説明

ラベル貼付装置

【課題】安価な部品と簡単な機構により、ラベル貼付部を目的の位置に正確に移動調整でき、安定したラベル貼付ができるラベル貼付装置を提供する。
【解決手段】搬送手段により搬送される物品に対して、ラベル発行部から発行されたラベルを受け取って貼付するラベル貼付部と、該ラベル貼付部を搬送手段の搬送路の幅方向に移動させる移動機構部を備えたラベル貼付装置Aにおいて、前記移動機構部は、前記ラベル貼付部を支持する支持部3に、前記搬送手段の搬送路の幅方向に沿って、ラックギヤ板6を配置し、該ラックギヤ板のギヤに、前記ラベル貼付部に取り付けたピニオンギヤ8を噛合させ、該ピニオンギヤ8はモータ18によって駆動自在とし、更に前記ラックギヤ板6は前記ピニオンギヤ8と噛合する方向に弾発摺動自在とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はラベル貼付装置に係り、更に詳しくはコンベア等で搬送される移動中の物品に対するラベルの貼付位置を調整できるラベル貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送中の物品に対し貼付するラベルは、物品のサイズ等によりラベルの貼付位置が異なる為、ラベル貼付部は物品に応じてコンベアの搬送路の幅内を幅方向に移動調整できるように構成されている。その構成は、例えば、駆動ギヤと伝達ベルト(歯付ベルト)の機構を用いてラベル貼付部を移動させるものがある。
しかし、ベルトは緩む欠点があるため、ギヤ及びベルトの歯飛びが発生し、前記ラベル貼付装置が正しい位置に移動しない等の問題が発生する可能性があった。そのため、前記問題を解決する為に、ラベル貼付部を移動させる構成としてラック軸とピニオンギヤを用いた装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、ラック軸とピニオンギヤを用いた装置の場合、ラック軸とピニオンギヤとからなる移動機構の下方にラベル貼付部がぶら下がる構成となっているため、ラベル貼付部が移動開始または停止する時に揺れが発生し、前記ラベル貼付部が揺れ、前記ラック軸とピニオンギヤとの噛み合せに無理な角度からの負荷が掛かってしまう為、前記ラック軸とピニオンギヤとからなる移動機構部に故障が多発するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第2518610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、安価な部品と簡単な機構により、ラベル貼付部を目的の位置に正確に移動調整でき、安定したラベル貼付ができるラベル貼付装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成する為に本発明のラベル貼付装置は、搬送手段により搬送される物品に対して、ラベル発行装置から発行されたラベルを受け取って貼付するラベル貼付部と、該ラベル貼付部を搬送手段の搬送路の幅方向に移動させる移動機構部を備えたラベル貼付装置において、前記移動機構部は、前記ラベル貼付部を支持する支持部に、前記搬送手段の搬送路の幅方向に沿って、ラックギヤ板を配置し、該ラックギヤ板のギヤに、前記ラベル貼付部に取り付けたピニオンギヤを噛合させ、該ピニオンギヤはモータによって駆動自在とし、更に前記ラックギヤ板は前記ピニオンギヤと噛合する方向に弾発摺動自在としたことを特徴とする(請求項1)。
前記ラックギヤ板のギヤに噛合するピニオンギヤの駆動は、モータによって直接駆動する、或いはモータの回転をベルト伝達等の伝達手段を介して駆動する間接駆動の何れでもよい。
【0007】
