説明

ラインストーン配置・接着保持用型

【課題】 ラインストーンを所定の情報に沿った所定の位置に配置する作業、それを接着テープによって接着・保持する作業、それを、例えば、衣服の任意の場所に接着・固定する作業を容易にして、労力の軽減と作業時間の短縮化を図ることが可能であり、又、視覚障害者でも接着作業ができるように工夫したラインストーン配置・接着保持用型を提供すること。
【解決手段】 ラインストーン配置用型の複数個の穴内にラインストーンを配列し、ラインストーン接着保持用型をラインストーン配置用型に重ねて、接着テープによって複数個の穴内に嵌め込まれていると共に複数個の貫通孔を介して突出しているラインストーンを接着・保持し、ラインストーン接着保持用型を任意の被接着部に設置し、接着テープの上側において超音波接着機をガイド部とガイド部材とによって案内させながら位置決めしてラインストーンを被接着部に超音波接着するようにしたもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラインストーン配置・接着保持用型に係り、特に、ラインストーンを所望の情報(例えば、所望のデザインや任意の点字等) に沿って設けられた穴内に容易に配列させることができると共に、それを接着テープによって接着保持し、それを例えば衣服の任意の箇所に容易に接着・固定することができると共に、作業員が視覚障害者の場合であっても接着作業ができるように工夫したものに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、衣服等に任意のデザインでラインストーンを取り付けて装飾することが行なわれている。この場合、複数個のラインストーンを所定のデザインに沿った所定の位置に配置する必要がある。そのような配置作業は次のようにして行なわれていた。
【0003】
まず、紙があり、この紙の上にラインストーンを配置する位置を印したラインストーン配置用型を載置する。このラインストーン配置用型には、ラインストーンが丁度勘合する穴が所定の情報(例えば、所望のデザインや任意の点字等)に沿った所定の位置に形成されている。そして、作業員がピンセットを使用してラインストーンを一個ずつ上記穴内に嵌め込んでいく。
【0004】
次に、全ての穴内にラインストーンを配置した後、その上から接着テープを載置して配置した全てのラインストーンを接着・保持する。後は、ラインストーンを所定のレイアウトで接着・保持した接着テープを衣服の所定の場所に載置する。そして、超音波接着機を使用してラインストーンを衣服に接着・固定していくものである。
【0005】
尚、同種の内容を開示するものとして、例えば、特許文献1がある。
【0006】
【特許文献1】特開2004−27412号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の構成によると次のような問題があった。
すなわち、複数個のラインストーンをラインストーン配置用型の複数個の穴内に配置していく作業が極めて煩雑であり、作業に多くの労力と長い時間を要してしまうという問題があった。又、そのようにして配列したラインストーンを接着テープによって接着・保持し、それを衣服の任意の場所に設置して超音波接着機によって接着・固定する作業も面倒であった。
又、この種の作業を視覚障害者が行おうとした場合、超音波接着機をラインストーンの上に正しく配置させることができず、その為視覚障害者がこの種の接着作業に携わることができないという問題があった。
【0008】
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、ラインストーンを所定の情報 (例えば、所望のデザインや任意の点字等)に沿った所定の位置に配置する作業、それを接着テープによって接着・保持する作業、それを、例えば、衣服の任意の場所に接着・固定する作業を容易にして、労力の軽減と作業時間の短縮化を図ることが可能であり、又、視覚障害者であっても所定の作業を容易に行なうことを可能にするラインストーン配置・接着保持用型を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するべく本願発明の請求項1によるラインストーン配置・接着保持用型は、ラインストーン配置用型と、上記ラインストーン配置用型に対して一体に又は別体に設けられたラインストーン接着保持用型と、上記ラインストーン配置用型上に任意の情報に基づいて形成された複数個の穴と、上記ラインストーン接着保持用型に設けられ上記任意の情報に基づいて形成された複数個の貫通孔と、上記ラインストーン接着保持用型に貼り付けられている接着テープと、上記ラインストーン接着保持用型の上記接着テープが貼り付けられている側に設けられたガイド部と、上記ガイド部に対して任意に選択