説明

ラベル付き植木鉢およびラベル

【課題】 効率よく潅水することができるラベル付き植木鉢およびラベルを提供する。
【解決手段】 側壁部21の上端部21aが開口部25の縁となっている植木鉢20と植木鉢20に着脱可能なラベル30を備えたラベル付き植木鉢10において、ラベル30はラベル本体31とラベル本体31と一体に形成された取付部35とを有し、ラベル本体31の両方の側部には折曲片32、33が連設され、取付部35を植木鉢20の側壁部21に取付けたときに、各折曲片32、33の下端部は側壁部21の内面に沿って配設されること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物を栽培するラベル付き植木鉢(育苗ポット、複数の植木鉢が連結されているもの等を含む。)およびラベルに関し、特に、潅水が容易なラベル付き植木鉢およびラベルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、植物を栽培する植木鉢が用いられている。植木鉢は円筒形の鉢状の器等であり、植木鉢の側壁部の上端部が開口部の縁となっている(例えば特許文献1、特許文献2参照)。そして、植木鉢に用土を詰めて、この用土により植物を栽培している。
【特許文献1】特開2004−215672号公報
【特許文献2】特開2005−192513号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述の従来例では、植木鉢は、その開口部が狭いので、散水ノズル等により植木鉢に効率よく潅水することが容易ではなかった。このため、植木鉢に潅水するときの潅水時間が長くなるとともに、特に、植木鉢内の用土に植えた植物の葉が茂っている場合に、散水ノズル等により植木鉢に潅水するときに、植木鉢の用土に入らずに無駄になる水が多いという問題があった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、効率よく潅水することができるラベル付き植木鉢およびラベルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、側壁部の上端部が開口部の縁となっている植木鉢とこの植木鉢に着脱可能なラベルを備えたラベル付き植木鉢において、前記ラベルはラベル本体とこのラベル本体と一体に形成された取付部とを有し、前記ラベル本体の両方の側部には折曲片が連設され、前記取付部が前記側壁部に取付けられたときに、前記各折曲片の下端部は前記側壁部の内面に沿って配設されることを特徴とするラベル付き植木鉢である。
これにより、ラベルの取付部が植木鉢の側壁部に取付けられたときに、ラベルのラベル本体に連設された各折曲片の下端部は前記側壁部の内面に沿って配設されるので、前記各折曲片が前記側壁部の内面に沿って、かつ、その内面の上方に延びるように配設される。このため、前記ラベル付き植木鉢に散水ノズル等により潅水するときに、散水ノズル等から放出された水が前記側壁部の内面、前記ラベル本体および各折曲片に当って前記植木鉢の開口部から前記植木鉢の中に落下する。
【0005】
さらに、請求項2記載の発明は、請求項1記載のラベル付き植木鉢であって、前記取付部を前記側壁部に取付ける取付機構が形成され、前記取付機構として、前記ラベルの取付部は可撓性ある板状のものであり、差込部とこの差込部の両側部の各々に連設された係合部を有し、前記側壁部にその外面から窪んだ凹部が形成され、この凹部の内面は前記側壁部の前記凹部以外の部分の内面から突出する凸部を形成し、前記凸部の上端部には前記差込部が挿通可能な挿通用孔が形成され、前記凸部の両方の側端部の各々に係合用孔が形成され、前記差込部および各係合部が前記開口部側から前記挿通用孔に差し込まれたときに、前記各係合部が前記各係合用孔に係合することを特徴とするラベル付き植木鉢である。
これにより、前記取付機構として、前記側壁部にその外面から窪んだ凹部が形成され、この凹部の内面は前記側壁部の前記凹部以外の部分の内面から突出する凸部を形成し、前記凸部の上端部には挿通用孔が形成され、前記凸部の両方の側端部の各々に係合用孔が形成され、ラベルの可撓性ある板状の取付部の差込部および各係合部がその可撓性により前記開口部側から前記挿通用孔に差し込まれたときに、前記差込部の両側部に連設された各係合部が前記凸部の両側部の各係合用孔に係合する。
【0006】
さらに、請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載のラベル付き植木鉢であって、前記取付部が前記側壁部に取付けられたときに、前記ラベルのラベル本体の下端部が前記取付部の両側において前記側壁部の内面に沿って配設されることを特徴とするラベル付き植木鉢である。
これにより、ラベルの取付部が前記側壁部に取付けられたときに、前記ラベルのラベル本体が前記取付部の両側において前記側壁部の内面に沿って、かつ、その内面から上方に延びるように配設される。
【0007】
さらに、請求項4記載の発明は、ラベル本体とこのラベル本体と一体に形成された取付部とを有し、前記ラベル本体の両方の側部には折曲片が連設され、前記取付部が植木鉢の側壁部に取付けられたときに、前記各折曲片の下端部は前記側壁部の内面に沿って配設されることを特徴とするラベルである。
