説明

ユニット式建築物の間仕切壁施工システム

【課題】間仕切壁の立設作業及び撤去作業に関する、作業効率の低下及び作業コストの増加を抑制することが可能な間仕切壁施工システムを提供する。
【解決手段】浴室ユニットBとトイレユニットTとの連結部において、積層した第一板材2の端部と第二板材6の端部とをボルト部材12により連結し、間仕切壁1の端部を、第一板材2の端部を間に挟んで第二板材6の端部と積層させて配置し、ボルト部材12により第一板材2へ着脱可能に連結する介装部材16を、第一板材2の端部と間仕切壁1の端部との間に介装し、間仕切壁側挿通孔18に挿通した締結部材38を、第一挟持部材側挿入孔44及び第二挟持部材側挿入孔46に螺合することにより、介装部材16に固定される第一挟持部材34と、介装部材16へ着脱可能に連結する第二挟持部材36により、間仕切壁1の端部を挟持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、浴室ユニットと洗面室ユニット等、部屋を形成する防水ユニット同士を区画するための間仕切壁を、隣り合う防水ユニット同士の連結部に立設する、ユニット式建築物の間仕切壁施工システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、浴室ユニットと洗面室ユニット等、部屋を形成する防水ユニット同士の連結部に、両者を区画するための間仕切壁を立設するシステムとしては、例えば、特許文献1に記載されているような間仕切壁施工システムがある。
特許文献1に記載されている間仕切壁施工システムでは、浴室ユニットが備える壁材の側端部に浴室内壁側ジョイント片を配設し、洗面室ユニットが備える壁材の側端部に洗面室内壁側ジョイント片を配設する。そして、浴室内壁側ジョイント片と洗面室内壁側ジョイント片とを、浴室と洗面室の境界部に設定した壁間隙部で互いに重合させて固定することにより、間仕切壁固定部を形成する。これに加え、間仕切壁固定部に間仕切壁を取り付けて、隣り合う防水ユニット同士の連結部に間仕切壁を立設する。
このような構成の間仕切壁施工システムであれば、浴室と洗面室が連続する部屋として内壁が形成される場合であっても、浴室と洗面室の間に、間仕切り壁を簡便に取り付けることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008―180042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されているような間仕切壁施工システムでは、間仕切壁固定部を、隣り合う防水ユニットがそれぞれ備える壁材の側端部にそれぞれ配設した、浴室内壁側ジョイント片と洗面室内壁側ジョイント片とを、互いに重合させて固定することにより形成する。
このため、間仕切壁の立設作業や、間仕切壁の位置を変更する場合等、間仕切壁の撤去作業では、隣り合う防水ユニットを形成する部材を、それぞれ、加工する必要があるため、作業効率が低下するとともに、作業コストが増加するという問題が生じるおそれがある。
本発明は、上述したような問題点に着目してなされたもので、防水ユニットを形成する部材や間仕切壁を加工することなく、間仕切壁の立設作業及び撤去作業を行うことが可能な、ユニット式建築物の間仕切壁施工システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明のうち、請求項1に記載した発明は、第一の部屋を形成する第一ユニットと第二の部屋を形成する第二ユニットとをボルト部材により連結し、その連結部に間仕切壁保持手段を介して間仕切壁を立設するユニット式建築物の間仕切壁施工システムであって、
前記連結部において、前記第一ユニットの床板または天井を構成する第一板材の端部と前記第二ユニットの床板または天井を構成する第二板材の端部とを積層し、その積層した前記第一板材の端部と前記第二板材の端部とを前記ボルト部材により連結し、
前記間仕切壁の端部を、前記第一板材の端部を間に挟んで第一板材の端部及び前記第二板材の端部と積層させて配置し、
前記間仕切壁保持手段は、前記第一板材の端部と前記間仕切壁の端部との間に介装し且つ前記ボルト部材により第一板材へ着脱可能に連結する介装部材と、前記第一の部屋及び前記第二の部屋のうちの一方に配置し且つ前記介装部材に固定される第一挟持部材と、前記第一の部屋及び前記第二の部屋のうちの他方に配置し且つ前記介装部材へ着脱可能に連結する第二挟持部材と、を備え、
前記間仕切壁の端部を、前記第一挟持部材と前記第二挟持部材で挟持して保持することを特徴とするものである。
【0006】
本発明によると、第一の部屋を形成する第一ユニットの床板または天井を構成する第一板材の端部と、第二の部屋を形成する第二ユニットの床板または天井を構成する第二板材の端部とを連結するボルト部材により、第一板材の端部と間仕切壁の端部との間に介装する介装部材を、第一板材へ着脱可能に連結する。これに加え、介装部材に固定される第一挟持部材と、介装部材へ着脱可能に連結する第二挟持部材により間仕切壁の端部を挟持して、第一ユニットと第二ユニットとの連結部へ間仕切壁を立設する。
このため、第一板材及び第二板材や間仕切壁を加工することなく、間仕切壁の立設作業及び撤去作業を行うことが可能となる。
また、第一板材の端部と第二板材の端部とを連結するボルト部材の位置が、間仕切壁を立設する位置に設定されるため、間仕切壁の位置決めが容易となり、間仕切壁の立設作業が容易となる。
【0007】
次に、請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した発明であって、前記介装部材と前記第一挟持部材とを一体成形したことを特徴とするものである。
本発明によると、介装部材と第一挟持部材とを一体成形して、第一挟持部材を介装部材に固定する。
このため、介装部材に対する第一挟持部材の変位を抑制することが可能となり、介装部材、第一挟持部材及び第二挟持部材による間仕切壁の保持力を増加させることが可能となる。
【0008】
