ユニット式建物
【課題】敷地を有効利用できるユニット式建物を提供すること。
【解決手段】ユニット式建物は、複数の建物ユニット5,35を前後左右に配置して施工されるものであって、敷地の外周縁に沿って建物ユニット5,35を配置し、これらの建物ユニットの間に前後方向と左右方向との少なくとも一方向に形成される隙間をパネルで閉塞し、建物ユニット5,35が少なくとも前後左右に4個配置され、左側に配置された第一建物ユニットと第二建物ユニットとは、隙間が形成されずに隣り合って配置され、第一建物ユニットと、第一建物ユニットの右側に対向して配置された第三建物ユニットとの間には、左右方向に第一隙間が形成され、第三建物ユニットと、第三建物ユニットの前側に対向して配置された第四建物ユニットとの間には、前後方向に第二隙間が形成され、第二建物ユニットと第四建物ユニットとは、隙間が形成されずに隣り合って配置されている。
【解決手段】ユニット式建物は、複数の建物ユニット5,35を前後左右に配置して施工されるものであって、敷地の外周縁に沿って建物ユニット5,35を配置し、これらの建物ユニットの間に前後方向と左右方向との少なくとも一方向に形成される隙間をパネルで閉塞し、建物ユニット5,35が少なくとも前後左右に4個配置され、左側に配置された第一建物ユニットと第二建物ユニットとは、隙間が形成されずに隣り合って配置され、第一建物ユニットと、第一建物ユニットの右側に対向して配置された第三建物ユニットとの間には、左右方向に第一隙間が形成され、第三建物ユニットと、第三建物ユニットの前側に対向して配置された第四建物ユニットとの間には、前後方向に第二隙間が形成され、第二建物ユニットと第四建物ユニットとは、隙間が形成されずに隣り合って配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニット式建物に関する。
【背景技術】
【0002】
大きさの規格化された建物ユニットを複数組み合わせてユニット式建物が施工される。この建物ユニットの設計にあたっては、通常、敷地の中心に建物ユニットを配置し、残りの敷地を庭等として利用する従来のユニット式建物には、広い居室空間を形成するために複数の建物ユニットを離し置きし、これらの建物ユニットの間をパネルで閉塞したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−240358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来例で示すユニット式建物は、居室を広くするために建物ユニットを等間隔に離し置きしているものであり、建物ユニット間を閉塞するパネルも規格化されている。そのため、従来、ユニット式建物では、敷地内に許容範囲内の建物を建てようとしても無駄が出てしまい、必ずしも当該敷地を有効利用しているとは限らないという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、敷地を有効利用できるユニット式建物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のユニット式建物1は、図面を参照して説明すると、複数の建物ユニット5,35を前後左右に配置して施工されるユニット式建物1であって、敷地の外周縁に沿って建物ユニット5,35を配置し、これらの建物ユニットの間に前後方向と左右方向との少なくとも一方向に形成される隙間をパネルで閉塞し、建物ユニット5,35が少なくとも前後左右に4個配置され、左側に配置された第一建物ユニットと第二建物ユニットとは、隙間が形成されずに隣り合って配置され、第一建物ユニットと、第一建物ユニットの右側に対向して配置された第三建物ユニットとの間には、左右方向に第一隙間が形成され、第三建物ユニットと、第三建物ユニットの前側に対向して配置された第四建物ユニットとの間には、前後方向に第二隙間が形成され、第二建物ユニットと第四建物ユニットとは、隙間が形成されずに隣り合って配置されていることを特徴とするユニット式建物1である。
【0007】
本発明では、第一隙間と第二隙間とは連通している構成が好ましい。
【0008】
本発明では、第一隙間と第二隙間とは同じ寸法である構成が好ましい。
【0009】
本発明の関連技術であるユニット式建物1は、図面を参照して説明すると、複数の建物ユニット3,5を前後左右に配置して施行されるユニット式建物1であって、敷地の外周縁に沿って建物ユニット3,5を配置し、これらの建物ユニットの間に前後方向と左右方向との少なくとも一方向に形成される隙間をパネルで閉塞し、前記建物ユニット3,5は少なくとも前後方向に2個ずつ、左右に2個ずつ、合計4個が少なくとも配置され、これらの建物ユニット3,5のうち左側に配置された第一建物ユニット及び第二建物ユニット間の隙間寸法と右側に配置された第三建物ユニット及び第四建物ユニット間の隙間寸法とが異なることを特徴とするユニット式建物1である。
この関連技術に係る発明によれば、建物ユニット3,5を敷地の中心ではなく外周縁に沿って設置することで延床面積が大きくなり敷地の無駄が少なくなる。そして、配置した建物ユニット3,5間の隙間をパネルで閉塞することで、離隔する複数の建物ユニット3,5を一連の建物空間として利用することができる。
このため、建物ユニット3,5の規格に影響されることなく、所望の建物空間を形成することができる。
従って、敷地の大きさに合わせて自在に建物空間を形成することができ、狭小な敷地においても建物空間を有効活用することができる。
【0010】
本発明の関連技術では、建物ユニット3,5が少なくとも前後方向に3個ずつ、左右に2個ずつ、合計6個が少なくとも配置される場合において、第一建物ユニットと第二建物ユニットとの間に第一隙間が形成され、第二建物ユニットと第三建物ユニットとの間に第二隙間が形成され、第四建物ユニットと第五建物ユニットとの間に第三隙間が形成され、第一隙間と第三隙間とは略同じ寸法である構成が好ましい。
この関連技術に係る発明によれば、異形の敷地に建てられるユニット式建物において、上記と同様の作用効果を奏することができる。
【0011】
本発明の関連技術では、第二建物ユニットと第三建物ユニットとの間に第二隙間が形成され、第五建物ユニットと第六建物ユニットとの間に第四隙間が形成され、これらの隙間は左右に連通するとともに寸法が異なる構成が好ましい。
この関連技術に係る発明によれば、上記と同様の作用効果を奏することができる。
【0012】
本発明の関連技術では、建物ユニット3,5が前後左右に少なくとも4個配置され、これらの建物ユニット3,5のうち左右方向と前後方向とに隙間がそれぞれ形成され、これらの隙間が交差している構成が好ましい。
この関連技術に係る発明によれば、上記と同様の作用効果を奏することができる。
【0013】
本発明の関連技術では、建物ユニット3,5が前後左右に少なくとも4個配置され、これらの建物ユニット3,5のうち左右方向と前後方向とに隙間がそれぞれ形成され、左側に配置された建物ユニット間に前後方向に形成された隙間が、右側に配置された建物ユニット間に前後方向に形成された隙間と左右方向に連通しているとともに、左側に配置された建物ユニット間に前後方向に形成された隙間の寸法が、右側に配置された建物ユニット間に前後方向に形成された隙間の寸法と相違する構成が好ましい。
この関連技術に係る発明によれば、上記と同様の作用効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るユニット式建物の第1実施形態を示す全体図。
【図2】前記実施形態のユニット式建物を示す全体縦断面図。
【図3】前記実施形態のユニット式建物の建物ユニット及び補強梁の上面図。
【図4】前記実施形態の通常の構成の建物ユニットを示す全体斜視図。
【図5】前記実施形態の柱省略部を有する建物ユニットを示す全体斜視図。
【図6】前記実施形態のユニット式建物の下階部を示す全体斜視図。
【図7】図6におけるVI−VI線に沿った断面図。
【図8】前記実施形態の下階部及び上階部を示す分解斜視図。
【図9】前記実施形態の要部を示す分解斜視図。
【図10】前記実施形態の他の要部を示す分解斜視図。
【図11】本発明に係るユニット式建物の第2実施形態を示す全体図。
【図12】前記実施形態のユニット式建物の建物ユニット及び補強梁の上面図。
【図13】本発明に係るユニット式建物の第3実施形態を示す全体図。
【図14】前記実施形態のユニット式建物の建物ユニットの上面図。
【図15】本発明に係るユニット式建物の第4実施形態を示す全体図。
