モード識別を利用するサービスの内容、センサの種類、装置の性能等に応じて、実際に利用する識別器を選択する必要がある。
【0012】
しかしながら、特許文献2に開示された装置は、少ない識別器を組み合わせることで、複雑な動作を識別することを目的としており、多数の識別器を利用することを目的としていない。特許文献2に開示された装置では、多くの識別器を効率良く利用することは困難である。また、特許文献2には、識別対象となるモードが増加し、これにより識別器の数も増加した場合の識別器の選択方法は開示されていない。
【0013】
更に、上記の問題は、特許文献1に開示された装置においても存在し、又、特許文献1にも、識別対象となるモードが増加し、これにより識別器の数も増加した場合の識別器の選択方法は開示されていない。
【0014】
本発明の目的は、上記問題を解消し、複数の識別器の中から状況に応じて適切な識別器を選択して、対象のモードを識別し得る、モード識別装置、モード識別方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明におけるモード識別装置は、センサデータを用いて対象のモードを識別するモード識別装置であって、
想定される複数のモードそれぞれ毎に作成され、且つ、前記センサデータから、対応するモードが前記対象のモードに該当する可能性を示す評価値を算出するための、複数の識別器を記憶する、記憶部と、
前記複数の識別器の中から、当該モード識別装置の状況に応じて、前記対象のモードの識別に利用する識別器を選択するための選択条件を設定する、選択条件設定部と、
前記選択条件に基づいて、前記複数の識別器のうちのいずれかの識別器を選択する、識別器選択部と、
選択された前記識別器を用いて、選択された前記識別器が対応するモードの評価値を取得し、取得した前記評価値に基づいて、前記対象のモードを識別する、モード識別部と、を備えている、ことを特徴とする。
【0016】
また、上記目的を達成するため、本発明におけるモード識別方法は、センサデータを用
いて対象のモードを識別するためのモード識別方法であって、
(a)想定される複数のモードそれぞれ毎に作成され、且つ、前記センサデータから、対応するモードが前記対象のモードに該当する可能性を示す評価値を算出するための、複数の識別器の中から、当該モード識別方法の実行の状況に応じて、前記対象のモードの識別に利用する識別器を選択するための選択条件を設定する、ステップと、
(b)前記(a)のステップで設定された選択条件に基づいて、前記複数の識別器のうちのいずれかの識別器を選択する、ステップと、
(c)前記(b)のステップで選択された前記識別器を用いて、選択された前記識別器が対応するモードの評価値を取得し、取得した前記評価値に基づいて、前記対象のモードを識別する、ステップと、
を有していることを特徴とする。
【0017】
更に、上記目的を達成するため、本発明におけるプログラムは、コンピュータによって、センサデータを用いた対象のモードの識別を実行するためのプログラムであって、
前記コンピュータに、
(a)想定される複数のモードそれぞれ毎に作成され、且つ、前記センサデータから、対応するモードが前記対象のモードに該当する可能性を示す評価値を算出するための、複数の識別器の中から、前記コンピュータの状況に応じて、前記対象のモードの識別に利用する識別器を選択するための選択条件を設定する、ステップと、
(b)前記(a)のステップで設定された選択条件に基づいて、前記複数の識別器のうちのいずれかの識別器を選択する、ステップと、
(c)前記(b)のステップで選択された前記識別器を用いて、選択された前記識別器が対応するモードの評価値を取得し、取得した前記評価値に基づいて、前記対象のモードを識別する、ステップと、
を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
以上の特徴により、本発明におけるモード識別装置、モード識別方法、及びプログラムによれば、複数の識別器の中から状況に応じて適切な識別器を選択して、対象のモードを識別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1におけるモード識別装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、センサデータの一例を示す図である。
【図3】図3(a)〜(d)は、それぞれ、本発明の実施の形態1で利用される識別器の一例を概念化して示す図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態1において記憶部に記憶されている情報の一例を示す図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態1における選択条件及びそれによって選択された識別器の一例を示す図である。
【図6】図6は、図2に示したセンサデータから得られた識別結果の一例を示す図である。
【図7】図7(a)及び(b)は、それぞれ本発明の実施の形態1において表示画面に表示された識別結果の例を示す図である。
【図8】図8(a)及び(b)は、本発明の実施の形態1におけるモード識別装置の動作を示す流れ図であり、図8(a)はセンサデータの取得処理を示し、図8(b)はモード識別処理を示している。
【図9】図9は、本発明の実施の形態2におけるモード識別装置の構成を示すブロック図である。
【図10】図10(a)は、本発明の実施の形態2におけるモードの識別結果の一例を示す図であり、図10(b)は、本発明の実施の形態2において取得された遷移確率の一例を示す図であり、図10(c)は、遷移確率を用いて得られたモードの識別結果の一例を示す図である。
【図11】図11は、本発明の実施の形態2におけるモード識別装置の動作を示す流れ図である。
【図12】図12は、本発明の実施の形態3におけるモード識別装置の構成を示すブロック図である。
【図13】図13は、図12に示した識別結果選択部によって補正された識別結果の一例を示す図である。
【図14】図14は、本発明の実施の形態3において表示画面に表示された識別結果の例を示す図である。
【図15】図15は、本発明の実施の形態3におけるモード識別装置の動作を示す流れ図である。
【図16】図16は、本発明の実施の形態4におけるモード識別装置の構成を示すブロック図である。
【図17】図17は、本発明の実施の形態4において利用されるモード関係情報の一例を示す図である。
【図18】図18は、本発明の実施の形態4におけるモードの選択処理を概念的に示す図である。
【図19】図19は、本発明の実施の形態4におけるモード識別装置の動作を示す流れ図である。
【図20】図20は、本発明の実施の形態5におけるモード識別装置の構成を示すブロック図である。
【図21】図21は、本発明の実施の形態5において用いられる統合ルールの一例を示す図である。
【図22】図22(a)は、本発明の実施の形態5において表示画面に表示された識別結果の一例を示し、図22(b)は、本発明の実施の形態5におけるモード識別部の識別結果の一例を示す図である。
【図23】図23は、本発明の実施の形態5におけるモード識別装置の動作を示す流れ図である。
【図24】図24は、本発明の実施例1で用いられたセンサデータと実施例1における識別結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1におけるモード識別装置、モード識別方法、及びプログラムについて、図1〜図8を参照しながら説明する。最初に、本実施の形態1におけるモード識別装置1の構成について図1〜図3を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態1におけるモード識別装置の構成を示すブロック図である。図2は、センサデータの一例を示す図である。図3(a)〜(d)は、それぞれ、本発明の実施の形態1で利用される識別器の一例を概念化して示す図である。
【0021】
図1に示すように、本実施の形態1におけるモード識別装置1は、センサ6から出力された時系列データ(センサデータ)を用いて対象のモードを識別する装置である。本実施の形態1では、対象は、人であるが、その他、イヌ、ネコ等のペットであっても良い。また、「モード」とは、対象の行動及び状態の総称である。モードには、例えば「停まる」、「歩く」、「走る」、「座る」、「階段昇る」、「階段降りる」、「しゃがむ」、「寝ている」、「電車に乗っている」等が含まれる。
【0022】
センサ6は、上述した人のモードに関する情報を取得し、取得した情報を連続的に又は定期的に時系列データとして出力する。また、センサ6としては、加速度センサ、角速度センサ、マイク、カメラ等が挙げられる。センサ6が加速度データであるとすると、センサデータは、図2に示す通りとなる。図2の例では、センサ(加速度センサ)6は、100ms間隔で、加速度を逐次計測している。
【0023】
また、図1に示すように、モード識別装置1は、モード識別部20と、選択条件設定部30と、識別器選択部40と、記憶部50とを備えている。記憶部50は、対象について想定されるモード(以下「想定モード」という。)毎に作成された複数の識別器を記憶している。なお、図1において、51は記憶部50に記憶されている識別器を概念的に示している。
【0024】
各識別器は、センサデータから、対応する想定モードが対象のモードに該当する可能性を示す評価値を算出するために用いられる、動作モデルである。言い換えると、識別器を利用することにより、識別結果として、各想定モードの対象のモード(以下「対象モード」という。)に対する「らしさ」を表わす評価値を出力することが可能となる。
【0025】
具体的には、各識別器としては、センサデータを用いてモードを識別する方式が実装されたモジュールが用いられる。モジュールは、例えば、後述する端末装置7上で動作するプログラム、このプログラムに組み込まれるクラス、又は同じくプログラムに組み込まれるDLL(dynamic link library)等として実装される。なお、本実施の形態1、及び後述する実施の形態において、識別器の実装方法は特に限定されるものではない。
【0026】
ここで、図3(a)〜(d)を用いて識別器の具体例について説明する。図3(a)〜(d)は、それぞれ、本発明の実施の形態1で利用される識別器の一例を概念化して示す図である。図3(a)は、「停まる」を識別する識別器を示している。図3(b)は、「歩く」を識別する識別器を示している。図3(c)は、「走る」を識別する識別器を示している。図3(d)は、「電車に乗っている」を識別する識別器を示している。
【0027】
例えば、図3(a)に示す「停まる」を識別する識別器では、センサデータとして加速度データが利用される。そして、図3(a)に示す識別器に、時間窓毎に計算された加速度データから得られた分散値(加速度分散値)が入力されると、想定モード「停まる」が対象モードに該当する可能性を示す評価値が出力される。具体的には、図3(a)に示す識別器では、分散値が102mG2以下の場合は、評価値は1.0となり、分散値が102mG2から103mG2の場合は、評価値は徐々に低下する。
【0028】
また、図3(d)に示す「電車に乗っている」を識別する識別器では、センサデータとして、マイクで取得された音データが利用される。図3(d)に示す識別器は、周波数成分によって特徴空間を構築し、周波数成分に応じて、特徴空間を、電車に乗っているときの音の周波成分領域と、そうでないときの周波数成分領域とに二分する。図3(d)に示す識別器に音データの周波数成分が入力されると、入力された周波数成分が、電車に乗っているときの音の周波成分領域にあるのか、そうでないときの周波数成分領域にあるのかを示す評価値が出力される。
【0029】
具体的には、図3(d)に示す識別器では、入力された音データの周波数成分が、電車に乗っているときの音の周波数成分領域にあれば、評価値は1.0となり、そうでないときの周波数成分領域にあれば、評価値は0.0となる。図3(d)に示す識別器によれば、マイクから得られる音の周波数成分が、特徴空間のどこに位置するかを判定でき、対象が電車に乗っているかどうかの識別が可能となる。