これにより、ラベルの取付部を植木鉢の側壁部に取付けると、ラベルのラベル本体に連設された各折曲片の下端部は前記側壁部の内面に沿って配設されるので、前記各折曲片が前記側壁部の内面に沿って、かつ、その内面の上方に延びるように配設される。このため、請求項1記載の発明と同様に、前記植木鉢に散水ノズル等により潅水するときに、散水ノズル等から放出された水が前記側壁部の内面、前記ラベル本体および各折曲片に当って前記植木鉢の開口部から前記植木鉢の中に落下する。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によれば、植木鉢に効率よく潅水することができる。
さらに、請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果とともに、植木鉢にラベルを着脱自在に取付けることが容易になる。
さらに、請求項3記載の発明によれば、請求項1または2記載の発明の効果とともに、ラベルのラベル本体を植木鉢の側壁部の内面に確実に取付けることができる。
さらに、請求項4記載の発明に係るラベルを植木鉢に取り付けると、植木鉢に効率よく潅水することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明における実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施の形態に係るラベル付き植木鉢を示し、図2は図1のA−A断面を示し、図3は図1の植木鉢のB−B断面を示し、図4は図1のC−C断面を示し、図5は図4の側壁部の凸部の上端部の平面を拡大して示す。さらに、図6は図1のラベルの下部を拡大して示し、図7は図1のラベル付き植木鉢の使用例を示す。
【0010】
図1に示すように、ラベル付き植木鉢10は、側壁部21の上端部21aが開口部25の縁となっている植木鉢20とこの植木鉢20に着脱可能なラベル30を備えている。
ラベル30はラベル本体31とこのラベル本体31と一体に形成された取付部35(図6参照)とを有し、ラベル本体31の両方の側部には各折曲片32、33が連設されている。そして、取付部35を側壁部21に取付ける取付機構Fが形成され、取付部35が取付機構Fにより側壁部21に取付けられたときに、図4に示すように、各折曲片32、33の下端部32a、33aは側壁部21の内面21cに沿って配設される。
【0011】
取付機構Fは以下のように構成されている。すなわち、ラベル30の取付部35は可撓性ある板状のものであり、差込部36とこの差込部36の両側部の各々に連設された各係合部37、38を有している。また、側壁部21にその外面21bから窪んだ凹部22が形成され、この凹部22の内面は側壁部21の凹部22以外の部分の内面21cから突出する凸部23を形成している。そして、凸部23の上端部23aには差込部36が挿通可能な挿通用孔24a(図5参照)が形成され、凸部23の両方の側端部23b、23cの各々に係合用孔24b(図3参照)、24c(図2参照)が形成され、差込部36および各係合部37、38がその可撓性により開口部25側から挿通用孔24aに差し込まれたときに(図2参照)、図4に示すように、各係合部37、38が各係合用孔24b、24cに係合する。凸部23の横方向の幅23wは下方になるほど広く形成されている。
また、差込部36に上向きの舌片39(図6参照)が形成されている。舌片39は切込39aにより差込部36と区別されている。そして、舌片39にT字状の線状窪み39aが形成されている。この舌片39により、挿通用孔24aに差し込まれた差込部36が安定する。
【0012】
さらに、図4に示すように、取付部36が取付機構Fにより側壁部21に取付けられたときに、ラベル30のラベル本体31の下端部31a、31b(取付部36の両側に形成されている。)が取付部36の両側において側壁部21の内面21cに沿って配設される。
【0013】
上記構成のラベル付き植木鉢10は、以下の作用効果を奏する。
ラベル30の取付部35が取付機構Fにより植木鉢20の側壁部21に取付けられたときに、ラベル30のラベル本体31に連設された各折曲片32、33の下端部32a、33aは側壁部21の内面21cに沿って配設されるので、各折曲片32、33が側壁部21の内面21cに沿って、かつ、その内面21cの上方に延びるように配設される。
【0014】
このため、図7に示すように、手50で散水ノズル40を操作して、散水ノズル40により横方向からラベル付き植木鉢10に潅水するときに、散水ノズル40から放出された水41が側壁部21の内面21c、ラベル本体31および各折曲片32、33に当って開口部25からラベル付き植木鉢10の中に落下するので、ラベル付き植木鉢10に効率よく潅水することができ、横から均一に潅水することができる。
例えば、図7においては、5秒間潅水した結果、ラベル30を装着した場合は、装着しない場合の約3倍の水がラベル付き植木鉢10に入った。このことから、潅水時間が3分の1になり、確実にラベル付き植木鉢10内へ水41が流れていくので、ラベル付き植木鉢10内の図示しない用土内で水切れを起こしにくくなる。また、前記用土の表面の置き肥が転がらない。さらに、ラベル付き植木鉢10に植えた図示しない植物に直接水41がかかりにくくなるので、前記植物のロス・葉焼けが減少する。
