説明

モーメント測定装置及び長手状部材の成形方法

【課題】チューブ1のモーメントを簡単に測定可能とすることにより、所定のモーメント
を有する長手状部材を得ることのできるモーメント測定装置及び長手状部材の成形方法を
提供する。
【解決手段】所定長さに切断された長手状部材のモーメント測定装置60において、長手
状部材の一部を支持して一定長さ分水平方向に張出すように支持する支持部材63と、長
手状部材の水平方向に張出した先端側の基準位置からの下方向への変形量を計測する計測
手段とから成ることを特徴とするモーメント測定装置60を提供する。長手状部材のモー
メントをモーメント測定装置60により予め計測することで許容範囲のモーメント(反力
)を有する長手状部材と、それ以外の長手状部材とが判明する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長手状部材のモーメントを測定するモーメント測定装置及び長手状部材の成
形方法に関するもので、例えば、本発明は、プリンタ装置に用いられるインクチューブの
モーメントを計測する測定装置及び長手状部材の成形方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばプリンタ装置に用いられる可撓性の4連の平板状の中空チューブ1は、図
7(a)、(b)に示すように長手状の孔2が例えば4個横並びとなるように形成された一
体成形品により形成されるもので、例えば、図8に示す如く所定長さに切断した中空チュ
ーブ(6連チューブ)1をJないしはU字状に変形し、両側にコネクタ92、92を付加
し、一方のコネクタ92を雄コネクタ93aを介してインクタンク90側に、他方のコネ
クタ92を雄コネクタ93bを介してキャリッジ91側に接続し、インクタンク90側の
インクをキャリッジ91で保持される記録ヘッドに供給する部材として用いられる。
【0003】
前記中空チューブ1の孔2は、同一径Dのものを横方向に並べて多連チューブを形成す
るものとなっている。この場合、孔2,2の隣接部位に対応する肉厚λを、隣接部位以外
の部位の肉厚hより薄く形成して全体として平板状の中空チューブ1の幅wを可能な限り
幅狭に成形したものが公知となっている。
このような中空チューブ1は、押出し成形金型に多連の中空チューブ1の断面形状に対
応する押出し孔より溶融樹脂を押出すことにより、長手状のチューブとして形成している
。このような多連の中空チューブ1においては、各孔2,2に対応する各チューブ部分の
全高H、幅Wa、Wb、Wc、Wdがほぼ等しい。
【0004】
このようなチューブはポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、オレフィン系
の可塑性エラストマー(TPE)、スチレン系のTPE、ポリアミド系のTPE、あるい
は、ウレタン系のTPE等を混合し、押出し成形金型により押出して形成され、所定寸法
にカットしたものを、図8に示す如くJ字状又はU字状を成す如く変形して使用されるの
が一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−324544号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記中空チューブ1を製造する際に、チューブの弾力性を得る目的でPP量を増加する
と、J字状又はU字状に変形した形状から直線状に戻る方向のモーメント(反力)が大き
くなるので、このモーメントがキャリッジ91に作用し、さらにはこのキャリッジ91で
支持されるヘッド位置に及んでヘッドを規定位置に正確に設定するのに支障となってしま
い、正確な部位にインクを噴射して付着できないという問題があった。
本発明は、チューブのモーメントを簡単に測定可能とすることにより、所定のモーメン
トを有する長手状部材を得ることのできるモーメント測定装置及び長手状部材の成形方法
を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明は、上記課題の解決を目的として、長手状部材の一部を支持して一定長さ