【0030】
また、選択条件設定部30は、記憶部50に記憶されている複数の識別器の中から、モード
識別装置1の状況に応じて、対象のモードの識別に利用する識別器を選択するための選択条件を設定する。識別器選択部40は、選択条件に基づいて、複数の識別器のうちのいずれかの識別器を選択する。モード識別部20は、選択された識別器を用いて、選択された識別器が対応するモードの評価値を取得し、取得した評価値に基づいて、対象のモードの識別を行う。
【0031】
このように、モード識別装置1では、その状況に応じた識別器の選択が可能となるように、選択条件が設定され、この選択条件に基づいて利用する識別器が選択される。つまり、モード識別装置1によれば、複数の識別器の中から状況に応じた適切な識別器を選択でき、対象のモードの適切な識別が可能となる。
【0032】
ここで、図1〜図3に加えて、図4〜図7を用いて、本実施の形態1におけるモード識別装置1の構成を更に具体的に説明する。図1に示すように、本実施の形態1においては、モード識別装置1は、端末装置7に備えられている。端末装置7は、プログラムを実行可能なコンピュータ装置であり、具体的には、端末装置7としては、パーソナルコンピュータ、及び携帯電話等が挙げられる。更に、本実施の形態1では、モード識別装置1は、端末装置7上で実行されるプログラムによって具現化されている。
【0033】
また、端末装置7は、液晶ディスプレイといった表示装置8を備えている。更に、本実施の形態1では、センサ6は、端末装置7に内蔵されている。なお、センサ6は、この態様に限定されることはなく、端末装置7及びモード識別装置1から分離されていても良い。この場合、ユーザは、例えば、センサ6のみを携帯する。
【0034】
また、本実施の形態1では、モード識別装置1は、例えば、1秒等の設定時間毎に、センサデータを取得してモードを識別し、表示装置8を介して、ユーザに識別結果を提示することができる。なお、以降の説明では、1度のモード識別処理が実行される場合を例に挙げて説明するが、本実施の形態1では、モード識別回数、及びモードを識別するタイミングは特に限定されるわけではない。
【0035】
図1に示すように、本実施の形態1において、モード識別装置1は、更に、センサデータ取得部10と識別結果出力部60とを備えている。センサデータ取得部10は、モード識別装置1の起動中、連続的にセンサデータを取得し、取得したセンサデータをモード識別部20に出力する。また、センサデータ取得部10は、センサ6から逐次取得したセンサデータを、例えば、端末装置7が備えるバッファに一旦記憶させることもできる。バッファとしては、端末装置7に備えられた、メモリ、ハードディスク等の記憶媒体が挙げられる。
【0036】
記憶部50は、本実施の形態1では、識別器に加えて、識別器のプロファイルを記憶する。プロファイルは、識別器毎に設定されており、対応する識別器による評価値の算出を行うために必要な条件であり、具体例については図4を用いて後述する。図1において、52は、記憶部50に記憶されているプロファイルを概念的に示している。
【0037】
ここで、図4を用いて、記憶部50に記憶されている情報の具体例について説明する。図4は、本発明の実施の形態1において記憶部に記憶されている情報の一例を示す図である。図4に示すように、記憶部50は、想定モード毎に、対応する識別器51と、各識別器のプロファイル52とを互いに関連付け、これらを一組として記憶している。図4の例では、記憶部50は、識別器51のプロファイル52として、各識別器51が利用するセンサ、消費電力、識別精度、計算量、消費メモリ、及び利用するセンサデータに対して設定されている時間窓を記憶している。
【0038】
図4において、記憶部50は、例えば、想定モード「停まる」に対して、「MOD_STOP」と
いう名前の識別器を対応づけて記憶している。更に、図4に示すように、識別器「MOD_STOP」が利用するセンサは、加速度センサ、識別に必要な消費電力は0.1、識別精度は0.8、計算量は0.1、消費メモリは10、時間窓は1sとなっている。
【0039】
識別器MOD_STOPは、図3(a)に示したように、センサデータとして加速度データを利用し、加速度データの時間窓内での分散値が102mG2以下の場合、評価値1.0を出力する。一方、識別器MOD_STOPは、加速度データの時間窓内での分散値が102mG2から103mG2の場合、1.0から徐々に低下する評価値を出力する。
【0040】
想定モード「歩く」についての識別器MOD_WALKは、図3(b)に示したように、センサデータとして加速度データを利用し、加速度データの時間窓内での分散値が103mG2から104mG2の場合、0.0から徐々に1.0まで増加する評価値を出力する。一方、識別器MOD_WALKは、加速度データの時間窓内での分散値が104mG2以上の場合、評価値1.0を出力する。
【0041】
また、想定モード「走る」についての識別器MOD_RUNは、図3(c)に示したように、センサデータとして加速度データを利用し、加速度データの時間窓内での分散値が104mG2から106mG2の場合、0.0から徐々に1.0まで増加する評価値を出力する。一方、識別器MOD_RUNは、加速度データの時間窓内での分散値が106mG2以上の場合、評価値1.0を出力する。
【0042】
選択条件設定部30は、モード識別装置1の状況、例えば、性能及びリソースの両方又は一方に応じて、利用する識別器を選択するための選択条件を設定することができる。具体的には、端末装置7が携帯電話である場合、計算機リソースは小さいため、消費電力、計算量、及び消費メモリの小さい識別器しか利用できない状況となる。このため、選択条件設定部30は、図5に示すように、選択条件として、例えば、「センサ=加速度センサ、消費電力<0.2、消費メモリ<20」を設定する。図5は、本発明の実施の形態1における選択条件及びそれによって選択された識別器の一例を示す図である。
【0043】
また、端末装置7が、加速度センサとマイクとを備える携帯電話であり、1つの識別器に電力を0.2未満しか割り当てられない場合、選択条件設定部30は、選択条件として、「センサ=加速度センサ及びマイク、消費電力<0.2」を設定する。
【0044】
更に、本実施の形態1では、選択条件設定部30は、端末装置7におけるリソースの利用状況に応じてリアルタイムに選択条件を設定することもできる。例えば、モード識別装置1を具現化しているプログラムとは別のプログラムによるプロセスが、電力を大量に消費しているとする。この場合、選択条件設定部30は、識別器が利用できる電力が少ない間は、「消費電力<0.2」という選択条件を設定し、ある時点で、その別のプログラムによるプロセスが終了し、識別器が多くの電力を利用できるようになると、「消費電力<0.6」のように条件を緩める。
【0045】
また、本実施の形態1では、選択条件設定部30は、モード識別装置1に入力された指示に応じて、利用する識別器を選択するための選択条件を設定することができる。入力される指示としては、例えば、識別結果を利用するアプリケーションプログラムからの選択条件の設定指示、ユーザからの入力機器(キーボード等)を介した選択条件の設定指示等が挙げられる。このような選択条件の設定指示が行われる場合、アプリケーションプログラム、又はユーザは、必要とするモード名を直接選択条件として指示することができる。例えば、「モード=停まる、歩く、走る」という選択条件が指示される。
【0046】
識別器選択部40は、記憶部50が記憶している識別器の中から、選択条件設定部30が設定した選択条件に基づいて、識別器を選択する。本実施の形態1では、このとき、識別器選択部40は、各識別器のプロファイルを選択条件に照合し、照合結果に基づいて、識別器を
選択する。例えば、記憶部50が、図3に示す識別器を記憶し、選択条件設定部30が、図5に示した「センサ=加速度センサ、マイク、消費電力<0.2」という選択条件を設定しているとする。この場合、識別器選択部40は、図4に示されたプロファイルを上記選択条件に照合し、照合結果から、図5に示すように、識別器MOD_STOP、識別器MOD_WALK、識別器MOD_RUNを選択する。
【0047】
なお、上記の図5に示した例では、識別器選択部40は、選択条件設定部30が設定した選択条件に全て合致する識別器を選択しているが、本実施の形態1では、選択条件のうち1部にのみ合致する識別器を選択することもできる。また、識別器選択部40は、選択条件に含まれる各要件に優先度を付与し、優先度の高い要件に合致した識別器の中から、幾つかの識別器を選択する等しても良い。
【0048】
モード識別部20は、本実施の形態1では、センサデータ取得部10からのセンサデータを受け取ると、先ず、設定された時間窓でのデータの切出しを行い、そして、切出したデータに対して、特徴量を算出する。特徴量の算出は、例えば、切出したデータに対して、分散又は平均等の統計処理、フーリエ変換による周波数解析等を実行することによって行うことができる。
【0049】
具体的には、センサデータが加速度データの場合は、モード識別部20は、分散処理を行い、特徴量として分散値を算出する。分散値は、識別器によるモードの識別に利用される(図3(a)〜(d)参照)。また、センサデータが音データの場合は、モード識別部20は、周波数解析を行い、特徴量として周波数成分を抽出する。周波数成分も、識別器によるモードの識別に利用される(図3(d)参照)。
【0050】
また、モード識別部20は、センサデータ取得部10が取得したセンサデータから特徴量を算出すると、識別器選択部40が選択した識別器に特徴量を入力し、対象のモードの識別を実行する。ここで、例えば、センサデータ取得部10が、図6に示す加速度センサデータを取得し、識別器選択部40が、「停まる」、「歩く」、及び「走る」それぞれに対応する識別器(MOD_STOP、MOD_WALK、MOD_RUN)を選択した場合を考える。図6は、図2に示したセンサデータから得られた識別結果の一例を示す図である。図6に示されたセンサデータは図2に示したセンサデータと同一のものである。
【0051】
図6に示されたセンサデータに対して、モード識別部20が、時間窓を1秒に設定して分散値を算出し、各識別器を用いて1秒毎にモードの識別を実行したとすると、例えば、1秒毎の識別結果(図6中の表参照)が得られることとなる。図6中の表において時刻が0の場合の評価値として、MOD_STOPにより「停まる」1.0、MOD_WALKにより「歩く」0.0、MOD_RUNにより「走る」0.0が得られる。
【0052】
図6の例では、識別器MOD_STOP、識別器MOD_WALK、識別器MOD_RUNに入力される分散値は、時間窓を1秒に設定して算出されているが、本実施の形態1では、識別器毎に時間窓が異なっていても良い。例えば、時間窓が2sに設定される場合は、モード識別部20は、過去2秒分遡ったセンサデータを利用して、分散値を算出する。また、このため、モード識別部20は、識別器毎に時間窓が異なっていても、予め決められた時間間隔で、モードの識別を実行することができる。更に、本実施の形態1では、モード識別装置1においてセンサデータが取得されている間、モード識別部20は、識別器を用いたモードの識別を定期的に実行し、逐次識別結果を識別結果出力部60に出力する。
【0053】
識別結果出力部60は、モード識別部20による識別の結果を表示装置8へと出力し、これを表示装置8の表示画面に表示させて、ユーザに提示させる。表示装置8としては、本実施の形態1では、液晶表示装置等が用いられている。また、識別結果出力部60は、識別の結
果がユーザにおいて見やすくなるように、識別結果の表示態様に加工を加え、加工後のデータを出力することもできる。この点について、図7(a)及び(b)を用いて説明する。図7(a)及び(b)は、それぞれ本発明の実施の形態1において表示画面に表示された識別結果の例を示す図である。
【0054】
