説明

ユーザ負担を低減した画像のトリミング

【課題】 画像のトリミングを行う際のユーザの負担を低減することを可能とする。
【解決手段】 画像処理装置は、画像のトリミングを行う。この画像処理装置は、トリミングの対象となる対象画像における特徴部分を検出する特徴部分検出部と、対象画像における特徴部分の位置に基づき、対象画像におけるトリミング範囲の候補を少なくとも1つ設定する候補設定部と、トリミング範囲の候補を表示する候補表示部と、を備える。また、画像処理装置は、トリミング範囲の候補の内の1つを選択する選択指示を受領する選択指示受領部と、選択指示によって選択されたトリミング範囲の候補に基づき、対象画像のトリミングを行うトリミング処理部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像のトリミングに関し、特に、ユーザ負担を低減した画像のトリミングを行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像内の所望の部分だけを残し、他の不要な部分を削除するために、画像のトリミングが行われている。画像のトリミングにおいて、トリミング後にも残す画像の部分をトリミング範囲と呼ぶ。画像のトリミングを行う際に、トリミング範囲の設定は、一般に、次の2つの方法で行われている。第1の方法では、表示装置に表示された対象画像上で、ユーザにより始点および終点が指定され、指定された始点および終点を結ぶ線分を対角線とする矩形形状がトリミング範囲として設定される。第2の方法では、予めデフォルトのトリミング範囲が設定され、表示装置に表示された対象画像上で、デフォルト設定されたトリミング範囲を拡大または縮小したり、位置を平行移動したりすることによって、トリミング範囲が設定される。
【0003】
上記第1の方法では、比較的自由度の高いトリミング範囲の設定が可能である。しかしこの方法では、終点を指定するまで、トリミング範囲を確認することができない。そのため、例えばアスペクト比の制限を受ける場合等には、対象画像内の所望の部分がトリミング範囲に含まれ、かつ、不要な部分がトリミング範囲に含まれないように、トリミング範囲を設定することは困難である。
【0004】
一方、第2の方法では、表示装置に表示された対象画像上にトリミング範囲が表示されるため、所望の部分がトリミング範囲に含まれるか否かを、容易に確認することができる。しかしこの方法では、デフォルト設定されたトリミング範囲が所望の部分を含まないときは、トリミング範囲の拡大・縮小・位置変更を行う必要があり、ユーザ負担が大きい。
【0005】
トリミング範囲の設定におけるユーザ負担を低減する技術が開示されている(例えば特許文献1)。この技術では、大きさの異なる複数のトリミング範囲の候補を示すトリミング枠が対象画像上に表示され、その中からユーザが選択したトリミング枠に対応したトリミング範囲が設定される。
【0006】
【特許文献1】特開2003−57763
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1記載の従来技術では、トリミング範囲の拡大・縮小は省略できることが多い。しかし、トリミング範囲の候補が所望の部分を含まないときや、トリミング範囲の候補における所望の部分の位置が好ましくないときには、トリミング範囲の位置変更を省略することができず、やはり、ユーザ負担が大きい。
【0008】
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、画像のトリミングを行う際のユーザの負担を低減することを可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の画像処理装置は、
画像のトリミングを行う画像処理装置であって、
トリミングの対象となる対象画像における特徴部分を検出する特徴部分検出部と、
前記対象画像における前記特徴部分の位置に基づき、前記対象画像におけるトリミング範囲の候補を少なくとも1つ設定する候補設定部と、
前記トリミング範囲の候補を表示する候補表示部と、
前記トリミング範囲の候補の内の1つを選択する選択指示を受領する選択指示受領部と、
前記選択指示によって選択された前記トリミング範囲の候補に基づき、前記対象画像のトリミングを行うトリミング処理部と、を備える。
【0010】
この画像処理装置では、対象画像における検出された特徴部分の位置に基づき、トリミング範囲の候補が設定され、設定されたトリミング範囲の候補が表示される。ユーザは、表示されたトリミング範囲の候補の内の1つを選択することによって、画像のトリミングを行うことができる。そのため、この画像処理装置では、画像のトリミングを行う際のユーザの負担を低減することができる。