次に、請求項3に記載した発明は、請求項1または2に記載した発明であって、前記間仕切壁保持手段は、外周面に雄ねじを形成した締結部材を備え、
前記第一挟持部材に、前記締結部材の雄ねじと螺合する雌ねじを内周面に有する第一挟持部材側挿入孔を形成し、
前記第二挟持部材に、前記締結部材の雄ねじと螺合する雌ねじを内周面に有する第二挟持部材側挿入孔を形成し、
前記間仕切壁の端部に、前記締結部材を挿通可能な間仕切壁側挿通孔を形成し、
前記間仕切壁側挿通孔に挿通した前記締結部材を前記第一挟持部材側挿入孔及び前記第二挟持部材側挿入孔に螺合することにより、前記間仕切壁の端部を前記第一挟持部材と前記第二挟持部材で挟持することを特徴とするものである。
【0009】
本発明によると、間仕切壁側挿通孔に挿通した締結部材を、第一挟持部材側挿入孔及び第二挟持部材側挿入孔に螺合することにより、間仕切壁の端部を、第一挟持部材と第二挟持部材で挟持する。
このため、締結部材の雄ねじと、この雄ねじと螺合する雌ねじとを螺合させずに、間仕切壁の端部を、第一挟持部材と第二挟持部材で挟持する場合と比較して、第一挟持部材及び第二挟持部材による間仕切壁の挟持力を増加させることが可能となる。
【0010】
次に、請求項4に記載した発明は、請求項1から3のうちいずれか1項に記載した発明であって、前記介装部材、前記第一挟持部材及び前記第二挟持部材のうち少なくとも一つを、前記第一ユニットと前記第二ユニットとの境界に沿って延在させることを特徴とするものである。
本発明によると、介装部材、第一挟持部材及び第二挟持部材のうち少なくとも一つを、第一ユニットと第二ユニットとの境界に沿って延在させることにより、この境界に沿って延在させた部材と間仕切壁との接触面積を、増加させることが可能となる。
このため、介装部材、第一挟持部材及び第二挟持部材による間仕切壁の挟持力を増加させて、介装部材、第一挟持部材及び第二挟持部材による間仕切壁の保持力を増加させることが可能となる。
【0011】
次に、請求項5に記載した発明は、請求項4に記載した発明であって、前記介装部材、前記第一挟持部材及び前記第二挟持部材のうち少なくとも前記境界に沿って延在させた部材を、前記第一板材に密接させることを特徴とするものである。
本発明によると、介装部材、第一挟持部材及び第二挟持部材のうち少なくとも一つを、第一板材に密接させることにより、第一板材に密接させた部材と第一板材との間に形成される隙間を、閉塞することが可能となる。
このため、間仕切壁を境界とした、第一の部屋と第二の部屋との間における液体等の移動を抑制することが可能となる。
【0012】
次に、請求項6に記載した発明は、請求項4または5に記載した発明であって、前記介装部材、前記第一挟持部材及び前記第二挟持部材のうち少なくとも前記境界に沿って延在させた部材は、防水性を有することを特徴とするものである。
本発明によると、介装部材、第一挟持部材及び第二挟持部材のうち、少なくとも第一ユニットと第二ユニットとの境界に沿って延在させた部材が、防水性を有する。
このため、第一ユニットと第二ユニットとの境界に沿って延在させた部材に、液体が浸透することを抑制することが可能となる。
【0013】
次に、請求項7に記載した発明は、請求項1から6のうちいずれか1項に記載した発明であって、前記第一板材及び前記第二板材のうち少なくとも一方は、防水性を有することを特徴とするものである。
本発明によると、防水性を有する板材を備える防水ユニットと、このユニットに隣り合う、防水性を有する板材を備える防水ユニット、または、防水性を有していない板材を備えるユニットとの連結部へ、間仕切壁を立設する。
このため、隣り合う防水ユニット、または、防水ユニットと、この防水ユニットに隣り合うユニットを構成する部材を加工することなく、隣り合うユニット同士の連結部へ、間仕切壁の立設作業及び撤去作業を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、部屋を形成するユニットを構成する部材や間仕切壁を加工することなく、間仕切壁の立設作業及び撤去作業を行うことが可能となるため、間仕切壁の立設作業及び撤去作業に関する、作業効率の低下及び作業コストの増加を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第一実施形態の間仕切壁施工システムにより、隣り合う浴室ユニット及びトイレユニットの一部と、浴室ユニットとトイレユニットとの連結部に立設した間仕切壁を示す側面図である。
【図2】図1中に円IIで囲んだ範囲の拡大図であり、間仕切壁の下端側における詳細な構成を示す図である。
【図3】図2のII線矢視図である。
【図4】図2のIV線矢視図である。
【図5】図1中に円Vで囲んだ範囲の拡大図であり、間仕切壁の上端側における詳細な構成を示す図である。
【図6】第一実施形態の間仕切壁施工システムを用いて、浴室ユニットとトイレユニットとの連結部に間仕切壁を立設する工程の一部を示す図であり、浴室ユニットとトイレユニットとの連結部において、介装部材を連結する状態を示す図である。
【図7】第一実施形態の間仕切壁施工システムを用いて、浴室ユニットとトイレユニットとの連結部に間仕切壁を立設する工程の一部を示す図であり、第一挟持部材と第二挟持部材により、間仕切壁を挟持する状態を示す図である。
【図8】建物内において、間仕切壁を立設しない箇所における、第一板材と第二板材との連結部を示す側面図である。
【図9】本発明の変形例を示す図である。
【図10】本発明の変形例を示す図である。
【図11】本発明の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態(以下、「本実施形態」と記載する)について、図面を参照しつつ説明する。
(構成)
まず、図1から図5を用いて、本実施形態の構成を説明する。
【0017】
図1は、本実施形態のユニット式建築物の間仕切壁施工システム(以下、「間仕切壁施工システム」と記載する)により、隣り合う第一ユニットと第二ユニットとの連結部に立設した間仕切壁1を示す側面図である。