・配置されるガイド部材と、を具備し、上記ラインストーン配置用型の複数個の穴内にラインストーンを配列し、次に、上記ラインストーン接着保持用型を上記ラインストーン配置用型に重ねて、接着テープによって上記複数個の穴内に嵌め込まれていると共に上記複数個の貫通孔を介して突出しているラインストーンを接着・保持し、上記ラインストーン接着保持用型を任意の被接着部に設置し、上記接着テープの上側において超音波接着機を上記ガイド部とガイド部材とによって案内させながら位置決めしてラインストーンを上記被接着部に超音波接着するようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項2によるラインストーン配置・接着保持用型は、請求項1記載のラインストーン配置・接着保持用型において、上記ガイド部材は、上記接着テープの上に設置され上記任意の情報に基づいて複数個の貫通孔が形成された位置決めプレートと、上記位置決めプレート上に設置され超音波接着機の先端の位置を規定するレールプレートと、から構成されていることを特徴とするものである。
又、請求項3によるラインストーン配置・接着保持用型は、請求項1記載のラインストーン配置・接着保持用型において、上記ラインストーン接着保持用型は上記ラインストーン配置用型に対して折り畳み可能に連接されていて、上記ラインストーン配置用型と上記ラインストーン接着保持用型を開いた状態とし、上記ラインストーン配置用型の複数個の穴内にラインストーンを配列し、次に、上記ラインストーン接着保持用型を上記ラインストーン配置用型に重ねるように折り畳み、そこに貼り付けられている接着テープによって上記複数個の穴内に嵌め込まれていると共に上記複数個の貫通孔を介して突出しているラインストーンを接着・保持し、上記ラインストーン配置用型とラインストーン接着保持用型を再度開いた状態として任意の被接着部に設置し、上記接着テープの上からラインストーンを上記被接着部に超音波接着するようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項4によるラインストーン配置・接着保持用型は、請求項1〜請求項3の何れかに記載のラインストーン配置・接着保持用型において、上記ラインストーン配置用型の穴の深さはラインストーンの高さの略半分程度に設定されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
以上詳述したように本発明によるラインストーン配置・接着保持用型によると、ラインストーン配置用型と、上記ラインストーン配置用型に対して一体に又は別体に設けられたラインストーン接着保持用型と、上記ラインストーン配置用型上に任意の情報に基づいて形成された複数個の穴と、上記ラインストーン接着保持用型に設けられ上記任意の情報に基づいて形成された複数個の貫通孔と、上記ラインストーン接着保持用型に貼り付けられている接着テープと、上記ラインストーン接着保持用型の上記接着テープが貼り付けられている側に設けられたガイド部と、上記ガイド部に対して任意に選択・配置されるガイド部材と、を具備し、上記ラインストーン配置用型の複数個の穴内にラインストーンを配列し、次に、上記ラインストーン接着保持用型を上記ラインストーン配置用型に重ねて、接着テープによって上記複数個の穴内に嵌め込まれていると共に上記複数個の貫通孔を介して突出しているラインストーンを接着・保持し、上記ラインストーン接着保持用型を任意の被接着部に設置し、上記接着テープの上側において超音波接着機を上記ガイド部とガイド部材とによって案内させながら位置決めしてラインストーンを上記被接着部に超音波接着するようにした構成になっているので、ラインストーンの配列作業、接着テープによる接着保持作業、それを任意の被接着部に接着・固定する作業が容易になり、作業に要する労力の軽減と作業時間の短縮化を図ることができる。そして、作業に熟練を要することもないので、例えば、授産所の障害者等においても有効に使用できると共に、視覚障害者であっても超音波接着機を正しくラインストーンの上に配置させて接着作業を行なうことができる。
又、上記ガイド部材を上記接着テープの上に設置され上記任意の情報に基づいて複数個の貫通孔が形成された位置決めプレートと、上記位置決めプレート上に設置され超音波接着機の先端の位置を規定するレールプレートと、から構成した場合には、上記効果をより高めることができる。
又、上記ラインストーン接着保持用型を上記ラインストーン配置用型に対して折り畳み可能に連接した場合には、一連の作業がより簡単なものとなり、特に、視覚障害者にとって好都合である。