【0011】
上記画像処理装置において、前記候補表示部は、前記対象画像における前記トリミング範囲の候補に対応した画像を、前記対象画像が表示された位置とは異なる位置に、前記対象画像と同時に表示するとしてもよい。
【0012】
このようにすれば、トリミング後の画像を容易に確認・把握することができる。
【0013】
また、上記画像処理装置において、前記候補設定部は、前記トリミング範囲の候補を複数設定し、
前記候補表示部は、前記対象画像における複数の前記トリミング範囲の候補に対応した複数の画像を、それぞれ異なる位置に同時に表示するとしてもよい。
【0014】
このようにすれば、複数のトリミング範囲の候補の比較を容易に行うことができる。
【0015】
また、上記画像処理装置において、さらに、
前記選択指示によって選択された前記トリミング範囲の前記対象画像における位置および大きさの少なくとも一方を、可変に調整する調整部を備えるとしてもよい。
【0016】
このようにすれば、よりユーザの希望に沿ったトリミング範囲の設定を容易に行うことができる。
【0017】
また、上記画像処理装置において、前記候補設定部は、少なくとも1つの前記特徴部分が前記トリミング範囲内に位置するように、前記トリミング範囲の候補を設定するとしてもよい。
【0018】
このようにすれば、トリミング後の画像が少なくとも1つの特徴部分を含む画像となるように、トリミング範囲の候補を設定することができる。
【0019】
また、上記画像処理装置において、前記候補設定部は、少なくとも1つの前記特徴部分が前記トリミング範囲の幅方向および高さ方向の少なくとも一方に沿った中央に位置するように、前記トリミング範囲の候補を設定するとしてもよい。
【0020】
このようにすれば、トリミング後の画像が好ましい構図の画像となるように、トリミング範囲の候補を設定することができる。
【0021】
また、上記画像処理装置において、前記候補設定部は、少なくとも1つの前記特徴部分が前記トリミング範囲の幅および高さの少なくとも一方を3分割する直線上に位置するように、前記トリミング範囲の候補を設定するとしてもよい。
【0022】
このようにすれば、トリミング後の画像が安定感のある構図の画像となるように、トリミング範囲の候補を設定することができる。
【0023】
また、上記画像処理装置において、前記候補設定部は、少なくとも1つの前記特徴部分が前記トリミング範囲の幅および高さの少なくとも一方を黄金分割する直線上に位置するように、前記トリミング範囲の候補を設定するとしてもよい。
【0024】
このようにすれば、トリミング後の画像が好ましい構図の画像となるように、トリミング範囲の候補を設定することができる。
【0025】
また、上記画像処理装置において、前記候補設定部は、高さが幅よりも大きい形状である前記トリミング範囲の候補を設定するとしてもよい。
【0026】
このようにすれば、トリミング後の画像がいわゆるポートレートの構図の画像となるように、トリミング範囲の候補を設定することができる。
【0027】
また、上記画像処理装置において、前記特徴部分は、人間を表す部分であるとしてもよい。
【0028】
このようにすれば、ユーザが所望すると想定されるトリミング範囲の候補を設定することができる。
【0029】
また、上記画像処理装置において、前記特徴部分は、人間の顔を表す部分であるとしてもよい。
【0030】
このようにしても、ユーザが所望すると想定されるトリミング範囲の候補を設定することができる。
【0031】
また、上記画像処理装置において、前記特徴部分は、ピントが合った部分であるとしてもよい。
【0032】
このようにしても、ユーザが所望すると想定されるトリミング範囲の候補を設定することができる。
【0033】
また、上記画像処理装置において、前記特徴部分は、水平線および鉛直線の少なくとも一方を表す部分であるとしてもよい。
【0034】
このようにしても、ユーザが所望すると想定されるトリミング範囲の候補を設定することができる。
【0035】
また、上記課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の印刷装置は、
対象画像における特徴部分を検出する特徴部分検出部と、
前記対象画像における前記特徴部分の位置に基づき、前記対象画像におけるトリミング範囲の候補を設定する候補設定部と、
