説明

ライフル銃及び拳銃並びに火器のために照準方向を安定させる方法及び装置

銃身の向きにおける主に意図的でない銃身の運動の影響を減衰させることによって、照準時において例えばライフル銃または拳銃などの武器の銃身の運動を安定させるための方法。その方法は、特に、銃身(1’)を備える武器の前方部(1)と武器の床尾端(2’)を備える武器の後方部(2)との間に、前方部及び後方部の相互の可動性のためにヒンジ(3)を設ける工程と、少なくとも2平面において銃身の長手方向の運動を継続的に検知する工程と、制御システム(4h、4v、5h、5v、6h、6v)を用いて床尾端と銃身との長手方向の向きそれぞれの間の少なくとも1角度を制御し、銃身の向きにおける変化を相殺する工程と、を備えることを特徴とする。その発明は、装置及び火器にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、添付された請求項1の前置き部分による方法に関する。
【0002】
その発明は、添付された請求項19の前置き部分による装置にも関する。
【0003】
さらに、この発明は、請求項37による火器に関する。
【背景技術】
【0004】
上記した種の技術は、すでに知られている。
【0005】
ライフル銃射撃及び拳銃射撃における発砲の精度は、とりわけ武器及び弾薬の質と用いられる照準器の種類とに制限される。着弾点が射撃ごとに異なることにおける理由の1つは、例えば銃弾重量及び黒色火薬の重さがカートリッジごとに異なるためであることがある。たとえ連続射撃の間に、同じ方向に、且つさらに同じ状況下で武器を発砲しても、射撃の着弾点は、用いられる材料の質に起因していくらか広がる。しかし、現代の武器について、フリーハンド射撃によって、すなわち武器のためのどの外部支援もない状態で、武器の精密さまたは弾薬の質などの欠点に起因する広がりは、照準の間に、十分に静止して武器を保持できないことによる射手自身に起因する広がりに比べて小さく、このため、所望の方向に発砲を行うことを難しくする。できるだけうまく命中させるために、射手は、ターゲットに向けた方向のままで武器を保持し、ターゲットの周囲における不可避且つある程度ランダムな運動の間に、照準方向とターゲットに向かう方向とが一致するときに、即座に発砲しようとしなければならない。射手が発砲のために所望の位置に至るまで照準方向の運動を良好に制御できるほど、この運動は遅くなり、良好な発砲を行うこと及び良好な命中を得ることを容易にする。とりわけ照準の間の意図的でない銃身の運動を特徴づけることは、これらの運動がより大きく且つより遅い照準方向の意図的な変化に比べ、比較的に速く且つ相対的に小さいことである。
【0006】
特許文献1には、照準方向を安定させ、それによって発砲の精度を向上させる組込型のサーボシステムを備えるライフル銃が記載されている。この例において、銃身(煙管)は、銃身が移動する外管の内部に吊り下げられている。銃身の周りにある管は、総重量を増大させ、且つ重心を前方に移動させており、これは、その後にライフル銃を水平に支えるためにより大きな力を必要とするので、欠点である。その上、銃身を方向付けることに作用するモーターは、銃身の前端に取り付けられており、これは、重心をさらに前方に移動させる。従来型のライフル銃における重心は、通常、それぞれライフル銃を支える右手と左手との2つの位置のちょうど間の点、すなわち引き金周辺に設置される。この発明によると、銃身の方向を制御するために、銃身の周りに外部機構を必要としない。したがって、この理由のために、ライフル銃の重心の前方の重量は増加しない。それゆえに、この発明は、いわゆるバランスを悪くすることなく、言い換えれば重心が前方に移動することなく比較的長い銃身を備える武器に適用される。この発明によると、追加の要素によって武器の重心が前方に移動しないように、サーボシステムを包含する要素の大部分、すなわちモーター、電子機器及び機構は、武器の後端に設置される。
【0007】
特許文献1による構造における欠点は、発砲の実際の方向を示すことができる照準器を管で取り囲まれる銃身に取り付けなければならないことである。これは、構造を複雑にする。この特許にもとづく照準器を取り付けることは、従来の武器と同じ方法でなされる。したがって、この発明により、構造はより複雑ではなくなる。
【0008】
