説明

ユニットバス改修方法

【課題】低コストでかつ短期間で、既設のユニットバスを、バスルームあるいはシャワー室と、トイレルームと、に間仕切ることを可能にするユニットバス改修方法を提供する。
【解決手段】既設の3点式ユニットバス1Aの化粧棚31を取り外し、T字状パイプ3を横パイプ3Aのジョイント部3A−1側からパイプ挿入孔33に挿入し、T字状パイプ3を配管スペースPS内でT字状の姿勢に立設させる。この状態で、カラン60A、60Bを接続するとともに、浴槽30の縁32上にサッシ2を設置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設のユニットバスを、バスルームあるいはシャワー室と、トイレルームと、に間仕切るユニットバス改修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、首都圏の空室は遂に30万室を突破しており、このうち、ワンルームマンションが2/3を占めている。このワンルームマンションの大部分が、浴槽と便器とが同一室内に何ら間仕切りされることなく設置されているいわゆるユニットバス(例えば、特許文献1を参照)を採用している。この特許文献1に記載されているような浴槽と便器と洗面器とが一体となった3点セットタイプのユニットバスは、トイレを使用するときに床が濡れていたり、湯気や湯船のお湯がはねてトイレットペーパーが濡れてしまうことがある。また、プライベートスペースが確保されていないため、来客があった場合には、1人が湯船につかっていると他の者はトイレを使用することができない。一方、プライベートスペースを確保すべく、浴槽とトイレとの間にシャワーカーテンを設けることもあるが、入浴中にこのシャワーカーテンが肌に触れたりして不快である。
【0003】
3点セットタイプのユニットバスは、上記のような問題があるため、近年、若者に敬遠される傾向が強い。このため、インターネットなどによる空室検索においては、このユニットバスを採用しているワンルームマンションは、「バス・トイレ別」との条件でふるいにかけられてしまい、検索結果としてあがらず、その結果、空室が埋まらないという状況に陥ってしまう。
【0004】
一方、このような問題点を解消すべく、バスルームとトイレとを分離した新しいユニットバスも開発されている(例えば、特許文献2参照)。ここに記載されているユニットバスは、浴槽とトイレとが遮蔽体によって分離されているので、上述のような問題は生じないが、この新しいユニットバスを設置するためには、既設のユニットバスを撤去する必要があり、ワンルームマンションのオーナーにとっては、撤去料、設置料など多大な費用がかかるばかりでなく、設置工期も長くかかってしまい、その間入居できない状況を招来しオーナーにとっては大きな負担となる。
【0005】
そこで本発明者は、上記特許文献2に記載のようなユニットバスを新設するのではなく、既設の3点セットタイプのユニットバスを改修することによりバスルームあるいはシャワー室と、トイレルームと、に仕切ることを考えた。この際に、本発明者は、バスルームでは浴槽内に給湯及び給水するのに1つのカランが必要で、トイレルームには手洗い用に洗面器を設けるため前記と物理的に独立した洗面器用のカランが必要だと考えた。しかしながら、既設のユニットバスは空間スペースを広くするために、住宅の設置スペース内に限度いっぱいに設けられているので、ユニットバスと住居の設置スペースとの間隙は少なく設定されているのが通常である。その結果、カランへ水及び湯を供給するためのパイプを配置するための裏側の配管スペースが極端に狭くなり、ユニットバス設置後の配管変更工事は困難を極める。この配管作業を可能にしない限り費用及び工期の双方の面において、既設のユニットバスを利用することによるメリットが出せないと考え、この配管作業の簡素化について試行錯誤を重ねた。
【0006】
【特許文献1】特開2002−220937号公報