又、上記ラインストーン配置用型の穴の深さをラインストーンの高さの略半分程度に設定した場合には、例えば、ラインストーンが表裏逆向きに穴内に入った場合には、それを容易に取り出して反転させて正規の向きにて嵌め込むこと可能になり、ラインストーンの配列作業のさらなる容易化を測ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図1乃至図14を参照して本発明の一実施の形態を説明する。図1は、本実施の形態によるラインストーン配置用具セット1を示す図であり、このラインストーン配置用具セット1は、ラインストーン配置・接着保持用型3と、ラインストーン配置用スライド具5とから構成されている。このような構成をなすラインストーン配置用具セット1によって、ラインストーン6を所定の情報に基づいて配列していき、それを任意の被接着部に接着・固定していくものである。
【0012】
上記ラインストーン配置・接着保持用型3は、ラインストーン配置用型7と、ラインストーン接着保持用型9とを折り畳み可能な状態で連接した構成になっている。図1はラインストーン配置用型7とラインストーン接着保持用型9を開いた状態を示しており、これに対して、図2および図3は、ラインストーン配置用型7の上にラインストーン接着保持用型9を重ねるように折り畳んだ状態を示している。
【0013】
上記ラインストーン配置用型7は、図1及び図3に示すように、まず、基材11があり、 この基材11には表面材13が貼り付けられている。この表面材13には所定の情報(例えば、所望のデザインや任意の点字等)に沿って複数個の穴15が形成されている。この実施の形態の場合には、図1に示すように、ハート型のデザイン部17が設けられていると共にその下方には盲人用の点字部19が5文字分設けられている。又、上記穴15には着色が施されていて、例えば、弱視の作業員であっても、穴15の位置を認識できるように工夫されている。そして、上記数個の穴15内にラインストーン6を1個ずつ入れて配置していくものである。
【0014】
次に、上記ラインストーン接着保持用型9の構成を説明する。上記ラインストーン接着保持用型9には、既に説明したラインストーン配置用型7側に形成されているハート型のデザイン部17と盲人用の5個の点字部19に対応するデザイン部21と23が夫々形成されている。上記デザイン部21とデザイン部23は複数個の貫通孔25によって構成されている。そして、上記ラインストーン接着保持用型9をラインストーン配置用型7側に重ねるように折り畳むことにより、上記ラインストーン配置用型7側の複数個の穴15内に配置されたラインストーン6が上記各貫通孔25から突出・配置されるように構成されている。
【0015】
又、図2に示すように、上記ラインストーン接着保持用型9の反ラインストーン配置用型7側には接着テープ27が貼り付けられるように構成されている。よって、上記ラインストーン接着保持用型9をラインストーン配置用型7側に重ねるように折り畳むことにより、上記ラインストーン配置用型7側の複数個の穴15内に配置されたラインストーン6が上記各貫通孔25から突出・配置されると共に、上記接着テープ27に接着保持されることになる。又、上記ラインストーン接着保持用型9の反ラインストーン配置用型7側には、L字ガイド部材29が取り付けられている。このL字ガイド部材29の作用に関しては後述する。
【0016】
既に説明したラインストーン配置用型7の複数個の穴15内にラインストーン6を配置する際には、前述したラインストーン配置用スライド具5を使用する。上記ラインストーン配置用スライド具5は、図1、図4、図5に示すような構成になっている。まず、筐体31がり、この筐体31は有底円筒状をなしていて、それを開口部33が下向きになるような方向で使用する。上記筐体31の開口部33側の縁部にはクッション材35が取り付けられている。そして、上記クッション材35を覆うように可撓性蓋体37が設置されている。
【0017】
そして、図5及び図6に示すように、ラインストーン配置用型7上に複数個のラインストーン6を置いて、これを上記ラインストーン配置用スライド具5によって押し付けながらスライドさせる。それによって、ラインストーン配置用型7の穴15内にラインストーン6を表向きの姿勢で嵌め込んでいくものである。
【0018】
既に説明した可撓性蓋体37であるが、本実施の形態では、伸縮性が高くて表面が「ツルツル」した布、例えば、女性用ストッキングに使用されている布地を使用している。これは次のような理由による。まず、伸縮性の点から説明する。ラインストーン配置用スライド具5を横方向にスライドさせる際、穴15内に既に嵌め込まれているラインストーン6に、その周辺にある他のラインストーン6を介して横方向の力を作用させる。その際、可撓性蓋体37の伸縮作用によってラインストーン6を上方から押し付けることにより上記横方向の力が良好に作用することになるからである。又、可撓性蓋体37の伸縮作用によって筐体31の内部において多数のラインストーン6を収容可能な状態となる。図5はまさにそのような状態を示している。それによって、ラインストーン配置用スライド具5をスライド操作させる際に、ラインストーン6が横方向に飛び出してしまうことを防止できるからである。又、伸縮性があることによって多量のラインストーンを収容してもラインストーン配置用スライド具5がラインストーン配置用型7から浮き上がったりすることを防止することができるからである。
