説明

ラベルプリンタ

【課題】 テスト印字されたラベルであること、あるいは品質管理用として保存しておくラベルであることを容易に認識することができるように印字でき、さらにテスト印字においてはヘッド切れをも確認できるラベルプリンタを提供する。
【解決手段】 発行したラベル3を無効にするための目印4を商品上の1の上に重ねて印字するとともに、目印4は、ラベル幅全域に亘る途切れない連続した線印としてかつバーコードに重ねて対角的に横断した「×」印として印字される

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、商品情報を印字するためのラベルプリンタに関し、詳しくはテスト印字されたこと、あるいは商品が切り替わったこと、あるいは保存しておく記録用であることをそれぞれ明確に認識することができるように印字でき、テスト印字においてはヘッド切れをも確認できるラベルプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットやコンビニエンスストアで販売されている食品などには、図4に示すように商品情報1やPOSシステムに対応するためのバーコード2を印字したラベル3が貼付されている。ラベル3は長尺な台紙(図示せず)上に連続的に貼付された状態で、商品情報1やバーコード2が印字され、1枚ずつ剥離されて商品に貼付される。印字される商品情報1としては商品名、原材料名、製造年月日、賞味期限、内容量、販売者名などがある。
【0003】
このような商品情報1をラベル3に印字するプリンタは図5に示すような計量値付装置に組み込まれている。この計量値付装置は、電源スイッチ11、スタートキー12、ストップキー13、テンキー14、指示キー15、ディスプレイ16、コンベア17、計量部18、ラベル貼付機19、ラベルプリンタ20などを備えている。そして、ラベルプリンタ20は、印字コントローラ、プリントイメージRAM、印字ヘッドなどを中心に構成されている。また、商品名等の通常データとは異なる販促文字等のデータを印字したラベルを発行できるようにしたラベルプリンタも提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開平9−220831
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、コンビニエンスストア等では、食料品の取り扱いが厳格であり、製造日時に誤りがあると、商品そのものが腐っていなくとも、返却対象となる。このため、計量値付装置により商品にラベルを貼付する時は、事前に時計の時刻が間違っていないかどうかを確認するためのテスト印字を行い、それをアイテムごとにノートに貼付して記録し管理するようにしている。
【0005】
しかし、その記録用のラベルには商品情報もそのまま印字されるので、通常のラベルとの見分けが難しく、その取り扱いに注意しないと、記録用のラベルが他の商品に貼付されてしまったり、記録として残しておくことが出来なくなってしまうという問題点があった。
【0006】
また、印字項目や余白などのフォーマットが変更された場合には、商品を流す前にテスト印字を行い、ラベルが所定のフォーマットで印字されているかどうか、及び製造日時等に間違いがないかを確認することがある。
【0007】
しかし、このようなテスト印字は、重量が印字されていないだけで、他の商品情報は印字されており、このようなラベルが放置されると、紛らわしいだけでなく、間違って商品に貼付されてしまうおそれがあった。また、テスト印字においては、プリンタ自体の印字状態もチェックされ、ヘッド切れがないかの確認も行われる。
【0008】
そこでこの発明は、テスト印字されたラベルであること、あるいは品質管理用として保存しておくラベルであることを容易に認識することができるように印字でき、さらにテスト印字においてはヘッド切れをも確認できるラベルプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は次のような構成を採用した。
【0010】
請求項1に記載のラベルプリンタは、ラベルに商品情報を印字するとともに、発行したラベルを無効にするための目印を商品情報に重ねて印字する機能を備えたラベルプリンタであって、無効の目印が、ラベル幅全域に亘る途切れない連続した線印として、かつバーコードに重ねて対角的に横断して印字されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
この発明のラベルプリンタによれば、ラベルにラベルを無効にするための目印が、ラベル幅全域に亘る途切れない連続した線印として、かつバーコードに重ねて対角的に横断して印字されるので、商品に貼付する通常のラベルとは異なることが明確に認識でき、テスト印字用のラベルや商品が切り替わる前の商品情報を印字した商品に対応しないラベルが、作業者の視認ミス等により商品に貼付されるといった事態を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
この発明の実施の形態を図1及び図2を参照しながら説明する。図1は、いわゆるフルオート機能を装備しない通常のラベルプリンタに、本発明の特徴部分を組み込んだ場合の動作フローの一例を示したものである。
【0013】
この発明のラベルプリンタは、発行したラベルを無効にするための目印を商品情報に重ねて印字する機能を備えたことを特徴とするものであり、この機能によって、無効にするための目印を印字したラベルか、あるいは商品に貼付する通常ラベルかを選択発行できるように構成されている。
【0014】
商品に貼付する通常ラベルを発行させる場合は、「通常モードが選択されている」「計量する商品がコンベア上に載せられている」「商品呼出がされている」「商品を載せた秤が計量安定になっている」「小計印字モードが選択されていない」「合計印字モードが選択されていない」等を発行条件としており、このような条件が満たされると、通常ラベルが発行される。
【0015】
一方、上記の条件が満たされない場合には、無効にするための目印を印字したラベルが発行される。このような場合の例としては、「登録モードにおいて登録したデータを確認するために実際に印字する場合」「設定モードにおいて設定したラベルフォーマット(印字する文字の大きさ、行数など)を実際に確認するために印字する場合」があり、いわゆるテスト印字を行う場合である。また、無効印付きラベルを積極的に発行する場合には、計量部に商品を載せないなどして発行させることができる。