【0007】
【特許文献2】実願平01−059885号(実開平02−150386号)のマイクロフィルム
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者は鋭意研究の結果、配管作業を可能にする方法を考え、上記特許文献2に記載のようなユニットバスを新設するのではなく、既設のユニットバスを利用して、バスルームあるいはシャワー室と、トイレルームと、に間仕切ることを可能とする本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の目的とするところは、新型のユニットバスを導入することなく、既設のユニットバスを利用してバスルームあるいはシャワー室と、トイレルームと、に仕切られたユニットバスを低コストでしかも短期間で供給可能なユニットバスの改修方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、少なくとも浴槽及び便器とが同一室内に設置され、かつ浴槽と便器との間が仕切られていないタイプの既設の浴槽一体型ユニットバスを、上記浴槽が設置されている側をバスルームとし、上記便器が設置されている側をトイレルームとして間仕切るユニットバス改修方法であって、上記浴槽一体型ユニットバスの壁面に洗面器およびカランが設置されている場合にはこれを除去し、上記浴槽一体型ユニットバスの壁面であり、かつ上記バスルームとトイレルームとに跨る壁面の上記バスルーム側及びトイレルーム側の所定の位置にそれぞれ給湯用孔及び給水用孔を対にしてなるカラン取付孔を穿設し、上記浴槽の外壁に上記浴槽一体型ユニットバス外部に通ずる孔が開設されている場合には該孔から、該孔が開設されていない場合には上記壁面にパイプ挿入孔を穿設した後該パイプ挿入孔から、縦パイプと横パイプとを予め結合した給湯用T字状パイプ及び給水用T字状パイプをそれぞれ、その縦パイプの端を把持してその横パイプの一端側から挿入し、その後、上記給湯用T字状パイプ及び給水用T字状パイプそれぞれが上記壁面の裏面側でT字状の姿勢になり、かつ、給湯用T字状パイプにおいてはその横パイプの一端が上記バスルーム側の給湯用孔に他端が上記トイレルーム側の給湯用孔にそれぞれ上記壁面の裏面側から配置されるようにし、同様に、給水用T字状パイプにおいてはその横パイプの一端が上記バスルーム側の給水用孔に他端が上記トイレルーム側の給水用孔にそれぞれ上記壁面の裏面側から配置されるようにし、この状態で上記カラン取付孔のそれぞれにカランを設置するとともに、トイレルーム側のカランの下方には洗面器を設置し、上記浴槽の縁あるいは上記浴槽一体型ユニットバスの床面であって上記浴槽の縁の外側にサッシを設置し、これにより既設の浴槽一体型ユニットバスをバスルームとトイレルームとに間仕切ることを特徴とする。
ここで、「浴槽一体型ユニットバス」とは、浴槽と壁面、床が一体となっているタイプのユニットバスを意味し、浴槽とトイレと洗面器とが一体となったいわゆる3点セットタイプのユニットバスや、洗面器がないいわゆる2点セットのユニットバスも含む。
【0011】
また本発明は、少なくとも浴槽及び便器が同一室内に設置され、かつ浴槽と便器との間が仕切られていないタイプの既設の浴槽据置型ユニットバスを、上記浴槽が設置されている側をバスルームとし、上記便器が設置されている側をトイレルームとして間仕切るユニットバス改修方法であって、上記浴槽を除去し、その後、該除去跡の床面に防水部材を設け、その上に上記浴槽より外形の小さい小浴槽を、該小浴槽が設置されていない防水部材の部分が洗い場として確保されるように設置し、上記浴槽据置型ユニットバスの壁面に洗面器およびカランが設置されている場合にはこれを除去し、上記浴槽据置型ユニットバスの壁面であり、かつ上記バスルームとトイレルームとに跨る壁面の上記バスルーム側及びトイレルーム側の所定の位置にそれぞれ給湯用孔及び給水用孔を対にしてなるカラン取付孔を穿設し、上記壁面にパイプ挿入孔を穿設した後該パイプ挿入孔から、縦パイプと横パイプとを予め結合した給湯用T字状パイプ及び給水用T字状パイプをそれぞれ、その縦パイプの端を把持してその横パイプの一端側から挿入し、