特許文献2には、2つのリニアモーターを用いて銃身の方向を安定させるシステムが記載されている。これらのモーターの重量及び位置決めは、重心を前方に移動し、前方において武器を重くする。同じ特許文献2において、安定させるサーボシステムは、サーボシステムを作動する第一位置へ引かれなければならない引き金によって作動される。その後、発砲は、引き金をさらに引くことによってなされる。その方法は、射手がサーボシステムを作動するのではなく誤って弾丸を放ってしまうという危険性を伴う。サーボシステムを作動するこの方法における別の欠点は、効率的且つ安全な方法で適用されるために、それは相当な訓練を必要とすることである。通常、引き金は弾丸を放つ以外に使われない。この発明によると、照準が肩に接触するプレスプレートを押し付け、それによってサーボシステムを作動する回路を閉じると、サーボシステムの作動が射手によってなされるので、引き金の機能の変更を必要としない。したがって、射手は、通常射撃で実行される操作に加えてサーボシステムを始動するために特別な操作を実行しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5834677号明細書
【特許文献2】米国特許第5974940号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、とりわけ従来技術に関連した問題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、添付された請求項1、19及び37それぞれによる特徴を有する方法、装置及び火器によって達成される。
【0012】
さらに、利点は、それぞれの従属請求項に記載されることによって達成される。
【0013】
この発明は、武器に銃身の向きを安定させる組込型のサーボシステムによって、照準時における銃身の運動を減衰させるように設計される装置及び方法に関する。サーボシステムには、継続的に銃身の回転速度を垂直方向及び水平方向に測定する測定手段と、床尾端に関して銃身の方向を変更するモーターと、が含まれており、銃身の向きを安定させ、これによって所望の方向における武器の照準を簡素化し、射撃の精度を上げる。安定させることによって、射手が武器のための物理的な支持なくターゲットに向けて照準器の方向を制御しようとする照準時に生ずる意図的でない銃身の運動を相殺する。この技術は、すべての種類のライフル銃及びピストルやリボルバーのような拳銃にも適用される。
【0014】
本明細書で説明される発明の重要な特徴は、言及された特許文献はほぼ適切ではないが、この武器に適用されるためにそれが良好に調節されることである。
【0015】
発明は、安定させるサーボシステムによって照準時の射撃を支援し、このサーボシステムが速く意図的でない銃身の運動を減衰させるように設計されたライフル銃または小兵器を備え、これによって、射手が、より容易に所望の命中位置に向かって照準方向を制御し、銃身及び照準方向の穏やかな運動によって、適切な発砲時期を選択するためにより長い時間を得る。
【0016】
発明にもとづいて設計されるライフル銃または拳銃において、武器は、2つの相互に可動な部材、銃身を有する前方部と床尾端とに分割される。その2つの部材は、それらが2軸ベアリングヒンジによって接続される共通点において互いに関して可動であり、これは水平及び垂直に可動性をもたらす。ベアリングは、床尾端が前方部と接触するところに配置される。床尾端と銃身との向きの間の角度は、床尾端と銃身との間の角度を制御するサーボシステムによって調整され、銃身の向きにおける速い変化は、相殺且つ減衰され、これにより、所望の方向において狙いをつけ、且つ弾丸を放つことが容易になる。銃身の向きを変更する回転トルクは、サーボシステムによって逆の方向に回転トルクをかけることによって成し遂げられる。例えば外部から、すなわち射手によって付与された運動を補償するために銃身を時計回りに回転させる場合、床尾端は反時計回りに回転される。床尾端の慣性モーメントは、回転トルクを引き起こし、その後変更される銃身方向に影響を与える。床尾端が後端において多かれ少なかれ中実の物体に、ライフル銃射撃において通常射手の肩に支えられている場合、回転トルクは増大する。拳銃を用いた発砲の場合において、状況は基本的に同様であるが、床尾端が短いこと及びライフル銃射撃(射手の肩)の場合のように武器が後端において大きな質量に接触していないという事実は、床尾端の慣性モーメントの重要性が大きくなることを意味する。例として示される実施形態には、床尾端の質量がどのように配置されるかを示しており、重い物体は、床尾端に十分に大きな慣性モーメントを与えるためにベアリングからさらに離れ、且つ後方に配置される。銃身の意図的でない速い運動を減衰させることに加えて、安定させるサーボシステムは、射撃後に反動で起こる上方に向かう銃身の運動を同様に減衰し、この発明にもとづいて設計される武器、特に半自動ライフル銃を用いて、良好に向きをつけた第二射撃をより速く発砲できるように、作動する。
