説明

ラジアルころ軸受用保持器

【課題】弾性連結部12aに大きな弾力を発揮させる事ができ、且つ、使用時の挙動を安定させられるラジアルころ軸受用の保持器7cを実現する。
【解決手段】保持器7cの円周方向1個所に設ける弾性連結部12aを、それぞれが円周方向に弾性変形可能で、直径方向に重畳した外径側弾性連結部18と内径側弾性連結部19とから構成する。又、これら外径側弾性連結部18と内径側弾性連結部19とを、それぞれ略直線状とし、それぞれの円周方向両端部を各リム部8c、8dの円周方向一端部と円周方向他端部とにそれぞれ掛け渡し、保持器7cの軸方向中央部分で公差させる。これにより、前記弾性連結部12aが発揮する弾力のうち、円周方向に作用する力を大きくすると共に、軸方向に作用する力を相殺して、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば自動車用手動変速機を構成する歯車を動力伝達軸の周囲に回転自在に支持するラジアルころ軸受を構成する為の、ラジアルころ軸受用保持器の改良に関する。具体的には、組み付け作業性が良好で、フレッチング磨耗の発生を防止できると共に、弾性連結部に十分な弾力を発揮させる事ができ、且つ、運転時に於ける挙動を安定させられる構造を実現するものである。
【背景技術】
【0002】
各種機械装置の回転支持部のうち、大きなラジアル荷重が加わる部分に、図11〜12に示す様なラジアルころ軸受1が組み込まれている。このラジアルころ軸受1は、使用時にも回転しないハウジング(又は使用時に回転する歯車やローラ)等の外径側部材2の内周面に設けた円筒面状の外輪軌道3と、回転軸(又は支持軸)等の軸4の外周面に設けた円筒面状の内輪軌道5との間に、複数のころ(ニードル)6を、保持器7により保持した状態で転動自在に設けて成る。
【0003】
このうちの保持器7は、合成樹脂材料により、全体を円筒状に構成している。この様な保持器7は、軸方向に間隔をあけて互いに同心に配置された、それぞれが円環状である1対のリム部8、8と、円周方向に亙って間欠的に、これら両リム部8、8同士の間に掛け渡される状態で設けられた複数本の柱部9、9とを備える。そして、円周方向に隣り合う柱部9、9と前記両リム部8、8とにより四方を囲まれた部分を、それぞれ前記各ころ6を転動自在に保持する為のポケット10、10としている。この様な保持器7は、これら各ポケット10、10内に前記各ころ6を転動自在に保持した状態で、前記外径側部材2の内周面と前記軸4の外周面との間に、これら外径側部材2及び軸4に対する相対回転を自在に設けられている。そして、前記保持器7は、前記各ころ6の公転運動に伴って、前記外径側部材2及び前記軸4に対し回転する。
【0004】
この様なラジアルころ軸受1を組み立てるべく、前記保持器7を、前記内輪軌道5の周囲に配置させるには、この保持器7を、前記軸4の端部から挿通し、更に前記内輪軌道5の周囲まで軸方向に移動させる。ところが、この場合に、前記軸4の外周面のうち、軸方向に関してこの軸4の端部と前記内輪軌道5との間部分に、その外径寸法が前記保持器7の内径寸法よりも大きい、外向フランジ状の鍔部等の障害物が存在すると、この障害物が邪魔になって、前記保持器7を前記内輪軌道5の周囲まで軸方向に移動させる事ができなくなる。
【0005】
この様な不都合を解消できる保持器として、特許文献1には、円周方向の1個所に不連続部を設けた保持器が記載されている。図13は、この特許文献1に記載された保持器と同様の基本構造を有する保持器7aを示している。この保持器7aは、円周方向の1個所に、不連続部である切れ目11を設けている。又、この切れ目11を挟んで設けられた円周方向両端部の幅方向中央部同士を、円周方向に関する相対変位を可能に、がたつきなく凹凸係合させている。この様な構成を有する保持器7aの場合には、前記切れ目11の幅を円周方向に拡げる事に基づいて、内径寸法を弾性的に拡げる(拡径する)事ができる。この為、この様に内径寸法を弾性的に拡げる事により、前記障害物を乗り越える事ができる。
【0006】
ところが、上述の様な、円周方向の1個所に不連続部である切れ目11を設けた保持器7aの場合には、組立作業中の取り扱いミスにより、前記切れ目11の幅が円周方向に過度に拡がる可能性がある。この様に切れ目11の幅が円周方向に過度に拡がると、合成樹脂製である前記保持器7aが白化したり、或いは複数のポケット10、10の開口部が拡がって、これら各ポケット10、10内に保持したころ6、6が外部に脱落する等の不具合を生じる可能性がある。
【0007】