その後、上記給湯用T字状パイプ及び給水用T字状パイプそれぞれが上記壁面の裏面側でT字状の姿勢になり、かつ、給湯用T字状パイプにおいてはその横パイプの一端が上記バスルーム側の給湯用孔に他端が上記トイレルーム側の給湯用孔にそれぞれ上記壁面の裏面側から配置されるようにし、同様に、給水用T字状パイプにおいてはその横パイプの一端が上記バスルーム側の給水用孔に他端が上記トイレルーム側の給水用孔にそれぞれ上記壁面の裏面側から配置されるようにし、この状態で上記カラン取付孔のそれぞれにカランを設置するとともに、トイレルーム側のカランの下方には洗面器を設置し、上記バスルームとトイレルームとの境界線であって上記浴槽据置型ユニットバスの床面にサッシを設置し、これにより既設の浴槽据置型ユニットバスをバスルームとトイレルームとに間仕切ることを特徴とする。
【0012】
また本発明は、少なくとも浴槽及び便器とが同一室内に設置され、かつ浴槽と便器との間が仕切られていないタイプの既設の浴槽据置型ユニットバスを、上記浴槽が設置されている側をシャワー室とし、上記便器が設置されている側をトイレルームとして間仕切るユニットバス改修方法であって、上記浴槽を除去し、その後、該除去跡の床面に防水部材を設け、上記浴槽据置型ユニットバスの壁面に洗面器およびカランが設置されている場合にはこれを除去し、上記浴槽据置型ユニットバスの壁面であり、かつ上記シャワー室とトイレルームとに跨る壁面の上記シャワー室側及びトイレルーム側の所定の位置にそれぞれ給湯用孔及び給水用孔を対にしてなるカラン取付孔を穿設し、上記壁面にパイプ挿入孔を穿設した後該パイプ挿入孔から、縦パイプと横パイプとを予め結合した給湯用T字状パイプ及び給水用T字状パイプをそれぞれ、その縦パイプの端を把持してその横パイプの一端側から挿入し、その後、上記給湯用T字状パイプ及び給水用T字状パイプそれぞれが上記壁面の裏面側でT字状の姿勢になり、かつ、給湯用T字状パイプにおいてはその横パイプの一端が上記バスルーム側の給湯用孔に他端が上記トイレルーム側の給湯用孔にそれぞれ上記壁面の裏面側から配置されるようにし、同様に、給水用T字状パイプにおいてはその横パイプの一端が上記バスルーム側の給水用孔に他端が上記トイレルーム側の給水用孔にそれぞれ上記壁面の裏面側から配置されるようにし、この状態で上記カラン取付孔のそれぞれにカランを設置するとともに、トイレルーム側のカランの下方には洗面器を設置し、上記シャワー室とトイレルームとの境界線であって上記浴槽据置型ユニットバスの床面にサッシを設置し、これにより既設の浴槽据置型ユニットバスをシャワー室とトイレルームとに間仕切ることを特徴とする。
ここで、「浴槽据置型ユニットバス」とは、少なくとも、浴室内に浴槽が据え置かれるとともに、この浴室内にトイレが何ら仕切りもなく設置されているバスルームを意味するものである。
【0013】
上記サッシを設置する際には、上記浴槽一体型ユニットバスあるいは浴槽据置型ユニットバスの壁面の所定の位置に細長状の補強部材を設置した後、上記サッシの縦枠が上記補強部材を介して上記浴槽一体型ユニットバスあるいは浴槽据置型ユニットバスの壁面に設置されるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