【図16】前記実施形態のユニット式建物の建物ユニットの上面図。
【図17】本発明に係るユニット式建物の変形例を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図10には第1実施形態のユニット式建物1が示されている。
図1は、本発明に係るユニット式建物の第1実施形態を示す全体図である。図2は、前記実施形態のユニット式建物を示す全体縦断面図である。図3は、前記実施形態のユニット式建物の建物ユニット及び補強梁の上面図である。
図1から3に示すように、第1実施形態のユニット式建物1は、基礎2の上に設けられた、例えば、4個の下階建物ユニット3と2個の下階建物ユニット31とを備えた下階部4と、下階部4の下階建物ユニット3及び下階建物ユニット31の上に載置された4個の上階建物ユニット5と2個の上階建物ユニット51とを備えた上階部6と、この上階部6の上方に設けられる図示しない屋根とを備えて構成されている。また、この屋根は、小屋枠7Aとこの小屋枠7Aに支持される屋根パネル7Bとを含み構成されている。
なお、第1実施形態のユニット式建物1は、敷地9の外周に沿って基礎2が設けられ、その上に建物ユニット3,5が設けられている。
【0016】
以上の下階建物ユニット3及び上階建物ユニット5のうち、第一建物ユニットと第四建物ユニットとして2個ずつの建物ユニット3,5の短辺同士が対向する方向に隣り合うとともに、第二建物ユニットと第五建物ユニットとして2個ずつの建物ユニット3,5の短辺同士が対向したものが、短辺同士が対向する方向と交差する方向に第一隙間及び第三隙間として所定間隔L離れて配置されている。
さらに、これらの建物ユニット3,5と同様にそれぞれ2個の建物ユニット31,51の短辺同士が対向する一方向に向き合うとともに、建物ユニット3,5と長辺同士が対向する方向に第三建物ユニットとして建物ユニット31,51が第二隙間として所定間隔L離れて配置され、第六建物ユニットとして建物ユニット31,51が建物ユニット3,5と間隔なく隣り合っている。
そして、第一建物ユニット、第二建物ユニット、第四建物ユニット及び第五建物ユニットである4個の下階建物ユニット3は、後に詳細を述べるように、それぞれ1本の柱が省略された柱省略コーナ部Aを有し、4個の上階建物ユニット5及び4個の建物ユニット31,51は、柱や梁が省略されていない通常の骨組みから構成されている。
【0017】
以上の下階建物ユニット3及び上階建物ユニット5は、図4、図5に示す構成とされている。図4は、前記実施形態の通常の構成の建物ユニットを示す全体斜視図である。図5は、前記実施形態の柱省略部を有する建物ユニットを示す全体斜視図である。
まず、図4に基づいて、上階建物ユニット5を説明する。上階建物ユニット5は、四隅に立設される4本の柱10と、これらの柱10の上端間同士を結合する4本の天井梁11と、各柱10の下端間同士を結合する4本の床梁12とを含む骨組み13を有し、略直方体状に形成されている。そして、天井梁11は各2本の長辺天井梁11A及び短辺天井梁11Bで構成され、床梁12は各2本の長辺床梁12A及び短辺床梁12Bで構成されている。2本の長辺天井梁11A間、及び2本の長辺床梁12A間には、図示しないが、複数本の天井小梁、複数本の根太がそれぞれ架け渡されている。また、柱10と天井梁11及び床梁12とは、仕口14を介して接続されている。
また、建物ユニット31,51は、上階建物ユニット5と同様に柱省略のない略直方体状に形成された骨組み13を有しており(図4参照)、短辺天井梁11B及び短辺床梁12Bの長さが上階建物ユニット5の略半分となっている。
【0018】
下階建物ユニット3は、図5に示すように、3本の柱10と、これらの柱10の上端間同士を結合する4本の前記天井梁11と、各柱10の下端間同士を結合する4本の前記床梁12とを含む骨組み13Aを有し、略直方体状に形成されている。そして、1本の柱が省略された部位が柱省略コーナ部Aとされている。
なお、各下階建物ユニット3において、柱省略コーナ部Aには、輸送時や組み立て時等に下階建物ユニット3が変形しないように、仮柱10Aを設けてもよい。また、下階建物ユニット3において、前記上階建物ユニット5と同一部材には同一符号を付して、その詳細な説明は省略または簡略化している。
【0019】
図6は、前記実施形態のユニット式建物の下階部を示す全体斜視図である。図2、図6等に示すように、4個の下階建物ユニット3は、それぞれ柱省略コーナ部A同士を突き合わせるとともに、2個ずつが所定間隔Lあけて配置されている。そのため、下階部4には、4個の下階建物ユニット3により、柱なしの部分と所定間隔Lの隙間の部分とを合計した広さの大空間な居室Rが形成されるようになっている。
なお、一方向に隣り合う下階建物ユニット3は、構造は同じであるが鏡像の関係になっており、これらと所定間隔L離れた下階建物ユニット3は、上記一方向に隣り合う下階建物ユニット3が180度向きを変えて配置された状態である。
また、所定間隔Lの寸法は、製作基準寸法であるモジュールが、例えば、1モジュール910mmである場合、本実施形態では、1/2モジュールの450mm程度に設定されている。ただし、この寸法は任意であるが、あまり小さいと間隔をあけた意味がなくなり、あまり大きいと建物の強度上の問題が生じる。
【0020】
以上のような一方向に隣り合う下階建物ユニット3間には、当該下階建物ユニット3に挟まれて補強梁20が設けられている。この補強梁20は、柱省略コーナ部Aに臨む各下階建物ユニット3の特に短辺天井梁11Bを補強するために設けられたものであり、所定間隔Lをあけて配置した2個の下階建物ユニット3及び下階建物ユニット31に渡って設けられている。
【0021】
図9は、前記実施形態の要部を示す分解斜視図である。補強梁20は、図9に詳細を示すように、所定厚さの板部材で形成されるとともに、下階建物ユニット3の天井梁11と上階建物ユニット5の床梁12との高さ寸法を合計した寸法とほぼ等しい高さ寸法に形成されている。このような補強梁20は、一端部を下階建物ユニット3の天井梁11の下端部に揃え、他端部を上階建物ユニット5側に突出させて取り付けられている。
【0022】
以上の補強梁20の長さ方向には、それぞれ補強梁20に沿って水平な補強プレート21,22が設けられている。これらの補強プレート21,22は、補強梁20の厚さ方向両側(但し、建物ユニット31,51側の端部は片側のみ)に設けられており、補強梁20の長さ方向両端部の補強プレート21はほぼ正方形状に形成され、これらの間に設けられる補強プレート21は下階建物ユニット3及び下階建物ユニット31の対向する仕口14に亘る大きさの矩形状に形成されている。そして、この矩形状の補強プレート21と建物ユニット3,5側の補強プレート21との間に設けられる補強プレート22は所定間隔L離れて対向する下階建物ユニット3の仕口14間に亘る大きさの矩形状に形成されている。そして、長さ方向両端部の補強プレート21は、一方向に隣り合う下階建物ユニット3における外側の各柱10の頂部を構成する仕口14同士を連結している。
【0023】
すなわち、柱10の頂部及び柱省略コーナ部Aの仕口14の上端部には、係合ピン15,16が立設されるとともに、ボルト結合用孔14Aがあけられており、これに対して、補強プレート21,22には、係合孔21A,21B、及び係合孔22A,22Bがあけられ、さらに、ボルト結合用孔21C、22Cがあけられている。
そのため、まず、それぞれ、柱10の頂部及び柱省略コーナ部Aの仕口14の上端部に立設された係合ピン15,16に、補強プレート21,22にあけられた係合孔21A,21B、及び係合孔22A,22Bをそれぞれ差し込み、補強梁20及び補強プレート21,22と、下階建物ユニット3及び下階建物ユニット31とを位置決めして連結できるようになっている。
【0024】
上階建物ユニット5及び上階建物ユニット51を連結、固定するには、まず、上階建物ユニット5及び上階建物ユニット51における柱10の下端の仕口14にあけられた図示しない係合孔を前記係合ピン15,16に係合させて位置決めする。その後、上階建物ユニット5及び下階建物ユニット3並びに下階建物ユニット31及び上階建物ユニット51の仕口14にあけられたボルト結合用孔14Aと、補強プレート21,22にあけられたボルト結合用孔21Cにボルト17とを挿通させるとともに、このボルト17にナット18を螺合させて、補強梁20を水平方向に挟み込み、補強プレート21,22を上下方向に挟み込んで、上階建物ユニット5及び下階建物ユニット3並びに下階建物ユニット31及び上階建物ユニット51を連結、固定する。