なお、本実施形態では、第一ユニットを、第一の部屋である浴室を形成する浴室ユニット(以下、「浴室ユニットB」と記載する)とし、第二ユニットを、第二の部屋であるトイレを形成するトイレユニット(以下、「トイレユニットT」と記載する)とする。また、図1中には、浴室ユニットB、トイレユニットT及び間仕切壁1の概略構成を示している。
【0018】
浴室ユニットBは、第一の部屋である浴室を形成するユニットであり、床板及び天井を構成する第一板材2を備えている。また、浴室ユニットBの内部には、浴槽4が配置されている。なお、図1中では、説明のために、浴室ユニットBの床板を構成する第一板材2を「第一板材2F」と図示し、浴室ユニットBの天井を構成する第一板材2を「第一板材2C」と図示する。
第一板材2は、例えば、FRP(fiber reinforced plastics)等、防水性を有する材料を用いて形成されている。
【0019】
トイレユニットTは、第二の部屋であるトイレを形成するユニットであり、床板及び天井を構成する第二板材6を備えている。また、トイレユニットTの内部には、便器8が配置されている。したがって、図1中に示す浴室ユニットBとトイレユニットTを備える建物は、ユニット式の建築物(ユニット式建築物)となる。なお、図1中では、説明のために、トイレユニットTの床板を構成する第二板材6を「第二板材6F」と図示し、トイレユニットTの天井を構成する第二板材6を「第二板材6C」と図示する。
第二板材6は、第一板材2と同様、例えば、FRP等、防水性を有する材料を用いて形成されている。
間仕切壁1は、例えば、木材と樹脂材の複合素材を用いて形成されており、防水性を有している。
【0020】
また、間仕切壁1は、板状に形成されており、浴室ユニットBとトイレユニットTとの連結部に、間仕切壁1を保持した間仕切壁保持手段10を介して立設することにより、浴室ユニットBとトイレユニットTとを区画している。間仕切壁保持手段10の構成については、後述する。
また、浴室ユニットBとトイレユニットTとの連結部には、間仕切壁1の端部(上端部及び下端部)と、第一板材2の端部と、第二板材6の端部とを、上下方向に順次積層している。
図2は、図1中に円IIで囲んだ範囲の拡大図であり、間仕切壁1の下端側における詳細な構成を示す図である。なお、図2中に示す第一板材2は、浴室ユニットBの床板を構成する板材である。また、図2中に示す第二板材6は、トイレユニットTの床板を構成する板材である。
【0021】
図2中に示すように、本実施形態の間仕切壁施工システムは、浴室ユニットBとトイレユニットTとをボルト部材12により連結し、その連結部に、間仕切壁保持手段10を介して、間仕切壁1を立設するシステムである。
ボルト部材12は、上下方向(第一板材2の板厚方向)に延在する棒状部材であり、外周面に雄ねじが形成されている。なお、図中及び以降の説明では、ボルト部材12の外周面に形成した雄ねじを、「ボルト部材側雄ねじ14」と記載する。なお、ボルト部材12の長さは、図2中に示すように、第一板材2、第二板材6及び後述する介装部材16を上下方向に積層した合計の厚さよりも短い。
【0022】
また、ボルト部材12は、浴室ユニットBとトイレユニットTとの連結部において、上下方向に積層した第一板材2の端部と第二板材6の端部とを連結している。
間仕切壁1は、その端部に、間仕切壁1の厚さ方向に貫通する間仕切壁側挿通孔18を形成している。
間仕切壁側挿通孔18の内周面には、後述する締結部材側雄ねじ20と螺合する雌ねじが形成されている。なお、図中及び以降の説明では、間仕切壁側挿通孔18の内周面に形成した雌ねじを、「間仕切壁側雌ねじ22」と記載する。
また、間仕切壁1の端部は、浴室ユニットBとトイレユニットTとの連結部において、第一板材2の端部を間に挟んで、第一板材2の端部及び第二板材6の端部と積層させて配置されている。
【0023】
以下、第一板材2及び第二板材6の詳細な構成を説明する。
第一板材2は、上下方向(間仕切壁1の高さ方向、第一板材2の板厚方向)に貫通する板材側貫通孔24を有している。
板材側貫通孔24の内周面には、ボルト部材側雄ねじ14と螺合する雌ねじを形成している。なお、図中及び以降の説明では、板材側貫通孔24の内周面に形成した雌ねじを、「第一板材側雌ねじ26」と記載する。
また、板材側貫通孔24は、第一板材2の端部付近に一定間隔で複数形成されている。なお、本実施形態では、一例として、各板材側貫通孔24を、互いに455mm間隔で配置、すなわち、一定間隔を、455mmとする。
【0024】
第二板材6は、第一板材2と対向する端部側に、第一板材2を挟んで間仕切壁1と上下方向で対向する鍔部28を備えている。
鍔部28は、板材側貫通孔24と連通するボルト螺合孔30を有している。なお、本実施形態では、ボルト螺合孔30を、上下方向(間仕切壁1の高さ方向、第二板材6の板厚方向)に貫通する貫通孔とした場合について説明する。
ボルト螺合孔30の内周面には、ボルト部材側雄ねじ14と螺合する雌ねじを形成している。なお、図中及び以降の説明では、ボルト螺合孔30の内周面に形成した雌ねじを、「第二板材側雌ねじ32」と記載する。
以上、第一板材2及び第二板材6の詳細な構成の説明を終了する。
【0025】
以下、間仕切壁保持手段10の詳細な構成を説明する。
間仕切壁保持手段10は、介装部材16と、第一挟持部材34と、第二挟持部材36と、締結部材38を備えている。
介装部材16は、間仕切壁1と第一板材2との間に介装されている。
また、介装部材16は、第一板材2及び第二板材6と同様、例えば、FRP等、防水性を有する材料を用いて形成されている。
介装部材16の下面(第一板材2と対向する面)は、第一板材2に密接している。すなわち、介装部材16は、第一板材2に密接している。
また、介装部材16には、板材側貫通孔24と連通する介装部材側取付け孔40が形成されている。
【0026】
介装部材側取付け孔40の内周面には、ボルト部材側雄ねじ14と螺合する雌ねじを形成している。なお、図中及び以降の説明では、介装部材側取付け孔40の内周面に形成した雌ねじを、「介装部材側雌ねじ42」と記載する。