この様な事態を回避できる保持器として、特許文献2には、図14に示す様な保持器7bが記載されている。この保持器7bの場合、軸方向(図14の左右方向)両端部に存在する1対のリム部8a、8bのうち、円周方向に関する位相が互いにほぼ等しい部分に、それぞれ不連続部である切れ目13、13を設けている。これと共に、一方のリム部8aの円周方向一端部(切れ目13の下側に存在する端部)と、他方のリム部8bの円周方向他端部(切れ目13の上側に存在する端部)とに掛け渡す状態で、弾性連結部12を設けている。又、この弾性連結部12は、前記各リム部8a、8b及び前記各柱部9、9に比べて薄肉に形成されている。この様な弾性連結部12は、前記保持器7bの内径寸法を弾性的に拡げるべく、同図の(B)に示す様に、前記各切れ目13、13の幅を円周方向に拡げる事に伴い、円周方向に関して弾性的に伸張する。そして、この弾性連結部12の伸張量の限度を越えて、前記各切れ目13、13の幅が過度に拡がる事を防止する。これと共に、この弾性連結部12で発生した弾性復元力により、前記各切れ目13、13の幅を元に戻す作用をもたらす。
【0008】
上述の様な保持器7bは、ラジアルころ軸受を構成する外輪軌道及び内輪軌道に、フレッチング磨耗が発生するのを防止する事もできる。例えば図15に示した様な、自動車用手動変速機内の回転支持部分では、自動車用手動変速機を構成する歯車14a、14bを、動力伝達軸15の周囲に、ラジアルころ軸受1a、1b及びシンクロ機構16a、16bを介して、この動力伝達軸15と同心に設置している。選択された変速段に対応する歯車14a(又は14b)は、前記シンクロ機構16a(又は16b)により前記動力伝達軸15と結合されて、この動力伝達軸15と同期して回転する様になる。これに対して、当該変速段に対応しない別の歯車14b(又は14a)は、前記動力伝達軸15に対し相対回転可能となる。前記各ラジアルころ軸受1a、1bは、この様に選択された変速段に対応しない歯車14b(又は14a)と動力伝達軸15との相対回転を許容する為に設けている。
【0009】
従って、選択された変速段に対応する歯車14a(又は14b)と動力伝達軸15との間に設けた、ラジアルころ軸受1a(又は1b)を構成する各ころ6a、6a(又は6b、6b)は、前記歯車14a(又は14b)の内周面である外輪軌道3a(又は3b)と、前記動力伝達軸15の外周面である内輪軌道5a(又は5b)との間で、自転も公転(歯車14a、14b及び動力伝達軸15に対する相対回転)もしない状態となる。但し、この状態でも、運転に伴う振動や、前記歯車14a(又は14b)及び前記動力伝達軸15の回転に伴う負荷圏及び非負荷圏の移動により、前記各ころ6a、6a(又は6b、6b)が、前記歯車14a(又は14b)及び動力伝達軸15の径方向に細かく変位(振動)する。そして、この様な振動に伴って、前記外輪軌道3a(又は3b)と内輪軌道5a(又は5b)とにフレッチング磨耗が生じ易くなる。
【0010】
この様な場合にも、前記保持器7bの場合には、回転に基づき作用する遠心力により、前記弾性連結部12を弾性的に伸張させて、この保持器7bを拡径させたり、或いは、回転速度の低下に基づき前記弾性連結部12を弾性的に復元させて、この保持器7bを縮径させる事ができる。この為、前記各ころ6a、6a(又は6b、6b)の転動面と前記外輪軌道3a(又は3b)及び前記内輪軌道5a(又は5b)との接触位置を移動(変動)させる事ができて、フレッチング磨耗を抑えられる。
【0011】
但し、上述した様な、保持器7bの場合には、次の様な不都合を生じる可能性がある。即ち、この保持器7bの場合には、前記弾性連結部12を、一方のリム部8aの円周方向一端部と他方のリム部8bの円周方向他端部とに掛け渡す状態で1つしか設けていない。この為、使用条件等によっては、前記弾性連結部12が発揮する弾力が不足する可能性がある。又、運転時に、前記保持器7bが拡径或いは縮径する際に、前記弾性連結部12により、前記一方のリム部8aの円周方向一端部と前記他方のリム部8bの円周方向他端部とが、軸方向に関して互いに反対方向に押し引きされる(モーメント力が作用する)。これにより、前記各リム部8a、8bの円周方向一端部の軸方向側面と円周方向他端部の軸方向側面とが(切れ目13を挟んで両側に位置する部分の軸方向側面同士が)同一平面上に位置しなくなり、前記各リム部8a、8bの軸方向側面が、これら各軸方向側面を案内する為の案内面(保持器7bの中心軸に直交する仮想平面)に対し、傾斜する可能性がある。
【0012】
又、前記保持器7bの場合、前記弾性連結部12の強度が他の部分に比べて低い(肉厚が小さい)為、この弾性連結部12での冷却収縮量が他の部分に比べて大きくなり、冷えむらを生じ易い。この為、前記弾性連結部12により連結された両部分(一方のリム部8aの円周方向一端部と他方のリム部8bの円周方向他端部)同士の距離が所望の値よりも小さくなる可能性がある。この為、初期状態に於いても、前記各リム部8a、8bの軸方向側面が前記案内面に対し傾斜する可能性がある。又、前記保持器7bのうちで、前記各切れ目13、13を挟んで設けられた両端部の近傍に配置されたポケット10、10に保持された各ころに、スキューが発生し易くなる。この結果、前記保持器7bの挙動が不安定になる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】実開平1−77132号公報
