説明

ラベル発行装置

【課題】ラベルロールの交換を容易に行うとともに、ラベルロールの回転時における脱落を確実に防止することが可能なラベル発行装置を提供する。
【解決手段】計量プリンタ1は、本体部3の内部に格納可能なカセット部4に対して、ラベルロールLRを挿着するための挿着軸31と、挿着軸31と平行に配置した回動軸33に対して回動可能なロールガイド32と、が取り付けられている。そして、カセット部4が、本体部3に格納されたときに、紙巻LTの一部と挿着方向において対向するように隣接した位置においてロールガイド32が回動することを規制する回動規制部25を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺のシート状材料に対して貼り付けられた複数のラベルを搬送しながら商品の価格等の情報を印字するラベル発行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
商品等に貼付される単価、重量、価格等の事項を表示したラベルは、一般的に、複数のラベルが貼付されたシート状材料を紙巻に巻回したラベルロールを挿着する態様のラベル発行装置によって印字が行われている。また、近年、表示内容におけるニーズの多様化によって、ラベルの種類も多種多様になり、そのため、ラベルの幅も多種類に及んでいる。このため、ユーザは、1台のラベル発行装置に対して複数の幅の異なるラベルロールを用意し、商品に応じてラベルロールの交換を行っている。
【0003】
このような状況の中、ユーザがラベルロールの交換を容易に行えるように、カンチレバー式の挿着軸に対して紙巻を回転可能に挿着する態様のラベル発行装置が実用化されている。そして、回転中のラベルロールの挿着軸方向における横ぶれ、あるいは、挿着方向への突出を防止するために、ロールガイドが設けられている。下記に示す特許文献1においては、挿着軸端に板状のロールガイドを取り付けたラベル発行装置が開示されている。
【特許文献1】実公平1−38102号公報(平成1年11月15日公告)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のラベル発行装置では、以下に示すような問題点を有している。
すなわち、上記に示したとおり、ラベルロールの交換が頻繁に発生する状況においては、ラベルロールの交換の都度、ロールガイドを挿着軸から取り外して再び固定する作業がユーザに負担となってしまうおそれがある。
【0005】
本発明の課題は、ラベルロールの交換を容易に行うとともに、ラベルロールの回転時における脱落を確実に防止することが可能なラベル発行装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係るラベル発行装置は、ラベルが貼付された長尺のシート状材料が芯管に巻回されたラベルロールに対してラベル印字を行うラベル発行装置であって、本体フレームと、カセット部と、挿着部と、ロールガイドと、回動規制部と、を備えている。カセット部は、本体フレームに対して所定方向への移動が可能な状態で取り付けられており、本体フレームに格納される。挿着部は、カセット部に取り付けられており、ラベルロールの芯管が挿着される。ロールガイドは、カセット部に取り付けられた挿着部と略平行に配置されている回動軸に対して回動可能な状態で取り付けられており、ラベルロールの芯管の一部と挿着方向において対向する位置に配置されてラベルロールの挿着方向への脱落を防止する。回動規制部は、カセット部が本体フレームに対して格納されたとき、ロールガイドの回動を規制する。
【0007】
ここでは、本体フレームに格納されたとき、回動軸に対して回動が可能な状態で取り付けられたロールガイドの回動が規制される。
ここで、ラベルロールは、回転軸となる挿着部の一端から挿着する。そして、挿着部に挿着されたラベルロールは、回転によって回転軸方向に移動する現象、いわゆる、回転軸方向へのぶれが発生し、場合によっては挿着方向に大きくぶれて挿着部から脱落してしまうおそれがある。
【0008】
従来、このようなラベルロールが回転することによって挿着部から脱落することを防止するために、挿着部の挿着方向側にラベルロールに隣接するようにして長板状のロールガイドを取り付けていた。ところが、商品に応じてラベルを頻繁に交換する状況においては、ラベルロールを交換する都度、ロールガイドを挿着部から脱着することは、ユーザに作業の負担をかけるおそれがある。
【0009】
そこで、本発明のラベル発行装置においては、本体フレームに格納可能なカセット部に対して、ラベルロールを挿着するための挿着部と、挿着部と略平行に配置した回動軸に対して回動可能なロールガイドと、を取り付けている。そして、カセット部が本体フレームに格納されたときに、芯管の一部と挿着方向において対向して配置されたロールガイドが回動することを規制する回動規制部を備えており、例えば、回動規制部は、本体フレームに格納されたとき、ロールガイドの一部に当接するように本体フレームに設けられている。
