説明

ラベルプリンタ

【課題】本発明は、用紙供給軸よりも内径が大のロール紙を用いた場合にも、用紙供給軸に装着されたロール紙が振れることなく、用紙供給軸から繰り出される被印字媒体のテンションを一定にすることができるラベルプリンタを提供することを課題とする。
【解決手段】被印字媒体4が筒状体6に巻き回された状態のロール紙7が装着される、筒状体6の内径よりも小径の用紙供給軸31と、用紙供給軸31の下側に上下に移動可能に配設され、且つ下方向に付勢されて、用紙供給軸31に装着されたロール紙7の内周面に当接する従動ローラ33と、プラテンローラ11による被印字媒体4の搬送に連動させて、用紙供給軸31を回転駆動させることで被印字媒体4を用紙供給軸31から繰り出す用紙供給軸駆動モータと、用紙供給軸31から印字部に繰り出される被印字媒体4に一定のテンションを付与するテンション付与手段17とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベル連続体等の被印字媒体が紙管等の筒状体に巻き回されたロール紙を装着する用紙供給軸を有するラベルプリンタに関し、特に印字動作に伴って、用紙供給軸を回転させて被印字媒体を繰り出すラベルプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
複数枚のラベルが帯状台紙に仮着されているラベル連続体等の被印字媒体を紙管等の筒状体に巻き回したロール紙を用紙供給軸に装着し、用紙供給軸から印字部に被印字媒体を繰り出して印字を施す従来のラベルプリンタにおいて、用紙供給軸から印字部に繰り出される被印字媒体に弛みが生じると、帯状台紙からラベルが剥がれてしまったり、印字位置ズレが生じてしまったりする虞があった。
【0003】
そこで、用紙供給軸から印字部に繰り出される被印字媒体の弛みを検知する弛み検知センサを設け、当該弛み検知センサの検知情報に基づいて回転軸を回転駆動して被印字媒体の弛みを除去することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、従来技術では、用紙供給軸に装着されるロール紙として、用紙供給軸と略同一の内径を有するロール紙を用いる場合を想定しており、用紙供給軸よりも内径が大のロール紙を用いることを想定していない。用紙供給軸よりも内径が大のロール紙を用いた場合には、用紙供給軸に装着されたロール紙が振れるため、用紙供給軸から印字部に繰り出される被印字媒体のテンションが不安定になり、帯状台紙からラベルが剥がれてしまったり、印字位置ズレが生じてしまったりするという問題点があった。
【0005】
【特許文献1】特開2000−301785号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は斯かる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、用紙供給軸よりも内径が大のロール紙を用いた場合にも、用紙供給軸に装着されたロール紙が振れることなく、用紙供給軸から印字部に繰り出される被印字媒体のテンションを一定にすることができ、帯状台紙からのラベルの剥がれや、印字位置ズレを防止することができるラベルプリンタを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
請求項1記載の発明の要旨は、印字手段によって被印字媒体を搬送させながら印字を施すラベルプリンタであって、前記被印字媒体が筒状体に巻き回された状態のロール紙が装着される、前記筒状体の内径よりも小径の用紙供給軸と、該用紙供給軸の下側に上下に移動可能に配設され、且つ下方向に付勢されて、前記用紙供給軸に装着された前記ロール紙の内周面に当接する従動ローラと、前記印字手段による前記被印字媒体の搬送に連動させて、前記用紙供給軸を回転駆動させることで前記被印字媒体を前記用紙供給軸から繰り出す回転駆動手段と、前記用紙供給軸から印字手段に繰り出される前記被印字媒体に一定のテンションを付与するテンション付与手段とを具備することを特徴とするラベルプリンタに存する。
