ラベルシート
【課題】 必要事項を印字した複数の単位ラベルを、台紙などに、連続的に張り付けるときの作業性を向上し、簡単にきれいに貼り付けることができるラベルシートを提供することである。
【解決手段】 帯状の剥離シート3の長手方向に複数の単位ラベル1を、粘着剤層2を介して剥離可能に貼付したラベルシートにおいて、上記剥離シート3は、その長手方向に連続するとともに単位ラベル間の境界線4に直交する切り込み線5を備え、この切り込み線5を境に上記剥離シート3を二分可能な構成にし、二分割した剥離シート3の少なくとも一方のシート部3aまたは3bで、複数の単位ラベル1を連続させて保持できる構成にした。
【解決手段】 帯状の剥離シート3の長手方向に複数の単位ラベル1を、粘着剤層2を介して剥離可能に貼付したラベルシートにおいて、上記剥離シート3は、その長手方向に連続するとともに単位ラベル間の境界線4に直交する切り込み線5を備え、この切り込み線5を境に上記剥離シート3を二分可能な構成にし、二分割した剥離シート3の少なくとも一方のシート部3aまたは3bで、複数の単位ラベル1を連続させて保持できる構成にした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プリンタによる印字や、手書きが可能な表面を備えるとともに、台紙などに貼付可能なラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
図9と、図9の断面図である図10に示すように、裏面に粘着剤層2を備えた複数の単位ラベル1を、帯状の剥離シート3に連続的に貼付したラベルシートが、従来知られている。この従来のラベルシートでは、単位ラベル1を感熱紙で形成し、単位ラベルの表面にサーマルプリンタで印字したり、手書きしたりできるようにしている。
【0003】
上記各単位ラベル1は、帯状の感熱紙を型で抜いて形成しているが、型抜きによって形成した単位ラベル1の境界線4には、部分的に刃止め部1aを残し、この刃止め部1aによって隣り合う単位ラベル1を接続している。このように、刃止め部1aを設けて複数の単位ラベル1を連続させるようにしたのは、プリンタ内で、個々の単位ラベル1がその境界線4の部分で剥離シート3から剥がれてしまうことを防止するためである。例えば、ロール状にしたり、折りたたんだりしたラベルシートをプリンタにセットした場合に、プリンタ内で、個々の単位ラベル1が剥離シート3から剥がれると、ラベルシートの搬送不良が発生してしまうが、上記刃止め部1aを設けることによって、単位ラベル1がプリンタ内で剥がれてしまうことを防止し、結果として搬送不良を防止するようにしている。
【0004】
ただし、刃止め部1aは簡単に切り離すことができる大きさにし、ラベルシートがプリンタから排出された後には、個々の単位ラベル1に分離できるようにしている。
そして、必要事項が印字された個々の単位ラベル1を、剥離シート3から剥がして、台紙などの必要箇所に貼り付けて用いる。
また、このようなラベルシートは、複数の単位ラベル1を連続して設けているので、例えば、1つの事柄に関する事項を複数の単位ラベル1に亘って、連続して印字することもできる。
【0005】
例えば、荷物の配送員の携帯端末に、プリンタ機能とともに、個々の配達作業の内容を記録したり、集計したりする機能を備えれば、1日の作業終了時に、その日の作業記録を印字することができる。しかし、作業量は、配送員や、日によっても異なるので、1日分の作業記録を印字するためのスペースは一定ではないし、1枚の単位ラベル1では足りない場合も考えられる。そのような場合にも、図9に示すようなラベルシートなら、必要枚数の単位ラベル1に連続して作業記録を印字することができるので、それを剥離シート3から剥がして台帳に貼り付ければ、配送員は戸外でも簡単に作業日報を作成できる。
【特許文献1】特開平11−171154号公報
【特許文献2】特開2005−283633号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、複数枚の単位ラベル1に亘って連続的に印字し、例えば作業日報を作成する際には、プリンタから排出されたラベルシートの剥離シート3から、必要事項が印字された単位ラベル1を剥がして、図11に示すように台紙Bに貼りつける。図11では、3枚の単位ラベル1で作業日報を作成する例を示している。このとき、プリンタから排出された剥離シート3は、3枚の単位ラベル1に対応する長さでプリンタから切り取っても良いし、プリンタ側に残しておいてもかまわないが、単位ラベル1は、剥離シート3から1枚ずつ剥がしとり、1枚ずつ台紙Bに貼り付ける。
【0007】
このように、剥離シート3から、単位ラベル1を1枚ずつ剥がし取り、1枚ずつ貼り付けるようにするため、剥離作業と、台紙Bへの貼付作業とが、それぞれ単位ラベル1の枚数分だけ必要となり、手間がかかるという問題がある。
また、台紙Bに、単位ラベル1を個別に貼り付けるため、連続する内容が印字された単位ラベル1を1列に揃えて貼り付けることも難しい。台紙Bに、列を揃えて貼付しようとして、手間と時間がかかるという問題があったり、貼付された単位ラベル1の列が揃わないため、作成された作業日報などが読みづらいものとなったり、また、台紙Bの貼付スペースが無駄になったりするという問題もある。
特に、単位ラベル1の連続枚数が多くなればなるほど、上記の問題は大きくなる。
【0008】
一方で、複数の単位ラベル1を刃止め部1aで連続させた状態で、剥離シート3から剥がしとって、1枚のラベルとして台紙Bに貼付することも考えられる。しかし、上記したように、刃止め部1aは、必要に応じて簡単に千切れるようにしているので、刃止め部1aが千切れないようにして単位ラベル1を連続して剥がしとるためには、細心の注意が必要である。仮に、複数枚の単位ラベル1を連続して剥離できたとしても、特に、枚数が多い場合、それを台紙Bに貼り付けるまでに、裏面の粘着剤層2同士が貼り付いてしまったり、台紙に貼り付ける際に、長く連続した単位ラベルにシワがよってしまったりすることがあり、まっすぐに、しわも寄せずに、きれいに貼り付ける作業が難しくなるという問題があった。
【0009】
この発明の目的は、必要事項を印字した複数の単位ラベルを、台紙などに、連続的に張り付けるときの作業性を向上し、簡単にきれいに貼り付けることができるラベルシートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明は、帯状の剥離シートの長手方向に複数の単位ラベルを、粘着剤層を介して剥離可能に貼付したラベルシートにおいて、上記剥離シートは、その長手方向に連続するとともに単位ラベル間の境界線に直交する切り込み線を備え、この切り込み線を境に上記剥離シートを二分可能な構成にし、二分割した剥離シートの少なくとも一方のシート部で、複数の単位ラベルを連続させて保持できる構成にした点に特徴を有する。