識別結果出力部60は、例えば、図7(a)に示すように、識別結果がグラフ化して表示されるようすることができる。このとき、識別結果出力部60は、最も評価値の高いモードのみが表示されるようすることもできる。また、識別結果が、他のアプリケーションプログラムで利用される場合は、識別結果出力部60は、例えば、図7(b)に示すように、識別結果を特定のフォーマットに整形し、その後、整形後の識別結果を他のアプリケーションプログラムに出力することもできる。
【0055】
次に、本発明の実施の形態1におけるモード識別装置1の動作について図8(a)及び図8(b)を用いて説明する。図8(a)及び(b)は、本発明の実施の形態1におけるモード識別装置の動作を示す流れ図であり、図8(a)はセンサデータの取得処理を示し、図8(b)はモード識別処理を示している。本実施の形態1では、センサデータを取得する処理と、モード識別処理とは並行して実行される。
【0056】
また、以下の説明においては、適宜図1〜図7を参酌する。更に、本実施の形態1では、モード識別装置1を動作させることによって、モード識別方法が実施される。よって、本実施の形態1におけるモード識別方法の説明は、以下のモード識別装置1の動作説明に代える。
【0057】
最初に、図8(a)を用いて、センサデータの取得処理について述べる。先ず、図8(a)に示すように、センサデータ取得部10は、現在時刻におけるセンサデータを、センサ6から取得する(ステップS1)。センサ6は、図1の例では、ユーザが保有する端末装置7に備えられている。なお、上述したように、センサ6は、端末装置7から分離した独立の装置であっても良い。
【0058】
そして、センサデータ取得部10は、ステップS1で取得したセンサデータを、バッファとして機能する、端末装置7上のメモリ、又はハードディスクといった記憶媒体に記憶する(ステップS2)。その後、センサデータ取得部10は、ステップS1とステップS2とを順に繰り返し実行し、継続してセンサデータの取得処理を行う。
【0059】
続いて、図8(b)を用いて、モードの識別処理について述べる。先ず、図8(b)に示すように、選択条件設定部30が、モード識別装置1を備える端末装置7の性能及びリソース、識別結果を利用するアプリケーションプログラムからの指示等に応じて、選択条件を設定する(ステップA1)。また、ステップA1において、ユーザがキーボード等で必要とするモードを選択条件として入力している場合は、選択条件設定部30は入力された選択条件をそのまま選択条件として設定する。
【0060】
次に、識別器選択部40は、ステップA1で設定された選択条件に合致する識別器を、記憶部50が記憶している識別器の中から選択する(ステップA2)。次に、モード識別部20は、ステップA2で選択された識別器を用い、図8(a)に示したステップS2でバッファに記憶されたセンサデータに基づいて、対象のモードの識別を実行する(ステップA3)。ステップA3では、更に、モード識別部20は、得られた識別結果を識別結果出力部60に出力する。
【0061】
そして、識別結果出力部60は、ステップA3で得られた識別結果を表示装置8の表示画面に表示させるため、この識別結果に加工を施し、加工後のデータを表示装置8に出力する(ステップA4)。
【0062】
また、本発明の実施の形態1におけるプログラムは、コンピュータに、図8(a)に示すステップS1〜S2、図8(b)に示すステップA1〜A4を実行させるプログラムであれば良い。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、本実施の形態1におけるモード識別装置1とモード識別方法とを実現することができる。コンピュータとしては、上述したように端末装置7を構成するパーソナルコンピュータ、携帯電話等が挙げられる。
【0063】
また、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)は、センサデータ取得部10、モード識別部20、選択条件設定部30、識別器選択部40、及び識別結果出力部60として機能し、処理を行なう。更に、コンピュータに備えられたメモリ、及びハードディスク等の記憶装置が、記憶部50として機能する。
【0064】
以上のように本実施の形態1では、モード識別装置1の状況に応じて、識別器の選択が行われている。また、モード識別装置1の状況として、これを実現しているコンピュータ(パーソナルコンピュータ又は携帯電話等)の状況、例えば、性能、リソース、更には外部から入力されている指示が考慮される。このため、本実施の形態1によれば、適切な識別器の選択が可能となる。この結果、例えば、携帯電話のような計算機としての能力が低く、更にリソースも乏しい装置によって、モード識別装置1が構築された場合であっても、精度の高いモードの識別が可能となる。
【0065】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2におけるモード識別装置、モード識別方法、及びプログラムについて、図9〜図11を参照しながら説明する。最初に、本実施の形態2におけるモード識別装置2の構成について図9、図10(a)〜(c)を用いて説明する。図9は、本発明の実施の形態2におけるモード識別装置の構成を示すブロック図である。図10(a)は、本発明の実施の形態2におけるモードの識別結果の一例を示す図であり、図10(b)は、本発明の実施の形態2において取得された遷移確率の一例を示す図であり、図10(c)は、遷移確率を用いて得られたモードの識別結果の一例を示す図である。
【0066】
図9に示すように、本発明の実施の形態2におけるモード識別装置2は、識別器選択部40における処理及び記憶部50に記憶されている情報の点で、実施の形態1におけるモード識別装置1と異なっている。以下、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0067】
本実施の形態2では、識別器選択部40は、モード識別部20によって既に実行されている識別の結果から、想定モード毎に求められた、当該想定モードから他の想定モードに遷移する確率(以下「モード遷移確率」とする。)を用いて、識別器を選択する。また、記憶部50は、モード識別部20によって既に実行されている識別の結果(過去の識別結果)と、モード遷移確率とを更に記憶している。なお、図9において、53は、過去の識別結果を概念的に示し、54は、モード遷移確率を概念的に示している。
【0068】
本実施の形態2においては、モード識別部20による識別結果が記録され、記録された識別結果からモード遷移確率が求められる。そして、モード遷移確率に基づいて起こりうるモードの予測が行われ、そして、予測されたモードに対応する識別器が選択されて、モードの識別処理が実行される。
【0069】
例えば、現在「電車に乗っている」というモードの場合、次に起こりうるのは「歩く」「走る」などのモードなどであり、「バスに乗る」、「自転車に乗る」というモードが起こる可能性は極めて小さいと考えられる。この場合、「バスに乗る」及び「自転車に乗る」というモードに対応する識別器は選択されない。
【0070】
また、本実施の形態2では、図10(a)に示すように、記憶部50は、モード識別部20によって既に実行された識別の結果(過去の識別結果)を、その時の識別時刻と共に記憶する。具体的には、記憶部50は、図10(a)に示すように、識別時刻と、利用した識別器、及び識別器から得られた評価値とを一組として記憶している。例えば、図10(a)は、時刻0では、識別器MOD_STOP、識別器MOD_WALK、識別器MOD_RUNが用いられて識別が実行され、各識別器から、評価値として0.8、0.1、0.1が得られていることを示している。
【0071】
モード遷移確率は、過去の各モードについての他のモードへ遷移する確率であり、図10(b)は、モード遷移確率の一例を示している。例えば、現在のモードが「停まる」の場合、図10(b)に示すように、次に「停まる」に遷移する確率は0.6、「歩く」に遷移する確率は0.5である。
【0072】
また、モード遷移確率の算出処理は、例えば、モード識別部20による識別結果の出力の度に実行されても良いし、一定期間の間のモードの識別処理が終了した後に実行されても良い。更に、モード遷移確率の算出処理の主体は、特に限定されず、モード識別部20であっても良いし、識別器選択部40であっても良い。更に、モード識別装置2以外によって実行されても良い。
【0073】
識別器選択部40は、実施の形態1と異なり、選択条件設定部30が設定した選択条件に加えて、上述したように、記憶部50に記憶されているモード遷移確率を用いて識別器を選択する。例えば、選択条件設定部30で設定された選択条件に合致する識別器が、識別器MOD_STOP、識別器MOD_WALK、識別器MOD_RUN、識別器MOD_TRAINであった場合を考える。
【0074】
この場合、本実施の形態2では、識別器選択部40は、先ず、記憶部50が記憶している識別結果の中の最新の識別結果と、選択条件に合致している識別器とを対比し、選択条件に合致している識別器のうち、最新の識別結果における評価値が最も高い識別器を選択することができる。具体的には、記憶部50が、図10(a)に示す過去の識別結果を記憶しているのであれば、識別器選択部40は、時刻10における評価値が最大となっている識別器MOD_STOPを選択する。
【0075】
そして、識別器選択部40は、先に選択した識別器が対応するモード(「停まる」)に関する遷移確率を特定する。例えば、記憶部50が、図10(b)に示すモード遷移確率を記憶している場合、「停まる」についての、「停まる」、「歩く」、「走る」、「電車に乗っている」、又は「バスにのっている」への遷移確率は、それぞれ0.6、0.5、0.4、0.01、0.1となっている。
【0076】
ここで、識別器選択部40が、ある一定以上の遷移確率を持つモードのみを特定し、特定したモードに対応する識別器を選択する、というルールを有しているとする。例えば、識別器選択部40が、遷移確率が0.5以上のモードを選択するというルールを有しているならば、「停まる」、「歩く」、「走る」に対応する、識別器MOD_STOP、識別器MOD_WALK、識別器MOD_RUNが、最終的に選択される。
【0077】
また、上記の例では、識別器選択部40は、最新の識別結果における評価値が最も高い識別器を選択したが、その他、特定の値以上の評価値を持つ識別器を複数選択することもできる。この場合、識別器選択部40は、選択した各識別器が対応するモードそれぞれについて、モード遷移確率を特定し、更に、モード毎に各遷移確率を積算して、積算値が一定以上となったモードの識別器を選択することができる。
【0078】
更に、識別器選択部40は、最新の識別結果ではなく、過去のある程度の期間の識別結果
を用いて、選択条件に合致する識別器の中から特定の識別器を選択することもできる。例えば、識別器選択部40は、10秒前までの識別結果を取得し、取得した識別結果に含まれる識別器毎に、各モードへの複数の遷移確率を求める。そして、識別器選択部40は、取得した識別結果に含まれる識別器毎に、全ての遷移確率を乗算し、得られた乗算値を、その識別器のモードの遷移確率とする。その後、識別器選択部40は、モードの遷移確率を用いて、選択条件に合致している識別器の中から、いずれかの識別器を最終的に選択する。
【0079】
また、識別器選択部40は、取得した識別結果に含まれる識別器毎に、全遷移確率を足し合わせ、その際、識別結果が新しい識別器ほど値が大きくなる重みを遷移確率に乗じるようにし、足し合わせて得られた値を、その識別器のモードの遷移確率とすることもできる。
【0080】
次に、本発明の実施の形態2におけるモード識別装置2の動作について図11を用いて説明する。図11は、本発明の実施の形態2におけるモード識別装置の動作を示す流れ図である。なお、本実施の形態2においても、センサデータを取得する処理と、モード識別処理とが並行して実行されるが、このうち、センサデータを取得する処理は、実施の形態1と同様の処理である。このため、図11においては、モード識別処理のみが示されている。
【0081】