【0010】
これにより、カセット部が本体フレームに格納されていないとき、例えば、ラベルロールの交換等のためカセット部を本体フレームから引き出した状態のとき、ロールガイドは回動することを規制されていないので、ラベルロールの交換のために容易にロールガイドを待避させることができる。このため、挿着部からロールガイドを取り外すことなく、ラベルロールを交換することが可能となる。一方、カセット部が本体フレームに格納されたときは、ロールガイドは回動することを規制されるので、例えば、回転するラベルロールから受けるラベルロールの回転方向とは反対方向の回転力を受けても回動することはない。このため、ロールガイドを芯管の一部と挿着方向において対向する位置に隣接して固定することが可能となる。
【0011】
この結果、ラベルロールの交換を容易に行えるとともに、ラベルロールの回転時における脱落を確実に防止することが可能となる。
【0012】
第2の発明に係るラベル発行装置は、第1の発明に係るラベル発行装置であって、回動規制部は、ロールガイドの回転軸側の端部近傍に形成されたつめ部材に対して係合する本体フレームに配置された受け部材である。
ここでは、本体フレームにカセット部が格納されたときにロールガイドの回動を規制する回動規制部は、本体フレームに配置された受け部材である。そして、受け部材は、カセット部に取り付けられたロールガイドの回動軸側の端部近傍に形成されたつめ部材に対して係合する。
これにより、カセット部が本体フレームに格納されたときにのみ、ロールガイドの回動を規制する機構を容易に形成することができる。
【0013】
第3の発明に係るラベル発行装置は、第1または第2の発明に係るラベル発行装置であって、カセット部は、所定の方向にスライド可能な引き出し構造である。
ここでは、例えば、カセット部を引き出しのようにスライドさせて本体フレームに容易に出し入れすることができる。
これにより、ラベルロールの交換等において、カセット部を本体フレームに対して出し入れする作業を容易に行うことが可能となる。
【0014】
第4の発明に係るラベル発行装置は、第1から第3の発明のいずれか1つに係るラベル発行装置であって、ロールガイドの回動軸は、挿着部に挿着されるラベルロールの外径よりも外側に配置されている。
ここでは、ロールガイドの回動軸の配置される位置が、挿着部に挿着しようとするラベルロールの外径よりも外側である。
【0015】
ここで、ラベルロールは、ラベルの種類に応じて様々な外径のものが利用されている。そして、回動軸が挿着しようとするラベルロールの外径よりも内側に配置されていると回動軸とラベルロールとが側面視において重なり、そのラベルロールを挿着することができない。
これにより、ラベルロールの外径より外側に回動軸があることで、ロールガイドを回動させて待避位置へ移動させればロールガイドを取り外すことなく、ラベルロールを取り付け可能となる。
【0016】
第5の発明に係るラベル発行装置は、第1から第4の発明のいずれか1つに係るラベル発行装置であって、ロールガイドは、回動軸方向に移動可能な状態で取り付けられている。
ここでは、ロールガイドは、回動軸方向に沿って移動させることが可能である。
ここで、ラベルロールは、ラベルの種類に応じて様々な幅のものが利用されている。そして、ラベルロールの軸方向への移動を防止するためには、ラベルロールガードをラベルロールの側面に隣接させて配置する必要がある。
これにより、ロールガイドをラベルロールの側面に配置するために、回動軸方向、すなわち、ラベルロールの幅方向に対して自由に移動させることができる。
この結果、幅の異なるラベルロールを使用することが可能となる。
【0017】
第6の発明に係るラベル発行装置は、第5の発明に係るラベル発行装置であって、ロールガイドが回動軸方向に移動することを規制する移動規制部をさらに備えている。
ここでは、ロールガイドが回動軸方向に沿って移動することを規制する移動規制部を備えており、例えば、移動規制部は、ロールガイドを移動させたとき、ロールガイドの回動軸側の端部に当接するように設けられている。
【0018】
ここで、ラベルロールが回転によって回転軸方向に沿って移動することを規制するためには、ロールガイドをラベルロールの側面に配置し、ロールガイドがラベルロールの回動軸方向へのぶれと共に移動することを規制、すなわち、ロールガイドを回動軸方向においてしっかり固定する必要がある。
これにより、ロールガイドをラベルロールの側面に配置した状態で固定することが可能となるため、ラベルロールが挿着部から挿着方向に抜け出すことを防止することができる。
