説明

ライン形照明ユニット

【課題】光源から照明用光ファイバーに入射して発生させた光を用いて一般家庭の階段の段差部分等を局部的に線状に照明するライン形照明ユニットを提供する。
【解決手段】ライトファイバー1と該ライトファイバー1を内部に収納する透明筒状体2とからなり、上記透明筒状体2の内面に光反射層3を設けてなるライン形照明ユニットAであって、上記ライトファイバー1の光源の色調を変えることによりライン形の照明光の色を変化させ各部を区別して照明することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は線状、すなわちライン形に発光して照明する照明ユニットに関するものであり、詳しくは、光ファイバーを利用したライン形照明ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、光ファイバーは光を通信用として伝送する通信用光ファイバーのみならず、同じ原理で光を照明用として伝送する照明用光ファイバーの使用が拡大しつつある。上記通信用として用いられる光ファイバーは、伝送損失が極めて少なく、口径が小さいことを特長としているが、照明用光ファイバー(以下ライトファイバーという)は、伝送損失は通信用に比べて大きいものの、光源から極めて多量の光を取り込むことを特長としている。
【0003】
上記通信用光ファイバーはファイバーの側面からの光の漏れは全くといっていいほどなく、海底にケーブルを敷設して国際的な長距離通信にも利用されている。一方、ライトファイバーは側面から少しずつ光を放射するように異なった屈折率を有するコアとクラッドとを組み合わせて光の入射角を調整して形成され、比較的、短距離の光の伝送に適している。
【0004】
上記ライトファイバーは、透明度の高いプラスチックを用いるためPOF(Plastic Optical Fiber)とよばれ、ちょうどネオン管のように側面全体から発光する。また、1cm以上の大口径化も可能であり、コアの素材として柔軟な樹脂を使用することにより容易に屈曲させることができるとともに、ライトファイバー同士の接続も簡単に行うことができる。
【0005】
上記ライトファイバーとしては、例えば30mの長さのファイバーの一端に光源を設置したとき、全長にわたってほぼ均一な側面輝度が得られるライトファイバーが市販されている。このとき、上記光源としては、一般的に白熱球、ハロゲン球やメタルハライド球が使用されているが、近年LEDの使用が普及しつつある。また、上記光源の色調を変化させることによって赤、緑、白等各種の色の光を照射することができる。
【0006】
一方、特開平10−96826号公報には、細い、連続した線形の照明ビームを発生させる線形の光ファイバー・ライトライン装置が開示されている。
【0007】
すなわち、上記装置は、照明のラインを放射しかつ横方向に伸びて、該横方向に直交する軸を形成する遠位面を備えるハウジングと、その各々が各シースに収められまた光源からの光を受ける装置を備える近位部分と前記ハウジング内に配置された遠位部分とを含む複数の光ファイバーで形成された光ファイバー束と、からなり、扇形に拡がった遠位部分における光ファイバーが平坦なリニアーアレーに終端する線形の光ファイバー・ライトライン装置において、前記各光ファイバー束の遠位部分のファイバーの遠位末端を保持する装置は、その一端から他端に伸びる各連続する列に前記遠位末端を保持し、また前記各列の一端を他の束の列の端部に接して配置するように、かつ前記列の端部が互いに接する位置でギャップなく前記複数のファイバーがファイバーの連続ラインを形成するように、かつ光が前記ファイバーから前記横方向に直交する前記軸に対し所定の射出角で放射できるように、前記ファイバーを保持するように構成されている。
【0008】
そして、上記光ファイバー・ライトライン装置は長くて狭い光のストリップを必要とする様々な用途に供せられ、ライン走査用、例えばウエブ形式で用いるライン走査型CCDカメラに用いることができると記載されている。
【0009】
また、従来の線形の光源と比較して著しく強化された光出力をもつライトラインを提供できるため、様々な用途の求めに応じて、また特定の作業距離と環境必要条件に適応でき、そして寸法制限に合致できるとともに、移動するウエブの欠陥と異常、特に移動の方向に長くなった欠陥を容易に検出するモジュール光ファイバー・ライトライン・ユニットを提供することもできる、とその効果が述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平10−96826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記特許文献1には、光ファイバー・ライトライン装置から発生された細い、連続した線形の照明ビームを、例えばウエブ形式で用いるライン走査型CCDカメラに適用する等、ハイテクノロジー関連の技術分野に適用する技術が開示されている。