また、以下の説明においては、適宜図9〜図10を参酌する。更に、本実施の形態2では、モード識別装置2を動作させることによって、モード識別方法が実施される。よって、本実施の形態2におけるモード識別方法の説明は、以下のモード識別装置2の動作説明に代える。
【0082】
先ず、図11に示すように、選択条件設定部30が、モード識別装置2を備える端末装置7の性能及びリソース、識別結果を利用するアプリケーションプログラムからの指示等に応じて、選択条件を設定する(ステップB1)。ステップB1は、実施の形態1において図8(b)に示したステップA1と同様のステップである。
【0083】
次に、識別器選択部40は、ステップB1で設定された選択条件に合致する識別器を選択すると共に、記憶部50が記憶している過去の識別結果を取得する(ステップB2)。更に、識別器選択部40は、選択条件によって選択される識別器について、ステップB2で取得した過去の識別結果に基づいて、記憶部50が記憶するモード遷移確率を取得する(ステップB3)。
【0084】
次に、識別器選択部40は、ステップB3で取得したモード遷移確率が一定以上となるモードを特定し、特定したモードに対応する識別器を選択する(ステップB4)。次に、モード識別部20は、ステップB4で選択された識別器を用い、バッファ(図8(a)のステップS2参照)に記憶されたセンサデータに基づいて、対象のモードの識別を実行する(ステップB5)。ステップB5は、実施の形態1において図8(b)に示したステップA3と同様のステップである。
【0085】
次に、モード識別部20がステップB5で得た識別結果を記憶部50へと出力すると、記憶部50は、この識別結果を過去の識別結果(図10(a)参照)として記憶する(ステップB6)。また、この結果が、図10(c)に示されている。
【0086】
そして、識別結果出力部60は、ステップB5で得られた識別結果を表示装置8の表示画面に表示させるため、この識別結果に加工を施し、加工後のデータを表示装置8に出力する(ステップB7)。ステップB7は、実施の形態1において図8(b)に示したステップA4と同様のステップである。その後、再度、ステップB1〜B7が実行され、各ステップが繰り返される。
【0087】
また、本発明の実施の形態2におけるプログラムは、コンピュータに、図8(a)に示すステップS1〜S2、図11に示すステップB1〜B7を実行させるプログラムであれば良い。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、本実施の形態2におけるモード識別装置2とモード識別方法とを実現することができる。コンピュータとしては、上述したように端末装置7を構成するパーソナルコンピュータ、携帯電話等が挙げられる。
【0088】
また、コンピュータのCPUは、センサデータ取得部10、モード識別部20、選択条件設定部30、識別器選択部40、及び識別結果出力部60として機能し、処理を行なう。更に、コンピュータに備えられたメモリ、及びハードディスク等の記憶装置が、記憶部50として機能する。
【0089】
以上のように、本実施の形態2では、実施の形態1と異なり、過去の識別結果を利用して、次に使用すべき識別器を選択することができる。このため、本実施の形態2によれば、起こり難いモードを誤って識別してしまうことを抑制でき、よりいっそう、高精度にモードを識別することができる。また、本実施の形態2においても、実施の形態1で述べた効果を得ることができる。
【0090】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3におけるモード識別装置、モード識別方法、及びプログラムについて、図12〜図15を参照しながら説明する。最初に、本実施の形態3におけるモード識別装置3の構成について図12〜図14を用いて説明する。図12は、本発明の実施の形態3におけるモード識別装置の構成を示すブロック図である。図13は、図12に示した識別結果選択部によって補正された識別結果の一例を示す図である。図14は、本発明の実施の形態3において表示画面に表示された識別結果の例を示す図である。
【0091】
図12に示すように、本発明の実施の形態3におけるモード識別装置3は、識別結果選択部70を備える点で、実施の形態1におけるモード識別装置1と異なっている。以下、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0092】
本実施の形態3において、識別結果選択部70は、識別器毎に設定されているプロファイル52を用いて、モード識別部20によって取得された評価値を補正する。また、識別結果選択部70は、補正した評価値を用いて、モード識別部20が、対象モードの識別の結果として選出している複数のモード(図7(a)及び(b)参照)の中から、いずれかのモードを選択する。
【0093】
例えば、ある識別器から高い評価値が得られたとしても、その識別器の精度が低い場合は、必ずしもその識別器の評価値を利用することが望ましいとは限られない。そのため、識別結果選択部70は、上述したように、識別器の精度を考慮して、モード識別部20によって取得された識別結果を補正する。
【0094】
ここで、図13を用いて、モード識別部20が、「停まる」、「歩く」、「走る」、「電車に乗っている」、及び「バスに乗っている」に対する識別器を実行し、各識別器から評価値を得た場合を考える。また、記憶部50は、各識別器のプロファイルとして識別精度(図3参照)を記憶しているものとする。
【0095】
この場合、識別結果選択部70は、各識別器の評価値を、それぞれの識別精度に基づいて補正し、新たに各識別器の評価値を求める。具体的には、識別結果選択部70は、評価値71に識別精度72を乗じて、新たな評価値73を計算する。そして、識別結果選択部70は、設定
された閾値以上の評価値を持つモードを選択する。例えば、図13の例で、閾値が0.3に設定されているとすると、「歩く」及び「走る」が選択される。
【0096】
なお、上記の説明では、各識別器の評価値に識別精度を乗じて新たな評価値が求められているが、本実施の形態3はこの例に限定されるものではない。例えば、識別結果選択部70は、評価値71と識別精度72との和を求め、求めた値を新たな評価値とすることもできる。
【0097】
また、識別結果出力部60は、本実施の形態3では、モード識別部20によって識別結果として選択されたモードではなく、識別結果選択部70が、新たな評価値73に基づいて選択したモードを表示装置8に出力する。よって、本実施の形態3では、図14に示すように、上述した「歩く」及び「走る」が識別結果として表示され、ユーザに提示される。
【0098】
次に、本発明の実施の形態3におけるモード識別装置3の動作について図15を用いて説明する。図15は、本発明の実施の形態3におけるモード識別装置の動作を示す流れ図である。なお、本実施の形態3においても、センサデータを取得する処理と、モード識別処理とが並行して実行されるが、このうち、センサデータを取得する処理は、実施の形態1と同様の処理である。このため、図15においては、モード識別処理のみが示されている。
【0099】
また、以下の説明においては、適宜図12〜図14を参酌する。更に、本実施の形態3では、モード識別装置3を動作させることによって、モード識別方法が実施される。よって、本実施の形態3におけるモード識別方法の説明は、以下のモード識別装置3の動作説明に代える。
【0100】
先ず、図15に示すように、選択条件設定部30が、モード識別装置3を備える端末装置7の性能及びリソース、識別結果を利用するアプリケーションプログラムからの指示等に応じて、選択条件を設定する(ステップC1)。次に、識別器選択部40は、ステップC1で設定された選択条件に合致する識別器を、記憶部50が記憶している識別器の中から選択する(ステップC2)。次に、モード識別部20は、ステップC2で選択された識別器を用い、センサデータに基づいて、対象のモードの識別を実行する(ステップC3)。なお、上記のステップC1〜C3は、それぞれ、実施の形態1において図8(b)に示したステップA1〜A3と同様のステップである。
【0101】
続いて、識別結果選択部70が、記憶部50が記憶する識別器のプロファイルを用いて、モード識別部20によって取得された評価値を補正する。更に、識別結果選択部70は、補正した評価値を用いて、ステップC3で選出されている複数のモードの中から、最終の識別結果として、いずれかのモードを選択する(ステップC4)。ステップC4では、更に、識別結果選択部70は、得られた識別結果を識別結果出力部60に出力する。
【0102】
そして、識別結果出力部60は、ステップC4で得られた識別結果を表示装置8の表示画面に表示させるため、この識別結果に加工を施し、加工後のデータを表示装置8に出力する(ステップC5)。その後、再度、ステップC1〜C5が実行され、各ステップが繰り返される。
【0103】
また、本発明の実施の形態3におけるプログラムは、コンピュータに、図8(a)に示すステップS1〜S2、図15に示すステップC1〜C5を実行させるプログラムであれば良い。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、本実施の形態3におけるモード識別装置3とモード識別方法とを実現することができる。コンピュータとしては、上述したように端末装置7を構成するパーソナルコンピュータ、携帯電話等が挙げられる。
【0104】
また、コンピュータのCPUは、センサデータ取得部10、モード識別部20、選択条件設定部30、識別器選択部40、識別結果出力部60、及び識別結果選択部70として機能し、処理を行なう。更に、コンピュータに備えられたメモリ、及びハードディスク等の記憶装置が、記憶部50として機能する。
【0105】
以上のように、本実施の形態3では、モード識別部20による識別結果に対して、識別器のプロファイルを用いた見直しが行われている。つまり、例えば、識別精度の低い識別器から高い評価値が得られた場合等、識別結果をそのまま利用できるかどうかの判断が難しい場合に対して、他の識別器の評価値を考慮した見直しが行われる。このため、本実施の形態3によれば、よりいっそう、高精度にモードを識別することができる。また、本実施の形態3においても、実施の形態1で述べた効果を得ることができる。
【0106】
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4におけるモード識別装置、モード識別方法、及びプログラムについて、図16〜図19を参照しながら説明する。最初に、本実施の形態4におけるモード識別装置4の構成について図16〜図18を用いて説明する。図16は、本発明の実施の形態4におけるモード識別装置の構成を示すブロック図である。図17は、本発明の実施の形態4において利用されるモード関係情報の一例を示す図である。図18は、本発明の実施の形態4におけるモードの選択処理を概念的に示す図である。
【0107】
図16に示すように、本実施の形態4におけるモード識別装置4は、識別結果選択部80を備える点及び記憶部50に記憶されている情報の点で、実施の形態1におけるモード処理装置1と異なっている。また、本実施の形態4で用いられる識別結果選択部80は、実施の形態3において図12に示した識別結果選択部70と、機能の点で異なっている。以下、実施の形態1及び実施の形態3との相違点を中心に説明する。
【0108】
本実施の形態4においては、記憶部50は、想定モード毎に設定された、当該想定モードに関連するモードを特定する情報(以下「モード関係情報」とする。)を記憶している。図16において、55は、モード関係情報を概念的に示している。また、識別結果選択部80は、モード関係情報55を用いて、モード識別部20が、対象モードの識別の結果として選出している複数のモード(図7(a)及び(b)参照)の中から、いずれかのモードを選択する。
【0109】
例えば、対象である人が「電車のなかで立っている」状況を考える。この場合、「停まる」は、「電車に乗っている」及び「立っている」に関連がある。そのため、「停まる」と「電車に乗っている」、「停まる」と「立っている」、「電車に乗っている」と「立っている」は、それぞれ互いに関連するモードであり、それぞれにおいてモード関係が存在している。記憶部50は、このようなモード関係を、モード関係情報55として記憶している。
