ユニット式建物の空調設置構造
【課題】施工の容易化等のユニット式建物本来の特徴を損なうことを抑制しつつ、空調装置及びそれに付随する構成を階間に収納すること。
【解決手段】建物10は、複数の柱とそれら柱に連結された天井大梁22及び床大梁23からなる建物ユニットが複数組み合わされて構成されている。複数の建物ユニットを上下に積み重ねてなる建物ユニット群のうち2つは離し置きされ、当該離し置きにより形成された中間部分には、それら建物ユニット群に掛け渡すようにして、同中間部分の1階天井パネル45と2階床パネル46とが設けられている。上記中間部分に設けられた1階天井パネル45は、建物ユニット群の大梁22,23に連結ブラケット41を介して取り付けられたランナー42(スタッド43)により保持されている。1階天井パネル45及び2階床パネル46の間に形成された階間空間MSには空調装置80が収容されている。
【解決手段】建物10は、複数の柱とそれら柱に連結された天井大梁22及び床大梁23からなる建物ユニットが複数組み合わされて構成されている。複数の建物ユニットを上下に積み重ねてなる建物ユニット群のうち2つは離し置きされ、当該離し置きにより形成された中間部分には、それら建物ユニット群に掛け渡すようにして、同中間部分の1階天井パネル45と2階床パネル46とが設けられている。上記中間部分に設けられた1階天井パネル45は、建物ユニット群の大梁22,23に連結ブラケット41を介して取り付けられたランナー42(スタッド43)により保持されている。1階天井パネル45及び2階床パネル46の間に形成された階間空間MSには空調装置80が収容されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニット式建物の空調設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物においては、空調装置(例えばエアコン)を有する空調設備を採用して屋内の温度調整等を行うことにより快適さの向上が図れている。複数の建物ユニットを組合わせてなる多層階のユニット式建物(例えば特許文献1参照)においては、空調装置を階間に配置して建物におけるデッドスペースを空調装置の設置用スペースとして活用することで、建物内の限られたスペースの有効利用を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−249697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、ユニット式建物においては、建物ユニットにおける階間の位置(すなわち天井及び床の位置)は建物ユニットにおける大梁の位置に依存する。このため、上下に重ねて設けられた建物ユニットにおいては、空調装置の設置に十分な階間を確保することは困難である。
【0005】
例えば上下の建物ユニット間に柱状のスペーサを配置して階間を部分的に拡張することにより上記問題を解消することができる。しかしながら、ユニット式建物においては、スペーサが適用された建物ユニットの上端位置と他の建物ユニットの上端位置にずれが生じ、建物ユニット同士の連結構造や屋根構造等が複雑になるといった課題が生じこととなる。これにより、構造の簡素化や施工の容易化等のユニット式建物本来の特徴を損なうおそれがある。このように、ユニット式建物において空調装置を階間に配置しようとした場合には、空調装置の配置に工夫の余地がある。
【0006】
本発明は、上記例示した事情等に鑑みてなされたものであり、施工の容易化等のユニット式建物本来の特徴を損なうことを抑制しつつ、空調装置及びそれに付随する構成を階間に収納することができるユニット式建物の空調設置構造の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、発明の実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0008】
手段1.複数の柱(例えば柱21)とそれら柱に連結された天井及び床の各大梁(例えば大梁22)とを有してなる建物ユニット(例えば建物ユニット20)が複数組み合わされてなるユニット式建物の空調設置構造であって、
複数の建物ユニットを上下に積み重ねてなる建物ユニット群(例えばユニット構造部XL,XR)のうち少なくとも2つは離し置きされ、当該離し置きにより形成された中間部分(中間構造部XM)には、それら離し置きされた両建物ユニット群に掛け渡すようにして、前記中間部分の下階天井パネル部(天井パネル45)と、上階床パネル部(床パネル46)とが設けられており、
前記中間部分に設けられた前記下階天井パネル部(天井パネル45)及び同中間部分に設けられた前記上階床パネル部のうち少なくともいずれかは、前記建物ユニット群の前記柱及び前記大梁のうち少なくともいずれかに取り付けられた保持部(例えば連結ブラケット41に固定されたランナ42等)によって保持されており、
前記下階天井パネル部及び前記上階床パネル部の間に形成された中間部側階間空間(階間空間MS)に空調装置(空調装置80)を収容するようにしたことを特徴とするユニット式建物の空調設置構造。
【0009】
手段1によれば、中間部分における下階天井パネル及び上階床パネルの高さ位置については保持部の位置に依存している。保持部の位置等を建物の仕様等に応じて変更することでそれら各パネル部の高さ位置を任意に変更することができるため、建物ユニット群に付随するユニット用の下階天井パネル部や上階床パネル部と比べて配置にかかる制約が生じにくい。故に、中間部分では階間の縦幅を容易に変更することができ、中間部側階間空間の縦幅を大きくすることで空調装置の収容スペースを確保することができる。つまり、建物ユニット群においては大梁梁の位置によって天井パネル部や床パネル部の位置に制約が生じる一方、中間部分においてはそれら梁の位置による制約を受けにくいため、空調装置の配置自由度を好適に高めることができる。
【0010】
また、中間部分においては建物ユニットが省略されており、中間部側階間空間を大きくした影響が建物ユニットの位置に影響を与えることがない。つまり、中間部分においても建物ユニットが配設される構成においては、中間部側階間空間を大きくすることで当該中間部側階間空間の上方に位置する建物ユニットが上方にずれる。このため、中間部分における建物ユニットの高さ位置が両隣の建物ユニットの高さ位置と異なることとなる。これは、建物ユニット同士の連結構造や、屋根構造等の複雑化を招く要因となり、ユニット式建物の特徴を損なうおそれがある。この点、本手段に示す構成によれば、そのような不都合の発生を抑えることができる。
【0011】
手段2.前記中間部分の前記下階天井パネル部が前記建物ユニット群を構成する下階建物ユニットのユニット側天井パネル部よりも低位となるようにして配置されることで、前記下階建物ユニット(下階ユニット20B)の天井大梁(天井大梁22)の下方に設けられ、又は、前記中間部分の前記上階床パネル部が前記建物ユニット群を構成する上階建物ユニットのユニット側床パネル部よりも高位となるようにして配置されることで、前記上階建物ユニット(上階ユニット20T)の床大梁(床大梁23)の上方に設けられ、前記中間部側階間空間に連続する空間部を有し、
当該空間部は、前記空調装置から前記建物ユニットのユニット内空間(居室CL1等)への空調空気の供給を行うための供給ダクト(供給ダクト84)を挿通可能なダクト挿通用空間部(ダクト配置用空間部P1)となっていることを特徴とする手段1に記載のユニット式建物の空調設置構造。
【0012】
中間部分に設置された空調装置により生成された空調空気をユニット内空間に供給しようとした場合には、上階建物ユニットと下階建物ユニットとの境目(階間空間)に位置する大梁が、供給ダクトの取り回しを妨げる要因になる。
【0013】
この点、本手段においては、空調装置を設置するために拡張した中間部側階間空間が大梁(天井大梁や床大梁)の上方又は下方に設けられたダクト挿通用空間部と連通しており、同空間部に供給ダクトを挿通させることで中間部分側から建物ユニット側へ供給ダクトを導く場合に上記大梁をかわすことができる。このように、空調装置が収容された中間部側階間空間を利用して大梁の迂回路を作り出すことにより、空調装置のみならずそれに付随する構成を好適に取り回すことができる。故に、中間部分に配置された空調装置からの空調空気をユニット内空間へ供給する構成を採用したとしても、当該供給ダクトを配するためだけに中間部側階間空間を拡張する必要性がなくなり、居住スペース等の圧迫を好適に抑制することができる。
【0014】
なお、大梁に供給ダクト用の貫通孔を設け、その貫通孔に供給ダクトを挿通することで、当該大梁を回避することも可能である。しかしながら、梁貫通部分ではダクト径が絞られるため圧損が大きくなる。したがって、その圧損分だけ余計に空調装置の出力を大きくする必要が生じる。また、梁等にダクト挿通用の貫通孔を設ける構成では、孔形成作業や供給ダクトの挿通作業が強いられることによって作業性が低下し得る。この点、本手段に示す構成によれば、それら各種不都合の発生を回避することができる。
【0015】
前記上階建物ユニットのユニット側床パネル部と前記上階床パネル部との高さ位置を揃えるとともに、前記下階建物ユニットのユニット側天井パネル部よりも前記下階天井パネル部の高さ位置を下げる構成とすれば以下の効果が期待できる。すなわち、上階の床部分に段差が生じることが回避されることで、空調装置等の収容スペースの確保に起因した生活環境の悪化を好適に回避することができる。
【0016】
手段3.前記ユニット側天井パネル部を一端として下方に延びる又は前記ユニット側床パネル部を一端として上方に延びる壁部(仕切壁部51のユニット側壁部53)を備え、
前記壁部には、前記中間部側階間空間及び前記ダクト挿通用空間部を経由して前記中間部側から前記供給ダクトが接続される第1吹出口(給気用開口部56)が設けられており、
前記空調装置にて生成された空調空気は、前記第1吹出口を通じて前記ユニット内空間へ供給されることを特徴とする手段2に記載のユニット式建物の空調設置構造。
【0017】
手段3によれば、空調装置にて生成された空調空気は、第1吹出口を通じてユニット内空間に供給される。この際、大梁が邪魔になることがなく、中間部分側から建物ユニット側への空調空気の供給を好適に実現できる。
【0018】
手段4.前記ダクト挿通用空間部は、前記ユニット側天井パネル部と前記ユニット側床パネル部との間に形成されるユニット側階間空間と前記中間部側階間空間とを繋ぐように形成されているとともに、当該ダクト挿通用空間部に挿通された前記供給ダクトが前記天井大梁を下側から迂回して又は前記床大梁を上側から迂回して前記中間部側階間空間から当該ユニット側階間空間に達するように構成されており、
前記ユニット側天井パネル部及び前記ユニット側床パネル部の少なくとも何れかには前記供給ダクトが接続される第2吹出口(給気用開口部27bB,28bB等)が設けられており、
前記空調装置にて生成された空調空気は、前記第2吹出口を通じて前記ユニット内空間へ供給されることを特徴とする手段2又は手段3に記載のユニット式建物の空調設置構造。
【0019】
手段4によれば、供給用のダクトが大梁を迂回して、中間部分における階間空間から建物ユニット群の階間空間へ延びており、中間部分に配置された空調装置から空調空気が建物ユニット内へ供給される。ダクトをユニット側階間空間へ到達させることができるため、ユニット側の1階部分や2階部分等の空調対象の設定自由度の向上に貢献することができる。
【0020】
手段5.前記空調装置は、前記供給ダクトとして、前記建物ユニットにおける上階側のユニット内空間に繋がる供給ダクトと当該建物ユニットにおける下階側のユニット内空間に繋がる供給ダクトとを有していることを特徴とする手段2乃至手段4のいずれか1つに記載のユニット式建物の空調設置構造。
【0021】
手段5に示すように、上下階用の供給ダクトを有する構成においては特に、上述した大梁と供給ダクトとをどのようにして共存させるかが課題となりやすい。このような構成に対して、手段2等に示した技術的思想を適用することで、建物全体での空調機能の向上に貢献することができる。
【0022】
特に、天井大梁と天井パネル部とを平行となるように設置した場合や床大梁と床パネル部とを平行となるように設置した場合には、複数のダクトを大梁に沿う方向に並べるようにして、上記ダクト挿通用空間部に挿通することで、大梁によってダクトの取り回しが妨げられることを好適に回避することができ、更には、それに起因した中間部側階間空間の縦幅の増加を回避することができる。
【0023】
手段6.前記建物ユニット内のユニット内空間と、前記中間部分内の中間部内空間(廊下H1等)とを仕切る仕切壁部(仕切壁51)が設けられており、
前記仕切壁部には通気口(通気ガラリ57)が形成され、当該通気口を介して前記ユニット内空間から前記中間部内空間への空気の流れが可能となっており、
前記空調装置は、前記中間部内空間の空気を還気として取り込むものであることを特徴とする手段2乃至手段5のいずれか1つに記載のユニット式建物の空調設置構造。
【0024】
手段6によれば、ユニット内空間へ排出された空調空気は、中間部内空間を通過して再び空調装置に戻ることとなる。これによりユニット内空間及び中間部内空間での空調を1の空調装置によって実現することができる。
【0025】
また、空調装置に付随する通気用のダクトを増やすことなく複数の空間を対象とする空調が実現できるため、中間部側階間空間に空調装置を収容する構成において、空調設備に必要な設置スペースを減縮することができる。
【0026】
手段7.前記中間部分には、前記下階天井パネル部として第1天井パネル及び第2天井パネルが横並びとなるようして設けられているとともに、前記第1天井パネルと対向するように配置された第1床パネル及び前記第2天井パネルと対向するように配置された第2床パネルが前記上階床パネル部として設けられており、
前記中間部分における内部空間として、前記第1天井パネル及び前記第1床パネルによって上下に仕切られた第1空間部と、前記第2天井パネル及び前記第2床パネルによって上下に仕切られた第2空間部とを有し、
前記中間部側階間空間は、前記第1天井パネル及び第1床パネルによって構成される第1階間空間と、前記第2天井パネル及び前記第2床パネルによって構成される第2階間空間とを有し、
前記第1階間空間が前記第2階間空間よりも上側に位置することで、前記第1天井パネルと前記第2天井パネルとの境界部分に上側段差部が生じるとともに、前記第1床パネルと前記第2床パネルとの境界部分に下側段差部が生じており、
前記空調装置は、
前記第1階間空間に配置され、前記第1天井パネル及び前記第1床パネルに形成された各パネル側第1吹出口の少なくとも一方を通じて前記第1空間部に空調空気を供給する状態と、前記上側段差部に形成された段差側第1吹出口を通じて前記第2空間部に空調空気を供給する状態とに切替可能な第1空調装置と、
前記第2天井パネル及び前記第2床パネルに形成された各パネル側第2吹出口の少なくとも一方を通じて前記第2空間部に空調空気を供給する状態と、前記下側段差部に形成された段差側第2吹出口を通じて前記第2空間部に空調空気を供給する状態とに切替可能な第2空調装置と
を有し、
前記第1空間部及び前記第2空間部のうち前記第1空調装置による空調空気の吹出対象となっているものと、それら両空間部のうち前記第2空調装置による空調空気の吹出対象となっているものとが同一となるようにそれら第1空調装置及び第2空調装置を制御する空調制御手段を備えていることを特徴とする手段1乃至手段6のいずれか1つに記載のユニット式建物の空調設置構造。
【0027】
中間部分においては、床パネルや天井パネルに対する建物ユニットの柱や大梁等による影響が生じにくい。このため、本手段に示すように、第1階間空間と第2階間空間との上下位置を容易にずらすことができる。本手段においては特に、各空調装置からの空調空気を1の空間部に集中させて冷房や暖房の効率を高めることが可能となる。これにより、空調開始時には第1空間部又は第2空間部の温度を予め設定された設定温度等に比較的短時間で近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】建物の概要を示す斜視図。
【図2】建物ユニットの構成を示す斜視図。
【図3】建物本体の躯体をユニット妻面側から見た正面図。
【図4】躯体の平面構成を示す平面図。
【図5】建物本体の主たる構成要素を分解して示す斜視図。
【図6】空調装置の設置構造を示す概略図。
【図7】図6の部分拡大図。
【図8】空調の様子を示す概略図。
【図9】第2の実施の形態における空調の設置構造及び空調の様子を示す概略図。
【図10】図9のB部分を拡大して示す概略図。
【図11】第3の実施の形態における給気ダクトの設置構造を示す外略図。
【図12】第4の実施の形態における空調設備の設置構造を示す外略図。
【図13】第5の実施の形態における空調設備の設置構造を示す外略図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
<第1の実施の形態>
以下に、本発明を具体化した第1の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。最初に、図1を参照して本実施の形態における建物10の概要について説明する。図1は、第1の実施形態における建物を示す概略図である。
【0030】
建物10は、複数の建物ユニットからなる2階建てユニット式建物として構築されており、特にユニット離隔配置工法を用いたものとなっている。建物10は、基礎11上に固定された建物本体12と、建物本体12の上方に設置された屋根13とを備えている。建物本体12は、建物一側面(例えば正面)から見て左右に離し置きされた2つの建物ユニット群からなるユニット構造部XL,XRと、それらユニット構造部XL,XRの間の中間スペースに設けられた中間構造部XMとを有してなり、それらユニット構造部XL〜XMには居室や廊下等の建物内空間が設けられている。