前記トリミング範囲の候補を表示する候補表示部と、
前記トリミング範囲の候補の内の1つを選択する選択指示を受領する選択指示受領部と、
前記選択指示によって選択された前記トリミング範囲の候補に基づき、前記対象画像のトリミングを行うトリミング処理部と、
トリミングされた前記対象画像を印刷する印刷処理部と、を備える。
【0036】
この印刷装置では、対象画像における検出された特徴部分の位置に基づき、トリミング範囲の候補が設定され、設定されたトリミング範囲の候補が表示される。ユーザは、表示されたトリミング範囲の候補の内の1つを選択することによって、画像のトリミングを行うと共に、トリミング後の画像の印刷を行うことができる。そのため、この画像処理装置では、画像のトリミングおよびトリミング後の画像の印刷を行う際のユーザの負担を低減することができる。
【0037】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、画像処理方法および装置、画像トリミング方法および装置、印刷方法および装置、これらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、等の形態で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.実施例:
B.変形例:
【0039】
A.実施例:
図1は、本発明の実施例としての画像処理装置の構成を概略的に示す説明図である。実施例の画像処理装置100は、コンピュータとして構成されている。画像処理装置100は、CPU110と、液晶モニタ等の表示部120と、キーボードやマウス等の操作部130と、インターフェイス部(I/F部)140と、ROMやRAM等の内部記憶装置200と、を備えている。これら画像処理装置100の構成要素は、バス150を介して互いに接続されている。なお、画像処理装置100は、ハードディスクドライブ等の外部記憶装置を備えていてもよい。
【0040】
インターフェイス部140は、複数の入出力端子を備えており、外部機器との間で情報のやり取りを行う。例えば、インターフェイス部140は、ケーブルを介してプリンタ300と接続され、プリンタ300に印刷データを供給する。また、インターフェイス部140は、ケーブルを介して図示しないデジタルスチルカメラと接続され、画像データの読み込みを行う。なお、インターフェイス部140は、外部記憶媒体やネットワークを介して画像データの読み込みを行うものとしてもよい。読み込まれた画像データは、内部記憶装置200や図示しない外部記憶装置内に格納される。
【0041】
内部記憶装置200には、画像処理部210と、表示処理部220と、印刷処理部230と、が格納される。画像処理部210は、所定のオペレーティングシステムの下で、画像のトリミング処理を実行するコンピュータプログラムである。表示処理部220は、表示部120を制御するディスプレイドライバである。印刷処理部230は、プリンタ300を制御するプリンタドライバである。CPU110は、内部記憶装置200からこれらのプログラムを読み出して実行することにより、後述の画像トリミング・出力処理を実行する。
【0042】
画像処理部210は、特徴部分検出部212と、候補設定部213と、選択指示受領部214と、調整部215と、トリミング処理部216と、を含んでいる。これらの各部の機能については、後述の画像トリミング・出力処理の説明において詳述する。
【0043】
図2は、画像処理装置100による画像トリミング・出力処理の流れを示すフローチャートである。画像トリミング・出力処理は、処理の対象となる対象画像のトリミングを行い、トリミング後の対象画像(以下「トリミング画像TI」と呼ぶ)をプリンタ300を用いて印刷する処理である。
【0044】
ステップS110では、画像処理部210(図1)が、対象画像OIを設定する。対象画像OIは、画像トリミング・出力処理の対象となる画像である。内部記憶装置200や図示しない外部記憶装置内に格納された画像データの表す画像の内、ユーザによって選択された画像が、対象画像OIとして設定される。ユーザは、例えば、表示部120に表示された画像の内の1つを、操作部130を操作して選択する。図3は、設定された対象画像OIの一例を示す説明図である。
【0045】
ステップS120(図2)では、画像処理部210(図1)が、トリミング画像TIをプリンタ300で印刷する際の出力サイズを設定する。画像処理部210は、操作部130を介したユーザからの指示に基づき、出力サイズを設定する。なお、画像処理部210が、プリンタ300から取得された出力サイズに基づき、出力サイズを設定するとしてもよい。
