説明

ユニバーサルプリンタドライバプログラム及び記録媒体

【課題】出力先プリンタを切替える際、切替え後の出力先プリンタの印刷設定作業を削減するユニバーサルプリンタドライバプログラム及び記録媒体を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明に係るユニバーサルプリンタドライバプログラムは、複数の出力先プリンタに使用切替え可能なユニバーサルプリンタドライバプログラムであって、予め設定された出力先プリンタ毎の印刷設定項目の設定値と、出力先プリンタ切替えの際、切替え前の出力先プリンタで設定されている印刷設定項目毎の既設定値を、切替え先の出力先プリンタに引き継ぐか否かを示す引継情報と、を記憶する記憶手段と、出力先プリンタ切替えの際、前記引継情報により引き継ぐとされる印刷設定項目は前記既設定値を設定し、引き継がない印刷設定項目は前記設定値を設定する引継設定決定手段としてコンピュータを機能させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニバーサルプリンタドライバプログラム及び記録媒体の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
PC(Personal Computer)上の文書をプリンタで印刷する場合、通常PC側にはプリンタドライバ(プログラム)が必要である。プリンタドライバは、アプリケーションによって編集された文書について、プリンタに解釈可能なデータ(印刷データ)への変換等を実行するプログラムモジュールである。
【0003】
印刷時に設定可能な印刷属性はプリンタの機種毎に異なっているなどの理由から、通常プリンタドライバは、機種毎に応じたドライバが提供される。しかし、ユーザの多様なニーズに対応すべくプリンタの機種も多種多様なものとなっている昨今、機種毎にドライバを開発するのは、開発者側にとって大きな負担である。
【0004】
このような背景において、一のソフトウェアで複数機種に対応できるユニバーサルドライバ(以下UDという)が知られている。UDは、異なるデバイス間でも共通に利用できるドライバルーチン群で、PCにUDをインストールしておけば、ユーザは各種、複数のプリンタのドライバを個々インストールする必要がない。例えば、ユーザはUDを利用し会議室、他部署、出張先等に設置されたプリンタに対して、ノートPCから容易に文書を印刷できる。
【0005】
ここで、一のUDを利用し出力先のプリンタを切り替える場合、切り替え後のプリンタに対して再度印刷設定(例えば、カラー/モノクロ、片面/両面等)をする必要がある。即ち、従来のUDでは、出力先のプリンタを切り替えたときに、印刷設定は初期設定となっているので、いずれのプリンタでも常に両面印刷を行いたいような場合でも、機種切り替えの度に両面印刷を有効とする設定が必要である。
【0006】
これに関して、特許文献1には、プリンタドライバプログラムを切り替える際に、プリンタドライバに対する印刷設定のうち、いわゆるPublic領域の設定は引継ぐことができ、さらに切り替え前後のプリンタドライバプログラムが同種の場合Private領域のマージを行い、異種の場合Private領域はデフォルト設定にする技術が記載されている。
【0007】
また、特許文献2には、ジョブに応じた印刷設定の効率を高める目的で、いくつかの設定セットをあらかじめ登録し、また、その設定セットのどの設定を反映するのか等を細かく設定する手法が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載される発明においては、同機種であれば同一な印刷設定を引き継ぐことができるものの、同機種であっても付属機能(オプション)が付されることの多い装置(例えば、プリンタ装置)の場合、やはり印刷設定差が生じる為、設定引継ぎに関し柔軟に対応できない。例えば一旦異機種(モノクロ対応プリンタ機)に引継ぎ、再度元の機種(カラー対応プリンタ装置)に引継ぎを行なった場合、異機種にない設定(機能)については当該設定は引き継がれることなく無効となっており、再度元の機種において無効とされた印刷設定(カラー設定)をし直す必要があった。
【0009】
また、特許文献2に記載される発明においては、設定セットのどの設定を反映するのかについて、設定を行なう必要があるという点で、切り替えに伴う印刷設定を行わねばならないという手間を要する。
【0010】
なお、このような手間は、プリンタの他にも、デジタルカメラ、スキャナなどの周辺機器を制御するユニバーサルドライバプログラムについて同様に起こり得るものである。
【0011】