【0031】
具体的には、ユニット構造部XLには1階居室CL1及び2階居室CL2が設けられ、構造部XRには1階居室CR1及び2階居室CR2が設けられ、中間構造部XMには1階居室CL1,CR1を繋ぐ1階廊下H1及び2階居室CL2,CR2を繋ぐ2階廊下H2が設けられている。なお、居室や廊下のレイアウトについては任意であり、例えば中間構造部XMに居室を設けてもよいし、ユニット構造部XL,XRに廊下を設けてもよい。
【0032】
本実施形態では、各ユニット構造部XL,XRの建物ユニット群がそれぞれ4体ずつの建物ユニット20で構築されている。また、中間構造部XMには建物ユニット20が設置されておらず、中間構造部XMは、ユニット構造部XL,XRの建物ユニット20を利用して、具体的には中間構造部XMを挟んで対向する建物ユニット20に各種建材を架け渡して構築されている。図示の構成では、建物ユニット20がその短手方向(妻方向)に1ユニット分離間して離し置きされており、これにより、中間構造部XMが建物ユニット20の短辺側(妻面側)の幅とほぼ同じ幅で形成されている。
【0033】
建物10では、計8体の建物ユニット20を用いて建物本体12が構築されているが、実質的には12体の建物ユニット20により構築された場合と同等の大きさの建物内空間が確保されるものとなっている。つまり、一般的なユニット式建物の場合、各建物ユニットが隣接し合う状態で互いに結合され、居室や廊下等の建物内空間は概ね全て建物ユニット内に設けられるが、本実施形態の建物10では、建物ユニットそのものにより形成される建物内空間以外に、複数の建物ユニットで挟まれる部分にも建物内空間(上記廊下H1,H2)が形成されている。なお、ユニット構造部XL,XRのユニット個数は任意である。
【0034】
屋根13は寄せ棟式の屋根であり、各構造部XL〜XRに跨り、かつ建物本体12の全体を覆うようにして設置されている。ただし、屋根13は切り妻式の屋根や平屋根であってもよい。
【0035】
ここで、図2に基づき建物ユニット20の構成について説明する。図2は、建物ユニット20の斜視図である。なお、図2においては、天井パネル及び床パネルの一部を破断した状態で示しているとともに、建物ユニット20に付随する壁を省略している。
【0036】
建物ユニット20は、その四隅に配設される4本の柱21と、各柱21の上端部及び下端部をそれぞれ連結する各4本の天井大梁22及び床大梁23とを備える。そして、それら柱21、天井大梁22及び床大梁23により直方体状の骨格(フレーム)が形成されている。柱21は四角筒状の角形鋼よりなる。また、天井大梁22及び床大梁23は断面コ字状の溝形鋼よりなり、その開口部が向き合うようにして、すなわち溝部をユニット内側に向けるようにして設置されている。
【0037】
より詳しくは、柱21は、柱本体21aと、その上下に連結された天井仕口21b及び床仕口21cとからなり、天井仕口21bの二方の仕口面に天井大梁22がそれぞれ連結され、床仕口21cの二方の仕口面に床大梁23がそれぞれ連結されている。柱本体21aと各仕口21b,21cとは、同じ断面構造を有する角形鋼が溶接により連結されて構成されている。
【0038】
建物ユニット20の長辺部(桁部)の相対する天井大梁22の間には、所定間隔で複数の天井小梁25が架け渡されて固定されている。同じく建物ユニット20の長辺部(桁部)の相対する床大梁23の間には、所定間隔で複数の床小梁26が架け渡されて固定されている。天井小梁25及び床小梁26は、それぞれ同一の間隔でかつ短辺側(妻側)の天井大梁22及び床大梁23に水平に設けられている。例えば、天井小梁25はリップ溝形鋼よりなり、床小梁26は角形鋼よりなる。天井小梁25によって天井パネル27が支持され、床小梁26によって床パネル28が支持されている。
【0039】
次に、中間構造部XM及びそれに関わる構成について説明する。図3は建物本体12の躯体をユニット妻面側から見た正面図、図4は躯体の平面構成を示す平面図、図5は建物本体12の主たる構成要素を分解して示す斜視図である。なお、図4においては(a)に1階天井面の構成、(b)に1階/2階床面の構成が示されている。
【0040】
図3に示すように、ユニット構造部XL,XRでは、上下二段に建物ユニット20が積層配置されており、下階側の建物ユニット20の天井仕口21bの上方に上階側の建物ユニット20の床仕口21cが載置されるとともに、それら天井仕口21bと床仕口21cとが連結されることで、上下二段の建物ユニット20同士の連結がなされている。なお、以下の説明では便宜上、1階部分の建物ユニット20を「下階ユニット20B」、2階部分の建物ユニット20を「上階ユニット20T」とも称する。
【0041】
ここで、上下方向に並ぶ建物ユニット20同士、及び水平方向に並ぶ建物ユニット20同士は、各建物ユニット20の仕口21b,21cにドッキングプレート29が設置されることで連結されるようになっている。この場合、下階ユニット20B及び上階ユニット20Tの境界部(1階及び2階の階間部分)では、1つのドッキングプレート29により建物ユニット20の上下連結がなされることに加え、水平連結がなされている。また、上階ユニット20Tの上面部では、1つのドッキングプレート29により建物ユニット20の水平連結がなされている。こうした建物ユニット20同士の連結手法は既存のユニット工法として知られている。
【0042】
また、中間構造部XMは、一対のユニット構造部XL,XRに挟まれて構築されており、中間構造部XMには、中間天井梁ユニット31と、床部を構築するための床フレームユニット32とが設けられている。
【0043】
図3,図4(a)に示すように、中間天井梁ユニット31は、中間構造部XMを挟んで対向する2つの建物ユニット20の間に架け渡して設けられており、1階天井部と2階天井部とには同様の構成の中間天井梁ユニット31が設けられている。中間天井梁ユニット31は、離し置きされた両建物ユニット20の天井仕口21bにそれぞれ連結された、支持部材としての片持ち状(キャンチ構造)の支持梁33と、一対の支持梁33の間に設けられる中間天井梁34とを有して構成されている。これら中間天井梁ユニット31によってユニット構造部XL,XRの下階ユニット20B同士が連結され、上階ユニット20T同士が連結されている。
【0044】
図3,図4(b)に示すように、矩形フレーム状に形成された床フレームユニット32を設置することで1階床部及び2階床部が構成されている。ここで、1階床部分では、基礎11の天端上に載置されることで床フレームユニット32が設置されている。1階床部分の床フレームユニット32は、基礎11からその上方に延びるアンカーボルト(図示略)を利用して固定される構成となっている。これは、基礎11に対する建物ユニット20の固定方法と同様である。なお、2階床部分では、床フレームユニット32の固定方法が1階床部分とは異なっている。2階床部分での固定にかかる具体的な構成については後述する。
【0045】
ここで、図5を参照して床フレームユニット32について説明する。図5は建物本体12の主たる構成要素を分解して示す斜視図である。
【0046】
床フレームユニット32は、基本的に建物ユニット20の床部分と同様の構成を有するものであり、四隅に配設される4本の柱レス仕口36と、各柱レス仕口36をそれぞれ連結する4本の床フレーム大梁37とを備える。そして、それら柱レス仕口36と床フレーム大梁37により矩形状のフレーム本体が形成され、その長辺部(桁部)の相対する床フレーム大梁37の間に所定間隔で複数の床小梁38が架け渡されて固定されている。床フレーム大梁37及び床小梁38は建物ユニット20のそれと同じ構成を有する。すなわち、床フレーム大梁37は床大梁23と同じ溝形鋼よりなり、その開口部が向き合うようにして設置されている。床小梁38は床小梁26と同じ角形鋼よりなり、その床小梁26と同じピッチで設置されている。そして、床小梁38によって床パネル(図示略)が支持されるようになっている。
【0047】
床フレームユニット32の構成を建物ユニット20の床部の構成と対比すると、その違いは、床仕口21cの代わりに柱レス仕口36が設けられる点である。柱レス仕口36は、2つの床フレーム大梁37を接合するための2つの仕口板部36aと、その底部に設けられた底板部36bとを有する。2つの仕口板部36aは端部同士が直角に接合され、その頂部をユニット内側に向けて配置されている。底板部36bは、床仕口21cの柱脚プレート部に相当する部材である。
【0048】
床フレームユニット32は、基本的には建物ユニット20の床部構成と同じ構成を有しているため、床小梁材や床パネルなど、床構成部の各種建材を共通化でき、部品製造の観点、施工作業性の観点からして好都合な構成となっている。
【0049】
図3に示すように、ユニット構造部XL,XRと中間構造部XMとでは、建物ユニット20の床大梁23の高さ位置と、床フレーム大梁37の高さ位置とが同じであり、床面の高さ位置が同一となっている。また、中間構造部XMでは、1階部分及び2階部分の両方において柱レス構造となっており、その分、屋内空間の拡張が可能となっている。すなわち、例えば図4のX部は、通常のユニット工法では4本の柱が集結する部位であるが、本建物10では、2本の柱のみが集結する構成となっている。
【0050】
本実施の形態においては、図6の建物10の概略図に示すように中間構造部XMにおける1階天井部分と2階床部分との間に所定の空隙(以下、階間空間MSと称する)が形成されており、この階間空間MSに空調設備の一部(詳しくは後述する空調装置)が配置されていることを特徴の1つとしている。以下、図6及び図7を参照して空調設備及びその設置にかかる構成について説明する。図7は、図6(b)のY部分を拡大して示す概略図である。
【0051】
図7に示すように、下階ユニット20Bの天井大梁22と上階ユニット20Tの床大梁23とには、これら両大梁22,23に跨るようにして配設された金属製の連結ブラケット41が取り付けられている。各大梁22,23が連結ブラケット41に対してそれぞれ固定されることで、下階ユニット20B及び上階ユニット20Tが連結されている。
【0052】
各大梁22,23については、水平方向に延びる長尺状のベース部22a,23aと、ベース部22a,23aの上端部及び下端部に形成された一対のフランジ部22b,23bとによって構成され、全体として溝状をなしている。既に説明したように、各大梁22,23はその開放部分がユニットの内側を向くようにして配置されている。
【0053】
連結ブラケット41は、大梁22,23の並設方向(上下方向)と同じ方向に延びており、それら各大梁22,23と同様に溝状をなしている。より詳しくは、連結ブラケット41は、上下方向に延びる長板状のベース部41aと、ベース部41aの両側部に形成された一対のフランジ部41bとによって構成され、その開放部分が各構造部XL〜XRの並設方向に対して直交する方向を向くようにして配設されている。
【0054】
連結ブラケット41の両フランジ部41bのうち一方が、大梁22,23のベース部22a,23aに対して面当たりしており、大梁22,23のベース部22a,23aと連結ブラケット41のフランジ部41bとがボルトを用いて共締めされている。
【0055】
連結ブラケット41の上部において両フランジ部41bのうち他方には、中間構造部XMを構成する床フレームユニット32が固定されている。床フレームユニット32の床フレーム大梁37については、建物ユニット20の各大梁22,23と同様に、連結ブラケット41のフランジ部41bに対して当接するベース部37aとベース部37aの両端部に設けられたフランジ部37bとを有してなり、全体として溝状をなすように形成されている。連結ブラケット41のフランジ部41bは、床フレーム大梁37のベース部37aに対してボルトを用いて固定されている。これにより、連結ブラケット41を介してユニット構造部XL,XRと中間構造部XM(詳しくは床フレームユニット32)とが一体化されている。
【0056】
なお、連結ブラケット41におけるフランジ部41bの起立量、すなわち連結ブラケット41の全幅については、大梁22,23の全長よりも十分に小さく設定されており、このような大きさの差を補うため、連結ブラケット41は、大梁22,23に沿って所定の間隔で複数配設されている。
【0057】
連結ブラケット41は、下階ユニット20Bの天井大梁22よりも下方へ突出しており、その突出している部分(詳しくは床フレームユニット32の固定対象となっているフランジ部41b)には、金属製のランナ42が設けられている。ランナ42は天井大梁22に沿って延びる溝状をなすように形成されている。ランナ42は、その開放部分が中間構造部XMの内側を向くよう配置されており、そのベース部42aが連結ブラケット41のフランジ部41bに当接した状態でボルトを用いて共締めされることで連結ブラケット41に対して固定されている。
【0058】
ランナ42は、天井パネル45の固定下地材としてのスタッド43が取り付けられている。スタッド43は、ランナ42と交差する方向、詳しくは、ユニット構造部XL,XRの並設方向に延びており、その両端部がランナ42の内部に入りこんだ状態でそれら各ランナ42に対して固定されている。スタッド43には、天井パネル45が下側から当接した状態で固定されている。
【0059】
スタッド43の高さ位置は、ユニット構造部XL,XRの天井小梁25よりも低い位置に配置されており、スタッド43に固定された天井パネル45についても天井小梁25に固定された天井パネル27よりも低い位置に存在している。一方、ユニット構造部XL,XRにおける2階部分の床パネル28及び中間構造部XMにおける2階部分の床パネル46については、高さ位置が同じとなっている。これにより、ユニット構造部XL,XRにおける階間空間LS,RSの縦幅よりも、中間構造部XMにおける階間空間MSの縦幅のほうが大きくなっている。
【0060】
天井位置を下げることで拡張された階間空間MSには、上述の如く空調設備の一部が収容されている。空調設備は、エアコン等の空調装置80、建物10の屋外に配置された室外機81、空調装置80及び室外機81を繋ぐ配管82、空調装置80に空調用の空気を取り込む取込ダクト83、空調空気を居室CL1,CR1等へ供給する供給ダクト84、屋外へ空気を排出する排気ダクト(図示略)、更にはそれら空調装置80等を制御する空調制御装置を備えており、これら各種構成のうち少なくとも空調装置80及びダクト83,84が階間空間MS内に収容されている。
【0061】
空調装置80は、少なくとも冷房や暖房等の各機能を有する室内機である。建物10は高気密・高断熱住宅となるように構成されており空調負担が比較的小さくなっていることから、本実施の形態では階間空間MSに設けられた1の空調装置80によって建物10における1階部分全体の空調を賄うことが可能となっている。つまり、空調装置80には、ユニット構造部XL,XRの居室CL1,CR1等及び中間構造部XMのは廊下H1を対象として空調空気を供給する機能が付与されている。
【0062】
ここで、図7を参照して、空調空気の供給にかかる構成、具体的には供給ダクト84の配設にかかる構成について説明する。なお、図7においては、居室CL1と廊下H1との境目となる部分を示しているが、居室CR1と廊下H1との境目となる部分についても同様の構成となっている。
【0063】
居室CL1,CR1と廊下H1との間には、それら居室CL1,CR1及び廊下H1を仕切る仕切壁51が設けられている。仕切壁51は、廊下H1側に位置する廊下側壁部52と、居室CL1,CR1側に位置する居室側壁部53とによって2重となるように構成されている。これら廊下側壁部52及び居室側壁部53はドッキングラインDLVを挟んで対向しており、それら両壁部52,53の間には所定の隙間が確保されている。なお、当該隙間には、遮蔽部材等の各種構成が配設されているが、同構成については図示を省略する。
【0064】
廊下側壁部52は、柱21及び大梁22,23よりも廊下H1側となる位置に配置されており、下端部が床パネル46に、上端部が天井パネル45に対してそれぞれ当接している。
【0065】
既に説明したように、天井パネル45は天井大梁22よりも下側に天井大梁22から離間して配置されている。これにより、大梁群(大梁22,23の配設領域)の下方、より詳しくは天井パネル45と大梁群(詳しくは下階ユニット20Bの天井大梁22)との間に、階間空間MSの主要部分(空調装置80を収容している部分)に連なる空間部が形成されている。この空間部が、供給ダクト84の配設経路を確保するための、ダクト配置用空間部P1となっている。なお、ダクト配置用空間部P1は、ランナ42と大梁群との間に拡がっており、同部分にも供給ダクト配置用の隙間が確保されている。
【0066】
ダクト配置用空間部P1は階間空間MSの主要部分と連なっており、空調装置80から延びる供給ダクト84は、ドッキングラインDLVを越えて中間構造部XM側からユニット構造部XL,XR側へ達している。
【0067】
居室側壁部53は、柱21及び大梁22,23よりも建物ユニット20の内側(廊下側壁部52とは柱21等を挟んで反対側)に配置されており、その上端部が天井パネル27に対して当接し、その下端部が床パネル28に対して当接している。
【0068】
居室側壁部53において天井パネル27と当接している部分を含む上部についてはダクト配置用空間部P1と横並びとなる位置に達しており、当該上部には階間空間MSと居室CL1,CR1とを連通する給気用開口部56が形成されている。給気用開口部56には供給ダクト84が接続されており、空調装置80からの空調空気は、供給ダクト84→給気用開口部56を通じて居室CL1,CR1へ給気として供給されることとなる。
【0069】