上記手段によれば、ラベル貼付部はモータの駆動によってピニオンギヤが駆動回転することで、ラックギヤ板に沿って移動する。そして、ラベル貼付部の移動による振動等でラックギヤ板のギヤに対するピニオンギヤの噛合い角度の変化、或いは負荷強度が変化した場合、ピニオンギヤと噛合するラックギヤ板は支持部に弾発摺動可能に支持されているため、ピニオンギヤの変化に追従して移動し、衝撃を吸収し、常に最良の噛合状態を確保することができる。それにより、ラベル貼付部を目的の位置に正しく移動でき、物品の所定の位置にラベルを貼付することができる。
【0008】
前記ラックギヤ板を弾発摺動可能に支持する具体的構造は、例えば、前記ピニオンギヤと噛合する方向への移動を可能とする長孔を該ラックギヤ板の長手方向に沿い所定間隔をおいて複数個開設し、更に前記ラックギヤ板を前記ピニオンギヤと噛合する方向に弾発付勢する付勢手段を備えたラック板受けを介して前記支持部に配置する(請求項2)。
前記ラックギヤ板を移動可能とする長孔は、該ラックギヤ板を支持部に定着する止ネジの軸径より大径であればよく、その孔の形態は長孔、トラック形、楕円形等、何れでもよい。また、前記長孔の数は少なくとも2個以上で、好ましくはラックギヤ板の全長を等分する複数個所に設ける。
また、付勢手段を備えるラック板受けは、ラックギヤ板を挟むように上下に配置する、或いは上下何れか一方にのみ配置する等何れでもよい。
【0009】
上記手段によれば、ラックギヤ板は長孔によって移動可能に支持され、且つラック板受けに設けた付勢手段でピニオンギヤと噛合する方向に付勢されているため、ピニオンギヤの変化に追従する動作がスムーズで、バックラッシュが無くなり、常に安定した噛合い状態が確保される。
【0010】
また、前記ラック板受けの具体的構造は、例えば、前記ラックギヤ板と略同じ長さの帯板に、前記付勢手段を装着する取付孔が開設し、且つ該取付孔の内面に付勢手段を係着保持す突起が前記ラックギヤ板の移動方向に向けて突出形成され、前記取付孔に装着される付勢手段(コイルスプリング)の一端部は前記ラックギヤ板のギヤ形成面と反対側の面に弾圧接する(請求項3)。
前記ラックギヤ板の付勢手段が弾圧接される箇所には、ラック板受けの突起と対向させて突起(スプリング受け)を設けてもよい。
【0011】
上記手段によれば、ラックギヤ板をピニオンギヤと噛合する方向に付勢する付勢手段の装着(組み付け)を簡単且つ確実に行うことができる。そして、取付孔に装着された付勢手段は、取付孔と突起によって当初の状態のまま維持することができる。
【0012】
また、前記ラベル貼付部に取り付けたピニオンギヤは、該ラベル貼付部と一体のアームに取り付けられており、前記アームに、前記ピニオンギヤと一定の間隔をおいてガイドローラを取り付け、該ガイドローラを前記ラック板受けにおけるラックギヤ板の移動方向と反対側の側縁に摺接させた構成としてもよい(請求項4)。
【0013】
上記手段によれば、ピニオンギヤとガイドローラの間隔は一定である為、支持部に対して摺動する吊り部材は、ガタツキの無い安定した動作が確保される。
【0014】
更に、前記支持部は、前記ラックギヤ板を挟む両側面にラベル貼付部の移動方向に沿ってガイドレールを備え、該ガイドレールに前記吊り部材に取り付けたコロを嵌着した構成としてもよい(請求項5)。
また、本発明のラベル貼付装置にラベルを供給するラベル発行装置は、予め所定事項が印字されたラベルが台紙に剥離可能に仮着され、その印字済みラベルロールをセットし、ディスペンサーでラベルを剥離発行する印字機能を備えないラベル発行装置、或いはディスペンサーより上流側に印字部を備え、台紙に仮着されたラベル用紙に前記印字部で所定事項を印字し、印字後、ラベル用紙をディスペンサーで剥離し発行するラベル発行装置の何れでもよい。
【0015】
