説明

ユーザインターフェース制御プログラム及びユーザインターフェース制御方法

【課題】コンピュータのGUIを制御するプログラムであって、従来別々の手段としてインターフェースが用意された複数の操作を一連の動作として行なうことができ、操作性の向上を図ることが可能なユーザインターフェース制御プログラム等を提供する。
【解決手段】制御装置と表示装置を備えるコンピュータにおけるユーザインターフェースを制御する処理を制御装置に実行させる制御プログラムが、連続的に変化する所定指標の状態を指定した所定動作の指示を行なうための、スライダー形式のインターフェースを表示装置に表示する工程と、前記インターフェースの端部以外の位置を指示された場合に、指示された位置に対応する前記所定指標の状態を指定した前記所定動作の指示を出す工程と、前記インターフェースの端部の位置を指示された場合に、前記所定動作とは異なる動作の指示を出す工程とを、制御装置に実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータで用いられるアプリケーションのGUI(グラフィカルユーザインターフェース)を制御するプログラム等に関し、特に、従来別々の手段としてインターフェースが用意された複数の操作を一連の動作として行なうことができ、操作性の向上を図ることが可能なユーザインターフェース制御プログラム等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータ及びその上で動く各種アプリケーションの普及が目覚ましく、また、それに伴ってアプリケーションを利用する上でのGUIも様々なものが開発されてきている。例えば、一般的なものとして、いわゆるボタンと呼ばれるGUIがあり、ユーザは、このボタンをマウスでクリックすることで、当該ボタンに割り付けられた特定の指示、例えば、表示の切り替え等の指示、を行なうことができる。
【0003】
また、いわゆるスライダーと呼ばれるGUIがある。これは、マウスで操作するつまみのようなものであり、左右や上下にスライドさせることによって、連続的に変化する特定の指標、例えば、音量や表示の明るさ等、の状態を指示することができる。
【0004】
例えば、パーソナルコンピュータなどに格納されている複数のデータ、例えば、複数のファイルについてディスプレイに表示させる場合を考えると、当該複数のデータ(ファイル)についての属性情報を文字情報としてリスト形式で表示する場合と、当該複数のデータ(ファイル)の縮小版イメージを表示する、いわゆるサムネール表示の場合の、表示の切り換えは、上述したボタン形式のGUIで行い、また、サムネール表示している場合の、表示イメージの拡大縮小は上記スライダーのGUIで行なう、といった使われ方がされていた。
【0005】
また、下記特許文献1では、スクロールバーを利用して縮小イメージの表示を行なう技術に関して提案されている。
【特許文献1】特開平8−235200号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来のGUIでは、関連する複数の指示を行なう場合に、それらがそれぞれ割り付けられた複数のボタンやスライダーを、ユーザが適宜選んで操作する必要があり、使い勝手が良くないケースがあった。
【0007】
例えば、上述した複数データの情報表示の例では、リスト形式での表示とサムネール表示を何回か繰り返した後に、所望のデータ(ファイル)を選択し、そのデータの全体表示をさせるという使い方が想定されるが、この場合、ユーザは、上記表示切替のボタン、サムネール表示でのスライダー、及び前記全体表示用のボタンなど、別々に用意された複数のインターフェースを適宜選んで操作する必要があった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、コンピュータで用いられるアプリケーションのGUIを制御するプログラムであって、従来別々の手段としてインターフェースが用意された複数の操作を一連の動作として行なうことができ、操作性の向上を図ることが可能なユーザインターフェース制御プログラム、等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の一つの側面は、制御装置と表示装置を備えるコンピュータにおけるユーザインターフェースを制御する処理を前記制御装置に実行させるユーザインターフェース制御プログラムが、連続的に変化する所定指標の状態を指定した所定動作の指示を行なうための、スライダー形式のグラフィックインターフェースを前記表示装置に表示する工程と、前記グラフィックインターフェースの端部以外の位置を指示された場合に、当該指示された位置に対応する前記所定指標の状態を指定した前記所定動作の指示を出す工程と、前記グラフィックインターフェースの端部の位置を指示された場合に、前記所定動作とは異なる動作の指示を出す工程とを、前記制御装置に実行させることである。