再び図6を参照して説明すれば、仕切壁51(居室側壁部53及び廊下側壁部52)の下部には、通気ガラリ57が設けられている。通気ガラリ57は、居室CL1,CR1と廊下H1とに連通しており、この通気ガラリ57を通じて居室CL1,CR1と廊下H1との間での空気の移動が許容されいている。
【0070】
廊下H1における天井パネル45には、階間空間MSと廊下H1とを連通する還気用開口部58が形成されている。還気用開口部58には、空調装置80から延びる取込ダクト83が接続されおており、廊下H1の空気は、還気用開口部58→取込ダクト83を通じて還気として空調装置80に取り込まれることとなる。
【0071】
既に説明したように、ユニット構造部XL,XRの階間空間LS,RSと中間構造部XMの階間空間MSとについては横並びとなる位置に存在しているものの、建物ユニット20を構成する天井大梁22と床大梁23とによって遮られている。天井大梁22及び床大梁23のベース部22a,23aには、図1に示すように、貫通孔22c,23cが形成されており、配線等の比較的径の小さいものの通過は許容されている。しかしながら、供給ダクト84の径は貫通孔22c,23cよりも大きく(詳しくはベース部22a,23aの縦幅よりも大きく)、貫通孔22c,23cの径はベース部22a,23aの大きさに依存する。このため、貫通孔22c,23cを大きくするにも限度があり、貫通孔22c,23cに供給ダクト84を挿通させることは実質的に不可能となっている。
【0072】
例えば供給ダクト84を部分的に圧縮することで貫通孔22c,23cを通すことは可能であるが、このような部分的な圧縮は空調効率の低下の要因となり得るため好ましくなく。貫通孔22c,23cの径を担保すべく大梁22,23を大型化すれば重量増を招くばかりか、部分的に生じる大幅な強度低下に起因して梁本来の機能が損なわれることとなる。この点、本実施の形態に示すように、空調装置の設置スペースの確保により天井位置を下げ、その天井位置の違いを利用して供給ダクト84の配設経路を確保することで、上記不都合の発生を好適に抑制することが可能となっている。
【0073】
次に、図8を参照して、本実施の形態に示す建物10の空調態様について例示する。図8は建物10の空調態様を示す概略図である。
【0074】
空調装置80にて生成された空調空気は、給気用開口部56を通じて居室CL1,CR1へと供給される。この際、空調空気は、天井パネル27に沿うようにして略水平に流れることで、ユーザに対して直接当たることが回避される。
【0075】
空調装置80によって廊下H1の空気が還気として取り込まれることで、居室CL1,CR1内の空気は、通気ガラリ57を通じて廊下H1へと流入する。このように、居室CL1を経由して空調空気が廊下H1側に流れ込む構成とすることで、廊下H1における空調が可能となっている。これにより、居室CL1,CR1と廊下H1との温度差が大きくなることを抑えている。廊下H1へと流入した空気は、天井パネル45側に吸い上げられ、還気用開口部58を通じて空調装置80へと取り込まれることとなる。これにより、建物10内での空調空気の循環が実現される。このようにして空調空気を循環させることで、ユーザによって設定される設定温度と還気の温度との差を小さくすることができ、空調効率の向上が期待できる。
【0076】
なお、図8においては、居室CL1及び廊下H1での空調と、居室CR2及び廊下H1での空調との両方を同時に実行する場合について例示しているが、これに限定されるものではない。例えば、それら両空調パターンのうち一方のみを実行する構成とすることも可能である。具体的には、空調対象として選択されていない居室に対する給気を規制するとともに、通気ガラリ57を閉状態に切り替えることで、空調効率の低下を抑えつつ、空調対象を限定することができる。
【0077】
以上、詳述した第1の実施形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
【0078】
中間構造部XMにおける天井パネル45の高さ位置は、ランナ42の高さ位置に依存している。ランナ42の位置は連結ブラケット41の全長を変更することで変更することができ、これによって天井パネル45の位置についても任意に変更することができる。
【0079】
中間構造部XMにおいては建物ユニット20が省略されており、階間空間MSを大きくした影響が建物10全体に与える影響は小さい。つまり、例えば中間構造部XMにおいても建物ユニットが配設される構成を想定した場合には、上述の如く階間空間を大きくすることで当該中間構造部XMに設けられた建物ユニットが上方にずれることとなる。このため、中間構造部XMにおける建物ユニットの高さ位置が両隣の建物ユニットの高さ位置と異なることとなる。これは、建物ユニット同士の連結構造や、屋根構造等の複雑化を招く要因となり、ユニット式建物の特徴を希薄化させる要因となり得る。この点、本実施の形態に示すように、離し置きによって建物ユニット20が省略された空間に設けられる階間空間MSを空調装置80の収容空間とすることで、そのような不都合の発生を回避することができる。
【0080】
空調装置80によって生成された空調空気を居室(ユニット内空間)CL1,CL2に供給しようとした場合には、上階ユニット20Tと下階ユニット20Bとの境目(階間空間MS)に位置する各大梁22,23が、供給ダクト84の取り回しを妨げる要因になる。この点、本実施の形態においては、空調装置80を設置するために拡張した階間空間MSが大梁群の下方に同大梁群の下方に設けられたダクト配置用空間部P1と連なっている。この空間部P1に供給ダクト84を挿通することで、上記大梁群をかわして供給ダクトを設置することができる。空調装置の設置を目的として拡張された階間空間MSを利用して大梁群の迂回路を作り出すことにより、階間空間MSを好適に利用することができる。このように、空調装置80の設置に適した空調装置80から階間空間の拡張が困難な建物ユニット20側へ空調空気を供給可能とすることにより、実用上好ましい構成が実現されている。
【0081】
また、本実施の形態においては、ユニット構造部XL,XR側の天井パネル27と、中間構造部XM側の天井パネル45との高さ位置に差を設け、供給ダクト84の配設経路を確保する構成とし、ユニット構造部XL,XR側の床パネル28及び中間構造部XM側の床パネル46の高さ位置を揃える構成としている。このようにして、床面に段差が生じるをことを回避することで、空調機能の担保に起因した、生活環境の悪化を回避している。
【0082】
<第2の実施の形態>
上記第1の実施の形態においては、建物10の下階及び上階のうち一方(詳しくは下階)のみを空調設備による空調の対象としたが、本実施の形態においては建物10の下階及び上階の両方を空調の対象としている。以下、図9及び図10を参照して第1の実施の形態との相違点を中心に、本実施の形態における空調装置80の設置構造及び空調態様について説明する。図9は第2の実施の形態における空調装置80の設置構造及び空調の様子を示す概略図、図10は図9のB部分を拡大して示す概略図である。なお、図9においては、建物10の詳細な構成の図示を省略するとともに、各天井パネル及び床パネルにドットハッチングを付与している。
【0083】
上記第1の実施の形態においては、2階の床の位置をユニット構造部XL,XRと中間構造部XMとが同一平面上に位置するようにして揃えるとともに、1階の天井の位置をユニット構造部XL,XRと、中間構造部XMとでずらす構成としたが、本実施の形態においては、図9に示すように、中間構造部XMの1階天井パネル45の位置がユニット構造部XL,XRにおける1階天井パネル27の位置よりも下側に位置するとともに中間構造部XMの2階床パネル46の位置がユニット構造部XL,XRにおける2階床パネル46の位置よりも上側に位置している。2階床パネル46を上方にオフセットするための具体的な構成について説明する。なお、廊下H1における天井位置を下方にオフセットする構成(すなわちダクト配置用空間部P1及び供給ダクト84)については上記第1の実施の形態と同様であるため説明を省略する。
【0084】
図10に示すように、ユニット構造部XLにおける下階ユニット20Bの天井大梁22と上階ユニット20Tの床大梁23とを連結する連結ブラケット41Yは、大梁群(詳しくは床大梁23)よりも上方に延出している。連結ブラケット41Yの上端部は、上階ユニット20Tの床パネル46よりも上方に位置しており、その上端部に床フレームユニット32の床フレーム大梁37が固定されている。
【0085】
床フレーム大梁37が上方にオフセットすることで、床フレーム大梁37に固定されている床パネル46も上方にオフセットされている。これにより、上記大梁群(詳しくは床大梁23)の上方には、2階用供給ダクト86を設置するダクト配置用空間部P2が形成されている。また、床フレーム大梁37と床大梁23との間には、2階用供給ダクト86の通過を許容する隙間が確保されている。
【0086】
2階部分を構成する居室側壁部53において、ダクト配置用空間部P2と対峙している部分には、階間空間MSと居室CL2,CR2とに連通する給気用開口部66が形成されている。上記2階用供給ダクト86の出口部分は、この給気用開口部66に対して接続されている。これにより、空調装置80からの空調空気は、2階用供給ダクト86を通じて、居室CL2,CR2へ供給される構成となっている。
【0087】
なお、図8に示すように、仕切壁51には、居室CL2,CR2と廊下H2との通気を許容する通気ガラリ67が設けられている。また、2階床パネル46には、階間空間MSと廊下H1とに連通する還気用開口部68が形成され、この還気用開口部68に対して取込ダクト85が接続されている。これら通気ガラリ67及び還気用開口部68については、上記通気ガラリ57及び還気用開口部58と同様の構成であるため詳細な説明は省略する。
【0088】
再び図9を参照して、建物10における空調態様について説明する。なお、建物10の1階部分における空調態様については上記第1の実施の形態と同様であるため、第1の実施の形態における説明を援用し、建物10の2階部分での空調態様について説明する。
【0089】
空調装置80にて生成された空調空気(給気)は、供給ダクト84を通って給気用開口部66から居室CL2,CR2内へと供給される。この際、給気は横方向に向けて吹き出されることとなる。居室CL2,CR2に供給された給気は、居室CL2,CR2の床パネル46に沿って移動した後、通気ガラリ67を通じて廊下H2へ流入する。そして、床パネル46に形成された還気用開口部68を通じて、空調装置80に還気として取り込まれることとなる。
【0090】
このように、空調空気を循環させる構成とすることで、居室CL2,CR2及び廊下H2を空調対象とすることが可能となっている。
【0091】
なお、建物10の1階部分の空調と及び2階部分の空調については、個別にオン/オフの切替えが可能となっている。ユーザの操作に基づいて、空調対象が1階部分、2階部分、建物全体で選択される。
【0092】
中間構造部XMの階間空間MSに配設された空調装置80によって建物10の全館空調を実現しようとした場合には、ダクトの配設経路の確保が必須となる。ここで、ユニット式建物においては、各建物ユニット20の柱21や梁22,23がダクトの配設を困難とする要因となり、上述したような全館空調を実現することが困難になり得る。この点、階間空間MSを梁群の上方及び下方に設けられたダクト配置用空間部P1,P2と連なる構成とすることで、ダクトの配設経路を好適に確保することが可能となっている。これにより、全館空調の実現に貢献している。
【0093】
<第3の実施の形態>
上記第1の実施の形態では仕切壁51の居室側壁部53に形成された給気用開口部56を通じて居室CL1,CR1への給気を行う構成としたが、本実施の形態においては給気の態様が異なっている。以下、図11を参照して、建物10Bに設けられた給気にかかる構成について、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。図11は供給ダクトと大梁22,23との関係を示す概略図である。なお、図11においては、ユニット構造部XL及び中間構造部XMを拡大して示しているが、ユニット構造部XR及び中間構造部XMの関係についても同様である。
【0094】
ユニット構造部XL,XRの天井パネル27Bにおいて天井大梁22に隣接する端部には、下方に凸となるようにして段差部27aBが形成されている。これにより、天井パネル27Bにおいて中間構造部XM寄りとなる部分が、他の部分よりも低位となっている。
【0095】
天井パネル27Yにおいて低位となる部分は、中間構造部XMの天井パネル45と同じ高さとなるように形成されており、段差部27aB(すなわち天井パネル27Bにおいて低位部分と高位部分とを繋いでいる部分)については、天井大梁22に対して隙間を隔てて対峙している。より詳しくは、段差部27aBと天井大梁22との間には、階間空間MSのダクト配置用空間部P1に対して連通するダクト配置用空間部P2が形成されている。
【0096】
供給ダクト84はダクト配置用空間部P1,P2を通るようにして配置されることで、大梁群を迂回して、階間空間MSと階間空間LS,RSとに跨っている。天井パネル27Bの高位部分には、居室CL1,CR1と階間空間LS,RSとに連通する給気用開口部27bBが形成されており、この給気用開口部27bBに対して下階側供給ダクト84Bが繋がっている。本実施の形態においては、仕切壁51から給気が行われるのではなく、天井パネル27Bの給気用開口部27bBから給気が行われることとなる。
【0097】
また、ユニット構造部XL,XRの2階部分を構成する床パネル28Bにも、居室CL2,CR2と階間空間LS,RSとを連通する給気用開口部28bBが形成されており、この給気用開口部28bBに対して供給ダクト86Bが繋がっている。空調装置80にて生成された空調空気は、供給ダクト86Bを通じて、居室CL2,CR2に供給されることとなる。
【0098】
なお、図示は省略するが、本実施の形態においては上記第2の実施の形態と同様に、2階部分を構成する仕切壁51には、居室CL2,CR2と廊下H2との通気を許容する通気ガラリ67が設けられている。また、2階床パネル46には、階間空間MSと廊下H1とに連通する還気用開口部68が形成され、この還気用開口部68に対して取込ダクト85が接続されている。
【0099】
これら各種構成を採用することで、第3の実施の形態においては、第2の実施の形態と同様に、建物10Bの全館空調、1階部分及び2階部分の個別空調が可能となっている。
【0100】
本実施の形態においては、中間構造部XMにおける階間空間MSの縦幅が過度に大きくなることを回避しつつ、供給ダクト84B,86Bの配設経路を確保することが可能となっている。空調装置80の収容領域の確保以外に、階間空間MSを広げる要因が生じることを回避できるため、限られた建物内の空間を有効に利用する上で無駄なデッドスペースの増加の抑制に貢献できる。
【0101】
<第4の実施の形態>
上記第1の実施の形態の建物10においては中間構造部XMに正面側の建物ユニット20及び奥側の建物ユニット20に跨る一連の廊下H1,H2を設けたが、本実施の形態の建物10Cにおいては、これら廊下H1,H2が居室CM1,CM2となっており、それら各居室CM1,CM2は中央に設けられた仕切壁101によってそれぞれ建物10Cの正面側と奥側とに仕切られており、これに併せて空調設備及び空調態様にも変更が加えられている。以下、図12を参照して、本実施の形態における空調設備の設置構造等について説明する。図12(a)は建物10Cを正面側から見た概略図、図12(b)は建物10Cを側方から見た概略図である。なお、以下の説明においては、居室CM1,CM2のうち建物10Cの正面側に位置するものを第1居室CMF1,CMF2、奥側に位置するものを第2居室CMR1,CMR2として区別する。
【0102】
図12(b)に示すように、中間構造部XMにおける1階天井パネル45及び2階床パネル46は、上記仕切壁101を挟んで分断されており、一方が他方よりも上位に位置するようにして配置されている。つまり、第1居室CMF1と第2居室CMR1とでは天井の位置が相違しており、第1居室CMF2と第2居室CMR2とでは床の位置が相違している。以下便宜上、第1居室CMF1の天井パネルを第1天井パネル45F、第2居室CMR1の天井パネルを第2天井パネル45R、第1居室CMF2の床パネルを第1床パネル46F、第2居室CMR2の床パネルを第2床パネル46Rと称する。
【0103】
第1天井パネル45Fは第2天井パネル45R及び第2床パネル46Rの間となる高さに位置しており、第2床パネル46Rは第1天井パネル45F及び第1床パネル46Fの間となる高さに位置している。これにより、第1天井パネル45F及び第1床パネル46Fによって形成された第1階間空間MS1と、第2天井パネル45R及び第2床パネル46Rによって形成された第2階間空間MS2とが横並びとなるように設けられ、第1階間空間MS1のほうが第2階間空間MS2よりも若干上位に位置する構成となっている。
【0104】
本実施の形態においては、これら各階間空間MS1,MS2に空調装置がそれぞれ配置されている。第1階間空間MS1に配設された第1空調装置110及び第2階間空間MS2に配設された第2空調装置120については、1の空調制御装置130に対して電気的に接続されている。それら各空調装置110,120は空調制御装置130によりユーザの操作等に応じて統括的に制御される構成となっている。
【0105】
先ず、第1空調装置110にかかる構成について説明する。第1天井パネル45Fには、居室CMF1と第1階間空間MS1とを連通する給気用開口部103が形成されており、この給気用開口部103には、空調装置110から延びる供給ダクト111が接続されている。また、第1床パネル46Fは、居室CMF2と第1階間空間MS1とを連通する給気用開口部104が形成されており、この給気用開口部104には、空調装置110から延びる供給ダクト112が接続されている。つまり、空調装置110については、居室CL1,CL2に延びる供給ダクト以外にも、居室CMF1,CMF2に延びる供給ダクト111,112が設けられており、これら各居室を個別に空調の対象とすることが可能となっている。