なお、上記剥離シートの切り込み線は、連続する1本のスリットのほか、中間に刃止め部を設けた切り取り線も含むが、切り込み線を境に、剥離シートを容易に二分割できるものでなければならない。
また、刃止め部とは、切り込み線を形成するために、スリッターの刃を入れていない部分で、切り込み線で分割される両側部分を連続させる部分のことである。
【0011】
第2の発明は、第1の発明を全体とし、上記切り込み線に沿って、粘着剤を設けない非粘着部を設け、上記粘着剤層を、上記非粘着部の両側に設けた点に特徴を有する。
第3の発明は、第1または第2の発明を前提とし、上記剥離シートの切り込み線上であって、上記単位ラベルごとに、少なくとも1つの刃止め部を設けた点に特徴を有する。
【0012】
第4の発明は、単位ラベルシートの裏面に、樹脂層を設けた点に特徴を有する。
第5の発明は、第4の発明の樹脂層が、ポリエチレンテレフタレート製である点に特徴を有する。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明によれば、切り込み線によって二分割した剥離シートの一方のシート部のみで、複数の単位ラベルを連続して保持できる構成にしているので、剥離シートの他方のシート部のみを剥離して、露出させた粘着剤層で、複数の単位ラベルを連続した状態で台紙などに簡単に貼付することができる。その後、単位ラベルを保持している一方のシート部を剥がして、さらに残りの粘着剤層によって単位ラベルを貼付するようにすれば、任意の枚数の単位ラベルを、連続して整列した状態で台紙に貼付する作業を、容易にすることができる。例えば、作業日報など、日や、人によって長さの異なる内容を印字した場合にも、必要な枚数の単位ラベルを連続的に、きれいに貼り付けることができるので、印字内容が見易いだけでなく、作業時間や台紙の添付スペースも節約できる。
【0014】
第2の発明では、剥離シートの切り込み線に対応する部分に、非粘着部を設けたので、プリンタ内にセットされたラベルシートの粘着剤が、圧力や熱によって広がるようなことがあっても、非粘着部内にとどまり、剥離シートの切り込み線から、外部へはみ出すことがない。そのため、粘着剤層のはみ出しによる、ラベルシート表面の汚れや、ラベルシートの搬送不良を防止できる。
【0015】
第3の発明によれば、単位ラベルごとに、剥離シートの切り込み線上に刃止め部を設けたので、剥離シートを二分割しないで、剥がすこともできる。特に、単位ラベルを1枚単位で使用する際には、剥離シートを二分割した一方のシート部で、単位ラベルを保持する必要がないので、剥離シートの刃止め部を破かないようにして単位ラベルを剥がせば、単位ラベルごとに剥離シートを剥がすことができる。剥離シートの刃止め部がなければ、単位ラベルから剥離シートを剥がす作業が、2回必要になるが、刃止め部を利用すれば、剥がし作業が1回で足りる。
【0016】
第4、第5の発明によれば、樹脂層を設けることによって単位ラベルの強度が増すので、境界線以外の部分で破れ難くなる。境界線以外で破れないということは、言い換えれば、境界線に沿って切り取り易くなるということで、剥離シートに貼付した状態で必要数の単位ラベルを切り離す場合にも、剥離シートごと単位ラベルの単位で正確に切り取ることができる。
このように、単位ラベルが途中で破れ難くなっていれば、使用後のラベルを剥がすときにも、単位ラベルが破けて台紙などに部分的に残ってしまうことがない。例えば、住所・氏名などが記載された単位ラベルを荷箱に貼り付けて送り状として使用し、配達後に荷箱から剥がすことができなければ、住所などの個人情報が荷箱側に残ってしまうので、不要な箱を安心して廃棄できないが、この発明のラベルシートを用いれば、そのような心配もない。
【0017】
また、樹脂層の弾性が、単位ラベルに作用する外力に対してクッションとして作用し、ラベル表面の印字面への衝撃を吸収することができる。そのため、印字面への傷も付き難い。また、例えば、単位ラベルを、感熱紙や、感圧紙などで構成した場合、剥離シートの切り込み線を形成する際のスリッターからの圧力によって発色剤カプセルが破壊されることも防止できる。
さらに、単位ラベルに剛性も付与され、剥離シートから剥がした単位ラベルがシワになり難いという効果もある。
【0018】
特に、第5の発明では、ポリエチレンテレフタレート製シートを用い、厚みをそれほど厚くしないでも、強度の高い樹脂層が得られ、薄くて破れにくいラベルシートが得られる。ラベルシートの厚みが薄ければ、例えば、ロール状にした場合にも、厚みの厚いラベルシートと比べて、同じロール径で、多くの単位ラベルを備えることができる。従って、一度に、プリンタにセットできる単位ラベル数を多くすることができる。
また、ポリエチレンテレフタレートは焼却しても、ダイオキシンなどの有害物質が発生しないので、使用済みのラベルを安心して焼却できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1〜図6に、この発明の第1実施形態を示す。
この第1実施形態のラベルシートは、図1に示すように、境界線4で区画される複数の単位ラベル1を、連続的に帯状の剥離シート3に貼り付けて構成している点は、上記従来のラベルシートと同様である。なお、従来のラベルシートと同様の構成要素には、以下の説明においても、上記図9〜図11に用いた符号を用いるものとする。
【0020】
ただし、この第1実施形態のラベルシートでは、図1〜3に示すように、剥離シート3の長手方向に連続する切り込み線5を設けるとともに、単位ラベル1の境界線4に対応する位置にミシン目6を設けている。上記切り込み線5によって、剥離シート3は、シート部3aと3bとに2分割される。
また、図2に示すように、この実施形態の単位ラベル1は、その裏面にポリエチレンテレフタレート製の樹脂層7を備えている。この樹脂層7は、約10(μm)厚さのポリエチレンテレフタレート製シートを、単位ラベル1の裏面に接着して設けたものである。この樹脂層7を設けることによって、単位ラベル1が補強され、境界線4以外の部分で破け難くしている。
【0021】