そこで本発明では上記のような問題に鑑みて、出力先プリンタを切替える際、切替え後の出力先プリンタの印刷設定作業を削減するユニバーサルプリンタドライバプログラム及び記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明に係るユニバーサルプリンタドライバプログラムは、複数の出力先プリンタに使用切替え可能なユニバーサルプリンタドライバプログラムであって、予め設定された出力先プリンタ毎に印刷設定項目の設定値と、出力先プリンタ切替えの際、切替え前の出力先プリンタで設定されている印刷設定項目毎の既設定値を、切替え先の出力先プリンタに引き継ぐか否かを示す引継情報と、を記憶する記憶手段と、出力先プリンタ切替えの際、前記引継情報により引き継ぐとされる印刷設定項目は前記既設定値を設定し、引き継がない印刷設定項目は前記設定値を設定する引継設定決定手段としてコンピュータを機能させる。
【0013】
また上記課題を解決するため、前記ユニバーサルプリンタドライバプログラムにおいて、印刷設定項目の前記設定値は、設定変更可能であり、前記引継情報において、前記設定値が変更された印刷設定項目は、既設定値を引き継がないことを特徴とする。
【0014】
また上記課題を解決するため、前記ユニバーサルプリンタドライバプログラムにおいて、オプション機能に関する印刷設定項目の前記設定値は、オプション機能を有効とする値であり、前記引継情報において、当該オプション機能に関する印刷設定項目は、既設定値を引き継がないことを特徴とする。
【0015】
また上記課題を解決するため、前記ユニバーサルプリンタドライバプログラムにおいて、既設定値を引き継がないことにより、既設定値が変更されたとき、変更された旨を明示する明示手段としてコンピュータを機能させる。
【0016】
なお、本発明の構成要素、表現または構成要素の任意の組合せを、方法、装置、システム、コンピュータプログラム、記録媒体などに適用したものも本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、出力先プリンタを切替える際、切替え後の出力先プリンタの印刷設定作業を削減するユニバーサルプリンタドライバプログラム及び記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る一実施形態におけるネットワーク図である。
【図2】PC1の一実施形態の主要構成を示すハードウェア構成図である。
【図3】PC1の一実施形態の主要構成を示すソフトウェアブロック図である。
【図4】PC1の一実施形態の本発明に係る主要機能構成を示す機能ブロック図である。
【図5】既設定値を示す図の一例である。
【図6】引継情報を示す図の一例である。
【図7】初期値を示す図の一例である。
【図8】印刷設定項目の引継ぎ動作を説明するフローチャートである。
【図9】引継設定を示す図の一例である。
【図10】引継設定を示す図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態を各実施形態において図面を用いて説明する。
【0020】
<構成>
はじめに、具体的な発明の内容を説明する前に、本発明を実施するにあたっての印刷環境(構成)について説明する。図1は、本発明に係る一実施形態におけるネットワーク図である。PC(Personal Computer)1、プリンタ2及びプリンタ3がネットワーク4を介して接続されている。PC1は、本発明に係るユニバーサルプリンタドライバプログラム(以下、プリンタドライバという)を有するPCであり、いわゆるユーザ端末である。プリンタ2及びプリンタ3は、例えば画像形成装置をはじめとするプリンタ装置であり、PC1のプリンタドライバから印刷指示を受けて該印刷指示を実行する。そして、このプリンタドライバは、前述のユニバーサルプリンタドライバであり、プリンタ2及びプリンタ3の両装置に対して印刷指示を行うことができる。なお、プリンタ2及びプリンタ3は、お互いに異機種であるか、又は同機種であってもオプション構成が異なる。つまり、プリンタドライバにおいて、プリンタ2からプリンタ3へ印刷設定をそのまま引き継ぐことはできないものである。これについて詳しくまた後述する。
【0021】
(PC)
図2は、PC1の一実施形態の主要構成を示すハードウェア構成図である。ここでPC1のハードウェア構成について簡単に説明しておく。PC1は、例えば一般的なユーザ端末でよく、主要な構成として、CPU101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、補助記憶装置104、記憶媒体読取装置105、入力装置106、表示装置107、及び通信装置108を含む構成である。
【0022】