【0017】
この発明のさらなる理解は、添付された図面と併せて以下の詳細な説明を読むとなされ、同様の細部は、異なる図で同様に示される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1a】図1aは、照準方向を安定させたライフル銃を右側から示す。
【図1b】図1bは、照準方向を安定させたライフル銃を上から示す。
【図2】図2は、照準方向を安定させたリボルバーを右側から示す。
【図3a】図3aは、回転運動を有するモーターを用いるモーター及びロッドの配置を示す。
【図3b】図3bは、直線運動を有するモーターを用いるモーター及びロッドの配置を示す。
【図4】図4は、水平経路における電子部品及びモーターに関するブロック図を示す。
【図5】図5は、カルダン継ぎ手及びロッドの形態をなすヒンジ(ベアリング)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1aは、照準方向を安定させたライフル銃を右側から示す。所定の重要な機能要素は、隠されており、破線で示される。所定の隠された要素を図示しない。2つの相互に可動な部材、前方部1及び床尾端2の間には、2つの部材に水平及び垂直に可動性を与えるヒンジ3の各部、ベアリング3が見られる。明確にする理由で、床尾端及び前方部の間の間隔は、所望の可動性を与えるために必要とされるものよりも大きくなっている。ベアリング3を介して前方部において適用されるロッド10は、床尾端において後方へ突出する。ロッドの端にはアーム8vが連結されており、それは、モーター6vの回転運動を主としてロッド10の端の直線及び垂直運動に伝達し、それにより、床尾端及び銃身の間の角度を変更する。この図において明確さを増大させるために、水平に運動を与える部材を取り除いている。床尾端の後端には突出するプレスプレート12が見られる。
【0020】
図面から、特許によるライフル銃の外部構造は、ターゲット射撃のための並びに軍隊及び警察が使用するための従来のライフル銃の構造から相当の規模で異なる必要はないことがわかる。
【0021】
図1bは、照準方向を安定させたライフル銃を上から示す。隠された要素から、ロッド10とモーター6h及び6vとだけを包含する。
【0022】
図2は、照準方向を安定させたリボルバーを右手側から示す。スペースの理由で、バッテリー、電子機器、モーター及びその他の要素は、ピストルのグリップの下に固定された器具ボックスに設置される。床尾端の慣性モーメントを増大させるために、重い要素をベアリング3の遠方且つ後方に設置する。
【0023】
図3aは、どのようにモーター6h及び6vをロッド10に接続する機構を配置するかに関する原理を示す。この例において、モーターは出力シャフトにおける回転車輪とともに使用される。
【0024】
図3bは、直線運動のモーターを使用する場合に、どのようにモーター6h及び6vをロッド10に接続するかに関する機構を配置する原理を示す。
【0025】
図4において、電子部品とモーターとを水平経路において連結することを概略的に示す。垂直経路における部品は類似の方法で連結される。
【0026】
図5は、銃身及び床尾端の間のベアリングとロッド10とを示す。右側へのフランジ16は、例えばボルト継ぎ手を使って銃身1にベアリングを留めるために使われる。左側へのフランジ17は、対応する方法で床尾端にベアリングを留めるために使われる。
【0027】
発明にもとづいて設計されるライフル銃及び拳銃において、武器は銃身を有する前方部1及び床尾端2の2つの相互に可動な部材に分けられる。2つの部材1及び2は、共通点において互いに関して可動であり、この共通点で、それらは、カルダン継ぎ手として適切に設計される2軸ベアリングによって接続される。ベアリングは床尾端が前方部に接続するところに設置される。ベアリングは、2つの相互に直交する平面において垂直及び水平に銃身に関して支持点回りで床尾端が回転することを可能にする。
【0028】