この結果、上下に各4個の建物ユニット3,5と、上下に各2個の建物ユニット31,51とが補強プレート21,22、及び補強プレート21,22と一体となった補強梁20によって互いに連結され、ユニット式建物1の全体の強度が確保されるようになっている。
【0025】
図10は、前記実施形態の他の要部を示す分解斜視図である。図6,9等に示すように、4個の下階建物ユニット3及び2個の下階建物ユニット31の外周部分には、前記補強梁20とほぼ平行に2個の外周用補強梁30が架設されている。これらの外周用補強梁30は板状部材で形成され、一方は補強梁20とほぼ同じ長さ寸法に形成され、他方は補強梁20より略所定間隔Lだけ長い寸法に形成されている。
【0026】
外周用補強梁30には、その両端部及び中央部に、係合孔30A,30B、及びボルト結合用孔30Cがそれぞれあけられており、柱10の頂部の仕口14に立設された係合ピン15,16に、外周用補強梁30の係合孔30A,30Bをそれぞれ差し込み、外周用補強梁30と、下階建物ユニット3及び下階建物ユニット31とを位置決めして連結できるようになっている。その後は、上階建物ユニット5及び上階建物ユニット51と下階建物ユニット3及び下階建物ユニット31との仕口14のボルト結合用孔14Aと、外周用補強梁30のボルト結合用孔30Cとにボルト17を挿通させるとともに、このボルト17にナット18を螺合させて、外周用補強梁30を水平方向に挟み込んで、上階建物ユニット5及び上階建物ユニット51と下階建物ユニット3及び下階建物ユニット31とを連結、固定できるようになっている。
【0027】
図8は、前記実施形態の下階部及び上階部を示す分解斜視図である。前記所定間隔Lで離し置きされた下階建物ユニット3間の隙間は、図6,7に示すように、閉塞用パネルである壁パネル32で塞がれている。この壁パネル32には、下階建物ユニット3の外壁8(図2参照)と垂直面内で連続するように、図示しない接続用外壁が取り付けられるようになっている。また、所定間隔Lで離し置きされた下階建物ユニット3間の上部の隙間は、閉塞用パネルである天井パネル33(図1参照)で塞がれている。
【0028】
以上のように、4個の下階建物ユニット3のうち2個ずつを一方向に隣り合わせるとともに、所定間隔Lの隙間をあけて配置し、4個の下階建物ユニット3の各柱省略コーナ部Aを一箇所に集めたので、図2に示すように、柱なし空間と所定間隔Lの隙間とでなる水平方向に連続する大空間の居室Rを形成することができる。
また、これら4個の下階建物ユニット3に間隔なく隣り合う下階建物ユニット31と、所定間隔Lの隙間をあけて配置される下階建物ユニット31とが備えられているので、大空間の居室Rに加えて、さらに居住空間を確保できる。
【0029】
このような4個の下階建物ユニット3及び2個の下階建物ユニット31の上端には、前述のように、それぞれ4個の上階建物ユニット5及び2個の上階建物ユニット51が載置されている。これらの上階建物ユニット5間の隙間は、図1に示すように、下階建物ユニット3間の隙間及び下階建物ユニット3と下階建物ユニット31との間の隙間と同様に、閉塞用パネルである壁パネル32で塞がれている。また、離し置きされた上階建物ユニット5及び上階建物ユニット51の下面の隙間及び上面の隙間は、図示しないが、例えば接続用床パネル、接続用天井パネルで、それぞれ塞がれている。
また、4個の上階建物ユニット5及び2個の上階建物ユニット51の上端面は、図2に示すように、一方向に隣り合う上階建物ユニット5の柱10同士を連結する上階用としての前記補強梁20で連結され、各上階建物ユニット5及び上階建物ユニット51の外側外周は、上階用としての前記外周用補強梁30で連結されている。
【0030】
次に、図1及び図8〜図10を参照しながら、以上のようなユニット式建物1の構築方法を説明する。まず、基礎2の上に、柱省略コーナ部Aを有する4個の下階建物ユニット3の各柱省略コーナ部A同士を突き合わせるとともに、4個の下階建物ユニット3のうち2個ずつを、一方向に隣合わせ、かつ、所定間隔Lをあけて配置し、さらに、下階建物ユニット3と同様に所定間隔L離れて配置した下階建物ユニット31と間隔なく配置した下階建物ユニット31とをアンカーボルト等で固定する。
【0031】
次いで、一方向に隣り合って設けられ、かつ、それらが隙間として所定間隔L離れて配置された2個ずつの下階建物ユニット3及びこれに隣り合う下階建物ユニット31の間に補強梁20を架け渡すとともに、この補強梁20に設けられた補強プレート21の一方を下階建物ユニット3の隣り合う柱10の頂部に係合させ、他方を下階建物ユニット31の外側の仕口14に係合させるとともに、補強プレート22を下階建物ユニット3及び下階建物ユニット31の仕口14の頂部に係合させる。この際、柱10の頂部及び柱省略コーナ部Aの仕口14の上端部に立設された係合ピン15,16に、補強プレート21,22にあけられた係合孔21A,21B、及び係合孔22A,22Bをそれぞれ差し込み、補強梁20及び補強プレート21,22と、下階建物ユニット3及び下階建物ユニット31とを位置決めして連結する。同様に、下階建物ユニット3及び下階建物ユニット31の外側両端に外周用補強梁30を架け渡す。
【0032】
この後、上階建物ユニット5及び上階建物ユニット51を補強プレート21の上に配置するとともに、下階建物ユニット3及び下階建物ユニット31の仕口14に立設された係合ピン15,16に、上階建物ユニット5及び上階建物ユニット51における柱10の下部の仕口14にあけられている図示しない係合穴を挿通させて位置決めを行う。そして、上階建物ユニット5における柱10の下部の仕口14にあけられている図示しないボルト結合用孔、及び補強プレート21のボルト結合用孔21Cと、補強プレート22のボルト結合用孔22Cと、下階建物ユニット3の仕口14のボルト結合用孔14Aとに、ボルト17を挿通させて、そのボルト17とナット18とを螺合させ、これらの作業により、外周用補強梁30を挟み込んで上階建物ユニット5及び上階建物ユニット51と下階建物ユニット3及び下階建物ユニット31とを連結する。その後、上階部6の上階建物ユニット5の上方に、小屋枠7Aを介して屋根パネル7B等を設けて図示しない屋根部を構成し、ユニット式建物1を完成させる。
【0033】
以上のような第1実施形態によれば、次のような効果が得られる。
下階建物ユニット3及び上階建物ユニット5のうち、それぞれ2個ずつが、各建物ユニット3,5の短辺同士が対向する方向の一方向に隣り合うとともに、この一方向と交差する方向に所定間隔L離れて配置されている。さらに、これらの建物ユニット3,5と同様に建物ユニット31,51の短辺同士が対向する一方向に向き合うとともに、この一方向と交差する方向に一方の建物ユニット31,51が所定間隔L離れて配置され、他方は建物ユニット3,5と長辺同士が対向する方向に間隔なく隣り合っており、建物ユニット3,5間の間隔を不規則に設けることができるので、敷地が矩形状でない場合でも、敷地を有効に利用することができる。また、下階建物ユニット3を敷地の外周縁に沿って設置することにより生じる建物ユニット3,5間の隙間を壁パネル32及び天井パネル33で閉塞するので、離隔する複数の建物ユニットを一連の建物空間として利用することができる。このため、建物ユニット3,5の大きさに影響されることなく、所望の建物空間を形成することができる。従って、敷地の大きさに合わせて自在に建物空間を形成することができ、狭小な敷地においても建物空間を有効活用することができる。
【0034】
以下、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
図11〜図12には第2実施形態のユニット式建物1が示されている。図11は、本発明に係るユニット式建物の第2実施形態を示す全体図である。図12は、前記実施形態のユニット式建物の建物ユニット及び補強梁の上面図である。
図11及び図12に示すように、第2実施形態のユニット式建物1は、基礎2の上に設けられた、例えば、4個の下階建物ユニット3と2個の柱省略のない略無下階建物ユニット35とを備えた下階部4と、下階建物ユニット3及び略無下階建物ユニット35の上に載置された6個の上階建物ユニット5を備えた上階部6と、この上階部6の上方に設けられる図示しない屋根とを備えて構成されている。
【0035】