CPU101は、マイクロプロセッサ及びその周辺回路から構成され、PC1全体を制御する回路である。また、ROM102は、CPU101で実行される所定の制御プログラム(ソフトウェア部品)を格納するメモリであり、RAM103は、CPU101がROM102に格納された所定の制御プログラム(ソフトウェア部品)を実行して各種の制御を行うときの作業エリア(ワーク領域)として使用するメモリである。
【0023】
補助記憶装置104は、汎用のOS(Operating System)、前述のプリンタドライバプログラムを含む各種情報を格納する装置であり、不揮発性の記憶装置であるHDD(Hard Disk Drive)などが用いられる。なお、上記各種情報は、補助記憶装置104以外にも、CD−ROM(Compact Disk - ROM)やDVD(Digital Versatile Disk)などの記憶媒体やその他のメディアを記憶されてもよく、これらの記憶媒体に格納された各種情報は、記憶媒体読取装置105などのドライブ装置を介して読み取ることが可能である。よって、必要に応じて記録媒体を記憶媒体読取装置105にセットすることで、プリンタドライバを含む各種情報が得られる。
【0024】
入力装置106は、ユーザが各種入力操作を行うための装置である。入力装置106は、マウス、キーボード、表示装置107の表示画面上に重畳するように設けられたタッチパネルスイッチなどを含む。表示装置107は、プリンタドライバが表示する印刷設定画面等を表示画面に表示する装置である。表示装置107は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)などから構成される。次に、通信装置108は、ネットワーク4を介してプリンタ2及びプリンタ3との通信を行う装置である。有線ネットワークや無線ネットワークなど含む各種ネットワーク形態に応じた通信をサポートする。
【0025】
図3は、PC1の一実施形態の主要構成を示すソフトウェアブロック図である。PC1は、例えばテキスト編集プログラムのようなアプリケーション301と、本発明によるプリンタドライバ302とを有する。プリンタドライバ302は、プリンタドライバであるので当然ながら一般にプリンタドライバが有する機能、例えば、ユーザからの印刷設定を受け取り既設定値として印刷結果に反映させる印刷設定機能や、アプリケーションから印刷を要求されたデータを出力先プリンタが解釈可能な形式に変換する描画機能、プリンタと通信するための通信機能等を有している(非図示)。
【0026】
図4は、PC1の一実施形態の本発明に係る主要機能構成を示す機能ブロック図である。勿論、実際にはプリンタドライバ302をCPU101が実行することにより、コンピュータ(PC1)に当該機能を実現させる。PC1は、主要な機能として、記憶部401、引継設定決定部402、及び切替部403含む構成である。
【0027】
記憶部401は、予め設定された出力先プリンタ毎の印刷設定項目の所定値(以後、初期値412と称する)、出力先プリンタ切替えの際、切替え前の出力先プリンタで設定されている印刷設定項目毎の既設定値411を、切替え先の出力先プリンタに引き継ぐか否かを示す引継情報413とを記憶する機能を有している。これら既設定値411、初期値412、及び引継情報413の詳細については具体的に再度後述する。
【0028】
引継設定決定部402は、出力先プリンタ切替えの際、引継情報413により引き継ぐとされる印刷設定項目は既設定値411を設定し、引き継がない印刷設定項目は初期値412を設定する機能を有している。即ち、記憶部401の引継情報413に基づいて、引き継ぐべき印刷設定項目の値と、引き継ぐべきでない値とを決定する機能部である。
【0029】
切替部403は、出力先プリンタの切替えを行なう機能を有している。切替え先の出力先プリンタの印刷設定において、引継設定決定部402により決定された設定値を、切替え先の出力先プリンタに引き継ぐようにして反映させ切替える。この切替えに係る機能は、前述のユニバーサルプリンタドライバに基づく機能であり、切替え後は、例えば切替え後のプリンタ3に対して印刷指示を行うことができる。
【0030】
以上、これら機能部の詳細については、PC1の動作を説明しながら具体的に再度説明を行う。
【0031】
(プリンタ)
プリンタ2及びプリンタ3は、オプション機能を追加可能なプリンタ装置である。具体的には、プリンタ、コピーおよびスキャナなどの複数の機能を一つの筐体内に収納した複合機が適用できる。現在のデジタル複合機(MFP:Multi-Function Peripheral)は、CPUの性能向上、メモリの大容量化、通信技術の高速化及びデジタル画像技術の高度化等、MFPに関連する技術の進化に伴い、単に前述のデジタル複写機としての機能だけでなく、例えば、ネットワーク(メール含む)やファクシミリ等で画像や文書などのデータの送受信を可能とし、ユーザ環境において様々な利用形態を提供するものである。
【0032】
