説明

ラベル貼付装置

【課題】 印字部のプラテン回転用のモータや印字ヘッドなどを支持するベース部材の厚みを変えるだけで、取付け部品を装着する係止孔の位置を変更することなく共通化を図ることで他の組立て部材をそのまま使用できるラベル貼付装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 ラベル貼付装置において、装置本体は、右流れ用の組立て部材と、右流れ用の組立て部材に対し、鏡面対称とされる左流れ用の組立て部材6bと、板状であって少なくともプラテンを回動するモータ15を支持するとともに、厚み方向の中央部位が突状を呈した辺を少なくとも二辺備え、かつ、突状の中央部位に連続する厚み方向の側端部に段差部14bを形成したヘッドベース部材7と、を備え、ヘッドベース部材7は、右流れ用、または左流れ用の組立て部材の共通部品として用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、加工精度の要求されるベースとなる部材の共通化により部品点数を削減し、以て製造コストの低減化を図ることができるラベル貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送手段としてのコンベア上を搬送される物品(被貼付物)に対し、ラベルを貼り付けるラベル貼付装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、この種のラベル貼付装置にあっては、各種の製造現場にて使用されているため、コンベアの流れ方向や作業者の位置によりコンベアの一方の側面に配設(特許文献1の図1におけるコンベアの右側配置)する場合と、他方の側面(図1のラベル貼付装置の対面側)に配設する場合があり、同文献の図1に示すように、ラベル貼付装置に向かって帯状台紙を右側に繰り出して物品にラベルを貼付する機種は「右流れ」と称し、また、帯状台紙を左側に繰り出して物品にラベルを貼付する機種は「左流れ」と称している。
上記「右流れ」、あるいは、「左流れ」のラベル貼付装置はそれぞれ機種が異なるため、機能は同一でも対称形状の部品が必要となるという問題がある。
上記の問題点を解決するため、共通部品を使った記録装置が開発されている(例えば、特許文献2参照)。
特許文献2の記録装置によれば、キャリッジを支持するキャリッジ軸が掛け渡される一対のサイドフレームが、一対のサイドフレーム共通の基本部を共通形状としサイドフレーム間で形状が異なる異形部を、基本部とは異なる材料で形成して構成したものであり、より具体的には、一対のサイドフレームの一部である板金製の基本部を共通形状とし、かつ、この基本部に、位置決めの精度を高める必要性のあるすべての係止孔等をプレスにより打ち抜き形成することにより、各係止孔等に位置ずれが発生しないようにしている。
しかしながら、特許文献2の記録装置によれば、新たに共通形状とした基本部に、位置決めの精度を高める必要性のあるすべての係止孔を集中するため大幅な設計変更を必要とし、かつ、係止孔の変更に伴い異形部の形状も異なり、金型も設計し直す必要があるため、実質的には新機種(全く新たな機種)の設計段階から対応せざるを得ないという問題があった。
【特許文献1】特開2005−280822号公報
【特許文献2】特開2003−266868号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記の問題点に着目して成されたものであり、印字部のプラテン回転用のモータや印字ヘッドなどを支持するベース部材の厚みを変えるだけで、取付け部品を装着する係止孔の位置を変更することなく共通化を図ることで他の組立て部材をそのまま使用できるラベル貼付装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係るラベル貼付装置は、帯状台紙上にラベルが区画・形成されたラベル連続体に対し、印字ヘッドおよびプラテンを備えた印字部にて所望の印字を施すとともに、搬送手段上を搬送方向の下流に向けて搬送される被貼付物に対し、搬送手段の右側または左側に設けた装置本体にて前記ラベルを貼付するラベル貼付装置において、前記装置本体は、搬送手段の一方側に設ける右流れ用のカバーやブラケットなどの右流れ用の組立て部材と、前記右流れ用の組立て部材に対し、鏡面対称とされるカバーやブラケットなどの左流れ用の組立て部材と、板状であって少なくとも前記印字部のプラテンを回動するモータ、および印字ヘッドを支持するとともに、厚み方向の中央部位が突状を呈した辺を少なくとも二辺備え、かつ、前記突状の中央部位に連続する厚み方向の側端部に段差部を形成したヘッドベース部材と、を備え、前記ヘッドベース部材は、右流れ用、または左流れ用の前記組立て部材の共通部品として用いることを特徴とする。