以上の下階建物ユニット3及び上階建物ユニット5のうち、第一建物ユニット及び第四建物ユニットと第二建物ユニット及び第五建物ユニットとがそれぞれ2個ずつ各建物ユニット3,5の短辺同士が対向する方向の一方向に隣り合うとともに、この一方向と交差する方向にも間隔なく隣り合うように配置されている。
さらに、これらの建物ユニット3,5と同様に、第三建物ユニット及び第六建物ユニットである2個の略無下階建物ユニット35及び2個の上階建物ユニット5のうち、第六建物ユニットであるそれぞれ1個ずつの略無下階建物ユニット35及び上階建物ユニット5が第四隙間として所定間隔L配置され、第三建物ユニットであるもう1個ずつが第二隙間として幅広間隔LW離れている。
そして、間隔なく隣り合う4個の下階建物ユニット3は、前記第1実施形態と同様にそれぞれ1本の柱が省略された柱省略コーナ部Aが対向しており、下階建物ユニット3の短辺方向に沿って補強梁20が挟まれて設けられている。
【0036】
以上のような第2実施形態によれば、次のような効果が得られる。
下階建物ユニット3及び上階建物ユニット5のうち、それぞれ2個ずつが、各建物ユニット3,5の短辺同士が対向する方向の一方向に隣り合うとともに、この一方向と交差する方向にも間隔なく隣り合うように配置されている。さらに、これらの建物ユニット3,5と同様に、2個の略無下階建物ユニット35及び2個の上階建物ユニット5のうち、それぞれ1個ずつの略無下階建物ユニット35及び上階建物ユニット5が隙間として所定間隔L配置され、もう1個ずつが隙間として幅広間隔LW離れている。
このため、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができ、さらに、建物ユニット31,51を用いずに建物ユニット3,5のみで第1実施形態におけるユニット式建物1と同様の延床面積及び敷地形状のユニット式建物1を構成することができるとともに、生産性の向上及び製造コストの低減ができる。
【0037】
以下、本発明の第3実施形態を図面に基づいて説明する。
図13〜図14には第3実施形態のユニット式建物1が示されている。図13は、本発明に係るユニット式建物の第3実施形態を示す全体図である。図14は、前記実施形態のユニット式建物の建物ユニットの上面図である。
図13及び図14に示すように、第3実施形態のユニット式建物1は、基礎2の上に設けられた、例えば、4個の略無下階建物ユニット35及び1個の長下階建物ユニット34を備えた下階部4と、下階建物ユニット3及び長下階建物ユニット34の上に載置された4個の上階建物ユニット5及び長上階建物ユニット54を備えた上階部6と、この上階部6の上方に設けられる図示しない屋根とを備えて構成されている。
なお、長建物ユニット34,54は、上階建物ユニット5と同様に柱省略のない略直方体状に形成された骨組み13を有しており、長辺天井梁11A及び長辺床梁12Aの長さが建物ユニット3,5より長くなっている(図4参照)。
【0038】
以上の略無下階建物ユニット35及び上階建物ユニット5のうち、それぞれ4個ずつが、各建物ユニット35,5の長辺同士が並行となり、かつ、隙間として所定間隔L離れて直線状に並列されている。そして、1個の長建物ユニット34,54は、その長辺が並列する4個の建物ユニット35,5の短辺と平行となる向きに所定間隔L離れ、かつ、並列する4個の建物ユニットの中央に位置するように配置されている。これにより、所定間隔Lの隙間が前後方向と左右方向とに形成され、かつ、これらが交差する配置となる。
【0039】
以上のような第3実施形態では、張出部を有する細長い敷地においても居住空間を有効に確保することができるので、前記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0040】
以下、本発明の第4実施形態を図面に基づいて説明する。
図15〜図16には第4実施形態のユニット式建物1が示されている。図15は、本発明に係るユニット式建物の第4実施形態を示す全体図である。図16は、前記実施形態のユニット式建物の建物ユニットの上面図である。
図15及び図16に示すように、第4実施形態のユニット式建物1は、基礎2の上に設けられた、例えば、4個の略無下階建物ユニット35と2個の長下階建物ユニット34とを備えた下階部4と、下階部4の略無下階建物ユニット35及び長下階建物ユニット34の上に載置された4個の上階建物ユニット5と2個の長上階建物ユニット54を備えた上階部6と、この上階部6の上方に設けられる図示しない屋根とを備えて構成されている。
【0041】
以上の略無下階建物ユニット35及び上階建物ユニット5のうち、それぞれ4個ずつが、各建物ユニット35,5の長辺同士が並行となり、かつ、隙間として所定間隔L離れて直線状に並列されている。そして、2個の長建物ユニット34,54は、それぞれの長辺が並列する4個の建物ユニット35,5の短辺と平行となる向きに所定間隔L離れ、かつ、それぞれの外側の短辺が建物ユニット35,5の外側の長辺の延長線上に位置するように配置されている。これにより、所定間隔Lの隙間が前後方向と左右方向とに形成され、かつ、これらが前後左右に連通する配置となる。
【0042】
以上のような第4実施形態によれば、次のような効果が得られる。
4個の略無下階建物ユニット35と2個の長下階建物ユニット34とを備えた下階部4と、下階部4の略無下階建物ユニット35及び長下階建物ユニット34の上に載置された4個の上階建物ユニット5と2個の長上階建物ユニット54を備えているので、同じ形状の敷地に設置する場合でも、形状の異なる建物ユニット35,5を様々に組み合わせることができる。
このため、ユニット式建物1の間取りを自在に選択することができ、居住者のニーズに即したユニット式建物1を構成することができる。
【0043】
なお、本発明は前述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
図17は、本発明に係るユニット式建物の変形例を示す概略図である。図17に示したように、(A)のような短辺同士が対向する2個の建物ユニット35,5に長辺が平行となるように隣り合う2個の建物ユニット35,5のうち、一方が隙間として所定間隔L離れ、他方が間隔なく隣り合って配置されるユニット式建物1でもよい。
【0044】
若しくは、(B)のような短辺同士が対向して所定間隔L離れて配置された2個の建物ユニット35,5と、短辺同士が対向して間隔なく配置された2個の建物ユニット35,5とが長辺が対向するように間隔なく隣り合うユニット式建物1でもよい。
【0045】
さらには、(C)のような短辺同士が対向して所定間隔L離れて配置された2個の建物ユニット35,5と、これらの長辺と対向する2個の建物ユニット35,5のうち、一方が所定間隔L離れ、他方が間隔なく隣り合って配置されるユニット式建物1でもよい。
【0046】
上記実施形態では大空間な居室Rを下階部4にのみ設けているが、これに限らず、上階部6にも大空間な居室Rを設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、個人住宅用に利用できる他、アパート等共同住宅にも利用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1…ユニット式建物
3…下階建物ユニット
5…上階建物ユニット
31…下階建物ユニット
32…壁パネル
33…天井パネル
34…長下階建物ユニット
35…略無下階建物ユニット
51…上階建物ユニット
54…長上階建物ユニット
L…所定間隔(隙間)
R…居室
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニット式建物に関する。
【背景技術】
【0002】