さらに、この樹脂層7と剥離シート3との間には、粘着剤層2を設けているが、この粘着剤層2は、長手方向に連続する2つの粘着剤層2aと2bとからなり、両粘着剤層2aと2bとの中間であって、剥離シート3の切り込み線5に対応する部分には、粘着剤を設けていない非粘着部8を形成している。つまり、非粘着部8の両側に、粘着剤層2aと、2bとを備え、一方の粘着剤層2aは、剥離シート3の一方のシート部3aに接着され、他方の粘着剤層2bは、他方のシート部3bに接着されている。そして、各シート部3a、3bにおいて、上記非粘着部8に対応する部分には、粘着剤層2aまたは2bが接触しない非接着部3c,3cを、切り込み線5に沿った両側に形成している(図3参照)。
【0022】
上記のように、剥離シート3の切り込み線5に対応する部分に、非粘着部8を設けたのは、プリンタなどの装置内にセットされたラベルシートの粘着剤が、プリンタの圧力や熱によって広がるようなことがあっても、粘着剤が非粘着部8内にとどまり、剥離シート3の切り込み線5から、外部へはみ出すことがないようにするためである。プリンタ内において粘着剤が切り込み線5から外部にはみ出すと、粘着剤によってラベルシートの表面が汚れてしまったり、ラベルシートの搬送不良を起こしてしまったりすることがあるが、上記非粘着部8を設けたことで、そのようなことを防止できるのである。
【0023】
また、このラベルシートでは、剥離シート3が、切り込み線5によって二分割可能になっているので、単位ラベル1から剥離シート3を剥がし取る際に、分割された剥離シートのいずれか一方のシート部のみを剥がしとり、もう一方のシート部を残しておくことができる。例えば、シート部3bを、複数の単位ラベル1から長手方向に連続して剥がしとった場合、シート部3bが剥がしとられた複数の単位ラベル1には、もう一方のシート部3aが接着されている。言い換えれば、シート部3bを剥離しても、残されたシート部3aによって、複数の単位ラベル1の連続状態を保持できる。このように、単位ラベル1から、二分割された剥離シート3の一方のシート部3bを取り除いて、粘着剤層2bを露出させた状態で、単位ラベル1の連続状態を保持できるので、この連続状態を保持したまま、露出した粘着剤層2bによって、台紙などへのラベルの貼着が可能である。
【0024】
この第1実施形態のラベルシートも、従来のラベルシートと同様に、プリンタ機能を有する携帯端末にセットして、上記単位ラベル1に、必要事項を印字して使用することができる。
単位ラベル1を、1枚単位で使用する場合には、従来と同様に、単位ラベル1を剥離シート3から剥がして台紙などに貼付すればよい。単位ラベル1を剥離シート3から剥がすときには、単位ラベル1の表面から単位ラベル1を剥がすようにしてもよいし、裏面から、剥離シート3の非接着部3c,3cを摘んで剥がしても良い。
【0025】
また、剥離シート3ごと、単位ラベル1の単位で切り取ってから剥離シート3を剥離してもよい。この場合、第1実施形態のラベルシートでは、単位ラベル1が樹脂層7で補強されているため、境界線4に沿って切断されやすく、この単位ラベル1が接着されて一体化している剥離シート3も、境界線4に沿って切断されやすい。特に、この実施形態では、ミシン目6を設けているので、単位ラベル1が貼着されていない部分でもミシン目6に沿って、まっすぐに破断することができる。
【0026】
さらに、この第1実施形態のラベルシートでは、複数の単位ラベル1を一連のものとして取り扱う際の作業性に優れているので、複数の単位ラベル1を連続的に使用して作業日報を作成する例を用いて、その作用を説明する。
なお、ここでは、作業日報として、1日分の作業記録を、携帯端末を用いて3枚の単位ラベル1に連続して印字する場合について説明する。
【0027】
まず、携帯端末によって、1日分の作業記録を印字すると、3枚の単位ラベル1に連続的に印字され、それらが、剥離シート3とともに、端末から排出される。排出されたラベルシートから、3枚分の単位ラベル1を、剥離シート3とともに切り取る。
このとき、剥離シート3の端から、ミシン目6に沿った力を作用させると、剥離シート3は、ミシン目6に沿って容易に破断する。剥離シート3を、単位ラベル1の単位できれいに切断できるのは、上記したように、境界線4以外の部分では破断し難い単位ラベル1を貼り付けているからである。
【0028】
3枚分の単位ラベル1を剥離シート3とともに、切り取ったら、図4に示すように、剥離シート3の一方のシート部3bを剥がし取る。このとき、剥がし取ったシート部3bに対応する部分には、粘着剤層2bが露出し、残されたシート部3aには、粘着剤層2aによって、3枚の単位ラベル1が連続的に貼着して保持されている。つまり、3枚の単位ラベル1は、シート部3aによって一連のものとして保持されるとともに、一部に粘着剤層2bを露出させているので、この粘着剤層2bによって、図5に示すように、単位ラベル1を3枚セットで台紙Bの所定の位置に貼付することができる。
【0029】
図5のように、3枚の単位ラベル1は、シート部3aで保持された状態で貼付されるので、印字されたときの配置を保ったまま台紙Bに、半分だけ貼着される。このようにシート部3bに対応する部分のみ貼着したら、図5の矢印に示すように、シート部3aを折り返して図6に示すように連続する単位ラベル1を折り曲げると、シート部3aの端部の非接着部3cが単位ラベル1の裏面から離れるので、その角を摘んで、シート部3aを矢印方向へ簡単に剥がすことができる。シート部3aを剥がしながら、単位ラベル1の表面を押さえれば、3枚の単位ラベル1を連続してきれいに、しかも簡単に台紙Bに貼付した作業日報を作成できる。
【0030】
以上のように、この実施形態のラベルシートでは、複数の連続する単位ラベルを、台紙に揃えて貼付する際の作業性を向上することができる。連続して整列した状態で台紙に貼付する作業を、容易にすることができるので、印字内容が見易いだけでなく、作業時間や台紙の添付スペースを無駄にすることもない。
なお、連続して取り扱う単位ラベル1の数は3枚に限らず、任意の枚数の単位ラベル1についても、上記と同様に取り扱うことができる。また、剥離シート3のシート部3aまたは3bのいずれを先に剥がしてもかまわないし、剥がし始めは、単位ラベル1の外側からでもよいし、切り込み線5側からでもよい。
【0031】
さらに、上記実施形態では、単位ラベル1の裏面に樹脂層7を設けているが、この樹脂層7は、複数の単位ラベル1を一連のものとして取り扱うためには必須ではない。ただし、上記樹脂層7を備えていれば、単位ラベル1の強度を増すことができ、単位ラベル1の単位で切り離す際に、切り線が曲がったりせずにきれいに切り離すことができる。そのため、印字済みのラベルを破損してしまうようなことがなく、ラベルを無駄にしたり、作業を無駄にしたりすることがない。