【0106】
また、仕切壁101において、床パネル46F,46Rによって挟まれている部分には、第1階間空間MS1と居室CMR2とに連通する給気用開口部105が形成されている。給気用開口部105には、空調装置110から延びる供給ダクト113が接続されている。これにより、空調装置110は、居室CMR2についても空調対象としている。
【0107】
次に、第2空調装置120にかかる構成について説明する。天井パネル45Rには、居室CMR1と第2階間空間MS2とに連通する給気用開口部107が形成されており、この給気用開口部107には、空調装置120から延びる供給ダクト121が接続されている。また、床パネル46Rには、居室CMR2と第2階間空間MS2とに連通する給気用開口部108が形成されており、この給気用開口部108には、空調装置120から延びる供給ダクト122が接続されている。つまり、空調装置110については、居室CL1,CL2に延びる供給ダクト以外にも、居室CMR1,CMR2に延びる供給ダクト121,122が設けられており、これら各居室を個別に空調の対象とすることが可能となっている。
【0108】
また、仕切壁101において、天井パネル45F,45Rによって挟まれている部分には、第2階間空間MS2と居室CMF1とに連通する給気用開口部109が形成されている。給気用開口部109には、空調装置120から延びる供給ダクト123が接続されている。これにより、空調装置120は、居室CMF1についても空調対象としている。
【0109】
つまり、本実施の形態においては、居室CMF2,CMR1については、各空調装置110,120による個別の空調対象となるように設定されているのに対して、居室CMF1,CMR2については、両空調装置110,120による空調の対象となるように重複設定されている。
【0110】
また、空調制御装置には、各居室に個別に配設された温度センサ(図示略)が電気的に接続されており、同温度センサからの検知情報に基づいて、居室の温度を把握することが可能となっている。
【0111】
空調制御装置130については、ユーザにより指定された居室を対象として空調を行うように空調制御を実施する。かかる空調制御を行う際に、空調対象として、居室CMF1又は居室CMR2が選択された場合には、両方の空調装置110,120を動作することによって、急速な空調が可能となる。例えば、空調制御装置130では、ユーザによって設定された温度と空調対象となった居室CMF1の温度との差が所定の差よりも大きくなっている場合には、先ず第1空調装置110の運転を開始し、それに併せて補助的に第2空調装置120の運転を開始する処理を行う。これにより、居室CMF1には、2つの空調装置110,120からの空調空気が供給され、居室CMF1の温度を設定温度に対して効率よく近づけることができる。その後、居室CMF1の温度と上記設定温度との差が予め設定された値よりも小さくなった場合には、第1空調装置110の運転を継続しつつ第2空調装置120の運転を停止する。このように、運転初期は一時的に両空調装置110,120を併用することで、居室CMF1を急速に暖めたり冷やしたりすることが可能となる。
【0112】
<第5の実施の形態>
上記第1の実施の形態の建物10においては中間構造部XMに正面側の建物ユニット20及び奥側の建物ユニット20に跨る一連の廊下H1,H2を設けたが、本実施の形態の建物10Cにおいては、これら廊下H1,H2が居室CM1,CM2となっており、それら各居室CM1,CM2は中央に設けられた仕切壁151によってそれぞれ建物10Cの正面側と奥側とに仕切られている。具体的には、仕切壁151よりも建物10の正面側となる部分は、上下階が一体となった吹抜けCMFとなっており、仕切壁151よりも奥側に位置する部分は1階部分が第1居室CMR、2階部分が第2居室CMR2となっている。また、これら建物10D内のレイアウトの変更に伴って空調設備及び空調態様にも変更が加えられている。以下、図13を参照して、本実施の形態における空調設備の設置構造等について説明する。図13(a)は建物10Dを正面側から見た概略図、図13(b)は建物10Dを側方から見た概略図である。
【0113】
中間構造部XMの1階部分を構成する天井パネル45Rと2階部分を構成する床パネル46Rとの間に形成された階間空間MSには、空調装置160が配設されている。空調装置160には、第1居室CMR1に延びる供給ダクト161が設けられており、供給ダクト161の出口部分は、天井パネル45Rに形成された給気用開口部103に接続されている。これにより、空調装置160にて生成された空調空気が、供給ダクト161→給気用開口部103を通じて第1居室CMR1に給気として供給される構成となっている。
【0114】
また、空調装置160には、第2居室CMR2に延びる供給ダクト162が設けられており、供給ダクト162の出口部分は、床パネル46Rに形成された給気用開口部104に接続されている。これにより、空調装置160にて生成された空調空気が、供給ダクト162→給気用開口部104を通じて第2居室CMR2に給気として供給される構成となっている。
【0115】
つまり、本実施の形態における空調装置160については、上記居室CL1,CL2,CR1,CR2だけでなく居室CMR1,CMR2に対しても直接的に空調空気を供給することが可能となっている。
【0116】
また、天井パネル45Rには、還気用開口部155が形成されており、この還気用開口部155に対して空調装置160から延びる取込ダクト164が接続されている。これにより、第1居室CMR1の空気を環気として取り込むことが可能となっている。床パネル46Rについても同様に、還気用開口部156が形成されており、この還気用開口部156に対して空調装置160から延びる取込ダクト165が接続されている。これにより、第2居室CMR2の空気を還気として取り込むことが可能となっている。
【0117】
仕切壁151には、第1居室CMR1と吹抜けCMFとに連通する通気ガラリ157と、第2居室CMR2と吹抜けCMFとに連通する通気ガラリ158とが設けられている。これにより、吹抜けCMFと居室CMR1,CMR2との間での通気が許容されている。
【0118】
吹抜けCMFの天井部分には、ファン170が配設されており、ファン170が回転することで吹抜けCMF内に上下方向での空気の流れが生じる。
【0119】
以上詳述した空調装置160及びファン170については、空調制御装置180に対して電気的に接続されている。ここで、空調制御装置180による空調制御について説明する。
【0120】
ユーザによって第1居室CMR1が空調対象として選択されている場合には、空調制御装置180によって、空調空気を供給するためのダクトとして供給ダクト161が選択されるように、また供給ダクト161とは異なる居室に連通する取込ダクト164が選択されるように、空調装置160が制御される。これにより、第1居室CMR1に対して空調空気が供給され、第2居室CMR2から還気が取り込まれることとなる。
【0121】
これに併せて、吹抜けCMF内に上昇気流が発生するようにして、ファン170に駆動信号を出力する。これにより、通気ガラリ157を通じて第1居室CMR1から吹抜けCMFに流入した空調空気は上方へ誘導され、通気ガラリ158を通じた第2居室CMR2内への流入が促がされることとなる。
【0122】
一方、ユーザによって第2居室CMR2が空調対象として選択されている場合には、空調制御装置180によって、空調空気を供給するためのダクトとして供給ダクト162が選択されるように、また供給ダクト162とは異なる居室に連通する取込ダクト165が選択されるように、空調装置160が制御される。これにより、第1居室CMR1に対して空調空気が供給され、第1居室CMR1から還気が取り込まれることとなる。
【0123】
これに併せて、吹抜けCMF内に下降気流が発生するようにして、ファン170に駆動信号を出力する。これにより、通気ガラリ158を通じて第2居室CMR2から吹抜けCMFに流入した空調空気は下方へ誘導され、通気ガラリ157を通じた第1居室CMR1内への流入が促がされることとなる。
【0124】
これにより、中間構造部XMにおける各居室CMF,CMR1,CMR2の全てを対象とした空調が実現される。
【0125】
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。因みに、以下の別形態の構成を、上記実施の形態における構成に対して、個別に適用してもよく、相互に組み合わせて適用してもよい。
【0126】
(a)上記第1の実施の形態では、居室CL1,CR1を空調対象としたが、これを変更し、居室CL2,CR2を空調対象とすることも可能である。この場合、梁群(詳しくは上階ユニット20Tの床大梁23)の上方に供給ダクト用のダクト配置用空間部を形成するとともに、2階部分を構成する仕切壁51(詳しくは居室側壁部53)において当該ダクト配置用空間部に対峙する部分に給気用開口部を形成し、上記供給ダクトを当該給気用開口部に接続する構成とすることで、居室CL2,CR2に空調空気を供給することが可能となる。
【0127】
(b)上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、仕切壁51を2重構造としたが、これに限定されるものではない。少なくともダクト配置用空間部P1,P2に対向する部分が存在するのであれば、仕切壁51をどのような構造とするかは任意である。
【0128】
(c)上記各実施の形態では、中間構造部XMにおける1階天井パネル45をランナ42及びスタッド43を用いて連結ブラケット41に固定する構成としたが、1階天井パネル45の固定方法については、任意である。例えば、建物ユニット20の柱21等に、天井パネル45固定用のブラケットを介して固定する構成とすることも可能である。また、1階天井パネルを中間構造部XMの床フレームユニット32から吊り下げる構成とすることも可能である。
【0129】
(d)上記実施の形態では、空調装置80を階間空間MS内に収容する構成とし、同空調装置80については、床フレームユニット32の床小梁38に対して取り付けた。空調装置80の取付対象については、必ずしも床側に取り付ける必要はなく、天井側に取り付ける構成とすることも可能である。例えば、ランナ42や天井パネル45に対して空調装置80を載せた状態で固定する構成とするとよい。
【0130】
(e)上記第3の実施の形態では、ユニット構造部XL,XR側の天井パネル27に段差部を形成することで、ダクト配置用空間部P2を形成したが、これを変更し、中間構造部XM側の天井パネル45を居室側に延設するとともに同天井パネル45に段差部を形成することでダクト配置用空間部P2を形成することも可能である。
【0131】
(f)上記第3の実施の形態では、供給ダクト84B,86Bが梁群を下方から迂回する構成としたが、これに限定されるものではなく、供給ダクト84B,86Bが梁群を上方から迂回する構成としてもよい。
【0132】
(g)上記各実施の形態に示すドッキングラインDLVよりも仕切壁51を廊下側に配置した場合には、ユニット構造部XL,XRの天井パネル27と梁群との間にダクト配置用空間部P1を形成するとよい。
【0133】
(h)上記各実施の形態に示した空調設備の設置構造を、多層階(例えば3階〜n階)の建物に対して適用することも可能である。
【符号の説明】
【0134】
10…建物、12…建物本体、20…建物ユニット、21…柱、22…天井大梁、23…床大梁、25…天井小梁、26…床小梁、27…天井パネル、28…床パネル、31…中間天井梁ユニット、32…床フレームユニット、37…床フレーム大梁、41…連結ブラケット、42…ランナ、43…スタッド、45…天井パネル、46…床パネル、51…仕切壁、56…給気用開口部、80…空調装置、84…供給ダクト、LS,RS…階間空間、MS…階間空間、P1,P2…ダクト配置用空間部、XL,XR…ユニット構造部、XM…中間構造部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニット式建物の空調設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物においては、空調装置(例えばエアコン)を有する空調設備を採用して屋内の温度調整等を行うことにより快適さの向上が図れている。複数の建物ユニットを組合わせてなる多層階のユニット式建物(例えば特許文献1参照)においては、空調装置を階間に配置して建物におけるデッドスペースを空調装置の設置用スペースとして活用することで、建物内の限られたスペースの有効利用を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−249697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、ユニット式建物においては、建物ユニットにおける階間の位置(すなわち天井及び床の位置)は建物ユニットにおける大梁の位置に依存する。このため、上下に重ねて設けられた建物ユニットにおいては、空調装置の設置に十分な階間を確保することは困難である。
【0005】
例えば上下の建物ユニット間に柱状のスペーサを配置して階間を部分的に拡張することにより上記問題を解消することができる。しかしながら、ユニット式建物においては、スペーサが適用された建物ユニットの上端位置と他の建物ユニットの上端位置にずれが生じ、建物ユニット同士の連結構造や屋根構造等が複雑になるといった課題が生じこととなる。これにより、構造の簡素化や施工の容易化等のユニット式建物本来の特徴を損なうおそれがある。このように、ユニット式建物において空調装置を階間に配置しようとした場合には、空調装置の配置に工夫の余地がある。
【0006】
本発明は、上記例示した事情等に鑑みてなされたものであり、施工の容易化等のユニット式建物本来の特徴を損なうことを抑制しつつ、空調装置及びそれに付随する構成を階間に収納することができるユニット式建物の空調設置構造の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、発明の実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0008】
手段1.複数の柱(例えば柱21)とそれら柱に連結された天井及び床の各大梁(例えば大梁22)とを有してなる建物ユニット(例えば建物ユニット20)が複数組み合わされてなるユニット式建物の空調設置構造であって、
複数の建物ユニットを上下に積み重ねてなる建物ユニット群(例えばユニット構造部XL,XR)のうち少なくとも2つは離し置きされ、当該離し置きにより形成された中間部分(中間構造部XM)には、それら離し置きされた両建物ユニット群に掛け渡すようにして、前記中間部分の下階天井パネル部(天井パネル45)と、上階床パネル部(床パネル46)とが設けられており、
前記中間部分に設けられた前記下階天井パネル部(天井パネル45)及び同中間部分に設けられた前記上階床パネル部のうち少なくともいずれかは、前記建物ユニット群の前記柱及び前記大梁のうち少なくともいずれかに取り付けられた保持部(例えば連結ブラケット41に固定されたランナ42等)によって保持されており、
前記下階天井パネル部及び前記上階床パネル部の間に形成された中間部側階間空間(階間空間MS)に空調装置(空調装置80)を収容するようにしたことを特徴とするユニット式建物の空調設置構造。
【0009】
手段1によれば、中間部分における下階天井パネル及び上階床パネルの高さ位置については保持部の位置に依存している。保持部の位置等を建物の仕様等に応じて変更することでそれら各パネル部の高さ位置を任意に変更することができるため、建物ユニット群に付随するユニット用の下階天井パネル部や上階床パネル部と比べて配置にかかる制約が生じにくい。故に、中間部分では階間の縦幅を容易に変更することができ、中間部側階間空間の縦幅を大きくすることで空調装置の収容スペースを確保することができる。つまり、建物ユニット群においては大梁梁の位置によって天井パネル部や床パネル部の位置に制約が生じる一方、中間部分においてはそれら梁の位置による制約を受けにくいため、空調装置の配置自由度を好適に高めることができる。
【0010】
また、中間部分においては建物ユニットが省略されており、中間部側階間空間を大きくした影響が建物ユニットの位置に影響を与えることがない。つまり、中間部分においても建物ユニットが配設される構成においては、中間部側階間空間を大きくすることで当該中間部側階間空間の上方に位置する建物ユニットが上方にずれる。このため、中間部分における建物ユニットの高さ位置が両隣の建物ユニットの高さ位置と異なることとなる。これは、建物ユニット同士の連結構造や、屋根構造等の複雑化を招く要因となり、ユニット式建物の特徴を損なうおそれがある。この点、本手段に示す構成によれば、そのような不都合の発生を抑えることができる。
【0011】
手段2.前記中間部分の前記下階天井パネル部が前記建物ユニット群を構成する下階建物ユニットのユニット側天井パネル部よりも低位となるようにして配置されることで、前記下階建物ユニット(下階ユニット20B)の天井大梁(天井大梁22)の下方に設けられ、又は、前記中間部分の前記上階床パネル部が前記建物ユニット群を構成する上階建物ユニットのユニット側床パネル部よりも高位となるようにして配置されることで、前記上階建物ユニット(上階ユニット20T)の床大梁(床大梁23)の上方に設けられ、前記中間部側階間空間に連続する空間部を有し、