上記手段によれば、アームは支持部を跨いでコロがガイドレールに嵌着するため、振動は少なく、安定した移動が確保され、ラベル貼付部を目的の位置に正しく移動することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のラベル貼付装置は請求項1記載の構成により、ラベル貼付部の移動による振動等でラックギヤ板のギヤに対するピニオンギヤの噛合い角度の変化、或いは負荷強度が変化した場合、ピニオンギヤと噛合するラックギヤ板は支持部に弾発摺動可能に支持されているため、ピニオンギヤの変化に追従して移動し、衝撃を吸収し、常に最良の噛合状態を確保することができる。それにより、ラベル貼付部を目的の位置に正しく移動でき、物品の所定の位置にラベルを貼付することができる。又、ラックギヤ板とピニオンギヤとのラックギヤ板の弾発摺動によって常に最適な噛合い状態に維持される為、精度の高いラック・ピニオンギヤを使用しなくとも安価に製作できるギヤで高精度な移動調整を行うことができる。
また、請求項2記載の構成により、ピニオンギヤの変化に追従する動作がスムーズで、バックラッシュが無くなり、常に安定した噛合い状態が確保される。
また、請求項3記載の構成により、ラックギヤ板をピニオンギヤと噛合する方向に付勢する付勢手段の装着(組み付け)を簡単且つ確実に行うことができる。
【0017】
また、請求項4記載の構成により、支持部に対して摺動するアームはガタツキの無い安定した動作が確保される。
また、請求項5記載の構成により、ラベル貼付部の移動の際、振動は少なく、安定した移動が確保され、ラベル貼付部を目的の位置に正しく移動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るラベル貼付装置の実施の形態の一例を示し、(a)は正面図、(b)は側面図。
【図2】同拡大平面図。
【図3】(a)は要部の拡大平面図、(b)は(a)図の縦断面図。
【図4】ラックギヤ板の取付構造を示す分解斜視図。
【図5】ラックギヤ板とピニオンギヤの噛合い状態を示し、(a)はピニオンギヤがラックギヤ板に+荷重で噛合する状態、(b)は−荷重で噛合する状態。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態の一例を図面に基づき説明する。
図1は、ラベル貼付装置の外観図で、物品Wを搬送するベルトコンベア(搬送手段)1を備えた搬送テーブル1’の側部に支柱2が起立され、その支柱2の上部には前記ベルトコンベア1の搬送方向と直交させて支持部3が突設され、その支持部3にラベル貼付装置Aが該支持部3に沿って摺動可能に支持され、更に前記支柱2には前記ラベル貼付装置Aの動作を制御する表示操作部4が配置され、該表示操作部4からの入力操作によりラベル貼付装置Aが作動して前記搬送テーブル1’上を搬送される物品Wの上面所定位置にラベルを貼付し得るように構成されている。
【0020】
前記ラベル貼付装置Aは、ラベル発行部A1とそのラベル発行部A1から発行されたラベルを物品Wに貼付するラベル貼付部A2とを備える。
ラベル発行部A1は、印字済みのラベルが台紙に仮着されたラベルロールを、ラベル供給リールにセットし、ラベルロールから引き出した台紙をディスペンサーに通してラベルを台紙から剥離発行し、台紙は台紙巻取り軸に巻き取るタイプの印字部を備えないラベルプリンタである。尚、ラベル発行部A1は台紙に仮着されたラベル用紙に印字部(印字ヘッド)で所定事項を印字し、印字後、ディスペンサーで印字済みラベルを台紙から剥離し、台紙は台紙巻取り軸に巻き取る印字部を備えた今日周知のラベルプリンタでもよい。
【0021】