上述したようなT字状のパイプを使用し上記方法で配管するという本発明のユニットバスの改修方法を用いることで、配管作業を可能とし、その結果、既設のユニットバスを改修するという簡易な手法で、バスルームあるいはシャワー室と、トイレルームと、に仕切られたユニットバスが提供可能となる。その結果、バスルームとトイレルームとに予め仕切られている新型のユニットバスを導入するのに比して、コストの低廉化及び工期の短期化が図れるのはもちろんのこと、既設のユニットバスを廃棄しないので、地球環境にもやさしいといった効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付した図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1は、本発明のユニットバス改修方法を施す既設のユニットバスの上面断面図、図2は、図1に示す既設のユニットバスに本発明のユニットバス改修方法を施した初期の状態を示す部分斜視図、図3は、本発明のユニットバス改修方法に用いるサッシの部品の斜視図、図4は、本発明のユニットバス改修方法に用いる給湯用T字状パイプあるいは給水用T字状パイプを示す図であり、(a)は斜視図、(b)は正面図、(c)は矢印F1方向から見た側面図、図5は、本発明のユニットバス改修方法における配管の方法を説明するための部分斜視図である。
【0017】
本発明のユニットバス改修方法は、既設のユニットバスを改修することにより、簡易で、短期間に、しかも低コストで、バスルームとトイレルームとに仕切られたユニットバスを得ることを可能とする方法である。既設のユニットバスの中には、浴槽、トイレおよび洗面器が一体になったいわゆる3点セットタイプのユニットバス、及び浴槽据置型ユニットバス、すなわちバランス釜が浴槽に付属しており浴槽とバランス釜とが床に据え置かれているタイプのユニットバスのいずれにも適用可能である。
【0018】
まず、図1〜図8を用いて、本発明のユニットバス改修方法を使用して、既設の3点セットタイプのユニットバスからバスルームとトイレルームとに仕切られたユニットバスを得る方法について説明する。
【0019】
本発明のユニットバス改修方法を適用する前の既設のユニットバスは、図1に示すように構成されている。すなわち、既設のユニットバス10は、筐体20、浴槽30、便器40、筐体20の一の壁面21に設置された洗面器50及びカラン60、ドア70、トイレットペーパホルダ80及びシャワーホルダ90からなる。図1に示すように、浴槽30と便器40との間にはなんら間仕切りはされていない。また、洗面器50は、浴槽の縁32の真上に設置されており、給湯及び給水のためのカラン60は、浴槽30と洗面器50とに共用可能に1つだけ設けられている。更に、本実施形態においては、浴槽30の側壁にシャンプーなどを収容する化粧棚31が嵌合設置されている(図2参照)。
【0020】
まず、図1に示す状態では、バスルームBRとトイレルームWCとを間仕切りするのに、洗面器50とカラン60とが邪魔になるので、これらを取り外す。この際に、カラン60へ給水及び給湯する裏側の配管パイプ(図示しない)も取り外す。次いで、図2に示す化粧棚31を浴槽30の側壁から取り外す。すると、この取り外した部分が配管スペースPSに通ずる孔(後述するパイプ挿入孔33)となる。なお、この化粧棚31が浴槽30に設置されておらず、このパイプ挿入孔33が確保できない場合には、別途壁面21にパイプ挿入孔22を穿設する。この場合には、後述する方法で該パイプ挿入孔22から給湯用T字状パイプ及び給水用T字状パイプを挿入し配管が終わった後、外観上不自然な蓋に感じさせないように、図2に示すような化粧棚31を嵌合設置するようにするとよい。
【0021】
次に、壁面21上であって、かつ浴槽30の縁32の延長線が交差する位置に、補強部材2Cを接着剤などにより固定した後、所定箇所でネジ止め固定する。筐体20は、通常薄い化粧鋼板から製造されているため強度が弱い。そこで、本実施形態においては、サッシ2を設置する前に、この補強部材2Cを壁面21に取り付け設置強度を強くしている。なお、本実施形態においては、サッシ2を浴槽30の縁32上に設置する形態であり、この場合、最終的には、図2中、補強部材2Cの左側がバスルーム、右側がトイレルームとなる。