ところでプリンタにはオプション(機能)がしばしば追加されて使用される。このオプションは、標準プリンタ構成に加えて所望の機能構成が追加され実現される。オプション構成は、プリンタ個々によって異なるものであり、また当初の構成から随時更新される場合もある。従って、異なるオプション含む構成の複数のプリンタに対応できるプリンタドライバが、前述のユニバーサルプリンタドライバであり、プリンタ2及びプリンタ3は当該ユニバーサルプリンタドライバから印刷指示を受け実行する。
【0033】
以上、本発明を実施するための一実施形態の構成について説明を行った。続いて以下、本発明に係るプリンタドライバの動作について説明していく。
【0034】
<動作>
まずPC1の動作に言及する前に、記憶部401に記憶される情報について説明しておく。即ち、既設定値411、初期値412、及び引継情報413について説明を行う。
【0035】
図5は、既設定値411を示す図の一例である。印刷設定項目として、「印刷面」、「色」、「集約」、「排出トレイ」が示され、また印刷設定項目毎に設定値が示されている。勿論、この印刷設定項目は全てでなく一例に過ぎない。既設定値411は、プリンタドライバが提供するプリンタプロパティ画面等からユーザにより設定される。本例において、ユーザは、現在使用しているプリンタをプリンタ2として、両面印刷、モノクロ印刷、2ページを1ページ集約、フィニッシャートレイへの排出とする印刷設定を行なっており、これら印刷設定情報は、既設定値411として記憶部401に記憶されているものである。
【0036】
図6は、引継情報413を示す図の一例である。印刷設定項目に対応するように、引継ぎの可否(Y/N)が設定されている。この可否はユーザによって設定されることができる。「印刷面」は「Y」、「色」は「Y」、「集約」は「Y」、「排出トレイ」は「N」となっているので、図5の既設定(値)は、「印刷面」、「色」及び「集約」に関して、切替え後のプリンタに引き継がれることを示す。そして、「排出トレイ」に関しては、切替え後のプリンタに引き継がれないことを示す。
【0037】
図7は、初期値412を示す図の一例である。初期値412は、出力先プリンタ毎(プリンタ2及びプリンタ3)に有する情報で、そのプリンタにおける印刷設定項目の初期値を示すものである。例えば、プリンタドライバが提供するプリンタプロパティ画面等を開けば、初期値としてはじめに設定されている値であるともいえる。ユーザは必要に応じて当該初期値412を所望の値に変更でき、その場合、変更後の値が前述の既設定値411として記憶される。
【0038】
以上、記憶部401に記憶される情報について説明を行った。続いて、出力先プリンタの切替え時、印刷設定項目の引継ぎ動作を説明する。
【0039】
図8は、印刷設定項目の引継ぎ動作を説明するフローチャートである。ここでは現在使用しているプリンタ2から、プリンタ3へ切替えを行なう場合の印刷設定項目の引継ぎ動作処理を説明するもので、図5、図6、及び図7を参照しつつ具体的に説明する。図5の既設定値は、プリンタ2おいて設定されている設定値であるものとし、プリンタ2においては本来初期値として図7に示される初期値を有するが、ユーザによって当該既設定値に変更されているものとする。
【0040】
ステップS801において、印刷設定項目を引き継ぐか否かを確認する。プリンタプロパティ画面等において、印刷設定項目の引継設定機能を有効/無効とする設定画面を設けておきそれに従えばよい。
【0041】
ステップS802で、引継設定決定部402は、既設定値411、引継情報413及び切替え先(プリンタ3)の初期値412を参照する。具体的には、図5、図6、及び図7に示される情報を取得する。
【0042】
ステップS803で、引継設定決定部402は、印刷設定項目毎に、プリンタ3への引継設定値を決定する。即ち、引継情報413により引き継ぐとされる印刷設定項目は、プリンタ2の既設定値411を設定し、引き継がない印刷設定項目は、プリンタ3の初期値412を設定する。図9は、引継設定を示す図の一例である。具体的に、「印刷面」は「Y」、「色」は「Y」、「集約」は「Y」、「排出トレイ」は「N」となっているので、図5の既設定(値)は、印刷設定項目「印刷面」、「色」及び「集約」に関して、切替え後のプリンタに引き継がれている。そして、印刷設定項目「排出トレイ」に関しては、切替え後のプリンタに引き継がれず、初期値412となっている。
【0043】
ステップS804で、切替部403は、出力先プリンタの切替えを行なう。このとき切替え先の出力先プリンタ3の印刷設定において、引継設定決定部402により決定された引継設定を、切替え先の出力先プリンタに引き継ぐようにして反映させる。例えば、プリンタ3の印刷設定、即ち、現行の既設定値411を引継設定値に変更するようにすればよい。
【0044】