【0010】
更に、上記の発明において、一つの態様は、前記グラフィックインターフェースの一方の端部の位置を指示された場合に指示が出される動作は、他方の端部の位置を指示された場合に指示が出される動作と異なることを特徴とする。
【0011】
更に、上記の発明において、好ましい態様は、前記グラフィックインターフェースの端部の近傍に、当該端部の位置を指示された場合に指示が出される動作を表すアイコンが表示されることを特徴とする。
【0012】
更に、上記の発明において、一つの態様は、前記アイコンが指示された場合に、当該アイコンが表す動作の指示が出されることを特徴とする。
【0013】
更にまた、上記の発明において、一つの態様は、前記ユーザインターフェースが、複数のデータについての情報を前記表示装置に表示させるために用いられ、前記グラフィックインターフェースの端部以外の位置を指示された場合には、当該指示された位置に対応する拡大率を指定した、前記複数のデータ各々の、各前記複数のデータについてのイメージの表示についての指示を出し、前記グラフィックインターフェースの一方の端部の位置を指示された場合には、前記複数のデータに関する文字情報の表示についての指示を出し、前記グラフィックインターフェースの他方の端部の位置を指示された場合には、前記複数のデータから選択された所定のデータについてのイメージの表示についての指示を出すことを特徴とする。
【0014】
上記の目的を達成するために、本発明の別の側面は、制御装置と表示装置を備えるコンピュータにおけるユーザインターフェースを制御するユーザインターフェース制御方法が、前記制御装置が、連続的に変化する所定指標の状態を指定した所定動作の指示を行なうための、スライダー形式のグラフィックインターフェースを前記表示装置に表示する工程と、前記制御装置が、前記グラフィックインターフェースの端部以外の位置を指示された場合に、当該指示された位置に対応する前記所定指標の状態を指定した前記所定動作の指示を出す工程と、前記制御装置が、前記グラフィックインターフェースの端部の位置を指示された場合に、前記所定動作とは異なる動作の指示を出す工程とを、有することである。
【0015】
本発明の更なる目的及び、特徴は、以下に説明する発明の実施の形態から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態例を説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。なお、図において、同一又は類似のものには同一の参照番号又は参照記号を付して説明する。
【0017】
図1は、本発明を適用したユーザインターフェース制御プログラムを備えたプリントサーバの実施の形態例に係る構成図である。図1に示すプリントサーバ2が本実施の形態例に係るプリントサーバであり、複数格納する印刷対象データ23の中から、ユーザが所望のデータを選択して印刷の指示を行なう際のGUIとして、スライダー形式のインターフェースを用意し、その左端においてはリスト表示の指示を、その途中位置においては位置に応じた拡大率でのサムネール表示の指示を、また、その右端においては選択されたデータの全体表示の指示を可能とし、関連する複数の操作を一連の動作で行なえるようにして操作性を向上させようとするものである。
【0018】
本実施の形態例に係るプリントサーバ2は、本発明のユーザインターフェース制御プログラムを利用したアプリケーションを備えるコンピュータの一例であり、1以上のホストコンピュータ1と1以上のプリンタ3に接続される、印刷機能に特化したサーバである。当該プリントサーバ2は、パーソナルコンピュータなどで構成することができ、主に、印刷処理の中継、印刷データの加工(印刷データのビットマップデータへの変換など)、加工された印刷データの蓄積(ビットマップデータに変換された印刷データの蓄積)などの機能を担い、前記ホストコンピュータ1から印刷ジョブを受けた際には、PDLを解釈して印刷要求先のプリンタ3に適したデータを生成して、プリンタ3に転送する。