床尾端と銃身の向きとの間の角度は制御システム、好ましくは床尾端と銃身との間の角度を制御するサーボシステムによって調整され、銃身の向きにおける速い変化を減衰させ、これは、所望の方向を狙うこと及び弾丸を放つことを容易にする。
【0029】
制御システム、サーボシステムは、好ましい実施形態にしたがって、
− 武器の前方部に取り付けられた2つの例えばジャイロスコープなどの角速度伝達装置であって、伝達装置がそれぞれ水平及び垂直の2平面4h及び4vそれぞれにおける回転速度を記録する、角速度伝達装置と、
− ジャイロスコープからの信号を増幅し且つフィルターにかけるバンドパスフィルターをそれぞれ有する2つの増幅器5h及び5vと、
− 増幅器5h及び5vによって制御され、床尾端に関してロッド10の後端が移動することによって床尾端と銃身との間の角度を垂直及び水平に変更できる2つの電気モーター6h及び6vと、
が含まれる。
図では、垂直方向にロッドそれによって銃身に作用するモーターを符号6vで示し、銃身の向きを水平に変更するモーターを符号6hで示す。モーターは、所望の直線運動をもたらすために異なる方法で設計されてもよい。図1a、1b、2及び3aにおける構造には、出力シャフト上で回転数を下げる歯車を有する回転モーターが示されており、回転モーターの回転運動は、モーターの出力シャフト上に取り付けられた車輪の周囲でベアリングに連結される2つのアーム8h及び8vそれぞれによって、(主に)往復運動に変換される。回転モーターに対する代替案は、図3bにもとづいた直線運動を直接もたらすリニアモーターである。モーターが回転運動を有するか直線運動を有するかに関係なく、それらをサーボモーターとして設計してもよい、すなわちモーターは、出力シャフト位置の偏位が入力信号と比例するように出力シャフト位置を制御する組込型の自動制御システムを有する。
【0030】
2つのモーター6h及び6vは、カルダン継ぎ手3における中心を貫通し且つ武器の前方部1に固定されるロッドの後端にアーム8h及び8vを介して連結され、それは、図5にもとづいて武器の前方部1に留められるカルダン継ぎ手の一部、すなわち右側に向けられるフランジ16を有する右手側部において適切に留められる。ロッドの後端をアーム8h及び8vそれぞれによって移動させると、銃身1’及び床尾端2’の間の角度は、ベアリング3において互いに関して回転する床尾端及び銃身によって変えられる。
【0031】
それゆえに、モーター6h、6vは、2つの部材1、2間の角度に作用する制御システムのための駆動手段を構成する。当然ながら、電気モーター以外の他の駆動手段、例えば電磁気装置または圧電装置を想定しても良い。
【0032】
サーボシステムの機能は、銃身の長手方向の向きの変化によって、銃身方向における変化を相殺するように支持点3における角度を変えることである。発明にもとづいて設計されるライフル銃の基本機能は、以下の例によって説明される。メイン電流スイッチ14を作動させ、このようにしてサーボシステムの電子機器を始動させた後に、射手が照準を行う、すなわち武器を持ち上げ、肩に床尾端を近づけるとする。射手が床尾端を肩に接触して押し付けると、サーボシステムのモーターを作動させる電流スイッチ15が作動し、それによって、その後から銃身の照準を安定させる。さらに射手が、彼が射撃したいターゲットに狙いをつけ、且つ照準の間、彼が意図的でなく前方の銃床の周囲を保持する手、すなわち武器の前方部1の底部を下げたとする。この結果として銃身を下げ始めると、ライフル銃における回転が開始する、すなわち銃身及び床尾端1、2は、床尾端が射撃手の肩と接触する点回りにともに回転する。銃身を下げると、われわれが図1aのライフル銃を考慮する場合、回転は時計回りに向けられる。回転は、銃身の垂直な回転速度を測定するジャイロスコープ4vからの信号における変化を引き起こす。信号は、増幅器5vを介して床尾端2及び銃身1の間の角度を垂直に変えるモーター6vに作用し、ロッド10の後端は、床尾端の後端に関して下方に押し付けられ、それにより、床尾端の前部及び銃身の後端は、下に向けられる力によって作用される。ロッド10を下に押しつける力が前方部の重心に向けてではなく重心の後方の点に(図1aにおける左側へ)向けて方向付けられるので、この力は銃身1に影響する回転トルクを引き起こし、図1aにおけるそのトルクは、反時計回りの向きを有する。銃身の後端は下げられ、それによって、その向きは、照準方向を上げるように変えられ、それにより、照準方向が意図的でなく下がることは、減少または取り除かれる。このようにして、照準方向(及び射撃方向)は、射手によってそれが下げられる前の銃身の向きへの運動の速度及び大きさに応じて、多かれ少なかれ戻される。