【0046】
ステップS130(図2)では、特徴部分検出部212(図1)が、対象画像OIにおける特徴部分を検出する。本実施例の特徴部分検出部212は、以下の3つの部分の内の少なくとも1つを、特徴部分として検出する。第1の部分は、人間の顔を表す部分であり、第2の部分は、ピントが合っている部分であり、第3の部分は、水平線および鉛直線の少なくとも一方を表す部分である。
【0047】
対象画像OIにおける人間の顔を表す部分の検出は、公知の顔検出技術を用いて行うことができる。公知の顔検出技術としては、平均顔等を利用したパターンマッチングによる顔検出、肌色領域抽出による顔検出、顔器官の周波数特徴を利用したSVM(Suport Vector Machine)判別法による顔検出等がある。なお、特徴部分検出部212が、対象画像OIにおける人間の全身を表す部分を検出するとしてもよい。全身検出は、パターンマッチング法、人間の顔を表す部分の検出結果からの推定、当該推定を利用した輪郭検出等により行うことができる。
【0048】
対象画像OIにおけるピントが合っている部分の検出は、対象画像OI内からエッジが急峻となっている画素が固まっている部分を抽出することにより行うことができる。すなわち、一般のオートフォーカス技術で用いられているパッシブ方式を応用すればよい。なお、対象画像OIの画像データを含む画像ファイルに、ピント位置を表す情報が含まれているときは、当該情報を用いて対象画像OIにおけるピントが合っている部分の検出を行うとしてもよい。
【0049】
対象画像OIにおける水平線および鉛直線の少なくとも一方を表す部分の検出は、例えば、水平成分または鉛直成分のみに反応するエッジ検出オペレータを用いて行うことができる。本実施例では、検出する水平線および鉛直線は、対象画像OIの輝度成分および色差成分の少なくとも一方を大きく二分するものであるとしている。また、検出する水平線および鉛直線は、必ずしも直線である必要は無く、略直線であればよい。また、エッジ検出オペレータは、画素単位のオペレータではなく、大局的なオペレータであることが好ましい。
【0050】
図4は、対象画像OIにおける特徴部分の検出結果の一例を示す説明図である。図4の例では、人間の顔を表す部分(以下「顔領域FA」と呼ぶ)と、水平線HLと、が検出されている。
【0051】
ステップS140(図2)では、候補設定部213(図1)が、ステップS130で検出された特徴部分の対象画像OIにおける位置に基づき、トリミング範囲の候補を設定する。ここで、トリミング範囲とは、対象画像OIにおけるトリミング後にも残す画像の部分を意味している。本実施例では、トリミング範囲の候補は、ステップS120で設定された出力サイズのアスペクト比と同じアスペクト比となるように設定される。
【0052】
図5は、トリミング範囲の候補の設定方法の第1の例を示す説明図である。図5の例では、検出された顔領域FAから全身を表す全身領域BAを推定し、全身領域BAが含まれる範囲をトリミング範囲の候補として設定している。なお、トリミング範囲の外周をトリミング枠TFと呼ぶものとする。このようにすれば、トリミング画像TIが人間の全身を表現した画像となるように、トリミング範囲の候補を設定することができる。図5(a)には、設定されたトリミング範囲の候補のトリミング枠TFを示している。また、図5(b)には、設定されたトリミング範囲の候補に対応したトリミング画像TIを示している。なお、図5の例では、トリミング範囲の候補を縦長形状(ポートレート形状)の範囲として設定しているが、横長形状の範囲として設定してもよい。また、全身領域BAは、顔領域FAの7倍から9倍の大きさの領域として推定されることが好ましい。
【0053】
図6は、トリミング範囲の候補の設定方法の第2の例を示す説明図である。図6の例では、検出された顔領域FAが、トリミング範囲の黄金分割点に位置するように、トリミング範囲の候補を設定している。すなわち、顔領域FAが、トリミング範囲の幅および高さの少なくとも一方を、1:0.618に分割する直線上に位置するように、トリミング範囲の候補が設定される。このようにすれば、トリミング画像TIが好ましい構図の画像となるように、トリミング範囲の候補を設定することができる。図6(a)には、設定されたトリミング範囲の候補のトリミング枠TFを示している。また、図6(b)および(c)には、設定されたトリミング範囲の候補に対応したトリミング画像TIを示している。
【0054】
