説明

ラップラウンド型段ボール箱

【課題】ラップラウンド型段ボール箱を提供する。
【解決手段】本発明のラップラウンド型段ボール箱は、図4に示す段ボール板紙27から組み立てられたものである。段ボール板紙27において、天板28、側板29、底板30及び側板31は順次連繋されており、天板28には上フラップ32、上フラップ33及び接続用糊代34が設けられ、側板29には内フラップ35及び内フラップ36が設けられ、底板30には下フラップ37及び下フラップ38が設けられ、側板31には内フラップ39及び内フラップ40が設けられている。天板28には開封用切断線41(例えば、ミシン目)が設けられている。本発明のラップラウンド型段ボール箱では、辺x’にも開封用切断線41が設けられているので、開封時に天板28全体を開封することができ、農薬収納袋などの梱包物を非常に取り出し易い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は段ボール箱、更に詳しくは、ラップラウンド型段ボール箱であって、開封時に天板(上面)に未開封部を残すことなく天板全体を開封し開口部とすることができ、段ボール箱内部の梱包物を容易に外部に取り出すことができる段ボール箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
段ボール箱は種々の物品を搬送したり、整理・保管する目的のために広く使用されている。特に、段ボール板紙から組み立てられるラップラウンド型段ボール箱は、段ボール板紙からの段ボール箱の組み立てと、段ボール箱内への物品の梱包とを同時に行うことができ、物品の梱包の完全自動化が可能となるので、利点が多い。
【0003】
従来、ラップラウンド型段ボール箱に関する多くの提案が成されている。例えば、特開2004−59073号明細書(特許文献1)には、天板に切取部が形成され、開梱時に該切取部を除去し、次いで天板全体を開封することができるラップラウンドケースが開示されている。また、特開2005−132371号明細書(特許文献2)には、底板に切取部が形成され、開梱時に該切取部を除去し、次いでケース全体を二つ割りにすることができるラップラウンドケースが開示されている。
【特許文献1】特開2004−59073号明細書
【特許文献2】特開2005−132371号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
除草剤などの農薬を梱包するためのラップラウンド型段ボール箱として、従来、図7に示す段ボール箱1が使用されていた。
段ボール箱1は、図10に示す段ボール板紙2から組み立てられたものである。段ボール板紙2において、天板3、側板4、底板5及び側板6は順次連繋されており、また、天板3には上フラップ7、上フラップ8及び接続用糊代9が設けられ、側板4には内フラップ10及び内フラップ11が設けられ、底板5には下フラップ12及び下フラップ13が設けられ、側板6には内フラップ14及び内フラップ15が設けられている。更に、天板3には開封用切断線16(例えば、ミシン目など)が設けられている。
【0005】
従来使用されていた段ボール箱1は、梱包する物品によっては、例えば図7に示すように4個の農薬収納袋17を梱包した場合に、不具合が生じることが判った。
以下、図7ないし図9に基づいて、段ボール箱1から農薬収納袋17を取り出す場合の手順を説明する。
【0006】
図7の段ボール箱1には切取部18が設けられている。切取部18は周囲に開封用切断線16を有するので、図8に示すように、天板3から容易に切り取ることができる。
即ち、図8(a)に示すように、切取部18の中央を指で下方に押圧して開口部を設け、次いで左辺部及び/又は右辺部を指で摘んで上方に引き上げることにより切取部18全体を切り取る。その後、図9に示すように、天板3の残部を図中上方且つ左右に押し開けることにより、天板3を開封することができる。
【0007】