【0019】
また、ユーザからの印刷要求指示を受け、蓄積されたビットマップデータについて、印刷要求先のプリンタ3に適したデータを生成して、プリンタ3に転送することもできる。ユーザからの印刷要求指示を受けるとき、ユーザから印刷条件の指示を受けることができ、ユーザからの印刷条件指示に従った印刷条件でデータを生成してプリンタ3に転送する機能も担う。
【0020】
プリントサーバ2には、図1に示すように、印刷指示アプリケーション21が備えられ、印刷対象データ23を格納可能である。なお、図1では、プリントサーバ2の構成を機能的に示しており、図示していないが、プリントサーバ2は、CPU等の制御装置、ROM、RAM、HDD等のデータ記憶装置などを有している。また、印刷指示アプリケーション21以外にも前述した各機能を司る複数のアプリケーションを備えている。
【0021】
印刷指示アプリケーション21は、プリントサーバ2が格納する印刷対象データ23に対するユーザの印刷指示を受け取って、ユーザが指示する印刷対象データ23についてプリンタ3に適したデータを生成し、それをプリンタ3に転送して印刷の指示を行なうアプリケーションである。
【0022】
印刷指示アプリケーション21には、図1に示すように、表示制御部22がある。当該表示制御部22は、ユーザが上記印刷指示を行なう印刷対象データ23を決定するために、プリントサーバ2が格納している印刷対象データ23を複数種類の表示形式でユーザに示す機能を司る部分である。具体的には、各印刷対象データ23をリスト形式で表示するリストビュー、各印刷対象データ23の縮小版イメージを表示するサムネールビュー、及び選択された印刷対象データ23の全体イメージを示すプレビューを、ユーザ指示(操作)に基づいて切り換えて表示する。
【0023】
表示制御部22には、図1に示すように、GUI制御モジュール221、リストビューモジュール222、サムネールビューモジュール223、及びプレビューモジュール224が備えられる。GUI制御モジュール221は、上記印刷対象データ23の表示及びその切り換えのためのGUIを制御する部分である。当該GUI制御モジュール221は、上記各ビューを表示するための表示ウィンドウ及び表示切り換えのためのスライダー形式の操作インターフェースをモニタ24に表示し、キーボード・マウス25を用いた前記操作インターフェースに対するユーザの操作による指示を受け取って、当該指示に従ったビューを生成し上記表示ウィンドウに表示する処理を行なう。このGUI制御モジュール221が提供する上記スライダー形式の操作インターフェースに大きな特徴があり、その具体的な内容については後述する。
【0024】
次に、リストビューモジュール222、サムネールビューモジュール223、及びプレビューモジュール224は、GUI制御モジュール221からの要求に応じて、それぞれ、リストビュー、サムネールビュー、プレビューを生成するために必要なデータを取得し、そのデータをGUI制御モジュール221に引き渡す部分である。
【0025】
なお、これら表示制御部22に備えられる各モジュールは、各機能を実現するための処理手順を記述した各プログラムと、当該プログラムに従って処理を実行するプリントサーバ2に備えられるCPUなどの制御装置等によって構成される。また、印刷指示アプリケーション21には、表示制御部22のほかに、前述した機能を実行するための他のモジュールが存在するが図示を省略している。
【0026】
次に、印刷対象データ23は、前記印刷指示アプリケーション21によって印刷を指示される対象のデータ群であり、プリントサーバ2のHDD(図示せず)などに格納される。各印刷対象データは、ホストコンピュータ1からの一つの印刷ジョブ、写真などの一つのイメージデータ等の単位で構成され、それぞれ、識別情報でリンクされた属性情報、プレビューデータ、及び画像データを有している。ここで、画像データとは、印刷対象となる画像そのもののデータであり、例えば、ビットマップデータとして収められる。属性情報とは、データの容量、データ形式、作成者等々に関する、前記画像データの属性の情報である。また、プレビューデータとは、モニタ24に印刷対象となる画像を表示するためのデータであり、前記画像データのサイズを小さくしたデータである。