【0022】
本実施形態においては、補強部材2Cを挟んでバスルーム側にもトイレルーム側にも双方にカラン61A、61B(図6参照)を設置するので、各カラン61A、61Bの取り付け位置に給湯用孔23A、23Bと、給水用孔24A、24Bを所定の位置に計4箇所穿設する。なお、給湯用孔23Aあるいは23Bと、給水用孔24Aあるいは24Bとを一対としてカラン取付孔となる。すなわち、給湯用孔23Aと給水用孔24Aとが一対となってカラン取付孔となり、給湯用孔23Bと給水用孔24Bとが一対となってカラン取付孔となる。
【0023】
本実施形態において間仕切り材として用いるサッシ2は、図3のように構成されている。すなわち、サッシ2は、外枠2Aと、外枠2Aにスライド可能に支持された板材2Bとからなる。本実施形態においては、サッシ2は、図5に示すように浴槽30の縁32と、補強部材2C、2Cを介して筐体20の壁面21及びこれに対向する壁面と、図示しない天井面と、で当接支持される。天井面には上部化粧カバー2Dを介して当接支持される。なお、板材2Bの材質はガラス、樹脂材など種々のものが適用可能であり、また、透明でも半透明でもよい。補強部材2C、2Cは、壁面21及びこれに対向する壁面に接着した後ネジ止め固定されており、この補強部材2C、2Cにサッシ2の外枠2Aの縦材はネジ止め固定される。
【0024】
本発明の最大の特徴は、図4に示す如く本来ならばユニットバスの裏側で施工しなければならなかった分岐工事を予め縦パイプに横パイプをT字状に結合した給湯用T字状パイプ3−1及び給水用T字状パイプ3−2(以下において総括的に用いるときは「T字状パイプ3」と言う)を用いて、カラン60A、60B(図6参照)に配管することである。具体的には、図4に示すように、T字状パイプ3は、2つの横パイプ3A、3Bと、1つの縦パイプ3Cとを三つ叉ジョイント3Dに結合してなる。横パイプ3A、3Bの端部にはそれぞれカランとの接続のためのジョイント部3A−1、3B−1が直交して設けられている。
【0025】
このように構成されたT字状パイプ3を用いて配管する方法について図5を参照しながら説明する。前記したように、化粧棚31を取り外すと、図5に示すような配管スペースPSに通ずる孔(パイプ挿入孔33)が開いており、このパイプ挿入孔33を利用してT字状パイプ3を配管スペースPSに配設する。
【0026】
具体的には、配管工事をする者が、T字状パイプ3の縦パイプ3Cの端部3C−1を把持し、T字状パイプ3を図5に示すように横パイプ3Aのジョイント部3A−1側からパイプ挿入孔33に矢印F2方向に挿入していく。横パイプ3Bのジョイント部3B−1まで挿入し終わったら、端部3C−1を把持したまま矢印F3の方向へT字状パイプ3を移動させる。T字状パイプ3を配管スペースPS内で図5に示したようにT字状の姿勢になるまで移動させた後、ジョイント部3A−1、3B−1がそれぞれ所定の位置にくるように配置する。図5においては、T字状パイプ3は、給湯用T字状パイプ3Aであり、この場合には、ジョイント部3A−1が給湯用孔23Aの裏側、ジョイント部3B−1が給湯用孔23Bの裏側に配置されるようにする。このような作業を同様に給水用T字状パイプ3Bに対しても行い、それぞれのT字状パイプ3A、3Bを位置合わせした後、カラン60A、60Bを接続する。
【0027】
上記のようにして、浴槽30の縁32上にサッシ2を設置し、上記のようにT字状パイプ3を用いて配管作業を行うと、その結果、図1に示す既設のユニットバス10が図6〜図8に示すような、バスルームBRとトイレルームWCとがサッシ2により仕切られたユニットバス1Aとなる。
【0028】
図6は、本発明のユニットバス改修方法を使用して得られたユニットバス1Aの上面断面図、図7は、図6に示すユニットバス1Aをトイレ側から見た断面図、図8は、図6に示すユニットバス1Aをドア側から見た断面図がそれぞれ示されている。