分水平方向に張出すように支持する支持部材と、前記長手状部材の水平方向に張出した先
端側の基準位置から下方向への変化量を計測する計測手段とから成る、モーメント測定装
置を提供する。前記構成からなるモーメント測定装置によれば、長手状部材のモーメント
を前記モーメント測定装置により予め計測する。これにより、許容範囲のモーメント(反
力)を有する長手状部材と、それ以外の長手状部材とが判明し、許容範囲のモーメントを
有する長手状部材を例えばインクチューブとして記録装置に取付けることにより、ヘッド
位置がインクチューブのモーメントに影響されること無くヘッド位置を規定位置へ安定に
保持し、正確な部分にインクを噴射して付着でき、高品質の記録装置を得ることができる

【0007】
また、他の発明によると、モーメント測定装置において、支持部材は長手状部材の水平
方向に張出す方向とは反対の後端側を支持する。自由端の先端側の垂直方向の変形量を計
測するために、長手状部材の後端側を支持するという簡単な構成にて容易に長手状部材の
モーメントを測定することが可能となる。
【0008】
また、他の発明によると、前記モーメント測定装置の計測手段は目盛り付きの指示器よ
り構成される。これにより、自由端側の変形量、すなわち長手状部材のモーメントを数値
として表すことで正確にモーメントを計測することができる。
【0009】
また、他の発明によると、前記計測手段は、変形量を検出する光学センサより成る。こ
れにより、当該計測において、測定作業の簡易化及び測定誤差の低減が可能となり、効率
的な計測が可能となる。
【0010】
また、他の発明によると、指示器に長手状部材のモーメントについての許容範囲を設け
、当該許容範囲を色マークで表示する。これにより、作業者が目視で瞬時に許容範囲を判
断することができ、測定作業の簡易化が可能となり、測定者による人的誤差等の測定誤差
を低減させることができる。
【0011】
また、他の発明によると、長手状部材の成形方法において、押出し成形後の計測は、長
手状部材の押出し成形から所定時間経過後に行なう。これにより、樹脂製長手状部材の成
形後に生じる温度変化に伴う材料収縮等により長手状部材の成形後に不安定である時間を
避け、長手状部材が安定するための時間を確保することができる。よって、計測時の長手
状部材の材料歪み、寸法変化を避けることができ、モーメントの測定がより正確となる。
【0012】
また、他の発明によると、前記計測において、長手状部材の後端側を支持した後、所定
時間経過後に計測する。これにより、長手状部材が自然屈曲により十分変形することで、
前記計測において、長手状部材が時間経過により変形する状態における計測を避けること
ができ、すべての長手状部材についてモーメントを正確に計測することができる。
【0013】
また、他の発明によると、長手状部材を、チューブを並べて一体化して構成した多連チ
ューブとした場合、多連チューブの連なる方向が長手状部材の長手方向に対して水平並び
となるようにその後端側を支持する。これにより、測定装置は、多連チューブを支持部に
差込むだけで迅速、かつ的確にモーメントを計測することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
最良の形態1
以下、発明の実施の形態を用いて本発明を説明する。
図1ないし図3は最良の形態1を示し、図1は長手状部材の成形方法を説明するための
工程図、図2はモーメント測定装置を示す簡略構成図、図3はモーメント測定装置の要部
を示す拡大図である。
【0015】
図1に示す長手状部材の製造工程において、中空チューブ1を構成する樹脂の素材とし
ては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、オレフィン系の可塑性エラスト
マー(TPE)、スチレン系のTPE、ポリアミド系のTPE、及び、ウレタン系のTP
Eなどの、固化後に可撓性を有する樹脂が用いられる。
【0016】
中空チューブ1は、上記樹脂を押出成形機10のホッパ11に投入し、シリンダ13か
