説明

ユニットバス

【課題】設置スペースの削減を図ることができ、使い勝手も優れたユニットバスを提供する。
【解決手段】ユニットバス10は、周囲から区画された浴室BRを形成するため平面視形状が四角形をなすように立設された四つの壁体11,12,13,14と、外周縁の一部である辺縁部15a,15b,15c,15dがそれぞれ四つの壁体11,12,13,14に当接した状態で浴室BR内に配置された浴槽15と、壁体11〜14に当接していない浴槽15の辺縁部15eに臨む位置に設けられた床面部16と、この床面部16に臨む壁体11の一部に開設された開閉扉17付きの出入口18と、を備えている。浴槽15内部の辺縁部15bに臨む部分には、辺縁部15d方向に略水平に突出した段差部15gが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般住宅、マンション、アパートなどの入浴設備として使用されるユニットバスに関する。
【背景技術】
【0002】
ユニットバスは、短時間での施工が可能であり、階下への水漏れのリスクも少ない事から、従来、戸建住宅からマンション、アパート等に至るまで様々な建築物に用いられているが、本願に関連するユニットバスとして、例えば、特許文献1記載のものがある。特許文献1記載のユニットバスにおいては、四つの壁パネルで区画された空間内に浴槽および洗い場が設けられ、湯桶が載置可能な幅の桶台が防水パンの洗い場の一側縁に立ち上げて一体状に形成されている。
【0003】
【特許文献1】特開平11−89740号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載のユニットバスは、その内部に浴槽、洗い場および桶台などが設けられているため、入浴者の使い勝手は良好であるが、建築物内に設置する場合、比較的広いスペースが必要である。このため、設置スペースの制限が多いマンションやアパートなどの集合住宅には不向きである。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、設置スペースの削減を図ることができ、使い勝手にも優れたユニットバスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のユニットバスは、浴室を形成するため平面視形状が四角形をなすように立設された四つの壁体と、外周縁の一部が四つの前記壁体に当接した状態で前記浴室内に配置された浴槽と、前記壁体に当接していない前記浴槽の外周縁に臨む位置に設けられた床面部と、前記床面部に臨む位置に開設された開閉扉付きの出入口と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
このような構成において、浴槽の外周縁の一部が四つの壁体に当接した状態で浴室内に配置されたことにより、浴槽の外周縁と壁体との間の余分なスペースを排除することができるため、設置スペースの削減を図ることができる。また、壁体と当接していない浴槽の外周縁に臨む位置に床面部が設けられ、この床面部に臨む位置に開閉扉付きの出入口が開設されているため、出入りがし易い。さらに、浴槽内において、身体を洗ったり、シャワーを浴びたりすることができるので、使い勝手も優れている。
【0008】
ここで、前記浴室のコーナーに前記床面部を設けることが望ましい。このような構成とすれば、浴室内の限られたスペース内において、比較的広い床面部を確保することができるため、さらに出入りがし易くなる。
【0009】
また、前記開閉扉が、前記浴室内へ屏風状に折り曲げて開放可能な構造とすれば、開閉扉を開放操作したとき、当該開閉扉が壁体の外側へ突出しないので、出入口周辺に扉開放用スペースを設ける必要がなくなり、ユニットバス設置用のスペース削減に有効である。
【0010】
一方、前記浴槽内に略水平に突出した段差部を設ければ、浴槽が空のとき、入浴者は段差部に腰掛けた楽な姿勢で、身体を洗ったり、シャワーを浴びたりすることができるため、使い勝手が良くなり、肉体的負担も緩和される。また、入浴者が湯船に浸かった状態で段差部に腰掛けることもできるので、入浴中、楽な姿勢をとることができる。このため、長湯をしたり、半身浴をしたりするときの肉体的負担を大幅に軽減することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、設置スペースの削減を図ることができ、使い勝手も優れたユニットバスを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の第1実施形態であるユニットバスの天井板を省略した状態の斜視平面図、図2は図1に示すユニットバスの平面図、図3は図2に示すユニットバスを構成する浴槽の斜視図、図4は図1に示すユニットバスの正面の壁体を省略した状態の正面図、図5は図1に示すユニットバスの左側面の壁体を省略した状態の左側面図、図6は図1に示すユニットバスを右側面の壁体を省略した状態の右側面図、図7は図1に示すユニットバスの背面の壁体を省略した状態の背面図である。
【0013】
図1〜図2に示すように、本実施形態のユニットバス10は、周囲から区画された浴室BRを形成するため平面視形状が四角形をなすように立設された四つの壁体11,12,13,14と、外周縁の一部である辺縁部15a,15b,15c,15dがそれぞれ四つの壁体11,12,13,14に当接した状態で浴室BR内に配置された浴槽15と、壁体11〜14に当接していない浴槽15の辺縁部15eに臨む位置に設けられた床面部16と、この床面部16に臨む壁体11の一部に開設された開閉扉17付きの出入口18と、を備えている。