【特許文献2】独国特許出願公開第4222175号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、組み付け作業性が良好で、フレッチング磨耗を防止できると共に、弾性連結部に十分な弾力を発揮させる事ができ、且つ、運転時に於ける挙動を安定させられる構造を実現すべく発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のラジアルころ軸受用保持器は、合成樹脂製で、1対のリム部と、複数本の柱部と、弾性連結部とを備える。
このうちの1対のリム部はそれぞれ、円周方向の1個所に切れ目(不連続部)を有する欠円環状であって、この切れ目の幅を円周方向に拡げる事に基づき弾性的に拡径可能であると共に、互いの切れ目の位相をほぼ一致させた状態で、軸方向に間隔をあけて互いに同心に設けられている。
又、前記各柱部はそれぞれ、前記両リム部同士の間に掛け渡される状態で、円周方向に関し互いに間隔をあけて設けられている。
又、前記弾性連結部は、前記両リム部及び前記各柱部のうち、前記各切れ目の位置を挟んで円周方向に遠近動可能な端部(円周方向両端部)同士の間に掛け渡される状態で設けられ、前記各切れ目の幅を円周方向に拡げる事に基づいて弾性変形すると共に、これら各切れ目の幅が円周方向に過度に拡がる事を防止するものである。
又、前記各切れ目の位置を挟んで円周方向に隣り合う柱部同士の間部分を除く、円周方向に隣り合う柱部同士の間部分をそれぞれ、ころ(ニードルを含む)を転動自在に保持する為のポケットとしている。
【0016】
特に本発明の場合には、前記弾性連結部を、それぞれが円周方向に弾性変形可能な、外径側弾性連結部と内径側弾性連結部とから構成している。
又、これら外径側弾性連結部と内径側弾性連結部との形状を、前記保持器の軸方向に相互に反転した形状としている。即ち、前記外径側弾性連結部の形状は、前記内径側弾性連結部の形状を、前記保持器の軸方向に反転させた形状であり、反対に、この内径側弾性連結部の形状は、前記外径側弾性連結部の形状を、前記保持器の軸方向に反転させた形状である。例えば、前記保持器の軸方向を左右方向と仮定した場合、外径側弾性連結部の形状が「/」形状(右上がり直線状)であれば、内径側弾性連結部の形状は「\」形状(左上がり直線状であり)、同様に、外径側弾性連結部の形状が「<」形状であれば、内径側弾性連結部の形状は「>」形状である。
更に、本発明の場合には、前記外径側弾性連結部と前記内径側弾性連結部とを、前記保持器の直径方向に重畳する状態で設けている。
尚、本明細書及び特許請求の範囲に関して、「反転した形状」とは、成形誤差等に起因して相互の形状に多少の相違がある場合も含む。
【0017】
上述した様な本発明を実施する場合に好ましくは、例えば請求項2に記載した発明の様に、前記外径側弾性連結部と前記内径側弾性連結部とを、それぞれ略直線状(僅かに折れ曲がった部分を備えた形状を含む)とし、前記保持器の軸方向中央部分で交差させる。この為に、前記外径側弾性連結部の円周方向一端部を、前記各切れ目を挟んで設けられた両端部のうち、一方の端部のうちの外径側部分の軸方向片側部分に、同じく円周方向他端部を、他方の端部のうちの外径側部分の軸方向他側部分に、それぞれ連結する。一方、前記内径側弾性連結部の円周方向一端部を、前記一方の端部のうちの内径側部分の軸方向他側部分に、同じく円周方向他端部を、前記他方の端部のうちの内径側部分の軸方向片側部分に、それぞれ連結する。
【0018】
或いは、請求項3に記載した発明の様に、前記外径側弾性連結部と前記内径側弾性連結部とを、それぞれ略く字形とする。そして、このうちの外径側弾性連結部の円周方向一端部を、前記各切れ目を挟んで設けられた両端部のうち、一方の端部のうちの外径側部分の軸方向片側部分に、同じく円周方向他端部を、他方の端部のうちの外径側部分の軸方向片側部分に、それぞれ連結する。一方、前記内径側弾性連結部の円周方向一端部を、前記一方の端部のうちの内径側部分の軸方向他側部分に、同じく円周方向他端部を、前記他方の端部のうちの内径側部分の軸方向他側部分に、それぞれ連結する。
尚、上述した請求項2、3に記載した発明を実施する場合に、外径側、内径側各弾性連結部の円周方向端部は、これら外径側、内径側各弾性連結部の保持器の軸方向に関する寸法を大きく確保し、発揮する弾力を大きくする面から、前記各切れ目を挟んで設けられた両端部のうちの軸方向片側端部及び他側端部に相当する、各リム部にそれぞれ連結する事が好ましい。