また、上記第1実施形態では、剥離シート3にミシン目6を形成しているが、このミシン目6はなくてもよい。ただし、ミシン目6や、切り込みなどを形成すれば、剥離シート3を単位ラベル1の境界線4に沿って切断しやすくなる。
【0032】
図7、図8に示す第2実施形態は、剥離シート3に形成した切り込み線5上に、刃を入れていない刃止め部3dを形成している点が、上記第1実施形態と異なるが、その他は、第1実施形態と同じである。この第2実施形態において第1実施形態と同じ構成要素には、第1実施形態と同じ符号を用いるとともに、各要素の詳細な説明は省略する。
上記刃止め部3dを形成することによって、切り込み線5によって二分割される剥離シート3のシート部3aとシート部3bとが、上記刃止め部3dを介して連結される。ただし、この刃止め部3dは、上記単位ラベル1の境界線4に形成した刃止め部1aと同様に、簡単に破断できる大きさである。
【0033】
そして、この第2実施形態では、上記刃止め部3dを、切り込み線5上であって、1枚の単位ラベル1内に、2箇所ずつ設けている。ここでは、1枚の単位ラベル1内に2箇所の刃止め部3dを設けているが、1枚の単位ラベル1内に設ける刃止め部3dの数は、1以上ならいくつでもかまわない。ただし、刃止め部3dは、切り込み線5によって、剥離シート3が、シート部3aと3bとに分割可能な範囲で設けなければならない。
【0034】
この第2実施形態のように、1枚の単位ラベル1内に、少なくとも1個の刃止め部3dを形成すると、図8のように、1枚の単位ラベル1を剥離シート3ごと切り取った場合に、切り取られた剥離シート3の両シート部3a、3bが、刃止め部3dによって連結された状態となる。そのため、単位ラベル1に対して、シート部3aと3bとを1枚の剥離シート3として剥がし取ることができる。単位ラベル1を1枚の単位で扱う場合には、複数の単位ラベル1を連続して保持する必要はないので、切り込み線5で二分可能なシート部3a,3bを、一体的に剥離するほうが、別々に剥離するよりも手間もかからず、作業性が良い。もちろん、1枚の単位ラベル1の場合にも、シート部3a,3bを別々に剥離してもかまわない。
【0035】
つまり、第2実施形態のラベルシートは、複数の単位ラベルを連続して貼付する際には、図4〜図6に示す第1実施形態のように、一方のシート部3aまたは3bのみを剥がして、残りのシート部で連続する単位ラベルを保持することができる。従って、複数の単位ラベル1を連続的に、きれいに揃えて台紙に貼り付けることができる。さらに、単位ラベル1が1枚の場合には、剥離シートの両シート部3a,3bを1枚として剥離することもできる。
【0036】
なお、上記第1、第2実施形態では、樹脂層7をポリエチレンテレフタレート製シートで形成しているが、樹脂の種類は、これに限らない。ただし、ポリエチレンテレフタレートは、焼却時に、ダイオキシンなどの有害物質を発生しないので、これを樹脂層に用いれば、使用済みのラベルを焼却することもできる。また、ポリエチレンテレフタレート製シートは、薄くて丈夫なので、単位ラベル1の強度を保つために、他の材料を用いるよりも、樹脂層7の厚みを薄くすることができる。樹脂層7が薄くできれば、その分ラベルシート全体の厚みも薄くできるので、携帯端末など、プリンタ内に収納可能な単位ラベル1の数を多くすることができる。
【0037】
また、上記第1、第2実施形態のように、樹脂層7を設けることによって単位ラベル1の強度が上がれば、台紙などへ貼付した単位ラベル1を剥がそうとしたときに、単位ラベル1が途中で破けてしまうことがない。例えば、上記実施形態の単位ラベル1を、送り状として荷箱に貼付して用いた場合、配達後、荷物の受取人が、荷箱から自分の住所・氏名などが印字された単位ラベル1を剥がしてから、荷箱を廃棄することができる。単位ラベル1が破れて、荷箱側に、住所などの個人情報が残ってしまうことがないので、不要な荷箱を安心して廃棄できる。
【0038】
さらに、上記剥離シート3に形成する切り込み線は、第1実施形態のように、1本の連続する切り込みのほか、第2実施形態のように刃止め部を備えたもののいずれでもかまわない。また、上記実施形態では、切り込み線5を剥離シート3の中央に設けているが、切り込み線5は、剥離シート3の長手方向に連続していればよく、位置は、剥離シート3の幅の中央に限らず、左右いずれかに偏った位置でもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】第1実施形態のラベルシートの平面図である。
【図2】図1のII-II線断面図である。
【図3】第1実施形態のラベルシートの背面図である。
【図4】第1実施形態のラベルシートによって作業日報を作成する例を説明する図であり、剥離シートの一方のシート部を剥がし取った状態を示すものである。
【図5】第1実施形態のラベルシートの使用例を説明する図であり、図4ではがしたシート部側を台紙に貼り付けた状態を示す平面図である。
【図6】第1実施形態のラベルシートの使用例を説明する図であり、図5の状態から、残されたシート部を剥離する方法を示した斜視図である。
【図7】第2実施形態のラベルシートの背面図である。
【図8】第2実施形態の単位ラベル1枚の背面図である。
【図9】従来例のラベルシートの平面図である。
【図10】図9のX-X線断面図である。
【図11】従来例のラベルシートにおける複数の単位ラベルを台紙に貼付した状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 単位ラベル
2 粘着剤層
2a,2b 粘着剤層
3 剥離シート
3a,3b シート部
3d 刃止め部
4 境界線
5 切り込み線
7 樹脂層
8 非粘着部
【技術分野】
【0001】
この発明は、プリンタによる印字や、手書きが可能な表面を備えるとともに、台紙などに貼付可能なラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
図9と、図9の断面図である図10に示すように、裏面に粘着剤層2を備えた複数の単位ラベル1を、帯状の剥離シート3に連続的に貼付したラベルシートが、従来知られている。この従来のラベルシートでは、単位ラベル1を感熱紙で形成し、単位ラベルの表面にサーマルプリンタで印字したり、手書きしたりできるようにしている。
【0003】