第一挟持部材34は、トイレユニットTが形成する部屋(トイレ)に配置されており、介装部材16の側面から上方に延在している。
また、第一挟持部材34は、介装部材16と一体成形されて、介装部材16に固定されている。すなわち、第一挟持部材34は、介装部材16と同様、例えば、FRP等、防水性を有する材料を用いて形成されている。
第一挟持部材34の下面(第一板材2と対向する面)は、第一板材2に密接している。すなわち、第一挟持部材34は、介装部材16と同様、第一板材2に密接している。
【0027】
また、第一挟持部材34には、締結部材38を挿入可能な第一挟持部材側挿入孔44が形成されている。
第一挟持部材側挿入孔44の内周面には、後述する締結部材側雄ねじ20と螺合する雌ねじを形成している。なお、図中及び以降の説明では、第一挟持部材側挿入孔44の内周面に形成した雌ねじを、「第一挟持部材側雌ねじ46」と記載する。
第二挟持部材36は、浴室ユニットBが形成する部屋(浴室)に配置されている。
また、第二挟持部材36は、第一挟持部材34と同様、例えば、FRP等、防水性を有する材料を用いて形成されている。
また、第二挟持部材36は、締結部材38により、介装部材16へ着脱可能に連結されている。
【0028】
第二挟持部材36の下面(第一板材2と対向する面)は、第一板材2に密接している。すなわち、第二挟持部材36は、介装部材16および第一挟持部材34と同様、第一板材2に密接している。
また、第二挟持部材36は、締結部材38を挿通可能な第二挟持部材側挿入孔48を有している。
第二挟持部材側挿入孔48の内周面には、後述する締結部材側雄ねじ20と螺合する雌ねじを形成している。なお、図中及び以降の説明では、第二挟持部材側挿入孔48の内周面に形成した雌ねじを、「第二締結孔側雌ねじ50」と記載する。
締結部材38は、間仕切壁1の厚さ方向に延在する棒状部材であり、その外周面に、締結部材側雄ねじ20が形成されている。
【0029】
図3は、図2のII線矢視図である。
図3中に示すように、第一挟持部材34は、浴室ユニットBとトイレユニットTとの境界(間仕切壁1の幅方向)沿って延在している。なお、図3中では、説明のために、第一挟持部材34、間仕切壁1及び第二板材6のみを図示している。
図4は、図2のIV線矢視図である。
図4中に示すように、介装部材16及び第二挟持部材36は、第一挟持部材34と同様、浴室ユニットBとトイレユニットTとの境界(間仕切壁1の幅方向)沿って延在している。なお、図4中では、説明のために、介装部材16、第二挟持部材36、間仕切壁1及び第一板材2のみを図示している。
【0030】
図5は、図1中に円Vで囲んだ範囲の拡大図であり、間仕切壁1の上端側における詳細な構成を示す図である。
図5中に示すように、間仕切壁1の上端側は、間仕切壁1の下端側と同様の構成により立設されている。なお、図5中に示す第一板材2は、浴室ユニットBの天井を構成する板材である。また、図5中に示す第二板材6は、トイレユニットTの天井を構成する板材である。
なお、図5中に示す、間仕切壁保持手段10、ボルト部材12及び間仕切壁1の構成は、上記と同様であるため、その説明を省略する。
【0031】
(間仕切壁施工方法)
次に、図1から図5を参照しつつ、図6から図8を用いて、上記の構成を備えた間仕切壁施工システムにより、浴室ユニットBとトイレユニットTとの連結部に、間仕切壁1を保持した間仕切壁保持手段10を介して、間仕切壁1を立設する施工方法について説明する。
図6は、本実施形態の間仕切壁施工システムを用いて、浴室ユニットBとトイレユニットTとの連結部に間仕切壁1を立設する工程の一部を示す図であり、浴室ユニットBとトイレユニットTとの連結部に、介装部材16を連結する状態を示す図である。なお、図6中では、説明のために、第一板材2、第二板材6、介装部材16、第一挟持部材34及びボルト部材12以外の図示を省略している。
【0032】
また、図中に示す第一板材2は、浴室ユニットBの床板を構成する第一板材2であり、図中に示す第二板材6は、トイレユニットTの床板を構成する第二板材6である。すなわち、図6中に示す介装部材16及び第一挟持部材34は、間仕切壁1の下端側を立設する際に用いる介装部材16及び第一挟持部材34である。
間仕切壁施工システムを用いて、浴室ユニットBとトイレユニットTとの連結部に間仕切壁1を立設する際には、まず、第一板材2と第二板材6とを連結するボルト部材12により、介装部材16を第一板材2へ着脱可能に連結する。
【0033】
具体的には、介装部材16と第二板材6の端部との間に第一板材2の端部を介装した状態で、ボルト部材側雄ねじ14を、第一板材側雌ねじ26、第二板材側雌ねじ32及び第一受材側介装部材側雌ねじ42と螺合させる。これにより、ボルト部材12を、介装部材側取付け孔40、板材側貫通孔24及びボルト螺合孔30内に挿通して、第一板材2の端部と第二板材6の端部とを連結するボルト部材12により、介装部材16を第一板材2へ着脱可能に連結する。
ここで、介装部材16と第二板材6の端部との間に第一板材2の端部を介装する際には、介装部材16の第一板材2と対向する面(下面)を、第一板材2の介装部材16と対向する面(上面)に密接させる。
【0034】
また、間仕切壁1の上端側を立設する際に用いる介装部材16は、上記と同様の手順により、浴室ユニットBの天井を構成する第一板材2の端部とトイレユニットTの天井を構成する第二板材6の端部とを連結するボルト部材12により、浴室ユニットBの天井を構成する第一板材2へ着脱可能に連結する(図3参照)。
ここで、浴室ユニットBの天井を構成する第一板材2に、間仕切壁1の上端側を立設する際に用いる介装部材16を取付ける際には、介装部材16の第一板材2と対向する面(上面)を、第一板材2の介装部材16と対向する面(下面)に密接させる(図3参照)。
【0035】
このとき、間仕切壁1の下端側を立設する際に用いる介装部材16と、間仕切壁1の上端側を立設する際に用いる介装部材16は、共に、一体成形した第一挟持部材34を、トイレユニットT側に配置する(図1から図3参照)。なお、間仕切壁1の下端側を立設する際に用いる介装部材16と一体成形した第一挟持部材34、及び間仕切壁1の上端側を立設する際に用いる介装部材16と一体成形した第一挟持部材34は、共に、浴室ユニットB側及びトイレユニットT側のうち、同じ側に配置すればよい。