ところが、図8(b)に示すように、辺xには開封用切断線16が設けられていないので、図9において、天板3の両端の縁部19は未開封状態で残る。従って、図9において、段ボール箱1から4個の農薬収納袋17を取り出そうとすると、農薬収納袋17の周辺
縁部が天板3の縁部19に接触し、農薬収納袋17は非常に取り出し難い。
【0008】
図8(b)において、開封用切断線16を辺yに重ねて設ければ縁部19が存在せず、図9において、天板3全体を開封することができる。しかしながら、開封用切断線16を辺yに重ねて設ければ、段ボール箱1の天板3の強度(天板3の辺部の強度)が低下し、物品を梱包した段ボール箱1を複数個積み重ねた場合、辺yが破断する危険がある。それ故、物品を梱包した段ボール箱1を複数個積み重ねた場合の段ボール箱1の強度を確保するため、開封用切断線16を辺yに重ねて設けることはできない。
【0009】
本発明者らは、従来使用されていた段ボール箱の前記欠点を克服すべく鋭意研究した結果、段ボール箱の天板に適切に開封用切断線を設けることにより、物品を梱包した段ボール箱を複数個積み重ねた場合でも充分な強度を有すると共に、開封時に天板全体を開封することが可能で、段ボール箱からの物品の取り出しが容易なラップラウンド型段ボール箱を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0010】
即ち、本発明のラップラウンド型段ボール箱は、
天板に開封用切断線が形成されており、
前記開封用切断線は、前記天板の上下対辺に沿って形成された一対の開封用上下切断線と、前記天板の左右対辺に沿って形成された一対の開封用左右切断線と、該一対の開封用左右切断線と連続して形成された一本の開封用開始切断線とからなり、
前記一対の開封用上下切断線は、前記天板の上下対辺の近傍に形成されており、前記一対の開封用左右切断線は、前記天板の中央部に且つ前記一対の開封用上下切断線と連続して所定間隔で形成されてなる、ラップラウンド型段ボール箱であって、
前記一対の開封用上下切断線の端部と、前記一対の上下対辺の端部とを連続する開封用端部切断線が形成されてなることを特徴とする。
本発明のラップラウンド型段ボール箱において、前記開封用端部切断線は、例えば、前記左右対辺に形成されてなるか、又は、前記左右対辺近傍に形成されてなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のラップラウンド型段ボール箱は、開封時に天板に未開封部を残すことなく天板全体を開封し開口部とすることができ、段ボール箱内部の梱包物を容易に外部に取り出すことができる。
また、本発明のラップラウンド型段ボール箱は、物品を梱包した段ボール箱を複数個積み重ねた場合でも実用上充分な強度を有し、種々の大きさに形成し得るので、適用範囲が広い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
基本原理の説明
以下、図6に基づいて、本発明の基本原理を説明する。図6は、本発明のラップラウンド型段ボール箱の天板20を示す平面図である。説明の便宜上、図6において、上下左右はそれぞれ、図中の矢印方向を示すものとする。
【0013】
天板20には開封用切断線21(切断線全体を示す;例えば、ミシン目である)が設けられ、また、天板20の上下には縁部22及び縁部23が設けられている。
縁部22の周辺に設けられた開封用切断線のうち、左右方向のものを開封用切断線24と、上下方向又は上下左右方向のものを開封用切断線25とする。
本発明のラップラウンド型段ボール箱において、縁部22及び縁部23の幅(上下対辺と開封用上下切断線との距離m)は、狭過ぎると縁部22及び縁部23の強度(特に、物品を梱包した段ボール箱を複数個積み重ねた場合の強度)が充分でなく、反対に、広過ぎ
ると天板が開封し難くなる。
従って、縁部22及び縁部23の幅には最適範囲が存在する。
即ち、本発明のラップラウンド型段ボール箱において、上下対辺と開封用上下切断線との距離mと、前記上下対辺間の距離又は前記左右対辺の長さMとの比率は、下記式(1):