また請求項2記載の発明の要旨は、前記用紙供給軸から印字手段に繰り出された前記被印字媒体の長さに応じた前記テンション付与手段の変位を検出する変位検出手段と、該変位検出手段によって検出された前記テンション付与手段の変位に応じて、前記回転駆動手段による前記用紙供給軸の回転速度を制御する回転制御手段を具備することを特徴とする請求項1記載のラベルプリンタに存する。
また請求項3記載の発明の要旨は、前記回転制御手段は、前記回転駆動手段によって前記被印字媒体を前記用紙供給軸に巻き取る方向に搬送する際には、前記用紙供給軸から繰り出されている前記被印字媒体が所定値よりも短くなった場合には、前記用紙供給軸の回転速度を遅く、前記用紙供給軸から繰り出されている前記被印字媒体が所定値よりも長くなった場合には、前記用紙供給軸の回転速度を速くするように制御すると共に、前記回転駆動手段によって前記被印字媒体を前記用紙供給軸から繰り出す方向に搬送する際には、前記用紙供給軸から繰り出されている前記被印字媒体が所定値よりも短くなった場合には、前記用紙供給軸の回転速度を速く、前記用紙供給軸から繰り出されている前記被印字媒体が所定値よりも長くなった場合には、前記用紙供給軸の回転速度を遅くするように制御することを特徴とする請求項2記載のラベルプリンタに存する。
【発明の効果】
【0008】
本発明のラベルプリンタは、被印字媒体が筒状体に巻き回された状態のロール紙が装着される、筒状体の内径よりも小径の用紙供給軸と、用紙供給軸の下側に上下に移動可能に配設され、且つ下方向に付勢されて、用紙供給軸に装着されたロール紙の内周面に当接する従動ローラと、印字手段による被印字媒体の搬送に連動させて、用紙供給軸を回転駆動させることで被印字媒体を用紙供給軸から繰り出す回転駆動手段と、用紙供給軸から印字手段に繰り出される被印字媒体に一定のテンションを付与するテンション付与手段とを設けることにより、用紙供給軸よりも内径が大のロール紙を用いた場合にも、用紙供給軸と従動ローラとによってロール紙が安定して回転可能に保持されるため、用紙供給軸に装着されたロール紙が振れることなく、さらに、回転駆動手段によって用紙供給軸から印字手段に繰り出される被印字媒体は、テンション付与手段によって一定のテンションを付与されるため、用紙供給軸から印字部に繰り出される被印字媒体のテンションを一定にすることができ、帯状台紙からのラベルの剥がれや、印字位置ズレを防止することができるという効果を奏する。
【0009】
さらに、本発明のラベルプリンタは、用紙供給軸から印字手段に繰り出された被印字媒体の長さに応じたテンション付与手段の変位を検出する変位検出手段と、変位検出手段によって検出されたテンション付与手段の変位に応じて、回転駆動手段による用紙供給軸の回転速度を制御する回転制御手段を設け、被印字媒体を用紙供給軸に巻き取る方向に搬送する際には、回転制御手段によって、用紙供給軸から繰り出されている被印字媒体が所定値よりも短くなった場合には、用紙供給軸の回転速度を遅く、用紙供給軸から繰り出されている被印字媒体が所定値よりも長くなった場合には、用紙供給軸の回転速度を速くするように制御すると共に、被印字媒体を用紙供給軸から繰り出す方向に搬送する際には、回転制御手段によって、用紙供給軸から繰り出されている被印字媒体が所定値よりも短くなった場合には、用紙供給軸の回転速度を速く、用紙供給軸から繰り出されている被印字媒体が所定値よりも長くなった場合には、用紙供給軸の回転速度を遅くするように制御することにより、用紙供給軸から印字手段に繰り出された被印字媒体の長さを所定範囲内に制御することができ、用紙供給軸から印字手段に被印字媒体を安定して供給することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明に係るラベルプリンタの実施の形態の構成を示す構成図であり、図2は、、本発明に係るラベルプリンタの実施の形態の構成を示す概略斜視図であり、図3は、本発明に係るラベルプリンタの実施の形態の内部構成を示すブロック図である。
【0012】
本実施の形態のラベルプリンタ1は、図1および図2を参照すると、印字部として、プラテンローラ11と、発熱体がプラテンローラ11に対向する面に形成されているサーマルヘッド12とを有し、複数枚のラベル2が帯状台紙3に仮着されているラベル連続体等の被印字媒体4とインクリボン5とを重ねてプラテンローラ11とサーマルヘッド12との間に挟持し、サーマルヘッド12の発熱体を選択的に発熱させることにより、被印字媒体4(ラベル2)の印字面にインクリボン5からインクを転写させて所望の文字、バーコード等の印字を施すように構成されている。