大きさの規格化された建物ユニットを複数組み合わせてユニット式建物が施工される。この建物ユニットの設計にあたっては、通常、敷地の中心に建物ユニットを配置し、残りの敷地を庭等として利用する従来のユニット式建物には、広い居室空間を形成するために複数の建物ユニットを離し置きし、これらの建物ユニットの間をパネルで閉塞したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−240358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来例で示すユニット式建物は、居室を広くするために建物ユニットを等間隔に離し置きしているものであり、建物ユニット間を閉塞するパネルも規格化されている。そのため、従来、ユニット式建物では、敷地内に許容範囲内の建物を建てようとしても無駄が出てしまい、必ずしも当該敷地を有効利用しているとは限らないという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、敷地を有効利用できるユニット式建物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のユニット式建物1は、図面を参照して説明すると、複数の建物ユニット5,35を前後左右に配置して施工されるユニット式建物1であって、敷地の外周縁に沿って建物ユニット5,35を配置し、これらの建物ユニットの間に前後方向と左右方向との少なくとも一方向に形成される隙間をパネルで閉塞し、建物ユニット5,35が少なくとも前後左右に4個配置され、左側に配置された第一建物ユニットと第二建物ユニットとは、隙間が形成されずに隣り合って配置され、第一建物ユニットと、第一建物ユニットの右側に対向して配置された第三建物ユニットとの間には、左右方向に第一隙間が形成され、第三建物ユニットと、第三建物ユニットの前側に対向して配置された第四建物ユニットとの間には、前後方向に第二隙間が形成され、第二建物ユニットと第四建物ユニットとは、隙間が形成されずに隣り合って配置されていることを特徴とするユニット式建物1である。
【0007】
本発明では、第一隙間と第二隙間とは連通している構成が好ましい。
【0008】
本発明では、第一隙間と第二隙間とは同じ寸法である構成が好ましい。
【0009】
本発明の関連技術であるユニット式建物1は、図面を参照して説明すると、複数の建物ユニット3,5を前後左右に配置して施行されるユニット式建物1であって、敷地の外周縁に沿って建物ユニット3,5を配置し、これらの建物ユニットの間に前後方向と左右方向との少なくとも一方向に形成される隙間をパネルで閉塞し、前記建物ユニット3,5は少なくとも前後方向に2個ずつ、左右に2個ずつ、合計4個が少なくとも配置され、これらの建物ユニット3,5のうち左側に配置された第一建物ユニット及び第二建物ユニット間の隙間寸法と右側に配置された第三建物ユニット及び第四建物ユニット間の隙間寸法とが異なることを特徴とするユニット式建物1である。
この関連技術に係る発明によれば、建物ユニット3,5を敷地の中心ではなく外周縁に沿って設置することで延床面積が大きくなり敷地の無駄が少なくなる。そして、配置した建物ユニット3,5間の隙間をパネルで閉塞することで、離隔する複数の建物ユニット3,5を一連の建物空間として利用することができる。
このため、建物ユニット3,5の規格に影響されることなく、所望の建物空間を形成することができる。
従って、敷地の大きさに合わせて自在に建物空間を形成することができ、狭小な敷地においても建物空間を有効活用することができる。
【0010】
本発明の関連技術では、建物ユニット3,5が少なくとも前後方向に3個ずつ、左右に2個ずつ、合計6個が少なくとも配置される場合において、第一建物ユニットと第二建物ユニットとの間に第一隙間が形成され、第二建物ユニットと第三建物ユニットとの間に第二隙間が形成され、第四建物ユニットと第五建物ユニットとの間に第三隙間が形成され、第一隙間と第三隙間とは略同じ寸法である構成が好ましい。
この関連技術に係る発明によれば、異形の敷地に建てられるユニット式建物において、上記と同様の作用効果を奏することができる。
【0011】
本発明の関連技術では、第二建物ユニットと第三建物ユニットとの間に第二隙間が形成され、第五建物ユニットと第六建物ユニットとの間に第四隙間が形成され、これらの隙間は左右に連通するとともに寸法が異なる構成が好ましい。
この関連技術に係る発明によれば、上記と同様の作用効果を奏することができる。
【0012】
本発明の関連技術では、建物ユニット3,5が前後左右に少なくとも4個配置され、これらの建物ユニット3,5のうち左右方向と前後方向とに隙間がそれぞれ形成され、これらの隙間が交差している構成が好ましい。
この関連技術に係る発明によれば、上記と同様の作用効果を奏することができる。
【0013】
本発明の関連技術では、建物ユニット3,5が前後左右に少なくとも4個配置され、これらの建物ユニット3,5のうち左右方向と前後方向とに隙間がそれぞれ形成され、左側に配置された建物ユニット間に前後方向に形成された隙間が、右側に配置された建物ユニット間に前後方向に形成された隙間と左右方向に連通しているとともに、左側に配置された建物ユニット間に前後方向に形成された隙間の寸法が、右側に配置された建物ユニット間に前後方向に形成された隙間の寸法と相違する構成が好ましい。
この関連技術に係る発明によれば、上記と同様の作用効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るユニット式建物の第1実施形態を示す全体図。
【図2】前記実施形態のユニット式建物を示す全体縦断面図。
【図3】前記実施形態のユニット式建物の建物ユニット及び補強梁の上面図。
【図4】前記実施形態の通常の構成の建物ユニットを示す全体斜視図。
【図5】前記実施形態の柱省略部を有する建物ユニットを示す全体斜視図。
【図6】前記実施形態のユニット式建物の下階部を示す全体斜視図。
【図7】図6におけるVI−VI線に沿った断面図。
【図8】前記実施形態の下階部及び上階部を示す分解斜視図。
【図9】前記実施形態の要部を示す分解斜視図。
【図10】前記実施形態の他の要部を示す分解斜視図。
【図11】本発明に係るユニット式建物の第2実施形態を示す全体図。
【図12】前記実施形態のユニット式建物の建物ユニット及び補強梁の上面図。
【図13】本発明に係るユニット式建物の第3実施形態を示す全体図。
【図14】前記実施形態のユニット式建物の建物ユニットの上面図。
【図15】本発明に係るユニット式建物の第4実施形態を示す全体図。
【図16】前記実施形態のユニット式建物の建物ユニットの上面図。
【図17】本発明に係るユニット式建物の変形例を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図10には第1実施形態のユニット式建物1が示されている。
図1は、本発明に係るユニット式建物の第1実施形態を示す全体図である。図2は、前記実施形態のユニット式建物を示す全体縦断面図である。図3は、前記実施形態のユニット式建物の建物ユニット及び補強梁の上面図である。
図1から3に示すように、第1実施形態のユニット式建物1は、基礎2の上に設けられた、例えば、4個の下階建物ユニット3と2個の下階建物ユニット31とを備えた下階部4と、下階部4の下階建物ユニット3及び下階建物ユニット31の上に載置された4個の上階建物ユニット5と2個の上階建物ユニット51とを備えた上階部6と、この上階部6の上方に設けられる図示しない屋根とを備えて構成されている。また、この屋根は、小屋枠7Aとこの小屋枠7Aに支持される屋根パネル7Bとを含み構成されている。
なお、第1実施形態のユニット式建物1は、敷地9の外周に沿って基礎2が設けられ、その上に建物ユニット3,5が設けられている。
【0016】
以上の下階建物ユニット3及び上階建物ユニット5のうち、第一建物ユニットと第四建物ユニットとして2個ずつの建物ユニット3,5の短辺同士が対向する方向に隣り合うとともに、第二建物ユニットと第五建物ユニットとして2個ずつの建物ユニット3,5の短辺同士が対向したものが、短辺同士が対向する方向と交差する方向に第一隙間及び第三隙間として所定間隔L離れて配置されている。
さらに、これらの建物ユニット3,5と同様にそれぞれ2個の建物ユニット31,51の短辺同士が対向する一方向に向き合うとともに、建物ユニット3,5と長辺同士が対向する方向に第三建物ユニットとして建物ユニット31,51が第二隙間として所定間隔L離れて配置され、第六建物ユニットとして建物ユニット31,51が建物ユニット3,5と間隔なく隣り合っている。
そして、第一建物ユニット、第二建物ユニット、第四建物ユニット及び第五建物ユニットである4個の下階建物ユニット3は、後に詳細を述べるように、それぞれ1本の柱が省略された柱省略コーナ部Aを有し、4個の上階建物ユニット5及び4個の建物ユニット31,51は、柱や梁が省略されていない通常の骨組みから構成されている。
【0017】
以上の下階建物ユニット3及び上階建物ユニット5は、図4、図5に示す構成とされている。図4は、前記実施形態の通常の構成の建物ユニットを示す全体斜視図である。図5は、前記実施形態の柱省略部を有する建物ユニットを示す全体斜視図である。