【0036】
なお、上述した、ボルト部材12により介装部材16を第一板材2に取付ける作業は、建物の建築時に間仕切壁1を立設する場合等には、浴室ユニットB及びトイレユニットTの立設時に、第一板材2と第二板材6とを連結する作業工程の一部として行ってもよい。また、上記作業は、建物の建築時に間仕切壁1を立設していない状態から、新たに間仕切壁1を立設する場合等には、予め第一板材2と第二板材6とを連結しているボルト部材12を取り外し、この取り外したボルト部材12を用いて行ってもよい。
【0037】
図7は、本実施形態の間仕切壁施工システムを用いて、浴室ユニットBとトイレユニットTとの連結部に間仕切壁1を立設する工程の一部を示す図であり、第一挟持部材34と第二挟持部材36により、間仕切壁1を挟持する状態を示す図である。これは、上述した、図6を用いて説明した工程の後工程を行った状態である。なお、図7中では、説明のために、第一板材2、第二板材6、ボルト部材12、間仕切壁1、介装部材16、第一挟持部材34、第二挟持部材36及び締結部材38以外の図示を省略している。
また、図中に示す第一板材2は、浴室ユニットBの床板を構成する第一板材2であり、図中に示す第二板材6は、トイレユニットTの床板を構成する第二板材6である。すなわち、図7中に示す介装部材16、第一挟持部材34及び第二板材6は、間仕切壁1の下端側を立設する際に用いる介装部材16、第一挟持部材34及び第二板材6である。
【0038】
上記のように、介装部材16と第二板材6との間に第一板材2を介装した状態で、第一板材2と第二板材6を連結するボルト部材12により、介装部材16を第一板材2へ着脱可能に連結(図6参照)した後、図7中に示すように、介装部材16の上面に、間仕切壁1の下端側を載置する。このとき、間仕切壁1の下端側を配置する位置は、間仕切壁1の下端面が介装部材側取付け孔40を覆うとともに、間仕切壁側挿通孔18と第一挟持部材側挿入孔44が連通する位置とする。
また、間仕切壁1の上端側は、浴室ユニットBの天井を構成する第一板材2へ着脱可能に連結した介装部材16に対し、間仕切壁1の上端面が介装部材側取付け孔40を覆うとともに、間仕切壁側挿通孔18と第一挟持部材側挿入孔44が連通する位置に配置する(図1及び図3参照)。
【0039】
次に、介装部材16の上面に間仕切壁1の下端側を載置した状態で、第二挟持部材36を、介装部材16の上面のうち、間仕切壁1を挟んで第一挟持部材34と対向する位置に配置する。このとき、第二挟持部材側挿入孔48を、間仕切壁側挿通孔18と連通させる。
そして、第二挟持部材側挿入孔48、間仕切壁側挿通孔18に順次挿通した締結部材38を、第一挟持部材側挿入孔44に挿入するとともに、締結部材側雄ねじ20を、間仕切壁側雌ねじ22、第一挟持部材側雌ねじ46及び第二締結孔側雌ねじ50と螺合させる。これにより、第二挟持部材36を、介装部材16へ着脱可能に連結するとともに、間仕切壁1の下端側を、第一挟持部材34と第二挟持部材36で挟持する。すなわち、
間仕切壁側挿通孔18に挿通した締結部材38を、第一挟持部材側挿入孔44及び第二挟持部材側挿入孔48に螺合することにより、間仕切壁1の端部を、間仕切壁1の厚さ方向から、第一挟持部材34と第二挟持部材36で挟持する。
【0040】
一方、間仕切壁1の上端側を、浴室ユニットBの天井を構成する第一板材2へ着脱可能に連結した介装部材16に対し、上述した位置に配置した状態で、第二挟持部材36を、介装部材16の下方において、間仕切壁1を挟んで第一挟持部材34と対向する位置に配置する(図1及び図3参照)。このとき、第二挟持部材36は、上述した間仕切壁1の下端側に対する配置と同様、第二挟持部材側挿入孔48を、間仕切壁側挿通孔18と連通させる位置に配置する(図3参照)。
【0041】
そして、第二挟持部材側挿入孔48、間仕切壁側挿通孔18に順次挿通した締結部材38を、第一挟持部材側挿入孔44に挿入するとともに、締結部材側雄ねじ20を、間仕切壁側雌ねじ22、第一挟持部材側雌ねじ46及び第二締結孔側雌ねじ50と螺合させる(図3参照)。これにより、第二挟持部材36を、介装部材16へ着脱可能に連結するとともに、間仕切壁1の上端側を、第一挟持部材34と第二挟持部材36で挟持する(図1及び図3参照)。
以上の手順により、間仕切壁1の下端側及び上端側を、第一挟持部材34と第二挟持部材36で挟持して、浴室ユニットBとトイレユニットTとの連結部に間仕切壁1を立設する作業を終了する。
【0042】
次に、図8を参照して、間仕切壁1を立設しない場合の、浴室ユニットBとトイレユニットTとの連結部の構成を説明する。なお、図8は、建物内において、間仕切壁1を立設しない箇所における、第一板材2と第二板材6との連結部を示す側面図である。また、図8中では、説明のために、第一板材2、第二板材6及びボルト部材12以外の図示を省略している。また、図8中に示す第一板材2は、浴室ユニットBの床板を構成する第一板材2であり、図中に示す第二板材6は、トイレユニットTの床板を構成する第二板材6である。
【0043】
図8中に示すように、間仕切壁1を立設しない箇所においては、介装部材16を第一板材2に連結しないため、第一板材2と第二板材6とを連結するボルト部材12を、第一板材2の上面から突出させない。さらに、ボルト部材12を挿通した板材側貫通孔24を、閉塞部材52により上方から閉塞する。なお、閉塞部材52は、例えば、ゴム等の防水性を有する材料を用いて形成する。また、閉塞部材52を用いること無く、ボルト部材12の上端部を第一板材2の上面と同じ高さとして、板材側貫通孔24を閉塞してもよい。
なお、特に図示しないが、間仕切壁1を立設しない箇所における天井の構成は、浴室ユニットBの天井を構成する第一板材2とトイレユニットTの天井を構成する第二板材6とを連結するボルト部材12を、第一板材2の下面から突出させない構成とする。この場合、さらに、ボルト部材12を挿通した板材側貫通孔24を、上記の閉塞部材52により下方から閉塞する。