【0019】
第7の発明に係るラベル発行装置は、第6の発明に係るラベル発行装置であって、移動規制部は、ロールガイドの回動軸側の端部が嵌合するカセット部に配置された溝部である。
【0020】
ここでは、移動規制部が、カセット部に配置された溝部であって、その溝部に対して回動可能な状態で取り付けられているロールガイドの回動軸側の端部が嵌合する。
これにより、ロールガイドが回動軸方向において移動することを規制する機構を容易に形成することができる。
【0021】
第8の発明に係るラベル発行装置は、第7の発明に係るラベル発行装置であって、移動規制部は、回動軸方向において複数の溝部から形成されるスリット形状である。
ここでは、移動規制部として、ロールガイドの回転軸側の端部と嵌合させるための溝部が、回動軸方向においてスリット形状として複数形成されている。
これにより、回動軸方向におけるロールガイドの位置調整を容易に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るラベル発行装置によれば、ラベルロールの交換を容易に行えるとともに、ラベルロールの回転時における脱落を確実に防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の一実施形態に係る計量プリンタ(ラベル発行装置)1について、図1〜図8を用いて説明すれば以下の通りである。
なお、以下の説明において用いた「上流側」、「下流側」とは、ラベルシート(シート材料)LSがラベルシート巻取部50において巻き取られる正方向に搬送される状態における「上流側」、「下流側」をそれぞれ意味するものとする。
【0024】
[計量プリンタ1の構成]
計量プリンタ1は、計量部2あるいは他システムから商品の重量あるいは個数のデータを得て、設定された定額の商品価格とともにそれに対する概略単価を、長尺のラベルシートLSに貼り付けられたラベルL(図5参照)に対して印字・発行する装置であって、図1に示すように、計量部2と、本体部(本体フレーム)3と、カセット部4と、液晶モニタ5と、操作パネル6と、を備えている。
【0025】
計量部2は、計量プリンタ1に図示しないケーブル等で接続されており、発行されたラベルLを貼り付ける対象となる商品の計量を行う。
本体部3は、カセット部4を格納するための本体フレームであって、液晶モニタ5が取り付けられている。なお、本体部3の内部に格納された各種部材については、後段にて詳述する
カセット部4は、スライドレール8(図3参照)を介して本体部3に取り付けられており、計量部2において計量された商品の重量に基づいて所望の印字処理を行うための機構を備えている。そして、カセット部4の前面部分には、印字処理されたラベルLを、図5に示すように、ラベルシートLSから剥離するための剥離板(図示せず)が設けられたラベル発行口4aが設けられている。なお、カセット部4の内部に格納された各種部材については、後段にて詳述する。
【0026】
液晶モニタ5は、本体部3の上部に取り付けられたタッチパネルモニタであって、操作者に操作を促すための種々の画面が表示される。
操作パネル6は、カセット部4の上面に配置されており、選択した商品に関する各種のデータを呼び出すための呼出キー、商品を選択するためのテンキー、直接タッチすることによって商品名を指定し商品に関するデータを呼び出すためのPLU(Price Look Up)キー等を有している。
【0027】
[本体部3内部の構成]
本体部3は、図2〜図4に示すように、計量プリンタ1に含まれる各部を制御する制御部20と、後述するカセット部4に含まれるロールガイド32の回動を規制する回動規制部25と、を有している。
制御部20は、CPU,RAM,ROM等を有するマイクロコンピュータを有しており、計量部2や液晶モニタ5、操作パネル6等が接続されている。また、制御部20には、各商品に関するデータの束である商品マスタ21aが保存されるメモリ21と、CPU等を利用して演算を行う計算部22とが含まれている。さらに、制御部20は、カセット部4に含まれる搬送機構70によるラベルシートLSの搬送を制御する。
【0028】
また、制御部20には、商品の計量を行う計量部2から、その計量結果である商品の重量データが送信される。なお、本実施形態の計量プリンタ1では、図1等に示すような計量部2をラベル発行装置に接続したシステム構成を採っているが、例えば、商品の計量機能を有する計量部が装置内に組み込まれているシステム構成とすることも可能である。また、図2に示すような計量部2を装置に直接接続するのではなく、他システムを介して商品の重量データを装置に入力するようにしてもよい。なお、重量にばらつきのないものであれば、商品に対応させて予め商品の重量を記憶させておくことも可能である。