【0110】
具体的には、記憶部50は、図17に示すモード関係情報55を記憶している。図17の例では、記憶部50は、特定の想定モードと、それに関連する1又は2以上の想定モードとを一組として記憶している。例えば、想定モード「エレベータに乗っている」には、「停まる」及び「立っている」が関連付けられ、これらは一組のデータとして記憶されている。
【0111】
ここで、図18を用いて、識別結果選択部80によるモードの選択処理について説明する。図18に示すように、モード識別部20が、複数のモードを識別結果81として出力しているとする。具体的には、識別結果81として、「歩く」、「階段昇」、「座っている」、「立っている」が得られている。
【0112】
そして、識別結果選択部80は、記憶部50が記憶するモード関係情報55の中から、識別結果81に含まれるモード同士のモード関係を調べ、モード関係情報82を取得する。モード関係情報82では、「歩く」は「階段昇」及び「立っている」に関連し、「階段昇」は「歩く」及び「立っている」に関連し、「座っている」には関連モードが存在せず、「立っている」は「歩く」及び「階段昇」に関連している、と判断される。
【0113】
その後、識別結果選択部80は、モード関係情報82を参照し、識別結果81から、関連するモードが存在しないモード(「座っている」)を除外し、残りのモードを選択する。識別結果選択部80が選択したモードは、選択結果83の通りとなる。また、識別結果選択部80は、選択結果83を識別結果出力部60に出力する。これにより、識別結果出力部60から、表示装置8にも選択結果83が出力され、選択結果83は表示画面に表示され、ユーザに提示される。
【0114】
また、図18の例では、識別結果選択部80は、関連するモードが存在しないモードを除外することによってモードの選択を行っているが、本実施の形態4はこの態様に限定されるものではない。識別結果選択部80は、関連するモードの数、又は識別結果81の各モードがモード関係情報82において出現している割合等を用いて閾値を設定し、閾値を下回るモードを除外することもできる。
【0115】
更に、識別結果選択部80は、上記の例では、各モードの評価値を利用していないが、各モードの評価値を用いて、選択結果83を構成するモードを選択することもできる。例えば、識別結果選択部80は、関連するモード数が少なく、且つモードの評価値が低いモードを識別結果から除外したり、関連するモードの評価値の平均値が閾値を下回るモードを除外したりすることができる。更に、識別結果選択部80は、関連するモードのうち評価値が低いモードを関連するモードとして考慮しないようにすることもできる。
【0116】
次に、本発明の実施の形態4におけるモード識別装置4の動作について図19を用いて説明する。図19は、本発明の実施の形態4におけるモード識別装置の動作を示す流れ図である。なお、本実施の形態4においても、センサデータを取得する処理と、モード識別処理とが並行して実行されるが、このうち、センサデータを取得する処理は、実施の形態1と同様の処理である。このため、図19においては、モード識別処理のみが示されている。
【0117】
また、以下の説明においては、適宜図16〜図18を参酌する。更に、本実施の形態4では、モード識別装置4を動作させることによって、モード識別方法が実施される。よって、本実施の形態4におけるモード識別方法の説明は、以下のモード識別装置4の動作説明に代える。
【0118】
先ず、図19に示すように、選択条件設定部30が、モード識別装置4を備える端末装置7の性能及びリソース、識別結果を利用するアプリケーションプログラムからの指示等に応じて、選択条件を設定する(ステップD1)。次に、識別器選択部40は、ステップD1で設定された選択条件に合致する識別器を、記憶部50が記憶している識別器の中から選択する(ステップD2)。次に、モード識別部20は、ステップD2で選択された識別器を用い、センサデータに基づいて、対象のモードの識別を実行する(ステップD3)。なお、上記のステップD1〜D3は、それぞれ、実施の形態1において図8(b)に示したステップA1〜A3と同様のステップである。
【0119】
続いて、識別結果選択部80は、記憶部50が記憶しているモード関係情報を取得し(ステップD4)、取得したモード関係情報を用いて、ステップD3においてモード識別部20が求めた識別結果の中から、モードを選択する(ステップD5)。
【0120】
具体的には、識別結果選択部80は、モード識別部20が出力した各識別器の識別結果から、モード関係情報82(図18参照)を取得する。更に、識別結果選択部80は、モード関係情報82を参照し、モード識別部20が出力した各識別器の識別結果の中から、関連するモードが存在しないモードを除外し、残りのモードを選択する。また、ステップD5では、更に、識別結果選択部80は、得られた選択結果83(図18参照)を識別結果出力部60に出力する。
【0121】
そして、識別結果出力部60は、ステップD5で得られた識別結果を表示装置8の表示画面に表示させるため、この識別結果に加工を施し、加工後のデータを表示装置8に出力する(ステップD6)。その後、再度、ステップD1〜D6が実行され、各ステップが繰り返される。
【0122】
また、本発明の実施の形態4におけるプログラムは、コンピュータに、図8(a)に示すステップS1〜S2、図19に示すステップD1〜D6を実行させるプログラムであれば良い。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、本実施の形態4におけるモード識別装置4とモード識別方法とを実現することができる。コンピュータとしては、上述したように端末装置7を構成するパーソナルコンピュータ、携帯電話等が挙げられる。
【0123】
また、コンピュータのCPUは、センサデータ取得部10、モード識別部20、選択条件設定部30、識別器選択部40、識別結果出力部60、及び識別結果選択部80として機能し、処理を行なう。更に、コンピュータに備えられたメモリ、及びハードディスク等の記憶装置が、記憶部50として機能する。
【0124】
以上のように、本実施の形態4では、モードの関連性を用いて、モード識別部20による識別結果の中から、最終的な識別結果となるモードが選択されている。つまり、本実施の形態4では、複数の識別器を用いてモードを識別する場合に、例えば、他のモードと関連するモードを適切な識別結果とみなして選択することができる。また、逆に、識別結果に含まれる他のモードとの関連性が小さいモードは、モード識別部20によって誤って識別されていると見なして選択から除外すことができる。このため、本実施の形態4によれば、モード間の関連性から、識別結果の妥当性を判断できるので、よりいっそう、モード識別の精度の向上を図ることができる。また、本実施の形態4においても、実施の形態1で述べた効果を得ることができる。
【0125】
(実施の形態5)
次に、本発明の実施の形態5におけるモード識別装置、モード識別方法、及びプログラムについて、図20〜図23を参照しながら説明する。最初に、本実施の形態5におけるモード識別装置5の構成について図20〜図22を用いて説明する。図20は、本発明の実施の形態5におけるモード識別装置の構成を示すブロック図である。図21は、本発明の実施の形態5において用いられる統合ルールの一例を示す図である。図22(a)は、本発明の実施の形態5において表示画面に表示された識別結果の一例を示し、図22(b)は、本発明の実施の形態5におけるモード識別部の識別結果の一例を示す図である。
【0126】
図20に示すように、本実施の形態5におけるモード識別装置5は、識別結果統合部90を備える点及び記憶部50に記憶されている情報の点で、実施の形態1におけるモード処理装置1と異なっている。以下、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0127】
本実施の形態5においては、記憶部50は、各想定モードにおける、組み合わせが可能な2以上のモードと、この2以上のモードから生成される新たなモードとを規定する統合ルールを記憶している。図20において、56は、統合ルールを概念的に示している。
【0128】
また、識別結果統合部90は、統合ルール56を用いて、複数のモードから生成される新たなモード(統合モード)を特定する。ここでいう「複数のモード」は、モード識別部20によって対象モードの識別の結果として選出されたモードである。つまり、識別結果統合部90は、モード識別部20が求めた識別結果に対して、統合ルールに基づいて識別結果の統合を行う。また、識別結果統合部90は、統合モード、即ち、統合によって得られた識別結果を、識別結果出力部60に送信する。
【0129】
ここで、図21を用いて、統合ルール56の例について説明する。図21に示すように、記憶部50は、複数のモードの組み合わせと、それに対応する統合モードとを関連付け、これらを統合ルール56として記憶している。例えば、図21に示した統合ルール56によれば、データ識別部20が、識別結果として「歩く」と「走る」とを選出している場合は、これらを統合した統合モードとして「早歩き」が特定される。同様に、データ識別部20が、識別結果として「走る」と「階段昇」とを選出している場合は、統合モードとして「階段を駆け上がる」が特定される。
【0130】
また、本実施の形態5では、識別結果出力部60は、モード識別部20が出力した識別結果と識別結果統合部90が出力した統合モードとを受け取り、これらを表示装置8に出力する。この結果、図22(a)に示すように、モード識別部20による識別結果を示すグラフと、統合モードを示す文字とが、表示画面に表示され、ユーザに提示される。また、図22(b)には、モード識別部20による識別結果の一例が示されている。
【0131】
次に、本発明の実施の形態5におけるモード識別装置5の動作について図23を用いて説明する。図23は、本発明の実施の形態5におけるモード識別装置の動作を示す流れ図である。なお、本実施の形態5においても、センサデータを取得する処理と、モード識別処理とが並行して実行されるが、このうち、センサデータを取得する処理は、実施の形態1と同様の処理である。このため、図23においては、モード識別処理のみが示されている。
【0132】
また、以下の説明においては、適宜図20〜図22を参酌する。更に、本実施の形態5では、モード識別装置5を動作させることによって、モード識別方法が実施される。よって、本実施の形態5におけるモード識別方法の説明は、以下のモード識別装置5の動作説明に代える。
【0133】
先ず、図23に示すように、選択条件設定部30が、モード識別装置4を備える端末装置7の性能及びリソース、識別結果を利用するアプリケーションプログラムからの指示等に応じて、選択条件を設定する(ステップE1)。次に、識別器選択部40は、ステップE1で設定された選択条件に合致する識別器を、記憶部50が記憶している識別器の中から選択する(ステップE2)。次に、モード識別部20は、ステップE2で選択された識別器を用い、センサデータに基づいて、対象のモードの識別を実行する(ステップE3)。なお、上記のステップE1〜E3は、それぞれ、実施の形態1において図8(b)に示したステップA1〜A3と同様のステップである。
【0134】
続いて、識別結果統合部90は、記憶部50が記憶している統合ルールの中から関連する統合ルール(図21参照)を取得する(ステップE4)。次に、識別結果統合部90は、取得した統合ルールを用いて、ステップE3においてモード識別部20が識別結果として選択したモードを統合する(ステップE5)。ステップE5により、統合モードが特定される。更に、ステップE5では、識別結果統合部90は、特定した統合モードを識別結果出力部60に出力する。
【0135】
そして、識別結果出力部60は、ステップE3で得られた識別結果と、ステップE5で得られ