前記ラベル発行部A1から発行されたラベルを受け取って搬送テーブル1’上を移動する物品Wに前記ラベルを貼付するラベル貼付部A2は、発行されるラベルを、空気の負圧作用によってラベルを吸着保持し、そのラベルを吸着保持した部材を、移動中の物品Wに押し付けて前記ラベルを物品に貼付する構成(例えば、特開2000−296822号公報、特開2003−165515号公報参照)のもので、該ラベル貼付部A2によって貼付するラベルの貼付位置は物品Wの大きさ(例えば、トレーのサイズ)や形によって異なる。その為に、前記ラベル貼付装置Aは、搬送される物品Wの大きさや形に合わせてラベルの貼付位置を変更できるように、支持部3に対して移動可能に支持されている。
【0022】
以下にラベル貼付部A2(ラベル貼付装置A)の支持構造について説明する。
その支持構造は、図1に示すように、支柱2より搬送テーブル1’の搬送方向と直交する方向に支持部3が突出形成され、その支持部3に、前記ラベル貼付装置Aがアーム5を介して片持ち状態で摺動可能に垂下支持されている。
【0023】
前記支持部3は金属板を用いて断面略方形の筒状に構成され、その支持部3の長手方向の一側部が支柱2に固着され、他側部が前記搬送テーブル1’を横切るように突出されている。そして、支持部3とアーム5とにラベル貼付部A2(ラベル貼付装置A)を前記搬送テーブル1’の幅方向に移動させる移動機構部Bが設けられている。
【0024】
前記移動機構部Bは、前記支持部3の上面にラックギヤ板6を、支持部3の左右側面にガイドレール7,7’をそれぞれ長手方向に沿って配置し、前記ラックギヤ板6と噛合するピニオンギヤ8、及び前記ガイドレール7,7’に嵌合するコロ9が前記アーム5に取り付けられて構成されている。
【0025】
前記ラックギヤ板6は、帯板の長手方向一側面にギヤ6aが形成され、且つ帯板の平面部分には長孔10が長手方向に所定の間隔をおいて複数個(図示例では5個)形成され、この長孔10を用いて支持部3に摺動可能に取り付けられる。
又、ラックギヤ板6の他側面(ギヤ6aが形成された面と反対側)には、該ラックギヤ板6をピニオンギヤ8と噛合する方向に付勢するコイルスプリング(付勢手段)11を係着保持する突起12が前記長孔10の線上に形成されている。
【0026】
前記ラックギヤ板6の取り付けは、図3に示すように、前記ラックギヤ板6の長孔10に、該長孔10の短径と略同径のカラー15挿入セットし、そのラックギヤ板6を下ラック板受け12と上ラック板受け12’で挾着し、更に上ラック板受け12’の上に押え板13を載せ、その押え板13上方から止ネジ14を挿通して取り付ける。そして、前記下ラック板受け12、上ラック板受け12’及び押え板13に開設する止ネジ14の挿通孔は該止ネジ14の軸径より僅かに大きい孔とし、止ネジ14でとめた場合、下ラック板受け12、上ラック板受け12’、及び押え板13は少なくともラックギヤ板6と一緒に移動しないようになっている。前記カラー15の内径は、下ラック板受け12、上ラック板受け12’、及び押え板13に開設される挿通孔と同様、止ネジ14の軸径より僅かに大きい孔とし、カラー15も止ネジ14で固定され、ラックギヤ板6は長孔10のカラー15との間に生じる隙間(長孔の長径とカラー外径との隙間)分だけ移動可能となる。
【0027】
又、前記上ラック板受け12’には、止ネジ14の挿通孔を通る線上に、前記ラックギヤ板6をピニオンギヤ8と噛合する方向に付勢する付勢手段のコイルスプリング11をセットする取付孔16が開設され、更にその取付孔16の内面には該取付孔16に挿入セットされるコイルスプリング11を係着保持する突起17,17’が対向して突出形成されている。尚、前記ラックギヤ板6の組み付けは、前記取付孔16に挿入セットされるコイルスプリング11に圧縮力が作用する状態で行い、ラックギヤ板に作用する+荷重、−荷重の何れの方向に対しても摺動するようにする。
【0028】