【0033】
水平方向において始められる回転において、水平面における銃身方向の調節は、サーボシステムの水平経路において対応する要素の影響を受けて行われる。
【0034】
拳銃の例において、機能は、床尾端2の後端が射手の肩に接触したままではなく、それによって(相対的に)固定点に固定されないことを除いて、基本的には同じである。床尾端2が床尾端の後端回りを回転する代わりに、それはそれの質量中心、すなわちそれの重心回りを回転する傾向がある。本明細書では床尾端2と称され、且つサーボシステムの電子機器及び機構を有する部材の重量が十分に大きく、ベアリング3から十分に遠くに設置される場合、サーボシステムが稼動するときの銃身の回転トルクは、質量及び床尾端2の慣性モーメントによって銃身を安定させるのに十分に大きい。
【0035】
意図的でない銃身の運動、すなわちサーボシステムによって減衰させられる運動を特徴付けることは、運動が意図的な運動よりも大きい程度で高周波数成分を備えることである。サーボシステムが作動する周波数帯域を適切に選択することによって、射手は、銃身の運動におけるある慣性を観測以外の他の方法においてもサーボシステムによって妨害されることなく銃身の向きの意図的な調節をする一方で、これに反して、通常は意図しない銃身の向きの速い変化は、大きい程度で相殺且つ減衰される。
【0036】
好ましい実施形態により、角速度伝達装置からの信号は、増幅器のバンドパスフィルターにおけるハイパスフィルターによってフィルターにかけられ、そしてその後、比較的低い周波数を有する信号を抑制し、且つ、比較的高い周波数を有する信号を通過させ、銃身の向きの比較的遅い変化は、速く、通常意図的でない向きの変化と同じ高い度合いでは相殺、減衰されない。
【0037】
例えば実際の武器及び使用のために、銃身の運動の減衰を調節するためのハイパスフィルターにおける選択した制限周波数をハイパスフィルタリングに付与することが好ましい。
【0038】
上記の制限周波数のための望ましい間隔は、約0.5Hzから約5Hzである。
【0039】
サーボシステムの電子機器及びモーターは、武器13に組み込まれたバッテリーによって駆動される。武器13上に適切な配置に取り付けられるサーボシステムの電子機器における電圧をオンオフ切り替えするためのメインスイッチに加えて、プレスプレート12は、ライフル銃に含まれ、スイッチ15は、プレスプレートに接続され、且つ床尾端の端に取り付けられており、このスイッチは、サーボシステムのモーターを作動する。プレスプレートは、ばねによってその外側の位置に押し出され、射手が床尾端を肩に置くと、押される。プレスプレートがその外側の位置にあると、スイッチ15はオフに切り替えられる。サーボシステムのモーターが稼動する必須条件は、メインスイッチ14をオンにすることと、プレスプレート12を押し込み、それによってスイッチ15をオンに切り替えることと、である。それゆえに、プレスプレート12及びそれに接続されるスイッチ15は、それらの機能として、照準の間だけ、すなわちライフル銃を肩に押し付けて保持するときだけに、サーボシステムのモーターを作動して照準方向を安定させなければならない。これにより、電流の消費量は減少する。
【0040】
拳銃の例において、サーボシステムのモーターを作動するプレスプレートは、武器上の適切な位置に取り付けられたスイッチ7で置換されており、この位置では、射手が狙っているときに射手によってそれを稼動する。図2において、位置決めは、射撃に関して床尾端の後端にある押しボタンを押下することによってサーボシステムを作動することを可能にすることが明記されている。このスイッチ7の正確な位置決めは、武器構造と狙いをつけているときに手でどのようにそれが支えられるかを考慮して決定される。
【0041】
拳銃の場合、武器において得られるスペースは、サーボシステム及び機構を収納するには十分に大きくない。このために、且つ床尾端2の慣性モーメントを増大させるために、これらの部材は、ピストルのグリップの下方及び後方に適切に設置される。可能性のある構造を図2に示す。慣性モーメントの増大により、床尾端及び銃身の間におけるある特定の角度の変化は、床尾端のより小さな回転とともに起こる。
【0042】
上記発明は、構造例及び好ましい実施形態に関連して記載された。
【0043】