まず、図4に基づいて、上階建物ユニット5を説明する。上階建物ユニット5は、四隅に立設される4本の柱10と、これらの柱10の上端間同士を結合する4本の天井梁11と、各柱10の下端間同士を結合する4本の床梁12とを含む骨組み13を有し、略直方体状に形成されている。そして、天井梁11は各2本の長辺天井梁11A及び短辺天井梁11Bで構成され、床梁12は各2本の長辺床梁12A及び短辺床梁12Bで構成されている。2本の長辺天井梁11A間、及び2本の長辺床梁12A間には、図示しないが、複数本の天井小梁、複数本の根太がそれぞれ架け渡されている。また、柱10と天井梁11及び床梁12とは、仕口14を介して接続されている。
また、建物ユニット31,51は、上階建物ユニット5と同様に柱省略のない略直方体状に形成された骨組み13を有しており(図4参照)、短辺天井梁11B及び短辺床梁12Bの長さが上階建物ユニット5の略半分となっている。
【0018】
下階建物ユニット3は、図5に示すように、3本の柱10と、これらの柱10の上端間同士を結合する4本の前記天井梁11と、各柱10の下端間同士を結合する4本の前記床梁12とを含む骨組み13Aを有し、略直方体状に形成されている。そして、1本の柱が省略された部位が柱省略コーナ部Aとされている。
なお、各下階建物ユニット3において、柱省略コーナ部Aには、輸送時や組み立て時等に下階建物ユニット3が変形しないように、仮柱10Aを設けてもよい。また、下階建物ユニット3において、前記上階建物ユニット5と同一部材には同一符号を付して、その詳細な説明は省略または簡略化している。
【0019】
図6は、前記実施形態のユニット式建物の下階部を示す全体斜視図である。図2、図6等に示すように、4個の下階建物ユニット3は、それぞれ柱省略コーナ部A同士を突き合わせるとともに、2個ずつが所定間隔Lあけて配置されている。そのため、下階部4には、4個の下階建物ユニット3により、柱なしの部分と所定間隔Lの隙間の部分とを合計した広さの大空間な居室Rが形成されるようになっている。
なお、一方向に隣り合う下階建物ユニット3は、構造は同じであるが鏡像の関係になっており、これらと所定間隔L離れた下階建物ユニット3は、上記一方向に隣り合う下階建物ユニット3が180度向きを変えて配置された状態である。
また、所定間隔Lの寸法は、製作基準寸法であるモジュールが、例えば、1モジュール910mmである場合、本実施形態では、1/2モジュールの450mm程度に設定されている。ただし、この寸法は任意であるが、あまり小さいと間隔をあけた意味がなくなり、あまり大きいと建物の強度上の問題が生じる。
【0020】
以上のような一方向に隣り合う下階建物ユニット3間には、当該下階建物ユニット3に挟まれて補強梁20が設けられている。この補強梁20は、柱省略コーナ部Aに臨む各下階建物ユニット3の特に短辺天井梁11Bを補強するために設けられたものであり、所定間隔Lをあけて配置した2個の下階建物ユニット3及び下階建物ユニット31に渡って設けられている。
【0021】
図9は、前記実施形態の要部を示す分解斜視図である。補強梁20は、図9に詳細を示すように、所定厚さの板部材で形成されるとともに、下階建物ユニット3の天井梁11と上階建物ユニット5の床梁12との高さ寸法を合計した寸法とほぼ等しい高さ寸法に形成されている。このような補強梁20は、一端部を下階建物ユニット3の天井梁11の下端部に揃え、他端部を上階建物ユニット5側に突出させて取り付けられている。
【0022】
以上の補強梁20の長さ方向には、それぞれ補強梁20に沿って水平な補強プレート21,22が設けられている。これらの補強プレート21,22は、補強梁20の厚さ方向両側(但し、建物ユニット31,51側の端部は片側のみ)に設けられており、補強梁20の長さ方向両端部の補強プレート21はほぼ正方形状に形成され、これらの間に設けられる補強プレート21は下階建物ユニット3及び下階建物ユニット31の対向する仕口14に亘る大きさの矩形状に形成されている。そして、この矩形状の補強プレート21と建物ユニット3,5側の補強プレート21との間に設けられる補強プレート22は所定間隔L離れて対向する下階建物ユニット3の仕口14間に亘る大きさの矩形状に形成されている。そして、長さ方向両端部の補強プレート21は、一方向に隣り合う下階建物ユニット3における外側の各柱10の頂部を構成する仕口14同士を連結している。
【0023】
すなわち、柱10の頂部及び柱省略コーナ部Aの仕口14の上端部には、係合ピン15,16が立設されるとともに、ボルト結合用孔14Aがあけられており、これに対して、補強プレート21,22には、係合孔21A,21B、及び係合孔22A,22Bがあけられ、さらに、ボルト結合用孔21C、22Cがあけられている。
そのため、まず、それぞれ、柱10の頂部及び柱省略コーナ部Aの仕口14の上端部に立設された係合ピン15,16に、補強プレート21,22にあけられた係合孔21A,21B、及び係合孔22A,22Bをそれぞれ差し込み、補強梁20及び補強プレート21,22と、下階建物ユニット3及び下階建物ユニット31とを位置決めして連結できるようになっている。
【0024】
上階建物ユニット5及び上階建物ユニット51を連結、固定するには、まず、上階建物ユニット5及び上階建物ユニット51における柱10の下端の仕口14にあけられた図示しない係合孔を前記係合ピン15,16に係合させて位置決めする。その後、上階建物ユニット5及び下階建物ユニット3並びに下階建物ユニット31及び上階建物ユニット51の仕口14にあけられたボルト結合用孔14Aと、補強プレート21,22にあけられたボルト結合用孔21Cにボルト17とを挿通させるとともに、このボルト17にナット18を螺合させて、補強梁20を水平方向に挟み込み、補強プレート21,22を上下方向に挟み込んで、上階建物ユニット5及び下階建物ユニット3並びに下階建物ユニット31及び上階建物ユニット51を連結、固定する。
この結果、上下に各4個の建物ユニット3,5と、上下に各2個の建物ユニット31,51とが補強プレート21,22、及び補強プレート21,22と一体となった補強梁20によって互いに連結され、ユニット式建物1の全体の強度が確保されるようになっている。
【0025】
図10は、前記実施形態の他の要部を示す分解斜視図である。図6,9等に示すように、4個の下階建物ユニット3及び2個の下階建物ユニット31の外周部分には、前記補強梁20とほぼ平行に2個の外周用補強梁30が架設されている。これらの外周用補強梁30は板状部材で形成され、一方は補強梁20とほぼ同じ長さ寸法に形成され、他方は補強梁20より略所定間隔Lだけ長い寸法に形成されている。
【0026】
外周用補強梁30には、その両端部及び中央部に、係合孔30A,30B、及びボルト結合用孔30Cがそれぞれあけられており、柱10の頂部の仕口14に立設された係合ピン15,16に、外周用補強梁30の係合孔30A,30Bをそれぞれ差し込み、外周用補強梁30と、下階建物ユニット3及び下階建物ユニット31とを位置決めして連結できるようになっている。その後は、上階建物ユニット5及び上階建物ユニット51と下階建物ユニット3及び下階建物ユニット31との仕口14のボルト結合用孔14Aと、外周用補強梁30のボルト結合用孔30Cとにボルト17を挿通させるとともに、このボルト17にナット18を螺合させて、外周用補強梁30を水平方向に挟み込んで、上階建物ユニット5及び上階建物ユニット51と下階建物ユニット3及び下階建物ユニット31とを連結、固定できるようになっている。
【0027】
図8は、前記実施形態の下階部及び上階部を示す分解斜視図である。前記所定間隔Lで離し置きされた下階建物ユニット3間の隙間は、図6,7に示すように、閉塞用パネルである壁パネル32で塞がれている。この壁パネル32には、下階建物ユニット3の外壁8(図2参照)と垂直面内で連続するように、図示しない接続用外壁が取り付けられるようになっている。また、所定間隔Lで離し置きされた下階建物ユニット3間の上部の隙間は、閉塞用パネルである天井パネル33(図1参照)で塞がれている。
【0028】
以上のように、4個の下階建物ユニット3のうち2個ずつを一方向に隣り合わせるとともに、所定間隔Lの隙間をあけて配置し、4個の下階建物ユニット3の各柱省略コーナ部Aを一箇所に集めたので、図2に示すように、柱なし空間と所定間隔Lの隙間とでなる水平方向に連続する大空間の居室Rを形成することができる。
また、これら4個の下階建物ユニット3に間隔なく隣り合う下階建物ユニット31と、所定間隔Lの隙間をあけて配置される下階建物ユニット31とが備えられているので、大空間の居室Rに加えて、さらに居住空間を確保できる。