ら、これを加熱・溶融しながらスクリュー12により押出しヘッド14の吐出口から吐出
される。押出された中空チューブ1は、冷却機20の冷却槽21内の水で、常温近傍まで
冷却される。押出された中空チューブ1は、引取機30により、所定の張力を加えられな
がら引き取られる。
【0017】
引取機30で引き取られた中空チューブ1は、ヒータ41、41を上,下に有する炉か
ら成るアニール機40で所定温度の下でアニール加工され、アニール加工後に切断刃51
で所定長さに切断され、収容部50に1本ずつ収容される。また、図1では、アニール加
工はチューブ切断前に行なわれるが、チューブ切断後に行なわれてもよい。収容部50内
の中空チューブ1はサンプリングにより長手状部材としてのチューブのモーメント測定装
置60により反力すなわちモーメントが測定される。このモーメント測定装置60は図2
(a)、(b)に示すように構成される。
【0018】
図2(a)、(b)に示すモーメント測定装置60は、長辺形の水平台61と、この水
平台61の中央より垂直に立上るボード62と、このボード62の片面の上部左端に位置
する支持部材63と、ボード62の片面右端に位置する計測手段としての指示器65と、
ボード62の片面右端の、支持部材63と略同じ高さの所に位置するストッパ64とから
成る。
【0019】
上記支持部材63は、ボード62の片面に、上,下に支持幅Lを保って平行な下部片6
3b及び上部片63aより成る。上記指示器65はボード62の右端側に配設され、中空
チューブ1の自由端の先端部1a側の下方向への変形量(垂れ量)を指示し、中空チュー
ブ1の反力すなわちモーメントを表示する目的で、上,下方向(垂直方向)に目盛りが付
された計測板より成る。ストッパ64はボード62に接着材、ねじ等で固定され、計測前
における中空チューブ1の先端部1a側の位置を決めるものである。
【0020】
ストッパ64はボード62の支持部材63とは反対側に、所定位置にあらかじめ取付け
られており、水平方向に張出した中空チューブ1の自由端の先端部1aをこのストッパ6
4に突き当てた状態で、中空チューブ1の後端部1b側を支持部材63で挟持することで
、中空チューブ1の支持部材63から先端部1aまでの長さをどのようなチューブについ
ても一定長に保持できる。一例として、中空チューブ1の支持部材63から先端部1aま
での長さXが177mmとなるようにストッパ64は位置される。これにより、中空チュ
ーブ1をモーメント測定装置60に取付ける際、中空チューブ1の支持部材63より、各
種中空チューブの自由端の先端部1aまでの長さXを簡単な作業で、効率的にかつ正確に
177mmと一定に保てる。
【0021】
上記支持部材63は図3に示すように中空チューブ1の後端部1bを挟むための下部片
63bと上部片63aとを有する。この場合、上部片63aと下部片63bとの間隔であ
る支持幅Lは中空チューブ1の長手方向側面の上下各々を中空チューブ1の高さ(全高)
Hよりやや狭い幅とする。中空チューブ1を中空チューブ1の高さHよりやや狭い支持幅
Lで挟んで保持することにより、後端部1bを下部片63bと上部片63aとの間に水平
向きで差し込むだけで簡単に安定して保持する。
【0022】
支持幅Lは、中空チューブ1の形状が測定前後で変化することがない微少な幅としてい
るので、例えば中空チューブ1が当該測定後、上部片63a、下部片63bでの保持より
開放されれば、中空チューブ1自体の弾性により、弾性変形が解消され、測定前の形状に
復元される。
【0023】
計測手段としての指示器65には、中空チューブ1の水平位置(ストッパ64で阻止さ
れた状態)を基準(0)として、下部方向に目盛りが等間隔となるように付してある。よ
って中空チューブ1の先端が垂れるよう変形してこの目盛りの上で停止した位置を目視す
る事で、中空チューブ1の変形量(先端側垂れ量)を知ることができる。すなわち、目盛
りではあらかじめ上限Aaと下限Abとでモーメント許容範囲Aが設定されており、この
許容範囲A内に、中空チューブ1の先端部1aが入っているかどうかを作業者が目視で判
断することで、中空チューブ1のモーメントが正規かどうか知ることができる。なお許容