た統合モードとを一緒に表示装置8の表示画面に表示させるため、これらのデータを表示装置8に出力する(ステップE6)。その後、再度、ステップE1〜E6が実行され、各ステップが繰り返される。
【0136】
なお、上述した例では、1つの識別結果に統合ルールが適用されて、統合モードが生成されているが、本実施の形態5は、この態様に限定されない。例えば、本実施の形態5では、複数の識別結果に統合ルールが適用されて、統合モードが生成されても良い。また、本実施の形態5では、例えば、ある一定期間において、「歩く」と「走る」とが複数回に渡って識別されている場合に、「早歩き」と判定する等、識別結果の時間変化を考慮した統合ルールが設定されていても良い。
【0137】
また、本発明の実施の形態5におけるプログラムは、コンピュータに、図8(a)に示すステップS1〜S2、図23に示すステップE1〜E6を実行させるプログラムであれば良い。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、本実施の形態5におけるモード識別装置5とモード識別方法とを実現することができる。コンピュータとしては、上述したように端末装置7を構成するパーソナルコンピュータ、携帯電話等が挙げられる。
【0138】
また、コンピュータのCPUは、センサデータ取得部10、モード識別部20、選択条件設定部30、識別器選択部40、識別結果出力部60、及び識別結果統合90として機能し、処理を行なう。更に、コンピュータに備えられたメモリ、及びハードディスク等の記憶装置が、記憶部50として機能する。
【0139】
以上のように、本実施の形態5では、モード識別部20による識別結果に統合が可能なモードが含まれている場合は、これらを統合した統合モードが特定され、それがユーザに提示される。このため、本実施の形態5によれば、ユーザは、識別結果を利用する場合に、識別結果を自ら解析することなく、簡単に高次なモードを扱うことができる。
【0140】
また、上述の実施の形態1〜5においては、表示装置8としては、表示画面を備えた装置が用いられているが、その他のユーザに識別結果を伝達できる装置、例えば、プリンタを用いることもできる。更に、上述の実施の形態1〜5では、モード識別装置は一つの装置によって構築されているが、例えば、ネットワードを介して接続された複数のコンピュータ又は携帯電話によって構築されていても良い。例えば、センサデータ取得部10が、センサ6と共に一つの装置を構成し、この装置がモード識別装置(センサデータ取得部10を除く)と有線又は無線によって接続された態様であっても良い。また、記憶部50が、モード識別装置とは別のデータベースによって構築されている態様であっても良い。本発明では、モード識別装置内の各部の物理的な構成は特に限定されるものではない。
【実施例1】
【0141】
先ず、実施の形態1に示したモード識別装置1の実施例を説明する。以下の説明では、適宜、図1〜図8を参照する。本実施例1は、端末装置7が携帯電話である場合について説明する。また、本実施例1では、センサ6は携帯電話に内蔵されている加速度センサである。表示装置8は、携帯電話に備えられた液晶表示装置等の表示装置である。
【0142】
モード識別装置1は、携帯電話を構成しているコンピュータにインストールされたプログラムによって実現されており、携帯電話に備えられたCPUが、センサデータ取得部10、モード識別部20、選択条件設定部30、識別器選択部40、及び識別結果出力部60として機能し、処理を行っている。また、携帯電話に備えられたメモリ装置が、記憶部50として機能している。
【0143】
次に、実施例1におけるモード識別装置1の動作を図8(a)及び図8(b)に示したステップ毎に説明する。但し、本実施例1では、1度のモード識別処理のみを示すが、実際は、一定時間間隔で繰り返し処理が行われる。
【0144】
[ステップS1]
先ず、センサデータ取得部10は、図2に示したセンサデータ(加速度データ)を一定時間毎に取得する。例えば、センサデータ取得部10は、10ms間隔で加速度データを取得する。
【0145】
[ステップS2]
次に、センサデータ取得部10は、ステップS1で取得した加速度データを、バッファに格納する。バッファとしては、携帯電話に備えられたメモリ装置が用いられる。ステップS2の実行後、センサデータ取得部10は、再度、ステップS1を実行し、加速度データを取得する。ステップS1及びS2は繰り返し実行される。
【0146】
[ステップA1]
ステップS1及びS2における処理と並行して、選択条件設定部30は、携帯電話の性能及びリソースと、センサ6が加速度センサであることとに基づき、選択条件を設定する。このとき、携帯電話のリソースは小さいため、選択条件設定部30は、例えば、図5に示す選択条件を設定する。
【0147】
[ステップA2]
次に、識別器選択部40は、記憶部50が記憶している識別器の中から、ステップA1で設定した選択条件(図5参照)に合致する識別器を検索し、例えば、図5に示すように、識別器(MOD_STOP、MOD_WALK、MOD_RUN)を選択する。本実施例1において、各識別器(MOD_STOP、MOD_WALK、MOD_RUN)は、それぞれ図3(a)〜(c)に示す識別器である。
【0148】
[ステップA3]
次に、モード識別部20は、ステップS2でバッファに記憶された加速度データを取得し、設定された時間窓でのデータの切出し、加速度分散値の算出を行う。そして、モード識別部20は、加速度分散値を入力として、ステップA2で選択された各識別器を用いて、対象モードの識別を実行する。
【0149】
なお、本実施例1では、図24に示すセンサデータ(加速度データ)がバッファに記憶され、現在時刻を終点とする時間窓内(1秒間)のデータが切出されて、加速度分散値が算出されるものとする。図24は、本発明の実施例1で用いられたセンサデータと実施例1における識別結果を示す図である。
【0150】
[ステップA4]
その後、識別結果出力部60は、ステップA3で得られた識別結果を表示装置8の表示画面に表示させるため、この識別結果に加工を施し、加工後のデータを表示装置8に出力する。その結果、図24に示すように、表示装置8の表示画面に識別結果が表示され、これらがユーザに提示される。その後、再度、ステップA1〜A4が実行され、選択条件の設定、識別器の選択、モードの識別、識別結果の出力といった各ステップが繰り返される。
【実施例2】
【0151】
次に、実施の形態2に示したモード識別装置2の実施例を説明する。以下の説明では、適宜、図9〜図11を参照する。本実施例2においても、端末装置7は携帯電話である。また、センサ6は携帯電話に内蔵されている加速度センサ、表示装置8は、携帯電話に備えられた液晶表示装置等の表示装置である。
【0152】
更に、モード識別装置2も、携帯電話を構成しているコンピュータにインストールされたプログラムによって実現されており、携帯電話に備えられたCPUが、センサデータ取得部10、モード識別部20、選択条件設定部30、識別器選択部40、及び識別結果出力部60として機能し、処理を行っている。また、携帯電話に備えられたメモリ装置が、記憶部50として機能している。
【0153】
次に、実施例2におけるモード識別装置2の動作を図8(a)及び図11に示したステップ毎に説明する。但し、本実施例2では、図8(a)に示すセンサデータ取得する処理は、実施例1と同様であるため、説明を省略する。また、本実施例2においても、実施例1と同様に、1度のモード識別処理のみを示すが、実際は、一定時間間隔で繰り返し処理が行われる。
【0154】
[ステップB1]
ステップS1及びS2における処理と並行して、選択条件設定部30は、携帯電話の性能及びリソースと、センサ6が加速度センサであることとに基づき、選択条件を設定する。ステップB1は、実施例1で述べたステップA1と同様のステップである。
【0155】
[ステップB2]
次に、識別器選択部40は、ステップB1で設定された選択条件に合致する識別器と、記憶部50が記憶している過去の識別結果(図10(a)参照)とを対比し、最新時刻の識別結果での評価値が最も高い識別器を選択する。選択条件に合致する識別器が、MOD_STOP、MOD_WALK、MOD_RUNであり、過去の識別結果が図10(a)に示すものであれば、最新時刻「10」において最大の評価値を持つ、MOD_STOPが選択される。
【0156】
[ステップB3]
そして、識別器選択部40は、ステップB2で選択した識別器MOD_STOPに対するモード「停まる」から、他のモードへ遷移する確率(モード遷移確率)を取得する。本実施例2では、記憶部50が図10(b)に示すモード遷移確率を記憶しているため、識別器選択部40は、「停まる」に対して「停まる」0.6、「歩く」0.5、「走る」0.4、「電車に乗っている」0.01、「バスにのっている」0.1というモード遷移確率を取得する。
【0157】
[ステップB4]
次に、識別器選択手段40は、モード遷移確率が0.3以上のモードを選択するというルールの下、ステップB3で得た各モード遷移確率に基づいて、「停まる」、「歩く」、「走る」といったモードを選択する。そして、選択したモードに対応する識別器MOD_STOP、MOD_WALK、MOD_RUNを記憶部50から取得する。
【0158】
[ステップB5]
次に、モード識別部20は、ステップS2(実施例1参照)でバッファに記憶された加速度データを取得し、設定された時間窓でのデータの切出し、加速度分散値の算出を行う。そして、モード識別部20は、加速度分散値を入力として、ステップB4で選択された各識別器を用いて、対象モードの識別を実行する。
【0159】
[ステップB6]
そして、モード識別部20がステップB5で得た識別結果を記憶部50へと出力すると、記憶部50は、この識別結果を過去の識別結果(図10(a)参照)として記憶する。例えば、図10(c)に示すように、記憶部50は、時刻15において新たな識別結果を記憶する。
【0160】
[ステップB7]
その後、識別結果出力部60は、ステップB5で得られた識別結果を表示装置8の表示画面に表示させるため、この識別結果に加工を施し、加工後のデータを表示装置8に出力する。その後、再度、ステップB1〜B7が実行され、各ステップが繰り返される。
【実施例3】
【0161】
次に、実施の形態3に示したモード識別装置3の実施例を説明する。以下の説明では、適宜、図12〜図15を参照する。本実施例3においても、端末装置7は携帯電話である。また、センサ6は携帯電話に内蔵されている加速度センサ、表示装置8は、携帯電話に備えられた液晶表示装置等の表示装置である。
【0162】
更に、モード識別装置3も、携帯電話を構成しているコンピュータにインストールされたプログラムによって実現されており、携帯電話に備えられたCPUが、センサデータ取得部10、モード識別部20、選択条件設定部30、識別器選択部40、識別結果出力部60、識別結果選択部70として機能し、処理を行っている。また、携帯電話に備えられたメモリ装置が、記憶部50として機能している。
【0163】
次に、実施例3におけるモード識別装置3の動作を図8(a)及び図15に示したステップ毎に説明する。但し、本実施例3では、図8(a)に示すセンサデータ取得する処理は、実施例1と同様であるため、説明を省略する。また、本実施例3においても、実施例1と同様に、1度のモード識別処理のみを示すが、実際は、一定時間間隔で繰り返し処理が行われる。
【0164】
[ステップC1‐C3]
ステップS1及びS2(実施例1参照)における処理と並行して、選択条件設定部30は、携帯電話の性能及びリソースと、センサ6が加速度センサであることとに基づき、選択条件を設定する。次に、識別器選択部40は、記憶部50が記憶している識別器の中から、ステップC1で設定した選択条件(図5参照)に合致する識別器を検索し、これらを選択する。次に、モード識別部20は、ステップS2でバッファに記憶された加速度データを取得し、加速度分散値の算出を行い、そして、ステップC2で選択された各識別器を用いて、対象モードの識別を実行する。ステップC1〜C3は、それぞれ、実施例1で述べたステップA1〜A3と同様のステップである。