【0044】
(第一実施形態の効果)
以下、本実施形態の効果を列挙する。
(1)本実施形態の間仕切壁施工システムであれば、第一板材2の端部と第二板材6の端部とを連結するボルト部材12により、間仕切壁1と第一板材2の端部との間に介装する介装部材16を、第一板材2へ着脱可能に連結する。これに加え、介装部材16に固定される第一挟持部材34と、介装部材16へ着脱可能に連結する第二挟持部材36により間仕切壁1の端部を挟持して、浴室ユニットBとトイレユニットTとの連結部へ間仕切壁1を立設する。
【0045】
このため、第一板材2及び第二板材6や間仕切壁1を加工することなく、間仕切壁1の立設作業及び撤去作業を行うことが可能となる。
その結果、浴室ユニットBやトイレユニットT等、部屋を形成するユニットを構成する部材を加工することなく、間仕切壁1の立設作業及び撤去作業を行うことが可能となるため、間仕切壁1の立設作業及び撤去作業に関する、作業効率の低下及び作業コストの増加を抑制することが可能となる。
【0046】
また、第一板材2と第二板材6とを連結するボルト部材12の位置、すなわち、介装部材側取付け孔40の位置が、間仕切壁1を立設する位置に設定される。
このため、間仕切壁1の位置決めが容易となり、間仕切壁1の立設作業が容易となるため、間仕切壁1の立設作業に関する、作業効率を向上させることが可能となる。
また、第一板材2と第二板材6とを連結するボルト部材12により、介装部材16を第一板材2へ着脱可能に連結するため、部品点数の増加を抑制することが可能となり、部品コスト等の増加を抑制することが可能となる。
【0047】
(2)本実施形態の間仕切壁施工システムであれば、介装部材16と第一挟持部材34とを一体成形して、第一挟持部材34を介装部材16に固定する。
このため、介装部材16に対する第一挟持部材34の変位を抑制することが可能となり、介装部材16、第一挟持部材34及び第二挟持部材36による、間仕切壁1の保持力を増加させることが可能となる。
その結果、間仕切壁1の強度を増加させることが可能となり、間仕切壁1により区画した隣り合う部屋(浴室及びトイレ)の安全性を向上させることが可能となる。
【0048】
(3)本実施形態の間仕切壁施工システムであれば、間仕切壁側挿通孔18に挿通した締結部材38を、第二挟持部材側挿入孔48及び第一挟持部材側挿入孔44に螺合することにより、間仕切壁1の端部を、第一挟持部材34と第二挟持部材36で挟持する。
このため、締結部材38の雄ねじと、この雄ねじと螺合する雌ねじとを螺合させずに、間仕切壁1の端部を、第一挟持部材34と第二挟持部材36で挟持する場合と比較して、第一挟持部材34及び第二挟持部材36による間仕切壁1の挟持力を増加させることが可能となる。
その結果、介装部材16、第一挟持部材34及び第二挟持部材36による、間仕切壁1の保持力を増加させることが可能となり、間仕切壁1の強度を増加させることが可能となるため、間仕切壁1により区画した隣り合う部屋(浴室及びトイレ)の安全性を向上させることが可能となる。
【0049】
(4)本実施形態の間仕切壁施工システムであれば、介装部材16、第一挟持部材34及び第二挟持部材36を、浴室ユニットBとトイレユニットTとの境界に沿って延在させることにより、介装部材16、第一挟持部材34及び第二挟持部材36と間仕切壁1との接触面積を、増加させることが可能となる。
このため、浴室ユニットBとトイレユニットTとの境界に沿って延在する、介装部材16、第一挟持部材34及び第二挟持部材36による間仕切壁1の挟持力を増加させて、介装部材16、第一挟持部材34及び第二挟持部材36による間仕切壁1の保持力を増加させることが可能となる。
その結果、間仕切壁1の強度を増加させることが可能となり、間仕切壁1により区画した隣り合う部屋(浴室及びトイレ)の安全性を向上させることが可能となる。
【0050】
(5)本実施形態の間仕切壁施工システムであれば、浴室ユニットBとトイレユニットTとの境界に沿って延在させた介装部材16、第一挟持部材34及び第二挟持部材36を、第一板材2に密接させることにより、介装部材16、第一挟持部材34及び第二挟持部材36と第一板材2との間に形成される隙間を、閉塞することが可能となる。
その結果、間仕切壁1と第一板材2との間を、隙間無く閉塞することが可能となるため、間仕切壁1を境界とした液体等の移動を抑制することが可能となり、間仕切壁1の防水性を向上させることが可能となる。
【0051】
(6)本実施形態の間仕切壁施工システムであれば、浴室ユニットBとトイレユニットTとの境界に沿って延在させた介装部材16、第一挟持部材34及び第二挟持部材36を、FRP等、防水性を有する材料を用いて形成している。
このため、浴室ユニットBとトイレユニットTとの境界に沿って延在させた介装部材16、第一挟持部材34及び第二挟持部材36に、液体が浸透することを抑制することが可能となる。
その結果、浴室ユニットBとトイレユニットTとの境界に沿って延在させた部材が防水性を有していない場合と比較して、間仕切壁1を境界とした、浴室とトイレとの間における液体等の移動を抑制することが可能となり、間仕切壁1の防水性を向上させることが可能となる。
【0052】
(7)本実施形態の間仕切壁施工システムであれば、第一板材2及び第二板材6を、FRP等、防水性を有する材料を用いて形成している。すなわち、浴室ユニットBやトイレユニットT等、防水性を有する板材を備える防水ユニットと、このユニットに隣り合う、防水性を有する板材を備える防水ユニットとの連結部へ、間仕切壁を立設する。
このため、第一板材2及び第二板材6、すなわち、隣り合う防水ユニットを構成する部材を加工することなく、隣り合うユニット同士の連結部へ、間仕切壁1の立設作業及び撤去作業を行うことが可能となる。
その結果、防水ユニットが形成する部屋の防水性を低下させることなく、隣り合う防水ユニット同士の連結部へ、隣り合う防水ユニットを区画する間仕切壁1を立設することが可能となる。