上記各単位ラベル1は、帯状の感熱紙を型で抜いて形成しているが、型抜きによって形成した単位ラベル1の境界線4には、部分的に刃止め部1aを残し、この刃止め部1aによって隣り合う単位ラベル1を接続している。このように、刃止め部1aを設けて複数の単位ラベル1を連続させるようにしたのは、プリンタ内で、個々の単位ラベル1がその境界線4の部分で剥離シート3から剥がれてしまうことを防止するためである。例えば、ロール状にしたり、折りたたんだりしたラベルシートをプリンタにセットした場合に、プリンタ内で、個々の単位ラベル1が剥離シート3から剥がれると、ラベルシートの搬送不良が発生してしまうが、上記刃止め部1aを設けることによって、単位ラベル1がプリンタ内で剥がれてしまうことを防止し、結果として搬送不良を防止するようにしている。
【0004】
ただし、刃止め部1aは簡単に切り離すことができる大きさにし、ラベルシートがプリンタから排出された後には、個々の単位ラベル1に分離できるようにしている。
そして、必要事項が印字された個々の単位ラベル1を、剥離シート3から剥がして、台紙などの必要箇所に貼り付けて用いる。
また、このようなラベルシートは、複数の単位ラベル1を連続して設けているので、例えば、1つの事柄に関する事項を複数の単位ラベル1に亘って、連続して印字することもできる。
【0005】
例えば、荷物の配送員の携帯端末に、プリンタ機能とともに、個々の配達作業の内容を記録したり、集計したりする機能を備えれば、1日の作業終了時に、その日の作業記録を印字することができる。しかし、作業量は、配送員や、日によっても異なるので、1日分の作業記録を印字するためのスペースは一定ではないし、1枚の単位ラベル1では足りない場合も考えられる。そのような場合にも、図9に示すようなラベルシートなら、必要枚数の単位ラベル1に連続して作業記録を印字することができるので、それを剥離シート3から剥がして台帳に貼り付ければ、配送員は戸外でも簡単に作業日報を作成できる。
【特許文献1】特開平11−171154号公報
【特許文献2】特開2005−283633号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、複数枚の単位ラベル1に亘って連続的に印字し、例えば作業日報を作成する際には、プリンタから排出されたラベルシートの剥離シート3から、必要事項が印字された単位ラベル1を剥がして、図11に示すように台紙Bに貼りつける。図11では、3枚の単位ラベル1で作業日報を作成する例を示している。このとき、プリンタから排出された剥離シート3は、3枚の単位ラベル1に対応する長さでプリンタから切り取っても良いし、プリンタ側に残しておいてもかまわないが、単位ラベル1は、剥離シート3から1枚ずつ剥がしとり、1枚ずつ台紙Bに貼り付ける。
【0007】
このように、剥離シート3から、単位ラベル1を1枚ずつ剥がし取り、1枚ずつ貼り付けるようにするため、剥離作業と、台紙Bへの貼付作業とが、それぞれ単位ラベル1の枚数分だけ必要となり、手間がかかるという問題がある。
また、台紙Bに、単位ラベル1を個別に貼り付けるため、連続する内容が印字された単位ラベル1を1列に揃えて貼り付けることも難しい。台紙Bに、列を揃えて貼付しようとして、手間と時間がかかるという問題があったり、貼付された単位ラベル1の列が揃わないため、作成された作業日報などが読みづらいものとなったり、また、台紙Bの貼付スペースが無駄になったりするという問題もある。
特に、単位ラベル1の連続枚数が多くなればなるほど、上記の問題は大きくなる。
【0008】
一方で、複数の単位ラベル1を刃止め部1aで連続させた状態で、剥離シート3から剥がしとって、1枚のラベルとして台紙Bに貼付することも考えられる。しかし、上記したように、刃止め部1aは、必要に応じて簡単に千切れるようにしているので、刃止め部1aが千切れないようにして単位ラベル1を連続して剥がしとるためには、細心の注意が必要である。仮に、複数枚の単位ラベル1を連続して剥離できたとしても、特に、枚数が多い場合、それを台紙Bに貼り付けるまでに、裏面の粘着剤層2同士が貼り付いてしまったり、台紙に貼り付ける際に、長く連続した単位ラベルにシワがよってしまったりすることがあり、まっすぐに、しわも寄せずに、きれいに貼り付ける作業が難しくなるという問題があった。
【0009】
この発明の目的は、必要事項を印字した複数の単位ラベルを、台紙などに、連続的に張り付けるときの作業性を向上し、簡単にきれいに貼り付けることができるラベルシートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明は、帯状の剥離シートの長手方向に複数の単位ラベルを、粘着剤層を介して剥離可能に貼付したラベルシートにおいて、上記剥離シートは、その長手方向に連続するとともに単位ラベル間の境界線に直交する切り込み線を備え、この切り込み線を境に上記剥離シートを二分可能な構成にし、二分割した剥離シートの少なくとも一方のシート部で、複数の単位ラベルを連続させて保持できる構成にした点に特徴を有する。
なお、上記剥離シートの切り込み線は、連続する1本のスリットのほか、中間に刃止め部を設けた切り取り線も含むが、切り込み線を境に、剥離シートを容易に二分割できるものでなければならない。
また、刃止め部とは、切り込み線を形成するために、スリッターの刃を入れていない部分で、切り込み線で分割される両側部分を連続させる部分のことである。
【0011】
第2の発明は、第1の発明を全体とし、上記切り込み線に沿って、粘着剤を設けない非粘着部を設け、上記粘着剤層を、上記非粘着部の両側に設けた点に特徴を有する。
第3の発明は、第1または第2の発明を前提とし、上記剥離シートの切り込み線上であって、上記単位ラベルごとに、少なくとも1つの刃止め部を設けた点に特徴を有する。
【0012】
第4の発明は、単位ラベルシートの裏面に、樹脂層を設けた点に特徴を有する。
第5の発明は、第4の発明の樹脂層が、ポリエチレンテレフタレート製である点に特徴を有する。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明によれば、切り込み線によって二分割した剥離シートの一方のシート部のみで、複数の単位ラベルを連続して保持できる構成にしているので、剥離シートの他方のシート部のみを剥離して、露出させた粘着剤層で、複数の単位ラベルを連続した状態で台紙などに簡単に貼付することができる。その後、単位ラベルを保持している一方のシート部を剥がして、さらに残りの粘着剤層によって単位ラベルを貼付するようにすれば、任意の枚数の単位ラベルを、連続して整列した状態で台紙に貼付する作業を、容易にすることができる。例えば、作業日報など、日や、人によって長さの異なる内容を印字した場合にも、必要な枚数の単位ラベルを連続的に、きれいに貼り付けることができるので、印字内容が見易いだけでなく、作業時間や台紙の添付スペースも節約できる。