【0029】
このような4個の下階建物ユニット3及び2個の下階建物ユニット31の上端には、前述のように、それぞれ4個の上階建物ユニット5及び2個の上階建物ユニット51が載置されている。これらの上階建物ユニット5間の隙間は、図1に示すように、下階建物ユニット3間の隙間及び下階建物ユニット3と下階建物ユニット31との間の隙間と同様に、閉塞用パネルである壁パネル32で塞がれている。また、離し置きされた上階建物ユニット5及び上階建物ユニット51の下面の隙間及び上面の隙間は、図示しないが、例えば接続用床パネル、接続用天井パネルで、それぞれ塞がれている。
また、4個の上階建物ユニット5及び2個の上階建物ユニット51の上端面は、図2に示すように、一方向に隣り合う上階建物ユニット5の柱10同士を連結する上階用としての前記補強梁20で連結され、各上階建物ユニット5及び上階建物ユニット51の外側外周は、上階用としての前記外周用補強梁30で連結されている。
【0030】
次に、図1及び図8〜図10を参照しながら、以上のようなユニット式建物1の構築方法を説明する。まず、基礎2の上に、柱省略コーナ部Aを有する4個の下階建物ユニット3の各柱省略コーナ部A同士を突き合わせるとともに、4個の下階建物ユニット3のうち2個ずつを、一方向に隣合わせ、かつ、所定間隔Lをあけて配置し、さらに、下階建物ユニット3と同様に所定間隔L離れて配置した下階建物ユニット31と間隔なく配置した下階建物ユニット31とをアンカーボルト等で固定する。
【0031】
次いで、一方向に隣り合って設けられ、かつ、それらが隙間として所定間隔L離れて配置された2個ずつの下階建物ユニット3及びこれに隣り合う下階建物ユニット31の間に補強梁20を架け渡すとともに、この補強梁20に設けられた補強プレート21の一方を下階建物ユニット3の隣り合う柱10の頂部に係合させ、他方を下階建物ユニット31の外側の仕口14に係合させるとともに、補強プレート22を下階建物ユニット3及び下階建物ユニット31の仕口14の頂部に係合させる。この際、柱10の頂部及び柱省略コーナ部Aの仕口14の上端部に立設された係合ピン15,16に、補強プレート21,22にあけられた係合孔21A,21B、及び係合孔22A,22Bをそれぞれ差し込み、補強梁20及び補強プレート21,22と、下階建物ユニット3及び下階建物ユニット31とを位置決めして連結する。同様に、下階建物ユニット3及び下階建物ユニット31の外側両端に外周用補強梁30を架け渡す。
【0032】
この後、上階建物ユニット5及び上階建物ユニット51を補強プレート21の上に配置するとともに、下階建物ユニット3及び下階建物ユニット31の仕口14に立設された係合ピン15,16に、上階建物ユニット5及び上階建物ユニット51における柱10の下部の仕口14にあけられている図示しない係合穴を挿通させて位置決めを行う。そして、上階建物ユニット5における柱10の下部の仕口14にあけられている図示しないボルト結合用孔、及び補強プレート21のボルト結合用孔21Cと、補強プレート22のボルト結合用孔22Cと、下階建物ユニット3の仕口14のボルト結合用孔14Aとに、ボルト17を挿通させて、そのボルト17とナット18とを螺合させ、これらの作業により、外周用補強梁30を挟み込んで上階建物ユニット5及び上階建物ユニット51と下階建物ユニット3及び下階建物ユニット31とを連結する。その後、上階部6の上階建物ユニット5の上方に、小屋枠7Aを介して屋根パネル7B等を設けて図示しない屋根部を構成し、ユニット式建物1を完成させる。
【0033】
以上のような第1実施形態によれば、次のような効果が得られる。
下階建物ユニット3及び上階建物ユニット5のうち、それぞれ2個ずつが、各建物ユニット3,5の短辺同士が対向する方向の一方向に隣り合うとともに、この一方向と交差する方向に所定間隔L離れて配置されている。さらに、これらの建物ユニット3,5と同様に建物ユニット31,51の短辺同士が対向する一方向に向き合うとともに、この一方向と交差する方向に一方の建物ユニット31,51が所定間隔L離れて配置され、他方は建物ユニット3,5と長辺同士が対向する方向に間隔なく隣り合っており、建物ユニット3,5間の間隔を不規則に設けることができるので、敷地が矩形状でない場合でも、敷地を有効に利用することができる。また、下階建物ユニット3を敷地の外周縁に沿って設置することにより生じる建物ユニット3,5間の隙間を壁パネル32及び天井パネル33で閉塞するので、離隔する複数の建物ユニットを一連の建物空間として利用することができる。このため、建物ユニット3,5の大きさに影響されることなく、所望の建物空間を形成することができる。従って、敷地の大きさに合わせて自在に建物空間を形成することができ、狭小な敷地においても建物空間を有効活用することができる。
【0034】
以下、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
図11〜図12には第2実施形態のユニット式建物1が示されている。図11は、本発明に係るユニット式建物の第2実施形態を示す全体図である。図12は、前記実施形態のユニット式建物の建物ユニット及び補強梁の上面図である。
図11及び図12に示すように、第2実施形態のユニット式建物1は、基礎2の上に設けられた、例えば、4個の下階建物ユニット3と2個の柱省略のない略無下階建物ユニット35とを備えた下階部4と、下階建物ユニット3及び略無下階建物ユニット35の上に載置された6個の上階建物ユニット5を備えた上階部6と、この上階部6の上方に設けられる図示しない屋根とを備えて構成されている。
【0035】
以上の下階建物ユニット3及び上階建物ユニット5のうち、第一建物ユニット及び第四建物ユニットと第二建物ユニット及び第五建物ユニットとがそれぞれ2個ずつ各建物ユニット3,5の短辺同士が対向する方向の一方向に隣り合うとともに、この一方向と交差する方向にも間隔なく隣り合うように配置されている。
さらに、これらの建物ユニット3,5と同様に、第三建物ユニット及び第六建物ユニットである2個の略無下階建物ユニット35及び2個の上階建物ユニット5のうち、第六建物ユニットであるそれぞれ1個ずつの略無下階建物ユニット35及び上階建物ユニット5が第四隙間として所定間隔L配置され、第三建物ユニットであるもう1個ずつが第二隙間として幅広間隔LW離れている。
そして、間隔なく隣り合う4個の下階建物ユニット3は、前記第1実施形態と同様にそれぞれ1本の柱が省略された柱省略コーナ部Aが対向しており、下階建物ユニット3の短辺方向に沿って補強梁20が挟まれて設けられている。
【0036】
以上のような第2実施形態によれば、次のような効果が得られる。
下階建物ユニット3及び上階建物ユニット5のうち、それぞれ2個ずつが、各建物ユニット3,5の短辺同士が対向する方向の一方向に隣り合うとともに、この一方向と交差する方向にも間隔なく隣り合うように配置されている。さらに、これらの建物ユニット3,5と同様に、2個の略無下階建物ユニット35及び2個の上階建物ユニット5のうち、それぞれ1個ずつの略無下階建物ユニット35及び上階建物ユニット5が隙間として所定間隔L配置され、もう1個ずつが隙間として幅広間隔LW離れている。
このため、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができ、さらに、建物ユニット31,51を用いずに建物ユニット3,5のみで第1実施形態におけるユニット式建物1と同様の延床面積及び敷地形状のユニット式建物1を構成することができるとともに、生産性の向上及び製造コストの低減ができる。
【0037】
以下、本発明の第3実施形態を図面に基づいて説明する。
図13〜図14には第3実施形態のユニット式建物1が示されている。図13は、本発明に係るユニット式建物の第3実施形態を示す全体図である。図14は、前記実施形態のユニット式建物の建物ユニットの上面図である。
図13及び図14に示すように、第3実施形態のユニット式建物1は、基礎2の上に設けられた、例えば、4個の略無下階建物ユニット35及び1個の長下階建物ユニット34を備えた下階部4と、下階建物ユニット3及び長下階建物ユニット34の上に載置された4個の上階建物ユニット5及び長上階建物ユニット54を備えた上階部6と、この上階部6の上方に設けられる図示しない屋根とを備えて構成されている。
なお、長建物ユニット34,54は、上階建物ユニット5と同様に柱省略のない略直方体状に形成された骨組み13を有しており、長辺天井梁11A及び長辺床梁12Aの長さが建物ユニット3,5より長くなっている(図4参照)。