【0029】
本実施形態においては、上述したように、既設のユニットバス10を本発明の特徴であるT字状パイプ3を用いて配管し、浴槽30の縁32上にサッシ2を設置するようにした。これにより、図6〜図8に示す通り、バスルームBRとトイレルームWCとにカラン60A、60Bがそれぞれ1つずつある状態でバスルームBRとトイレルームWCとに仕切られたユニットバス1Aを得ることができる。本発明のユニットバス改修方法を使用すれば、初めからバスルームとトイレルームとに仕切られたユニットバスを導入する場合に比べて、安価でしかも設置工期も短くて済み、更に、既設のユニットバスを有効利用するので環境保護の観点からも好適である。
【0030】
以下に、本発明のユニットバス改修方法を用いて既設のユニットバスをバスルームとトイレルームとに仕切った他の実施形態について図9〜図13を参照して説明する。なお、以下の実施形態においても、上記T字状パイプ3を使用する点やその他の手法も大概同様であるので、相違する部分のみを説明し、同一の部分については説明を省略する。
【0031】
図9には、本発明を、既設の3点式ユニットバスあるいは既設の浴槽据置型ユニットバスを使用して浴槽とトイレルームとが仕切られたユニットバスを得る他の実施形態が示されている。既設の3点式ユニットバスを利用する場合を想定すると、上記実施形態とは、サッシ2を浴槽30の縁32の上に設置するのではなく、筐体2の床面に設置する点において異なるだけである。
【0032】
一方、既設の浴槽据置型ユニットバスを使用した場合には、既設のユニットバスは、取り外してしまい、取り外した後の床面に防水部材を施し、その上に新たに浴槽を配置する。その後の作業は、前述の既設の3点式ユニットバスを使用した場合と同様である。このような手法により、得られる浴槽BRとトイレルームWCとが仕切られたユニットバス1Bは図9〜11に示すようになる。
【0033】
図9は、本発明のユニットバス改修方法を使用して得られたユニットバス1Bの上面断面図、図10は、図9に示すユニットバス1Bをトイレ側から見た断面図、図11は、図9に示すユニットバス1Bをドア側から見た断面図がそれぞれ示されている。
【0034】
図12及び図13は、本発明のユニットバス改修方法を既設の浴槽据置型ユニットバスに使用して改修を行った場合の他の実施形態を示す上面断面図である。図12及び図13に示すユニットバス1C、1Dは、共に、元となるユニットバスのタイプは浴槽据置型ユニットバスであり、いずれの場合にも、既設の浴槽据置型ユニットバスをまず除去することから始める。次いで、除去した後の床面に上記と同様に防水部材を施す。
【0035】
ここまではいずれの場合も同様である。しかし、図12においては、この後、既設の浴槽据置型ユニットバスよりも小さめの浴槽30Aを設置し、この浴槽30Aが置かれていないスペースを洗い場30Bとして利用するものであり、一方、図13においては、既設の浴槽据置型ユニットバスを除去し防水部材を施した後の場所30Cには何も設置せず、全体をシャワールームとして利用するものである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明のユニットバス改修方法を施す既設のユニットバスの上面断面図。
【図2】図1に示す既設のユニットバスに本発明のユニットバス改修方法を施した初期の状態を示す部分斜視図。
【図3】本発明のユニットバス改修方法に用いるサッシの部品の斜視図。
【図4】本発明のユニットバス改修方法に用いる給湯用T字状パイプあるいは給水用T字状パイプを示す図であり、(a)は斜視図、(b)は正面図、(c)は側面図。
【図5】本発明のユニットバス改修方法における配管の方法を説明するための部分斜視図。
【図6】本発明のユニットバス改修方法を使用して得られたユニットバスの上面断面図。
【図7】図6に示すユニットバスをトイレ側から見た断面図。