一方、ステップS805において、印刷設定項目を引き継がない場合は、切替え先(プリンタ3)の初期値412を参照する。具体的には、図7に示される情報を取得する。
【0045】
ステップS806で、引継設定決定部402は、全ての切替え先(プリンタ3)の初期値412を引継設定値とする。そしてステップS804に進むと、プリンタ3において印刷設定項目の値は全て初期値とされる。以上、印刷設定項目の引継ぎ動作をフローチャートに沿って説明を行った。
【0046】
(オプションに関する印刷設定)
ここで、オプションに関する印刷設定項目に注目し、さらに本発明によるプリンタドライバを説明していく。前述図5及び図7に示されるような印刷設定項目「排出トレイ」は、オプション構成が追加されうる。例えば、標準の排出トレイとしては「本体トレイ」があり、オプションの排出トレイとしては「フィニッシャートレイ」がある。「フィニッシャートレイ」は、可能式のトレイで大量の印刷を行なう場合、大量の印刷物を受けることができ便利である。ここで、プリンタ2は「フィニッシャートレイ」オプションを有し、プリンタ3は「フィニッシャートレイ」オプションを有さないものとする。従って、初期値(図7)において、プリンタ2では「排出トレイ」に「フィニッシャートレイ」が設定され、プリンタ3は「フィニッシャートレイ」オプションを有さないので、「排出トレイ」には「本体トレイ」が設定されている。オプション機能を有する場合はオプション機能を利用した方が便利であるので積極的に使用すべく初期値として設定されているようにしておく。
【0047】
再び図7を参照し、プリンタ2及びプリンタ3の「排出トレイ」の初期値412を確認すれば、次の通りである。
プリンタ2/「排出トレイ」:フィニッシャートレイ
プリンタ3/「排出トレイ」:本体トレイ
そしてプリンタドライバにおいて、出力先プリンタをプリンタ2からプリンタ3に切替える場合、上述のステップS802、図6で説明したように、「排出トレイ」の引継ぎの可否は「N」であるので、「排出トレイ」の値は「本体トレイ」に変更される。なお、「排出トレイ」の引継ぎの可否は「Y」であっても、プリンタ3は「フィニッシャートレイ」を有していないので、この場合やはり「排出トレイ」の値は「本体トレイ」に変更される。
【0048】
次に、プリンタ3からプリンタ2に再度の切替えを行なう。プリンタ3の既設定値411において、上述の変更により、「排出トレイ」は「本体トレイ」が設定されている。また、「排出トレイ」の引継ぎの可否は「N」であり、切替先のプリンタ2の「排出トレイ」の初期値412は「フィニッシャートレイ」である。従って、切替え後のプリンタ2の「排出トレイ」の設定値は、「フィニッシャートレイ」と変更される。図10は、引継設定を示す図の一例である。
【0049】
つまり、オプション機能を有するプリンタ装置の場合には、オプション機能に関する印刷設定項目の初期値412としてオプションを設定(選択)しておき、且つオプション機能に関する印刷設定項目の引継ぎを行なわない(N)ようにすることで、オプション機能を有しない機種から有する機種に相互に切替えを行なっても、オプション機能を有する機種においては、オプション機能を有効としてプリンタを使用することが可能となる。オプション機能を有する場合は、オプション機能を利用した方が高機能である場合が多いので、本発明によれば、オプションに関する印刷設定においてオプションが選択されるようにして、オプション機能の特徴を生かした印刷を行うことができる。
【0050】
なお、上述したように、ユーザは必要に応じて当該初期値412を所望の値に変更でき、その場合、変更後の値が前述の既設定値411として記憶される。そして、オプションに限らず、初期値412が変更された印刷設定項目について、引継情報413において既設定値411を引き継がないようにすることもできる。初期値412が変更された印刷設定項目は、引継情報413において「N」とする。初期値(デフォルト設定値)が変更されたということは、何らかの意図があり変更されており、よってその値は原則そのプリンタにおいて推奨される値であると考えられる。従って、初期値の変更に伴い、その印刷設定項目を引き継がないようにすることで、そのプリンタに切替えが行なわれたとき、その印刷設定項目は、推奨される初期値において使用(印刷)されることができるからである。
【0051】
また、プリンタドライバは、切替えの際に、オプションを含む印刷設定項目が変更された場合、変更されたこと(変更項目)を通知する。具体的な通知方法として、印刷設定画面等において、変更項目の表示領域を他の表示領域とは異なる色を用いて表示する方法、変更項目のテキストを他の項目のテキストとは異なる色を用いて表示する方法等を適用することが可能である。ユーザに切替わった印刷設定項目を明示的に認識できるようにするためである。