【0027】
また、モニタ24は、プリントサーバ2のディスプレー装置であり、キーボード・マウス25は、プリントサーバ2の入力装置である。
【0028】
本実施の形態例に係るプリントサーバ2は、以上説明したような構成を有するが、以下、当該プリントサーバ2から印刷指示を行なう場合の処理について、特に、その際の前述したビューの切り換え処理について具体的に説明する。
【0029】
印刷指示を行なう場合には、まず、ユーザが、キーボード・マウス25を用いて印刷指示アプリケーション21を起動させる。印刷指示アプリケーション21が起動すると、表示制御部22が、前述したビュー表示ウィンドウとビューの表示切り換え用の操作インターフェースをモニタ24に表示する。ユーザは、当該インターフェースを利用して、適宜、ビューを変更し、印刷出力する印刷対象データ23を選択する。なお、このビューの表示についてのインターフェースと具体的な処理内容については後で詳述する。
【0030】
その後、ユーザは、選択した印刷対象データ23について、モニタ24に表示される印刷指示ボタンなどの指示用のインターフェースを操作して印刷の指示を行なう。印刷指示アプリケーション21は、その指示を受けて、選択された印刷対象データ23についてプリンタ3用のデータを生成し、それをプリンタ3に転送する。プリンタ3は、当該データを受信して、それに従った印刷処理を実行し、ユーザが指示した印刷対象データ23について印刷媒体への出力が行なわれる。
【0031】
このようにして、プリントサーバ2が格納する印刷対象データ23についての印刷指示がなされるが、以下、プリントサーバ2の特徴である、印刷対象データ23の表示処理について具体的に説明する。図2は、表示制御部22による表示処理についてその処理手順を例示したフローチャートである。
【0032】
前述したように、印刷指示アプリケーション21が起動すると、表示制御部22が、ビュー表示ウィンドウとビューの表示切り換え用の操作インターフェースをモニタ24に表示する。具体的には、GUI制御モジュール221が、上記操作インターフェースであるスライダーとビュー表示ウィンドウの表示用データを所定の格納箇所から取得すると共に、ビュー表示ウィンドウ内に表示する初期ビューを生成する(ステップS1)。前述のとおり、印刷対象データ23の表示では、リストビュー、サムネールビュー、又は、プレビューでの表示が可能であるが、ここでは、それらの中から予め定められたビュー、あるいは、前回の処理で最後に指示されていたビューを初期ビューとして、そのビューデータを生成する。例えば、リストビューが初期ビューとして生成される。なお、各ビューの生成、表示手順は後述する。
【0033】
次に、GUI制御モジュール221は、モニタ24に、前記取得したデータによりスライダー及びビュー表示ウィンドウを、また、ビュー表示ウィンドウ内にS1で生成した初期ビューを表示する(ステップS2)。図3は、各ビューを表示するビュー表示ウィンドウとスライダーを例示した図である。図3の(a)は、初期ビューがリストビューである場合に、上記処理によりモニタ24に表示される状態を例示している。図中のSで示す部分が上記スライダーであり、図中のWで示すウィンドウが上記ビュー表示ウィンドウである。
【0034】
このスライダーSは、図3に示されるように、一般的なスライダーと同様の形をしており、5角形のつまみ部分を左右にスライドさせることによって操作するが、その操作によって指示される動作の内容が従来とは異なる。具体的には、つまみ部分を左端に移動させると、すなわち、図3の(a)の「0」の位置に移動させると、印刷対象データ23のリストビューを表示させることが指示され、つまみ部分を右端に移動させると、すなわち、図3の(a)の「Max」の位置に移動させると、選択されている印刷対象データ23のプレビューを表示させることが指示される。また、つまみ部分を上記左端及び右端以外の位置(「0」と「Max」を含まない両者の間の位置)に移動させると、その位置に応じた拡大率でのサムネールビューを表示させることが指示される。つまり、本スライダーSでは、サムネールビューでの拡大率を連続的に変化させる、元々スライダーに適している機能が、端部を除く位置に割付けられ、両端部には、それぞれ、異なるビューでの表示、言い換えれば、元々ボタンによるインターフェースに適しているビューの切り換え機能が割り付けられている。