【図8】図6に示すユニットバスをドア側から見た断面図。
【図9】本発明のユニットバス改修方法を使用して得られたユニットバスの上面断面図。
【図10】図9に示すユニットバスをトイレ側から見た断面図。
【図11】図9に示すユニットバスをドア側から見た断面図。
【図12】本発明のユニットバス改修方法を使用して得られたユニットバスの上面断面図。
【図13】本発明のユニットバス改修方法を使用して得られたユニットバスの上面断面図。
【符号の説明】
【0037】
10 既設のユニットバス
20 筐体
21 筐体の壁面
22 パイプ挿入孔
23A、23B 給湯用孔
24A、24B 給水用孔
3 T字状パイプ
3A−1、3B−1 ジョイント部
3A、3B 横パイプ
3C 縦パイプ
30 浴槽
31 化粧棚
32 縁
33 パイプ挿入孔
40 便器
50 洗面器
60 カラン
70 ドア
80 トイレットペーパホルダ
90 シャワーホルダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも浴槽及び便器が同一室内に設置され、かつ浴槽と便器との間が仕切られていないタイプの既設の浴槽一体型ユニットバスを、上記浴槽が設置されている側をバスルームとし、上記便器が設置されている側をトイレルームとして間仕切るユニットバス改修方法であって、
上記浴槽一体型ユニットバスの壁面に洗面器およびカランが設置されている場合にはこれを除去し、
上記浴槽一体型ユニットバスの壁面であり、かつ上記バスルームとトイレルームとに跨る壁面の上記バスルーム側及びトイレルーム側の所定の位置にそれぞれ給湯用孔及び給水用孔を対にしてなるカラン取付孔を穿設し、
上記浴槽の外壁に上記浴槽一体型ユニットバス外部に通ずる孔が開設されている場合には該孔から、該孔が開設されていない場合には上記壁面にパイプ挿入孔を穿設した後該パイプ挿入孔から、縦パイプと横パイプとを予め結合した給湯用T字状パイプ及び給水用T字状パイプをそれぞれ、その縦パイプの端を把持してその横パイプの一端側から挿入し、
その後、上記給湯用T字状パイプ及び給水用T字状パイプそれぞれが上記壁面の裏面側でT字状の姿勢になり、かつ、給湯用T字状パイプにおいてはその横パイプの一端が上記バスルーム側の給湯用孔に他端が上記トイレルーム側の給湯用孔にそれぞれ上記壁面の裏面側から配置されるようにし、同様に、給水用T字状パイプにおいてはその横パイプの一端が上記バスルーム側の給水用孔に他端が上記トイレルーム側の給水用孔にそれぞれ上記壁面の裏面側から配置されるようにし、
この状態で上記カラン取付孔のそれぞれにカランを設置するとともに、トイレルーム側のカランの下方には洗面器を設置し、
上記浴槽の縁あるいは上記浴槽一体型ユニットバスの床面であって上記浴槽の縁の外側にサッシを設置し、
これにより既設の浴槽一体型ユニットバスをバスルームとトイレルームとに間仕切ること
を特徴とするユニットバス改修方法。
【請求項2】
少なくとも浴槽及び便器が同一室内に設置され、かつ浴槽と便器との間が仕切られていないタイプの既設の浴槽据置型ユニットバスを、上記浴槽が設置されている側をバスルームとし、上記便器が設置されている側をトイレルームとして間仕切るユニットバス改修方法であって、
上記浴槽を除去し、その後、該除去跡の床面に防水部材を設け、その上に上記浴槽より外形の小さい小浴槽を、該小浴槽が設置されていない防水部材の部分が洗い場として確保されるように設置し、
上記浴槽据置型ユニットバスの壁面に洗面器およびカランが設置されている場合にはこれを除去し、
上記浴槽据置型ユニットバスの壁面であり、かつ上記バスルームとトイレルームとに跨る壁面の上記バスルーム側及びトイレルーム側の所定の位置にそれぞれ給湯用孔及び給水用孔を対にしてなるカラン取付孔を穿設し、
上記壁面にパイプ挿入孔を穿設した後該パイプ挿入孔から、縦パイプと横パイプとを予め結合した給湯用T字状パイプ及び給水用T字状パイプをそれぞれ、その縦パイプの端を把持してその横パイプの一端側から挿入し、