【0014】
第2の発明では、剥離シートの切り込み線に対応する部分に、非粘着部を設けたので、プリンタ内にセットされたラベルシートの粘着剤が、圧力や熱によって広がるようなことがあっても、非粘着部内にとどまり、剥離シートの切り込み線から、外部へはみ出すことがない。そのため、粘着剤層のはみ出しによる、ラベルシート表面の汚れや、ラベルシートの搬送不良を防止できる。
【0015】
第3の発明によれば、単位ラベルごとに、剥離シートの切り込み線上に刃止め部を設けたので、剥離シートを二分割しないで、剥がすこともできる。特に、単位ラベルを1枚単位で使用する際には、剥離シートを二分割した一方のシート部で、単位ラベルを保持する必要がないので、剥離シートの刃止め部を破かないようにして単位ラベルを剥がせば、単位ラベルごとに剥離シートを剥がすことができる。剥離シートの刃止め部がなければ、単位ラベルから剥離シートを剥がす作業が、2回必要になるが、刃止め部を利用すれば、剥がし作業が1回で足りる。
【0016】
第4、第5の発明によれば、樹脂層を設けることによって単位ラベルの強度が増すので、境界線以外の部分で破れ難くなる。境界線以外で破れないということは、言い換えれば、境界線に沿って切り取り易くなるということで、剥離シートに貼付した状態で必要数の単位ラベルを切り離す場合にも、剥離シートごと単位ラベルの単位で正確に切り取ることができる。
このように、単位ラベルが途中で破れ難くなっていれば、使用後のラベルを剥がすときにも、単位ラベルが破けて台紙などに部分的に残ってしまうことがない。例えば、住所・氏名などが記載された単位ラベルを荷箱に貼り付けて送り状として使用し、配達後に荷箱から剥がすことができなければ、住所などの個人情報が荷箱側に残ってしまうので、不要な箱を安心して廃棄できないが、この発明のラベルシートを用いれば、そのような心配もない。
【0017】
また、樹脂層の弾性が、単位ラベルに作用する外力に対してクッションとして作用し、ラベル表面の印字面への衝撃を吸収することができる。そのため、印字面への傷も付き難い。また、例えば、単位ラベルを、感熱紙や、感圧紙などで構成した場合、剥離シートの切り込み線を形成する際のスリッターからの圧力によって発色剤カプセルが破壊されることも防止できる。
さらに、単位ラベルに剛性も付与され、剥離シートから剥がした単位ラベルがシワになり難いという効果もある。
【0018】
特に、第5の発明では、ポリエチレンテレフタレート製シートを用い、厚みをそれほど厚くしないでも、強度の高い樹脂層が得られ、薄くて破れにくいラベルシートが得られる。ラベルシートの厚みが薄ければ、例えば、ロール状にした場合にも、厚みの厚いラベルシートと比べて、同じロール径で、多くの単位ラベルを備えることができる。従って、一度に、プリンタにセットできる単位ラベル数を多くすることができる。
また、ポリエチレンテレフタレートは焼却しても、ダイオキシンなどの有害物質が発生しないので、使用済みのラベルを安心して焼却できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1〜図6に、この発明の第1実施形態を示す。
この第1実施形態のラベルシートは、図1に示すように、境界線4で区画される複数の単位ラベル1を、連続的に帯状の剥離シート3に貼り付けて構成している点は、上記従来のラベルシートと同様である。なお、従来のラベルシートと同様の構成要素には、以下の説明においても、上記図9〜図11に用いた符号を用いるものとする。
【0020】
ただし、この第1実施形態のラベルシートでは、図1〜3に示すように、剥離シート3の長手方向に連続する切り込み線5を設けるとともに、単位ラベル1の境界線4に対応する位置にミシン目6を設けている。上記切り込み線5によって、剥離シート3は、シート部3aと3bとに2分割される。
また、図2に示すように、この実施形態の単位ラベル1は、その裏面にポリエチレンテレフタレート製の樹脂層7を備えている。この樹脂層7は、約10(μm)厚さのポリエチレンテレフタレート製シートを、単位ラベル1の裏面に接着して設けたものである。この樹脂層7を設けることによって、単位ラベル1が補強され、境界線4以外の部分で破け難くしている。
【0021】
さらに、この樹脂層7と剥離シート3との間には、粘着剤層2を設けているが、この粘着剤層2は、長手方向に連続する2つの粘着剤層2aと2bとからなり、両粘着剤層2aと2bとの中間であって、剥離シート3の切り込み線5に対応する部分には、粘着剤を設けていない非粘着部8を形成している。つまり、非粘着部8の両側に、粘着剤層2aと、2bとを備え、一方の粘着剤層2aは、剥離シート3の一方のシート部3aに接着され、他方の粘着剤層2bは、他方のシート部3bに接着されている。そして、各シート部3a、3bにおいて、上記非粘着部8に対応する部分には、粘着剤層2aまたは2bが接触しない非接着部3c,3cを、切り込み線5に沿った両側に形成している(図3参照)。
【0022】
上記のように、剥離シート3の切り込み線5に対応する部分に、非粘着部8を設けたのは、プリンタなどの装置内にセットされたラベルシートの粘着剤が、プリンタの圧力や熱によって広がるようなことがあっても、粘着剤が非粘着部8内にとどまり、剥離シート3の切り込み線5から、外部へはみ出すことがないようにするためである。プリンタ内において粘着剤が切り込み線5から外部にはみ出すと、粘着剤によってラベルシートの表面が汚れてしまったり、ラベルシートの搬送不良を起こしてしまったりすることがあるが、上記非粘着部8を設けたことで、そのようなことを防止できるのである。
【0023】
また、このラベルシートでは、剥離シート3が、切り込み線5によって二分割可能になっているので、単位ラベル1から剥離シート3を剥がし取る際に、分割された剥離シートのいずれか一方のシート部のみを剥がしとり、もう一方のシート部を残しておくことができる。例えば、シート部3bを、複数の単位ラベル1から長手方向に連続して剥がしとった場合、シート部3bが剥がしとられた複数の単位ラベル1には、もう一方のシート部3aが接着されている。言い換えれば、シート部3bを剥離しても、残されたシート部3aによって、複数の単位ラベル1の連続状態を保持できる。このように、単位ラベル1から、二分割された剥離シート3の一方のシート部3bを取り除いて、粘着剤層2bを露出させた状態で、単位ラベル1の連続状態を保持できるので、この連続状態を保持したまま、露出した粘着剤層2bによって、台紙などへのラベルの貼着が可能である。