【0038】
以上の略無下階建物ユニット35及び上階建物ユニット5のうち、それぞれ4個ずつが、各建物ユニット35,5の長辺同士が並行となり、かつ、隙間として所定間隔L離れて直線状に並列されている。そして、1個の長建物ユニット34,54は、その長辺が並列する4個の建物ユニット35,5の短辺と平行となる向きに所定間隔L離れ、かつ、並列する4個の建物ユニットの中央に位置するように配置されている。これにより、所定間隔Lの隙間が前後方向と左右方向とに形成され、かつ、これらが交差する配置となる。
【0039】
以上のような第3実施形態では、張出部を有する細長い敷地においても居住空間を有効に確保することができるので、前記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0040】
以下、本発明の第4実施形態を図面に基づいて説明する。
図15〜図16には第4実施形態のユニット式建物1が示されている。図15は、本発明に係るユニット式建物の第4実施形態を示す全体図である。図16は、前記実施形態のユニット式建物の建物ユニットの上面図である。
図15及び図16に示すように、第4実施形態のユニット式建物1は、基礎2の上に設けられた、例えば、4個の略無下階建物ユニット35と2個の長下階建物ユニット34とを備えた下階部4と、下階部4の略無下階建物ユニット35及び長下階建物ユニット34の上に載置された4個の上階建物ユニット5と2個の長上階建物ユニット54を備えた上階部6と、この上階部6の上方に設けられる図示しない屋根とを備えて構成されている。
【0041】
以上の略無下階建物ユニット35及び上階建物ユニット5のうち、それぞれ4個ずつが、各建物ユニット35,5の長辺同士が並行となり、かつ、隙間として所定間隔L離れて直線状に並列されている。そして、2個の長建物ユニット34,54は、それぞれの長辺が並列する4個の建物ユニット35,5の短辺と平行となる向きに所定間隔L離れ、かつ、それぞれの外側の短辺が建物ユニット35,5の外側の長辺の延長線上に位置するように配置されている。これにより、所定間隔Lの隙間が前後方向と左右方向とに形成され、かつ、これらが前後左右に連通する配置となる。
【0042】
以上のような第4実施形態によれば、次のような効果が得られる。
4個の略無下階建物ユニット35と2個の長下階建物ユニット34とを備えた下階部4と、下階部4の略無下階建物ユニット35及び長下階建物ユニット34の上に載置された4個の上階建物ユニット5と2個の長上階建物ユニット54を備えているので、同じ形状の敷地に設置する場合でも、形状の異なる建物ユニット35,5を様々に組み合わせることができる。
このため、ユニット式建物1の間取りを自在に選択することができ、居住者のニーズに即したユニット式建物1を構成することができる。
【0043】
なお、本発明は前述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
図17は、本発明に係るユニット式建物の変形例を示す概略図である。図17に示したように、(A)のような短辺同士が対向する2個の建物ユニット35,5に長辺が平行となるように隣り合う2個の建物ユニット35,5のうち、一方が隙間として所定間隔L離れ、他方が間隔なく隣り合って配置されるユニット式建物1でもよい。
【0044】
若しくは、(B)のような短辺同士が対向して所定間隔L離れて配置された2個の建物ユニット35,5と、短辺同士が対向して間隔なく配置された2個の建物ユニット35,5とが長辺が対向するように間隔なく隣り合うユニット式建物1でもよい。
【0045】
さらには、(C)のような短辺同士が対向して所定間隔L離れて配置された2個の建物ユニット35,5と、これらの長辺と対向する2個の建物ユニット35,5のうち、一方が所定間隔L離れ、他方が間隔なく隣り合って配置されるユニット式建物1でもよい。
【0046】
上記実施形態では大空間な居室Rを下階部4にのみ設けているが、これに限らず、上階部6にも大空間な居室Rを設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、個人住宅用に利用できる他、アパート等共同住宅にも利用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1…ユニット式建物
3…下階建物ユニット
5…上階建物ユニット
31…下階建物ユニット
32…壁パネル
33…天井パネル
34…長下階建物ユニット
35…略無下階建物ユニット
51…上階建物ユニット
54…長上階建物ユニット
L…所定間隔(隙間)
R…居室
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の建物ユニットを前後左右に配置して施工されるユニット式建物であって、敷地の外周縁に沿って前記建物ユニットを配置し、これらの建物ユニットの間に前後方向と左右方向との少なくとも一方向に形成される隙間をパネルで閉塞し、前記建物ユニットが少なくとも前後左右に4個配置され、左側に配置された第一建物ユニットと第二建物ユニットとは、前記隙間が形成されずに隣り合って配置され、前記第一建物ユニットと、前記第一建物ユニットの右側に対向して配置された第三建物ユニットとの間には、左右方向に第一隙間が形成され、前記第三建物ユニットと、前記第三建物ユニットの前側に対向して配置された第四建物ユニットとの間には、前後方向に第二隙間が形成され、前記第二建物ユニットと前記第四建物ユニットとは、前記隙間が形成されずに隣り合って配置されていることを特徴とするユニット式建物。
【請求項2】
請求項1に記載のユニット式建物であって、前記第一隙間と前記第二隙間とは連通していることを特徴とするユニット式建物。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のユニット式建物であって、前記第一隙間と前記第二隙間とは同じ寸法であることを特徴とするユニット式建物。
【請求項1】
複数の建物ユニットを前後左右に配置して施工されるユニット式建物であって、敷地の外周縁に沿って前記建物ユニットを配置し、これらの建物ユニットの間に前後方向と左右方向との少なくとも一方向に形成される隙間をパネルで閉塞し、前記建物ユニットが少なくとも前後左右に4個配置され、左側に配置された第一建物ユニットと第二建物ユニットとは、前記隙間が形成されずに隣り合って配置され、前記第一建物ユニットと、前記第一建物ユニットの右側に対向して配置された第三建物ユニットとの間には、左右方向に第一隙間が形成され、前記第三建物ユニットと、前記第三建物ユニットの前側に対向して配置された第四建物ユニットとの間には、前後方向に第二隙間が形成され、前記第二建物ユニットと前記第四建物ユニットとは、前記隙間が形成されずに隣り合って配置されていることを特徴とするユニット式建物。
【請求項2】
請求項1に記載のユニット式建物であって、前記第一隙間と前記第二隙間とは連通していることを特徴とするユニット式建物。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のユニット式建物であって、前記第一隙間と前記第二隙間とは同じ寸法であることを特徴とするユニット式建物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−19263(P2013−19263A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−239567(P2012−239567)
【出願日】平成24年10月30日(2012.10.30)
【分割の表示】特願2008−52061(P2008−52061)の分割
【原出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【出願人】(307042385)ミサワホーム株式会社 (569)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年10月30日(2012.10.30)
【分割の表示】特願2008−52061(P2008−52061)の分割
【原出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【出願人】(307042385)ミサワホーム株式会社 (569)
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