当然ながら、さらなる実施形態並びに小改正及び小規模な追加は、基礎の発明のアイディアから逸脱することなく想定されてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 前方部、1’ 銃身、2 後方部、2’ 床尾端、3 ヒンジ,継ぎ手,(ベアリング,支持点)、4h 制御システム、4v 制御システム(ジャイロスコープ)、5h 制御システム,増幅器、5v 制御システム,増幅器、6h 制御システム,駆動手段,電気モーター(モーター)、6v 制御システム,駆動手段,電気モーター(モーター)、7 切替装置(スイッチ)、8h 操作要素(アーム)、8v 操作要素(アーム)、10 操作手段(ロッド)、12 切替装置(プレスプレート)、14 メインスイッチ(メイン電流スイッチ)、15 切替装置(電流スイッチ,スイッチ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照準時における例えばライフル銃または小銃などの武器の銃身の運動を、前記銃身の向きにおける主として意図的でない前記銃身の運動の影響を減衰させることによって、安定させる方法であって、
− 前記銃身(1’)を備える武器の前方部(1)と武器の床尾端(2’)を備える武器の後方部(2)との間に、前記前方部及び前記後方部の間で相互に可動とするためにヒンジ(3)を設ける工程と、
− 少なくとも2平面において管の長手方向の運動を継続的に検知する工程と、
− 制御システム(4h、4v、5h、5v、6h、6v)を用いて前記床尾端及び前記銃身の長手方向の向きそれぞれの間の少なくとも1つの角度を制御し、前記銃身における変化を相殺する工程と、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
− 2つの相互に直交する平面において、好ましくは1つのほぼ垂直な平面及び1つのほぼ水平な平面において、前記銃身の長手方向の運動を検知する工程、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
− 前記制御システムの2つの経路を、1つの平面に1つの経路ずつ、これにより好ましくは垂直及び水平経路を設ける工程であって、2つの前記経路それぞれが、角速度を検知するための手段(4h、4v)と、それぞれの平面において前記銃身の長手方向の運動に関連する角速度伝達装置と、を備える、工程、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
− 前記銃身の回転を検知する2平面において前記ヒンジに相互の可動性を設ける工程、
を備えることを特徴とする請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
− 前記ヒンジをカルダン継ぎ手構造として設ける工程、
を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
− 2つの相互に直交する平面において、前記床尾端及び前記銃身の長手方向の向きそれぞれの間の角度を制御するために、前記制御システムをサーボシステムとして設ける工程、
を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
− 前記制御システムの2つの前記経路のそれぞれにバンドパスフィルターを有する増幅器(5h、5v)を設ける工程であって、前記増幅器が、前記経路における前記角速度伝達装置からの信号を増幅し、且つフィルターにかける、工程、
を備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
− ハイパスフィルターによって前記増幅器における前記角速度伝達装置からの信号をフィルターにかけ、これにより、比較的低い周波数を有する信号を抑制し、且つ比較的高い周波数を有する信号を通過させ、前記銃身の向きの比較的遅い変化が、速く、通常意図的でない向きの変化と同じ高い度合いでは相殺、減衰されない工程、
を備えることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
− 例えば実際の武器及び使用のために、前記銃身の運動の減衰を調節するための前記ハイパスフィルターの制限周波数をハイパスフィルタリングに付与する工程、
を備えることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
− 約0.5Hzから約5.0Hzの間隔で制限周波数を付与する工程、