【0035】
また、別の言い方をすれば、スライダーSの左端、右端、中間部分の各位置につまみ部分を移動させることにより、上記3つのビューを切り換えて表示させることができ、中間部分では、位置が右端に近づくほど拡大して表示させることができる。
【0036】
図3の(a)におけるビュー表示ウィンドウWでは、前述の通り、その中に、初期ビューであるリストビューが表示されている。
【0037】
このようにして、初期の状態を表示すると、GUI制御モジュール221は、ユーザによって上記スライダーが操作されるのを待つ(ステップS3)。そして、ユーザによるキーボード・マウス25を用いたスライダー操作があると、その操作後のつまみ部分の位置を取得する。
【0038】
そして、その取得した位置が「0」である場合には(ステップS4のYes)、GUI制御モジュール221は、リストビューを表示すべく、リストビューモジュール222にそのためのデータ取得を指示する。なお、初期ビューがリストビューであり、その直後のタイミングでは、ユーザがスライダーの位置を「0」にする操作を行なうことはなく、かかるリストビュー表示のための処理は行なわれないが、スライダーの位置が「0」以外の位置から「0」に移動する操作が行なわれた場合には、かかるリストビュー表示のための処理は行なわれる。
【0039】
上記指示を受けたリストビューモジュール222は、各印刷対象データ23の前述した属性情報を読み出してGUI制御モジュール221に渡す(ステップS5)。例えば、プリントサーバ2が保持している、印刷対象とすることが可能な全データについて、それらの名前及びデータ量を読み出してリストビューのための情報として取得する。
【0040】
その後、GUI制御モジュール221は、取得された上記リスト情報からリストビューのデータを生成し(ステップS6)、当該データによりモニタ24にリストビューを表示する(ステップS2)。例えば、図3の(a)におけるビュー表示ウィンドウW内に示すようなビューが表示される。この例では、3つの印刷対象データ23がプリントサーバ2に保持され、それらの名前(「Name」)とデータ容量(「Size」)がリスト形式で示されている。ユーザは、印刷の対象とするデータを選択するために、このようなリスト情報により、各データの属性情報を見ることができる。
【0041】
次に、ステップS4に戻って、前記スライダー操作の位置が「0」(左端)ではなく(ステップS4のNo)、また、「Max」(右端)でもない場合には(ステップS7のNo)、GUI制御モジュール221は、サムネールビューを表示すべく以下の処理を行なう。まず、取得した操作後のつまみ部分の位置からサムネール表示の際の拡大率を求める(ステップS8)。
【0042】
次に、GUI制御モジュール221は、サムネールビューモジュール223に各印刷対象データ23の前記プレビューデータを取得するように指示を出す。サムネールビューモジュール223は、当該指示を受けて、プレビューデータを所定の格納箇所から読み出してGUI制御モジュール221に渡す(ステップS9)。
【0043】
GUI制御モジュール221は、受け取った各印刷対象データ23のプレビューデータと前記求めた拡大率から、前記つまみ部分の位置に応じた拡大率のサムネールビューデータを生成する(ステップS10)。そして、当該データによりモニタ24にサムネールビューを表示する(ステップS2)。
【0044】
例えば、図3の(b)又は(c)におけるビュー表示ウィンドウ内に示すようなビューが表示される。サムネールビューは、印刷対象とする画像の縮小イメージを表示するものであるので、この例では、前記リストビューで表示された3つの印刷対象データ23について、それぞれ、縮小版のイメージが表示される(図中のA、B、C)。但し、図3の(c)では、つまみ部分の位置が図3の(b)の場合よりも右側にあるので拡大率が大きく、2つの印刷対象データ23(A、B)のみが表示される。また、これら図3の(b)及び(c)の表示状態は、連続的に拡大率を変えて表示できるサムネールビューの例であって、つまみ部分の位置を他の位置に変えることによって、これらとは異なる拡大率でのサムネールビューを表示させることができる。ユーザは、印刷の対象とするデータを選択するために、このようなサムネールビューにより、各データの出力イメージを様々な拡大率で見ることができる。