【0165】
[ステップC4]
次に、識別結果選択部70が、記憶部50が記憶する識別器のプロファイルを用いて、モード識別部20によって取得された評価値を補正する。例えば、ステップC3において、モード識別部20が、図13に示す評価値73を出力し、記憶部50が図13に示す識別精度72を記憶していたとする。この場合、識別結果選択部70は、評価値71に識別精度72を乗じて、新たな評価値73を計算する。
【0166】
更に、識別結果選択部70は、補正によって新たに得られた評価値を用いて、ステップC3で選出されている複数のモードの中から、最終の識別結果として、いずれかのモードを選択する。また、本実施例3では、識別結果選択部70は、閾値として0.3を設定し、閾値以上の評価値を持つモードのみ選択する。例えば、図13の例では、「歩く」と「走る」とが選択される。
【0167】
[ステップC5]
その後、識別結果出力部60は、ステップC4で得られた識別結果を表示装置8の表示画面に表示させるため、この識別結果に加工を施し、加工後のデータを表示装置8に出力する。その結果、図14に示すように、表示装置8の表示画面には、「歩く」と「走る」とが識別結果として表示され、これらがユーザに提示される。その後、再度、ステップC1〜C5が
実行され、各ステップが繰り返される。
【実施例4】
【0168】
次に、実施の形態4に示したモード識別装置4の実施例を説明する。以下の説明では、適宜、図16〜図19を参照する。本実施例4においても、端末装置7は携帯電話である。また、センサ6は携帯電話に内蔵されている加速度センサ、表示装置8は、携帯電話に備えられた液晶表示装置等の表示装置である。
【0169】
更に、モード識別装置4も、携帯電話を構成しているコンピュータにインストールされたプログラムによって実現されており、携帯電話に備えられたCPUが、センサデータ取得部10、モード識別部20、選択条件設定部30、識別器選択部40、識別結果出力部60、識別結果選択部80として機能し、処理を行っている。また、携帯電話に備えられたメモリ装置が、記憶部50として機能している。
【0170】
次に、実施例4におけるモード識別装置4の動作を図8(a)及び図19に示したステップ毎に説明する。但し、本実施例4では、図8(a)に示すセンサデータ取得する処理は、実施例1と同様であるため、説明を省略する。また、本実施例4においても、実施例1と同様に、1度のモード識別処理のみを示すが、実際は、一定時間間隔で繰り返し処理が行われる。
【0171】
[ステップD1‐D3]
ステップS1及びS2(実施例1参照)における処理と並行して、選択条件設定部30は、携帯電話の性能及びリソースと、センサ6が加速度センサであることとに基づき、選択条件を設定する。次に、識別器選択部40は、記憶部50が記憶している識別器の中から、ステップD1で設定した選択条件(図5参照)に合致する識別器を検索し、これらを選択する。次に、モード識別部20は、ステップS2でバッファに記憶された加速度データを取得し、加速度分散値の算出を行い、そして、ステップD2で選択された各識別器を用いて、対象モードの識別を実行する。ステップD1〜D3は、それぞれ、実施例1で述べたステップA1〜A3と同様のステップである。
【0172】
[ステップD4]
次に、識別結果選択部80は、記憶部50が記憶しているモード関係情報を取得する。例えば、ステップD3において、モード識別部20が、図18に示す識別結果81を出力したとすると、識別結果選択部80は、図17に示したモード関係情報55から、関連するモード関係情報82を取得する。
【0173】
[ステップD5]
また、識別結果選択部80は、ステップD4で取得したモード関係情報82を用いて、ステップD3においてモード識別部20が求めた識別結果の中から、モードを選択する。本実施例4では、識別結果選択部80は、関連するモードを存在しないモードを(「座っている」)を除外し、残りのモードを選択する。識別結果選択部80が選択したモードは、図18に示すように、選択結果83の通りとなる。
【0174】
[ステップD6]
その後、識別結果出力部60は、ステップD5で得られた選択結果83を表示装置8の表示画面に表示させるため、この識別結果に加工を施し、加工後のデータを表示装置8に出力する。その結果、表示装置8の表示画面には、「歩く」、「階段昇」「立っている」が表示され(図18参照)、これらがユーザに提示される。その後、再度、ステップD1〜C6が実行され、各ステップが繰り返される。
【実施例5】
【0175】
次に、実施の形態5に示したモード識別装置5の実施例を説明する。以下の説明では、適宜、図20〜図23を参照する。本実施例5においても、端末装置7は携帯電話である。また、センサ6は携帯電話に内蔵されている加速度センサ、表示装置8は、携帯電話に備えられた液晶表示装置等の表示装置である。
【0176】
更に、モード識別装置4も、携帯電話を構成しているコンピュータにインストールされたプログラムによって実現されており、携帯電話に備えられたCPUが、センサデータ取得部10、モード識別部20、選択条件設定部30、識別器選択部40、識別結果出力部60、識別結果統合部90として機能し、処理を行っている。また、携帯電話に備えられたメモリ装置が、記憶部50として機能している。
【0177】
次に、実施例5におけるモード識別装置5の動作を図8(a)及び図23に示したステップ毎に説明する。但し、本実施例5では、図8(a)に示すセンサデータ取得する処理は、実施例1と同様であるため、説明を省略する。また、本実施例5においても、実施例1と同様に、1度のモード識別処理のみを示すが、実際は、一定時間間隔で繰り返し処理が行われる。
【0178】
[ステップE1‐E3]
ステップS1及びS2(実施例1参照)における処理と並行して、選択条件設定部30は、携帯電話の性能及びリソースと、センサ6が加速度センサであることとに基づき、選択条件を設定する。次に、識別器選択部40は、記憶部50が記憶している識別器の中から、ステップE1で設定した選択条件(図5参照)に合致する識別器を検索し、これらを選択する。次に、モード識別部20は、ステップS2でバッファに記憶された加速度データを取得し、加速度分散値の算出を行い、そして、ステップE2で選択された各識別器を用いて、対象モードの識別を実行する。ステップE1〜e3は、それぞれ、実施例1で述べたステップA1〜A3と同様のステップである。
【0179】
[ステップE4‐E5]
次に、識別結果統合部90は、記憶部50が記憶している統合ルールの中から関連する統合ルールを取得し、取得した統合ルールを用いて、ステップE3においてモード識別部20が識別結果として選択したモードから、対応する統合モードを特定する。例えば、ステップE3において、モード識別部20が、図22(b)に示す識別結果を出力し、記憶部50が。図21に示す統合ルールを記憶しているものとする。この場合、識別結果統合部90は、図21に示した統合ルールのうち、(モード、統合モード)=([歩く、走る]、早歩き)を取得する。そして、識別結果統合部90は、統合モードとして、「歩く」と「走る」とに対応する「早歩き」を特定する。
【0180】
[ステップE6]
その後、識別結果出力部60は、ステップE3で得られた識別結果と、ステップE5で得られた統合モードとを一緒に表示装置8の表示画面に表示させるため、これらのデータを表示装置8に出力する。この結果、図22(a)に示すように、モード識別部20による識別結果を示すグラフと、統合モードを示す文字とが、表示画面に表示され、ユーザに提示される。その後、再度、ステップE1〜E6が実行され、各ステップが繰り返される。
【産業上の利用可能性】
【0181】
本発明によれば、センサを用いて、対象となる人又は動物等のモードを識別できる。従って、本発明の識別結果を利用する装置を、例えば、携帯電話、玩具、健康器具等の組み込み機器等の上で構築し、本発明をこれらの機器に適用すれば、見守りサービス、健康サービス、情報推薦サービス等のサービスを実現できる。
【0182】
(付記1)センサデータを用いて対象のモードを識別するためのモード識別方法であって、
(a)想定される複数のモードそれぞれ毎に作成され、且つ、前記センサデータから、対応するモードが前記対象のモードに該当する可能性を示す評価値を算出するための、複数の識別器の中から、当該モード識別方法の実行の状況に応じて、前記対象のモードの識別に利用する識別器を選択するための選択条件を設定する、ステップと、
(b)前記(a)のステップで設定された選択条件に基づいて、前記複数の識別器のうちのいずれかの識別器を選択する、ステップと、
(c)前記(b)のステップで選択された前記識別器を用いて、選択された前記識別器が対応するモードの評価値を取得し、取得した前記評価値に基づいて、前記対象のモードを識別する、ステップと、
を有していることを特徴とするモード識別方法。
【0183】
(付記2)前記(a)のステップにおいて、当該モード識別方法の実行に利用される装置の性能、リソース、及び入力された指示のうちの少なくとも一つに応じて、前記選択条件を設定する、付記1に記載のモード識別方法。
【0184】
(付記3)前記(b)のステップにおいて、
更に、前記(c)のステップで既に実行されている識別の結果から、前記想定される複数のモードそれぞれ毎に求められた、当該モードから他のモードに遷移する確率を用いて、前記識別器を選択する、付記1〜2記載のモード識別方法。
【0185】
(付記4)前記(b)のステップにおいて、
更に、前記複数の識別器それぞれ毎に設定されている、当該識別器による前記評価値の算出を行うために必要な条件を、前記選択条件に照合し、照合結果に基づいて、前記複数の識別器のうちのいずれかの識別器を選択する、付記1〜3のいずれかに記載のモード識別方法。
【0186】
(付記5)前記(c)のステップにおいて、前記対象のモードを識別した結果として、複数のモードを選出し、
(d)前記複数の識別器それぞれ毎に設定されている前記条件を用いて、前記(c)のステップで取得された前記評価値を補正し、補正した前記評価値を用いて、前記(c)のステップで選出した複数のモードの中から、いずれかのモードを選択する、ステップを、更に有する付記4に記載のモード識別方法。
【0187】
(付記6)前記(c)のステップにおいて、前記対象のモードを識別した結果として、複数のモードを選出し、
(e)前記想定される複数のモードそれぞれ毎に設定された、当該モードに関連するモードを特定する情報を用いて、前記(c)のステップで選出した複数のモードの中から、いずれかのモードを選択する、ステップを、更に有する付記1〜5のいずれかに記載のモード識別方法。
【0188】
(付記7)前記(e)のステップにおいて、
前記関連するモードを特定する情報を用いて、前記(c)のステップで選出した複数のモードの中から、前記関連するモードを有しないモードを除外し、前記関連するモードを有しないモードが除外された前記複数のモードの中から、いずれかのモードを選択する、付記6に記載のモード識別方法。
【0189】
(付記8)前記(c)のステップにおいて、前記対象のモードを識別した結果として、複数
のモードを選出し、
(f)前記想定される複数のモードおける、組み合わせが可能な2以上のモードと、前記2以上のモードから生成される新たなモードとを規定する統合ルールを用いて、前記(c)のステップで選出した複数のモードから生成される前記新たなモードを特定する、ステップを、更に有する付記1〜7のいずれかに記載のモード識別方法。
【0190】
(付記9)前記(c)のステップで、識別の結果を、表示装置へと出力する、付記1〜7のいずれかに記載のモード識別方法。
【0191】
(付記10)前記(f)のステップで、前記(c)のステップによる識別の結果と、前記新たなモードを特定した結果とを、表示装置へと出力する、付記8に記載のモード識別方法。
【0192】
(付記11)コンピュータによって、センサデータを用いた対象のモードの識別を実行するためのプログラムであって、
前記コンピュータに、