【0013】
被印字媒体4は、紙管等の筒状体6にロール状に巻き回された状態、すなわちロール紙7として供給部13に回転自在に支持され、供給部13からプラテンローラ11とサーマルヘッド12との間に供給される。また、インクリボン5は、リボン用紙供給軸14とリボン巻き取り軸15との間に架け渡され、リボン用紙供給軸14にロール状に巻き回された状態で支持されたインクリボン5は、プラテンローラ11とサーマルヘッド12との間に被印字媒体4と共に供給され、転写後のインクリボン5は、リボン巻き取り軸15によって巻き取られる。
【0014】
供給部13は、印字動作に伴って回転駆動され、装着されるロール紙7の筒状体6の内径よりも小径の用紙供給軸31と、用紙供給軸31の下側に配設され、上下方向に形成されたスリット32に沿って、上下に移動可能に構成された従動ローラ33とで構成されている。従動ローラ33は、図1に矢印で示すように、用紙供給軸31から離間する下方向に付勢されており、用紙供給軸31と従動ローラ33とが筒状体6の内周面に当接するようにロール紙7が装着され、筒状体6の内径が異なるロール紙7を装着することができるようになっている。なお、用紙供給軸31は、図2を参照すると、本体側部に取れ付けられた枠体34によって強度が補強され、筒状体6にロール状に巻き回された被印字媒体4の重量および従動ローラ33による付勢力に耐えられるように構成されている。
【0015】
供給部13から印字部までの搬送路には、一対の案内ローラ16と、一対の案内ローラ16に架け渡された被印字媒体4に当接して一定のテンションを付与するテンション付与手段17とが設けられている。
【0016】
テンション付与手段17は、テンションアーム71と、テンションアーム71の一端を回動可能に支持する回動軸72と、テンションアーム71の自由端に回転自在に設けられた当接ローラ73と、テンションアーム71を図1に矢印で示す方向、すなわちテンションアーム71の自由端に設けられた当接ローラ73を被印字媒体4に押圧する方向に付勢する付勢手段として機能するバネ74と、回動軸72に設けられ、テンションアーム71の回動を検出する回動検出センサ75とからなる。
【0017】
テンションアーム71は、バネ74によって当接ローラ73が被印字媒体4を押圧する下方向に付勢されているため、供給部13から印字部までの搬送路に繰り出された被印字媒体4が長くなると、当接ローラ73が下方向に移動することで時計回りに回動し、供給部13から印字部までの搬送路に繰り出された被印字媒体4が短くなると、当接ローラ73が上方向に移動することで反時計回りに回動する。従って、テンションアーム71の回動を回動検出センサ75によって検出することで、供給部13から印字部までの搬送路における被印字媒体4の繰り出し量の変化を検出することができる。なお、回動検出センサ75としては、回動軸72の回動により抵抗値が変化するボリュームや、回動軸72と共に回動する円盤に形成された複数のスリットを光学的に検出する光学センサ、テンションアーム71の所定の位置まで回動すると押下される一対のスイッチ等を用いることができる。
【0018】
図3を参照すると、回動検出センサ75によって検出されるテンションアーム71の回動位置は、回動位置判定部18によって判定されるように構成されており、サーマルヘッド12は、印字制御部19によって制御されると共に、プラテンローラ11を回転駆動するプラテン駆動モータ20および用紙供給軸31を回転駆動する用紙供給軸駆動モータ21は、回転制御部22によって制御される。また、被印字媒体4に印字する印字データ、印字の開始を指示する印字開始指示をそれぞれ受け付ける入力部23を備えている。
【0019】
回動位置判定部18は、回動検出センサ75によって検出されるテンションアーム71の回動位置を判定することで、用紙供給軸31の回転速度を決定し、決定した回転速度を回転制御部22に出力する。
【0020】