【0015】
さらに、取付機構Fとして、側壁部21にその外面21bから窪んだ凹部22が形成され、この凹部22の内面は側壁部21の凹部22以外の部分の内面から突出する凸部23を形成し、凸部23の上端部23aには挿通用孔24aが形成され、凸部23の両方の側端部23b、23cの各々に係合用孔24b、24cが形成され、ラベル30の可撓性ある板状の取付部35の差込部36および各係合部37、38がその可撓性により開口部25側から挿通用孔24aに差し込まれたときに、差込部36の両側部に連設された各係合部37、38が凸部23の両側部の各係合用孔24b、24cに係合する。
【0016】
さらに、取付機構Fによりラベル30の取付部35が側壁部21に取付けられたときに、ラベル30のラベル本体31が取付部35の両側において側壁部21の内面21cに沿って、かつ、その内面21cから上方に延びるように配設される。
【0017】
なお、上記実施の形態において、取付機構Fによりラベル30の取付部35を植木鉢20の側壁部21に取付けているが、これに限定されず、取付部35を側壁部21の内面21cと植木鉢20内の図示しない用土との間に差し込んで取付部35を植木鉢20の側壁部21に取付けるようにしてもよい。
また、植木鉢20の開口部25の形状はほぼ四角形であるが、これに限定されず、開口部の形状を任意に設定することができる。
また、舌片39は、なくてもよい。
また、散水ノズル40の使用以外の方法によりラベル付き植木鉢10に潅水することもできる。
また、植木鉢20の側壁部21の周囲の4箇所に凹部22と凹部22に対応する凸部23が形成されているが、これに限定されず、凹部22と凹部22に対応する凸部23の数を任意に設定することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係るラベル付き植木鉢を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A断面を示す断面図である。
【図3】図1の植木鉢のB−B断面を示す断面図である。
【図4】図1のC−C断面を示す断面図である。
【図5】図4の側壁部の凸部の上端部の平面を拡大して示す部分図である。
【図6】図1のラベルの下部を拡大して示す部分図である。
【図7】図1のラベル付き植木鉢の使用例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0019】
10 ラベル付き植木鉢
20 植木鉢
21 側壁部
21a 上端部
21b 外面
21c 内面
22 凹部
23 凸部
23a 上端部
23b、23c 側端部
24a 挿通用孔
24b、24c 係合用孔
25 開口部
30 ラベル
31 ラベル本体
32、33 折曲片
35 取付部
36 差込部
37、38 係合部
F 取付機構


【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁部の上端部が開口部の縁となっている植木鉢とこの植木鉢に着脱可能なラベルを備えたラベル付き植木鉢において、
前記ラベルはラベル本体とこのラベル本体と一体に形成された取付部とを有し、
前記ラベル本体の両方の側部には折曲片が連設され、
前記取付部が前記側壁部に取付けられたときに、前記各折曲片の下端部は前記側壁部の内面に沿って配設されることを特徴とするラベル付き植木鉢。
【請求項2】
請求項1記載のラベル付き植木鉢であって、
前記取付部を前記側壁部に取付ける取付機構が形成され、
前記取付機構として、前記ラベルの取付部は可撓性ある板状のものであり、差込部とこの差込部の両側部の各々に連設された係合部を有し、
前記側壁部にその外面から窪んだ凹部が形成され、この凹部の内面は前記側壁部の前記凹部以外の部分の内面から突出する凸部を形成し、
前記凸部の上端部には前記差込部が挿通可能な挿通用孔が形成され、
前記凸部の両方の側端部の各々に係合用孔が形成され、
前記差込部および各係合部が前記開口部側から前記挿通用孔に差し込まれたときに、前記各係合部が前記各係合用孔に係合することを特徴とするラベル付き植木鉢。
【請求項3】
請求項1または2に記載のラベル付き植木鉢であって、
前記取付部が前記側壁部に取付けられたときに、
前記ラベルのラベル本体の下端部が前記取付部の両側において前記側壁部の内面に沿って配設されることを特徴とするラベル付き植木鉢。
【請求項4】
ラベル本体とこのラベル本体と一体に形成された取付部とを有し、
前記ラベル本体の両方の側部には折曲片が連設され、
前記取付部が植木鉢の側壁部に取付けられたときに、前記各折曲片の下端部は前記側壁部の内面に沿って配設されることを特徴とするラベル。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−104961(P2007−104961A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−298764(P2005−298764)
【出願日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(593195875)兼弥産業株式会社 (8)
【Fターム(参考)】