【0053】
(8)本実施形態の間仕切壁施工システムであれば、ボルト部材12及び締結部材38に形成した雄ねじと、間仕切壁1、介装部材16、第一挟持部材34及び第二挟持部材36にそれぞれ形成した雌ねじとを螺合させることにより、間仕切壁1の立設作業または撤去作業を行うことが可能となる。
このため、専門業者による作業を必要とせずに、建物内において、間仕切壁1を、浴室ユニットBとトイレユニットTとの連結部等、隣り合うユニット同士の連結部に立設することが可能となる。
その結果、建物内における間仕切壁1の立設作業及び撤去作業を、居住者等により容易に行うことが可能となる。
【0054】
また、間仕切壁1を加工または破壊することなく、さらに、第一板材2及び第二板材6の加工等を必要とせずに、建物内における間仕切壁1の立設作業及び撤去作業を行うことが可能となる。
その結果、建物内における間仕切壁1の立設作業及び撤去作業に関する、材料コストや作業コスト等を低減することが可能となる。また、建物内における間仕切壁1の立設作業及び撤去作業における、騒音や振動の発生を抑制することが可能となるため、近隣の住宅等、周辺への影響を低減することが可能となる。
【0055】
(応用例)
以下、本実施形態の応用例を列挙する。
(1)本実施形態の間仕切壁施工システムでは、第一板材2及び第二板材6を、浴室ユニットやトイレユニット等、防水ユニットの床板及び天井を構成する板材としたが、これに限定するものではない。すなわち、第一板材2及び第二板材6を、例えば、居室ユニットや玄関ユニット等、防止性を必要としないユニットの床板及び天井を構成する板材としてもよい。
(2)本実施形態の間仕切壁施工システムでは、間仕切壁1の下端側及び間仕切壁1の上端側を、共に、第一板材2と第二板材6との連結部において、第一挟持部材34と第二挟持部材36により挟持したが、これに限定するものではない。すなわち、間仕切壁1の下端側及び間仕切壁1の上端側のうち一方を、第一板材2と第二板材6との連結部において、第一挟持部材34と第二挟持部材36により挟持してもよい。
【0056】
この場合、間仕切壁1の下端側のみを、第一挟持部材34と第二挟持部材36により挟持する構成であれば、例えば、間仕切壁1の上端に凸部を形成する。この凸部は、天井を構成する第一板材2に取付けた介装部材16が有する介装部材側取付け孔40、または、天井を構成する第一板材2が有する板材側貫通孔24に挿通可能な形状に形成する。そして、間仕切壁1の上端に形成した凸部を、前述の介装部材側取付け孔40、または、板材側貫通孔24に挿通するとともに、間仕切壁1の下端側を、第一挟持部材34と第二挟持部材36により挟持して、第一板材2と第二板材6との連結部に、間仕切壁1を立設する。
【0057】
(3)本実施形態の間仕切壁施工システムでは、ボルト部材12の長さを、第一板材2、第二板材6及び後述する介装部材16を上下方向に積層した合計の厚さよりも短くしたが、これに限定するものではない。すなわち、例えば、図9中に示すように、ボルト部材12の長さを、第一板材2、第二板材6及び後述する介装部材16を上下方向に積層した合計の厚さよりも長くしてもよい。
この場合、例えば、図9中に示すように、ゴム等の弾性材料を用いて形成した台座部54を床基盤56上に配置し、台座部54の上方から、ボルト部材12の下端側を台座部54内に圧入することにより、台座部54に対し、ボルト部材12を回転可能に結合してもよい。なお、図9は、本実施形態の変形例を示す図である。
【0058】
また、図9中に示すような構成とした場合、例えば、ボルト部材12の上面に、ドライバー等の工具を嵌合させることが可能な嵌合溝58を形成する。これにより、ボルト部材12により第一板材2と第二板材6とを連結した状態で、上記の工具を用いてボルト部材12を回転させて、床基盤56と第一板材2及び第二板材6との距離を、任意の距離に調節することが可能となる。すなわち、第一板材2及び第二板材6が、ユニット式の部屋の床板を形成する場合、ボルト部材12を回転させることにより、床板の高さを調節することが可能となる。なお、嵌合溝58は、工具の形状に対応させて、例えば、上面視でマイナス形状またはプラス形状の溝とする。
【0059】
(4)本実施形態の間仕切壁施工システムでは、第二挟持部材36を、介装部材16の間仕切壁1と対向する面上に配置したが、これに限定するものではない。すなわち、例えば、図10中に示すように、第二挟持部材36を、第一板材2の面(上面、下面)上に配置するとともに、間仕切壁1及び介装部材16に接触させてもよい。なお、図10は、本実施形態の変形例を示す図である。
また、例えば、図11中に示すように、第二挟持部材36を、第一板材2の面(上面、下面)上に配置し、間仕切壁1に接触させるとともに、介装部材16と離間させてもよい。なお、図11は、本実施形態の変形例を示す図である。
(5)本実施形態の間仕切壁施工システムでは、間仕切壁側挿通孔18の内周面に間仕切壁側雌ねじ22を形成したが、これに限定するものではなく、間仕切壁側挿通孔18の内周面に間仕切壁側雌ねじ22を形成しなくともよい。
【0060】
(6)本実施形態の間仕切壁施工システムでは、締結部材38の外周面に締結部材側雄ねじ20を形成し、間仕切壁側挿通孔18の内周面に間仕切壁側雌ねじ22を、第一挟持部材側挿入孔44の内周面に第一挟持部材側雌ねじ46を、第二挟持部材側挿入孔48の内周面に第二締結孔側雌ねじ50を、それぞれ形成している。そして、締結部材側雄ねじ20を、間仕切壁側雌ねじ22、第一挟持部材側雌ねじ46及び第二締結孔側雌ねじ50と螺合させることにより、間仕切壁1を立設したが、これに限定するものではない。すなわち、上述した雄ねじ及び各雌ねじを形成せず、第二挟持部材側挿入孔48、間仕切壁側挿通孔18及び第一挟持部材側挿入孔44に締結部材38を挿通して、間仕切壁1を立設してもよい。この場合、締結部材38の先端部を第一挟持部材34からトイレ内に突出させ、この突出させた部分にナット等を取付けてもよい。
【0061】