印字制御部19は、入力部23に印字開始指示が入力されると、プラテン駆動モータ20および用紙供給軸駆動モータ21の駆動開始を指示する駆動開始信号を回転制御部22に出力すると共に、入力部23から入力された印字データに基づいてサーマルヘッド12の発熱体を選択的に発熱させることにより、被印字媒体4(ラベル2)の印字面にインクリボン5からインクを転写させて所望の文字、バーコード等の印字を施す。
【0021】
回転制御部22は、プラテン駆動モータ20および用紙供給軸駆動モータ21を駆動するドライバ回路を備えており、印字制御部19から駆動開始信号が入力されると、プラテン駆動モータ20および用紙供給軸駆動モータ21を逆回転させて、印字が施されていないラベル2の先端をサーマルヘッド12に対向する印字位置まで、被印字媒体4を逆方向、すなわち被印字媒体4を用紙供給軸31に巻き取る方向に搬送(バックフィード)させると共に、プラテン駆動モータ20および用紙供給軸駆動モータ21を正回転させて、印字を施したラベル2の後端が排出口24から排出されるまで、被印字媒体4を正方向、すなわち用紙供給軸31から被印字媒体4を繰り出す方向に搬送させる。なお、図1には、印字を施したラベル2の後端が排出口24から排出された状態が示されている。
【0022】
次に、本実施の形態の印字動作について図4および図5を参照して詳細に説明する。
図4は、本発明に係るラベルプリンタの実施の形態における印字に伴う被印字媒体の搬送動作を説明するためのフローチャートであり、図5は、図3に示す回動位置判定部の判定動作を説明するための説明図である。
【0023】
回転制御部22は、印字制御部19からの駆動開始信号の入力を監視しており(ステップA1)、印字制御部19から駆動開始信号が入力されると、プラテン駆動モータ20および用紙供給軸駆動モータ21を逆回転させ(ステップA2)、被印字媒体4を逆方向、すなわち被印字媒体4を用紙供給軸31に巻き取る方向に搬送(バックフィード)させる。
【0024】
回動位置判定部18は、回動検出センサ75によって検出されるテンションアーム71の回動位置が、図5(a)に示すように、予め設定されている上側位置αと予め設定されている下側位置βとの間に位置するか否かを判定し(ステップA3)、テンションアーム71が、上側位置αと下側位置βとの間に位置する場合には、用紙供給軸31の回転速度を予め設定されている回転速度A’に決定し(ステップA4)、決定した回転速度A’を回転制御部22に出力し、回転制御部22は、用紙供給軸31を回転速度A’で逆回転させるように用紙供給軸駆動モータ21を制御する。なお、回転速度A’は、用紙供給軸31の逆回転によって巻き取られる被印字媒体4の搬送速度が、プラテンローラ11による被印字媒体4の搬送速度と略同一になるように設定されている。実際には、用紙供給軸31を同一のスピードで回転させても、ロール紙7の径、すなわち筒状体6に巻き回された被印字媒体の径の大小によって、被印字媒体4の搬送速度が変化する。従って、回転速度A’で用紙供給軸31を逆回転させた際に、ロール紙7が最も大径時に巻き取られる被印字媒体4の搬送速度がプラテンローラ11による被印字媒体4の搬送速度より速く、ロール紙7が最も小径時に巻き取られる被印字媒体4の搬送速度がプラテンローラ11による被印字媒体4の搬送速度より遅くなるように設定されている。
【0025】
ステップA3でテンションアーム71の回動位置が、上側位置αと下側位置βとの間に位置していない場合には、回動位置判定部18は、回動検出センサ75によって検出されるテンションアーム71の回動位置が、図5(b)に示すように、上側位置αよりも上側に位置するか否かを判定する(ステップA5)。
【0026】
ステップA5でテンションアーム71の回動位置が、上側位置αよりも上側に位置する場合、すなわち用紙供給軸31から繰り出されている被印字媒体4が所定値よりも短くなった場合には、回動位置判定部18は、用紙供給軸31の回転速度を回転速度A’よりも遅い回転速度B’に決定し(ステップA6)、決定した回転速度B’を回転制御部22に出力し、回転制御部22は、用紙供給軸31を回転速度B’で逆回転させるように用紙供給軸駆動モータ21を制御する。なお、回転速度B’は、回転速度B’で用紙供給軸31を逆回転させた際に、ロール紙7が最も大径時に巻き取られる被印字媒体4の搬送速度がプラテンローラ11による被印字媒体4の搬送速度より遅くなるように設定されている。