【0029】
回動規制部25は、カセット部4を本体部3に格納したときに、カセット部4に含まれるロールガイド32が回動することを規制する。そして、回動規制部25は、ロールガイド32に形成されるつめ部(つめ部材)32aと、孔部26と、係止部(受け部材)27と、によって形成されている。なお、回動規制部25におけるロールガイド32の回動規制については、後段にて詳述する。
【0030】
[カセット部4内部の構成]
カセット部4は、図3および図5に示すように、上述したラベルシートLSを所定の方向へ搬送しながら印字処理を行うために、ラベル収納部30と、ラベルシート巻取部50と、印字ユニット60と、搬送機構70と、を有している。
(ラベル収納部30)
ラベル収納部30は、図5に示すように、複数のラベルが連続して貼付された長尺のラベルシートLSのロール体(以後、ラベルロールLRと示す)を収納する部分であって、装着軸(挿着部)31と、ロールガイド32と、回動軸33と、移動規制部34と、を有している。
【0031】
装着軸31は、ラベルロールLRに含まれる紙巻(芯管)LTの部分を挿着してラベルロールLRを回転可能な状態で支持する。
ロールガイド32は、図6(a)に示すように、回動軸33とは反対側の先端部分がラベルロールLRの中心部分に存在する紙巻LTの一部の側方に側面視において重なる位置に近接して配置されており、紙巻LTが挿着軸31から抜け落ちてしまうことを防止する。また、ロールガイド32は、図7(a)および図7(b)に示すように、回動軸33側の端部につめ部32aを有している。そして、つめ部32aは、ラベルロールLRの回転時にロールガイド32が回動することを規制する。すなわち、ラベルロールLRが回動軸33を中心にして反時計回りに回転すると、ロールガイド32はラベルロールLRに隣接して配置されているために、図7(a)および図7(b)に示す破線矢印方向に力が加えられる。このとき、ロールガイド32は、時計回りに回動しようとし、他方、ロールガイド32の回動軸33側の端部は、図7(a)および図7(b)に示す実線矢印方向に回動しようとするが、カセット部4が本体部3に格納された図7(b)の位置においては、ロールガイド32のつめ部32aが孔部26から本体部3の外側に飛び出した状態で本体部3に取り付けられた係止部27と係合し、実線矢印方向への回動が規制される。これにより、ラベルロールLRの回転時においても、ロールガイド32は、紙巻LTの一部の側方に側面視において重なる位置に近接して常に配置しておけるので、挿着軸31における紙巻LTの抜け落ちを確実に防止することができる。なお、カセット部4が本体部3に格納されていない、例えば、図7(a)の位置においては、ロールガイド32のつめ部32aと係止部27とは物理的な距離によって係合できず、ロールガイド32の回動が規制されることはない。
【0032】
回動軸33は、カセット部4の側壁面に取り付けられており、装着軸31と平行に配置されている。また、本計量プリンタ1で使用すると想定されるラベルロールLRの最大の外径よりも外側に配置されている。ここでいうラベルロールLRの最大の外径とは、紙巻LTにまかれたラベルシートLSが最長のときの状態、すなわち、新品のラベルロールLRをいう。そして、ロールガイド32は、この回動軸33を中心に回動可能な状態で取り付けられている。これにより、ユーザは、ラベルロールLRの交換等において、ロールガイド32を図6(b)に示すように待避させることが可能となる。そして、ユーザは、ラベルロールの交換が終われば、図6(a)に示すようにロールガイド32を元の位置に戻す。
【0033】
移動規制部34は、ロールガイド32を紙巻LTの一部の側方に側面視において重なる位置に近接して配置するために、ロールガイド32が回動軸33方向に移動することを規制する。そして、移動規制部34は、ロールガイド32と、スリット部35と、によって形成されている。スリット部35は、図8(a)および図8(b)に示すように、回動軸33方向に配列された複数の溝部35aにより形成されたスリット構造であって、回動軸33に沿って配置されている。そして、これらの溝部35aは、ロールガイド32と同方向に配置されていることから、図8(a)に示すように、ロールガイド32の回動軸33側の端部と溝部35aとが嵌合する機構となっている。これにより、回動軸33方向に移動可能な状態で取り付けられているロールガイド32の移動をラベルロールLRの幅に合わせて規制することが可能となる。すなわち、図8(a)に示すように、ロールガイド32が、紙巻LTの一部の側方に側面視において重なる位置に近接して配置されたときに、ロールガイド32の回動軸33側の端部と溝部35aとが嵌合できるようになっている。そして、図8(b)に示すように、ロールガイド32を持ち上げたとき、ロールガイド32の回動軸33側の端部と溝部35aとの嵌合が外れ、回動軸33方向への移動を可能としている。さらに、溝部35aを回動軸33方向に複数配置することによって、幅の異なるラベルロールLRに対して容易にロールガイド32を所定位置に配置することができる。