【発明の効果】
【0019】
上述の様に構成する本発明のラジアルころ軸受用保持器によれば、組み付け作業性が良好で、フレッチング磨耗を防止できると共に、弾性連結部に十分な弾力を発揮させる事ができ、且つ、運転時に於ける挙動を安定させられる。
先ず、組み付け作業性を良好にできて、フレッチング磨耗を防止できるのは、円周方向一部に円周方向に弾性変形可能な弾性連結部(外径側、内径側各弾性連結部)を設けた事による。即ち、この弾性連結部を円周方向に伸張させる事で、各切れ目の幅を円周方向に拡げる事ができる。この為、本発明のラジアルころ軸受用保持器を組み付ける回転軸等の軸の外周面に、外向フランジ状の鍔部等の障害物が存在する場合にも、この保持器をこの軸の周囲に容易に組み付ける事ができる。又、この保持器が回転する際に、回転速度(作用する遠心力の大きさ)に応じて、前記弾性連結部を、円周方向に伸張させたり弾性的に復元させられる。この為、各ころの転動面と外輪軌道及び内輪輪軌道との接触位置を変動させられる。従って、本発明によれば、組み付け作業性を良好にできると共に、フレッチング磨耗を有効に防止できる。
又、弾性連結部に十分な弾力を発揮させられるのは、この弾性連結部を、それぞれが円周方向に弾性変形可能な外径側弾性連結部と内径側弾性連結部とを、保持器の直径方向に重畳させて構成した事による。即ち、これら外径側弾性連結部と内径側弾性連結部とが、それぞれ弾力を発揮し、円周方向に関してはこれら2つの弾力を足し合わせた弾力を得られる。又、外径側弾性連結部と内径側弾性連結部とが軸方向に干渉する事がない為、これら外径側、内径側各弾性連結部のそれぞれの全長(軸方向に関する長さ)を、保持器の軸方向寸法(全幅)の範囲で十分に大きくできる。この為、前記外径側、内径側各弾性連結部がそれぞれ発揮する弾力(バネ力)を十分に大きくできる。しかも、これら外径側弾性連結部と内径側弾性連結部とを保持器の直径方向に重畳させて配置している為、弾性連結部の形成スペース(円周方向に関するスペース)が嵩む事もない。従って、本発明によれば、弾性連結部の形成スペースが小さい場合にも、この弾性連結部に十分な弾力を発揮させられる。
更に、挙動を安定させられるのは、弾性連結部を構成する外径側弾性連結部と内径側弾性連結部との形状を、保持器の軸方向に相互に反転した形状とした事による。即ち、この様な構成を採用する事で、運転時に保持器が拡径或いは縮径する際に、前記外径側、内径側各弾性連結部から各切れ目を挟んで設けられた両端部に対し作用する力のうち、軸方向に作用する力を相殺できる。又、前記外径側、内径側各弾性連結部が他の部分に比べて大きく冷却収縮した場合にも、これら外径側、内径側両弾性連結部の収縮量を同じにできる。この為、各リム部の円周方向一端部の軸方向側面と円周方向他端部の軸方向側面とが、同一平面上からずれる事を防止できて、前記各リム部の軸方向側面が、これら各軸方向側面を案内する為の案内面に対し傾斜する事を防止できる。又、前記各切れ目を挟んで設けられた両端部の近傍に配置されたポケット内に保持された各ころに、スキューが発生する事も有効に防止できる。従って、本発明のラジアルころ軸受用保持器によれば、その挙動を安定させる事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す斜視図。
【図2】同じく別の角度(図1の下方側)から見た状態で示す斜視図。
【図3】同じく径方向外方から見た図。
【図4】同じく弾性連結部を円周方向に関し弾性的に伸張させた状態で、この弾性連結部を径方向外方から見た図。
【図5】同じく軸方向から見た図。
【図6】本発明の実施の形態の第2例を示す斜視図。
【図7】同じく別の角度(図6の下方側)から見た状態で示す斜視図。
【図8】同じく径方向外方から見た図。
【図9】同じく弾性連結部を円周方向に関し弾性的に伸張させた状態で、この弾性連結部を径方向外方から見た図。
【図10】同じく軸方向から見た図。
【図11】保持器を備えたラジアルころ軸受を組み込んだ回転支持部の断面図。
【図12】保持器の円周方向一部を径方向外方から見た図。
【図13】円周方向の1個所に不連続部を有する従来構造のラジアルころ軸受用保持器を、一部の形状を省略して示す断面図。
【図14】同じく従来構造の別例のラジアルころ軸受用保持器の一部を、径方向外方から見た図であり、(A)は自由状態(完成状態)を、(B)は弾性連結部を円周方向に関し弾性的に伸張させた状態を、それぞれ示す。
【図15】本発明の対象となるラジアルころ軸受の使用部の1例である、自動車用手動変速機の部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[実施の形態の第1例]