【0014】
また、図4に示すように、設置面Fから少し浮かせた状態でユニットバス10を設置するため、複数の支持脚10aが底部10bに設けられている。底部10bから下方へ突設された支持脚10aの長さはそれぞれ独立して変更可能であるため、設置面Fに多少の凹凸や傾斜があっても、ユニットバス10を水平に設置することができる。
【0015】
浴室BRの上面は天井板19で覆われ、その一部に換気口20が設けられている。浴室BR内の壁体14の上方には照明灯21が設けられ、浴槽15の辺縁部15eに湯水混合水栓22および棚部24が設けられ、壁体11内面にシャワー23が着脱可能に配置されている。浴槽15の底部および床面部16には、それぞれ排水口15f,16aが設けられ、これらの排水口15f,16aから排出された排水はユニットバス10の底面に設けられた排水器具25に集まり、所定の排水経路に排出される。
【0016】
図3に示すように、浴槽15は床面部16と一体構造をなし、その外周部の平面視形状は、図1,図2に示すように、長方形をなしている。浴槽15の辺縁部15a,15b,15c,15dは直線状であり、辺縁部15eは湯船側に凹んだ湾形状である。浴槽15内部の辺縁部15bに臨む部分には、辺縁部15d方向に略水平に突出した段差部15gが設けられている。図4〜図7に示すように、浴槽15および床面部16の外周部分に、四つの壁体11,12,13,14の下縁部を係止するための溝状係止部26が設けられている。
【0017】
ユニットバス10においては、浴槽15の外周縁の一部である辺縁部15a,15b,15c,15dを、四つの壁体11,12,13,14に当接した状態で浴室BR内に配置することにより、浴槽15の外周縁と壁体11,12,13,14との間の余分なスペースを排除しているため、設置スペースを削減することができる。また、壁体12と浴槽15との間には床面部16が設けられ、開閉扉17付きの出入口18が床面部16に臨む壁体11と略同一面に開設されているため、出入りがし易く、使い勝手も優れている。
【0018】
図1,図2に示すように、床面部16を浴室BRのコーナー部に設けているため、無駄な空間となりがちな浴室BR内のコーナー部分を、浴室BRへの出入り用スペースとして有効活用することができる。また、浴室BR内の限られたスペース内において、比較的広い床面部16を確保することができる。
【0019】
また、ユニットバス10の外側から開閉扉17を浴室BR側に押圧したり、浴室BR側に設けられた開閉扉17の取っ手17aを浴室BR内に引いたりすれば、開閉扉17は、床面部16に向かって屏風状に折れ曲がり、出入口18が開放される。即ち、開閉扉17を開放操作したとき、当該開閉扉17が壁体11の外側へ突出しないので、出入口18周辺に扉開放用スペースを設ける必要がない。このため、開閉扉17は、ユニットバス10の設置スペースの低減に有効である。さらに、図5に示すように、開閉扉17には透光性を有する曇りガラス17gが嵌め込まれているため、ユニットバス10が使用中であるか否かを外部から確認することができる。
【0020】
さらに、図3に示すように、浴槽15内に略水平に突出した段差部15gを設けたことにより、浴槽15が空のとき、入浴者は段差部15aに腰掛けた楽な姿勢で、身体を洗ったり、シャワーを浴びたりすることができるため、使い勝手が良く、肉体的負担も緩和される。また、浴槽15に湯が張られているときも、入浴者は湯船に浸かった状態で段差部15aに腰掛けることができるので、入浴中も楽な姿勢をとることができる。このため、長湯をしたり、半身浴をしたりするときの肉体的負担を大幅に軽減することができる。
【0021】
ユニットバス10を組み立てる場合、図3に示すように、一体構造をなす浴槽15および床面部16を、図4に示すように設置面F上に載置し、複数の支持脚10aの長さを調整して水平状態に設定した後、浴槽15および床面部16の外周部分に設けられた溝状係止部26(図4〜図7参照)に、それぞれ四つの壁体11,12,13,14の下縁部を係止するとともに、隣接する四つの壁体11,12,13,14を接合し、その上面に天井板19を取り付ける。
【0022】
この後、湯水混合栓22と給湯給水経路(図示せず)との接続、排水器具25と排水経路(図示せず)との接続、換気口20と給排気経路(図示せず)との接続、電気配線を行えば、ユニットバス10が完成する。また、前述と逆の手順をとれば、ユニットバス10を分解することができる。従って、ユニットバス10の設置および撤去は容易である。
【0023】
次に、図8〜図11に基づいて、本発明の第2,第3実施形態について説明する。図8は本発明の第2実施形態であるユニットバスを示す斜視図、図9は図8に示すユニットバスの天井板を省略した状態の平面図である。また、図10は本発明の第3実施形態であるユニットバスを示す斜視図、図11は図10に示すユニットバスの天井板を省略した状態の平面図である。なお、図8〜図11において図1〜図7と同じ符号を付している部分はユニットバス10の構成部分と同じ構造、機能を有する部分であり、説明を省略する。
【0024】