又、表面が「ツルツル」している点であるが、これはラインストーン6が可撓性蓋体37に張り付かないようにするためである。
【0019】
尚、女性用ストッキングの素材を開示するものとして、例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4等がある。又、それに限らず、公知のあらゆるストッキング用の素材の適用が考えられる。又、女性用ストッキングの素材以外にも様々な素材が想定される。
【0020】
【特許文献2】特開2004−270060号公報
【特許文献3】特開2004−3062号公報
【特許文献4】特開2001−214342号公報
【0021】
又、上記筐体31を中空円筒形状としたのは次のような理由による。すなわち、ラインストーン配置用スライド具5をラインストーン配置用型7の上でスライドさせるとき、筐体31の縁が既に穴15内に配列されているラインストーン6上に乗り易く、既に穴15内に配列されているラインストーン6上を通過することになる。その際、筐体31が中空円筒形状をなしていると、少しずつラインストーン6上に乗り上げていくことになるので、抵抗が少なくて済み、且つ、既に配置されているラインストーン6を弾き飛ばすことが少ないからである。
又、筐体31の端面はR円弧状に形成されている。それによっても、スライド時の抵抗を軽減させる効果が期待できる。
【0022】
又、クッション材35であるが、これは上下方向に対する凹凸を吸収するためである。
尚、可撓性蓋体37がある程度の厚みを持っていればクッションの役目も果たすので、その場合にはクッション材は不要となる。
【0023】
又、ラインストーン配置用型7の穴15とラインストーン6との関係について説明する。ラインストーン6は、図6および図7に示すように、円錐の上端部を切除したような形状になっている。そして、先端側の外径が(d1)であり、基端側の外径が(d2)となっている。上記穴15の内径であるが、ラインストーン6の大きい方の外径(d2)が丁度嵌まる程度の大きさに設定されている。又、穴15の深さ(h)であるが、ラインストーン6の高さの略半分程度の寸法に設定されている。
【0024】
そして、ラインストーン配置用スライド具5による横方向のスライド作用に対して、ラインストーン6が表向きになっている場合には、図6に示すように、穴15の側壁がストッパとして作用するために、ラインストーン6が穴15から外れてしまうことはない。これに対して、図7に示すように、ラインストーン6が裏向きになっている場合には、ラインストーン6に対する抵抗が小さいために、穴15から容易に外れることになる。その結果、表向きのラインストーン6のみが穴15内に配列されることになり、又、ラインストーン配置用スライド具5の筐体31内において、複数個のラインストーン6同士が互いに衝突したり、或いは穴15に当たったりすることにより、結果として裏向きのラインストーン6が表向きになって穴15内に配列されることになる。
【0025】
前述したように、上記ラインストーン接着保持用型9をラインストーン配置用型7側に重ねるように折り畳むことにより、上記ラインストーン配置用型7側の複数個の穴15内に配置されたラインストーン6が上記各貫通孔25から突出・配置されると共に、上記接着テープ27に接着保持されることになる。そして、図8に示すように、上記ラインストーン接着保持用型9とラインストーン配置用型7を再度開いて、接着テープ27が上になるような向きで、例えば、衣服の任意の場所上に設置する。
【0026】
そして、接着テープ27によって接着保持されているラインストーン6を図8に示す超音波接着機41によって接着・固定していくものである。その際、ガイド部材としての各種のプレートを使用する。すなわち、図9に示すように、まず、第1位置決めプレート51、第2位置決めプレート53がある。これら第1位置決めプレート51、第2位置決めプレート53の何れかを接着テープ27の上に設置する。又、パターン用レールプレート55、第1点字レールプレート57、第2点字レールプレート59、第3点字レールプレート61がある。これらパターン用レールプレート55、第1点字レールプレート57、第2点字レールプレート59、第3点字レールプレート61の何れかを、上記第1位置決めプレート51、第2位置決めプレート53の何れかの上に設置するものである。
【0027】