【0034】
(ラベルシート巻取部50)
ラベルシート巻取部50は、図5に示すように、ラベル収納部30から引き出されて搬送され、ラベル発行口4aにおいてラベルLが剥離されたラベルシートLSを、巻取り軸51において巻き取る。
巻取り軸51は、図示しない複数のギア(図示せず)を介して、印字ローラ62および搬送ローラ72の駆動ギア(図示せず)と連結されている。これにより、印字ローラ62および搬送ローラ72と共通の駆動源によって回転駆動される。
【0035】
(印字ユニット60)
印字ユニット60は、図5に示すように、印字ヘッド61と、これに対向する位置に近接配置された印字ローラ62とを有している。そして、印字ユニット60では、印字ローラ62に当接しながら搬送されるラベルシートLSに貼り付けられたラベルLに対して印字ヘッド61によって印字処理が行われる。
【0036】
印字ヘッド61は、搬送機構70によって搬送されるラベルシートLSを印字ローラ62との間に挟み込むような状態で、ラベルシートLSに対して上方から当接しながら印字処理を行うサーマルヘッドである。
印字ローラ62は、表面がゴム系の素材によって形成された駆動ローラである。また、印字ローラ62は、図5に示すように、印字ローラ62において搬送方向が変化するように、ラベルシートLSが巻きかけられている。このため、印字処理を行う際には、印字ローラ62に対してラベルシートLSが帯状に当接した状態でグリップしながら、対向配置された印字ヘッド61によって印字処理を行う。
【0037】
(搬送機構70)
搬送機構70は、図5に示すように、上記印字ユニット60の上流側に配置された搬送ローラ71・72によって構成される搬送ローラ対を有している。そして、搬送機構70は、この搬送ローラ71・72によって、ラベルロールLRからラベルシートLSを引き出しながら、印字ヘッド61の直下にある印字位置を経由して、ラベルシートLSが巻き取られるラベルシート巻取部50まで所定の方向へ搬送する。また、搬送機構70は、上述した制御部20によって、搬送方向や搬送速度等の搬送条件を制御されている。
【0038】
搬送ローラ71・72は、印字ローラ62と同様に、表面がゴム系の素材によって形成されている。搬送ローラ71は、搬送ローラ72に対して近接配置されており、ラベルシートLSを上方から押下してラベルシートLSに適度な張力を付与する従動ローラである。一方、搬送ローラ72は、搬送ローラ71との間にラベルシートLSを挟持して回転することで、ラベルシートLSを所定の方向へ搬送する駆動ローラである。
【0039】
<ラベル発行処理の手順>
この計量プリンタ1では、商品マスタ21a(図2参照)にある種々の商品に対して、重量や入数(商品に含まれる単品の個数)を基準として価格を設定する販売形態、あるいは重量等に関係なく商品を定額で販売する定額販売形態といった販売形態に応じて、商品に貼付するラベルLを発行する。以下で、本計量プリンタ1において、定額販売形態を選択する場合のラベル発行処理の手順を説明する。
【0040】
液晶モニタ5に表示されるメニューに従って定額販売を選択してさらに商品を選択すると、例えば、図1に示すような画面が表示される。ここでは、呼出し番号1の商品名「国産牛モモ薄切り北海道産」に対して、特価モードの選択及び販売価格(定額)の入力を行う。
販売価格の入力は、操作パネル6のテンキー等を用いて行う。例えば、1パックを一律定額の360円で販売する場合には、「360」を入力する。
【0041】
特価モードの選択は、「なし」,「M特価」,「特単価」,及び「−%」の中から選択を行う。なお、「なし」は、商品を値引きなしの価格で販売する場合に選択される。「M特価」は、商品が特売品であり、ラベルに値引きの程度(値引き度合い)を印字させない場合に選択される。「特単価」は、商品が特売品であり、特売価格を併せて特売単価をラベルに印字させる場合に選択される。「−%」は、商品が特売品であり、特売価格の通常価格に対する割引率をラベルに印字させる場合に選択される。
【0042】
ここで入力された販売価格および特価モードは、商品マスタ21a内の商品別ファイルに記憶される。この商品別ファイルは、呼出し番号、商品名、通常単価等の商品毎の情報を記憶している。呼出し番号は、商品マスタ21aから各商品のデータを読み出す際に使用されるコードであり、呼出し番号ごとにこれらの商品情報が記憶される。
そして、特価モード選択時に、「なし」、「M特価」および「特単価」をそれぞれ選択した場合には、印字ヘッド61によって、それぞれ対応するラベルが印字・発行される。