【0045】
次に、ステップS7に戻って、前記スライダー操作の位置が「Max」(右端)である場合には(ステップS7のYes)、GUI制御モジュール221は、プレビュー表示のための処理を行なう。ここで、プレビュー表示では、前述の通り、選択された印刷対象データ23について印刷実行前のプレビューを表示するものであるので、通常の場合には、つまみ部分の位置を「Max」にする前に、複数の印刷対象データ23から一つのデータを選択する操作が行なわれている。この選択操作は、例えば、前記リストビュー又はサムネールビューの表示画面において、選択するデータをマウスでクリックすることによって行なわれる。図3の例では、(a)におけるDで示す箇所をクリックすることにより2番目の印刷対象データ23が選択され、(b)においては「B」で示されるイメージをクリックすることによって2番目の印刷対象データ23が選択される。なお、この選択操作が行なわれていない場合には、予め定めたルールに基づいて、選択されている印刷対象データ23を決めることができる。例えば、リストビューにおいて先頭に表示される印刷対象データ23が選択されているものとする。
【0046】
上記スライダーの操作を受けて、まず、GUI制御モジュール221は、プレビューモジュール224に対して、上記選択されている印刷対象データ23のプレビューデータを取得するように指示し、プレビューモジュール224は、当該プレビューデータを所定の格納箇所から読み出してGUI制御モジュール221に渡す(ステップS11)。
【0047】
GUI制御モジュール221は、受け取った印刷対象データ23のプレビューデータから、プレビューのデータを生成する(ステップS12)。そして、当該データによりモニタ24にプレビューを表示する(ステップS2)。例えば、図3の(d)に示すようなプレビューが表示される。ここでは、「B」で示されるイメージの印刷対象データ23が選択されている場合を示しており、「B」のみについてプレビューが表示される。ユーザは、印刷の対象とするデータを決定するために、又は、印刷の対象としたデータの出力状態を確認するために、当該プレビューを用いることができる。なお、このプレビューは、前記サムネールビューの最大拡大率での表示よりも拡大率を大きくすることができる。
【0048】
このようにしてスライダーに対するユーザの操作がある度に、つまみ部分の位置に応じたビューでの表示がなされる。
【0049】
以上説明した表示制御部22の処理により、ユーザが印刷指示をする印刷対象データ23を決定するに当たり、各印刷対象データ23の複数種類のビューを、スライダーという一つのインターフェースを用いて閲覧することが可能である。従って、関連する異なる動作(指示)について、従来のように別々のインターフェース手段を用いる必要がなく、一連の動作として操作を行なえるので、操作性を向上させることができる。
【0050】
なお、図3に示すように、スライダーSの端部付近に、その端部につまみ部分を移動させたときに指示される動作を表すアイコンを表示するようにしてもよい(図3の(a)におけるE及びF)。図3の例では、左端では、リストビュー表示となるため、左端脇にリスト表示をイメージさせるアイコンEが表示され、右端では、プレビュー表示となるため、右端脇にプレビュー表示をイメージさせるアイコンFが表示される。このようなアイコンの表示により、ユーザは、スライダーの両端に割付られている内容を視覚的に把握でき、更に使い勝手が向上する。
【0051】
さらに、上記アイコンをボタンによるインターフェースとして機能させるようにしてもよい。すなわち、左端のアイコンEをクリックすれば、スライダーSの位置を左端にしたのと同じリストビュー表示の指示を行なうことができ、右端のアイコンFをクリックすれば、スライダーSの位置を右端にしたのと同じプレビュー表示の指示を行なうことができる、ようにしてもよい。このような機能も合わせもつことにより、1クリック操作ではできないつまみ部分の移動によるリストビュー表示又はプレビュー表示の指示が、1クリック操作で可能となり、更に操作性を向上させることができる。
【0052】