上記第1位置決めプレート51には複数箇所に貫通孔52が形成されている。又、上記第2位置決めプレート53にも複数箇所に貫通孔54が形成されている。上記貫通孔52、54は何れも、接着テープ27に接着保持されているラインストーンの1個ずつに対応した位置に設けられているものであるが1個おきに形成されている。すなわち、本来であれば一枚の位置決めプレートに全ての貫通孔を設ければいいのであるが、それでは隣接する貫通孔相互間の距離が近過ぎてしまって、超音波接着機41の先端をスライドさせていっても正確に位置決めされないおそれがある。そこで、この実施の形態ではそれを1個おきに別々の位置決めプレート、すなわち、第1位置決めプレート51、第2位置決めプレート53に設けたものである。
【0028】
又、上記パターン用レールプレート55は、ハートデザイン部17の外形を 規定するものであり、それに沿って超音波接着機41の先端をスライドさせれば、自動的に上記第1位置決めプレート51の貫通孔52又は第2位置決めプレート53の貫通孔54に位置することになる。
【0029】
上記第1点字レールプレート57、第2点字レールプレート59、第3点字レールプレート61は、それぞれ点字文字部19の上段、中段、下段の位置を規定するためのものであり、そのため幅(b)の大きさが異なっているものである。
【0030】
又、上記第1位置決めプレート51、第2位置決めプレート53の何れかを接着テープ27の上に設置する。又、パターン用レールプレート55、第1点字レールプレート57、第2点字レールプレート59、第3点字レールプレート61の右上には、表裏、上下、左右の向きを判別するための切欠部62が設けられている。又、上記第1位置決めプレート51、第2位置決めプレート53の右側には、何れかを判別するための円弧状凹部64が形成されている。この場合には円弧状凹部64の個数で判別するようになっている。又、上記第1点字レールプレート57、第2点字レールプレート59、第3点字レールプレート61の右端には判別するための点字66が設けられている。
【0031】
以上の構成を基にその作用を説明する。
まず、図1に示すような状態で、ラインストーン配置用型7上に複数個のラインストーン6を載置する。次に、例えば、右手71でラインストーン配置用スライド具5を把持して、左手73で支持しているラインストーン配置用型7上に載置された複数個のラインストーン6を押し付けるようにしてスライドさせる。その作業によって、ラインストーン6が穴15内に自動的に嵌め込まれていく。
【0032】
その際、可撓性蓋体37が効果的に機能する。すなわち、図5に示すように、可撓性蓋体37が適度に撓んで複数個のラインストーン6を収容しながら移動することになり、その際、ラインストーン6を効率よく穴15内に嵌め込んでいくと共に、ラインストーン6が筐体31の外側に飛び出してしまうようなことを防止している。又、図6に示すように、ラインストーン6が正しい姿勢で嵌め込まれた場合にはそれが不用意に移動することはない。これに対して、図7に示すように、ラインストーン6が天地逆向きに嵌め込まれた場合には、ラインストーン6が穴15内にて不安定な状態になるので、周囲のラインストーン6との衝突等によって穴15内から外れてしまう。そして、正しい姿勢に反転した後に穴15内に嵌め込まれることになる。
【0033】
上記作業を繰り返すことにより全ての穴15内にラインストーン6が嵌め込まれることになる。そして、残ったラインストーン6を全て除去する。次に、図1に示す状態から、ラインストーン接着保持用型5をラインストーン配置用型7側に折り畳んで重ねて図2及び図3に示すような状態にする。それによって、ラインストーン配置用型7側の穴15内に嵌め込まれたラインストーン6が、ラインストーン接着保持用型5側の貫通孔25を介して突出した状態となる。
【0034】
それと同時に接着テープ27によって貫通孔25を介して突出しているラインストーン6が接着保持されることになる。
【0035】
次に、図8に示すように、一旦閉じたラインストーン配置・接着保持用型3を開いて、接着テープ27が表に位置するような向きで、例えば、衣服の任意の場所に載せる。その状態で超音波接着機41による超音波接着・固定作業が行なわれる。まず、図8に示すように、接着テープ27の上に第1位置決めプレート51を設置し、さらにその上にパターン用レールプレート55を設置する。
【0036】
上記第1位置決めプレート51には接着テープ27側に接着保持されている ラインストーン6の位置に対応した位置(1個おき)に貫通孔52が形成されており、よって、その貫通孔に超音波接着機41の先端を押し当てて超音波接着する。又、上記パターン用レールプレート55はハートデザイン部17のデザイン外形に沿った形状の貫通部56を備えている。よって、超音波接着機41の先端を上記貫通部56の縁に沿って移動させていけば、上記第1位置決めプレート51側の貫通孔52内に自動的に押し当てられることになる。これにより、視覚障害者であっても、超音波接着機41をラインストーン6の位置に正しく持っていくことができ、接着作業が可能になる。