m/M=1/20〜1/4 (1)

で表わされるものが好ましく、m/M=1/15〜1/6で表わされるものがより好ましい。
【0014】
開封用切断線24は例えば直線状であり、直線状の開封用切断線24の長さnは、縁部22の長手方向(図中、左右方向)の長さNに対して、n≦Nなる関係にある。開封用切断線25は例えば直線状であり、図6において、Aで表わされる場合(開封用切断線25は左右対辺上に形成される;この場合、開封用切断線24の長さn=Nである)と、B又はCで表わされる場合(図6ではBの場合のnを示す;開封用切断線25は縁部22の中央よりの部分に長手方向に沿って形成される;この場合、開封用切断線24の長さn<Nである)とがある。
開封用切断線25がAで表わされる場合、開封用切断線25の長さはmである。mとMとの比率を上記式(1)のように設定すると、縁部22が開封可能になると共に、段ボール箱の左右対辺部分の強度を充分に確保することができるので好ましい。
開封用切断線25がBで表わされる場合、開封用切断線25が左右対辺上に存在しないので、開封用切断線25がAで表わされる場合に比較して、段ボール箱の左右対辺部分の強度の低下をより少なくすることができる。
しかしながら、開封用切断線25がCで表わされる場合、縁部22の上辺近傍に長い開封用切断線25が設けられるので、段ボール箱の縁部22の強度が低下し易い。
従って、上下対辺の長さNと、開封用上下切断線の長さnとの比率には最適範囲が存在する。
即ち、本発明のラップラウンド型段ボール箱において、上下対辺の長さNと、開封用上下切断線の長さnとの比率は、下記式(2):

n/N≧3/4 (2)