当該空間部は、前記空調装置から前記建物ユニットのユニット内空間(居室CL1等)への空調空気の供給を行うための供給ダクト(供給ダクト84)を挿通可能なダクト挿通用空間部(ダクト配置用空間部P1)となっていることを特徴とする手段1に記載のユニット式建物の空調設置構造。
【0012】
中間部分に設置された空調装置により生成された空調空気をユニット内空間に供給しようとした場合には、上階建物ユニットと下階建物ユニットとの境目(階間空間)に位置する大梁が、供給ダクトの取り回しを妨げる要因になる。
【0013】
この点、本手段においては、空調装置を設置するために拡張した中間部側階間空間が大梁(天井大梁や床大梁)の上方又は下方に設けられたダクト挿通用空間部と連通しており、同空間部に供給ダクトを挿通させることで中間部分側から建物ユニット側へ供給ダクトを導く場合に上記大梁をかわすことができる。このように、空調装置が収容された中間部側階間空間を利用して大梁の迂回路を作り出すことにより、空調装置のみならずそれに付随する構成を好適に取り回すことができる。故に、中間部分に配置された空調装置からの空調空気をユニット内空間へ供給する構成を採用したとしても、当該供給ダクトを配するためだけに中間部側階間空間を拡張する必要性がなくなり、居住スペース等の圧迫を好適に抑制することができる。
【0014】
なお、大梁に供給ダクト用の貫通孔を設け、その貫通孔に供給ダクトを挿通することで、当該大梁を回避することも可能である。しかしながら、梁貫通部分ではダクト径が絞られるため圧損が大きくなる。したがって、その圧損分だけ余計に空調装置の出力を大きくする必要が生じる。また、梁等にダクト挿通用の貫通孔を設ける構成では、孔形成作業や供給ダクトの挿通作業が強いられることによって作業性が低下し得る。この点、本手段に示す構成によれば、それら各種不都合の発生を回避することができる。
【0015】
前記上階建物ユニットのユニット側床パネル部と前記上階床パネル部との高さ位置を揃えるとともに、前記下階建物ユニットのユニット側天井パネル部よりも前記下階天井パネル部の高さ位置を下げる構成とすれば以下の効果が期待できる。すなわち、上階の床部分に段差が生じることが回避されることで、空調装置等の収容スペースの確保に起因した生活環境の悪化を好適に回避することができる。
【0016】
手段3.前記ユニット側天井パネル部を一端として下方に延びる又は前記ユニット側床パネル部を一端として上方に延びる壁部(仕切壁部51のユニット側壁部53)を備え、
前記壁部には、前記中間部側階間空間及び前記ダクト挿通用空間部を経由して前記中間部側から前記供給ダクトが接続される第1吹出口(給気用開口部56)が設けられており、
前記空調装置にて生成された空調空気は、前記第1吹出口を通じて前記ユニット内空間へ供給されることを特徴とする手段2に記載のユニット式建物の空調設置構造。
【0017】
手段3によれば、空調装置にて生成された空調空気は、第1吹出口を通じてユニット内空間に供給される。この際、大梁が邪魔になることがなく、中間部分側から建物ユニット側への空調空気の供給を好適に実現できる。
【0018】
手段4.前記ダクト挿通用空間部は、前記ユニット側天井パネル部と前記ユニット側床パネル部との間に形成されるユニット側階間空間と前記中間部側階間空間とを繋ぐように形成されているとともに、当該ダクト挿通用空間部に挿通された前記供給ダクトが前記天井大梁を下側から迂回して又は前記床大梁を上側から迂回して前記中間部側階間空間から当該ユニット側階間空間に達するように構成されており、
前記ユニット側天井パネル部及び前記ユニット側床パネル部の少なくとも何れかには前記供給ダクトが接続される第2吹出口(給気用開口部27bB,28bB等)が設けられており、
前記空調装置にて生成された空調空気は、前記第2吹出口を通じて前記ユニット内空間へ供給されることを特徴とする手段2又は手段3に記載のユニット式建物の空調設置構造。
【0019】
手段4によれば、供給用のダクトが大梁を迂回して、中間部分における階間空間から建物ユニット群の階間空間へ延びており、中間部分に配置された空調装置から空調空気が建物ユニット内へ供給される。ダクトをユニット側階間空間へ到達させることができるため、ユニット側の1階部分や2階部分等の空調対象の設定自由度の向上に貢献することができる。
【0020】
手段5.前記空調装置は、前記供給ダクトとして、前記建物ユニットにおける上階側のユニット内空間に繋がる供給ダクトと当該建物ユニットにおける下階側のユニット内空間に繋がる供給ダクトとを有していることを特徴とする手段2乃至手段4のいずれか1つに記載のユニット式建物の空調設置構造。
【0021】
手段5に示すように、上下階用の供給ダクトを有する構成においては特に、上述した大梁と供給ダクトとをどのようにして共存させるかが課題となりやすい。このような構成に対して、手段2等に示した技術的思想を適用することで、建物全体での空調機能の向上に貢献することができる。
【0022】
特に、天井大梁と天井パネル部とを平行となるように設置した場合や床大梁と床パネル部とを平行となるように設置した場合には、複数のダクトを大梁に沿う方向に並べるようにして、上記ダクト挿通用空間部に挿通することで、大梁によってダクトの取り回しが妨げられることを好適に回避することができ、更には、それに起因した中間部側階間空間の縦幅の増加を回避することができる。
【0023】
手段6.前記建物ユニット内のユニット内空間と、前記中間部分内の中間部内空間(廊下H1等)とを仕切る仕切壁部(仕切壁51)が設けられており、
前記仕切壁部には通気口(通気ガラリ57)が形成され、当該通気口を介して前記ユニット内空間から前記中間部内空間への空気の流れが可能となっており、
前記空調装置は、前記中間部内空間の空気を還気として取り込むものであることを特徴とする手段2乃至手段5のいずれか1つに記載のユニット式建物の空調設置構造。
【0024】
手段6によれば、ユニット内空間へ排出された空調空気は、中間部内空間を通過して再び空調装置に戻ることとなる。これによりユニット内空間及び中間部内空間での空調を1の空調装置によって実現することができる。
【0025】
また、空調装置に付随する通気用のダクトを増やすことなく複数の空間を対象とする空調が実現できるため、中間部側階間空間に空調装置を収容する構成において、空調設備に必要な設置スペースを減縮することができる。
【0026】
手段7.前記中間部分には、前記下階天井パネル部として第1天井パネル及び第2天井パネルが横並びとなるようして設けられているとともに、前記第1天井パネルと対向するように配置された第1床パネル及び前記第2天井パネルと対向するように配置された第2床パネルが前記上階床パネル部として設けられており、
前記中間部分における内部空間として、前記第1天井パネル及び前記第1床パネルによって上下に仕切られた第1空間部と、前記第2天井パネル及び前記第2床パネルによって上下に仕切られた第2空間部とを有し、
前記中間部側階間空間は、前記第1天井パネル及び第1床パネルによって構成される第1階間空間と、前記第2天井パネル及び前記第2床パネルによって構成される第2階間空間とを有し、
前記第1階間空間が前記第2階間空間よりも上側に位置することで、前記第1天井パネルと前記第2天井パネルとの境界部分に上側段差部が生じるとともに、前記第1床パネルと前記第2床パネルとの境界部分に下側段差部が生じており、
前記空調装置は、
前記第1階間空間に配置され、前記第1天井パネル及び前記第1床パネルに形成された各パネル側第1吹出口の少なくとも一方を通じて前記第1空間部に空調空気を供給する状態と、前記上側段差部に形成された段差側第1吹出口を通じて前記第2空間部に空調空気を供給する状態とに切替可能な第1空調装置と、
前記第2天井パネル及び前記第2床パネルに形成された各パネル側第2吹出口の少なくとも一方を通じて前記第2空間部に空調空気を供給する状態と、前記下側段差部に形成された段差側第2吹出口を通じて前記第2空間部に空調空気を供給する状態とに切替可能な第2空調装置と
を有し、
前記第1空間部及び前記第2空間部のうち前記第1空調装置による空調空気の吹出対象となっているものと、それら両空間部のうち前記第2空調装置による空調空気の吹出対象となっているものとが同一となるようにそれら第1空調装置及び第2空調装置を制御する空調制御手段を備えていることを特徴とする手段1乃至手段6のいずれか1つに記載のユニット式建物の空調設置構造。
【0027】
中間部分においては、床パネルや天井パネルに対する建物ユニットの柱や大梁等による影響が生じにくい。このため、本手段に示すように、第1階間空間と第2階間空間との上下位置を容易にずらすことができる。本手段においては特に、各空調装置からの空調空気を1の空間部に集中させて冷房や暖房の効率を高めることが可能となる。これにより、空調開始時には第1空間部又は第2空間部の温度を予め設定された設定温度等に比較的短時間で近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】建物の概要を示す斜視図。
【図2】建物ユニットの構成を示す斜視図。
【図3】建物本体の躯体をユニット妻面側から見た正面図。
【図4】躯体の平面構成を示す平面図。
【図5】建物本体の主たる構成要素を分解して示す斜視図。
【図6】空調装置の設置構造を示す概略図。
【図7】図6の部分拡大図。
【図8】空調の様子を示す概略図。
【図9】第2の実施の形態における空調の設置構造及び空調の様子を示す概略図。
【図10】図9のB部分を拡大して示す概略図。
【図11】第3の実施の形態における給気ダクトの設置構造を示す外略図。
【図12】第4の実施の形態における空調設備の設置構造を示す外略図。
【図13】第5の実施の形態における空調設備の設置構造を示す外略図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
<第1の実施の形態>
以下に、本発明を具体化した第1の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。最初に、図1を参照して本実施の形態における建物10の概要について説明する。図1は、第1の実施形態における建物を示す概略図である。
【0030】
建物10は、複数の建物ユニットからなる2階建てユニット式建物として構築されており、特にユニット離隔配置工法を用いたものとなっている。建物10は、基礎11上に固定された建物本体12と、建物本体12の上方に設置された屋根13とを備えている。建物本体12は、建物一側面(例えば正面)から見て左右に離し置きされた2つの建物ユニット群からなるユニット構造部XL,XRと、それらユニット構造部XL,XRの間の中間スペースに設けられた中間構造部XMとを有してなり、それらユニット構造部XL〜XMには居室や廊下等の建物内空間が設けられている。
【0031】
具体的には、ユニット構造部XLには1階居室CL1及び2階居室CL2が設けられ、構造部XRには1階居室CR1及び2階居室CR2が設けられ、中間構造部XMには1階居室CL1,CR1を繋ぐ1階廊下H1及び2階居室CL2,CR2を繋ぐ2階廊下H2が設けられている。なお、居室や廊下のレイアウトについては任意であり、例えば中間構造部XMに居室を設けてもよいし、ユニット構造部XL,XRに廊下を設けてもよい。
【0032】
本実施形態では、各ユニット構造部XL,XRの建物ユニット群がそれぞれ4体ずつの建物ユニット20で構築されている。また、中間構造部XMには建物ユニット20が設置されておらず、中間構造部XMは、ユニット構造部XL,XRの建物ユニット20を利用して、具体的には中間構造部XMを挟んで対向する建物ユニット20に各種建材を架け渡して構築されている。図示の構成では、建物ユニット20がその短手方向(妻方向)に1ユニット分離間して離し置きされており、これにより、中間構造部XMが建物ユニット20の短辺側(妻面側)の幅とほぼ同じ幅で形成されている。
【0033】
建物10では、計8体の建物ユニット20を用いて建物本体12が構築されているが、実質的には12体の建物ユニット20により構築された場合と同等の大きさの建物内空間が確保されるものとなっている。つまり、一般的なユニット式建物の場合、各建物ユニットが隣接し合う状態で互いに結合され、居室や廊下等の建物内空間は概ね全て建物ユニット内に設けられるが、本実施形態の建物10では、建物ユニットそのものにより形成される建物内空間以外に、複数の建物ユニットで挟まれる部分にも建物内空間(上記廊下H1,H2)が形成されている。なお、ユニット構造部XL,XRのユニット個数は任意である。
【0034】
屋根13は寄せ棟式の屋根であり、各構造部XL〜XRに跨り、かつ建物本体12の全体を覆うようにして設置されている。ただし、屋根13は切り妻式の屋根や平屋根であってもよい。
【0035】
ここで、図2に基づき建物ユニット20の構成について説明する。図2は、建物ユニット20の斜視図である。なお、図2においては、天井パネル及び床パネルの一部を破断した状態で示しているとともに、建物ユニット20に付随する壁を省略している。
【0036】
建物ユニット20は、その四隅に配設される4本の柱21と、各柱21の上端部及び下端部をそれぞれ連結する各4本の天井大梁22及び床大梁23とを備える。そして、それら柱21、天井大梁22及び床大梁23により直方体状の骨格(フレーム)が形成されている。柱21は四角筒状の角形鋼よりなる。また、天井大梁22及び床大梁23は断面コ字状の溝形鋼よりなり、その開口部が向き合うようにして、すなわち溝部をユニット内側に向けるようにして設置されている。
【0037】
より詳しくは、柱21は、柱本体21aと、その上下に連結された天井仕口21b及び床仕口21cとからなり、天井仕口21bの二方の仕口面に天井大梁22がそれぞれ連結され、床仕口21cの二方の仕口面に床大梁23がそれぞれ連結されている。柱本体21aと各仕口21b,21cとは、同じ断面構造を有する角形鋼が溶接により連結されて構成されている。
【0038】
建物ユニット20の長辺部(桁部)の相対する天井大梁22の間には、所定間隔で複数の天井小梁25が架け渡されて固定されている。同じく建物ユニット20の長辺部(桁部)の相対する床大梁23の間には、所定間隔で複数の床小梁26が架け渡されて固定されている。天井小梁25及び床小梁26は、それぞれ同一の間隔でかつ短辺側(妻側)の天井大梁22及び床大梁23に水平に設けられている。例えば、天井小梁25はリップ溝形鋼よりなり、床小梁26は角形鋼よりなる。天井小梁25によって天井パネル27が支持され、床小梁26によって床パネル28が支持されている。
【0039】
次に、中間構造部XM及びそれに関わる構成について説明する。図3は建物本体12の躯体をユニット妻面側から見た正面図、図4は躯体の平面構成を示す平面図、図5は建物本体12の主たる構成要素を分解して示す斜視図である。なお、図4においては(a)に1階天井面の構成、(b)に1階/2階床面の構成が示されている。
【0040】
図3に示すように、ユニット構造部XL,XRでは、上下二段に建物ユニット20が積層配置されており、下階側の建物ユニット20の天井仕口21bの上方に上階側の建物ユニット20の床仕口21cが載置されるとともに、それら天井仕口21bと床仕口21cとが連結されることで、上下二段の建物ユニット20同士の連結がなされている。なお、以下の説明では便宜上、1階部分の建物ユニット20を「下階ユニット20B」、2階部分の建物ユニット20を「上階ユニット20T」とも称する。
【0041】
ここで、上下方向に並ぶ建物ユニット20同士、及び水平方向に並ぶ建物ユニット20同士は、各建物ユニット20の仕口21b,21cにドッキングプレート29が設置されることで連結されるようになっている。この場合、下階ユニット20B及び上階ユニット20Tの境界部(1階及び2階の階間部分)では、1つのドッキングプレート29により建物ユニット20の上下連結がなされることに加え、水平連結がなされている。また、上階ユニット20Tの上面部では、1つのドッキングプレート29により建物ユニット20の水平連結がなされている。こうした建物ユニット20同士の連結手法は既存のユニット工法として知られている。
【0042】
また、中間構造部XMは、一対のユニット構造部XL,XRに挟まれて構築されており、中間構造部XMには、中間天井梁ユニット31と、床部を構築するための床フレームユニット32とが設けられている。
【0043】
図3,図4(a)に示すように、中間天井梁ユニット31は、中間構造部XMを挟んで対向する2つの建物ユニット20の間に架け渡して設けられており、1階天井部と2階天井部とには同様の構成の中間天井梁ユニット31が設けられている。中間天井梁ユニット31は、離し置きされた両建物ユニット20の天井仕口21bにそれぞれ連結された、支持部材としての片持ち状(キャンチ構造)の支持梁33と、一対の支持梁33の間に設けられる中間天井梁34とを有して構成されている。これら中間天井梁ユニット31によってユニット構造部XL,XRの下階ユニット20B同士が連結され、上階ユニット20T同士が連結されている。
【0044】
図3,図4(b)に示すように、矩形フレーム状に形成された床フレームユニット32を設置することで1階床部及び2階床部が構成されている。ここで、1階床部分では、基礎11の天端上に載置されることで床フレームユニット32が設置されている。1階床部分の床フレームユニット32は、基礎11からその上方に延びるアンカーボルト(図示略)を利用して固定される構成となっている。これは、基礎11に対する建物ユニット20の固定方法と同様である。なお、2階床部分では、床フレームユニット32の固定方法が1階床部分とは異なっている。2階床部分での固定にかかる具体的な構成については後述する。
【0045】
ここで、図5を参照して床フレームユニット32について説明する。図5は建物本体12の主たる構成要素を分解して示す斜視図である。
【0046】