を備えることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
− 前記制御システムによる作用のために、継ぎ手から伸び、前記前方部に配置され、且つ前記後方部の前記床尾端に突出する操作手段(10)を用いて前記前方部(1)及び前記後方部(2)を相互に回転させる工程、
を備えることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
− 駆動手段の作用のために、前記床尾端に前記駆動手段(6h、6v)を設ける工程、
を備えることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
− 垂直及び水平方向それぞれにおいて前記床尾端と前記銃身との間の角度を制御するために、前記制御システムの前記経路ごとに電気モーター(6h、6v)の形態をなす前記駆動手段を設ける工程、
を備えることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
− 主に往復運動する直線運動を行う操作要素(8h、8v)それぞれにモーターを作用させる工程、
を備えることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
− 2つの前記モーター及び前記操作要素を設け、2つの前記経路に対応する2つの相互に直交する方向で、それぞれの前記操作要素を移動させる工程、
を備えることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
− 前記前方部と前記後方部とを相互に回転させるために、前記操作要素と前記操作手段とを接続する工程、
を備えることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
− 前記操作要素を、前記床尾端に突出するロッド要素の形態をなす前記操作手段の前記前方部から離れる所定部分に適用する工程、
を備えることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
− 照準に際して、好ましくは前記制御システムの電流源のためのメインスイッチ(14)をオンに切り替えた後に、狙いをつけている人によって操作されるために配置される切替装置(7、12、15)を用いて前記制御システムを作動させる工程、
を備えることを特徴とする請求項1から17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
照準時における例えばライフル銃または拳銃などの武器の銃身の運動を、前記銃身の向きにおける主として意図的でない前記銃身の運動の影響を減衰させることによって、安定させる装置であって、
− 前記銃身(1’)を備える武器の前方部(1)と武器の床尾端(2’)を備える武器の後方部(2)との間にあり、前記前方部及び前記後方部の間で相互に可動とするための継ぎ手(3)と、
− 少なくとも2平面において前記銃身の長手方向の運動を継続的に検知する装置(4h、4v)と、
− 前記銃身の向きにおける変化を妨害するように、前記床尾端及び前記銃身の長手方向の向きそれぞれの間の少なくとも1つの角度を制御するための制御システム(4h、4v、5h、5v、6h、6v)と、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項20】
2つの相互に直交する平面において、好ましくはほぼ垂直な平面及びほぼ水平な平面において、前記銃身の長手方向の運動を検知するための装置を備えることを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記制御システムの2つの経路を、1つの平面に1つの経路ずつ、これにより好ましくは垂直及び水平経路を備え、前記経路それぞれが、角速度を検知するための前記手段(4h、4v)と、それぞれの平面における前記銃身の運動を参照する角速度伝達装置と、を備えることを特徴とする請求項19または20に記載の装置。
【請求項22】
前記継ぎ手は、前記銃身の運動を検知する2平面における前記前方部及び前記後方部の相互の可動性のために配置されることを特徴とする請求項19から21のいずれか1項に記載の装置。
【請求項23】
前記継ぎ手は、カルダン継ぎ手構造として配置されることを特徴とする請求項19から22のいずれか1項に記載の装置。
【請求項24】