図8,図9に示すユニットバス30においては、開閉扉17付きの出入口38が、図2に示すユニットバス10の出入口18と90度異なる壁体32と略同一面に開設されている。出入口18は床面部16に臨む位置にあるため、出入りがし易く、使い勝手も優れている。なお、図7に示すように、ユニットバス10を構成する壁体12は分離可能な二枚の小壁体12a,12bで形成されているため、一方の小壁体12aを取り外して、この位置に開閉扉17付きの出入口38を配置し、壁体11および開閉扉17付きの出入口38があった位置に壁体31(図9参照)を配置すれば、ユニットバス30を形成することができる。従って、ユニットバス10,30の構成部材を共通化することができ、設置現場に適した施工を行うことができる。
【0025】
次に、図10,図11に示すユニットバス50においては、開閉扉17付きの出入口58は、図8に示すユニットバス30の出入口38と同じ位置に開設されているが、出入口58と略同一面をなす壁体52、および当該壁体52と直交する壁体53の上方に透明ガラス52g,53gが嵌め込まれている。これらの透明ガラス52g,53gは浴槽55の辺縁部55b,55sから天井板59までの範囲内に嵌め込まれている。
【0026】
このように、ユニットバス50の正面および左側面の一部を透明ガラス52g,53gで構成することにより、浴室BR内の開放感を大幅に高めることができる。また、透明ガラス52g,53gを通して部屋の窓の外の景色や室内のテレビなどを見ることもできるので、一人暮らしの住居などに好適に設置することができる。なお、透明ガラスの領域は図10に示す形態に限定しないので、施工条件に応じて、他の壁面まで拡張したり、縮小したりすることができる。また、外部からの視認を回避したいときは、透明ガラスの代わりに、曇りガラスなどを使用することもできる。
【0027】
また、図11に示すように、ユニットバス50を構成する浴槽55は、その辺縁部55a,55b,55c,55dがそれぞれ四つの壁体51,52,53,54に当接した状態で浴室BR内に配置され、浴槽55内には水平に突出した段差部55gが設けられている。段差部55gの使い方及びその作用効果は、図2に示すユニットバス10の浴槽15の段差部15gと同様であるが、ユニットバス50の場合、辺縁部55b,55c,55dに臨む位置にある、浴槽55の内周面が滑らかに連続する曲面で形成されているため、身体が触れたときの感触が極めて良好であり、入浴者のリラックス感が大幅に向上する。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明のユニットバスは、一般住宅、マンション、アパートなどの入浴設備として広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態であるユニットバスの天井板を省略した状態の斜視平面図である。
【図2】図1に示すユニットバスの平面図である。
【図3】図2に示すユニットバスを構成する浴槽の斜視図である。
【図4】図1に示すユニットバスの正面の壁体を省略した状態の正面図である。
【図5】図1に示すユニットバスの左側面の壁体を省略した状態の左側面図である。
【図6】図1に示すユニットバスの右側面の壁体を省略した状態の右側面図である。
【図7】図1に示すユニットバスの背面の壁体を省略した状態の背面図である。
【図8】本発明の第2実施形態であるユニットバスを示す斜視図である。
【図9】図8に示すユニットバスの天井板を省略した状態の平面図である。
【図10】本発明の第3実施形態であるユニットバスを示す斜視図である。
【図11】図10に示すユニットバスの天井板を省略した状態の平面図である。
【符号の説明】
【0030】
10,30,50 ユニットバス
10a 支持脚
10b 底部
11,12,13,14,31,32,51,52,53,54 壁体
12a,12b 小壁体
15,55 浴槽
15a,15b,15c,15d,15e,55a,55b,55c,55d,55e 辺縁部
15f,16a 排水口
15g,55g 段差部
16 床面部
17 開閉扉
17a 取っ手
17g 曇りガラス
18,38,58 出入口
19,59 天井板
20 換気口
21 照明灯
22 湯水混合水栓
23 シャワー
24 棚部
25 排水器具
26 溝状係止部
52g,53g 透明ガラス
BR 浴室
F 設置面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室を形成するため平面視形状が四角形をなすように立設された四つの壁体と、外周縁の一部が四つの前記壁体に当接した状態で前記浴室内に配置された浴槽と、前記壁体に当接していない前記浴槽の外周縁に臨む位置に設けられた床面部と、前記床面部に臨む位置に開設された開閉扉付きの出入口と、を備えたことを特徴とするユニットバス。
【請求項2】
前記浴室のコーナーに前記床面部を設けたことを特徴とする請求項1記載のユニットバス。
【請求項3】
前記開閉扉が、前記浴室内へ屏風状に折り曲げて開放可能であることを特徴とする請求項1または2記載のユニットバス。
【請求項4】
前記浴槽内に略水平に突出した段差部を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のユニットバス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−68201(P2009−68201A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−235657(P2007−235657)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(599004896)株式会社小笠原 (3)
【Fターム(参考)】