【0012】
本願発明は、上記背景技術に鑑みてなしたものであり、その目的は、光源から光ファイバーに入射して発生させた光をハイテクノロジー関連の技術分野のみならず、一般家庭の階段の段差部分等の局部的な照明に利用することができるライン形照明ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本願請求項1に記載の発明に係るライン形照明ユニットでは、ライトファイバーと該ライトファイバーを内部に収納する透明筒状体とからなり、上記透明筒状体の内面に光反射層を設けてなることを特徴としている。
【0014】
上記透明筒状体としては、透明性を有する軟質熱可塑性樹脂、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂等公知のオレフィン系樹脂を折り曲げ自在に筒状に成形したものが用いられる。
【0015】
上記ライトファイバーの光源としては、白熱球、ハロゲン球やメタルハライド球、あるいは赤、緑、白等各種の色に発光するLED等が使用される。
【0016】
本願請求項2に記載の発明に係るライン形照明ユニットでは、上記請求項1に記載のライン形照明ユニットにおいて、上記ライトファイバーの光源の色調を変えることによりライン形の照明光の色を変化させるようになしたことを特徴としている。
【0017】
例えば、階段の先端部を白色LED、床面との段差部分を赤色LED、床面と壁部との境を緑色と色分けしてライン形に発光させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本願請求項1記載の発明に係るライン形照明ユニットにおいては、ライトファイバーを内部に収納する透明筒状体の口径を、例えば、0.5mm〜2.0mmと小さくできるため、昼間等使用しないときは目立たなくすることができる。また、従来光源として豆電球、LED等を使用するとともに、これらの光源を並べて配置し、点の連続からラインを形成してライン形照明としていたため、一条の照明ラインを得ることができなかったが、ライトファイバーを用いることによって、あたかもネオン管を用いたような直管型のライン照明をすることができる。
【0019】
上記透明筒状体を透明な軟質熱可塑性樹脂から形成することにより折り曲げ自在とすることが可能であり、この透明筒状体は保護ケースとしても機能する。また接続して延長することも可能であるため屋内の任意の個所に設置でき、長く引くことにより一般戸建住宅のみならず、マンション、宿泊施設等にも設置することができる。
【0020】
さらに溝切りをして埋設し接着剤等で固定することにより、例えば階段のステップ等使用者が踏む頻度の高い個所に設けたとき突出部分がないため、けつまずいて転倒する等の事故を防止できる。
【0021】
また、上記透明筒状体の内面に光反射層を設け、上記ライトファイバーの側面からの光を反射させるため、この反射光と光反射層を設けていない部分から直接放射する放射光とが共同してライン形の光の輝度を高めることができる。
【0022】
本願請求項2記載のライン形照明ユニットにおいては、本願請求項1記載のライン形照明ユニットにおいて、上記ライトファイバーの光源の色調を変えることによりライン形の照明光の色を変化させることが可能となる。
【0023】
例えば、要注意個所には光源として白色LEDを用いて明るく照明し、警戒箇所には赤色LED、そして誘導個所には緑色LEDを用いる等、目的によって照明光の色を変えることができる。また、光源としてLEDを用いることにより、省エネルギーによる電気代の節減、長寿命による交換費等の経費、人件費の削減をも図ることができる。さらに光源部の省スペース化も図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本願発明に係るライン形照明ユニットの構成を示す横断面図。
【図2】本願発明に係るライン形照明ユニットを施工した実施形態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本願発明に係るライン形照明ユニットの実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
図1は、本願発明に係るライン形照明ユニットAの構成を示す横断面図である。図1に示すように、上記ライン形照明ユニットAは、ライトファイバー1とこのライトファイバー1を内部に収納する透明筒状体2とからなるとともに、この透明筒状体2の内面には光反射層3が設けられている。
【0027】
上記透明筒状体2としては、透明性を有する軟質熱可塑性樹脂、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂等公知のオレフィン系樹脂を筒状に成形したものが用いられる。また、その口径としては、1mm〜2.5mm程度のものが用いられる。