【0024】
この第1実施形態のラベルシートも、従来のラベルシートと同様に、プリンタ機能を有する携帯端末にセットして、上記単位ラベル1に、必要事項を印字して使用することができる。
単位ラベル1を、1枚単位で使用する場合には、従来と同様に、単位ラベル1を剥離シート3から剥がして台紙などに貼付すればよい。単位ラベル1を剥離シート3から剥がすときには、単位ラベル1の表面から単位ラベル1を剥がすようにしてもよいし、裏面から、剥離シート3の非接着部3c,3cを摘んで剥がしても良い。
【0025】
また、剥離シート3ごと、単位ラベル1の単位で切り取ってから剥離シート3を剥離してもよい。この場合、第1実施形態のラベルシートでは、単位ラベル1が樹脂層7で補強されているため、境界線4に沿って切断されやすく、この単位ラベル1が接着されて一体化している剥離シート3も、境界線4に沿って切断されやすい。特に、この実施形態では、ミシン目6を設けているので、単位ラベル1が貼着されていない部分でもミシン目6に沿って、まっすぐに破断することができる。
【0026】
さらに、この第1実施形態のラベルシートでは、複数の単位ラベル1を一連のものとして取り扱う際の作業性に優れているので、複数の単位ラベル1を連続的に使用して作業日報を作成する例を用いて、その作用を説明する。
なお、ここでは、作業日報として、1日分の作業記録を、携帯端末を用いて3枚の単位ラベル1に連続して印字する場合について説明する。
【0027】
まず、携帯端末によって、1日分の作業記録を印字すると、3枚の単位ラベル1に連続的に印字され、それらが、剥離シート3とともに、端末から排出される。排出されたラベルシートから、3枚分の単位ラベル1を、剥離シート3とともに切り取る。
このとき、剥離シート3の端から、ミシン目6に沿った力を作用させると、剥離シート3は、ミシン目6に沿って容易に破断する。剥離シート3を、単位ラベル1の単位できれいに切断できるのは、上記したように、境界線4以外の部分では破断し難い単位ラベル1を貼り付けているからである。
【0028】
3枚分の単位ラベル1を剥離シート3とともに、切り取ったら、図4に示すように、剥離シート3の一方のシート部3bを剥がし取る。このとき、剥がし取ったシート部3bに対応する部分には、粘着剤層2bが露出し、残されたシート部3aには、粘着剤層2aによって、3枚の単位ラベル1が連続的に貼着して保持されている。つまり、3枚の単位ラベル1は、シート部3aによって一連のものとして保持されるとともに、一部に粘着剤層2bを露出させているので、この粘着剤層2bによって、図5に示すように、単位ラベル1を3枚セットで台紙Bの所定の位置に貼付することができる。
【0029】
図5のように、3枚の単位ラベル1は、シート部3aで保持された状態で貼付されるので、印字されたときの配置を保ったまま台紙Bに、半分だけ貼着される。このようにシート部3bに対応する部分のみ貼着したら、図5の矢印に示すように、シート部3aを折り返して図6に示すように連続する単位ラベル1を折り曲げると、シート部3aの端部の非接着部3cが単位ラベル1の裏面から離れるので、その角を摘んで、シート部3aを矢印方向へ簡単に剥がすことができる。シート部3aを剥がしながら、単位ラベル1の表面を押さえれば、3枚の単位ラベル1を連続してきれいに、しかも簡単に台紙Bに貼付した作業日報を作成できる。
【0030】
以上のように、この実施形態のラベルシートでは、複数の連続する単位ラベルを、台紙に揃えて貼付する際の作業性を向上することができる。連続して整列した状態で台紙に貼付する作業を、容易にすることができるので、印字内容が見易いだけでなく、作業時間や台紙の添付スペースを無駄にすることもない。
なお、連続して取り扱う単位ラベル1の数は3枚に限らず、任意の枚数の単位ラベル1についても、上記と同様に取り扱うことができる。また、剥離シート3のシート部3aまたは3bのいずれを先に剥がしてもかまわないし、剥がし始めは、単位ラベル1の外側からでもよいし、切り込み線5側からでもよい。
【0031】
さらに、上記実施形態では、単位ラベル1の裏面に樹脂層7を設けているが、この樹脂層7は、複数の単位ラベル1を一連のものとして取り扱うためには必須ではない。ただし、上記樹脂層7を備えていれば、単位ラベル1の強度を増すことができ、単位ラベル1の単位で切り離す際に、切り線が曲がったりせずにきれいに切り離すことができる。そのため、印字済みのラベルを破損してしまうようなことがなく、ラベルを無駄にしたり、作業を無駄にしたりすることがない。
また、上記第1実施形態では、剥離シート3にミシン目6を形成しているが、このミシン目6はなくてもよい。ただし、ミシン目6や、切り込みなどを形成すれば、剥離シート3を単位ラベル1の境界線4に沿って切断しやすくなる。
【0032】
図7、図8に示す第2実施形態は、剥離シート3に形成した切り込み線5上に、刃を入れていない刃止め部3dを形成している点が、上記第1実施形態と異なるが、その他は、第1実施形態と同じである。この第2実施形態において第1実施形態と同じ構成要素には、第1実施形態と同じ符号を用いるとともに、各要素の詳細な説明は省略する。
上記刃止め部3dを形成することによって、切り込み線5によって二分割される剥離シート3のシート部3aとシート部3bとが、上記刃止め部3dを介して連結される。ただし、この刃止め部3dは、上記単位ラベル1の境界線4に形成した刃止め部1aと同様に、簡単に破断できる大きさである。
【0033】
そして、この第2実施形態では、上記刃止め部3dを、切り込み線5上であって、1枚の単位ラベル1内に、2箇所ずつ設けている。ここでは、1枚の単位ラベル1内に2箇所の刃止め部3dを設けているが、1枚の単位ラベル1内に設ける刃止め部3dの数は、1以上ならいくつでもかまわない。ただし、刃止め部3dは、切り込み線5によって、剥離シート3が、シート部3aと3bとに分割可能な範囲で設けなければならない。
【0034】
この第2実施形態のように、1枚の単位ラベル1内に、少なくとも1個の刃止め部3dを形成すると、図8のように、1枚の単位ラベル1を剥離シート3ごと切り取った場合に、切り取られた剥離シート3の両シート部3a、3bが、刃止め部3dによって連結された状態となる。そのため、単位ラベル1に対して、シート部3aと3bとを1枚の剥離シート3として剥がし取ることができる。単位ラベル1を1枚の単位で扱う場合には、複数の単位ラベル1を連続して保持する必要はないので、切り込み線5で二分可能なシート部3a,3bを、一体的に剥離するほうが、別々に剥離するよりも手間もかからず、作業性が良い。もちろん、1枚の単位ラベル1の場合にも、シート部3a,3bを別々に剥離してもかまわない。