前記ラックギヤ板6のギヤ6aと噛合するピニオンギヤ8は、支持部3の左右両側に配置した溝で形成されたガイドレール7,7’にコロ9が嵌合されて摺動可能に支持されたアーム5に垂下され、該ピニオンギヤ8はアーム5の上に設置したモータ18によって駆動回転するように構成されている。また、ピニオンギヤ8はラックギヤ板6の板厚より厚く形成され、アーム5が多少上下動してもラックギヤ板6との噛み合い状態が保持されるようになっている。
前記コロ9は、アーム5より垂下した左右一対の取り付け板20,20’に対向して取り付けられている。
又、前記アーム5には前記上ラック板受け12’の側縁と当接するガイドローラ19が垂下取り付けられている。このガイドローラ19は前記ピニオンギヤ8との軸間距離Lが一定に保持されている。
【0029】
次に、上記した移動機構部Bの動作を図5に基づいて説明する。
本発明に係るラベル貼付装置Aは、モータ18を駆動することでピニオンギヤ8が回転し、噛合するラックギヤ板6に沿って移動される。そして、例えば図3(a)、(b)に示す状態(カラー15の外周面と長孔10の長径側との間に隙間がある状態)からラベル貼付部A2(ラベル貼付装置A)を垂下支持したアーム5が起動時の振動等でラックギヤ板6にピニオンギヤ8を介して+荷重(コイルスプリングの弾発力より大きな荷重)が作用した場合、ラックギヤ板6は図5(a)に示すようにラックギヤ板6に開設した長孔10によって右側の隙間を埋める方向(矢印方向)に移動してコイルスプリング11を圧縮し、衝撃を緩和吸収する。それにより、ラックギヤ板6とピニオンギヤ8の両ギヤに作用する負荷を減少でき、バックラッシュの無い最適な噛合い状態を維持できる。又、本実施例では、前記したようにガイドローラ19を備えてピニオンギヤ8との軸間距離Lが一定に保持されているので、ラックギヤ板6が移動した分、ガイドローラ19と上ラック板受け12’の側縁との間に隙間が生じる。しかし、上ラック板受け12’とガイドローラ19との間に生じた隙間はラベル貼付部A2の振動等でピニオンギヤ8がラックギヤ板6から離れる方向に移動した瞬間、コイルスプリング11の弾発力で前記ラックギヤ板6がピニオンギヤ8と噛合する方向に押し出され、前記隙間はなくなり、ガタのない安定した移動が維持される。尚、ラックギヤ板が固定の場合は、ラックギヤ板とピニオンギヤに過負荷が掛かり、ギヤの歯が破損する虞れがある。勿論、目的の位置への移動ができなくなる。
【0030】
又、逆にピニオンギヤ8がラックギヤ板6のギヤ6aから離れる−荷重が作用した場合、本実施例では、ガイドローラ19を備えているのでピニオンギヤ8との軸間距離Lを一定に保持することができるので、ピニオンギヤ8がギヤ6aから離れる−荷重が作用したとしても、ガイドローラ19によりピニオンギヤ8がギヤ6aから離れる−荷重を抑制する。しかし、仮にガイドローラ19を備えない場合であったとしても、ラックギヤ板6は図5(b)に示すようにコイルスプリング11が弾発力でラックギヤ板6に開設した長孔10の左側の隙間を埋める方向(矢印方向)に移動し、ピニオンギヤ8の移動に追従しようとする。即ち、ラックギヤ板6がコイルスプリング11の弾発力でピニオンギヤ8と噛合する方向に押し出されるため、バックラッシュは発生せず、最適な噛合い状態が維持される。尚、ラックギヤ板が固定の場合は、ピニオンギヤの移動によりラックギヤ板のギヤとの噛合い状態が浅くなり、目的の位置への移動ができなくなる。また、バックラッシュが発生する虞れがある。
また、前記ラベル貼付部A2(ラベル貼付装置A)の移動範囲の制御は、図示を省略したが、例えば、移動するラベル貼付部A2側にセンサを取り付け、他方、ラベル貼付部A2を案内する支持部3側にフラグを設置して行うことができる。
【0031】
本発明に係るラベル貼付装置は、上記したようにラベル貼付部(ラベル貼付装置)の移動時にピニオンギヤを介してラックギヤ板に作用する荷重に応じて、該ラックギヤ板が弾発摺動し、ピニオンギヤとの噛み合いを最適な状態にする。それにより、高精度に加工されたラック・ピニオンギヤを使用しなくとも、安価に製作できる加工精度の低いラック・ピニオンギヤでも十分に目的の移動調整を行うことができる。