範囲Aの上限Aa、下限Abは、チューブの種別、例えば単管、2管、3管・・・毎にあ
らかじめ設定される。
【0024】
図1に示す長手状部材の成形方法としての押出成形チューブの製造工程において、上記
中空チューブ1を構成する樹脂の素材を押出成形機10のホッパ11からシリンダ13に
投入し、これを加熱・溶融しながらスクリュー12により押出しヘッド14の吐出口から
吐出させ、押出しヘッド14に取付けられた成形用金型15により所望の断面形状を有す
る中空チューブの形態に成形して押出す。押出された中空チューブ1は、冷却機20の冷
却槽21中の水で、常温近傍まで冷却される。押出された中空チューブ1は、引取機30
により、所定の張力を加えられながら引き取られる。上記で成形された中空チューブ1は
ヒータ41、41を上,下に有する炉から成るアニール機40で所定温度の下でアニール
加工され、アニール加工後に切断刃51で所定長さに切断され、収容部50に1本ずつ収
容される。
【0025】
収容部50内の中空チューブ1はサンプリングにより図2に示す長手状部材のモーメン
ト測定装置60により反力が測定される。この測定では、図1に示す製造過程でサンプリ
ングした中空チューブ1の自由端の先端部1aを指示器65に当接させた状態で、水平向
きで中空チューブ1の後端部1bをモーメント測定装置60の下部片63b、上部片63
a間に差し込み、所定時間経過後、先端部1a側が下方に撓んだ後停止した位置の指示器
65の目盛りを判読することで、その垂れ量すなわち変形量を知ることができる。従って
、この変形量が許容範囲Aの上限Aaよりも上にはみ出しておればチューブのモーメント
が大き過ぎることが判明し、許容範囲Aの下限Abより下回っておればこのモーメントが
小さ過ぎることが判明し、図1に示すホッパ11に投入する素材の成分を調整する等して
、規定のモーメントのチューブの製造が可能となる。
【0026】
上記モーメント測定装置60における計測は、中空チューブ1が樹脂製チューブの押出
し成形から計時して所定時間経過後(例えば30分後)に行なえばよい。中空チューブ1
の押出し成形後に温度変化に伴う材料歪み等により中空チューブ1が不安定となる時間を
避け、中空チューブ1が安定するための時間を確保するためである。
【0027】
上記モーメント測定装置60における測定を、中空チューブ1を支持部材63により支
持した後計時を開始して、自然屈曲による垂れ下がりに必要な所定時間経過後、中空チュ
ーブ1の反力を指示器65より計測する。例えば、中空チューブ1の後端部1bを支持部
材63で支持した後、15分間放置し、自然屈曲により中空チューブ1の先端部1aが十
分に垂れ下がる時間を確保することで、安定的に長手状部材としての中空チューブ1のモ
ーメントを知ることができる。なお、指示器65にはあらかじめ、測定すべきチューブの
種別毎に許容範囲Aの異なる数値が設定されており、作業者は測定すべき中空チューブ1
の種別に応じて中空チューブ1の先端部1aが許容範囲に入っているかを目視で判断すれ
ばよい。
【0028】
図4は、実験にもとづく中空チューブ1の変形量と動的モーメント比較例を示す。本モ
ーメント測定装置60を用い、多連中空チューブのモーメントである反力を計測した測定
値について、縦軸を動的モーメント、横軸を自然屈曲値として表示する。被測定部材であ
る多連中空チューブは、チューブ成形後6時間以上経過して、十分冷却されたものとする
。また、計測において、多連チューブの後端側を支持した後、計測するまでの所定時間を
15分と設定し計測した。
【0029】
アニール加工前後で自然屈曲値がどの程度変化するかを多連チューブであるチューブA
、B、Cについて実験により調べた。アニール加工前と加工後の自然屈曲による計測値の
変化を屈曲差とした。屈曲差はアニール加工前後で2mm以下であり、殆ど無いものと見
なせる。これにより、アニール加工工程の前後を問わず又は有無によらず、上記長手状部
材の反力を計測することができる。
【表1】

【0030】
以上の通り、本発明を最良の形態1に基づいて説明したが、本発明の技術的範囲はこれ