【0027】
ステップA5でテンションアーム71の回動位置が、上側位置αよりも上側に位置しておらず、下側位置βよりも下側に位置する場合、すなわち用紙供給軸31から繰り出されている被印字媒体4が所定値よりも長くなった場合には、には、回動位置判定部18は、用紙供給軸31の回転速度を回転速度A’よりも速い回転速度C’に決定し(ステップA7)、決定した回転速度C’を回転制御部22に出力し、回転制御部22は、用紙供給軸31を回転速度C’で逆回転させるように用紙供給軸駆動モータ21を制御する。なお、回転速度C’は、回転速度C’で用紙供給軸31を逆回転させた際に、ロール紙7が最も小径時に巻き取られる被印字媒体4の搬送速度がプラテンローラ11による被印字媒体4の搬送速度より速くなるように設定されている。
【0028】
次に、回転制御部22は、印字が施されていないラベル2の先端が印字位置(サーマルヘッド12に対向する位置)に到達したか否かを判断し(ステップA8)、印字位置に到達するまで、ステップA3〜ステップA7の動作を繰り返す。なお、ラベル2の先端の位置は、例えば、被印字媒体4の裏面側にアイマーク(黒の矩形のマーク)を印刷等によって形成したおき、図示しない用紙検出センサによってアイマークを検出することによって認識することができる。また、アイマークの代わりにラベル間のギャップやラベル先端を検出することで用紙ピッチを検出するようにしても良い。
【0029】
ステップA8で印字位置に到達した場合には、回転制御部22は、プラテン駆動モータ20および用紙供給軸駆動モータ21を正回転させ(ステップA9)、被印字媒体4を正方向、すなわち被印字媒体4を用紙供給軸31から繰り出す方向に搬送させ、印字制御部19は、入力部23から入力された印字データに基づいてサーマルヘッド12の発熱体を選択的に発熱させることにより、被印字媒体4(ラベル2)の印字面にインクリボン5からインクを転写させて所望の文字、バーコード等の印字を施す。
【0030】
回動位置判定部18は、回動検出センサ75によって検出されるテンションアーム71の回動位置が、図5(a)に示すように、予め設定されている上側位置αと予め設定されている下側位置βとの間に位置するか否かを判定し(ステップA10)、テンションアーム71が、上側位置αと下側位置βとの間に位置する場合には、用紙供給軸31の回転速度を予め設定されている回転速度Aに決定し(ステップA11)、決定した回転速度Aを回転制御部22に出力し、回転制御部22は、用紙供給軸31を回転速度Aで正回転させるように用紙供給軸駆動モータ21を制御する。なお、回転速度Aは、用紙供給軸31の正回転によって繰り出される被印字媒体4の搬送速度が、プラテンローラ11による被印字媒体4の搬送速度と略同一になるように設定されている。実際には、用紙供給軸31を同一のスピードで回転させても、ロール紙7の径、すなわち筒状体6に巻き回された被印字媒体の径の大小によって、被印字媒体4の搬送速度が変化する。従って、回転速度Aで用紙供給軸31を正回転させた際に、ロール紙7が最も大径時に繰り出される被印字媒体4の搬送速度がプラテンローラ11による被印字媒体4の搬送速度より速く、ロール紙7が最も小径時に繰り出される被印字媒体4の搬送速度がプラテンローラ11による被印字媒体4の搬送速度より遅くなるように設定されている。
【0031】
ステップA10でテンションアーム71の回動位置が、上側位置αと下側位置βとの間に位置していない場合には、回動位置判定部18は、回動検出センサ75によって検出されるテンションアーム71の回動位置が、図5(b)に示すように、上側位置αよりも上側に位置するか否かを判定する(ステップA12)。
【0032】
ステップA12でテンションアーム71の回動位置が、上側位置αよりも上側に位置する場合、すなわち用紙供給軸31から繰り出されている被印字媒体4が所定値よりも短くなった場合には、には、回動位置判定部18は、用紙供給軸31の回転速度を回転速度Aよりも速い回転速度Bに決定し(ステップA13)、決定した回転速度Bを回転制御部22に出力し、回転制御部22は、用紙供給軸31を回転速度Bで正回転させるように用紙供給軸駆動モータ21を制御する。なお、回転速度Bは、回転速度Bで用紙供給軸31を正回転させた際に、ロール紙7が最も小径時に繰り出される被印字媒体4の搬送速度がプラテンローラ11による被印字媒体4の搬送速度より速くなるように設定されている。