また、ヘッドベース部材の段差部は、一方が右流れ用の組立て部材用、また他方が左流れ用の組立て部材用として形成され、かつ、段差部に組立て部材を取り付けた際、ヘッドベース部材と組立て部材の側面とが面一となるよう形成されるようにできる。
また、ヘッドベース部材の段差部に取り付ける組立て部材はマシンベース部材であり、このマシンベース部材を、右流れ用、または左流れ用の共通部材として用いるようにできる。
【発明の効果】
【0005】
本発明に係るラベル貼付装置は、装置本体に、厚み方向の中央部位が突状を呈した辺を備え、かつ、突状の中央部位に連続する厚み方向の側端部に段差部を形成したヘッドベース部材を備え、このヘッドベース部材を「右流れ用」、または「左流れ用」の組立て部品の「共通部品」として設けるようにしたので、部品共通化による部品点数の削減により省資源化が図れるとともに、ヘッドベース部材の厚みを厚くするだけで、加工精度が要求される取付け部品用の係止孔の位置を設計変更する必要がなく、設計変更が小規模で済む上、他の「組立て部材」は設計変更することなくそのまま使えるため、製造コストの低減化が図れるものである。
また、ヘッドベース部材の段差部を、一方が右流れ用の組立て部材用、また他方が左流れ用の組立て部材用として形成し、かつ、段差部に組立て部材を取り付けた際、ヘッドベース部材と組立て部材の側面とが面一となるよう形成すれば、出っ張りがなくなり、「角部」が形成されないので、見映えが良いばかりか、電線などがこすれて磨耗することがなくなる。
さらに、ヘッドベース部材の段差部に取り付ける組立て部材であるマシンベース部材を、右流れ用、または左流れ用の共通部材として用いるようにすれば、ヘッドベース部材を共通部品化した場合に比し、より多くの製造コストの低減化が期待できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態を図1ないし図7に基づき説明する。
【0007】
図1および図2は、ラベル貼付装置の「装置本体」の基本部分(エンジン部分)の組立て部品の一部を示す分解斜視説明図であり、図1は「右流れ用」、図2は「左流れ用」である。
図1に示すように、ラベル貼付装置の「右流れ用」の基本部分30aは、主に、背面カバー1a、サイドステー2a、取付けステー3a、取付けブラケット4a、5a、マシンベース部材6a、およびヘッドベース部材7などの「組立て部品」を備える。
一方、図2に示すように、「左流れ用」の基本部分30bは、前記「右流れ用」の基本部分30aと同様、主に、背面カバー1b、サイドステー2b、取付けステー3b、取付けブラケット4b、5b、マシンベース部材6b、およびヘッドベース部材7などの組立て部品を備えており、ヘッドベース部材7以外の組立て部品は、先の「右流れ用」の組立て部品に対し、「鏡面対称」(もしくは、「線対称」)と称される対称形状となっている。
ヘッドベース部材7は、「右流れ用」および「左流れ用」の基本部分30a、30bの中で、共通部品として「共通形状」にて作製されている。そして、上記「右流れ用」および「左流れ用」の基本部分30a、30bとも、共通部品のヘッドベース部材7、および流れ方向の機種に合わせたそれぞれの「組立て部品」を選択し、スクリュー8、または、スクリュー8およびワッシャー9などにより止めて組み立てるようになっている。
【0008】
次に、主に、図3に基づき、ヘッドベース部材7の詳細を説明する。
図3は、図2中、矢示III方向より見た概略斜視説明図である。
同図に示すように、ヘッドベース部材7は、主に、モータ用の係止孔10、プラテン用の係止孔11などの「印字部」に関わる「取付け部品」を装着するための「係止孔」が形成される部材であって、ほぼ矩形状の板状を呈しており、同図における上端部の辺12、および後端部の辺13の二辺は、厚み方向の中央部位が突状に形成されるとともに、突状の中央部位に連続する厚み方向の側端部には段差部14(14a、14b)が形成されている。
【0009】
次に、主に図4および図5に基づき、共通部品であるヘッドベース部材7と、「組立て部材」の一部であるマシンベース部材6との組み合わせ状態を説明する。なお、説明の都合上、ヘッドベース部材7およびマシンベース部材6に形成されている各種の「係止孔」は省略してある。