【0035】
つまり、第2実施形態のラベルシートは、複数の単位ラベルを連続して貼付する際には、図4〜図6に示す第1実施形態のように、一方のシート部3aまたは3bのみを剥がして、残りのシート部で連続する単位ラベルを保持することができる。従って、複数の単位ラベル1を連続的に、きれいに揃えて台紙に貼り付けることができる。さらに、単位ラベル1が1枚の場合には、剥離シートの両シート部3a,3bを1枚として剥離することもできる。
【0036】
なお、上記第1、第2実施形態では、樹脂層7をポリエチレンテレフタレート製シートで形成しているが、樹脂の種類は、これに限らない。ただし、ポリエチレンテレフタレートは、焼却時に、ダイオキシンなどの有害物質を発生しないので、これを樹脂層に用いれば、使用済みのラベルを焼却することもできる。また、ポリエチレンテレフタレート製シートは、薄くて丈夫なので、単位ラベル1の強度を保つために、他の材料を用いるよりも、樹脂層7の厚みを薄くすることができる。樹脂層7が薄くできれば、その分ラベルシート全体の厚みも薄くできるので、携帯端末など、プリンタ内に収納可能な単位ラベル1の数を多くすることができる。
【0037】
また、上記第1、第2実施形態のように、樹脂層7を設けることによって単位ラベル1の強度が上がれば、台紙などへ貼付した単位ラベル1を剥がそうとしたときに、単位ラベル1が途中で破けてしまうことがない。例えば、上記実施形態の単位ラベル1を、送り状として荷箱に貼付して用いた場合、配達後、荷物の受取人が、荷箱から自分の住所・氏名などが印字された単位ラベル1を剥がしてから、荷箱を廃棄することができる。単位ラベル1が破れて、荷箱側に、住所などの個人情報が残ってしまうことがないので、不要な荷箱を安心して廃棄できる。
【0038】
さらに、上記剥離シート3に形成する切り込み線は、第1実施形態のように、1本の連続する切り込みのほか、第2実施形態のように刃止め部を備えたもののいずれでもかまわない。また、上記実施形態では、切り込み線5を剥離シート3の中央に設けているが、切り込み線5は、剥離シート3の長手方向に連続していればよく、位置は、剥離シート3の幅の中央に限らず、左右いずれかに偏った位置でもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】第1実施形態のラベルシートの平面図である。
【図2】図1のII-II線断面図である。
【図3】第1実施形態のラベルシートの背面図である。
【図4】第1実施形態のラベルシートによって作業日報を作成する例を説明する図であり、剥離シートの一方のシート部を剥がし取った状態を示すものである。
【図5】第1実施形態のラベルシートの使用例を説明する図であり、図4ではがしたシート部側を台紙に貼り付けた状態を示す平面図である。
【図6】第1実施形態のラベルシートの使用例を説明する図であり、図5の状態から、残されたシート部を剥離する方法を示した斜視図である。
【図7】第2実施形態のラベルシートの背面図である。
【図8】第2実施形態の単位ラベル1枚の背面図である。
【図9】従来例のラベルシートの平面図である。
【図10】図9のX-X線断面図である。
【図11】従来例のラベルシートにおける複数の単位ラベルを台紙に貼付した状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 単位ラベル
2 粘着剤層
2a,2b 粘着剤層
3 剥離シート
3a,3b シート部
3d 刃止め部
4 境界線
5 切り込み線
7 樹脂層
8 非粘着部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の剥離シートの長手方向に複数の単位ラベルを、粘着剤層を介して剥離可能に貼付したラベルシートにおいて、上記剥離シートは、その長手方向に連続するとともに単位ラベル間の境界線に直交する切り込み線を備え、この切り込み線を境に上記剥離シートを二分可能な構成にし、二分割した剥離シートの少なくとも一方のシート部で、複数の単位ラベルを連続させて保持できる構成にしたラベルシート。
【請求項2】
上記切り込み線に沿って、粘着剤を設けない非粘着部を設け、上記粘着剤層を、上記非粘着部の両側に設けた請求項1に記載のラベルシート。
【請求項3】
上記剥離シートの切り込み線上であって、上記単位ラベルごとに、少なくとも1つの刃止め部を設けた請求項1または2に記載のラベルシート。
【請求項4】
単位ラベルシートの裏面に、樹脂層を設けた請求項1〜3のいずれか1に記載のラベルシート。
【請求項5】
上記樹脂層が、ポリエチレンテレフタレート製である請求項4に記載のラベルシート。
【請求項1】
帯状の剥離シートの長手方向に複数の単位ラベルを、粘着剤層を介して剥離可能に貼付したラベルシートにおいて、上記剥離シートは、その長手方向に連続するとともに単位ラベル間の境界線に直交する切り込み線を備え、この切り込み線を境に上記剥離シートを二分可能な構成にし、二分割した剥離シートの少なくとも一方のシート部で、複数の単位ラベルを連続させて保持できる構成にしたラベルシート。
【請求項2】
上記切り込み線に沿って、粘着剤を設けない非粘着部を設け、上記粘着剤層を、上記非粘着部の両側に設けた請求項1に記載のラベルシート。
【請求項3】
上記剥離シートの切り込み線上であって、上記単位ラベルごとに、少なくとも1つの刃止め部を設けた請求項1または2に記載のラベルシート。
【請求項4】
単位ラベルシートの裏面に、樹脂層を設けた請求項1〜3のいずれか1に記載のラベルシート。
【請求項5】
上記樹脂層が、ポリエチレンテレフタレート製である請求項4に記載のラベルシート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−40233(P2008−40233A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−215684(P2006−215684)
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【出願人】(391022382)日本通信紙株式会社 (9)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【出願人】(391022382)日本通信紙株式会社 (9)
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