(a)想定される複数のモードそれぞれ毎に作成され、且つ、前記センサデータから、対応するモードが前記対象のモードに該当する可能性を示す評価値を算出するための、複数の識別器の中から、前記コンピュータの状況に応じて、前記対象のモードの識別に利用する識別器を選択するための選択条件を設定する、ステップと、
(b)前記(a)のステップで設定された選択条件に基づいて、前記複数の識別器のうちのいずれかの識別器を選択する、ステップと、
(c)前記(b)のステップで選択された前記識別器を用いて、選択された前記識別器が対応するモードの評価値を取得し、取得した前記評価値に基づいて、前記対象のモードを識別する、ステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【0193】
(付記12)前記(a)のステップにおいて、前記コンピュータの性能、リソース、外部から入力された指示、当該プログラム以外のプログラムからの指示のうちの少なくとも一つに応じて、前記選択条件を設定する、付記11に記載のプログラム。
【0194】
(付記13)前記(b)のステップにおいて、
更に、前記(c)のステップで既に実行されている識別の結果から、前記想定される複数のモードそれぞれ毎に求められた、当該モードから他のモードに遷移する確率を用いて、前記識別器を選択する、付記11〜12記載のプログラム。
【0195】
(付記14)前記(b)のステップにおいて、
更に、前記複数の識別器それぞれ毎に設定されている、当該識別器による前記評価値の算出を行うために必要な条件を、前記選択条件に照合し、照合結果に基づいて、前記複数の識別器のうちのいずれかの識別器を選択する、付記11〜13のいずれかに記載のプログラム。
【0196】
(付記15)前記(c)のステップにおいて、前記対象のモードを識別した結果として、複数のモードを選出し、
(d)前記複数の識別器それぞれ毎に設定されている前記条件を用いて、前記(c)のステップで取得された前記評価値を補正し、補正した前記評価値を用いて、前記(c)のステップで選出した複数のモードの中から、いずれかのモードを選択する、ステップを、更に前記コンピュータに実行させる付記14に記載のプログラム。
【0197】
(付記16)前記(c)のステップにおいて、前記対象のモードを識別した結果として、複
数のモードを選出し、
(e)前記想定される複数のモードそれぞれ毎に設定された、当該モードに関連するモードを特定する情報を用いて、前記(c)のステップで選出した複数のモードの中から、いずれかのモードを選択する、ステップを、更に前記コンピュータに実行させる付記11〜15のいずれかに記載のプログラム。
【0198】
(付記17)前記(e)のステップにおいて、
前記関連するモードを特定する情報を用いて、前記(c)のステップで選出した複数のモードの中から、前記関連するモードを有しないモードを除外し、前記関連するモードを有しないモードが除外された前記複数のモードの中から、いずれかのモードを選択する、付記16に記載のプログラム。
【0199】
(付記18)前記(c)のステップにおいて、前記対象のモードを識別した結果として、複数のモードを選出し、
(f)前記想定される複数のモードおける、組み合わせが可能な2以上のモードと、前記2以上のモードから生成される新たなモードとを規定する統合ルールを用いて、前記(c)のステップで選出した複数のモードから生成される前記新たなモードを特定する、ステップを、更に前記コンピュータに実行させる付記11〜17のいずれかに記載のプログラム。
【0200】
(付記19)前記(c)のステップで、識別の結果を、表示装置へと出力する、付記11〜17のいずれかに記載のプログラム。
【0201】
(付記20)前記(f)のステップで、前記(c)のステップによる識別の結果と、前記新たなモードを特定した結果とを、表示装置へと出力する、付記18に記載のプログラム。
【0202】
(付記21)センサデータを用いて対象のモードを識別するモード識別装置であって、
想定される複数のモードそれぞれ毎に作成され、且つ、前記センサデータから、対応するモードが前記対象のモードに該当する可能性を示す評価値を算出するための、複数の識別器を記憶する、記憶部と、
前記複数の識別器の中から、当該モード識別装置の状況に応じて、前記対象のモードの識別に利用する識別器を選択するための選択条件を設定する、選択条件設定部と、
前記選択条件に基づいて、前記複数の識別器のうちのいずれかの識別器を選択する、識別器選択部と、
選択された前記識別器を用いて、選択された前記識別器が対応するモードの評価値を取得し、取得した前記評価値に基づいて、前記対象のモードを識別する、モード識別部と、を備えている、ことを特徴とするモード識別装置。
【0203】
(付記22)識別結果統合部を更に備え、
前記記憶部が、前記想定される複数のモードおける、組み合わせが可能な2以上のモードと、前記2以上のモードから生成される新たなモードとを規定する統合ルールを記憶し、
前記モード識別部が、前記対象のモードを識別した結果として、複数のモードを選出し、
前記識別結果統合部は、前記統合ルールを用いて、前記モード識別部が選出している複数のモードから生成される前記新たなモードを特定する、付記21に記載のモード識別装置。
【0204】
(付記23)前記モード識別部による識別の結果を出力する、識別結果出力部を更に備えている、付記21に記載のモード識別装置。
【0205】
(付記24)前記モード識別部による識別の結果と、前記識別結果統合部による前記新たなモードの特定の結果とを出力する、識別結果出力部を更に備えている、付記22に記載のモード識別装置。
【符号の説明】
【0206】
1 モード識別装置(実施の形態1)
2 モード識別装置(実施の形態2)
3 モード識別装置(実施の形態3)
4 モード識別装置(実施の形態4)
5 モード識別装置(実施の形態5)
6 センサ
7 端末装置
8 表示装置
10 センサデータ取得部
20 モード識別部
30 選択条件設定部
40 識別器選択部
50 記憶部
51 識別器
52 プロファイル
53 識別結果
54 モード遷移確率
55 モード関係情報
56 統合ルール
60 識別結果出力部
70 識別結果選択部
71 評価値
72 識別精度
73 補正後の評価値
80 識別結果選択部
81 識別結果
82 モード関係情報
83 選択結果
90 識別結果統合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサデータを用いて対象のモードを識別するモード識別装置であって、
想定される複数のモードそれぞれ毎に作成され、且つ、前記センサデータから、対応するモードが前記対象のモードに該当する可能性を示す評価値を算出するための、複数の識別器を記憶する、記憶部と、
前記複数の識別器の中から、当該モード識別装置の状況に応じて、前記対象のモードの識別に利用する識別器を選択するための選択条件を設定する、選択条件設定部と、
前記選択条件に基づいて、前記複数の識別器のうちのいずれかの識別器を選択する、識別器選択部と、
選択された前記識別器を用いて、選択された前記識別器が対応するモードの評価値を取得し、取得した前記評価値に基づいて、前記対象のモードを識別する、モード識別部と、を備えている、ことを特徴とするモード識別装置。
【請求項2】
前記選択条件設定部が、当該モード識別装置の性能、リソース、及び入力された指示のうちの少なくとも一つに応じて、前記選択条件を設定する、請求項1に記載のモード識別装置。
【請求項3】
前記識別器選択部が、更に、前記モード識別部によって既に実行されている識別の結果から、前記想定される複数のモードそれぞれ毎に求められた、当該モードから他のモードに遷移する確率を用いて、前記識別器を選択する、請求項1〜2記載のモード識別装置。
【請求項4】
前記記憶部が、更に、前記複数の識別器それぞれ毎に設定されている、当該識別器による前記評価値の算出を行うために必要な条件を記憶し、
前記識別器選択部が、前記複数の識別器それぞれの前記条件を前記選択条件に照合し、照合結果に基づいて、前記複数の識別器のうちのいずれかの識別器を選択する、請求項1〜3のいずれかに記載のモード識別装置。
【請求項5】
識別結果選択部を更に備え、
前記モード識別部が、前記対象のモードを識別した結果として、複数のモードを選出し、
前記識別結果選択部は、前記複数の識別器それぞれ毎に設定されている前記条件を用いて、前記モード識別部によって取得された前記評価値を補正し、補正した前記評価値を用いて、前記モード識別部が選出している複数のモードの中から、いずれかのモードを選択する、請求項4に記載のモード識別装置。
【請求項6】
第2の識別結果選択部を更に備え、
前記記憶部が、前記想定される複数のモードそれぞれ毎に設定された、当該モードに関連するモードを特定する情報を記憶し、
前記モード識別部が、前記対象のモードを識別した結果として、複数のモードを選出し、
前記第2の識別結果選択部は、前記関連するモードを特定する情報を用いて、前記モード識別部が選出している複数のモードの中から、いずれかのモードを選択する、請求項1〜5のいずれかに記載のモード識別装置。
【請求項7】
前記第2の識別結果選択部が、前記関連するモードを特定する情報を用いて、前記モード識別部が選出している複数のモードの中から、前記関連するモードを有しないモードを除外し、前記関連するモードを有しないモードが除外された前記複数のモードの中から、いずれかのモードを選択する、請求項6に記載のモード識別装置。
【請求項8】
識別結果統合部を更に備え、
前記記憶部が、前記想定される複数のモードおける、組み合わせが可能な2以上のモードと、前記2以上のモードから生成される新たなモードとを規定する統合ルールを記憶し、
前記モード識別部が、前記対象のモードを識別した結果として、複数のモードを選出し、
前記識別結果統合部は、前記統合ルールを用いて、前記モード識別部が選出している複数のモードから生成される前記新たなモードを特定する、請求項1〜7のいずれかに記載のモード識別装置。
【請求項9】
センサデータを用いて対象のモードを識別するためのモード識別方法であって、
(a)想定される複数のモードそれぞれ毎に作成され、且つ、前記センサデータから、対応するモードが前記対象のモードに該当する可能性を示す評価値を算出するための、複数の識別器の中から、当該モード識別方法の実行の状況に応じて、前記対象のモードの識別に利用する識別器を選択するための選択条件を設定する、ステップと、
(b)前記(a)のステップで設定された選択条件に基づいて、前記複数の識別器のうちのいずれかの識別器を選択する、ステップと、
(c)前記(b)のステップで選択された前記識別器を用いて、選択された前記識別器が対応するモードの評価値を取得し、取得した前記評価値に基づいて、前記対象のモードを識別する、ステップと、
を有していることを特徴とするモード識別方法。
【請求項10】
コンピュータによって、センサデータを用いた対象のモードの識別を実行するためのプログラムであって、
前記コンピュータに、
(a)想定される複数のモードそれぞれ毎に作成され、且つ、前記センサデータから、対応するモードが前記対象のモードに該当する可能性を示す評価値を算出するための、複数の識別器の中から、前記コンピュータの状況に応じて、前記対象のモードの識別に利用する識別器を選択するための選択条件を設定する、ステップと、
(b)前記(a)のステップで設定された選択条件に基づいて、前記複数の識別器のうちのいずれかの識別器を選択する、ステップと、
(c)前記(b)のステップで選択された前記識別器を用いて、選択された前記識別器が対応するモードの評価値を取得し、取得した前記評価値に基づいて、前記対象のモードを識別する、ステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−156132(P2011−156132A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19894(P2010−19894)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】