【0037】
次に、パターン用レールプレート55を撤去して、図10に示すように、第第1点字用レールプレート57を設置する。この第1点字用レールプレート57は、上段に位置する点字に対して、超音波接着機41の先端を案内するためのものである。そして、超音波接着機41の先端を上記第1点字用レールプレート57に沿わせてスライドさせることにより、その先端が上段の点字部分に自動的に順次位置決めされていく。そして、各位置においてラインストーン6を
超音波接着していく。
【0038】
次に、第1点字用レールプレート57を撤去して、図11に示すように、第2点字用レールプレート59を設置する。この第2点字用レールプレート59は、中段に位置する点字に対して、超音波接着機41の先端を案内するためのものである。そして、超音波接着機41の先端を上記第2点字用レールプレート59に沿わせてスライドさせることにより、その先端が中段の点字部分に自動的に順次位置決めされていく。そして、各位置においてラインストーン6を
超音波接着していく。
【0039】
次に、第2点字用レールプレート59を撤去して、図12に示すように、第3点字用レールプレート61を設置する。この第3点字用レールプレート61は、下段に位置する点字に対して、超音波接着機41の先端を案内するためのものである。そして、超音波接着機41の先端を上記第3点字用レールプレート61に沿わせてスライドさせることにより、その先端が下段の点字部分に自動的に順次位置決めされていく。そして、各位置においてラインストーン6を
超音波接着していく。
【0040】
次に、第3点字レールプレート63と第1位置決めプレート51を撤去する。そして、図13に示すように、第2位置決めプレート53とパターンプレート55を設置する。上記第2位置決めプレート53はその貫通孔54の位置が第1位置決めプレート51の貫通孔52の位置とは1個分だけずれている。そして、同様に、超音波接着機41の先端を貫通部56の縁に沿って移動させていけば、上記第2位置決めプレート53側の貫通孔54内に自動的に押し当てられることになり、その位置において超音波接着を行なう。
【0041】
次に、パターン用レールプレート55を撤去して、第1点字用レールプレート57を設置する。この第1点字用レールプレート57は、上段に位置する点字に対して、超音波接着機41の先端を案内するためのものである。そして、超音波接着機41の先端を上記第1点字用レールプレート57に沿わせてスライドさせることにより、その先端が上段の点字部分に自動的に順次位置決めされていく。そして、各位置においてラインストーン6を
超音波接着していく。
【0042】
次に、第1点字用レールプレート57を撤去して、第2点字用レールプレート59を設置する。この第2点字用レールプレート59は、中段に位置する点字に対して、超音波接着機41の先端を案内するためのものである。そして、超音波接着機41の先端を上記第2点字用レールプレート59に沿わせてスライドさせることにより、その先端が中段の点字部分に自動的に順次位置決めされていく。そして、各位置においてラインストーン6を超音波接着していく。
【0043】
次に、第2点字用レールプレート59を撤去して、第3点字用レールプレート61を設置する。この第3点字用レールプレート61は、下段に位置する点字に対して、超音波接着機41の先端を案内するためのものである。そして、超音波接着機41の先端を上記第3点字用レールプレート61に沿わせてスライドさせることにより、その先端が下段の点字部分に自動的に順次位置決めされていく。そして、各位置においてラインストーン6を超音波接着していく。
以上で接着テープ27に接着保持されている全てのラインストーン6を衣服の任意の場所に接着・固定することができる。
【0044】
以上本実施の形態によると次のような効果を奏することができる。
まず、ラインストーン6を所定の情報(例えば、所望のデザインや任意の点字等)に沿った所定の位置に配置する作業、配置されたラインストーン6を接着テープ27に接着保持させる作業、接着テープ27に接着保持されたラインストーン6を、例えば、衣服の任意の箇所に接着・固定する作業が容易になり、それによって、作業に要する労力の軽減と作業時間の短縮化を図ることができるようになった。
以下、具体的に説明すると、まず、ラインストーン6をラインストーン配置用型7の穴15内に嵌め込んでいく作業が簡単なものとなった。これは専用のラインストーン配置用スライド具5を使用するようにしたからであり、それによって、ラインストーン配置用スライド具5を単にスライドさせるだけでラインストーン6を全ての穴15内に自動的に嵌め込むことができるからである。