なお、図6の例では、顔領域FAが、トリミング範囲の高さを、下方から上方に沿って1:0.618に分割する直線上に位置するように、トリミング範囲の候補を設定しているが、反対に、顔領域FAが、トリミング範囲の高さを、上方から下方に沿って1:0.618に分割する直線上に位置するように、トリミング範囲の候補を設定してもよい。
【0055】
図6の例におけるトリミング範囲の候補の大きさは、顔領域FAの大きさに基づき設定されてもよい。すなわち、トリミング範囲の候補の幅および高さの少なくとも一方を、顔領域FAの幅および高さの少なくとも一方の所定倍に設定してもよい。また、トリミング範囲の候補の大きさは、ユーザの指定値やデフォルト値を用いて設定されてもよい。また、トリミング範囲の候補の大きさは、印刷画像の画質を考慮して設定されてもよい。例えば、出力サイズ(例えばL判)から、当該出力サイズで画像を印刷する際に十分な画質を確保するために好ましい画像データの画素数(例えば200万画素程度)を設定し、トリミング範囲の候補を、当該画素数を含む範囲となるように設定してもよい。なお、図6の例では、トリミング範囲の候補を横長形状の範囲として設定しているが、縦長形状の範囲として設定してもよい。
【0056】
図7は、トリミング範囲の候補の設定方法の第3の例を示す説明図である。図7の例では、水平線HLが、トリミング範囲の高さを3分割する直線上に位置するように、トリミング範囲の候補を設定している。このようにすれば、トリミング画像TIが安定感のある構図の画像となるように、トリミング範囲の候補を設定することができる。図7(a)には、設定されたトリミング範囲の候補のトリミング枠TFを示している。また、図7(b)には、設定されたトリミング範囲の候補に対応したトリミング画像TIを示している。図7の例では、対象画像OIにおけるトリミング範囲の候補の幅方向に沿った位置は、顔領域FAがトリミング範囲の幅方向の中央に位置するように、設定されている。
【0057】
なお、図7の例では、水平線HLが、トリミング範囲の高さを、下方から上方に沿って2:1に分割する直線上に位置するように、トリミング範囲の候補を設定しているが、反対に、水平線HLが、トリミング範囲の高さを、上方から下方に沿って2:1に分割する直線上に位置するように、トリミング範囲の候補を設定してもよい。
【0058】
図7の例におけるトリミング範囲の候補の大きさも、上述した図6の例と同様に、顔領域FAの大きさに基づき設定されてもよいし、ユーザの指定値やデフォルト値を用いて設定されてもよいし、印刷画像の画質を考慮して設定されてもよい。なお、図7の例では、トリミング範囲の候補を横長形状の範囲として設定しているが、縦長形状の範囲として設定してもよい。
【0059】
トリミング範囲の候補の設定方法は、図5から図7を用いて説明した方法に限られるものではなく、対象画像OIにおける特徴部分の位置に基づいてトリミング範囲の候補を設定する方法であれば、他の設定方法を採用することもできる。例えば、顔領域FAに基づき人間の顔から胸部までが含まれる範囲を推定し、当該範囲をトリミング範囲の候補として設定してもよい。また、鉛直線が検出された場合には、鉛直線がトリミング範囲の幅を3分割する線上に位置するように、トリミング範囲の候補を設定してもよい。また、顔領域FAが複数検出された場合には、複数の顔領域FAに対応する全身領域BAがすべて含まれる範囲をトリミング範囲の候補として設定してもよい。また、顔領域FAまたは全身領域BAがトリミング範囲の幅および高さの少なくとも一方の中央に位置するように、トリミング範囲の候補を設定してもよい。また、対象画像OIにおけるピントが合っている位置が検出された場合には、ピントが合っている位置がトリミング範囲の黄金分割点に位置するように、トリミング範囲の候補を設定してもよい。また、ピントが合っている位置が、トリミング範囲の幅および高さの少なくとも一方の中央に位置するように、トリミング範囲の候補を設定してもよい。
【0060】
候補設定部213(図1)は、上述の方法を用いて、予め設定された数のトリミング範囲の候補を設定する。なお、候補設定部213は、設定可能な最大数のトリミング範囲の候補を設定するとしてもよい。また、ステップS130で、特徴部分検出部212(図1)が特徴部分を検出できなかった場合には、候補設定部213は、デフォルトのトリミング範囲をトリミング範囲の候補として設定してもよい。
【0061】