【0033】
ステップA12でテンションアーム71の回動位置が、上側位置αよりも上側に位置しておらず、下側位置βよりも下側に位置する場合、すなわち用紙供給軸31から繰り出されている被印字媒体4が所定値よりも長くなった場合には、回動位置判定部18は、用紙供給軸31の回転速度を回転速度Aよりも遅い回転速度Cに決定し(ステップA14)、決定した回転速度Cを回転制御部22に出力し、回転制御部22は、用紙供給軸31を回転速度Cで正回転させるように用紙供給軸駆動モータ21を制御する。なお、回転速度Cは、回転速度Cで用紙供給軸31を正回転させた際に、ロール紙7が最も大径時に繰り出される被印字媒体4の搬送速度がプラテンローラ11による被印字媒体4の搬送速度より遅くなるように設定されている。
【0034】
次に、回転制御部22は、印字が施されたラベル2の後端が排出口24から排出される排出位置に到達したか否かを判断し(ステップA15)、排出位置に到達するまで、ステップA10〜ステップA14の動作を繰り返し、排出位置に到達すると、被印字媒体4の搬送動作を停止する。なお、ラベル2の後端の位置は、例えば、被印字媒体4の裏面側にアイマーク(黒の矩形のマーク)を印刷等によって形成したおき、図示しない用紙検出センサによってアイマークを検出することによって認識することができる。また、アイマークの代わりにラベル間のギャップやラベル先端を検出することで用紙ピッチを検出するようにしても良い。
【0035】
以上説明したように、本実施の形態によれば、被印字媒体4が筒状体6に巻き回された状態のロール紙7が装着される、筒状体6の内径よりも小径の用紙供給軸31と、用紙供給軸31の下側に上下に移動可能に配設され、且つ下方向に付勢されて、用紙供給軸31に装着されたロール紙7の内周面に当接する従動ローラ33と、プラテンローラ11による被印字媒体4の搬送に連動させて、用紙供給軸31を回転駆動させることで被印字媒体4を用紙供給軸31から繰り出す用紙供給軸駆動モータ21と、用紙供給軸31から印字部(プラテンローラ11、サーマルヘッド12)に繰り出される被印字媒体4に一定のテンションを付与するテンション付与手段17とを設けることにより、用紙供給軸31よりも内径が大のロール紙7を用いた場合にも、用紙供給軸31と従動ローラ33とによってロール紙7が安定して回転可能に保持されるため、用紙供給軸31に装着されたロール紙7が振れることなく、さらに、用紙供給軸31から印字部に繰り出される被印字媒体4は、テンション付与手段17によって一定のテンションを付与されるため、用紙供給軸31から印字部に繰り出される被印字媒体4のテンションを一定にすることができ、帯状台紙3からのラベル2の剥がれや、印字位置ズレを防止することができるという効果を奏する。
【0036】
さらに、本実施の形態によれば、用紙供給軸31から印字部に繰り出された被印字媒体4の長さに応じたテンション付与手段17の変位を検出する回動検出センサ75と、回動検出センサ75によって検出されたテンション付与手段17の変位に応じて、用紙供給軸駆動モータ21による用紙供給軸31の回転速度を制御する回転制御部22を設け、被印字媒体4を用紙供給軸31に巻き取る方向に搬送する際には、回転制御部22によって、用紙供給軸31から繰り出されている被印字媒体4が所定値よりも短くなった場合には、用紙供給軸31の回転速度を遅く、用紙供給軸31から繰り出されている被印字媒体4が所定値よりも長くなった場合には、用紙供給軸31の回転速度を速くするように制御すると共に、被印字媒体4を用紙供給軸31から繰り出す方向に搬送する際には、回転制御部22によって、用紙供給軸31から繰り出されている被印字媒体4が所定値よりも短くなった場合には、用紙供給軸31の回転速度を速く、用紙供給軸31から繰り出されている被印字媒体4が所定値よりも長くなった場合には、用紙供給軸31の回転速度を遅くするように制御することにより、用紙供給軸31から印字部に繰り出された被印字媒体4の長さを所定範囲内に制御することができ、用紙供給軸31から印字部に被印字媒体4を安定して供給することができるという効果を奏する。