に限定されるものではない。他の実施形態として許容範囲Aの部位に「青」「緑」等の色
マークを付加して、作業者が長手状部材の変形量を判別し易くなるようにしても良い。
また、本発明は図8に示すようなプリンタに適用することに限らず、医療用や他の工業
分野等にも適用可能である。
【0031】
最良の形態2
図5は、支持部材63の他の実施形態を示す拡大図である。支持部材63は、上部片6
3aと下部片63bで水平向きの中空チューブ1の後端部1bを保持するものであり、上
向き垂直ボルト77の下端より水平方向に突出する固定部材72と、垂直ボルト77のね
じ切り部73が貫通する孔75を有し、上記下部片63bと平行を保つように突出し、か
つ上,下動自在となった作動部材71を備え、固定部材72の上面に下部片63bが、作
動部材71の下面に上部片63aが取付けられている。76は作動部材71を上方に押圧
するスプリングである。これにより、調節ナット74を軽く締めることにより、上部片6
3aと下部片63bの幅である支持材幅Lが調節可能となる。これにより、図7(b)に
示す中空チューブ1の全高Hが種々のタイプのチューブについて後端部側の保持が対応可
能となる。
【0032】
最良の形態3
図6(a)〜(d)は、他の実施形態である光学センサ設置形態を示す簡略構成図であ
る。各図(a)〜(d)に示すように、計測手段としては、目盛板による指示器65によ
らず、光学センサ80により構成してもよい。光学センサ80は受光板82、発光板81
、表示板83、制御部84とからなる。発光板81と受光板82は、計測対象である中空
チューブ1の自由端の先端部1a側を中空チューブ1と接触しないよう、一定の間隔を置
いて間に挟む状態でボード62へ取付ける。
【0033】
発光板81は、発光素子81aが複数個縦方向に配設され、発光素子から受光板82方
向へ光が発せられる。受光板82は、受光素子82aが複数個縦方向に配設され、発光板
81から発する光を受ける。制御部84は、発光素子81aを発光させ、かつ複数の受光
素子からの電気信号を受け、表示結果を算出する。表示板83は、制御部84からの結果
を表示する。発光板81に配設された発光素子81aは、一例として発光ダイオードなど
の素子を用いる。受光板82に配設された受光素子82aは、フォトダイオード、フォト
レジスタ、CdSセルなどの素子を用い、縦方向に隣り合う受光素子は共に一定の間隔を
置いて取付ける。発光板81と受光板82との間に中空チューブ1の自由端側の先端部1
a側が位置することになる。
【0034】
図6(c)、(d)に示す如く光センサは、発光素子81aより光が発せられ、受光板
82に配設された受光素子82aにより光が受光され、制御部84を通して表示板83に
表示するものである。計測対象となる中空チューブ1の自由端の先端部1aは、発光板8
1と受光板82との間にあり、発光素子81aからの光を遮り、受光板82に中空チュー
ブ1の自由端の先端部1aと同じ高さに同一形状の影を作る。受光板82に複数配設され
た受光素子82aは、上記影により光を受ける素子と光を受けない素子とに分かれる。制
御部84では各受光素子の上記受光結果を受け、算出したものを電気信号に置き換える。
表示板83は、制御部84からの電気信号による結果を表示する。なお、制御部84はあ
らかじめ設定された許容範囲A内の受光素子82aを活性化し、この許容範囲A内の受光
素子82aのいずれかが、影により受光しなければ、この許容範囲A内に先端部1aが存
在して、モーメントとして正規とみなすことができる。
【0035】
上記影は中空チューブ1の自由端の先端部1aと同じ高さにあり、自由端の先端部1a
の高さが変われば、影の高さも同じ高さに変わるものである。よって、モーメント測定装
置60による測定は、影で置換して計測値を求めることもできる。この場合、表示板83
に中空チューブ1の変形量(モーメント)をデジタル表示しても良いが、あらかじめ中空
チューブ1の種別毎に設定した許容範囲A内に中空チューブ1の先端部1aが入っている
か否かを、制御部84で判定して表示板83に許容範囲以内にあるときは「YES」、許