− 2つの相互に直交する平面において、前記床尾端及び前記銃身の長手方向の向きそれぞれの間の角度を制御するために、前記制御システムをサーボシステムとして設けることを特徴とする請求項19から23のいずれか1項に記載の装置。
【請求項25】
前記制御システムの2つの前記経路それぞれは、当該経路における前記角速度伝達装置からの信号を増幅し、且つフィルターにかけるバンドパスフィルターを有する増幅器(5h、5v)を備えることを特徴とする請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記角速度伝達装置からの信号は、ハイパスフィルターによって前記増幅器においてフィルターにかけられるように配置され、これにより、比較的低い周波数を有する信号を抑制し、且つ比較的高い周波数を有する信号を通過させ、前記銃身の向きの比較的遅い変化は、速く、通常意図的でない向きの変化と同じ高い度合いでは相殺、減衰されないことを特徴とする請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記ハイパスフィルターには、例えば実際の武器及び使用への前記銃身の運動の減衰を調節するための制限周波数が設定されていることを特徴とする請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記ハイパスフィルターは、約0.5Hzから約5Hzの間隔にある制限周波数が設定されていることを特徴とする請求項26または27に記載の装置。
【請求項29】
操作手段は、前記前方部(1)と前記後方部(2)とを相互に回転させるために設けられ、
前記制御システムによる作用のために前記操作手段(10)は、ヒンジから伸び、前記前方部に配置され、且つ前記後方部の前記床尾端に突出することを特徴とする請求項19から28のいずれか1項に記載の装置。
【請求項30】
前記操作手段の作用のために、前記床尾端にある駆動手段(6h、6v)を備えることを特徴とする請求項29に記載の装置。
【請求項31】
垂直及び水平方向それぞれにおいて前記床尾端及び前記銃身の間の角度の制御のために、前記制御システムの前記経路ごとに電気モーター(6h、6v)の形態をなす前記駆動手段を備えていることを特徴とする請求項30に記載の装置。
【請求項32】
モーターは、それぞれが主に往復運動する直線運動を行う操作要素(8h、8v)に作用するように配置されることを特徴とする請求項31に記載の装置。
【請求項33】
2つの前記モーター及び前記操作要素は、2つの前記経路に対応する2つの相互に直交する方向においてそれぞれの前記操作要素を移動させるように配置されることを特徴とする請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記操作要素は、前記前方部と前記後方部とを相互に回転させるために、前記操作手段に接続されるように配置されることを特徴とする請求項33に記載の装置。
【請求項35】
前記操作要素は、前記床尾端に突出するロッド要素の形態をなす前記操作手段の前記前方部から離れる一部分に適用されることを特徴とする請求項34に記載の装置。
【請求項36】
前記制御システムは、照準に際して、好ましくは前記制御システムの電流源のためのメインスイッチ(14)がオンに切り替えられた後に、狙いをつけている人によって操作されるように配置される切替装置(7、12、15)を用いて作動させられるように配置されることを特徴とする請求項19から35のいずれか1項に記載の装置。
【請求項37】
床尾端及び銃身を備える火器であって、
請求項19から36のいずれか1項に記載の装置を備えることを特徴とする火器。
【請求項38】
ライフル銃または小兵器であることを特徴とする請求項37に記載の火器。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−507685(P2012−507685A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−534451(P2011−534451)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【国際出願番号】PCT/SE2009/051249
【国際公開番号】WO2010/053436
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(511109456)
【Fターム(参考)】