図1〜5は、請求項1、2に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例のラジアルころ軸受用の保持器7cは、軸方向に間隔をあけて互いに同心に配置された、それぞれが欠円環状である1対のリム部8c、8dと、円周方向に亙って間欠的に、これら両リム部8c、8d同士の間に掛け渡される状態で設けられた複数本の柱部9、9とを備える。そして、円周方向に隣り合う柱部9、9と前記両リム部8c、8dとにより四方を囲まれた部分を、それぞれ各ころ(ニードル)を転動自在に保持する為のポケット10、10としている。
【0022】
又、本例の場合には、前記保持器7cを、図示しない1対の割型により構成される金型(アキシャルドロー型)のキャビティ内に、例えば、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、或いはこれらの樹脂に補強用繊維を混入したもの等、一般的な合成樹脂製保持器の場合と同様の合成樹脂を射出成形した後、前記両割型をそれぞれ軸方向に引き離す、所謂アキシャルドロー成形により造っている。
【0023】
この為に、前記各リム部8c、8dの周面のうちで、前記各ポケット10、10と軸方向に整合する部分には、径方向内方に向けて凹んだ凹部17aと、径方向外方に向けて凹んだ凹部17bとを、円周方向に亙って交互に形成している。又、前記各ポケット10、10の軸方向両側部分には、径方向に関する形成位置が反対である前記凹部17aと前記凹部17bとを、それぞれ1つずつ配置している。又、これら各凹部17a、17bの円周方向に関する幅寸法は、前記各ポケット10、10の円周方向に関する幅寸法と同じであり、径方向に関する深さ寸法は、前記各リム部8c、8dの径方向に関する厚さ寸法の1/2である。この様な凹部17a、17bは、前記各割型を軸方向に移動させる際に、これら各割型のうちで前記各ポケット10、10を形成すべく設けられた部分を軸方向に通過させる。従って、この様な凹部17a、17bが形成された本例の保持器7cの場合には、前記各ポケット10、10をアキシャルドロー成形により形成できる。
【0024】
又、本例の場合にも、前記両リム部8c、8dのうち、円周方向に関する位相が互いにほぼ等しい部分に、それぞれ不連続部である切れ目13a、13aを設けている。そして、前記両リム部8c、8d及び前記各柱部9、9のうち、これら各切れ目13a、13aの位置を挟んで円周方向に遠近動可能な両端部同士の間に、弾性連結部12aを設けている。特に本例の場合には、この弾性連結部12aを、それぞれが円周方向に弾性変形可能な、外径側弾性連結部18と内径側弾性連結部19とから構成している。これら外径側弾性連結部18と内径側弾性連結部19とは、それぞれ略直線状(棒状)であり、軸方向に対する傾斜方向を互いに逆向きに、且つ、傾斜角度を互いに同じとしている。従って、この様な外径側弾性連結部18と内径側弾性連結部19とは、互いの形状が、前記保持器7cの軸方向に反転した(図3、4で左右が反転した)関係となる。より具体的に説明すれば、図3に示した様に、完成状態で、前記外径側弾性連結部18の形状が「/」形状(右上がり直線状)であるのに対し、前記内径側弾性連結部19の形状は、この「/」形状を軸方向(左右)に反転させた「\」形状(左上がり直線状)である(尚、図4から明らかな通り伸張状態では傾斜方向が反対になる)。又、本例の場合には、この様な外径側弾性連結部18と内径側弾性連結部19とを、前記保持器7cの直径方向に重畳させて、これら外径側弾性連結部18と内径側弾性連結部19とを、前記保持器7cの軸方向中央部分で交差(クロス)させている。
【0025】
この為に、前記外径側、内径側各弾性連結部18、19の径方向に関する厚さ寸法を、前記各リム部8c、8d及び前記各柱部9、9の径方向に関する厚さ寸法の1/2未満(図示の例では2/5程度)とし、前記外径側弾性連結部18の内径側側面と前記内径側弾性連結部19の外径側側面との間に隙間を設けている。そして、前記外径側弾性連結部18の円周方向一端部(図3の自由状態で下側、図4の伸張状態で上側に位置する端部)を、一方のリム部8cの円周方向一端部(図3、4で切れ目13aの上側に存在する端部)のうちの外径側部分に、同じく円周方向他端部(図3の自由状態で上側、図4の伸張状態で下側に位置する端部)を、他方のリム部8dの円周方向他端部(図3、4で切れ目13aの下側に存在する端部)のうちの外径側部分に、それぞれ連結している。一方、前記内径側弾性連結部19の円周方向一端部を、前記他方のリム部8dの円周方向一端部の内径側部分に、同じく円周方向他端部を、前記一方のリム部8cの円周方向他端部の内径側部分に、それぞれ連結している。又、本例の場合には、前記外径側、内径側各弾性連結部18、19の径方向に関する厚さ寸法及び幅寸法(太さ)を、これら各弾性連結部18、19の全長に亙り一定としている。