【0052】
<総括>
以上、本発明のユニバーサルプリンタドライバによれば、出力先プリンタを切替える際、印刷設定項目毎にそれまで設定していた既設定を、切替え先のプリンタでも引き継がせて使用するか、又は引き継がせることなく切替先のプリンタで初期設定された設定を使用するかを選択することができる。既設定を切替え先のプリンタで引き継がせる場合には、切替え先のプリンタにおいて、従来使用していた設定はそのまま反映されており、あらためて印刷設定項目の設定は不要となるので、プリンタ切替えに係る印刷設定操作の手間を削減することができる。例えば、ユーザは持参したノートPCが有するユニバーサルプリンタドライバを利用し、会議室、他部署、出張先等に設置されたプリンタに対し、ノートPCから所望の印刷条件で手間なく文書を印刷できる。
【0053】
また、オプション機能を有するプリンタ装置の場合には、オプション機能に関する印刷設定項目の初期値412としてオプションを設定しておき、且つオプション機能に関する印刷設定項目の引継ぎを行なわない(N)ようにすることで、オプション機能を有する機種から有しない機種に切り替えたとき、オプション機能に対する印刷設定を引き継がずに所定値(初期値)に変更することができる。また、オプション機能を有しない機種から有する機種に切り替えたとき、オプション機能を有するという機種の特徴を生かした印刷設定を行うことができる。
【0054】
即ち、本発明によれば、出力先プリンタを切替える際、切替え後の出力先プリンタの印刷設定作業を削減するユニバーサルプリンタドライバプログラム及び記録媒体を提供することが可能である。
【0055】
なお、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0056】
例えば、このような問題は、プリンタの他にも、デジタルカメラ、スキャナなどの周辺機器を制御するドライバプログラムについて同様に起こり得るものであるが、同機種であっても付属機能(オプション)が付されることの多い装置の場合(やはり印刷設定差が生じる為)に特に効果的である。
【符号の説明】
【0057】
1 PC
2 プリンタ
3 プリンタ
4 ネットワーク
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 補助記憶装置
105 記憶媒体読取装置
106 入力装置
107 表示装置
108 通信装置
401 記憶部
402 引継設定決定部
403 切替部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0058】
【特許文献1】特開2003−131832号公報
【特許文献2】特開2005−242827号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の出力先プリンタに使用切替え可能なユニバーサルプリンタドライバプログラムであって、
予め設定された出力先プリンタ毎の印刷設定項目の設定値と、出力先プリンタ切替えの際、切替え前の出力先プリンタで設定されている印刷設定項目毎の既設定値を、切替え先の出力先プリンタに引き継ぐか否かを示す引継情報と、を記憶する記憶手段と、
出力先プリンタ切替えの際、前記引継情報により引き継ぐとされる印刷設定項目は前記既設定値を設定し、引き継がない印刷設定項目は前記設定値を設定する引継設定決定手段としてコンピュータを機能させるためのユニバーサルプリンタドライバプログラム。
【請求項2】
印刷設定項目の前記設定値は、設定変更可能であり、
前記引継情報において、前記設定値が変更された印刷設定項目は、既設定値を引き継がないこと、
を特徴とする請求項1に記載のユニバーサルプリンタドライバプログラム。
【請求項3】
オプション機能に関する印刷設定項目の前記設定値は、オプション機能を有効とする値であり、
前記引継情報において、当該オプション機能に関する印刷設定項目は、既設定値を引き継がないこと、
を特徴とする請求項1又は2に記載のユニバーサルプリンタドライバプログラム。
【請求項4】
既設定値を引き継がないことにより、既設定値が変更されたとき、変更された旨を明示する明示手段としてコンピュータを機能させるための請求項2または3に記載のユニバーサルプリンタドライバプログラム。
【請求項5】
請求項1ないし4何れか一項に記載のユニバーサルプリンタドライバプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−165059(P2010−165059A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5083(P2009−5083)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】