【0043】
[計量プリンタ1の特徴]
(1)
本実施形態の計量プリンタ1は、本体部3の内部に格納可能なカセット部4に対して、ラベルロールLRを挿着するための挿着軸31と、挿着軸31と平行に配置した回動軸33に対して回動可能なロールガイド32と、が取り付けられている。そして、カセット部4が、図7(b)に示すように、本体部3に格納されたときに、紙巻LTの一部と挿着方向において対向するように隣接した位置においてロールガイド32が回動することを規制する回動規制部25を備えている。
【0044】
これにより、カセット部4が本体部3に格納されていないとき、例えば、ラベルロールの交換等のためカセット部4を本体部3から引き出したときは、ロールガイド32は回動することを規制されていない。すなわち、ロールガイド32は、図7(a)に示すように、ロールガイド32のつめ部32aと係止部27とは物理的な距離によって係合できず、回動することを規制されていない。このとき、例えば、ラベルロールの交換等において、容易にロールガイド32を図6(b)に示すように待避させることができる。一方、カセット部4が本体部3に格納されたときは、図7(b)に示すように、ロールガイド32は回動することを規制されている。すなわち、ロールガイド32の回動軸33側の端部は、図7(a)および図7(b)に示す実線矢印方向に回動しようとするが、カセット部4が本体部3に格納された図7(b)の位置においては、ロールガイド32のつめ部32aが係止部27に係合し、実線矢印方向の回動が規制される。
【0045】
これにより、ロールガイド32を紙巻LTの一部の側方に側面視において重なる位置から外れることがないように近接して配置することが可能となる。
この結果、従来のような挿着軸の端部にロールガイドが取り付けられた構造において行っていたラベルロール交換時のロールガイドの取り外しを行うことなく、容易にラベルロールLRの交換が行えるとともに、ラベルロールLRの回転時の脱落を確実に防止することが可能となる。
【0046】
(2)
本実施形態の計量プリンタ1では、回動規制部25は、カセット部4に取り付けられているロールガイド32に形成されたつめ部32aおよび本体部3に配置された係止部27が所定の位置関係に配置されたとき、すなわち、本体部3に対してカセット部4が完全に格納されたときにのみ、前述の2つの部材(つめ部32aと係止部27)が係合してロールガイド32が回動することを規制する。
【0047】
これにより、カセット部4が本体部3に格納されたときにのみ、ロールガイド32が回動することを規制する機構を容易に形成することができる。
(3)
本実施形態の計量プリンタ1では、カセット部4は、スライドレール8を介して引き出し可能な状態で本体部3に取り付けられている。
【0048】
これにより、例えば、ラベルロールLRの交換等において、カセット部4を本体部3に対して出し入れする作業を容易に行うことが可能となる。
(4)
本実施形態の計量プリンタ1では、回動軸33は、カセット部4の側壁面に取り付けられており、装着軸31と平行に配置されている。また、本計量プリンタ1で使用すると想定されるラベルロールLRの外径よりも外側に配置されている。
【0049】
これにより、ロールガイド32を回動させて待避位置へ移動させればロールガイド32を取り外すことなく、ラベルロールLRを取り付け可能となる。
(5)
本実施形態の計量プリンタ1では、図8(b)に示すように、ロールガイド32を持ち上げたとき、ロールガイド32の回動軸33側の端部と溝部35aとの嵌合が外れ、回動軸33方向への移動を可能としている。
【0050】
これにより、ロールガード32を回動軸33方向、すなわち、ラベルロールLRの幅方向に対して自由に移動でき、紙巻LTの一部の側方に側面視において重なる位置に近接して配置することができる。この結果、目的に合わせて幅の異なるラベルロールLRを使用することが可能となる。
(6)
本実施形態の計量プリンタ1では、ロールガイド32が回動軸33方向に沿って移動することを規制する移動規制部34を備えている。
【0051】
これにより、ロールガード32を紙巻LTの一部の側方に側面視において重なる位置に近接して配置して、ラベルロールLRが挿着軸31から挿着方向に抜け出すことを防止している。
(7)
本実施形態の計量プリンタ1では、図8(a)に示すように、ロールガイド32が、紙巻LTの一部の側方に側面視において重なる位置に近接して配置したときに、ロールガイド32の回動軸33側の端部と溝部35aとが嵌合する。
【0052】
これにより、ロールガイド32が回動軸33方向において移動することを規制する機構を容易に形成している。
(8)
本実施形態の計量プリンタ1では、溝部35aを回動軸33方向に沿って複数配置している。