【0016】
さらに、「ラベルに商品ごとの集計値(小計/合計)を印字する場合」「重量によらず、価格が一定の商品(定額商品)に対して、定額ラベルを発行する場合」にも、無効にするための目印を印字したラベルの発行も可能にする。
【0017】
このような場合に無効目印を印字したラベルを発行するのは、例えば、複数の定額商品に対して、事前に台紙付きのままで定額ラベルを連続発行してロール状に巻取り、後からラベルを手で剥がしながら商品に貼付し、アイテムが切替わると、その最後のラベルにそれまでのアイテムについての集計値(小計/合計)をラベルに印字しておくことがあり、この場合にはラベルを注意してチェックしないと、定額欄が集計値に変わっていることを見落とすことがあるからである。
【0018】
すなわち、アイテムが切替わる替わり目のラベル(小計/合計値を印字したラベル)に、その上から無効印を印字しておけば、定額欄が集計値に変わっていることを見落とすことがなくなり、記録用として確実に残しておくことができ、後処理を楽に行うことができるようになるからである。
【0019】
次に、フルオートの場合について図2を参照しながら説明する。フルオートの場合は図5に示すような計量値付装置によって、コンベア上を搬送されている商品が自動的に計量され、商品名、計量値そして日付などのデータがラベルプリンタによって印字され、そのラベルが商品に貼付されていく。
【0020】
この発明のラベルプリンタにおいては、図2のフロー図に示すように、まず商品が呼出された後、印字キーが押されると、無効印付きのラベルが発行される。続いて、スタートスイッチがONされることにより、コンベアがスタートする。すると、コンベア上に取り込まれた商品が計量部で計量されるとともに、ラベルプリンタで値付ラベルが発行され、ラベル貼付機でそのラベルが商品に貼付され、その商品が排出されるという一連の計量値付処理が連続的に行われる。
【0021】
そして、ストップスイッチがONされると、コンベアがストップする。その後、印字キーが押されると、再度、無効印付きのラベルが発行され、一連の処理操作が終了する。ここで、最初に発行された無効印付きのラベルと、最後に発行された無効印付きのラベルとを比較するチェック作業が行われる。
【0022】
この両ラベルが一致していない場合には、コンベアをスタートさせてからストップさせるまでの間に発行したラベルに何らかの変更が加わっていると判断でき、トラブルが生じていないかをチェックすることができる。このようにチェックされた両ラベルは管理台帳になどに貼付し、クレームが発生したときに対処できるように保管しておく。
【0023】
図3は、上記した手順で商品情報1やバーコード2が印字されたラベル3に無効印4が印字された状態を示す図で、無効印4は、同図に示すようにラベル面を対角的に横断する「×」印や、台紙に連続して貼付されたラベルに途切れないで連続する「−」印や「〜」印のような線印で表現される。
【0024】
「×」印は一見して認識することができる反面、バーコードに重なると、バーコードをスキャンしたときにエラーが発生するといった不具合が生じるので、バーコードをスキャンしないときに使用する目印とする。ラベルに途切れない連続した線印を無効印とした場合は、プリンタ自体の印字状態をチェックでき、ヘッド切れを確認できるという利点を有する。
【0025】
このような目印は図3に示すように、登録データと無効印、印字データと無効印又は小計/合計データと合成されてイメージRAM上に展開されラベルに重ね書きされる。さらにバーコードリーダを使用するときは、バーコードを無効にするためのチェックデジットを印字するようにしてもよい。
【0026】
なお、この発明は上記実施の形態に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内において、種々の変更が可能である。例えば、目印は上記の目的に限定するものではない。また、任意のラベルに対して無効印を印字する場合は、専用のキーを設け、キーの投入により無効印ラベルを発行できるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0027】
無効印を目印がラベルに途切れない連続した線で結ばれたものとすることにより、プリンタ自体のヘッド切れを容易に確認できるので、改めてヘッドのためのテストを行う必要がなくなり、作業性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明に係るラベルプリンタによってラベルを印字するときのフローチャート図である。
【図2】この発明に係るラベルプリンタによってラベルを印字するときの図1と異なる場合のフローチャート図である。
【図3】この発明に係るラベルプリンタによって印字されたラベルの概略図である。
【図4】従来のラベルプリンタによって印字されたラベルの概略図である。
【図5】計量値付装置の概略斜視図である。
【符号の説明】
【0029】
1 商品情報
2 バーコード
3 ラベル
4 無効印


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベルに商品情報を印字するとともに、発行したラベルを無効にするための目印を商品情報に重ねて印字する機能を備えたラベルプリンタであって、
無効の目印が、ラベル幅全域に亘る途切れない連続した線印としてかつバーコードに重ねて対角的に横断して印字されることを特徴とするラベルプリンタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−237745(P2007−237745A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−138926(P2007−138926)
【出願日】平成19年5月25日(2007.5.25)
【分割の表示】特願平10−167968の分割
【原出願日】平成10年6月16日(1998.6.16)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】