図4は、図1中、矢示IV方向より見た概略斜視説明図であり、図4(a)はヘッドベース部材7の一方の段差部14aに「右流れ用」のマシンベース部材6aを組合せる状態を示している。段差部14aの厚みと、マシンベース部材6aの厚みとはほぼ同じ厚みとなっており、図4(b)に示すように、ヘッドベース部材7の段差部14aにマシンベース部材6aを組立てた状態で、ヘッドベース部材7の段差部14a、および「突出部」の側面にてマシンベース部材6aの二辺12、13の側面を当接させた状態で、ヘッドベース部材7と、マシンベース部材6aとの側面(図4における左側面)が面一となるようにされている。
また、図5は、図2中、III方向より見た概略斜視説明図であり、図5(a)はヘッドベース部材7の他方の段差部14bに「左流れ用」のマシンベース部材6bを組合せる状態を示している。段差部14bの厚みと、マシンベース部材6bの厚みとはほぼ同じ厚みとなっており、図5(b)に示すように、ヘッドベース部材7の段差部14bにマシンベース部材6bを組立てた状態で、前記「右流れ用」と同様、ヘッドベース部材7と、マシンベース部材6bの側面(図4における右側面)が面一となるようにされている。
【0010】
次に、図6に基づき、「組立て部品」が組立てられた状態を示す。
図6は、図5に示すように、ヘッドベース部材7の段差部14bに「左流れ用」のマシンベース部材6bを組合せるとともに、必要な「取付け部品」を装着した状態を示す概略斜視説明図である。
ヘッドベース部材7には、主に、モータ15が同図におけるヘッドベース部材7の裏面(左)側に取り付けられ、前記モータ用の係止孔10を挿通してモータ15の軸15aが手前(右)側に突出して取付けられ、また、プーリー16が同図における表面(手前)側において前記プラテン用の係止孔11に回転自在に取付けられている。さらに、モータ15の軸15aとプーリー16間にベルト17が掛け渡されて取り付けられている。
一方、マシンベース部材6bには、モニター部18aや入力ボタン18bなどを備えた操作部18、ラベルガイド19、ステーブロック20、およびガイドローラ21などが、同図における表面(手前)側に突出して取り付けられている。
この組立て状態は、ラベルガイド19などの取り付けられたマシンベース部材6bが同図における奥(右)側に、また、図示省略のプラテンを回転させる「印字部」のモータ15などの取り付けられたヘッドベース部材7が同図における手前(左)側に、各々組立てられた状態であり、ラベルガイド19などを経て奥側より手前側の「印字部」側に図示省略の帯状台紙(図示省略)を繰り出すようになっており、ラベルガイド19が突出する側より見て、帯状台紙(図示省略)が左側に繰り出されるようになっていることから「左流れ用」の機種に対応した組合せとされる。)
なお、「右流れ用」の機種に対応する組合せも、前記「左流れ用」と同様につき、詳説を省略する。
【0011】
図7は、前記「組立て部品」の組立て(図6参照)を経て完成したラベル貼付装置50であり、ヘッドベース部材7には、前記ベルト17、プーリー16などのほか、印字ヘッド31、およびプラテン32などより成る印字部33などが取り付けられ、また、マシンベース部材6aには、前記操作部18、ラベルガイド19、ステーブロック20、ガイドローラ21などのほか、ラベル34が帯状台紙35上に区画・形成されたラベル連続体36を供給する供給軸37や、帯状台紙35のみを巻き取る台紙巻取り軸38などが取り付けられている。そして、供給軸37に装着したラベル連続体36は、ラベルガイド19、ステーブロック20、ガイドローラ21などを経て印字機構33側へと繰り出し、印字部33にて帯状台紙35のみ「転向」と称する方向変換を行なって台紙巻取り軸38へと巻き取るようになっている。このラベル貼付装置50は、ラベルガイド19が突出する側より見て、帯状台紙35が左側に繰り出されるようになっている「左流れ用」の機種とされる。
【0012】
以上説明したように、「装置本体」の基本部分30a、30bに、厚み方向の中央部位が突状を呈した辺12、13を備え、かつ、突状の中央部位に連続する厚み方向の側端部に段差部14(14a、14b)を形成したヘッドベース部材7を備え、このヘッドベース部材7を「右流れ用」、または「左流れ用」の「組立て部品」の「共通部品」として設けるようにしたので、部品共通化による部品点数の削減により省資源化が図れるとともに、ヘッドベース部材7の厚みを厚くするだけで、加工精度が要求されるモータ15用の係止孔10やプラテン用の係止孔11などの取付け部品用の係止孔の位置を設計変更する必要がないので、設計変更が小規模で済む上、他の「組立て部材」は設計変更することなくそのまま使えるため、製造コストの低減化が図れるものである。