又、ラインストーン配置用スライド具5の筐体31が中空円筒形状をなしているので、スライド時における抵抗が軽減され、よって、既に穴15内に嵌め込まれたラインストーン6が不用意に飛び出してしまうようなことを防止することができ、又、作業効率も高くなる。
又、ラインストーン配置用スライド具5の筐体31の開口部33側の外側縁部にR加工が施されているので、それによっても、上記効果を高めることができる。
又、可撓性蓋体37は伸縮性を備えた布体、具体的には、女性用のストッキングの生地を使用しているので、スライド動作時に、多数のラインストーン6を収容することができると共に、ラインストーン6のはみ出し等を防止することができる。
又、クッション材35によって上下方向の凹凸を効果的に吸収して円滑な動作を提供することができる。
又、ラインストーン配置用型7の穴15は、その深さ(h)がラインストーン6の高さの略半分に設定されているので、天地逆向きに入ったラインストーン6の反転・正規な姿勢での嵌め込みを効果的に促進させることができる。
次に、配置されたラインストーン9を接着テープ27に接着保持させる作業であるが、これはラインストーン接着保持用型9をラインストーン配置用型7の上に重ねて接着テープ27を押し付けるだけでよく極めて簡単な作業である。
又、接着テープ27に接着保持したラインストーン6を衣服の任意の場所に接着・固定する作業であるが、これも極めて簡単である。まず、接着テープ27を剥がすことなくラインストーン配置・接着保持用型1ごと衣服の任意の場所に設置することができるので、接着テープ27を剥がすという作業が不要になる。
又、超音波接着機41によるラインストーン6の接着・固定作業も容易である。すなわち、第1位置決めプレート51、第2位置決めプレート53、パターンレールプレート55、第1点字レールプレート57、第2点字レールプレート59、第3点字レールプレート61を使用することにより、超音波接着機41の先端の位置決めが容易になった。そして、例えば、作業者が視覚障害者であってもその位置を特定して必要な作業を行なうことができるものである。
又、第1位置決めプレート51、第2位置決めプレート53、パターンレールプレート55、第1点字レールプレート57、第2点字レールプレート59、第3点字レールプレート61の左右の向き、第1位置決めプレート51と第2位置決めプレート53の判別、等についても容易であり、例えば、作業者が視覚障害者であっても何等問題はない。
【0045】
尚、本発明は前記一実施の形態に限定されるものではない。
例えば、前記一実施の形態ではラインストーン接着保持用型をラインストーン配置用型に対して回動可能に連接したがそれに限定されるものではなく、別体の場合も想定される。
その他各部の構成はあくまで一例であり、その形状等については様々な変形が考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、ラインストーン配置・接着保持用型に係り、特に、ラインストーンを所望のデザインに沿った所定の位置に容易に配列させることができると共に、それを、例えば、衣服の任意の箇所に容易に接着・固定することができるように工夫したものに関し、例えば、視覚障害者等が作業を行なう場合に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施の形態を示す図で、ラインストーン配置用スライド具とラインストーン配置・接着保持用型によってラインストーンを配列している様子を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施の形態を示す図で、ラインストーン接着保持用型をラインストーン配置用型に重ねるように折り畳んだ状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施の形態を示す図で、図2のIII−III断面図である。
【図4】本発明の一実施の形態を示す図で、ラインストーン配置用スライド具の断面図である。
【図5】本発明の一実施の形態を示す図で、ラインストーン配置用スライド具とラインストーン配置用型を使用してラインストーンを配列している様子を示す断面図である。
【図6】本発明の一実施の形態を示す図で、ラインストーンとラインストーン配置用型の穴との関係を示す断面図である。
【図7】本発明の一実施の形態を示す図で、ラインストーンとラインストーン配置用型の穴との関係を示す断面図である。
【図8】本発明の一実施の形態を示す図で、接着テープに接着保持されたラインストーンを超音波接着機によって接着・固定している様子を示す斜視図である。