その後、上記給湯用T字状パイプ及び給水用T字状パイプそれぞれが上記壁面の裏面側でT字状の姿勢になり、かつ、給湯用T字状パイプにおいてはその横パイプの一端が上記バスルーム側の給湯用孔に他端が上記トイレルーム側の給湯用孔にそれぞれ上記壁面の裏面側から配置されるようにし、同様に、給水用T字状パイプにおいてはその横パイプの一端が上記バスルーム側の給水用孔に他端が上記トイレルーム側の給水用孔にそれぞれ上記壁面の裏面側から配置されるようにし、
この状態で上記カラン取付孔のそれぞれにカランを設置するとともに、トイレルーム側のカランの下方には洗面器を設置し、
上記バスルームとトイレルームとの境界線であって上記浴槽据置型ユニットバスの床面にサッシを設置し、
これにより既設の浴槽据置型ユニットバスをバスルームとトイレルームとに間仕切ること
を特徴とするユニットバス改修方法。
【請求項3】
少なくとも浴槽及び便器が同一室内に設置され、かつ浴槽と便器との間が仕切られていないタイプの既設の浴槽据置型ユニットバスを、上記浴槽が設置されている側をシャワー室とし、上記便器が設置されている側をトイレルームとして間仕切るユニットバス改修方法であって、
上記浴槽を除去し、その後、該除去跡の床面に防水部材を設け、
上記浴槽据置型ユニットバスの壁面に洗面器およびカランが設置されている場合にはこれを除去し、
上記浴槽据置型ユニットバスの壁面であり、かつ上記シャワー室とトイレルームとに跨る壁面の上記シャワー室側及びトイレルーム側の所定の位置にそれぞれ給湯用孔及び給水用孔を対にしてなるカラン取付孔を穿設し、
上記壁面にパイプ挿入孔を穿設した後該パイプ挿入孔から、縦パイプと横パイプとを予め結合した給湯用T字状パイプ及び給水用T字状パイプをそれぞれ、その縦パイプの端を把持してその横パイプの一端側から挿入し、
その後、上記給湯用T字状パイプ及び給水用T字状パイプそれぞれが上記壁面の裏面側でT字状の姿勢になり、かつ、給湯用T字状パイプにおいてはその横パイプの一端が上記バスルーム側の給湯用孔に他端が上記トイレルーム側の給湯用孔にそれぞれ上記壁面の裏面側から配置されるようにし、同様に、給水用T字状パイプにおいてはその横パイプの一端が上記バスルーム側の給水用孔に他端が上記トイレルーム側の給水用孔にそれぞれ上記壁面の裏面側から配置されるようにし、
この状態で上記カラン取付孔のそれぞれにカランを設置するとともに、トイレルーム側のカランの下方には洗面器を設置し、
上記シャワー室とトイレルームとの境界線であって上記浴槽据置型ユニットバスの床面にサッシを設置し、
これにより既設の浴槽据置型ユニットバスをシャワー室とトイレルームとに間仕切ること
を特徴とするユニットバス改修方法。
【請求項4】
上記サッシを設置する際には、上記浴槽一体型ユニットバスあるいは浴槽据置型ユニットバスの壁面の所定の位置に細長状の補強部材を設置した後、上記サッシの縦枠が上記補強部材を介して上記浴槽一体型ユニットバスあるいは浴槽据置型ユニットバスの壁面に設置されることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載のユニットバス改修方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−144433(P2009−144433A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−323465(P2007−323465)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【特許番号】特許第4135966号(P4135966)
【特許公報発行日】平成20年8月20日(2008.8.20)
【出願人】(501114291)株式会社ビラハウジング (7)
【Fターム(参考)】