ステップS150(図2)では、画像処理部210(図1)が、表示処理部220を制御して、設定されたトリミング範囲の候補を表示部120上に表示する。図8は、表示部120におけるトリミング範囲の候補の表示の一例を示す説明図である。表示部120は、対象画像表示領域122と、トリミング範囲候補表示領域124と、操作ボタン表示領域126と、を有している。対象画像表示領域122には、対象画像OIが表示される。トリミング範囲候補表示領域124には、対象画像OIにおけるトリミング範囲の候補に対応した画像が表示される。すなわち、トリミング範囲の候補に従ってトリミングを行った場合に生成されるトリミング画像TIが、トリミング範囲候補表示領域124に表示される。また、ステップS140(図2)で複数の候補が設定された場合には、対象画像OIにおける複数のトリミング範囲の候補に対応した複数の画像が、トリミング範囲候補表示領域124の異なる位置に並べて同時に表示される。なお、トリミング範囲候補表示領域124内に、設定されたすべての候補が同時に表示されるとしてもよいし、画面をスクロールさせることによってすべての候補が表示されるとしてもよい。
【0062】
ステップS160(図2)では、選択指示受領部214(図1)が、ユーザによるトリミング範囲の候補の1つを選択する選択指示を受領する。選択指示は、ユーザが、操作部130(図1)を操作して、トリミング範囲候補表示領域124に表示されたトリミング範囲の候補の中から、最も好ましい1つの候補を選択することにより行われる。図8(a)には、トリミング範囲候補表示領域124の最上段に表示されたトリミング範囲の候補が選択されたときの表示部120の状態を示している。図8(a)に示すように、トリミング範囲の候補が選択されると、選択された候補に対応したトリミング枠TFが対象画像表示領域122に表示された対象画像OI上に表示される。また、図8(b)に示すように、他のトリミング範囲の候補(図8(b)の例では上から2番目の候補)へと選択が変更されたときには、対象画像OI上に表示されるトリミング枠TFは、当該選択された候補に対応したものに変更される。なお、図8におけるハッチングは、当該ハッチングを付されたトリミング範囲の候補が選択されていることを示すために、便宜的に図示しているものであり、実際の表示部120上で表示されているものではない。
【0063】
ステップS170(図2)では、調整部215(図1)が、選択されたトリミング範囲の候補の微調整を行う。トリミング範囲の候補の微調整とは、トリミング範囲の候補を、拡大・縮小したり、平行移動したりすることを意味している。トリミング範囲の候補の微調整は、ユーザが、操作部130(図1)を操作して、操作ボタン表示領域126に表示された拡大・縮小ボタン127や移動ボタン128を選択することにより行われる。拡大・縮小ボタン127や移動ボタン128が選択されると、それに伴って、トリミング範囲候補表示領域124に表示された選択されたトリミング範囲の候補の表示が変更される。また、対象画像表示領域122に表示されたトリミング枠TFも変更される。ユーザは、トリミング範囲候補表示領域124および対象画像表示領域122の表示を確認しながら、トリミング範囲が所望の範囲となるように、トリミング範囲の候補の微調整を行う。なお、微調整が不要な場合は、ステップS170はスキップされる。
【0064】
ステップS180(図2)では、画像処理部210(図1)が、印刷指示を受領する。印刷指示は、ユーザが操作部130(図1)を操作することにより行われる。ステップS190(図2)では、画像処理部210(図1)が、印刷処理部230を制御して、ステップS170における微調整後のトリミング範囲の候補に従ったトリミング画像TIの印刷処理を行う。印刷処理の結果、トリミング画像TIがプリンタ300によって印刷される。
【0065】
以上説明したように、本実施例の画像処理装置100では、対象画像OIにおける検出された特徴部分の位置に基づき、ユーザが所望すると想定されるトリミング範囲の候補が設定される。ユーザは、表示部120に表示されたトリミング範囲の候補の1つを選択し、必要により簡単な微調整を行うだけで、トリミング画像TIを得ることができ、またトリミング画像TIの印刷を行うことができる。そのため、本実施例の画像処理装置100では、画像のトリミングを行う際のユーザの負担を低減することができる。
【0066】