【0026】
尚、図1〜3、5は、前記保持器7cが冷却収縮した、完成後の状態を示している。これに対し、この様に冷却収縮する以前の状態(割型から取り出した直後の状態)では、図4に示した場合とほぼ同様に、前記各切れ目13a、13aの円周方向に関する幅が大きく、前記外径側、内径側各弾性連結部18、19が円周方向に伸張した如き形状となる。従って、本例の場合には、前記外径側、内径側各弾性連結部18、19を、前記各割型と干渉させる事なく形成できる。即ち、これら各割型を、前記外径側、内径側各弾性連結部18、19に干渉させる事なく、軸方向に引き抜く事ができる。
【0027】
以上の様な構成を有する本例の保持器7cによれば、組み付け作業性が良好で、フレッチング磨耗を防止できると共に、弾性連結部12aに十分な弾力を発揮させる事ができ、且つ、運転時に於ける挙動を安定させられる。
先ず、組み付け作業性を良好にできて、フレッチング磨耗を防止できるのは、円周方向一部に円周方向に弾性変形可能な弾性連結部12a(外径側、内径側各弾性連結部18、19)を設けた事による。即ち、この弾性連結部12aを円周方向に伸張させる事で、前記各切れ目13a、13aの幅を円周方向に拡げる事ができる。この為、回転軸等の軸の外周面に、外向フランジ状の鍔部等の障害物が存在する場合にも、本例の保持器7cをこの軸の周囲に容易に組み付ける事ができる。又、この保持器7cが回転する際に、回転速度(作用する遠心力の大きさ)に応じて、前記弾性連結部12aを、円周方向に伸張させたり弾性的に復元させられる。この為、各ころ(ニードル)の転動面と外輪軌道及び内輪輪軌道との接触位置を変動させられる。従って、本例の保持器7cによれば、組み付け作業性を良好にできると共に、フレッチング磨耗を有効に防止できる。
【0028】
又、前記弾性連結部12aに十分な弾力を発揮させられるのは、この弾性連結部12aを、それぞれが円周方向に弾性変形可能な前記外径側弾性連結部18と前記内径側弾性連結部19とを、前記保持器7cの直径方向に重畳させて構成した事による。即ち、これら外径側弾性連結部18と内径側弾性連結部19とが、それぞれ弾力を発揮し、円周方向に関してはこれら2つの弾力を足し合わせた弾力を得られる。又、前記外径側弾性連結部18と前記内径側弾性連結部19とが軸方向に干渉する事がない為、これら外径側、内径側各弾性連結部18、19のそれぞれの全長(軸方向に関する長さ)を、前記保持器7cの軸方向寸法(全幅)の範囲で十分に大きくできる。この為、前記外径側、内径側各弾性連結部18、19がそれぞれ発揮する弾力(バネ力)を十分に大きくできる。具体的には、本例の構造によれば、前記図14に示した弾性連結部12を有する前記保持器7bの場合に比べて、およそ2倍程度の弾力を発揮できる。しかも、これら外径側弾性連結部18と内径側弾性連結部19とを、前記保持器7cの直径方向に重畳させて配置している為、前記図14に示した構造に比べて、前記弾性連結部12aの形成スペース(円周方向に関するスペース)が嵩む事もない(同等にできる)。従って、本例の保持器7cによれば、前記弾性連結部12aの形成スペースが小さい場合にも、この弾性連結部12aに十分な弾力を発揮させられる。
【0029】
又、挙動を安定させられるのは、前記弾性連結部12aを構成する前記外径側弾性連結部18と前記内径側弾性連結部19との形状を、前記保持器7cの軸方向に相互に反転した形状とした事による。即ち、この様な構成を採用する事で、運転時に保持器7cが拡径或いは縮径する際に、前記外径側、内径側各弾性連結部18、19から前記各切れ目13a、13aを挟んで設けられた円周方向両端部に対し作用する力のうち、軸方向に作用する力を相殺できる。例えば前記保持器7cが拡径する際に、前記一方のリム部8cの円周方向一端部と、前記他方のリム部8dの円周方向他端部とには、前記外径側弾性連結部18から軸方向に関して互いに近づく方向の力が作用する。一方、前記他方のリム部8dの円周方向一端部と、前記一方のリム部8cの円周方向他端部とにも、前記内径側弾性連結部19から軸方向に関して互いに近づく方向の力が作用する。従って、前記各切れ目13a、13aを挟んで設けられた両端部には、軸方向に関する作用方向が逆向きで、且つ、大きさが等しい、2つの力がそれぞれ作用する。この結果、この軸方向に作用する力が相殺される。この為、本例の場合には、前記保持器7cが拡径或いは縮径する際に、前記各リム部8c、8dの円周方向一端部の軸方向側面と円周方向他端部の軸方向側面とが同一平面上からずれる事を有効に防止できて、前記各リム部8c、8dの軸方向側面が、これら各軸方向側面を案内する為の案内面(保持器7cの中心軸に直交する仮想平面)に対し傾斜する事を有効に防止できる。