容範囲以外にあるときは「NO」を表示するようにしてもよい。許容範囲Aは制御部84
内の記憶部に記憶されているものとし、中空チューブ1の種別に応じて読出されるものと
する。
【0036】
このように、本発明によれば、簡単な構成による長手状部材のモーメント測定装置を得
ることができるので、規定範囲のモーメントを有する長手状部材を容易に判別でき、作業
の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】押出成形チューブの製造工程を示すブロック図である。
【図2】モーメント測定装置を示す簡略構成図である。
【図3】支持部材の側面拡大図である。
【図4】変形量と動的モーメント比較を表す特性図である。
【図5】支持部材の他の実施形態を示す拡大図である。
【図6】光学センサ設置形態及び光学センサ断面を示す簡略構成図である。
【図7】従来の長手状部材の一例を示す斜視図及び断面図である。
【図8】従来の中空チューブを記録装置に接続した接続構成図である。
【符号の説明】
【0038】
1 中空チューブ、1a 先端部、1b 後端部、10 押出成形機、11 ホッパ、
12 スクリュー、13 シリンダ、14 押出しヘッド、15 成形用金型、
20 冷却機、21 冷却槽、30 引取機、40 アニール機、41 ヒータ、
50 収容部、51 切断刃、60 モーメント測定装置、61 水平台、
62 ボード、63 支持部材、63a 上部片、63b 下部片、64 ストッパ、
65 指示器、71 作動部材、72 固定部材、73 ねじ切り部、
74 調節ナット、76 スプリング、77 垂直ボルト、80 光学センサ、
81 発光板、81a 発光素子、82 受光板、82a 受光素子、83 表示板、
84 制御部、91 キャリッジ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定長さに切断された長手状部材のモーメント測定装置において、前記長手状部材の一
部を支持して一定長さ分水平方向に張出すように支持する支持部材と、前記長手状部材の
水平方向に張出した先端側の基準位置からの下方向への変形量を計測する計測手段とから
成ることを特徴とするモーメント測定装置。
【請求項2】
前記支持部材は長手状部材の水平方向に張出す方向とは反対の後端側を支持することを
特徴とする請求項1に記載のモーメント測定装置。
【請求項3】
前記計測手段は自由端の先端側の変形量を指示する目盛り付きの指示器より成ることを
特徴とする請求項1に記載のモーメント測定装置。
【請求項4】
前記計測手段は、自由端の先端側の変形量を検出する光学センサより成ることを特徴と
する請求項1に記載のモーメント測定装置。
【請求項5】
前記指示器には、変形量の許容範囲を示す色マークを表示したことを特徴とする請求項
3に記載のモーメント測定装置。
【請求項6】
連続的に押出し成形される樹脂製長手状部材を、所定長さに切断して成形した長手状部
材の成形方法において、前記長手状部材を請求項1のモーメント測定装置で測定するのを
樹脂製長手状部材の押出し成形から所定時間経過後に行うようにしたことを特徴とする長
手状部材の成形方法。
【請求項7】
前記請求項1に記載のモーメント測定装置による計測を、長手状部材の後端側を支持し
て水平に支持後、所定時間経過後に行うようにしたことを特徴とする請求項6に記載の長
手状部材の成形方法。
【請求項8】
前記長手状部材は、押出し成形されて成り、チューブを並べて一体化した多連チューブ
より成り、多連チューブが水平並びとなるようにその後端側を支持したことを特徴とする
請求項6に記載の長手状部材の成形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−222467(P2009−222467A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−65299(P2008−65299)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】