また、本実施例の画像処理装置100では、図8に示すように、設定されたトリミング範囲の候補に対応した画像が、対象画像OIが表示された位置(対象画像表示領域122)とは異なる位置(トリミング範囲候補表示領域124)に表示される。そのため、例えば、対象画像OI上にトリミング枠TFを表示することによってトリミング範囲の候補を表示する方法と比較して、トリミング結果としてのトリミング画像TIを容易に確認・把握することができる。さらに、表示されたトリミング範囲の候補の1つを選択すると、対象画像表示領域122に対象画像OIにおけるトリミング枠TFの位置が表示されるため、対象画像OIにおけるトリミング範囲を容易に確認・把握することができる。
【0067】
また、本実施例の画像処理装置100では、図8に示すように、複数のトリミング範囲の候補が設定された場合、対象画像OIにおける複数のトリミング範囲の候補に対応した複数の画像が、トリミング範囲候補表示領域124の異なる位置に並べて同時に表示される。そのため、例えば、対象画像OI上に複数のトリミング枠TFを表示することによって複数のトリミング範囲の候補を表示する方法と比較して、複数のトリミング範囲の候補の比較を容易に行うことができる。
【0068】
また、本実施例の画像処理装置100では、設定されたトリミング範囲の候補の微調整を行うことができる。そのため、よりユーザの希望に沿ったトリミング範囲の設定を容易に行うことができる。
【0069】
B.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0070】
B1.変形例1:
上記実施例の画像処理装置の構成は、あくまで一例であり、画像処理装置の構成を他の構成とすることも可能である。例えば、上記実施例における画像処理装置100(図1)とプリンタ300とが一体として画像処理装置(または印刷装置)を構成するとしてもよい。このとき、操作部130として、操作ボタンを含む操作パネルが用いられるとしてもよい。
【0071】
また、画像処理装置は、必ずしもプリンタ300と接続される必要はない。画像処理装置がプリンタ300と接続されないときは、画像処理装置が、画像のトリミングを目的として画像トリミング処理を単独で行うとしてもよい。
【0072】
また、上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。
【0073】
B2.変形例2:
上記実施例の表示部120におけるトリミング範囲の候補の表示方法は、あくまで一例であり、他の方法によりトリミング範囲の候補を表示するとしてもよい。例えば、対象画像表示領域122(図8)に表示された対象画像OI上にトリミング枠TFを表示することによって、トリミング範囲の候補を表示するとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施例としての画像処理装置の構成を概略的に示す説明図。
【図2】画像処理装置による画像トリミング・出力処理の流れを示すフローチャート。
【図3】設定された対象画像OIの一例を示す説明図。
【図4】対象画像OIにおける特徴部分の検出結果の一例を示す説明図。
【図5】トリミング範囲の候補の設定方法の第1の例を示す説明図。
【図6】トリミング範囲の候補の設定方法の第2の例を示す説明図。
【図7】トリミング範囲の候補の設定方法の第3の例を示す説明図。
【図8】表示部におけるトリミング範囲の候補の表示の一例を示す説明図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像のトリミングを行う画像処理装置であって、
トリミングの対象となる対象画像における特徴部分を検出する特徴部分検出部と、
前記対象画像における前記特徴部分の位置に基づき、前記対象画像におけるトリミング範囲の候補を少なくとも1つ設定する候補設定部と、
前記トリミング範囲の候補を表示する候補表示部と、
前記トリミング範囲の候補の内の1つを選択する選択指示を受領する選択指示受領部と、
前記選択指示によって選択された前記トリミング範囲の候補に基づき、前記対象画像のトリミングを行うトリミング処理部と、を備える、画像処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像処理装置であって、
前記候補表示部は、前記対象画像における前記トリミング範囲の候補に対応した画像を、前記対象画像が表示された位置とは異なる位置に、前記対象画像と同時に表示する、画像処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2のいずれかに記載の画像処理装置であって、
前記候補設定部は、前記トリミング範囲の候補を複数設定し、
前記候補表示部は、前記対象画像における複数の前記トリミング範囲の候補に対応した複数の画像を、それぞれ異なる位置に同時に表示する、画像処理装置。