又、本例の場合には、前記外径側、内径側各弾性連結部18、19が他の部分に比べて大きく冷却収縮した場合にも、これら外径側、内径側各弾性連結部18、19同士の収縮量を同じにできる。この為、やはり、前記各リム部8c、8dの円周方向一端部の軸方向側面と円周方向他端部の軸方向側面とが同一平面上からずれる事を有効に防止できる。従って、前記各リム部8c、8dの軸方向側面が、前記案内面に対し傾斜する事を防止できる。又、前記円周方向各切れ目13a、13aを挟んで設けられた両端部の近傍に配置された各ポケット10、10内に保持された各ころに、スキューが発生する事も有効に防止できる。この結果、本例の保持器7cによれば、その挙動を安定させる事ができる。
【0030】
更に、本例の保持器7cは、前記外径側、内径側各弾性連結部18、19及び前記両リム部8c、8dの形状を含め、1対の割型を軸方向に抜ける、即ち、射出成形後の保持器7cを傷める事なく、これら1対の割型同士を離隔させられる形状に規制されている。この為、所謂アキシャルドロー形成により造る事ができて、製造コストを低く抑えられる。
【0031】
[実施の形態の第2例]
図6〜10は、請求項1、3に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の保持器7dは、弾性連結部12bを除いて、上述した実施の形態の第1例の保持器7cとほぼ同様の構成を有する。この為、重複する部分の説明は省略若しくは簡略にし、本例の特徴部分である前記弾性連結部12bの構造を中心に説明する。
【0032】
本例の弾性連結部12bも、前記第1例の場合と同様に、それぞれが円周方向に弾性変形可能な、外径側弾性連結部18aと内径側弾性連結部19aとから構成されている。特に本例の場合には、これら外径側弾性連結部18aと内径側弾性連結部19aとを、それぞれ略く字形(V字形)とし、それぞれの頂点(及び連結部)の位置を軸方向に関して反対に配置すると共に、頂角の大きさ(自由状態及び弾性変形状態に於ける頂角の大きさ)を互いに同じとしている。従って、この様な外径側弾性連結部18aと内径側弾性連結部19aとは、互いの形状が、前記保持器7dの軸方向に反転した(図8、9で左右が反転した)関係となる。より具体的に説明すれば、図8に示した様に、完成状態で、前記外径側弾性連結部18aの形状が「<」形状であるのに対し、前記内径側弾性連結部19aの形状は、この「<」形状を軸方向(左右)に反転させた「>」形状である。又、本例の場合にも、この様な外径側弾性連結部18aと内径側弾性連結部19aとを、前記保持器7dの直径方向に重畳させている。
【0033】
この為に、前記外径側、内径側各弾性連結部18a、19aの径方向に関する厚さ寸法を、各リム部8c、8d及び各柱部9、9の径方向に関する厚さ寸法の1/2未満(図示の例では2/5程度)としている。そして、前記外径側弾性連結部18aの円周方向一端部(図8、9の上側に位置する端部)を、前記各切れ目13a、13aを挟んで設けられた両端部のうち、一方の端部(図8、9で切れ目13aの上側に存在する端部)のうちの外径側部分の軸方向片側部分(図8、9の右側部分)に、同じく円周方向他端部(図8、9の下側に位置する端部)を、他方の端部(図8、9で切れ目13aの下側に存在する端部)のうちの外径側部分の軸方向片側部分に、それぞれ連結している。一方、前記内径側弾性連結部19aの円周方向一端部を、前記一方の端部のうちの内径側部分の軸方向他側部分(図8、9の左側部分)に、同じく円周方向他端部を、他方の端部のうちの内径側部分の軸方向他側部分に、それぞれ連結している。又、本例の場合にも、前記外径側、内径側各弾性連結部18a、19aの径方向に関する厚さ寸法を、これら各弾性連結部18a、19aの全長に亙り一定としている。但し、幅寸法に就いては、これら各弾性連結部18a、19aの頂点(屈曲部)付近で、他の部分よりも太くしている。
【0034】
尚、前記保持器7dが冷却収縮する以前の状態(割型から取り出した直後の状態)では、図9に示した場合とほぼ同様に、前記各切れ目13a、13aの円周方向に関する幅が大きく、前記外径側、内径側各弾性連結部18a、19aが円周方向に伸張した如き形状となる。従って、本例の場合にも、これら外径側、内径側各弾性連結部18a、19aを、各割型と干渉させる事なく形成できる。
【0035】
以上の様な構成を有する本例の保持器7dの場合には、前記弾性連結部12bを構成する前記外径側、内径側各弾性連結部18a、19aを、それぞれ略く字形(「<」形状、「>」形状)としている為、前記第1例の構造の場合に比べて、前記外径側、内径側各弾性連結部18a、19aが発揮できる弾力(バネ力)の大きさをより大きくできる。