【0013】
なお、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは言うまでもない。
【0014】
例えば、説明の都合上、ヘッドベース部材7のみを共通部品とした例で説明したが、これに限定されないことは勿論であり、ヘッドベース部材7の段差部14(14a、14b)に組み合わせるマシンベース部材6a、6bも共通(部品)化が可能である。すなわち、「右流れ用」と「左流れ用」で、ラベルガイド19やステーブロック20などの「取付け部品」の突出する方向が異なるだけで、「係止孔」の位置は変らないため、共通化が可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のラベル貼付装置の基本部分の「右流れ用」組立て部品の一部を示す分解斜視説明図である。
【図2】同、基本部分の「左流れ用」組立て部品の一部を示す分解斜視説明図である。
【図3】同、図2中、矢示III方向より見た概略斜視説明図である。
【図4】同、図1中、矢示IV方向より見た概略斜視説明図である。
【図5】同、図2中、III方向より見た概略斜視図である。
【図6】同、必要な「取付け部品」を装着した例を示す図5相当の概略斜視説明図である。
【図7】同、組立て部品の組み立てを経て完成したラベル貼付装置の概略斜視説明図である。
【符号の説明】
【0016】
30a、30b 基本(エンジン)部分
1a、1b 背面カバー
2a、2b サイドステー
3a、3b 取付けステー
4a、4b、5a、5b 取付けブラケット
6a、6b マシンベース部材
7 ヘッドベース部材
8 スクリュー
9 ワッシャー
10 モータ用の係止孔
11 プラテン用の係止孔
12 上端部の辺
13 後端部の辺
14、14a、14b 段差部
15 モータ
16 プーリー
17 ベルト
18 操作部
18a モニター部
18b 入力ボタン
19 ラベルガイド
20 ステーブロック
21 ガイドローラ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状台紙上にラベルが区画・形成されたラベル連続体に対し、印字ヘッドおよびプラテンを備えた印字部にて所望の印字を施すとともに、搬送手段上を搬送方向の下流に向けて搬送される被貼付物に対し、搬送手段の右側または左側に設けた装置本体にて前記ラベルを貼付するラベル貼付装置において、
前記装置本体は、
搬送手段の一方側に設ける右流れ用のカバーやブラケットなどの右流れ用の組立て部材と、
前記右流れ用の組立て部材に対し、鏡面対称とされるカバーやブラケットなどの左流れ用の組立て部材と、
板状であって少なくとも前記印字部のプラテンを回動するモータ、および印字ヘッドを支持するとともに、厚み方向の中央部位が突状を呈した辺を少なくとも二辺備え、かつ、前記突状の中央部位に連続する厚み方向の側端部に段差部を形成したヘッドベース部材と、を備え、
前記ヘッドベース部材は、右流れ用、または左流れ用の前記組立て部材の共通部品として用いることを特徴とするラベル貼付装置。
【請求項2】
前記ヘッドベース部材の段差部は、一方が右流れ用の組立て部材用、また他方が左流れ用の組立て部材用として形成され、かつ、前記段差部に組立て部材を取り付けた際、ヘッドベース部材と組立て部材の側面とが面一となるよう形成されることを特徴とする請求項1記載のラベル貼付装置。
【請求項3】
前記ヘッドベース部材の段差部に取り付ける組立て部材はマシンベース部材であり、このマシンベース部材は、右流れ用、または左流れ用の共通部材として用いることを特徴とする請求項1または2記載のラベル貼付装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−261677(P2007−261677A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−93019(P2006−93019)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】