床フレームユニット32は、基本的に建物ユニット20の床部分と同様の構成を有するものであり、四隅に配設される4本の柱レス仕口36と、各柱レス仕口36をそれぞれ連結する4本の床フレーム大梁37とを備える。そして、それら柱レス仕口36と床フレーム大梁37により矩形状のフレーム本体が形成され、その長辺部(桁部)の相対する床フレーム大梁37の間に所定間隔で複数の床小梁38が架け渡されて固定されている。床フレーム大梁37及び床小梁38は建物ユニット20のそれと同じ構成を有する。すなわち、床フレーム大梁37は床大梁23と同じ溝形鋼よりなり、その開口部が向き合うようにして設置されている。床小梁38は床小梁26と同じ角形鋼よりなり、その床小梁26と同じピッチで設置されている。そして、床小梁38によって床パネル(図示略)が支持されるようになっている。
【0047】
床フレームユニット32の構成を建物ユニット20の床部の構成と対比すると、その違いは、床仕口21cの代わりに柱レス仕口36が設けられる点である。柱レス仕口36は、2つの床フレーム大梁37を接合するための2つの仕口板部36aと、その底部に設けられた底板部36bとを有する。2つの仕口板部36aは端部同士が直角に接合され、その頂部をユニット内側に向けて配置されている。底板部36bは、床仕口21cの柱脚プレート部に相当する部材である。
【0048】
床フレームユニット32は、基本的には建物ユニット20の床部構成と同じ構成を有しているため、床小梁材や床パネルなど、床構成部の各種建材を共通化でき、部品製造の観点、施工作業性の観点からして好都合な構成となっている。
【0049】
図3に示すように、ユニット構造部XL,XRと中間構造部XMとでは、建物ユニット20の床大梁23の高さ位置と、床フレーム大梁37の高さ位置とが同じであり、床面の高さ位置が同一となっている。また、中間構造部XMでは、1階部分及び2階部分の両方において柱レス構造となっており、その分、屋内空間の拡張が可能となっている。すなわち、例えば図4のX部は、通常のユニット工法では4本の柱が集結する部位であるが、本建物10では、2本の柱のみが集結する構成となっている。
【0050】
本実施の形態においては、図6の建物10の概略図に示すように中間構造部XMにおける1階天井部分と2階床部分との間に所定の空隙(以下、階間空間MSと称する)が形成されており、この階間空間MSに空調設備の一部(詳しくは後述する空調装置)が配置されていることを特徴の1つとしている。以下、図6及び図7を参照して空調設備及びその設置にかかる構成について説明する。図7は、図6(b)のY部分を拡大して示す概略図である。
【0051】
図7に示すように、下階ユニット20Bの天井大梁22と上階ユニット20Tの床大梁23とには、これら両大梁22,23に跨るようにして配設された金属製の連結ブラケット41が取り付けられている。各大梁22,23が連結ブラケット41に対してそれぞれ固定されることで、下階ユニット20B及び上階ユニット20Tが連結されている。
【0052】
各大梁22,23については、水平方向に延びる長尺状のベース部22a,23aと、ベース部22a,23aの上端部及び下端部に形成された一対のフランジ部22b,23bとによって構成され、全体として溝状をなしている。既に説明したように、各大梁22,23はその開放部分がユニットの内側を向くようにして配置されている。
【0053】
連結ブラケット41は、大梁22,23の並設方向(上下方向)と同じ方向に延びており、それら各大梁22,23と同様に溝状をなしている。より詳しくは、連結ブラケット41は、上下方向に延びる長板状のベース部41aと、ベース部41aの両側部に形成された一対のフランジ部41bとによって構成され、その開放部分が各構造部XL〜XRの並設方向に対して直交する方向を向くようにして配設されている。
【0054】
連結ブラケット41の両フランジ部41bのうち一方が、大梁22,23のベース部22a,23aに対して面当たりしており、大梁22,23のベース部22a,23aと連結ブラケット41のフランジ部41bとがボルトを用いて共締めされている。
【0055】
連結ブラケット41の上部において両フランジ部41bのうち他方には、中間構造部XMを構成する床フレームユニット32が固定されている。床フレームユニット32の床フレーム大梁37については、建物ユニット20の各大梁22,23と同様に、連結ブラケット41のフランジ部41bに対して当接するベース部37aとベース部37aの両端部に設けられたフランジ部37bとを有してなり、全体として溝状をなすように形成されている。連結ブラケット41のフランジ部41bは、床フレーム大梁37のベース部37aに対してボルトを用いて固定されている。これにより、連結ブラケット41を介してユニット構造部XL,XRと中間構造部XM(詳しくは床フレームユニット32)とが一体化されている。
【0056】
なお、連結ブラケット41におけるフランジ部41bの起立量、すなわち連結ブラケット41の全幅については、大梁22,23の全長よりも十分に小さく設定されており、このような大きさの差を補うため、連結ブラケット41は、大梁22,23に沿って所定の間隔で複数配設されている。
【0057】
連結ブラケット41は、下階ユニット20Bの天井大梁22よりも下方へ突出しており、その突出している部分(詳しくは床フレームユニット32の固定対象となっているフランジ部41b)には、金属製のランナ42が設けられている。ランナ42は天井大梁22に沿って延びる溝状をなすように形成されている。ランナ42は、その開放部分が中間構造部XMの内側を向くよう配置されており、そのベース部42aが連結ブラケット41のフランジ部41bに当接した状態でボルトを用いて共締めされることで連結ブラケット41に対して固定されている。
【0058】
ランナ42は、天井パネル45の固定下地材としてのスタッド43が取り付けられている。スタッド43は、ランナ42と交差する方向、詳しくは、ユニット構造部XL,XRの並設方向に延びており、その両端部がランナ42の内部に入りこんだ状態でそれら各ランナ42に対して固定されている。スタッド43には、天井パネル45が下側から当接した状態で固定されている。
【0059】
スタッド43の高さ位置は、ユニット構造部XL,XRの天井小梁25よりも低い位置に配置されており、スタッド43に固定された天井パネル45についても天井小梁25に固定された天井パネル27よりも低い位置に存在している。一方、ユニット構造部XL,XRにおける2階部分の床パネル28及び中間構造部XMにおける2階部分の床パネル46については、高さ位置が同じとなっている。これにより、ユニット構造部XL,XRにおける階間空間LS,RSの縦幅よりも、中間構造部XMにおける階間空間MSの縦幅のほうが大きくなっている。
【0060】
天井位置を下げることで拡張された階間空間MSには、上述の如く空調設備の一部が収容されている。空調設備は、エアコン等の空調装置80、建物10の屋外に配置された室外機81、空調装置80及び室外機81を繋ぐ配管82、空調装置80に空調用の空気を取り込む取込ダクト83、空調空気を居室CL1,CR1等へ供給する供給ダクト84、屋外へ空気を排出する排気ダクト(図示略)、更にはそれら空調装置80等を制御する空調制御装置を備えており、これら各種構成のうち少なくとも空調装置80及びダクト83,84が階間空間MS内に収容されている。
【0061】
空調装置80は、少なくとも冷房や暖房等の各機能を有する室内機である。建物10は高気密・高断熱住宅となるように構成されており空調負担が比較的小さくなっていることから、本実施の形態では階間空間MSに設けられた1の空調装置80によって建物10における1階部分全体の空調を賄うことが可能となっている。つまり、空調装置80には、ユニット構造部XL,XRの居室CL1,CR1等及び中間構造部XMのは廊下H1を対象として空調空気を供給する機能が付与されている。
【0062】
ここで、図7を参照して、空調空気の供給にかかる構成、具体的には供給ダクト84の配設にかかる構成について説明する。なお、図7においては、居室CL1と廊下H1との境目となる部分を示しているが、居室CR1と廊下H1との境目となる部分についても同様の構成となっている。
【0063】
居室CL1,CR1と廊下H1との間には、それら居室CL1,CR1及び廊下H1を仕切る仕切壁51が設けられている。仕切壁51は、廊下H1側に位置する廊下側壁部52と、居室CL1,CR1側に位置する居室側壁部53とによって2重となるように構成されている。これら廊下側壁部52及び居室側壁部53はドッキングラインDLVを挟んで対向しており、それら両壁部52,53の間には所定の隙間が確保されている。なお、当該隙間には、遮蔽部材等の各種構成が配設されているが、同構成については図示を省略する。
【0064】
廊下側壁部52は、柱21及び大梁22,23よりも廊下H1側となる位置に配置されており、下端部が床パネル46に、上端部が天井パネル45に対してそれぞれ当接している。
【0065】
既に説明したように、天井パネル45は天井大梁22よりも下側に天井大梁22から離間して配置されている。これにより、大梁群(大梁22,23の配設領域)の下方、より詳しくは天井パネル45と大梁群(詳しくは下階ユニット20Bの天井大梁22)との間に、階間空間MSの主要部分(空調装置80を収容している部分)に連なる空間部が形成されている。この空間部が、供給ダクト84の配設経路を確保するための、ダクト配置用空間部P1となっている。なお、ダクト配置用空間部P1は、ランナ42と大梁群との間に拡がっており、同部分にも供給ダクト配置用の隙間が確保されている。
【0066】
ダクト配置用空間部P1は階間空間MSの主要部分と連なっており、空調装置80から延びる供給ダクト84は、ドッキングラインDLVを越えて中間構造部XM側からユニット構造部XL,XR側へ達している。
【0067】
居室側壁部53は、柱21及び大梁22,23よりも建物ユニット20の内側(廊下側壁部52とは柱21等を挟んで反対側)に配置されており、その上端部が天井パネル27に対して当接し、その下端部が床パネル28に対して当接している。
【0068】
居室側壁部53において天井パネル27と当接している部分を含む上部についてはダクト配置用空間部P1と横並びとなる位置に達しており、当該上部には階間空間MSと居室CL1,CR1とを連通する給気用開口部56が形成されている。給気用開口部56には供給ダクト84が接続されており、空調装置80からの空調空気は、供給ダクト84→給気用開口部56を通じて居室CL1,CR1へ給気として供給されることとなる。
【0069】
再び図6を参照して説明すれば、仕切壁51(居室側壁部53及び廊下側壁部52)の下部には、通気ガラリ57が設けられている。通気ガラリ57は、居室CL1,CR1と廊下H1とに連通しており、この通気ガラリ57を通じて居室CL1,CR1と廊下H1との間での空気の移動が許容されいている。
【0070】
廊下H1における天井パネル45には、階間空間MSと廊下H1とを連通する還気用開口部58が形成されている。還気用開口部58には、空調装置80から延びる取込ダクト83が接続されおており、廊下H1の空気は、還気用開口部58→取込ダクト83を通じて還気として空調装置80に取り込まれることとなる。
【0071】
既に説明したように、ユニット構造部XL,XRの階間空間LS,RSと中間構造部XMの階間空間MSとについては横並びとなる位置に存在しているものの、建物ユニット20を構成する天井大梁22と床大梁23とによって遮られている。天井大梁22及び床大梁23のベース部22a,23aには、図1に示すように、貫通孔22c,23cが形成されており、配線等の比較的径の小さいものの通過は許容されている。しかしながら、供給ダクト84の径は貫通孔22c,23cよりも大きく(詳しくはベース部22a,23aの縦幅よりも大きく)、貫通孔22c,23cの径はベース部22a,23aの大きさに依存する。このため、貫通孔22c,23cを大きくするにも限度があり、貫通孔22c,23cに供給ダクト84を挿通させることは実質的に不可能となっている。
【0072】
例えば供給ダクト84を部分的に圧縮することで貫通孔22c,23cを通すことは可能であるが、このような部分的な圧縮は空調効率の低下の要因となり得るため好ましくなく。貫通孔22c,23cの径を担保すべく大梁22,23を大型化すれば重量増を招くばかりか、部分的に生じる大幅な強度低下に起因して梁本来の機能が損なわれることとなる。この点、本実施の形態に示すように、空調装置の設置スペースの確保により天井位置を下げ、その天井位置の違いを利用して供給ダクト84の配設経路を確保することで、上記不都合の発生を好適に抑制することが可能となっている。
【0073】
次に、図8を参照して、本実施の形態に示す建物10の空調態様について例示する。図8は建物10の空調態様を示す概略図である。
【0074】
空調装置80にて生成された空調空気は、給気用開口部56を通じて居室CL1,CR1へと供給される。この際、空調空気は、天井パネル27に沿うようにして略水平に流れることで、ユーザに対して直接当たることが回避される。
【0075】
空調装置80によって廊下H1の空気が還気として取り込まれることで、居室CL1,CR1内の空気は、通気ガラリ57を通じて廊下H1へと流入する。このように、居室CL1を経由して空調空気が廊下H1側に流れ込む構成とすることで、廊下H1における空調が可能となっている。これにより、居室CL1,CR1と廊下H1との温度差が大きくなることを抑えている。廊下H1へと流入した空気は、天井パネル45側に吸い上げられ、還気用開口部58を通じて空調装置80へと取り込まれることとなる。これにより、建物10内での空調空気の循環が実現される。このようにして空調空気を循環させることで、ユーザによって設定される設定温度と還気の温度との差を小さくすることができ、空調効率の向上が期待できる。
【0076】
なお、図8においては、居室CL1及び廊下H1での空調と、居室CR2及び廊下H1での空調との両方を同時に実行する場合について例示しているが、これに限定されるものではない。例えば、それら両空調パターンのうち一方のみを実行する構成とすることも可能である。具体的には、空調対象として選択されていない居室に対する給気を規制するとともに、通気ガラリ57を閉状態に切り替えることで、空調効率の低下を抑えつつ、空調対象を限定することができる。
【0077】
以上、詳述した第1の実施形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
【0078】
中間構造部XMにおける天井パネル45の高さ位置は、ランナ42の高さ位置に依存している。ランナ42の位置は連結ブラケット41の全長を変更することで変更することができ、これによって天井パネル45の位置についても任意に変更することができる。
【0079】
中間構造部XMにおいては建物ユニット20が省略されており、階間空間MSを大きくした影響が建物10全体に与える影響は小さい。つまり、例えば中間構造部XMにおいても建物ユニットが配設される構成を想定した場合には、上述の如く階間空間を大きくすることで当該中間構造部XMに設けられた建物ユニットが上方にずれることとなる。このため、中間構造部XMにおける建物ユニットの高さ位置が両隣の建物ユニットの高さ位置と異なることとなる。これは、建物ユニット同士の連結構造や、屋根構造等の複雑化を招く要因となり、ユニット式建物の特徴を希薄化させる要因となり得る。この点、本実施の形態に示すように、離し置きによって建物ユニット20が省略された空間に設けられる階間空間MSを空調装置80の収容空間とすることで、そのような不都合の発生を回避することができる。
【0080】
空調装置80によって生成された空調空気を居室(ユニット内空間)CL1,CL2に供給しようとした場合には、上階ユニット20Tと下階ユニット20Bとの境目(階間空間MS)に位置する各大梁22,23が、供給ダクト84の取り回しを妨げる要因になる。この点、本実施の形態においては、空調装置80を設置するために拡張した階間空間MSが大梁群の下方に同大梁群の下方に設けられたダクト配置用空間部P1と連なっている。この空間部P1に供給ダクト84を挿通することで、上記大梁群をかわして供給ダクトを設置することができる。空調装置の設置を目的として拡張された階間空間MSを利用して大梁群の迂回路を作り出すことにより、階間空間MSを好適に利用することができる。このように、空調装置80の設置に適した空調装置80から階間空間の拡張が困難な建物ユニット20側へ空調空気を供給可能とすることにより、実用上好ましい構成が実現されている。
【0081】
また、本実施の形態においては、ユニット構造部XL,XR側の天井パネル27と、中間構造部XM側の天井パネル45との高さ位置に差を設け、供給ダクト84の配設経路を確保する構成とし、ユニット構造部XL,XR側の床パネル28及び中間構造部XM側の床パネル46の高さ位置を揃える構成としている。このようにして、床面に段差が生じるをことを回避することで、空調機能の担保に起因した、生活環境の悪化を回避している。
【0082】
<第2の実施の形態>
上記第1の実施の形態においては、建物10の下階及び上階のうち一方(詳しくは下階)のみを空調設備による空調の対象としたが、本実施の形態においては建物10の下階及び上階の両方を空調の対象としている。以下、図9及び図10を参照して第1の実施の形態との相違点を中心に、本実施の形態における空調装置80の設置構造及び空調態様について説明する。図9は第2の実施の形態における空調装置80の設置構造及び空調の様子を示す概略図、図10は図9のB部分を拡大して示す概略図である。なお、図9においては、建物10の詳細な構成の図示を省略するとともに、各天井パネル及び床パネルにドットハッチングを付与している。
【0083】