その他の構成及び作用効果に就いては、上述した実施の形態の第1例の場合とほぼ同様である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明を実施する場合に、弾性連結部を構成する外径側弾性連結部と内径側弾性連結部との太さ(幅寸法)は、全長に亙り一定である必要はなく、本発明のラジアルころ軸受用保持器を組み込むラジアルころ軸受の使用条件、外径側、内径側各弾性連結部の強度、射出成形性等を勘案して、一部分を太くしたり、或いは、細くする事もできる。例えば、強度を確保する為に、根元部分(連結部分)を太くする事ができる。又、前記外径側弾性連結部と内径側弾性連結部との軸方向に関する配置位置は、本例の場合と逆にして実施できる事は勿論である。更に、本発明を実施する場合に、外径側、内径側各弾性連結部の形状は、直線状や、く字形(V字形)に限定されず、例えば、波形状、クランク形状、U字形状、Z字形状、M字形状等、種々の形状を採用できる。
【符号の説明】
【0037】
1、1a、1b ラジアルころ軸受
2 外径側部材
3、3a、3b 外輪軌道
4 軸
5、5a、5b 内輪軌道
6、6a、6b ころ(ニードル)
7〜7d 保持器
8、8a〜8c リム部
9 柱部
10 ポケット
11 切れ目
12、12a、12b 弾性連結部
13、13a 切れ目
14a、14b 歯車
15 動力伝達軸
16a、16b シンクロ機構
17a、17b 凹部
18、18a 外径側弾性連結部
19、19a 内径側弾性連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製で、1対のリム部と、複数本の柱部と、弾性連結部とを備え、
このうちの1対のリム部はそれぞれ、円周方向の1個所に切れ目を有する欠円環状であって、この切れ目の幅を円周方向に拡げる事に基づき弾性的に拡径可能であると共に、互いの切れ目の位相をほぼ一致させた状態で軸方向に間隔をあけて互いに同心に設けられており、
前記各柱部はそれぞれ、前記両リム部同士の間に掛け渡される状態で円周方向に関し互いに間隔をあけて設けられており、
前記弾性連結部は、前記両リム部及び前記各柱部のうち、前記各切れ目の位置を挟んで円周方向に遠近動可能な端部同士の間に掛け渡される状態で設けられ、前記各切れ目の幅を円周方向に拡げる事に基づいて弾性変形すると共に、これら各切れ目の幅が円周方向に過度に拡がる事を防止するものであり、
前記各切れ目の位置を挟んで円周方向に隣り合う柱部同士の間部分を除く、円周方向に隣り合う柱部同士の間部分をそれぞれ、ころを転動自在に保持する為のポケットとしたラジアルころ軸受用保持器であって、
前記弾性連結部が、それぞれが円周方向に弾性変形可能な外径側弾性連結部と内径側弾性連結部とから構成されており、これら外径側弾性連結部と内径側弾性連結部とは、互いの形状が前記保持器の軸方向に反転した関係にあり、この保持器の直径方向に重畳する状態で設けられている事を特徴とするラジアルころ軸受用保持器。
【請求項2】
外径側弾性連結部と内径側弾性連結部とは、それぞれが略直線状で、保持器の軸方向中央部分で交差しており、このうちの外径側弾性連結部の円周方向一端部が、各切れ目を挟んで設けられた両端部のうち、一方の端部のうちの外径側部分の軸方向片側部分に、同じく円周方向他端部が、他方の端部のうちの外径側部分の軸方向他側部分に、それぞれ連結されており、前記内径側弾性連結部の円周方向一端部が、前記一方の端部のうちの内径側部分の軸方向他側部分に、同じく円周方向他端部が、前記他方の端部のうちの内径側部分の軸方向片側部分に、それぞれ連結されている、請求項1に記載したラジアルころ軸受用保持器。
【請求項3】
外径側弾性連結部と内径側弾性連結部とは、それぞれ略く字形であり、このうちの外径側弾性連結部の円周方向一端部が、各切れ目を挟んで設けられた両端部のうち、一方の端部のうちの外径側部分の軸方向片側部分に、同じく円周方向他端部が、他方の端部のうちの外径側部分の軸方向片側部分に、それぞれ連結されており、前記内径側弾性連結部の円周方向一端部が、前記一方の端部のうちの内径側部分の軸方向他側部分に、同じく円周方向他端部が、前記他方の端部のうちの内径側部分の軸方向他側部分に、それぞれ連結されている、請求項1に記載したラジアルころ軸受用保持器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−87845(P2013−87845A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228036(P2011−228036)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】