以上説明した実施の形態のサムネイルビューでは、印刷対象とする画像の縮小イメージを表示するとしたが、印刷対象が複数ページからなるものでは最初のページの画像の縮小イメージを表示してもよい。また、印刷対象データを象徴するアイコンなどをイメージで表示してもよい。(たとえば、印刷対象データ作成元のアプリケーションを示すアイコン等。)
以上説明した実施の形態例におけるスライダーは、印刷指示アプリケーション21における情報表示に関するビューの切り換えのためのGUIとして用いられたが、本発明を用いたスライダーは、当然にして、印刷指示とは異なるアプリケーションで利用することが可能であり、また、割り付けられる指示内容もビューの切り換えに限定されず、他の動作指示を割り付けることが可能である。
【0053】
例えば、コンピュータに備えられたフォト編集アプリケーションに本発明を用いたスライダーを用いることができる。この場合、スライダーの左端においては、編集対象のフォトデータの各種属性情報(データサイズ、データ形式、解像度等)を文字情報として表示する指示を割り付け、その中間領域においては、当該フォトデータの、スライダー位置に応じた拡大率での表示の指示を割り付け、また、その右端においては、当該フォトデータの編集可能状態への遷移の指示を割り付ける、ようにすることができる。このようにすることにより、フォトデータの編集をするにあたり、対象データの属性情報の把握、拡大縮小した際の見栄えの確認、そして編集作業への移行という関連する作業を、一つのスライダーを用いて行なうことが可能となる。なお、当該応用例においても、上記実施の形態例におけるGUI制御モジュール221と同様の制御モジュールがフォト編集アプリケーションに備えられ、スライダー操作に対して、各スライダー位置に応じた動作を実行すべく指示を出す。
【0054】
また、フォルダやディレクトリの表示に本発明を用いたスライダーを用いてもよい。この場合、スライダーの一方端には、フォルダ内にあるファイルやフォルダの詳細(名前、サイズ、種類、更新日時)を文字で表示する指示をするように割り付け、中間領域には、ファイルやフォルダを象徴するアイコンを、スライダー位置に応じた拡大率で表示する指示をするように割り付け、他方端には、選択されたファイルのファイル内容のイメージ表示や、選択されたフォルダのフォルダアイコン内へのフォルダ内容のイメージ表示の指示をするように割り付ける、ようにすることができる。
【0055】
以上説明したように、本実施の形態例及び上記応用例におけるGUIでは、連続的に変化する所定の指標、例えば、拡大率や音量など、の状態(値)を指定して所定動作を指示するためのスライダー形式インターフェースの端部に、上記所定動作とは異なる動作の指示が割り付けられる。従って、関連する複数の動作指示を、特に、従来、スライダーとボタンという別々のインターフェースで行なっていた動作指示を、一つのスライダー形式インターフェースを用いて一連の動作で行なうことができるようになり、操作性を向上させることができる。
【0056】
また、スライダー形式インターフェースの両端に互いに異なる動作の指示を割り付けることにより、3種類の動作の指示を一つのインターフェースで行なうことが可能となる。
【0057】
また、スライダー形式インターフェースの端部以外の中間部分には、前述のように、連続的に変化する状態(値)を指定した一つの所定動作の指示が割り付けられるため、スライダーの位置が多少ずれても、指示する動作が変わるわけではなく、ユーザは、スライダーの移動操作にそれほど注意を払う必要はなく、また、動作の変わる端部への移動は容易であるので、操作しやすいインターフェースを提供することが可能である。
【0058】
なお、前記本実施の形態例及び応用例では、スライダーの両端にそれぞれ中間部分とは異なる動作指示が割り付けられていたが、片方のみに割り付けるようにして構わない。
【0059】
また、スライダーの方向は、具体的には、つまみ部分の移動方向は、左右に限られることはなく、上下方向等に移動させるものであってもよい。また、つまみ部分の移動は直線上に行なわれなくてもよく、円弧状に行なわれるようにしてもよい。
【0060】
本発明の保護範囲は、上記の実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶものである。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明を適用したユーザインターフェース制御プログラムを備えたプリントサーバの実施の形態例に係る構成図である。