で表わされるものが好ましい。
【0015】
本発明のラップラウンド型段ボール箱に梱包するものは限定されない。本発明のラップラウンド型段ボール箱は、特に、4個の農薬収納袋を梱包するために適する。
【0016】
本発明のラップラウンド型段ボール箱の大きさは、梱包ものの種類に応じて適宜選択する。また、段ボール板紙の種類、開封用切断線の種類(例えば、ミシン目など)等は、ラップラウンド型段ボール箱において慣用のものを使用することができる。
【実施例】
【0017】
以下に示す実施例において、本発明を具体的且つ更に詳細に説明する。下記実施例は本発明の説明のためのみのものであり、これらの実施例により本発明の技術的範囲が限定されるものではない。
【0018】
実施例1
図1に本発明の実施例1の段ボール箱26の斜視図を示す。段ボール箱26は、図4に示す段ボール板紙27から組み立てられたものである。段ボール板紙27において、天板
28、側板29、底板30及び側板31は順次連繋されており、また、天板28には上フラップ32、上フラップ33及び接続用糊代34が設けられ、側板29には内フラップ35及び内フラップ36が設けられ、底板30には下フラップ37及び下フラップ38が設けられ、側板31には内フラップ39及び内フラップ40が設けられている。更に、天板28には開封用切断線41(例えば、ミシン目など)が設けられている。
図4に示す段ボール板紙27には、図10に示す段ボール板紙2と異なり、辺x’(四カ所)にも開封用切断線41が設けられているのが判る。
【0019】
図1に示す本発明の段ボール箱26は、図7に示す従来使用されていた段ボール箱1と異なり、梱包する物品によっても、例えば図1に示すように4個の農薬収納袋42を梱包した場合に、不具合が生じることが判った。
以下、図1ないし図3に基づいて、段ボール箱26から農薬収納袋42を取り出す場合の手順を説明する。
【0020】
図1の段ボール箱1には切取部43が設けられている。切取部43は周囲に開封用切断線41を有するので、図2に示すように、天板28から容易に切り取ることができる。
即ち、図2(a)に示すように、切取部43の中央を指で下方に押圧して開口部を設け、次いで左辺部及び/又は右辺部を指で摘んで上方に引き上げることにより切取部43全体を切り取る。その後、図3に示すように、天板28の残部を図中上方且つ左右に押し開けることにより、天板28を開封することができる。
【0021】
図2(b)に示すように、図8(b)と異なり、辺x’にも開封用切断線41が設けられているので、図3において、天板28の両端の縁部44も開封することができる。従って、図3において、段ボール箱27から4個の農薬収納袋42を取り出すとき、農薬収納袋42の周辺縁部は天板28の縁部44に接触せず、農薬収納袋42は非常に取り出し易い。
【0022】
実施例2及び実施例3
図5(a)に本発明の実施例2のラップラウンド型段ボール箱の天板45の平面図を、図5(b)に本発明の実施例3のラップラウンド型段ボール箱の天板46の平面図を、それぞれ示す。
天板45には開封用切断線47が、天板46には開封用切断線48が、それぞれ設けられている。
開封用切断線47は、図6の開封用切断線25におけるBの場合に対応するものであり、傾斜切断線部49を有し、図2(実施例1)の開封用切断線41と異なり、辺x’に切断線が設けられていないので、天板45の左右対辺部分の強度の低下をより少なくすることができる。
開封用切断線48は、湾曲切断線部50を有する。湾曲切断線部50は傾斜切断線部49に比較して切断線の角度の変化が穏やかなので、湾曲切断線部50における開封時の天板46の破損のおそれをより少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明の実施例1のラップラウンド型段ボール箱に農薬収納袋4個を梱包した状態を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1の段ボール箱において、開封開始部を切り取り、上方に取り出した状態を示す斜視図であり、図2(a)は段ボール箱全体を示す図であり、そして図2(b)は図2(a)の段ボール箱の天板の4隅部分の拡大図である。
【図3】図3は、図1の段ボール箱の天板を開封した状態を示す斜視図である。
【図4】図4は、図1の段ボール箱の段ボール箱板紙の平面図である。
【図5】図5は、本発明の実施例2及び実施例3の段ボール箱の天板の平面図である。
【図6】図6は、本発明のラップラウンド型段ボール箱の基本原理を説明するための、天板の平面図である。
【図7】図7は、従来使用されていたラップラウンド型段ボール箱に4個の農薬収納袋を梱包した状態を示す斜視図である。
【図8】図8は、図7の段ボール箱において、開封開始部を切り取り、上方に取り出した状態を示す斜視図であり、図8(a)は段ボール箱全体を示す図であり、そして図8(b)は図8(a)の段ボール箱の天板の4隅部分の拡大図である。
【図9】図9は、図7の段ボール箱の天板を開封した状態を示す斜視図である。
【図10】図10は、図7の段ボール箱の段ボール箱板紙の平面図である。
【符号の説明】
【0024】
1,26:段ボール箱
2,27:段ボール箱板紙
3,28,45,46:天板
4,6,29,31:側板
5,30:底板
7,8,32,33:上フラップ
9,34:接続用糊代
10,11,14,15,35,36,39,40:内フラップ
12,13,37,38:下フラップ
16,21,24,25,41,47,48:開封用切断線
17,42:農薬収納袋
18,43:切取部
19,22,23,44:縁部
20:天板
49:傾斜切断線部
50:湾曲切断線部
x,x’,y:辺部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板に開封用切断線が形成されており、
前記開封用切断線は、前記天板の上下対辺に沿って形成された一対の開封用上下切断線と、前記天板の左右対辺に沿って形成された一対の開封用左右切断線と、該一対の開封用左右切断線と連続して形成された一本の開封用開始切断線とからなり、
前記一対の開封用上下切断線は、前記天板の上下対辺の近傍に形成されており、前記一対の開封用左右切断線は、前記天板の中央部に且つ前記一対の開封用上下切断線と連続して所定間隔で形成されてなる、ラップラウンド型段ボール箱であって、
前記一対の開封用上下切断線の端部と、前記一対の上下対辺の端部とを連続する開封用端部切断線が形成されてなることを特徴とするラップラウンド型段ボール箱。
【請求項2】
前記開封用端部切断線が前記左右対辺に形成されてなることを特徴とする請求項1記載のラップラウンド型段ボール箱。
【請求項3】
前記開封用端部切断線が前記左右対辺近傍に形成されてなることを特徴とする請求項1記載のラップラウンド型段ボール箱。
【請求項4】
請求項1記載のラップラウンド型段ボール箱において、前記上下対辺と前記開封用上下切断線との距離mと、前記上下対辺間の距離又は前記左右対辺の長さMとの比率が、下記式(1):

m/M=1/20〜1/4 (1)

で表わされることを特徴とするラップラウンド型段ボール箱。
【請求項5】
請求項1記載のラップラウンド型段ボール箱において、前記上下対辺の長さNと、前記開封用上下切断線の長さnとの比率が、下記式(2):

n/N≧3/4 (2)

で表わされることを特徴とするラップラウンド型段ボール箱。
【請求項6】
4個の農薬収納袋を梱包するための、請求項1ないし5の何れか一項記載のラップラウンド型段ボール箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−204146(P2007−204146A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−28861(P2006−28861)
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【出願人】(000003986)日産化学工業株式会社 (510)
【Fターム(参考)】