【図9】本発明の一実施の形態を示す図で、ラインストーン配置・接着保持用型とその付属品の構成を示す斜視図である。
【図10】本発明の一実施の形態を示す図で、ラインストーン配置・接着保持用型に付属品を組み合わせてラインストーンの接着・固定作業を行なう様子を示す斜視図である。
【図11】本発明の一実施の形態を示す図で、ラインストーン配置・接着保持用型に付属品を組み合わせてラインストーンの接着・固定作業を行なう様子を示す斜視図である。
【図12】本発明の一実施の形態を示す図で、ラインストーン配置・接着保持用型に付属品を組み合わせてラインストーンの接着・固定作業を行なう様子を示す斜視図である。
【図13】本発明の一実施の形態を示す図で、ラインストーン配置・接着保持用型に付属品を組み合わせてラインストーンの接着・固定作業を行なう様子を示す斜視図である。
【図14】本発明の一実施の形態を示す図で、図12のXIV−XIV断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 ラインストーン配置用具セット
3 ラインストーン配置・接着保持用型
5 ラインストーン配置用スライド具
6 ラインストーン
7 ラインストーン配置用型
9 ラインストーン接着保持用型
15 ラインストーン配置用型の穴
25 ラインストーン接着保持用型の貫通孔
27 接着テープ
29 L字ガイド部材
51 第1位置決めプレート
53 第2位置決めプレート
55 パターン用レールプレート
57 第1点字レールプレート
59 第2点字レールプレート
61 第3点字レールプレート






























【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラインストーン配置用型と、
上記ラインストーン配置用型に対して一体に又は別体に設けられたラインストーン接着保持用型と、
上記ラインストーン配置用型上に任意の情報に基づいて形成された複数個の穴と、
上記ラインストーン接着保持用型に設けられ上記任意の情報に基づいて形成された複数個の貫通孔と、
上記ラインストーン接着保持用型に貼り付けられている接着テープと、
上記ラインストーン接着保持用型の上記接着テープが貼り付けられている側に設けられたガイド部と、
上記ガイド部に対して任意に選択・配置されるガイド部材と、
を具備し、
上記ラインストーン配置用型の複数個の穴内にラインストーンを配列し、次に、上記ラインストーン接着保持用型を上記ラインストーン配置用型に重ねて、接着テープによって上記複数個の穴内に嵌め込まれていると共に上記複数個の貫通孔を介して突出しているラインストーンを接着・保持し、上記ラインストーン接着保持用型を任意の被接着部に設置し、上記接着テープの上側において超音波接着機を上記ガイド部とガイド部材とによって案内させながら位置決めしてラインストーンを上記被接着部に超音波接着するようにしたことを特徴とするラインストーン配置・接着保持用型。
【請求項2】
請求項1記載のラインストーン配置・接着保持用型において、
上記ガイド部材は、上記接着テープの上に設置され上記任意の情報に基づいて複数個の貫通孔が形成された位置決めプレートと、上記位置決めプレート上に設置され超音波接着機の先端の位置を規定するレールプレートと、から構成されていることを特徴とするラインストーン配置・接着保持用型。
【請求項3】
請求項1記載のラインストーン配置・接着保持用型において、
上記ラインストーン接着保持用型は上記ラインストーン配置用型に対して折り畳み可能に連接されていて、
上記ラインストーン配置用型と上記ラインストーン接着保持用型を開いた状態とし、上記ラインストーン配置用型の複数個の穴内にラインストーンを配列し、次に、上記ラインストーン接着保持用型を上記ラインストーン配置用型に重ねるように折り畳み、そこに貼り付けられている接着テープによって上記複数個の穴内に嵌め込まれていると共に上記複数個の貫通孔を介して突出しているラインストーンを接着・保持し、上記ラインストーン配置用型とラインストーン接着保持用型を再度開いた状態として任意の被接着部に設置し、上記接着テープの上からラインストーンを上記被接着部に超音波接着するようにしたことを特徴とするラインストーン配置・接着保持用型。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れかに記載のラインストーン配置・接着保持用型において、
上記ラインストーン配置用型の穴の深さはラインストーンの高さの略半分程度に設定されていることを特徴とするラインストーン配置・接着保持用型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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