【請求項4】
請求項1記載の画像処理装置であって、さらに、
前記選択指示によって選択された前記トリミング範囲の前記対象画像における位置および大きさの少なくとも一方を、可変に調整する調整部を備える、画像処理装置。
【請求項5】
請求項1記載の画像処理装置であって、
前記候補設定部は、少なくとも1つの前記特徴部分が前記トリミング範囲内に位置するように、前記トリミング範囲の候補を設定する、画像処理装置。
【請求項6】
請求項5記載の画像処理装置であって、
前記候補設定部は、少なくとも1つの前記特徴部分が前記トリミング範囲の幅方向および高さ方向の少なくとも一方に沿った中央に位置するように、前記トリミング範囲の候補を設定する、画像処理装置。
【請求項7】
請求項5記載の画像処理装置であって、
前記候補設定部は、少なくとも1つの前記特徴部分が前記トリミング範囲の幅および高さの少なくとも一方を3分割する直線上に位置するように、前記トリミング範囲の候補を設定する、画像処理装置。
【請求項8】
請求項5記載の画像処理装置であって、
前記候補設定部は、少なくとも1つの前記特徴部分が前記トリミング範囲の幅および高さの少なくとも一方を黄金分割する直線上に位置するように、前記トリミング範囲の候補を設定する、画像処理装置。
【請求項9】
請求項1記載の画像処理装置であって、
前記候補設定部は、高さが幅よりも大きい形状である前記トリミング範囲の候補を設定する、画像処理装置。
【請求項10】
請求項1記載の画像処理装置であって、
前記特徴部分は、人間を表す部分である、画像処理装置。
【請求項11】
請求項10記載の画像処理装置であって、
前記特徴部分は、人間の顔を表す部分である、画像処理装置。
【請求項12】
請求項1記載の画像処理装置であって、
前記特徴部分は、ピントが合った部分である、画像処理装置。
【請求項13】
請求項1記載の画像処理装置であって、
前記特徴部分は、水平線および鉛直線の少なくとも一方を表す部分である、画像処理装置。
【請求項14】
画像のトリミングを行う画像処理方法であって、
(a)トリミングの対象となる対象画像における特徴部分を検出する工程と、
(b)前記対象画像における前記特徴部分の位置に基づき、前記対象画像におけるトリミング範囲の候補を少なくとも1つ設定する工程と、
(c)前記トリミング範囲の候補を表示する工程と、
(d)前記トリミング範囲の候補の内の1つを選択する選択指示を受領する工程と、
(e)前記選択指示によって選択された前記トリミング範囲の候補に基づき、前記対象画像のトリミングを行う工程と、を備える、画像処理方法。
【請求項15】
画像のトリミングを行う画像処理プログラムであって、
トリミングの対象となる対象画像における特徴部分を検出する特徴部分検出機能と、
前記対象画像における前記特徴部分の位置に基づき、前記対象画像におけるトリミング範囲の候補を少なくとも1つ設定する候補設定機能と、
前記トリミング範囲の候補を表示する候補表示機能と、
前記トリミング範囲の候補の内の1つを選択する選択指示を受領する選択指示受領機能と、
前記選択指示によって選択された前記トリミング範囲の候補に基づき、前記対象画像のトリミングを行うトリミング処理機能と、を、コンピュータに実現させることを特徴とする、画像処理プログラム。
【請求項16】
印刷装置であって、
対象画像における特徴部分を検出する特徴部分検出部と、
前記対象画像における前記特徴部分の位置に基づき、前記対象画像におけるトリミング範囲の候補を少なくとも1つ設定する候補設定部と、
前記トリミング範囲の候補を表示する候補表示部と、
前記トリミング範囲の候補の内の1つを選択する選択指示を受領する選択指示受領部と、
前記選択指示によって選択された前記トリミング範囲の候補に基づき、前記対象画像のトリミングを行うトリミング処理部と、
トリミングされた前記対象画像を印刷する印刷処理部と、を備える、印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−153148(P2009−153148A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−4198(P2009−4198)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【分割の表示】特願2005−96822(P2005−96822)の分割
【原出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】