【0037】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付している。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係るラベルプリンタの実施の形態の構成を示す構成図である。
【図2】本発明に係るラベルプリンタの実施の形態の構成を示す概略斜視図である。
【図3】本発明に係るラベルプリンタの実施の形態の内部構成を示すブロック図である。
【図4】本発明に係るラベルプリンタの実施の形態における印字に伴う被印字媒体の搬送動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】図3に示す回動位置判定部の判定動作を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0039】
1 ラベルプリンタ
2 ラベル
3 帯状台紙
4 被印字媒体
5 インクリボン
6 筒状体
7 ロール紙
11 プラテンローラ
12 サーマルヘッド
13 供給部
14 リボン用紙供給軸
15 リボン巻き取り軸
16 案内ローラ
17 テンション付与手段
18 回動位置判定部
19 印字制御部
20 プラテン駆動モータ
21 用紙供給軸駆動モータ
22 回転制御部
23 入力部
24 排出口
31 用紙供給軸
32 スリット
33 従動ローラ
34 枠体
71 テンションアーム
72 回動軸
73 当接ローラ
74 バネ
75 回動検出センサ(変位検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印字手段によって被印字媒体を搬送させながら印字を施すラベルプリンタであって、
前記被印字媒体が筒状体に巻き回された状態のロール紙が装着される、前記筒状体の内径よりも小径の用紙供給軸と、
該用紙供給軸の下側に上下に移動可能に配設され、且つ下方向に付勢されて、前記用紙供給軸に装着された前記ロール紙の内周面に当接する従動ローラと、
前記印字手段による前記被印字媒体の搬送に連動させて、前記用紙供給軸を回転駆動させることで前記被印字媒体を前記用紙供給軸から繰り出す回転駆動手段と、
前記用紙供給軸から印字手段に繰り出される前記被印字媒体に一定のテンションを付与するテンション付与手段とを具備することを特徴とするラベルプリンタ。
【請求項2】
前記用紙供給軸から印字手段に繰り出された前記被印字媒体の長さに応じた前記テンション付与手段の変位を検出する変位検出手段と、
該変位検出手段によって検出された前記テンション付与手段の変位に応じて、前記回転駆動手段による前記用紙供給軸の回転速度を制御する回転制御手段を具備することを特徴とする請求項1記載のラベルプリンタ。
【請求項3】
前記回転制御手段は、前記回転駆動手段によって前記被印字媒体を前記用紙供給軸に巻き取る方向に搬送する際には、前記用紙供給軸から繰り出されている前記被印字媒体が所定値よりも短くなった場合には、前記用紙供給軸の回転速度を遅く、前記用紙供給軸から繰り出されている前記被印字媒体が所定値よりも長くなった場合には、前記用紙供給軸の回転速度を速くするように制御すると共に、前記回転駆動手段によって前記被印字媒体を前記用紙供給軸から繰り出す方向に搬送する際には、前記用紙供給軸から繰り出されている前記被印字媒体が所定値よりも短くなった場合には、前記用紙供給軸の回転速度を速く、前記用紙供給軸から繰り出されている前記被印字媒体が所定値よりも長くなった場合には、前記用紙供給軸の回転速度を遅くするように制御することを特徴とする請求項2記載のラベルプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−49670(P2008−49670A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−230917(P2006−230917)
【出願日】平成18年8月28日(2006.8.28)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】