【0028】
上記光反射層3は、透明筒状体2内の円弧部を部分的にメッキ処理する方法、光反射塗料の塗布により反射層を形成する方法、あるいは銀箔やアルミ箔を貼着して鏡面加工する等の各種の方法によって設けられる。
【0029】
既述のようにライトファイバー1はネオン管のように発光するが、透明筒状体2の光反射層3が設けられていない部分の光はその少しの量が直接放射光として図1に白抜き矢印で示すように照射される。一方、光反射層3に向けて放射された光は光反射層3によって反射され、同じく白抜き矢印で示すように照射されて上記直接放射光と共同して線状、すなわちライン形に発光する。
【0030】
上記透明筒状体2はライトファイバー1を保護する保護ケースとして機能するとともに、施工時には施工用ケースとして用いられる。図2は上記ライン形照明ユニットAを一般家庭の屋内、例えば、廊下、室内床面等の平面部Fと上階とをつなぐ階段および平面部Fと壁面Wとの境界部に施工した実施形態を示す概略説明図である。
【0031】
図2に示すように、階段のステップSの先端部には白色LEDを光源とする白色ライン発光部41、42、43が埋め込まれている。これらの白色発光回路は独立して形成されているため、夜間に階段を降りる場合等、最も見え易い白色でステップSの先端部が発光し、照明される。このようにして使用者はステップSの先端の位置を容易に知ることができ、転落等の事故を防ぐことができる。また白色は暗闇に慣れて暗順応した目にも容易に識別できるため、目が眩むことなく安全に夜間に階段を昇降することができる。
【0032】
また、図2において平面部FとステップSの間には段差があることを示す赤色LEDを光源とする赤色ライン発光部51、52が埋め込まれ、白色発光回路同様に独立して回路が形成されている。このように、警戒色である赤色に発光させることにより、使用者は段差があることを容易に識別でき、けつまずいて転倒する等の事故を防止できる。
【0033】
さらに、図2において、平面部Fと壁面Wとの境界部には緑色LEDを光源とする緑色ライン発光部6が独立回路を形成して埋め込まれている。緑色は通常、非常時の誘導路を示すため、例えば、宿泊施設等に適用することにより、避難経路案内あるいは、トイレ等への誘導路として利用することができる。
【0034】
図2に示すように本願発明に係るライン形照明ユニットは段差角部等や非常口案内路を照明光により表示可能としている。又、LEDを光源とする場合ライン形照明ユニット内の長い距離を照らすことができ省電力につながるものである。
【0035】
更に、本願発明に係るライン形照明ユニットAは可撓性があり施工の際には必要箇所に接着剤で簡単に張り付けることができ或いは予め形成した案内溝に略面一に収納することができる。
【0036】
なお、上記記実施形態は、白色発光回路、赤色発光回路、緑色発光回路を独立して形成した場合について述べたが、とくに色を区別して設ける必要のない場合は、一つの光源から複数の光回路を発光させてもよい。
【0037】
本願発明に係るライン形照明ユニットは上記一般家庭にのみならず、商業施設、宿泊施設、オフィスビル等各種の施設に適用される。また光源としてLED以外にも白熱球、ハロゲン球やメタルハライド球を用いることもできる。
【0038】
さらに上記ライン形に発光して照明する目的以外に、光反射層3を適宜間隔で設けて例えば装飾用としても利用できる。このように本願発明に係るライン形照明ユニットは設計変更自在であり、特許請求の範囲を逸脱しない限り、いずれの場合も本願発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0039】
A 本願発明に係るライン形照明ユニット
1 ライトファイバー
2 透明筒状体
3 光反射層
41 白色ライン発光部
42 白色ライン発光部
43 白色ライン発光部
51 赤色ライン発光部
52 赤色ライン発光部
6 緑色ライン発光部
S ステップ
F 平面部
W 壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライトファイバーと該ライトファイバーを内部に収納する透明筒状体とからなり、上記透明筒状体の内面に光反射層を設けてなるライン形照明ユニット。
【請求項2】
上記ライトファイバーの光源の色調を変えることによりライン形の照明光の色を変化させるようになしたことを特徴とする請求項1記載のライン形照明ユニット。

【図1】
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【図2】
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