【0032】
本発明は図示した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
(1)実施の形態では、ラックギヤ板を下ラック板受けと上ラック板受けで挟み、更に押え板を介して支持部に定着しているが、これに限定されず、例えば、上ラック板受けに押え板の機能を持たせ1枚としてもよい。
(2)実施の形態では、ラックギヤ板をピニオンギヤと噛合する方向に付勢する付勢手段(コイルスプリング)を5箇所に配置した例を示したが、これに限らず、付勢手段の数は問わない。
(3)実施の形態では、ラベル貼付部の移動は搬送テーブルの搬送路の幅方向のみに移動する例を示したが、これに限定されず、例えば、ラベル貼付部を搬送テーブルの搬送方向に沿って移動調整する移動手段を付加してもよい。
【符号の説明】
【0033】
A…ラベル貼付装置 A1…ラベル発行部(ラベル発行装置)
A2…ラベル貼付部 B…移動機構部
W…物品 1…ベルトコンベヤ(搬送手段)
3…支持部 5…アーム
6…ラックギヤ板 7,7’…ガイドレール
8…ピニオンギヤ 9…コロ
10…長孔 11…コイルスプリング(付勢手段)
12,12’…ラック板受け 16…取付孔
17,17’…突起 18…モータ
19…ガイドローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送手段により搬送される物品に対して、ラベル発行装置から発行されたラベルを受け取って貼付するラベル貼付部と、該ラベル貼付部を搬送手段の搬送路の幅方向に移動させる移動機構部を備えたラベル貼付装置において、
前記移動機構部は、前記ラベル貼付部を支持する支持部に、前記搬送手段の搬送路の幅方向に沿って、ラックギヤ板を配置し、該ラックギヤ板のギヤに、前記ラベル貼付部に取り付けたピニオンギヤを噛合させ、該ピニオンギヤはモータによって駆動自在とし、更に前記ラックギヤ板は前記ピニオンギヤと噛合する方向に弾発摺動自在としたことを特徴とするラベル貼付装置。
【請求項2】
前記ラックギヤ板は、前記ピニオンギヤと噛合する方向への移動を可能とする長孔が該ラックギヤ板の長手方向に沿い所定間隔をおいて開設され、更に前記ラックギヤ板を前記ピニオンギヤと噛合する方向に弾発付勢する付勢手段を備えたラック板受けを介して前記支持部に配置されていることを特徴とする請求項1記載のラベル貼付装置。
【請求項3】
前記ラック板受けは、前記ラックギヤ板と略同じ長さの帯板に、前記付勢手段を装着する取付孔が開設され、且つ該取付孔内に付勢手段を係着保持す突起が前記ラックギヤ板の移動方向に向けて突出形成されていることを特徴とする請求項2記載のラベル貼付装置。
【請求項4】
前記ラベル貼付部に取り付けたピニオンギヤは、該ラベル貼付部と一体のアームに取り付けられており、前記アームに、前記ピニオンギヤと一定の間隔をおいてガイドローラを取り付け、該ガイドローラは前記ラック板受けにおけるピニオンギヤが配置された側と反対側の側縁に摺接させたことを特徴とする請求項2又は3記載のラベル貼付装置。
【請求項5】
前記支持部は、前記ラックギヤ板を挟む両側面にラベル貼付部の移動方向に沿ってガイドレールを備え、該ガイドレールに前記アームに取り付けたコロが嵌着されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載のラベル貼付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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