【0053】
これにより、ラベルロールLRの幅に合わせて回動軸33方向におけるロールガイド32の位置調整を容易に行うことが可能となる。
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0054】
(A)
上記実施形態の計量プリンタ1では、ロールガイド32が、回動軸33方向に移動可能な状態で取り付けられた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
ロールガイドは、回動軸方向に移動が不可能な状態で取り付けられていてもよく、この場合においても、ラベルロールLRの交換を容易に行うとともに、ラベルロールLRの回転時の脱落を確実に防止するという上記の実施形態に係る計量プリンタ1と同様の効果を得ることができる。
【0055】
ただし、1台の計量プリンタに対して複数の幅の異なるラベルロールを用意し、商品に応じてラベルロールの交換を行うことが多い状況においては、ロールガイドが、回動軸方向に移動可能な状態で取り付けられていることが望ましい。
(B)
上記実施形態の計量プリンタ1では、ロールガード32の回動を規制する回動規制部25が、ロールガイド32において回転軸側の端部近傍に形成されたつめ部32aと、つめ部32aに対して係合する本体部3に配置された係止部27と、によって形成された例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0056】
例えば、回動規制部は、ロールガイドの回動軸側の端部の一部に凸部を形成し、その凸部と嵌合するための凹部を本体部に形成してもよい。この場合も、ロールガイドの回動を規制することができ、上記の実施形態に係る計量プリンタ1と同様の効果を得ることができる。
(C)
上記実施形態の計量プリンタ1では、ロールガイド32を紙巻LTの一部の側方に側面視において重なる位置に近接して配置するための移動規制部34が、ロールガイド32の回動軸33側の端部の一部と、スリット部35における溝部35aと、が嵌合することによって形成された例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0057】
例えば、移動規制部は、カセット部に設けられた凹部に対してロールガイドの回動軸側の端部の一部と嵌合するように形成してもよい。この場合も、ロールガイドの回動軸方向への移動を規制することができ、上記の実施形態に係る計量プリンタ1と同様の効果を得ることができる。
(D)
上記実施形態の計量プリンタ1では、ロールガイド32の回動軸33側の端部の一部と嵌合する溝部35aが複数形成されている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0058】
例えば、ロールガイドの回動軸側の端部の一部と嵌合する溝部は一つであってもよい。この場合においても、ロールガイドの回動軸方向への移動を規制することができ、上記の実施形態に係る計量プリンタ1と同様の効果を得ることができる。
ただし、1台の計量プリンタに対して複数の幅の異なるラベルロールを用意し、商品に応じてラベルロールの交換を行うことが多い状況においては、ラベルの幅方向において容易に位置調節が可能であるスリット形状を採用することが望ましい。
【0059】
(E)
上記実施形態の計量プリンタ1では、本体部3にスライドレール8を介してカセット部4を取り付け、本体部3の前方にスライドする引き出し構造のカセット部4の例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、本体部に対してカセット部が取り付けられていなくても、本体部内部に格納できるような構造であればよい。この場合も、カセット部が本体部に対して所定の位置、すなわち、格納されたときにのみロールガイドの回動が規制されるという上記の実施形態に係る計量プリンタ1と同様の効果を得ることができる。
【0060】
(F)
上記実施形態の計量プリンタ1では、挿着軸31に挿着されるラベルロールLRの芯管部が紙巻LTである例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、ラベルロールLRの芯管が樹脂等、紙以外の素材で形成されていてもよい。この場合も、上記の実施形態に係る計量プリンタ1と同様の効果を得ることができる。
【0061】
(G)