上記第1の実施の形態においては、2階の床の位置をユニット構造部XL,XRと中間構造部XMとが同一平面上に位置するようにして揃えるとともに、1階の天井の位置をユニット構造部XL,XRと、中間構造部XMとでずらす構成としたが、本実施の形態においては、図9に示すように、中間構造部XMの1階天井パネル45の位置がユニット構造部XL,XRにおける1階天井パネル27の位置よりも下側に位置するとともに中間構造部XMの2階床パネル46の位置がユニット構造部XL,XRにおける2階床パネル46の位置よりも上側に位置している。2階床パネル46を上方にオフセットするための具体的な構成について説明する。なお、廊下H1における天井位置を下方にオフセットする構成(すなわちダクト配置用空間部P1及び供給ダクト84)については上記第1の実施の形態と同様であるため説明を省略する。
【0084】
図10に示すように、ユニット構造部XLにおける下階ユニット20Bの天井大梁22と上階ユニット20Tの床大梁23とを連結する連結ブラケット41Yは、大梁群(詳しくは床大梁23)よりも上方に延出している。連結ブラケット41Yの上端部は、上階ユニット20Tの床パネル46よりも上方に位置しており、その上端部に床フレームユニット32の床フレーム大梁37が固定されている。
【0085】
床フレーム大梁37が上方にオフセットすることで、床フレーム大梁37に固定されている床パネル46も上方にオフセットされている。これにより、上記大梁群(詳しくは床大梁23)の上方には、2階用供給ダクト86を設置するダクト配置用空間部P2が形成されている。また、床フレーム大梁37と床大梁23との間には、2階用供給ダクト86の通過を許容する隙間が確保されている。
【0086】
2階部分を構成する居室側壁部53において、ダクト配置用空間部P2と対峙している部分には、階間空間MSと居室CL2,CR2とに連通する給気用開口部66が形成されている。上記2階用供給ダクト86の出口部分は、この給気用開口部66に対して接続されている。これにより、空調装置80からの空調空気は、2階用供給ダクト86を通じて、居室CL2,CR2へ供給される構成となっている。
【0087】
なお、図8に示すように、仕切壁51には、居室CL2,CR2と廊下H2との通気を許容する通気ガラリ67が設けられている。また、2階床パネル46には、階間空間MSと廊下H1とに連通する還気用開口部68が形成され、この還気用開口部68に対して取込ダクト85が接続されている。これら通気ガラリ67及び還気用開口部68については、上記通気ガラリ57及び還気用開口部58と同様の構成であるため詳細な説明は省略する。
【0088】
再び図9を参照して、建物10における空調態様について説明する。なお、建物10の1階部分における空調態様については上記第1の実施の形態と同様であるため、第1の実施の形態における説明を援用し、建物10の2階部分での空調態様について説明する。
【0089】
空調装置80にて生成された空調空気(給気)は、供給ダクト84を通って給気用開口部66から居室CL2,CR2内へと供給される。この際、給気は横方向に向けて吹き出されることとなる。居室CL2,CR2に供給された給気は、居室CL2,CR2の床パネル46に沿って移動した後、通気ガラリ67を通じて廊下H2へ流入する。そして、床パネル46に形成された還気用開口部68を通じて、空調装置80に還気として取り込まれることとなる。
【0090】
このように、空調空気を循環させる構成とすることで、居室CL2,CR2及び廊下H2を空調対象とすることが可能となっている。
【0091】
なお、建物10の1階部分の空調と及び2階部分の空調については、個別にオン/オフの切替えが可能となっている。ユーザの操作に基づいて、空調対象が1階部分、2階部分、建物全体で選択される。
【0092】
中間構造部XMの階間空間MSに配設された空調装置80によって建物10の全館空調を実現しようとした場合には、ダクトの配設経路の確保が必須となる。ここで、ユニット式建物においては、各建物ユニット20の柱21や梁22,23がダクトの配設を困難とする要因となり、上述したような全館空調を実現することが困難になり得る。この点、階間空間MSを梁群の上方及び下方に設けられたダクト配置用空間部P1,P2と連なる構成とすることで、ダクトの配設経路を好適に確保することが可能となっている。これにより、全館空調の実現に貢献している。
【0093】
<第3の実施の形態>
上記第1の実施の形態では仕切壁51の居室側壁部53に形成された給気用開口部56を通じて居室CL1,CR1への給気を行う構成としたが、本実施の形態においては給気の態様が異なっている。以下、図11を参照して、建物10Bに設けられた給気にかかる構成について、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。図11は供給ダクトと大梁22,23との関係を示す概略図である。なお、図11においては、ユニット構造部XL及び中間構造部XMを拡大して示しているが、ユニット構造部XR及び中間構造部XMの関係についても同様である。
【0094】
ユニット構造部XL,XRの天井パネル27Bにおいて天井大梁22に隣接する端部には、下方に凸となるようにして段差部27aBが形成されている。これにより、天井パネル27Bにおいて中間構造部XM寄りとなる部分が、他の部分よりも低位となっている。
【0095】
天井パネル27Yにおいて低位となる部分は、中間構造部XMの天井パネル45と同じ高さとなるように形成されており、段差部27aB(すなわち天井パネル27Bにおいて低位部分と高位部分とを繋いでいる部分)については、天井大梁22に対して隙間を隔てて対峙している。より詳しくは、段差部27aBと天井大梁22との間には、階間空間MSのダクト配置用空間部P1に対して連通するダクト配置用空間部P2が形成されている。
【0096】
供給ダクト84はダクト配置用空間部P1,P2を通るようにして配置されることで、大梁群を迂回して、階間空間MSと階間空間LS,RSとに跨っている。天井パネル27Bの高位部分には、居室CL1,CR1と階間空間LS,RSとに連通する給気用開口部27bBが形成されており、この給気用開口部27bBに対して下階側供給ダクト84Bが繋がっている。本実施の形態においては、仕切壁51から給気が行われるのではなく、天井パネル27Bの給気用開口部27bBから給気が行われることとなる。
【0097】
また、ユニット構造部XL,XRの2階部分を構成する床パネル28Bにも、居室CL2,CR2と階間空間LS,RSとを連通する給気用開口部28bBが形成されており、この給気用開口部28bBに対して供給ダクト86Bが繋がっている。空調装置80にて生成された空調空気は、供給ダクト86Bを通じて、居室CL2,CR2に供給されることとなる。
【0098】
なお、図示は省略するが、本実施の形態においては上記第2の実施の形態と同様に、2階部分を構成する仕切壁51には、居室CL2,CR2と廊下H2との通気を許容する通気ガラリ67が設けられている。また、2階床パネル46には、階間空間MSと廊下H1とに連通する還気用開口部68が形成され、この還気用開口部68に対して取込ダクト85が接続されている。
【0099】
これら各種構成を採用することで、第3の実施の形態においては、第2の実施の形態と同様に、建物10Bの全館空調、1階部分及び2階部分の個別空調が可能となっている。
【0100】
本実施の形態においては、中間構造部XMにおける階間空間MSの縦幅が過度に大きくなることを回避しつつ、供給ダクト84B,86Bの配設経路を確保することが可能となっている。空調装置80の収容領域の確保以外に、階間空間MSを広げる要因が生じることを回避できるため、限られた建物内の空間を有効に利用する上で無駄なデッドスペースの増加の抑制に貢献できる。
【0101】
<第4の実施の形態>
上記第1の実施の形態の建物10においては中間構造部XMに正面側の建物ユニット20及び奥側の建物ユニット20に跨る一連の廊下H1,H2を設けたが、本実施の形態の建物10Cにおいては、これら廊下H1,H2が居室CM1,CM2となっており、それら各居室CM1,CM2は中央に設けられた仕切壁101によってそれぞれ建物10Cの正面側と奥側とに仕切られており、これに併せて空調設備及び空調態様にも変更が加えられている。以下、図12を参照して、本実施の形態における空調設備の設置構造等について説明する。図12(a)は建物10Cを正面側から見た概略図、図12(b)は建物10Cを側方から見た概略図である。なお、以下の説明においては、居室CM1,CM2のうち建物10Cの正面側に位置するものを第1居室CMF1,CMF2、奥側に位置するものを第2居室CMR1,CMR2として区別する。
【0102】
図12(b)に示すように、中間構造部XMにおける1階天井パネル45及び2階床パネル46は、上記仕切壁101を挟んで分断されており、一方が他方よりも上位に位置するようにして配置されている。つまり、第1居室CMF1と第2居室CMR1とでは天井の位置が相違しており、第1居室CMF2と第2居室CMR2とでは床の位置が相違している。以下便宜上、第1居室CMF1の天井パネルを第1天井パネル45F、第2居室CMR1の天井パネルを第2天井パネル45R、第1居室CMF2の床パネルを第1床パネル46F、第2居室CMR2の床パネルを第2床パネル46Rと称する。
【0103】
第1天井パネル45Fは第2天井パネル45R及び第2床パネル46Rの間となる高さに位置しており、第2床パネル46Rは第1天井パネル45F及び第1床パネル46Fの間となる高さに位置している。これにより、第1天井パネル45F及び第1床パネル46Fによって形成された第1階間空間MS1と、第2天井パネル45R及び第2床パネル46Rによって形成された第2階間空間MS2とが横並びとなるように設けられ、第1階間空間MS1のほうが第2階間空間MS2よりも若干上位に位置する構成となっている。
【0104】
本実施の形態においては、これら各階間空間MS1,MS2に空調装置がそれぞれ配置されている。第1階間空間MS1に配設された第1空調装置110及び第2階間空間MS2に配設された第2空調装置120については、1の空調制御装置130に対して電気的に接続されている。それら各空調装置110,120は空調制御装置130によりユーザの操作等に応じて統括的に制御される構成となっている。
【0105】
先ず、第1空調装置110にかかる構成について説明する。第1天井パネル45Fには、居室CMF1と第1階間空間MS1とを連通する給気用開口部103が形成されており、この給気用開口部103には、空調装置110から延びる供給ダクト111が接続されている。また、第1床パネル46Fは、居室CMF2と第1階間空間MS1とを連通する給気用開口部104が形成されており、この給気用開口部104には、空調装置110から延びる供給ダクト112が接続されている。つまり、空調装置110については、居室CL1,CL2に延びる供給ダクト以外にも、居室CMF1,CMF2に延びる供給ダクト111,112が設けられており、これら各居室を個別に空調の対象とすることが可能となっている。
【0106】
また、仕切壁101において、床パネル46F,46Rによって挟まれている部分には、第1階間空間MS1と居室CMR2とに連通する給気用開口部105が形成されている。給気用開口部105には、空調装置110から延びる供給ダクト113が接続されている。これにより、空調装置110は、居室CMR2についても空調対象としている。
【0107】
次に、第2空調装置120にかかる構成について説明する。天井パネル45Rには、居室CMR1と第2階間空間MS2とに連通する給気用開口部107が形成されており、この給気用開口部107には、空調装置120から延びる供給ダクト121が接続されている。また、床パネル46Rには、居室CMR2と第2階間空間MS2とに連通する給気用開口部108が形成されており、この給気用開口部108には、空調装置120から延びる供給ダクト122が接続されている。つまり、空調装置110については、居室CL1,CL2に延びる供給ダクト以外にも、居室CMR1,CMR2に延びる供給ダクト121,122が設けられており、これら各居室を個別に空調の対象とすることが可能となっている。
【0108】
また、仕切壁101において、天井パネル45F,45Rによって挟まれている部分には、第2階間空間MS2と居室CMF1とに連通する給気用開口部109が形成されている。給気用開口部109には、空調装置120から延びる供給ダクト123が接続されている。これにより、空調装置120は、居室CMF1についても空調対象としている。
【0109】
つまり、本実施の形態においては、居室CMF2,CMR1については、各空調装置110,120による個別の空調対象となるように設定されているのに対して、居室CMF1,CMR2については、両空調装置110,120による空調の対象となるように重複設定されている。
【0110】
また、空調制御装置には、各居室に個別に配設された温度センサ(図示略)が電気的に接続されており、同温度センサからの検知情報に基づいて、居室の温度を把握することが可能となっている。
【0111】
空調制御装置130については、ユーザにより指定された居室を対象として空調を行うように空調制御を実施する。かかる空調制御を行う際に、空調対象として、居室CMF1又は居室CMR2が選択された場合には、両方の空調装置110,120を動作することによって、急速な空調が可能となる。例えば、空調制御装置130では、ユーザによって設定された温度と空調対象となった居室CMF1の温度との差が所定の差よりも大きくなっている場合には、先ず第1空調装置110の運転を開始し、それに併せて補助的に第2空調装置120の運転を開始する処理を行う。これにより、居室CMF1には、2つの空調装置110,120からの空調空気が供給され、居室CMF1の温度を設定温度に対して効率よく近づけることができる。その後、居室CMF1の温度と上記設定温度との差が予め設定された値よりも小さくなった場合には、第1空調装置110の運転を継続しつつ第2空調装置120の運転を停止する。このように、運転初期は一時的に両空調装置110,120を併用することで、居室CMF1を急速に暖めたり冷やしたりすることが可能となる。
【0112】
<第5の実施の形態>
上記第1の実施の形態の建物10においては中間構造部XMに正面側の建物ユニット20及び奥側の建物ユニット20に跨る一連の廊下H1,H2を設けたが、本実施の形態の建物10Cにおいては、これら廊下H1,H2が居室CM1,CM2となっており、それら各居室CM1,CM2は中央に設けられた仕切壁151によってそれぞれ建物10Cの正面側と奥側とに仕切られている。具体的には、仕切壁151よりも建物10の正面側となる部分は、上下階が一体となった吹抜けCMFとなっており、仕切壁151よりも奥側に位置する部分は1階部分が第1居室CMR、2階部分が第2居室CMR2となっている。また、これら建物10D内のレイアウトの変更に伴って空調設備及び空調態様にも変更が加えられている。以下、図13を参照して、本実施の形態における空調設備の設置構造等について説明する。図13(a)は建物10Dを正面側から見た概略図、図13(b)は建物10Dを側方から見た概略図である。
【0113】
中間構造部XMの1階部分を構成する天井パネル45Rと2階部分を構成する床パネル46Rとの間に形成された階間空間MSには、空調装置160が配設されている。空調装置160には、第1居室CMR1に延びる供給ダクト161が設けられており、供給ダクト161の出口部分は、天井パネル45Rに形成された給気用開口部103に接続されている。これにより、空調装置160にて生成された空調空気が、供給ダクト161→給気用開口部103を通じて第1居室CMR1に給気として供給される構成となっている。
【0114】
また、空調装置160には、第2居室CMR2に延びる供給ダクト162が設けられており、供給ダクト162の出口部分は、床パネル46Rに形成された給気用開口部104に接続されている。これにより、空調装置160にて生成された空調空気が、供給ダクト162→給気用開口部104を通じて第2居室CMR2に給気として供給される構成となっている。
【0115】
つまり、本実施の形態における空調装置160については、上記居室CL1,CL2,CR1,CR2だけでなく居室CMR1,CMR2に対しても直接的に空調空気を供給することが可能となっている。
【0116】
また、天井パネル45Rには、還気用開口部155が形成されており、この還気用開口部155に対して空調装置160から延びる取込ダクト164が接続されている。これにより、第1居室CMR1の空気を環気として取り込むことが可能となっている。床パネル46Rについても同様に、還気用開口部156が形成されており、この還気用開口部156に対して空調装置160から延びる取込ダクト165が接続されている。これにより、第2居室CMR2の空気を還気として取り込むことが可能となっている。
【0117】
仕切壁151には、第1居室CMR1と吹抜けCMFとに連通する通気ガラリ157と、第2居室CMR2と吹抜けCMFとに連通する通気ガラリ158とが設けられている。これにより、吹抜けCMFと居室CMR1,CMR2との間での通気が許容されている。
【0118】
吹抜けCMFの天井部分には、ファン170が配設されており、ファン170が回転することで吹抜けCMF内に上下方向での空気の流れが生じる。
【0119】
以上詳述した空調装置160及びファン170については、空調制御装置180に対して電気的に接続されている。ここで、空調制御装置180による空調制御について説明する。
【0120】
ユーザによって第1居室CMR1が空調対象として選択されている場合には、空調制御装置180によって、空調空気を供給するためのダクトとして供給ダクト161が選択されるように、また供給ダクト161とは異なる居室に連通する取込ダクト164が選択されるように、空調装置160が制御される。これにより、第1居室CMR1に対して空調空気が供給され、第2居室CMR2から還気が取り込まれることとなる。