【図2】表示制御部22による表示処理についてその処理手順を例示したフローチャートである。
【図3】各ビューを表示するビュー表示ウィンドウとスライダーを例示した図である。
【符号の説明】
【0062】
1 ホストコンピュータ、 2 プリントサーバ、 3 プリンタ、 21 印刷指示アプリケーション、 22 表示制御部、 23 印刷対象データ、 24 モニタ、 25 キーボード・マウス、 221 GUI制御モジュール、 222 リストビューモジュール、 223 サムネールビューモジュール、 224 プレビューモジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置と表示装置を備えるコンピュータにおけるユーザインターフェースを制御する処理を前記制御装置に実行させるユーザインターフェース制御プログラムであって、
連続的に変化する所定指標の状態を指定した所定動作の指示を行なうための、スライダー形式のグラフィックインターフェースを前記表示装置に表示する工程と、
前記グラフィックインターフェースの端部以外の位置を指示された場合に、当該指示された位置に対応する前記所定指標の状態を指定した前記所定動作の指示を出す工程と、
前記グラフィックインターフェースの端部の位置を指示された場合に、前記所定動作とは異なる動作の指示を出す工程とを、前記制御装置に実行させる
ことを特徴とするユーザインターフェース制御プログラム。
【請求項2】
請求項1において、
前記グラフィックインターフェースの一方の端部の位置を指示された場合に指示が出される動作は、他方の端部の位置を指示された場合に指示が出される動作と異なる
ことを特徴とするユーザインターフェース制御プログラム。
【請求項3】
請求項1あるいは請求項2において、
前記グラフィックインターフェースの端部の近傍に、当該端部の位置を指示された場合に指示が出される動作を表すアイコンが表示される
ことを特徴とするユーザインターフェース制御プログラム。
【請求項4】
請求項3において、
前記アイコンが指示された場合に、当該アイコンが表す動作の指示が出される
ことを特徴とするユーザインターフェース制御プログラム。
【請求項5】
請求項2において、
前記ユーザインターフェースが、複数のデータについての情報を前記表示装置に表示させるために用いられ、
前記グラフィックインターフェースの端部以外の位置を指示された場合には、当該指示された位置に対応する拡大率を指定した、前記複数のデータ各々の、各前記複数のデータについてのイメージの表示についての指示を出し、
前記グラフィックインターフェースの一方の端部の位置を指示された場合には、前記複数のデータに関する文字情報の表示についての指示を出し、
前記グラフィックインターフェースの他方の端部の位置を指示された場合には、前記複数のデータから選択された所定のデータについてのイメージの表示についての指示を出す
ことを特徴とするユーザインターフェース制御プログラム。
【請求項6】
制御装置と表示装置を備えるコンピュータにおけるユーザインターフェースを制御するユーザインターフェース制御方法であって、
前記制御装置が、連続的に変化する所定指標の状態を指定した所定動作の指示を行なうための、スライダー形式のグラフィックインターフェースを前記表示装置に表示する工程と、
前記制御装置が、前記グラフィックインターフェースの端部以外の位置を指示された場合に、当該指示された位置に対応する前記所定指標の状態を指定した前記所定動作の指示を出す工程と、
前記制御装置が、前記グラフィックインターフェースの端部の位置を指示された場合に、前記所定動作とは異なる動作の指示を出す工程とを、有する
ことを特徴とするユーザインターフェース制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−234457(P2008−234457A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−75241(P2007−75241)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】