(7)本実施形態の間仕切壁施工システムでは、ボルト螺合孔30を、上下方向(間仕切壁1の高さ方向、第二板材6の板厚方向)に貫通する貫通孔としたが、これに限定するものではなく、ボルト螺合孔30を、第一板材2側に開口する開口部としてもよい。
(8)本実施形態の間仕切壁施工システムでは、第二板材6の構成を、第一板材2を挟んで間仕切壁1と対向する鍔部28を備える構成としたが、これに限定するものではなく、第二板材6の構成を、鍔部28を備えていない構成としてもよい。この場合、例えば、第二板材6のうち第一板材2側の端部に、ボルト螺合孔30を形成するとともに、第二板材6全体を、第一板材2よりも下方に配置する構成とする。
(9)本実施形態の間仕切壁施工システムでは、第一挟持部材34を、介装部材16と一体成形して、介装部材16に固定したが、これに限定するものではなく、例えば、第一挟持部材34を、介装部材16に接着して、介装部材16に固定してもよい。
【0062】
(10)本実施形態の間仕切壁施工システムでは、間仕切壁1の構成を、間仕切壁側挿通孔18を有する構成としたが、これに限定するものではなく、間仕切壁1の構成を、間仕切壁側挿通孔18を有していない構成としてもよい。この場合、例えば、介装部材16の第二挟持部材36と対向する面に、締結部材38を挿通可能な孔を形成し、この孔の内周面に、締結部材側雄ねじ20と螺合する雌ねじを形成してもよい。また、例えば、介装部材16に、締結部材38を挿通可能な貫通孔を形成し、この貫通孔の内周面に、締結部材側雄ねじ20と螺合する雌ねじを形成してもよい。
(11)本実施形態の間仕切壁施工システムでは、介装部材16に形成した介装部材側取付け孔40の内周面に、ボルト部材側雄ねじ14と螺合する雌ねじを形成したが、これに限定するものではなく、介装部材側取付け孔40の内周面に雌ねじを形成しない構成としてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 間仕切壁
2 第一板材
4 浴槽
6 第二板材
8 便器
10 間仕切壁保持手段
12 ボルト部材
14 ボルト部材側雄ねじ
16 介装部材
18 間仕切壁側挿通孔
20 締結部材側雄ねじ
22 間仕切壁側雌ねじ
24 板材側貫通孔
26 第一板材側雌ねじ
28 鍔部
30 ボルト螺合孔
32 第二板材側雌ねじ
34 第一挟持部材
36 第二挟持部材
38 締結部材
40 介装部材側取付け孔
42 介装部材側雌ねじ
44 第一挟持部材側挿入孔
46 第一挟持部材側雌ねじ
48 第二挟持部材側挿入孔
50 第二締結孔側雌ねじ
52 閉塞部材
54 台座部
56 床基盤
58 嵌合溝
B 浴室ユニット
T トイレユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の部屋を形成する第一ユニットと第二の部屋を形成する第二ユニットとをボルト部材により連結し、その連結部に間仕切壁保持手段を介して間仕切壁を立設するユニット式建築物の間仕切壁施工システムであって、
前記連結部において、前記第一ユニットの床板または天井を構成する第一板材の端部と前記第二ユニットの床板または天井を構成する第二板材の端部とを積層し、その積層した前記第一板材の端部と前記第二板材の端部とを前記ボルト部材により連結し、
前記間仕切壁の端部を、前記第一板材の端部を間に挟んで第一板材の端部及び前記第二板材の端部と積層させて配置し、
前記間仕切壁保持手段は、前記第一板材の端部と前記間仕切壁の端部との間に介装し且つ前記ボルト部材により第一板材へ着脱可能に連結する介装部材と、前記第一の部屋及び前記第二の部屋のうちの一方に配置し且つ前記介装部材に固定される第一挟持部材と、前記第一の部屋及び前記第二の部屋のうちの他方に配置し且つ前記介装部材へ着脱可能に連結する第二挟持部材と、を備え、
前記間仕切壁の端部を、前記第一挟持部材と前記第二挟持部材で挟持して保持することを特徴とするユニット式建築物の間仕切壁施工システム。
【請求項2】
前記介装部材と前記第一挟持部材とを一体成形したことを特徴とする請求項1に記載したユニット式建築物の間仕切壁施工システム。
【請求項3】
前記間仕切壁保持手段は、外周面に雄ねじを形成した締結部材を備え、
前記第一挟持部材に、前記締結部材の雄ねじと螺合する雌ねじを内周面に有する第一挟持部材側挿入孔を形成し、
前記第二挟持部材に、前記締結部材の雄ねじと螺合する雌ねじを内周面に有する第二挟持部材側挿入孔を形成し、
前記間仕切壁の端部に、前記締結部材を挿通可能な間仕切壁側挿通孔を形成し、
前記間仕切壁側挿通孔に挿通した前記締結部材を前記第一挟持部材側挿入孔及び前記第二挟持部材側挿入孔に螺合することにより、前記間仕切壁の端部を前記第一挟持部材と前記第二挟持部材で挟持することを特徴とする請求項1または2に記載したユニット式建築物の間仕切壁施工システム。
【請求項4】
前記介装部材、前記第一挟持部材及び前記第二挟持部材のうち少なくとも一つを、前記第一ユニットと前記第二ユニットとの境界に沿って延在させることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項に記載したユニット式建築物の間仕切壁施工システム。
【請求項5】
前記介装部材、前記第一挟持部材及び前記第二挟持部材のうち少なくとも前記境界に沿って延在させた部材を、前記第一板材に密接させることを特徴とする請求項4に記載したユニット式建築物の間仕切壁施工システム。
【請求項6】
前記介装部材、前記第一挟持部材及び前記第二挟持部材のうち少なくとも前記境界に沿って延在させた部材は、防水性を有することを特徴とする請求項4または5に記載したユニット式建築物の間仕切壁施工システム。
【請求項7】
前記第一板材及び前記第二板材のうち少なくとも一方は、防水性を有することを特徴とする請求項1から6のうちいずれか1項に記載したユニット式建築物の間仕切壁施工システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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