上記実施形態では、計量プリンタ1に対して本発明を適用した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、ラベル発行機構に計量機能および包装機能を組み合わせた自動計量包装値付装置や、計量プリンタ、スケールレジスター、インフォメーションラベルプリンタ等をネットワークを介して接続した計量包装値付システムに対して本発明を適用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明のラベル発行装置は、挿着軸に挿着されたラベルロールの抜け落ちを防止するとともに、ラベルロールの交換を容易にするという効果を奏することから、ロール体に巻回された長尺のシートを搬送する各種装置に対して広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施形態に係る計量プリンタの外観を示す斜視図。
【図2】図1の計量プリンタに形成される制御ブロック図。
【図3】図1の計量プリンタにおけるカセット部の未格納状態を示す斜視図。
【図4】図1の本体部における背面図。
【図5】図1のカセット部の構成を概略的に示す内部断面図。
【図6】(a)は、図5のロールガイドの配置を示す模式図。(b)は、図5のロールガイドの待避状態を示す模式図。
【図7】(a)は、図1のカセット部が未格納であるときのロールガイドにおける係合状態を示す模式図。(b)は、図1のカセット部が格納されたときにおけるロールガイドの係合状態を示す模式図。
【図8】(a)は、図5のロールガイドとスリット部との嵌合を示す模式図。(b)は、図5のロールガイドとスリット部との待避位置における関係を示す模式図。
【符号の説明】
【0064】
1 計量プリンタ(ラベル発行装置)
2 計量部
3 本体部(本体フレーム)
4 カセット部
4a ラベル発行口
5 液晶モニタ
6 操作パネル
8 スライドレール
20 制御部
21 メモリ
21a 商品マスタ
22 計算部
25 回動規制部
26 孔部
27 係止部(受け部材)
30 ラベル収納部
31 挿着軸(挿着部)
32 ロールガイド
32a つめ部(つめ部材)
33 回動軸
34 移動規制部
35 スリット部
35a 溝部
50 ラベルシート巻取部
51 巻取り軸
60 印字ユニット
61 印字ヘッド
62 印字ローラ
70 搬送機構
71 搬送ローラ
72 搬送ローラ
L ラベル
LS ラベルシート(シート状材料)
LT 紙巻(芯管)
LR ラベルロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベルが貼付された長尺のシート状材料が芯管に巻回されたラベルロールに対してラベル印字を行うラベル発行装置であって、
本体フレームと、
前記本体フレームに対して所定方向への移動が可能な状態で取り付けられており、前記本体フレームに格納されるカセット部と、
前記カセット部に取り付けられており、前記ラベルロールの前記芯管が挿着される挿着部と、
前記カセット部に取り付けられた前記挿着部と略平行に配置されている回動軸に対して回動可能な状態で取り付けられており、前記ラベルロールの前記芯管の一部と挿着方向において対向する位置に配置されて前記ラベルロールの前記挿着方向への脱落を防止するロールガイドと、
前記カセット部が前記本体フレームに対して格納されたとき、前記ロールガイドの回動を規制する回動規制部と、
を備えているラベル発行装置。
【請求項2】
前記回動規制部は、前記ロールガイドの前記回転軸側の端部近傍に形成されたつめ部材に対して係合する前記本体フレームに配置された受け部材である、
請求項1に記載のラベル発行装置。
【請求項3】
前記カセット部は、前記所定方向にスライド可能な引き出し構造である、
請求項1または2に記載のラベル発行装置。
【請求項4】
前記ロールガイドの前記回動軸は、前記挿着部に挿着される前記ラベルロールの外径よりも外側に配置されている、
請求項1から3のいずれか1項に記載のラベル発行装置。
【請求項5】
前記ロールガイドは、前記回動軸方向に移動可能な状態で取り付けられている、
請求項1から4のいずれか1項に記載のラベル発行装置。
【請求項6】
前記ロールガイドが前記回動軸方向に移動することを規制する移動規制部をさらに備えている、
請求項5に記載のラベル発行装置。
【請求項7】
前記移動規制部は、前記ロールガイドの前記回動軸側の端部が嵌合する前記カセット部に配置された溝部である、
請求項6に記載のラベル発行装置。
【請求項8】
前記移動規制部は、前記回動軸方向において複数の前記溝部から形成されるスリット形状である、
請求項7に記載のラベル発行装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−223755(P2007−223755A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−48498(P2006−48498)
【出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】