【0121】
これに併せて、吹抜けCMF内に上昇気流が発生するようにして、ファン170に駆動信号を出力する。これにより、通気ガラリ157を通じて第1居室CMR1から吹抜けCMFに流入した空調空気は上方へ誘導され、通気ガラリ158を通じた第2居室CMR2内への流入が促がされることとなる。
【0122】
一方、ユーザによって第2居室CMR2が空調対象として選択されている場合には、空調制御装置180によって、空調空気を供給するためのダクトとして供給ダクト162が選択されるように、また供給ダクト162とは異なる居室に連通する取込ダクト165が選択されるように、空調装置160が制御される。これにより、第1居室CMR1に対して空調空気が供給され、第1居室CMR1から還気が取り込まれることとなる。
【0123】
これに併せて、吹抜けCMF内に下降気流が発生するようにして、ファン170に駆動信号を出力する。これにより、通気ガラリ158を通じて第2居室CMR2から吹抜けCMFに流入した空調空気は下方へ誘導され、通気ガラリ157を通じた第1居室CMR1内への流入が促がされることとなる。
【0124】
これにより、中間構造部XMにおける各居室CMF,CMR1,CMR2の全てを対象とした空調が実現される。
【0125】
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。因みに、以下の別形態の構成を、上記実施の形態における構成に対して、個別に適用してもよく、相互に組み合わせて適用してもよい。
【0126】
(a)上記第1の実施の形態では、居室CL1,CR1を空調対象としたが、これを変更し、居室CL2,CR2を空調対象とすることも可能である。この場合、梁群(詳しくは上階ユニット20Tの床大梁23)の上方に供給ダクト用のダクト配置用空間部を形成するとともに、2階部分を構成する仕切壁51(詳しくは居室側壁部53)において当該ダクト配置用空間部に対峙する部分に給気用開口部を形成し、上記供給ダクトを当該給気用開口部に接続する構成とすることで、居室CL2,CR2に空調空気を供給することが可能となる。
【0127】
(b)上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、仕切壁51を2重構造としたが、これに限定されるものではない。少なくともダクト配置用空間部P1,P2に対向する部分が存在するのであれば、仕切壁51をどのような構造とするかは任意である。
【0128】
(c)上記各実施の形態では、中間構造部XMにおける1階天井パネル45をランナ42及びスタッド43を用いて連結ブラケット41に固定する構成としたが、1階天井パネル45の固定方法については、任意である。例えば、建物ユニット20の柱21等に、天井パネル45固定用のブラケットを介して固定する構成とすることも可能である。また、1階天井パネルを中間構造部XMの床フレームユニット32から吊り下げる構成とすることも可能である。
【0129】
(d)上記実施の形態では、空調装置80を階間空間MS内に収容する構成とし、同空調装置80については、床フレームユニット32の床小梁38に対して取り付けた。空調装置80の取付対象については、必ずしも床側に取り付ける必要はなく、天井側に取り付ける構成とすることも可能である。例えば、ランナ42や天井パネル45に対して空調装置80を載せた状態で固定する構成とするとよい。
【0130】
(e)上記第3の実施の形態では、ユニット構造部XL,XR側の天井パネル27に段差部を形成することで、ダクト配置用空間部P2を形成したが、これを変更し、中間構造部XM側の天井パネル45を居室側に延設するとともに同天井パネル45に段差部を形成することでダクト配置用空間部P2を形成することも可能である。
【0131】
(f)上記第3の実施の形態では、供給ダクト84B,86Bが梁群を下方から迂回する構成としたが、これに限定されるものではなく、供給ダクト84B,86Bが梁群を上方から迂回する構成としてもよい。
【0132】
(g)上記各実施の形態に示すドッキングラインDLVよりも仕切壁51を廊下側に配置した場合には、ユニット構造部XL,XRの天井パネル27と梁群との間にダクト配置用空間部P1を形成するとよい。
【0133】
(h)上記各実施の形態に示した空調設備の設置構造を、多層階(例えば3階〜n階)の建物に対して適用することも可能である。
【符号の説明】
【0134】
10…建物、12…建物本体、20…建物ユニット、21…柱、22…天井大梁、23…床大梁、25…天井小梁、26…床小梁、27…天井パネル、28…床パネル、31…中間天井梁ユニット、32…床フレームユニット、37…床フレーム大梁、41…連結ブラケット、42…ランナ、43…スタッド、45…天井パネル、46…床パネル、51…仕切壁、56…給気用開口部、80…空調装置、84…供給ダクト、LS,RS…階間空間、MS…階間空間、P1,P2…ダクト配置用空間部、XL,XR…ユニット構造部、XM…中間構造部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の柱とそれら柱に連結された天井及び床の各大梁とを有してなる建物ユニットが複数組み合わされてなるユニット式建物の空調設置構造であって、
複数の建物ユニットを上下に積み重ねてなる建物ユニット群のうち少なくとも2つは離し置きされ、当該離し置きにより形成された中間部分には、それら離し置きされた両建物ユニット群に掛け渡すようにして、前記中間部分の下階天井パネル部と、上階床パネル部とが設けられており、
前記中間部分に設けられた前記下階天井パネル部及び同中間部分に設けられた前記上階床パネル部のうち少なくともいずれかは、前記建物ユニット群の前記柱及び前記大梁のうち少なくともいずれかに取り付けられた保持部によって保持されており、
前記下階天井パネル部及び前記上階床パネル部の間に形成された中間部側階間空間に空調装置を収容するようにしたことを特徴とするユニット式建物の空調設置構造。
【請求項2】
前記中間部分の前記下階天井パネル部が前記建物ユニット群を構成する下階建物ユニットのユニット側天井パネル部よりも低位となるようにして配置されることで、前記下階建物ユニットの天井大梁の下方に設けられ、又は、前記中間部分の前記上階床パネル部が前記建物ユニット群を構成する上階建物ユニットのユニット側床パネル部よりも高位となるようにして配置されることで、前記上階建物ユニットの床大梁の上方に設けられ、前記中間部側階間空間に連続する空間部を有し、
当該空間部は、前記空調装置から前記建物ユニットのユニット内空間への空調空気の供給を行うための供給ダクトを挿通可能なダクト挿通用空間部となっていることを特徴とする請求項1に記載のユニット式建物の空調設置構造。
【請求項3】
前記ユニット側天井パネル部を一端として下方に延びる又は前記ユニット側床パネル部を一端として上方に延びる壁部を備え、
前記壁部には、前記中間部側階間空間及び前記ダクト挿通用空間部を経由して前記中間部側から前記供給ダクトが接続される第1吹出口が設けられており、
前記空調装置にて生成された空調空気は、前記第1吹出口を通じて前記ユニット内空間へ供給されることを特徴とする請求項2に記載のユニット式建物の空調設置構造。
【請求項4】
前記ダクト挿通用空間部は、前記ユニット側天井パネル部と前記ユニット側床パネル部との間に形成されるユニット側階間空間と前記中間部側階間空間とを繋ぐように形成されているとともに、当該ダクト挿通用空間部に挿通された前記供給ダクトが前記天井大梁を下側から迂回して又は前記床大梁を上側から迂回して前記中間部側階間空間から当該ユニット側階間空間に達するように構成されており、
前記ユニット側天井パネル部及び前記ユニット側床パネル部の少なくとも何れかには前記供給ダクトが接続される第2吹出口が設けられており、
前記空調装置にて生成された空調空気は、前記第2吹出口を通じて前記ユニット内空間へ供給されることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のユニット式建物の空調設置構造。
【請求項5】
前記空調装置は、前記供給ダクトとして、前記建物ユニットにおける上階側のユニット内空間に繋がる供給ダクトと当該建物ユニットにおける下階側のユニット内空間に繋がる供給ダクトとを有していることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1つに記載のユニット式建物の空調設置構造。
【請求項6】
前記建物ユニット内のユニット内空間と、前記中間部分内の中間部内空間とを仕切る仕切壁部が設けられており、
前記仕切壁部には通気口が形成され、当該通気口を介して前記ユニット内空間から前記中間部内空間への空気の流れが可能となっており、
前記空調装置は、前記中間部内空間の空気を還気として取り込むものであることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか1つに記載のユニット式建物の空調設置構造。
【請求項7】
前記中間部分には、前記下階天井パネル部として第1天井パネル及び第2天井パネルが横並びとなるようして設けられているとともに、前記第1天井パネルと対向するように配置された第1床パネル及び前記第2天井パネルと対向するように配置された第2床パネルが前記上階床パネル部として設けられており、
前記中間部分における内部空間として、前記第1天井パネル及び前記第1床パネルによって上下に仕切られた第1空間部と、前記第2天井パネル及び前記第2床パネルによって上下に仕切られた第2空間部とを有し、
前記中間部側階間空間は、前記第1天井パネル及び第1床パネルによって構成される第1階間空間と、前記第2天井パネル及び前記第2床パネルによって構成される第2階間空間とを有し、
前記第1階間空間が前記第2階間空間よりも上側に位置することで、前記第1天井パネルと前記第2天井パネルとの境界部分に上側段差部が生じるとともに、前記第1床パネルと前記第2床パネルとの境界部分に下側段差部が生じており、
前記空調装置は、
前記第1階間空間に配置され、前記第1天井パネル及び前記第1床パネルに形成された各パネル側第1吹出口の少なくとも一方を通じて前記第1空間部に空調空気を供給する状態と、前記上側段差部に形成された段差側第1吹出口を通じて前記第2空間部に空調空気を供給する状態とに切替可能な第1空調装置と、
前記第2天井パネル及び前記第2床パネルに形成された各パネル側第2吹出口の少なくとも一方を通じて前記第2空間部に空調空気を供給する状態と、前記下側段差部に形成された段差側第2吹出口を通じて前記第2空間部に空調空気を供給する状態とに切替可能な第2空調装置と
を有し、
前記第1空間部及び前記第2空間部のうち前記第1空調装置による空調空気の吹出対象となっているものと、それら両空間部のうち前記第2空調装置による空調空気の吹出対象となっているものとが同一となるようにそれら第1空調装置及び第2空調装置を制御する空調制御手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載のユニット式建物の空調設置構造。
【請求項1】
複数の柱とそれら柱に連結された天井及び床の各大梁とを有してなる建物ユニットが複数組み合わされてなるユニット式建物の空調設置構造であって、
複数の建物ユニットを上下に積み重ねてなる建物ユニット群のうち少なくとも2つは離し置きされ、当該離し置きにより形成された中間部分には、それら離し置きされた両建物ユニット群に掛け渡すようにして、前記中間部分の下階天井パネル部と、上階床パネル部とが設けられており、
前記中間部分に設けられた前記下階天井パネル部及び同中間部分に設けられた前記上階床パネル部のうち少なくともいずれかは、前記建物ユニット群の前記柱及び前記大梁のうち少なくともいずれかに取り付けられた保持部によって保持されており、
前記下階天井パネル部及び前記上階床パネル部の間に形成された中間部側階間空間に空調装置を収容するようにしたことを特徴とするユニット式建物の空調設置構造。
【請求項2】
前記中間部分の前記下階天井パネル部が前記建物ユニット群を構成する下階建物ユニットのユニット側天井パネル部よりも低位となるようにして配置されることで、前記下階建物ユニットの天井大梁の下方に設けられ、又は、前記中間部分の前記上階床パネル部が前記建物ユニット群を構成する上階建物ユニットのユニット側床パネル部よりも高位となるようにして配置されることで、前記上階建物ユニットの床大梁の上方に設けられ、前記中間部側階間空間に連続する空間部を有し、
当該空間部は、前記空調装置から前記建物ユニットのユニット内空間への空調空気の供給を行うための供給ダクトを挿通可能なダクト挿通用空間部となっていることを特徴とする請求項1に記載のユニット式建物の空調設置構造。
【請求項3】
前記ユニット側天井パネル部を一端として下方に延びる又は前記ユニット側床パネル部を一端として上方に延びる壁部を備え、
前記壁部には、前記中間部側階間空間及び前記ダクト挿通用空間部を経由して前記中間部側から前記供給ダクトが接続される第1吹出口が設けられており、
前記空調装置にて生成された空調空気は、前記第1吹出口を通じて前記ユニット内空間へ供給されることを特徴とする請求項2に記載のユニット式建物の空調設置構造。
【請求項4】
前記ダクト挿通用空間部は、前記ユニット側天井パネル部と前記ユニット側床パネル部との間に形成されるユニット側階間空間と前記中間部側階間空間とを繋ぐように形成されているとともに、当該ダクト挿通用空間部に挿通された前記供給ダクトが前記天井大梁を下側から迂回して又は前記床大梁を上側から迂回して前記中間部側階間空間から当該ユニット側階間空間に達するように構成されており、
前記ユニット側天井パネル部及び前記ユニット側床パネル部の少なくとも何れかには前記供給ダクトが接続される第2吹出口が設けられており、
前記空調装置にて生成された空調空気は、前記第2吹出口を通じて前記ユニット内空間へ供給されることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のユニット式建物の空調設置構造。
【請求項5】
前記空調装置は、前記供給ダクトとして、前記建物ユニットにおける上階側のユニット内空間に繋がる供給ダクトと当該建物ユニットにおける下階側のユニット内空間に繋がる供給ダクトとを有していることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1つに記載のユニット式建物の空調設置構造。
【請求項6】
前記建物ユニット内のユニット内空間と、前記中間部分内の中間部内空間とを仕切る仕切壁部が設けられており、
前記仕切壁部には通気口が形成され、当該通気口を介して前記ユニット内空間から前記中間部内空間への空気の流れが可能となっており、
前記空調装置は、前記中間部内空間の空気を還気として取り込むものであることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか1つに記載のユニット式建物の空調設置構造。
【請求項7】
前記中間部分には、前記下階天井パネル部として第1天井パネル及び第2天井パネルが横並びとなるようして設けられているとともに、前記第1天井パネルと対向するように配置された第1床パネル及び前記第2天井パネルと対向するように配置された第2床パネルが前記上階床パネル部として設けられており、
前記中間部分における内部空間として、前記第1天井パネル及び前記第1床パネルによって上下に仕切られた第1空間部と、前記第2天井パネル及び前記第2床パネルによって上下に仕切られた第2空間部とを有し、
前記中間部側階間空間は、前記第1天井パネル及び第1床パネルによって構成される第1階間空間と、前記第2天井パネル及び前記第2床パネルによって構成される第2階間空間とを有し、
前記第1階間空間が前記第2階間空間よりも上側に位置することで、前記第1天井パネルと前記第2天井パネルとの境界部分に上側段差部が生じるとともに、前記第1床パネルと前記第2床パネルとの境界部分に下側段差部が生じており、
前記空調装置は、
前記第1階間空間に配置され、前記第1天井パネル及び前記第1床パネルに形成された各パネル側第1吹出口の少なくとも一方を通じて前記第1空間部に空調空気を供給する状態と、前記上側段差部に形成された段差側第1吹出口を通じて前記第2空間部に空調空気を供給する状態とに切替可能な第1空調装置と、
前記第2天井パネル及び前記第2床パネルに形成された各パネル側第2吹出口の少なくとも一方を通じて前記第2空間部に空調空気を供給する状態と、前記下側段差部に形成された段差側第2吹出口を通じて前記第2空間部に空調空気を供給する状態とに切替可能な第2空調装置と
を有し、
前記第1空間部及び前記第2空間部のうち前記第1空調装置による空調空気の吹出対象となっているものと、それら両空間部のうち前記第2空調装置による空調空気の吹出対象となっているものとが同一となるようにそれら第1空調装置及び第2空調装置を制御する空調制御手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載のユニット式建物の空調設置構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−202031(P2012−202031A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64858(P2011−64858)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(504093467)トヨタホーム株式会社 (391)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(504093467)トヨタホーム株式会社 (391)
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